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<東京怪談・PCゲームノベル>


『千紫万紅 ― 5月の花 カンパニュラの物語・庭園の風鈴に見る優しい想い出 ― 』

【オープニング】


 ちりーん。どこかで風鈴の音が聞こえた。それはどこか香りの記憶かのようにひどく懐かしくって、ふわりと微笑したいようなもしくは泣きたいような…。
 静かな水面にほんの一滴雫を落として、波紋が静かに広がっていくように、その音色は深く深く深く心に染み込んでいく。
 狭間を越えて出た其処はそういう空間だった。【庭園】。色んな形の色んな色の風鈴が空間に吊り下げられている場所。
「ついておいで」
 俺の前を歩くのは一匹の黒猫。
 戸惑う俺は、俺の傍らに立つ白さんを見た。彼は銀色の前髪の奥にある静かな青い瞳を柔らかに細めて、何も心配ないと頷いてみせる。
 黒猫と一緒に先に行くスノードロップが振り返り、手をひらひらとこちらへおいでと振ったりもするので、俺は心を決めて足を一歩前に踏み出した。


 それにしてもただ白さんとスノードロップに愚痴ってただけなのに話が随分と変な方向へと行ってしまったものだ・・・



 ――――――――――――――――――――
【喧嘩】

 ぴんぽーん。日曜の朝。俺の至福の時。俺の日曜の過ごし方は大抵は昼頃までベッドの上でごろごろとして、それでようやく起きだすのが常。まあ、学校の部活とか行事予定の準備とかで借り出される事もあって涙ながらにそうできない時もあるけど、とりあえずはそういう風。
 そして今日は待ってました日曜日。しかも第三日曜日家庭の日で、部活はやってはいけない事になってるので、部活も無いし、行事予定も無いしでさあ、今日はとことん寝てやるぞ、ってそう想っていたのに………


 ぴんぽーん♪


 玄関のチャイムがベッドの上で寝る俺にはまるで死刑宣告の鐘の音色かのようで。
「あー、くそ。誰だ、俺の至福の時を邪魔するのは…」
 と、言いながらも大抵はあたりはつけられる。
 俺には双子の妹がいる。
 ひとりはまだ独身で、外国語教室で専任講師をしている。性格は気が強く、少々難儀な奴。しかも男と別れる度に俺の所に来やがって、俺を相手に酒を飲みながら愚痴を零していく。本当に兄泣かせな奴なわけで、
 じゃあ、その片割れは? と、訊かれたのなら、これがまたもっと難儀な奴だったりする。まさしく双子と言う感じだ。しかもにこやかで策士な分片割れよりも性質が悪い。ほんとぉ〜〜にぃ、兄泣かせな奴。ったく、彼もどうしてあんな奴を妻にしたんだか、そこら辺を実にじっくりと聞かせてもらいたいもので。
 とにかく今、このチャイムをぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーんって何度も鳴らしてるのはその妹…しおんに決まっている。
 あいつはいつもそうだ。本当に間が悪いというのか、間が良いというのか、こういう時にばかり来やがって、くそぉ。
 ちぃ。こうなりゃ居留守だ。俺はタオルケットを頭から被って、再び眠りにつこうと意識を集中させる。
 そう、せっかく一期考査も終わったばっかで(まあ、専任科目上、俺は試験を作ったり、採点、成績計算などはなく、ただ監督をしていただけだが)、とりあえずは大きな学校行事から解放されたのだから、今日ぐらいはゆっくりと教師の休息を取りたい訳で……
 おう、負けないぞってぇ・・・
「おがぁ」
「やっぱりいた。なに、お兄ちゃん、まだ寝てるの? ったく、もう。お日様も随分と高く上がってるわよ」
「・・・」
 ――――――あー、えっと、何が起こってんの?
 俺は俺の上に乗せられた姪の真尋を落とさぬように両腕で小さな体をがしぃっと掴むと、腹筋だけで上半身を起こした。
 にぱぁーっと笑うのはただ今一歳の姪の真尋。とりあえず姪はかわいいのでにこりと微笑んでおく。
「じゃ、お兄ちゃん。そういうわけで後はよろしく♪」
「おーい。ちょっと待てぇー」
「なによ、お兄ちゃん。あ、ひょっとしてここに置いておいた真尋のオムツが無くなったとか? じゃあ、悪いんだけど立て替えておいてもらえない? 今からお姉ちゃんと買い物なのよ」
「はい?」
「じゃ、よろしくね。真尋、真輝おじちゃんの言う事聞いて大人しくしているのよ♪」
 ―――――頭痛がしてきた。
 俺はきゃっきゃっと喜ぶ真尋を俺の脇にどかして、髪を掻きあげながらもう一方の手で真尋に手を振るしおんに向って中途半端に手をあげる。ちょっと待って、って。
「だ・か・ら・どうしてだからと言って、俺が真尋の面倒を見なきゃならんのだよ? って言うか、おまえはどうやって人の部屋に入った?」
「合鍵で♪ 前にお兄ちゃんが寝てる隙にお姉ちゃんと一緒に作ってきたの♪ 見て見て。パンダさんの鍵よ。かわいいでしょう♪」
「・・・」
 眉間に拳をあてて俺は唸りをあげる。
 ―――――ここはやはり兄らしくびしっと言ってやった方がいいな。
 俺はベッドから立ち上がると、しおんの手を掴んで、キッチンの方に連れて行った。
「なによ、お兄ちゃん。勝手に合鍵を作ったの怒っているの? 悪かったわよ。だけどお兄ちゃん、よく居留守を使うじゃない。だから私もお姉ちゃんも合鍵を作るのよ。お兄ちゃんが悪いんだからね。頼りにしている妹たちを邪険にするんだから」
 ―――――この言いよう。まるで自分たちには一切の非も無いかのように。ったく。
「あのな、そりゃあ妹たちに頼られるのは嬉しいさ。だけどおまえらはもう少しこっちの都合と言うのも考えろ。俺にだって俺の時間があるんだから」
「あら、どうせ寝てるだけでしょう? だったら、真尋の世話を焼いていた方がよっぽど時間を有意義に使えてよくなくて? かわいいでしょう、真尋」
「あー、おう。真尋はそりゃあかわいいさ、姪なんだから。だけどな、さっきも言ったけど俺には俺の時間が合って、その時間をどう扱うかは俺の勝手で、それでそれによって今後の俺の時間の調整とかもするわけなんだ。わかるか? はっきりと言わせてもらえば、今日は俺はゆっくりと眠っていたい。つい最近までは一期考査で色々とやらなきゃならんかった事もあってその疲れを癒したいし、それにこれからの事に対するための英気も養いたいから。それをおまえに邪魔する権利は悪いが妹だからと言っても無い。これからは電話なりなんなりしてそれで俺の都合を聞け。それにおまえはもう結婚して母親になってるんだろう。いつまでも独身気分で………」
 ――――まだまだ言いたい事は山のようにある。しかし俺がそこで口を閉じたのは、しおんの顔が真っ赤になって、彼女が頬を膨らませたからだ。まるで幼い子どもみたいに。ったく、おまえ、ほんとに子どもひとり産んでんのかよ?
 そして彼女は彼女の言い分を口にする。囀る。ものすごくヒステリックに。双子で昔からとまったく変わらぬ口調で!!!
「あー、はいはい、わかりました。わかりましたわよ。じゃあ、お兄ちゃんは今日はごゆるりとお休みになってくださいませ。私は真尋を連れてお姉ちゃんと買い物に行きますから。なにさ。こっちだって何も考えずにただお兄ちゃんに甘えていると想って? 私だってそれなりに想う所はたくさんあるのよ。それを人が何も考えていないみたいにさ。そういうのが一番頭にくる。ふん」
「おまえ、逆キレかよ」
「はいはい、そうよ。私は自分勝手で、世界は私を中心に動いていると想って、ついでにお兄ちゃんの事も何も考えずに娘を押し付けて遊び呆ける悪い女ですから逆キレだって平気でしますわよ。はいはい、悪うございました。じゃあ、さようなら、お兄様」
 そして唖然とする俺に彼女はあっかんべーをすると、母親の怒った声にびっくりとしたのか大声で泣き出した真尋を抱えて、ふんと、俺にそっぽを向いたまま部屋を後にした。
 ………がしゃんと乱暴に閉じられた玄関のドアの音が、


 お兄ちゃんの馬鹿ぁ!!!


 と言っているように聞こえたのはおそらくは気のせいではないのだろう。
 そして残された俺は頭を苛つきのままに掻き毟ってため息を吐いて、彼女の代弁をした扉に向かって、感想を述べた。
「はぁー、やれやれ。俺が悪者かよ? ったく」
 部屋の壁にもたれて、顔を片手で覆い隠したままその場にずるずると俺は崩れこんだ。
 ――――えーい、この苛つき、どうしてくれよう???


 ――――――――――――――――――――
【愚痴】

 結局、あの後、俺はもう眠る気にはなれなかった。後から後から腸が煮えたぎるような想いに苛まれて、しおんの台詞が何度もリピートされてしょうがなかったからだ。
「あー、くそ。せっかくの休みだってんのにどうしてこんな最悪な気分にされなあかんのだよ」
 公園の緑でも見れば少しは気が休まるかと思ったが、だけどダメだった。全然ダメで、だから俺はしょうがなく公園のベンチに座って、煙草を吸っていた。苛つきに比例して吸う本数もいつもの倍だ。
「吸いすぎには注意しましょうでし♪」
 と、おもむろに俺の前にずいっと出てきた虫…もとい、スノードロップの花の妖精。右手の伸ばした人差し指をリズミカルに振ってそう言う彼女に俺は肩をすくめて、一言。
「あ、虫の羽音がなにやら聞こえたような」
 と、言った瞬間に彼女はそのどんぐり眼からだぁーっと涙を流す。俺はついそんな彼女の反応に苦笑してしまった。思えばうちの妹どももこんな風にかわいらしい時があったっけ。
「冗談だよ、冗談。ああ、そうだな。吸いすぎには注意だな」
 などと言いつつも、煙草の吸殻を隣の灰皿に捨てると、俺は横に置いてある煙草の箱とライターに手を伸ばす。
 ………と、だけど当たりをつけて手を伸ばしたのだけど、指先が触るのはベンチばかり。煙草の箱は無い。あれ?
 と、そちらに視線をやればスノードロップが両腕で煙草の箱を抱え持ってにへらーと笑っている。
「だから吸いすぎには注意でしよ♪」
 そう言って彼女は羽を動かして飛んでいって、そしてそこには銀髪の優しげな微笑を浮かべる青年。
「おお、こんにちは、白さん」
「こんにちは嘉神先生」
 ――――嘉神先生。思わずその響きに俺は涙を流しそうになった。うちの生徒どもはもっぱらまきちゃんで、最近は俺ももう諦めているから、本当に新鮮なのだ。そして本当ならそう言われるべき事を言われて感動する自分がちょっと悲しかったりもする。ううん、なんか余計に沈む。
「はぁー」
「どうかされたのですか、そんなにも大きくため息を吐かれて?」
「吐いたため息の分だけ、幸せが逃げていきますでしよ?」
 俺は肩をすくめる。
「あー、逃げていく幸せも無いって感じだよ」
「おや、何かあったようですね? もしも僕でよろしかったら、聞きましょうか?」
「聞くでしよ?」
 にこりとそっくりな笑みを浮かべる白さんとスノードロップ。俺は苦笑しながら肩をすくめると、自販機で買ったコーヒーを白さんに渡して、長々と愚痴を語った。


 ――――――――――――――――――――
【想い出の風鈴】

「まあ、猫。いないと想っていたらお客さんを連れてきたのね」
「そうだよ、少女」
「こんにちはでしぃー、少女さん」
「こんにちは、スノードロップさん。それに白さんも」
「こんにちは、少女さん。それで、こちらは嘉神真輝先生です」
「どうも」
「こんにちは」
 猫は少女と何やら話をし、そして少女が俺を見た。
「お話はわかりました。嘉神先生の想い出の風鈴はこちらです。どうぞ」
 そう静かに静かに少女はそう言って、そして俺を案内する。
 猫と白、スノードロップはその場に残った。
 【庭園】と呼ばれるここには様々な風鈴があるそうだ。とても澄んだ音色を奏でる風鈴もあれば、鳴らない風鈴もあるらしい。
 その光景は百花繚乱のようで。色とりどりの美しい風鈴が奏でるその音色はやはりその色の数だけ違う。人が他の人とは違うように。
 だけど少女が指し示した俺の想い出の風鈴は……
「これが嘉神先生の風鈴です」
「・・・」
 ―――――これが俺の想い出の風鈴?
 ……それは夜の闇のように真っ黒で、そしてその音色を奏でる事は無かった。
 見るとその日本人形のような清楚な顔の作りをしている少女はしかしとても悲しそうな顔をしていた。そういえば猫も言っていた。感謝の想い出を否定すると、想い出を封じ込めた風鈴は色と音を失うと。
「触ってもいい?」
「はい」
 こくりと少女は頷いた。
 俺はその風鈴に触れる。するとまるで風に揺れて、そして風鈴が鳴るように、何かが俺の心を揺らして、そしてそれが思い浮かんだ。まるで泡が如く。


 ――――――――――――――――――――
 脳裏に浮かび上がる映像。それはまるで映画のスクリーンに映されている画像のようにとてもリアルで、俺はその時の背景を事細やかに思い浮かべられたし、それに匂いや味、感触や温もりなども実に本当にリアルに感じられる事ができた。
 

 思い浮かぶ映像・・・
 大人のいない子どもたちだけの部屋。
 俺は幼い妹たちの面倒を見てる。
 そう、スイスに住んでいた頃は両親は共に忙しくって、それで俺が妹達の面倒を見ていたんだ。


 絵本を読んでやったり・・・
 ――――二人ともシンデレラが大好きだったっけ。


 ドーナツを揚げてやったり・・・
 ――――そうそう。姉妹で、どっちがドーナツの真ん中を食べるか、よく喧嘩をしていたっけ。


 庭に置かれたブランコを押してやって・・・
 ――――しおんがブランコから落ちて、顔に傷を作った時にはひどく怒られたよな。それでやっぱり姉妹で俺をかばってくれてさ。
 そう、そういや、二人で知恵を絞って、俺がお仕置きに閉じ込められた納屋の鍵を開けてくれた事もあったけ。んで、また親の怒りをかって、今度は兄妹三人で閉じ込められて、真っ暗闇を怖がる二人を宥めて、それで左右の肩に二人が頭を乗せて寝るもんだから、俺は重くって、くすぐたくって、眠れなくって・・・眠らずに二人を守らなくっちゃって想って・・・


『お兄ちゃん・・・おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・ふぅえーん』
『ばか。しおん。泣かないの。泣いててもお兄ちゃんは元気にならないんだからね。ほら、だからあたしとしおんでかんびょうするの。しおんはこおりまくらつくって。あたしはハンカチをぬらすから』
 ――――脳裏に響き渡ったまだ舌足らずな二つの声。大切な双子の妹の声。
 ああ、そういえばこんな事もあったけ。
 この時、俺は熱を出して倒れて、それで二人して俺をベッドに運んでくれて…
 うん、近くにじーちゃんたちはいたけど、二人は自分たちで俺の看病をするんだってきかなくって、ちっこい手を真っ赤にしながら何度も冷たい水でタオルを冷やして俺の額に乗せてくれて……。
 そうだな。うん、そういう事もあった。


 俺は俺の中にあるしおんの手の温もりを感じる。


 情景が変わる。
 病院の廊下。
 俺は真新しいベビー服と花束を持って、しおんの病室の扉をノックする。
『どうぞ』
 返される明るい声。
 部屋に入る。
 迎えてくれたとても幸せに満ち足りた綺麗なしおんの微笑と、
 小さな小さな天使の微笑。
『ほら、真尋。あなたのおじちゃんですよぉー♪』
『おい、おじちゃんはないだろう。お兄さんって呼ばせろ』
『あら、おじちゃんじゃない。あ、でもお兄ちゃんやお姉ちゃんに子どもが生まれた時は、私は私の事をいつも綺麗で若々しいしおんお姉さんって呼ばせるんだけどね♪』
 にこりと笑ったしおんに俺は苦笑しながら肩をすくめて、そして訊く。
『ところで真尋って、漢字は、真?』
『うん、そうだよ。お兄ちゃんから1文字貰ったの。真尋…真実を見つけられるようにって』
 

 ふわりと笑った彼女の両腕に抱かれる真尋の小さな小さな紅葉のような手は、しおんの手が持つ温もりと同じで、とても心に温かかった。


 ちりーん。


 ・・・ちりーん。


 ・・・・・・・ちりーん。


 それはとてもとても綺麗で優しい音色。俺の心を包み込む二人の優しい体温のように。


「綺麗な音色ですね」
「ああ、ありがとう。俺にとってとても大切な想い出に相応しい音色だと想う。あのさ、悪いけど俺はこれで失礼するよ。ちょっと行かなきゃならん場所を思い出したんで」
「あ、それでは猫に・・・いえ、その必要は無いようですね」
「ああ、この翼なら狭間を越える事はできるから」
 俺は能力を発動し、智天使となる。
 そして長くなった前髪を掻きあげて、少女ににっと笑いかけて、お願いをする。
「あのさ、これからも時々この風鈴の音色を聴きに庭園に来させてもらっても良い? きっとまたあの横暴な妹どもにキレる事もあると・・・いや、絶対にあると想うから。その時はこの音色を聴きたいし」
 にぃっと笑う俺に彼女は頷いた。
「はい。お待ちしております、嘉神先生」
「ありがとう」
 俺はそう少女にお礼を言って、そして四枚の翼を羽ばたかせた。


 ――――――――――――――――――――
【ラスト】

「おう、妹ども」
 俺はいつも妹たちがご贔屓にしているファミレスで案の定そこにいた妹たちに手をあげる。しおんはふんとそっぽを向いて、もう一人の妹はそんな彼女に苦笑いを浮かべて俺を見る。
 俺は前髪を掻きあげながら、しおんの傍らに立ち、真尋を抱き上げて、ついでに伝票も手に取った。
 眉根を寄せて怪訝そうな…睨むような目で見るしおんの額を俺は幼い時のように人差し指の先で押して、
「ほら、出るぞ、妹ども。たまには兄も混ぜろ。今日は兄妹・姪、水入らずでどっかに遊びに行こうか? 水族館なんてどうかな、妹方に姪御どの?」
 俺がそう言った瞬間にしおんはにぱぁーっと微笑み、そして双子の姉と一緒に手を取り合って、きゃっきゃっと声を出した。そう、幼い頃、二人にドーナツを作ってやっていたあの頃のように。


 そして俺達は四人で遊びに行く。俺は両腕でしっかりと真尋を抱き抱えて、そしてその両腕には妹たちに腕を絡められて。
 そうやってあの日の頃のように仲良く日曜日を過ごしたのだった。


 まあ、お兄ちゃんだから安心して頼めるんだもの・・・なーんて言われたらしょうがないよな。



 ― fin ―






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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】


  2227 / 嘉神・真輝 / 男性 / 24歳 / 神聖都学園高等部教師(家庭科)

 
 NPC / 白


 NPC / 風鈴売りの少女


 NPC / 猫


 NPC / スノードロップ




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■         ライター通信          ■
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こんにちは、嘉神真輝さま。いつもありがとうございます。
このたび担当させていただいたライターの草摩一護です。


今回も素敵なプレイングありがとうございました。
兄妹の優しい想い出、そして嘉神兄妹らしい喧嘩、プレイングを読ませていただいて、
ものすごく微笑ましい気持ちとなれました。
確かに最後に書いておいたような事を言われた日にはお兄ちゃんはがんばらねば、ですよね。^^


そして今回は至極普通に嘉神先生と書ける部位もあった事がすごく新鮮でした。
いつもは元気にまきちゃん、か、もしくは、舌足らずな感じで嘉神先生ぇ、ですからね。
だから本当に嘉神先生、とものすごく普通に書けたのがなんだか面白かったです。


ちなみに真輝さんが嘉神先生、と呼ばれてものすごく喜ぶシーンがありますよね。
あんな風に先生、とつけて呼ばれるのは実際にものすごく嬉しくって、そしてくすぐったくもありなのですよね。^^
生徒に○○先生、って呼ばれた時は本当にすごくくすぐったくって嬉しくって、
思わずもっと呼んで、と言いそうになりましたから。(笑い
その逆に、先生連中から○○君と、呼ばれると、ちょっとつまらなかったり。
先生連中は、先生、ってつけて呼ぶよりも君づけで呼ぶことの方が多いですから。


そしてちゃっかりと最後には智天使ヴァージョンも出させてもらいました。
この能力、すっかりとお気に入りであったりします。^^


それでは今回も本当にありがとうございました。
失礼します。