コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


雨の街

【オープニング】
 しとしとと雨の降り続く午後のこと。
 草間興信所に来客があった。
 二十代半ばと思しい黒髪の美女は、雨宮瞳子(あまみや とうこ)と名乗り、言った。彼女の家に代々伝わる家宝の笛《村雨》を探し出してほしいのだと。
 一週間ほど前、それは彼女の父の書斎の金庫の中から盗まれてしまったのだ。他に入っていた通帳やカード、現金や宝石などにはいっさい手がつけられておらず、犯人の狙いは最初から《村雨》だったらしいと瞳子は言う。そして、彼女は続けた。
「《村雨》が戻らなければ、雨宮の街を包む雨も止みません。どうか、お願いします」
「待って下さい。それは、どういうことですか?」
 草間が、思わず問い返す。瞳子は、一瞬きつく唇を引き結んだ後、笛にまつわる不思議な話を語り出した。
 それによれば。《村雨》は、吹くことによって自在に天候を操ることができるのだという。ただし、誰でも吹けるわけではなく、笛が奏者と認めない者がそれを手にした場合、《村雨》によって守られている地域は、降り続く雨に見舞われる。更に、笛の認めない者が吹けば、街は嵐に包まれ……過去に一度壊滅しかけたことがあるというのだ。
 草間は、単なる伝説の類かとも思った。だが、瞳子は真剣なまなざしで、伝説でもなんでもない、事実だと断言した。そして、彼に向かって深々と頭を下げる。
「お願いします。笛を取り戻して、街を救って下さい。このとおりです」
 そこまでされては、断るわけにもいかない。とりあえず引き受けたものの、草間は彼女が帰った後、小さく溜息をついた。
(さて。引き受けてくれる奴が、いるかなあ……)
 胸に、そう呟きながら。

【1】
 静かな室内を、ただ降り続く雨の音だけがおおい尽くしていた。
 香坂蓮は、依頼人・雨宮瞳子の家の一室でテーブルの上に持参したノートパソコンを広げ、その画面を目で追っていた。
 ヴァイオリニストである彼は、二十四歳。すらりとした長身に半袖のシャツとスラックスというなりで、すぐな黒髪と青い目のやや童顔の美青年だった。
 彼は、同じように今回の依頼を引き受けたシュライン・エマ、海原みなも、斎黯傳(いつき くろもり)の二人と一匹と共に、東京から車で二時間ほどの場所にある雨宮市の瞳子宅を訪れていた。
 この街にやって来た彼らを何より驚かせたのは、その街が文字どおりすっぽりと雨の膜に包み込まれてしまっていることだった。来る途中の峠の頂上からは市が一望できたのだが、他は青空が広がっているというのに、雨宮市の上空のみ真っ黒な雲におおい尽くされていたのだ。しかもその雲は、一向に動く様子さえなかった。その異常さは更に、彼らの乗る車が市への入り口にさしかかった時に際立った。真っ直ぐに続く道が、途中の標識を境に、雨のカーテンによって真っ二つに隔てられてしまっていたのだ。
 これでは特別な力など何もなくても、この天候はおかしいと誰もが感じることだろう。
 そんなこんなで、彼らは驚きに目を見張りながら、雨宮家へとやって来たのだった。
 瞳子の自宅は、市の海側に近い付近にあって、市の観光スポットの一つでもある雨宮天満宮のすぐ傍にあった。「屋敷」と呼ぶにふさわしい邸宅で、来る前に聞かされた雨宮家がこの街の名士だという話も、あながち嘘ではないだろうと彼らに感じさせた。
 蓮たちを出迎えてくれたのは、依頼人である瞳子自身だった。
 彼女によって上品に整えられた応接間に案内された蓮たちは、そこで彼女から《村雨》の由来他の詳しい事情を聞いた。
 そもそも、盗まれた笛《村雨》は、雨宮家の祖先である時人(ときひと)が、奈良の葛城山の山中で役行者(えんのぎょうじゃ)よりもらったものだという。
 奈良時代の末、笛の名手として名高かった時人は、その天候を操ることのできる不思議な笛のおかげで更に名を馳せた。が、力づくでそれを奪おうとする者もおり、命の危険を感じた彼は、妻と共に当時はまだ辺境だった関東へ逃れた。
 その彼が居を定めたのがこの雨宮市で、当時は小さな村にすぎなかったようだ。
 温厚で博識な時人は村人の崇拝を受け、次第に村の中心人物となって行くが、若くして病に倒れ、結局、妻と二人の子供を残して他界してしまう。
 その後、彼の妻は役行者のお告げを受けて、小さな祠を建てて水神を勧進し、《村雨》を奉納して毎日祭った。それが、現在の雨宮天満宮の始まりで、当時は「雨宮さま」と呼ばれて村人だけが手を合わせていたのだが、いつしか霊験あらたかだと噂が立ち、近在からも人が参拝に訪れるようになったらしい。やがて後に時人と、菅原道真が合祀され、「雨宮天満宮」となったという。
 そして、この天満宮を代々祭るのは雨宮家の女の役割であり、その宮司となるための条件が、《村雨》の奏者となることなのだという。
「雨宮の家の者にとっては、神職の資格を持つこと以上に、《村雨》の奏者であるか否かは、宮司となるためには重要な条件なのです」
 蓮たち三人と一匹を前に、瞳子はそう語った。
「では、今の笛の奏者は……?」
 思わずというように問うたのは、シュライン・エマだった。
 蓮より二つ年上の彼女は、すらりとした長身にワインカラーのパンツスーツをまとい、長い黒髪を後ろで一つに束ねていた。胸元には、薄い色のついたメガネが揺れている。本業は翻訳家だが、草間興信所で事務員のバイトをやっていた。バイトといってもずいぶん長く、興信所の古株といってもいい。
 彼女の問いに、瞳子は言った。
「私です。慣例どおり、天満宮の宮司も務めさせていただいております」
 彼女が言うには、先代の宮司兼笛の奏者は彼女の祖母で、その人が病に倒れた時、彼女はその二つの資格を譲られたのだった。
 ちなみに、笛のことやその由来などは、誰もが知っていることのようだった。
 というのも、それらは天満宮の縁起として、市の観光用パンフレットやホームページなどにも載せられており、天満宮内にもその説明の札が置かれているというのだ。だけではない。笛は、天満宮内にガラスケースに入れて説明つきで展示されているという。
「今は、飾られているのはレプリカですけれど。昭和の初めごろに、一度盗難に遭っているんです。それ以来、天満宮の方にはレプリカを展示して、本物はこの屋敷に保管するようになりました」
「その時は、どうやって取り戻したんだ?」
 付け加える瞳子に、蓮が問うた。今回の件の参考になるかもしれない、と考えてのことだ。
「警察が、捕まえました」
 瞳子は、ためらうことなく答える。
「その時の犯人は、古美術品を狙った泥棒だったんです。《村雨》の力についても、伝説だと考えていたようで……好奇心から《村雨》を吹いてみようとしたとか。ですが、常習犯だったことと、担当刑事が祖父の友人で《村雨》の力も信じていましたから、当時の警察としてはできる限り迅速に動いてくれました」
「それでも、街は壊滅しかけた……と」
 シュラインがたしかめるように問うと、瞳子は黙ってうなずいた。
「笛そのものの価値は、どのぐらいのものなんだ?」
 蓮がシュラインの隣から、ふと問うた。盗んだ犯人の目的は、そういうことではないようには思ったが、念のため、売りさばけばいくらぐらいになるかを訊いておこうと考えたのだ。が、瞳子は小さく首をかしげた。
「さあ……。鑑定などしていただいたことがないので、私にはなんとも……。ですが、その時の泥棒は、いくばくかの価値があると考えていたのだとは思います」
 それはそうだろうと、蓮も思う。というか、普通こうしたものが盗まれる時、犯人の動機はたいていが金銭的価値にあるだろう。
 だが、この《村雨》の場合はそうとばかりも限らない。
 不思議な力を持つ笛に、興味を抱いてのことか。それとも、雨宮家かその家人の誰かに恨みでもあってのことか。笛が盗まれたことが公になれば、当然ながらそれを管理していた雨宮家の人々にも非難が向けられることになるだろう。街が壊滅するようなことになれば、その責任は彼らにあると見なされるに違いない。
 前者の動機であれば、探すのは難しいかもしれないが、後者ならば瞳子ら雨宮家の人間に心あたりがある可能性もある。それを思い、彼は訊いた。
「笛を盗んだ人間に、心あたりはないのか? たとえば、雨宮家やおまえ、おまえの父親らに恨みを持っているような人間とか」
「他に笛を吹けそうな人や、雨を降らせる理由のある人、という場合もありますよね。そういう人にも心あたりはありませんか?」
 彼の問いに付け加えるように、海原みなもが言った。
 みなもは、青い髪を長く伸ばし、青い目をした愛らしい少女で、十三歳――中学生だった。今日の彼女は、初夏にふさわしい水色の格子柄のキャミソールに白いレースのボレロをまとい、コルク底のサンダルをはいていた。膝には、光沢のある黒い毛皮と黒い目の猫を乗せている。
 が、猫は彼女のペットではなく、今回の同行者の一人だ。人間を補佐し導く役目を持つ「お守り役」の猫、斎黯傳である。人語を解することも、人間の姿になることもできるのだが、本日は猫の姿で、依頼人を驚かさないために人語などまったく解さない普通の猫のふりをしているようだ。
 二人に問われて、瞳子は一瞬撃たれたようにそちらを見やり、目を見張った。が、すぐに小さく唇を噛みしめ、うなだれてしまう。ややあって、ぽつりと言った。
「私は、妹が盗んだのではないかと思っています」
「妹?」
「はい」
 蓮に問い返されて、瞳子はうなずく。そして、うつむいたままぽつりぽつりと話し始めた。
 彼女には、二つ年下の月子という妹がいるのだという。この妹は、ずいぶんと夢見がちな性格で、子供のころから《村雨》をまるで魔法の杖かシンデレラのガラスの靴のように考え、その奏者になることに憧れていたのだそうだ。
 先代の奏者である彼女たちの祖母が床に就いた時、二人はその祖母の枕元に呼ばれて《村雨》を吹き競った。その結果、《村雨》の奏者は瞳子に決定したのだが、月子はそれが不満で家を飛び出し、その後消息不明なのだという。
「実際のところはどうだったんだ? 妹はおまえより笛の奏者として劣っていたのか?」
 蓮が無遠慮に訊いた。
「腕は、互角だったと思います。ただ祖母が私を後継者としたのは、私の方がより現実的だったからでしょう。《村雨》の奏者となるということは、妹が考えているような楽しいだけのものではありません。その力を信じない者はもとより、信じている者からも、崇拝や憧憬だけではなく、妬みや時には恨みをかうことさえあります。その上に、宮司の仕事もありますから……『夢』だけではとうていやってはいけません」
 冷静に答える瞳子の言葉には、すでにその地位にあって現実を受け止めている者のたしかな実感がこもっていた。
 彼女は、蓮たち三人と一匹を見やり、すがるように言った。
「今回の盗難については、まだ警察にも連絡していません。でも、この不自然な雨に、《村雨》の力を信じている人々は、すでに不審に思い始めているようです。ですから、どうかお願いします。人々が騒ぎ出す前に、《村雨》を取り戻してほしいのです」
 そして彼女は、深々と頭を下げるのだった。

【2】
 その後、蓮たちは笛が収められていたという金庫を見せてもらった。
 金庫は、どこにでもあるような耐火性の強いもので、小さな冷蔵庫ぐらいの大きさがあった。鍵はダイヤル式のものと鍵穴に鍵を差し込んで回すものとの二種類が併用されていたが、雨宮家では鍵穴式の方しか掛けていなかったという。なんでも、当主の和人(かずひと)が、ダイヤル式の数字を覚えるのが苦手だとかで、昔からそうしていたらしい。が、それを知っているのは家族――和人自身とその妻の加代子、そして瞳子と月子の四人だけだったという。そもそも、使用人さえこの書斎には入らせない習慣だったようだ。
 盗まれた時、ドアはこじ開けられた様子もなく、明らかに鍵を使って開けられたようだったと瞳子は言った。それはつまり、犯人が鍵の場所を知っていたということでもある。更に、家の玄関や窓にもこじ開けた痕跡がなく、金目のものも盗まれていないとなれば……たしかに瞳子が身内、それも今この家にいなくて、笛を欲しがる理由のある人間を疑うのも無理はなかった。
 シュラインは、何か他の可能性を考えているのか、雨宮家の周辺で最近体調を崩したり、入院している人間がいないかどうかを瞳子や和人に尋ねていた。が、二人ともそんな人物に心当たりはないという。
 なんにせよ、警察に通報すれば、指紋などからもっと詳しい手掛かりも得られるのだろう。
 月子が犯人だとして、もしもこの街にいるとすれば、立ち寄りそうな所や宿泊施設などを調べるのも、警察ならばお手のものだ。
 だが、瞳子はそれはしたくないという。
「私は、妹を犯罪者として公に晒したくないんです。今ならまだ、《村雨》を返してもらって、何もなかったようにできます。この降り続く雨だって、異常気象のせいにしてしまえます」
 そこまで言われては、蓮たちにしろ警察への通報をこれ以上勧めるわけにもいかなかった。何より、依頼を引き受けたのは彼ら自身だ。依頼人の望む結末に事態を導く義務がある。
 金庫を見せてもらった後は、ちょうど昼近くだったこともあり、彼らは昼食を取った後、それぞれに部屋を割り当てられた。
 現在、蓮がいるのは、自分に割り当てられた一室だ。まるでホテルのシングルといってもいいような瀟洒な洋間である。床はフローリングだったが、奥の方にベッドが置かれ、その手前の空間に丸テーブルと椅子が据えられている。蓮はそのテーブルに自分のノートブックパソコンを広げ、陣取っていた。インターネット上で何か有益な情報が拾えないかと検索してみているところだ。
 部屋には、彼だけではなくシュラインもいる。
 みなもと黯傳の二人……というか、一人と一匹は屋敷の中にはいない。食事の後、人魚の末裔であるみなもは、この雨を降らせている力の源をさぐると言い置いて出かけていた。一方の黯傳も、いつの間にか姿を消している。
 残ったシュラインは、蓮がインターネットで調べてみると告げると、それに興味を持って部屋までやって来たのだった。もっとも今は、窓辺に佇み、何を考えているのかぼんやりと外を見やっている。それを尻目に蓮は、ネット上で《村雨》に関する雑多な情報を拾ってはふるいにかけて行った。
 そして今、いくつかの役に立ちそうなデータがモニター上に広げたいくつもの画面の上に並ぶ。そこで彼は、初めてシュラインを呼んだ。
 呼ばれて彼女は、我に返ったかのように、こちらをふり返る。
「何か、めぼしい情報はあった?」
「だいたいは、瞳子に聞いたのと変わらないものばかりだな。ただ、心霊研究家とか霊能力者と称する連中の間じゃ、笛は美術品や楽器として以上に有名だったみたいだ」
 答えて蓮は、こちらへ歩み寄って来た彼女に、画面を示す。そこにいくつか広げられているページは、たしかにどれも見ようによっては怪しげなサイトが多かった。たとえば、心霊研究家と称する人物のサイトもあれば、霊能力者を名乗る者のサイトもある。また、中には明らかに宗教団体のサイトの掲示板とおぼしいものもあったし、逆に「不思議大好き」を名乗る中学生か高校生のサイトらしきものもあった。
 もっとも、笛についての記述はどれも大差ない。だいたいは二人が瞳子から聞いた話ばかりだ。ただ蓮は、その中に一つ気になる文章を見つけていた。笛は奏者を選ぶが、その奏者が意志の弱い人間であったり、思い込みの強い暗示にかかりやすいタイプの人間だったりすると、笛に魅入られ、操られてしまうこともある、というのだ。
 その文章に、シュラインも引っかかったようだった。
「蓮くん、これ……」
 軽く目を見張って、彼女はその画面を示す。蓮はうなずいた。
「ああ。俺もそれが気になった。書いているのは、この街に住む郷土史家だ。ちゃんと、その根拠となる文献にも触れている」
 言って彼は、そこからリンクされている文献類のページに飛んだ。そこには、文献のタイトルや作者、出版社らのデータと共に、引用文が記載されていた。
 引用されているのは、平安時代から昭和初期までの間に笛を手にした者たちが起こした事件の数々を示した文だ。笛の奏者に選ばれた者が途中で乱心し、この地に多大な被害を及ぼしたという記事もあれば、後継者争いの末に、一方が一方を殺して笛の奏者となったが、最終的にはその者もほどなく病で死んだとか自害したとかいう記事もあった。なんにせよ、それはどれもずいぶんと陰惨なものだった。
 その文面を読み下したシュラインが、眉をひそめる。
「蓮くん。まさか、瞳子さんの妹さんも……」
「ああ。もしも本当にその女が盗んだのなら、笛に魅入られた結果というのもありそうだな」
 言いさしたシュラインに、蓮もうなずく。もしもそうなら、できるだけ早く瞳子の妹・月子を探し出す必要があるだろう。が、これだけではやはり、情報が少なすぎる。
 蓮がそのことに苛立ってかすかに顔をしかめた時、シュラインの携帯電話が鳴り出した。彼女は慌ててポケットからそれを取り出し、電話に出る。相手の言っていることはむろん聞こえないが、シュラインの口調からすると、相手はみなものようだ。笛を見つけたのだろうか。尋ねるように見詰めていると、彼女が軽くこちらを見やった。が、彼には何も言わずに小さくうなずいて、電話の相手にのみ応答している。
「わかったわ。私たちが行くまで待って。今、どこにいるの?」
 相手は、自分の居場所を告げているのだろう。シュラインは、丸テーブルの上に置いてあった、雨宮市の観光用パンフレットを手に取り、広げた。部屋を割り当てられる前に、瞳子に参考になればともらったものだ。言われた場所はすぐに見つかったようだった。
「わかったわ。じゃあ、後でね」
 シュラインは会話を終わらせ、通話を切る。携帯電話をポケットに戻した後、彼女は蓮に相手がみなもだったことを伝え、言った。
「雨を降らせている力の源の近くにいると言ってたわ。時人の庵に続く林の入り口ですって。黯傳さんも一緒みたいよ。彼も、一人で笛の所在を追っていたのかもしれないわね」
 それを聞いて、蓮もパンフレットを見やる。時人の庵は、時人のかつての住居跡で、観光スポットの一つになっているらしい。そこにもちゃんと載っている。
「まさか、こんな所に隠れてたってわけか?」
 蓮は思わず顔をしかめた。
「瞳子さんの話では、今は小さなお堂が立ってて、昔はそこでよく遊んだってことだったわよね。……案外、盲点だったかもね」
 シュラインも言った。友人の家や市内の旅館やホテルではなく、昔遊んだ場所で寝泊りする……それならたしかに、もしも警察が捜索したとしても、山狩りでもしない限りは、なかなか見つからないかもしれない。
「ともかく、行きましょ」
「ああ」
 シュラインに促されてうなずくと、蓮はパソコンを閉じて立ち上がった。

【3】
 外は相変わらず雨が降り続いている。蓮とシュラインは、瞳子に一言行き先を告げておくべきだろうと考えたが、生憎彼女は天満宮の方に出かけているという。しかたがないので使用人の一人に伝言を頼み、二人は自分たちが乗って来た車で出かけた。
 林の入り口までは舗装された道が出来ており、みなもと黯傳はすぐに見つかった。みなもの言葉どおり、傍には観光客用の案内板が立っており、その横の空間が駐車場になっていた。むろんこの雨だ。止まっている車は一台もない。蓮はその中に車を止め、積んであった傘をシュラインに差し出す。自分も傘をさし、彼女に続いて降りた。
「シュラインさん、香坂さん」
 黒猫の姿の黯傳を腕に抱き、傘をさしたみなもが、二人の方へ駆け寄って来る。
「みなもちゃん。それで、力の源っていうのはどこ?」
「この林の奥です」
 シュラインが問うのへ、みなもが林の方をさし示す。黯傳も、相槌を打つように一声鳴いた。
「行ってみましょう」
「はい」
 シュラインが促すと、みなももうなずいた。
 やがて彼らは、雨の中を歩き出す。そこから林の中までは、石畳を敷き詰められた遊歩道が真っ直ぐに続いていた。
 林の中に入ると、落ちて来る雨の量は少なくなった。といっても小降りになったわけではなく、木々の枝に遮られて、地面に落ちる雨の量が減ったのだ。
 歩きながら蓮とシュラインは、かわるがわるみなもと黯傳に、手にした者が笛に魅入られてしまう場合があるらしいことや、笛を盗んだのが月子ならばすでに魅入られてしまっている可能性のあることを話した。
「もしも笛に魅入られてしまっているとしたら……月子さんはどうなるんでしょう?」
 不安げに問い返すみなもに、蓮は肩をすくめた。
「さあな。……過去の記録どおりなら、あんまり楽しいことになりそうにないが」
「そんな……」
 一瞬目を見張るみなもに、彼女の腕に抱かれた黯傳がなだめるような声を上げる。
「みなもちゃん、まだそうと決まったわけじゃないわ。以前のような本物の泥棒の仕業っていう可能性もあるんだから」
 シュラインも慌てて言う。
「そうですよね。あたしったら……。決めつけちゃ、いけませんよね」
 小さく笑ってうなずくみなもに、黯傳がうんうんとうなずいた。
 そんな二人のやりとりを聞きながら蓮は、本当はそんなことなど思っていないくせにと、小さく胸の中でシュラインの言葉に突っ込みを入れる。犯人が以前の時のような本物の泥棒ならば、こんな所にいないでとっくにこの街を離れているはずだ。シュラインにもそのぐらいのことがわからないはずもない。が、みなもの笑顔を見ると、それを口にするのも大人げない気がして、蓮はただ黙っていた。
 そうこうするうち、彼らは時人の庵の前へとたどり着いていた。
 庵というよりも、小さなお堂のような建物だ。むろん、奈良時代後期のものではなく、昭和になってからそういう名目で建てられたものである。そのあたりに時人が居を構えていたこと自体は本当らしい。パンフレットには、現在のものは過去の記録や当時の建築技術を参考に復元したものだとあった。
「この中から、力の源を感じます」
 みなもが、低く囁くように言った。黯傳が、また同意するように小さな鳴き声を上げる。
「犯人が誰であれ、笛はここにあるということだな」
 呟いて蓮はお堂の軒先に足を踏み入れると、傘をたたんだ。ここまで来たのだ。躊躇していてもしかたがない。
「中へ、入ってみよう」
「ええ」
 蓮が言うと、シュラインがうなずき、軒先に入って傘を閉じる。みなもと黯傳も後に続いた。
 観音開きの扉に手をかけたのは、シュラインだ。それは、かすかに蝶番のきしむ音を立てながら、外側に向かって開いた。中は真っ暗だった。
(懐中電灯ぐらい、持ってくればよかったか)
 シュラインに続いて中に足を踏み入れながら、蓮はふと考える。時間的にはまだ、さほど遅くはない。彼らが雨宮家に到着したのが午前中のことで、それから話を聞いたり金庫を見せてもらったりした後、昼食を取ってそれぞれの行動に移ったのだ。おそらく晴れていれば、充分に明るいに違いない。が、雨のせいで外はすでに夕方のように薄暗い。お堂の中も、暗くて当然だった。
 しばらくするとやっと目が慣れて、中の様子が見えるようになった。
 お堂の中はさほど広くはなく、床は板張りで、さすがに埃が積もっているようなことはなかったが、がらんとしている。奥の方に几帳台とおぼしいものがあり、その手前には、藁座(わろうざ)と呼ばれる藁で編んだ丸い小さな座布団が置かれていた。
 そして、その几帳台らしいものの影に、誰かがうずくまっているのが見えた。
「月子さん?」
 シュラインが、そっと呼びかける。うずくまった人物の肩が小さく震え、こちらをふり返った。
「誰? 姉さんなの?」
 細い声が返り、その人物はおぼつかない足取りで立ち上がった。そのまま、彼らの方へと歩み寄って来る。
 やがて、彼らの目にも、その人物の姿がはっきりとわかるようになった。半袖のブラウスとGパンというかっこうの、二十歳前後の女性だった。直ぐな黒髪は短かったが、その顔立ちは、瞳子を思わせる。
 女性は、蓮たちを目にすると、失望したように肩を落とした。それへシュラインが代表するように尋ねる。
「雨宮月子さんですね?」
「そうよ。あんたたちは何?」
「俺たちは、おまえの姉の瞳子から笛を取り戻してほしいと頼まれた者だ」
 女性――月子の問いには、蓮が答えた。
「へぇ。……もしかして、姉さんってば、警察に連絡しなかったんだ。それで、代わりに金を使って、あんたたちみたいなのを雇って、私を探させたってわけ」
 嘲るように言って、月子はきつく唇を噛みしめた。
「私は、姉さんが自分で探しに来るかもって思ってたのにな。……姉さんなら、真っ先に私がここにいるって気づくかもって思ってたのに……」
 半ば自嘲するように呟く彼女に、蓮は思わず眉をひそめる。彼女のその呟きは、まるで瞳子に自分を見つけてほしかったかのように聞こえた。
(本当にそうなのか? 瞳子に見つけてほしかったから、一週間も街を離れず、こんな所に隠れていたのか?)
 まさかと思いつつも、肉親に対する情には、簡単に割り切れないものがあるのだとふと彼は思う。今回、愛器のヴァイオリンは湿気の高い場所には持参できないと、自宅に置いて来た。が、もしもあれが《村雨》のような力を持つものであり、双子の兄とその奏者の座を競わなければならなくなったとしたら。きっと、勝っても負けても自分も兄も、互いに複雑な思いに引き裂かれるだろう。
 彼は、この依頼を引き受けて初めて、心が揺れるのを感じていた。笛を取り戻すことそのものよりも、瞳子と月子の姉妹を助けてやりたいとの思いが胸に兆す。
 そんな彼の目の前では、シュラインが説得を試みようとしていた。
「月子さん、瞳子さんは……」
 彼女が一歩そちらへ踏み出して言いかける。が。
「来ないで!」
 ふいに鋭い声で月子は叫ぶ。
「《村雨》は返さないわ。これは、私のものよ。お祖母ちゃんは、姉さんの方が長女だからって、後継者を姉さんに決めたけれど、本当は私の方が奏者としては勝っていたわ。だから、これは私のものなの。誰にも渡さないわ!」
 彼女は言うなり、片手に持っていた笛を、錦の袋から取り出した。袋を床に投げ捨て、口元で構える。そうして、一呼吸、笛を吹いた。
 高く、周囲の空気を切り裂くような鋭い音があたりに響く。
 途端、蓮は背筋が泡立つような寒気に襲われた。霊感などないはずだったが、しかし今のそれは、尋常な感覚とは思えなかった。
 その直後。お堂の頭上でふいに凄まじい音が轟き、建物が小さく振動した。
「な、何?」
 声を上げたのは、シュラインだったろうか。しかし、蓮にもそしてみなもや黯傳にも、それに答える余裕はなかった。彼らはただ、目を見張り、体を硬直させたまま、そこに立ち尽くすばかりだ。
 と。窓にあたる蔀戸(しとみど)は全部下ろされているにも関わらず、一瞬あたりはまぶしい光に照らし出され、次の瞬間には、再び轟音が頭上で響いた。今度は、音の正体が彼らにも理解できた。雷だ。信じられないほど近くで、雷が鳴っているのだ。
 同時に静かに降り続いていた雨は強さを増し、風が出てお堂の入り口を激しく叩き始めた。
 月子は、にやりと笑うと、もう一度笛を吹いた。
 途端、風雨は更に強さを増し、雷は間を置かずに建物の上で閃き、轟音をはじけさせる。まるで、このお堂を狙っているかのように。
 いや。おそらく狙っているのだろう。月子が笛によってこれらを操っているに違いない。
「おまえ……俺たちを雷で殺すつもりか」
 蓮が、青い瞳に鋭い光を浮べて、月子をねめつけ問うた。
「私の邪魔をするならね」
 月子は、薄い笑みを口元に浮べて返す。
「そして、姉さんにもわからせてやるわ。誰が《村雨》の本当の奏者なのかを」
「やめなさい。あんたはただ、その笛に魅入られてしまっているだけよ!」
 シュラインが叫んだ。
「そうです。どうか、目を覚まして下さい。瞳子さんは、月子さんのことを、とても心配していました。だから……」
「だからどうだっていうの?」
 みなもの言葉を、月子は激しく遮る。
「姉さんはいつもそうなのよ。周囲には、夢見がちで世間知らずなバカな妹をかばう『いい姉』のふりをするの。あんたたちも、それに騙されているだけよ!」
 叫んで彼女は、再度笛を口元に持って行こうとした。
 その時だ。
 彼らの背後で、ふいに激しい音を立てて、扉が開かれた。

【4】
 一瞬、誰もが弾かれたようにそちらをふり返る。そこには、ずぶ濡れになったまま、肩を喘がせながら立ち尽くす瞳子の姿があった。おそらく、使用人から蓮たちの行き先を聞いて、慌てて駆けつけてきたのだろう。
「姉さん……」
 打ちつける風雨の音以外何もしなくなった堂内に、ポツリと月子の弱々しい呟きが響く。
「月子、もうやめて」
 そんな月子を真っ直ぐに見据えて、強い口調で瞳子が言った。
「《村雨》がそんなにほしいのなら、あげるわ。だから、もうやめて。これ以上、街を犠牲にしないで。……私たちの役目は、この街を守ることなのよ」
「姉さん……」
 瞳子を呆然と見返す月子の唇から、再び低い呟きが漏れる。笛を持つ手が、だらりと脇に下がった。
 その瞬間。黯傳が鋭い声を上げてそちらに飛びかかった。
「あっ!」
 ふいをつかれて月子はよろめき、笛を取り落とした。床に軽く尻餅をついて、彼女は目を見張る。その目の前で蓮は、静かに歩み寄ると笛を拾い上げた。彼は、手にしたものならばなんでも浄化の力を宿すことのできる能力を持っていた。その能力を、笛に対して使う。
 自身も、楽器は違うとはいえ、演奏家のはしくれだ。楽器は無機物だが、時に心を持っているのではないかと思う時が、たしかにあることを、彼は知っていた。ましてや、千年以上にわたって受け継がれ、妖力といっていい力を持つ楽器ならば、代々の奏者の想いが積み重なり、きっとそこには魂に近いものが宿っているだろう。彼は、その魂に胸の中で呼びかけた。
(《村雨》。……おまえは、これ以上この姉妹が争うのを見たいか? それとも、普通の笛として、ただ愛されたいか? 俺は今、おまえに一つの力を与えた。これを使って選ぶがいい。おまえの望む道を)
 そうして彼は、戸口に佇んだまま目を見張っている瞳子に歩み寄ると、笛を差し出した。
「浄化の力を付加した。吹いてみろ」
「あ……。はい」
 わずかにとまどったものの、瞳子は彼の青い瞳に見据えられ、笛を手にした。そして、言われるままに吹き始める。
 彼女の奏でる曲は、蓮にもシュラインにも、みなもや黯傳にも聞き慣れないものだった。もしかしたら、既存のものではなく、今ここで心に浮かんだ曲をそのまま奏でたものなのかもしれない。しかしその曲は、ひどく静謐で優しく、心の隅々までが洗われて行くような、そんな曲だった。
 彼女が奏していたのは、さほど長い時間ではなかった。だが。その音色は次第に驚くほどに澄み渡り、やわらかなものへと変わって行く。
 その音に、蓮はかすかに微笑んだ。背筋を這う寒気は消え、笛が自らを浄化したことを彼は知ったのだ。同時に、外の激しい風雨の音が消えていることにも気づいた。
 やがて瞳子が演奏をやめ、月子の方を見やる。床に座り込んだままの月子の頬には、白く涙が筋を引いていた。
「月子……」
 そのことに驚いたのか、瞳子が軽く目を見張る。
「姉さん」
 低く呼んで、月子は立ち上がると瞳子の方へと歩み寄った。そうして、こらえきれなくなったかのように、彼女の胸に声を上げて泣き伏した。
「月子」
 瞳子は、そんな妹を優しく抱きしめ、背を撫でた。彼女の目もわずかに潤み、涙をこらえるように唇を引き結んでいる。
 そんな二人を見やって、蓮たちは互いに顔を見合わせた。そのまま、二人を残してそっと外に出る。
 お堂から出た途端に、みなもが思わずというように低い歓声を上げた。が、それも当然だった。外はすっかり雨が上がり、空をおおい尽くして低くたれこめていた黒雲も嘘のように消えていた。かわりに、太陽の光が木々の梢を縫って降り注ぎ、あたりを渡って行く風は乾いて心地よい。
「どうやら、最悪の結果はまぬがれたようね」
 頭上に揺れる木々の葉と木漏れ日を見上げながら、シュラインが呟いた。
「ああ。だが、これで《村雨》はもうただの笛だ」
 蓮がうなずいて言うと、彼女は驚いたようにふり返る。そして、不思議そうに訊いた。
「どういうこと?」
「あの笛は、自分自身を浄化したんだ」
 蓮がそれへ返す。
「つまり、天候を操る力は、一種の妖力だったということですか? だから、魅入られた人がおかしくなったりしたということなのでしょうか」
 小首をかしげて、みなもが横から問うた。その腕には、最初と同じように黯傳を抱きかかえている。
「まあそういうことだな。その妖力を、俺が付加した力で《村雨》は自ら浄化した。笛の正当な奏者だった瞳子は、その意志に応えたというところだろう」
 蓮もうなずき返して言う。
 笛に、本当に魂があって、彼の言葉が届いたのかどうかはわからない。だが、それが自らを浄化して今はまったく無害なものと化したことだけは、本当だ。
(これできっと、あの二人も和解することができる)
 胸に呟き、彼はそっとお堂の方をふり返る。ちょうど、瞳子と月子の姉妹が、手を取り合うようにして出て来るところだった。互いに涙に濡れた目で、笑顔を交し合う二人の姿に、彼は先程の呟きを確信に変えて、小さく微笑んだ。

【エンディング】
 一週間後。
 梅雨入りした東京は、今日も今日とて朝から小雨がぱらついている。湿気はさほどでもないが、それでも肌に空気がまとわりつくような感触に、蓮は不快感を覚えずにはいられない。ましてや、繊細な楽器であるヴァイオリンには湿気は何よりの天敵だ。
 それでも、午後には多少雨も止んで来たので、手入れしようと愛器をケースから出した。
 そこへ、シュラインから携帯に電話が入った。草間の事務所かららしい。なんでも、雨宮瞳子が事務所に礼に訪れたのだという。
『彼女、ずいぶん明るい、華やいだ雰囲気になってたわ。《村雨》は、やっぱり天候を操る力をなくしたみたいね。でも、天満宮と市の宝として大事に守って行くつもりだって言ってたわ。それに、月子さんも家に戻って天満宮の仕事を手伝うことになったそうよ』
 電話の向こうでシュラインが、うれしそうな口調で告げた。
「そうか。あの二人、和解できたんだな」
『みたいね。……私も気になってたから、安心した。蓮くんもでしょ?』
「俺は……」
 同意を求められて、一瞬彼は言葉に詰まる。が、すぐに小さく肩をすくめてうなずいた。
「ああ。安心した」
『よかった。……じゃあ、お客さんが来たから、切るわね』
 低い笑い声と共に言って、シュラインからの電話は切れた。
 携帯電話をテーブルの上に置いてふと顔を上げると、開いた窓から青空が見えた。蓮は立ち上がり、窓辺に歩み寄る。いつの間にか、雨は上がっていた。そしてその空には、くっきりと虹が出ている。
 彼は小さく目を見張り、そうしてうなずくと手早く愛器の手入れを終わらせ、顎と腕の間にそれを抱え込むと、脳裏に浮かんだメロディを弦の上に乗せ始める。
 即興の演奏など、めったにやらない彼だったが、今はただ想いのままに弦を動かしたい。なぜだか、そんな気分だった。
 その彼の思いに応えるように、愛器はただやわらかで優しい音色を響かせる。それはまるで、瞳子と月子の二人を祝福しているようでもあった――。


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1532 /香坂蓮(こうさか・れん) /男性 /24歳 /ヴァイオリニスト】
【3317 /斎黯傳(いつき・くろもり) /男性 /334歳 /お守り役の黒猫】
【1252 /海原みなも(うなばら・みなも) /女性 /13歳 /中学生】
【0086 /シュライン・エマ(しゅらいん・えま) /女性 /26歳 /翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

●香坂蓮さま
はじめまして。ライターの織人文です。
今回は、私の依頼に参加いただき、ありがとうございます。
梅雨時ということで、雨をテーマに最後はできるだけ爽やかな雰囲気に
仕上げてみたつもりですが、いかがだったでしょうか。
少しでも楽しんでいただければ、幸いです。
それでは、また機会がありましたら、よろしくお願いします。