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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


時空図書館〜紫陽花の園〜

■オープニング
 草間の事務所に、紫陽花の花束と共にカードが届けられたのは、降り続く雨の日々に珍しく晴れ間が覗いたある日の午後のことだった。
 誰が来たとも知れないのに、いつの間にか事務所のテーブルの上にそれが置かれてあったのだ。見つけたのは、零だった。カードを開いて、彼女はうれしそうに草間を呼ぶ。
「兄さん、時空図書館の管理人さんから、お茶会の招待状です」
「なんだって?」
 奥から出て来た草間は、カードを受け取り開いた。そこには、こう書かれてあった。
『図書館の庭園の一画に、紫陽花の園を作りました。その花を愛でつつ、お茶をご一緒しませんか? どうぞ、お友達を連れておいで下さい。菓子などの持参も歓迎いたします。では、お待ちしています。  時空図書館管理人・三月うさぎ』
 それを読み下している草間に、零は期待に満ちた目を向ける。
「兄さん、皆さんをお誘いして、行きましょう。ね?」
 同意を求めるように言われて、彼は小さく肩をすくめた。雨のせいでか依頼も少なく、ここのところは暇だ。時空図書館で供されるお茶が美味なのは充分承知してもいた。暇な時に羽根を伸ばすのも、悪くはないだろう。
「そうだな、行ってみるか」
 答えて彼は、誘う人間のリストをさっそく頭の中で繰りながら、電話へと向かうのだった。

■紫陽花の園へ
 軽い浮遊感と眩暈が去った後、綾和泉汐耶はあたりを見回し、思わず小さな歓声を上げた。
 草間の事務所にいつの間にか届けられた紫陽花の花束とカード。そのカードを扉として彼女は、時空図書館の庭園へと訪れていた。
 都立図書館司書を務める彼女は、二十三歳。短い黒髪に青い瞳をして、銀縁のメガネをかけている。女性にしては長身で、スレンダーな体には濃紺のパンツスーツをまとっていた。その姿は体型のせいもあって、男性にも見えなくもない。
 そこにいるのはむろん、彼女一人だけではなかった。草間と零の他に、同行者は四人。翻訳家で草間興信所で事務のバイトをしている友人のシュライン・エマと、知人のリンスター財閥総帥にして占い師のセレスティ・カーニンガム、当人とは初対面だが友人の母親だという海原みたま、そしてイフリートでフリーターのシオン・レ・ハイである。
 彼らも、弱視だというセレスティを別にして、皆あたりを見回し感嘆の声を上げている。が、それも無理はない。あたりは一面、紫陽花に埋め尽くされていたのだ。いったい、どれぐらいの広さがあるのだろうか。かなりの面積の中に、色とりどりの紫陽花が植えられている。あまりに大量にあるので、淡い紫色の霞としか見えないほどだ。その至る所では、噴水が細い水を吹き上げていて、地上から空に向かって雨が降っているのかと錯覚するほどだった。
 たしかにこれは、「紫陽花の園」に違いない。
(以前お邪魔した庭園もきれいだったけど……ここも、凄いわね……)
 半ば陶然としてあたりを見回し、汐耶は思わず胸に呟いた。
 背後をふり返れば、そこには人工のものらしい広い池が広がり、その中央には大理石の四阿(あずまや)が作られていた。池のほとりから四阿へは、移動のための小さな橋がかけられている。
 そのどこか絵のような風景にすっかり見入っていた汐耶の耳に、セレスティがシュラインにここの様子を尋ねている声が聞こえて来た。
 一見すると二十代半ばとも見えるセレスティは、銀の髪と青い目に、男性とは思えない美貌とほっそりした体型の持ち主だった。本性は人魚だとかで、視力が弱く、足も弱い。今も片手にステッキを握り、それを支えにそこに立っていた。もう一方の手には、小さなクーラーバッグを下げている。
 一方のシュラインは、汐耶より三つ年上の二十六だった。すらりとした長身の体にノースリーブの白いワンピースとサマーニットの白いカーディガンをまとい、いつも後ろで一つに束ねている長い黒髪は、珍しく背にそのまま流してあった。胸元には、いつもどおり薄い色のついたメガネが揺れている。手にはバスケットと、白い傘を下げていた。
 彼女が、セレスティに周囲の様子を説明している。
 汐耶は、それを聞くともなしに聞きながら、再度あたりに視線を巡らせた。
 ややあって、橋を渡って、一人の青年が彼らの前に姿を現した。すらりとした体に白い中国風の衣装をゆったりとまとった二十代半ばとおぼしい青年である。薄紅色の髪の間からは、途中から羽根と化した耳が、まるで髪飾りのように覗いていた。赤い瞳は、光の加減によって髪と同じ薄紅色に見える。
 この青年こそが、世界中のどの場所・どの時間ともつながっていて、古今東西全ての書物が収められているといわれる時空図書館の管理人、三月うさぎだった。
「ようこそ、皆さん」
 やわらかく微笑んで彼らを出迎える三月うさぎに、代表して草間が口を開いた。
「紫陽花の園とはよく言ったものだな。……いったい、どれだけの紫陽花が植わってるんだ?」
「さあ、どれぐらいでしょうね。いろいろな種類や色がありますから、きっと充分楽しんでいただけますよ」
 答えて彼は、汐耶たちを四阿の方に招いた。先に立って歩き出す草間に、汐耶たちも続く。橋を渡りながら、彼女がふと後ろをふり返ると、シュラインがセレスティの肘に手を添え、ゆっくりと一緒に歩いているのが見えた。手を貸すべきかと一瞬考えるが、シュラインだけで充分そうだと見て取って、彼女は先を行く同行者たちの後を追った。

■水上の四阿
 四阿の中は、広々として風通しが良く、快適だった。
 中央に据えられた白い丸テーブルの上には薄紫色のテーブルクロスが掛けられ、紫陽花が生けられている。
 汐耶は再び感嘆の思いで、あたりを見回す。四阿は上品にまとめられているために、一見質素なようだが、実は高価な材料が惜しげもなく使われていることに彼女は気づいたのだ。他の者たちも同様にあたりを見回している。それへ三月うさぎが、それぞれに席を勧めた。
 セレスティがホッとしたように手近の椅子に腰を降ろす。それを見やって、シュラインが持参して来たバスケットをテーブルの上に置いた。
「本日は、お招きいただいてありがとう。こっちは差し入れよ。それと、これは三月うさぎさんに」
 言って彼女は、同じく手にしていた傘をそちらに差し出した。
「私にですか?」
 三月うさぎが、幾分驚いたように目を見張る。そして、彼女が差し出した傘を受け取り、広げた。それは中国風の端の角張ったもので、しかも骨の先の部分にそれぞれ小さな玉飾りがついている。洒落た雰囲気で、彼にはよく似合っていた。
「似合うじゃない。なんだか、オリエンタル風ね」
 そんな声を上げたのは、みたまだった。汐耶より一つ下だという彼女は、金髪に赤い瞳、その上深紅のパーティドレスを着て、ヒールや手袋、化粧やアクセサリーまでを同色でコーディネートしている。なんとも艶やかで、とても中学生の子供がいるようには見えない。
「それはどうも。……シュラインさんも、ありがとうございます。遠慮なくいただいておきますよ」
 言って傘を閉じる三月うさぎに、みたまも手にしていた深紅のペーパーバッグをテーブルに置いた。
「こっちは私からよ。娘の手作りのクッキーと、日本茶。……今日は、娘の代理で来たのよ。また、妙な所に飛ばされると困るってあの子が言うんでね。よろしくって言ってたわよ」
「ああ……」
 三月うさぎは、彼女の言う「娘」が誰なのかに思い当たったのか、小さくうなずいた。
「あれから、セキュリティを少し調整しましたのでね。今度いらして下さる時には、きっと弾かれることはないと思いますよ。娘さんには、そうお伝え下さい」
「ふうん。……まあ、伝えておくわ」
 みたまは、信じていないような目で彼を見やって、それでもそう答える。
 二人の話が終わるのを待っていたのだろう。セレスティが、椅子に座したまま、手にしていた小さなクーラーバッグをテーブルの上に乗せて言った。
「私も、スィーツを用意して来ました。どうぞ、みなさんで召し上がって下さい」
「あ……。私も」
 シオンが、慌てて手にしていた紙袋を差し出す。
 彼は、一見すると四十前後だろうか。長く伸ばした黒髪を後ろで束ね、鼻の下と顎にも髭をたくわえていた。長身でがっしりした体には、シルクのシャツとソフトスーツをまとっている。十九世紀の貴族といった風情だが、なんとなく胡散臭い雰囲気も漂っていた。もっとも、彼の物腰は礼儀正しく、外見ほど胡散臭い人物でもないようだった。
「私も、持って来ました」
 零も言って、こちらも小さなクーラーバッグを差し出した。
「これはこれは。どんなお菓子だか、楽しみですね」
 三月うさぎは微笑みと共に言って、いつの間にかやって来ていた翡翠色の髪と目の女たちに、それらをテーブルに並べるように命じる。女たちは、一旦彼らが持参したものを全て手にして、そこから運び去った。
 それを見送り、改めて三月うさぎが汐耶たちに椅子を勧める。すでに座しているセレスティ以外の者も、それぞれ腰を降ろした。
 そんな中、汐耶は幾分バツの悪い心地で口を開く。
「すみません……。私だけ、何も用意してなくて。急なお話だったものですから」
 それは嘘ではなかった。彼女が草間興信所に立ち寄ったのは、休日の書店巡りの途中で零が興味を持ちそうな本が手に入ったためだったのだ。予定では、彼女にそれを手渡したら、もう二、三軒見て回るつもりだった。が、零にここへ誘われ、結局来てしまった。
 だが、そんなわけで彼女は、差し入れの菓子など何も用意していない。まさかこんなことになるとは思わなかったからだが、せめて草間の事務所への途中でケーキぐらい買って来るのだったと、今更ながらに思う。
 そんな彼女の心情を察してか、慌てたように横から零が口を挟んだ。
「そうなんです。汐耶さんは、本を届けに来て下さったんですけど、それを私が無理にお誘いしたんです」
「気にすることはありませんよ。こちらでも、菓子は用意していますし。カードにあんなふうに書いたのは、以前持参していただいたのが、思いのほか美味しかったのに味をしめてしまったから、だけですからね」
 言って、三月うさぎは笑った。
 ほどなく、翡翠色の髪の女たちが、銀のワゴンで紅茶や菓子類を次々と運んで来る。むろん、零たちが持参したものも、一緒にテーブルに並べられた。
 ちなみに、彼らが持参したものは――シュラインのは、ロールケーキだった。その切り口からは、白い生クリームと紫と赤と白の小さな四角いゼリーらしいものが覗き、まるで紫陽花のようだ。セレスティのは、フルーツゼリーとムースが二層になったスィーツだった。これは、一つずつ小さな透明の器に入っていた。シオンのは、中央に愛らしい兎の焼き目の入ったホットケーキだった。みたまのは、彼女の言葉どおりクッキーだ。日本茶は後で出すつもりなのか、今はそこにはない。零のは、枇杷のシャーベットだった。
 対して、三月うさぎが用意していたのは、アップルバナナブレッドと紅茶のティラミスだった。ティラミスは、セレスティのスィーツ同様に小さな器に入っている。
 紅茶はダージリンだろうか。なんとも深い味わいがあって、汐耶は一口飲んで思わず溜息を漏らした。
(美味しい……。珈琲もいいけれど、ここの紅茶は別格ね)
 胸に低い感嘆の呟きを漏らし、彼女はゆっくりとそれを味わう。それから、今度は女たちに取り分けてもらった菓子にも手を伸ばした。彼女がもらったのは、シオンのホットケーキとセレスティのスィーツ、それに紅茶のティラミスだった。むろん、後で他のものも味見させてもらおうとは思っている。
 味はどれもなかなかのものだった。ホットケーキはどうやら、粉は市販のもののようだったが、けして悪くなかった。スィーツはフルーツゼリーとムースの食感が、口の中で不思議な味わいをかもし出している。そしてティラミスはほのかな紅茶の味と香りが、驚くほどにカップの中身と引き立て合い、美味だった。
 彼女は溜息と共にそれを味わいながら、ふと、洋菓子を作るコツというのがあるのだろうかと考える。というのも、彼女は洋菓子を作るのがどうも苦手なのだった。本のとおりに作っても、何か物足りない出来になる。こんなふうに絶品とまでいかなくとも、せめてその物足りなさをどうにかできないかと時おり思うのだ。
(このお菓子も、手作りなのよね? 後で、三月うさぎさんにコツを教えてもらおうかしら)
 胸に呟きながら、ティラミスを口に運ぶ。
 その彼女の耳に、セレスティが三月うさぎに訊いている声が聞こえて来た。
「なかなか素晴らしい味わいですが……これらは、どちらで?」
「インドの奥地の村でしか採れない茶葉を、ここの庭園で育てたものですよ」
 三月うさぎの答えに、セレスティが青い目を見張るのが見えた。聞くともなしに聞いていた汐耶も、驚いて思わず自分のカップを見やる。茶葉を自分の庭で作るなどということが、できるものなのだろうか。珈琲で言えば、豆を自分の家で栽培しているというに等しい話だ。
「ここで育てているのですか?」
 セレスティも、思わずというように問い返している。しかし三月うさぎは、平然とうなずいた。
「ええ。……ご案内したいところですが、この園からでは少し遠いので。興味があれば、今度はそちらへご招待しますよ」
「機会があれば、お願いします」
 セレスティが、うなずき返す。
 そのやりとりを聞きながら汐耶は、改めてここはいったいどのぐらいの広さがあるのだろうかと考える。以前来た時には、白い花ばかりが植えられている広大な園を目にしたし、広い温室があるのも知っている。この紫陽花の園にしても、ずいぶん広いようだ。
(……尋常な空間ではないことだけは、たしかね)
 考えるだけ無駄かもしれないと、途中でその思考を放り出し、彼女は低く胸に呟いた。
 そうこうするうち、紅茶と菓子を堪能したらしいシュラインが、この園を一巡りして来ると言って立ち上がった。別館で本物の書物を見せてもらってもいいかと尋ねる彼女に、三月うさぎは快く承諾を与えている。そして、ついでのように彼は、草間に一緒に行ってはどうかと言い出した。
 言われて草間は少し考えていたが、結局承知して、シュラインと二人で四阿を出て行った。
 それを見送り、汐耶はせっかく来たのだし、自分も紫陽花の園を見て回ろうかと考える。
 向かいの席では、初めてここへ来るらしいシオンが、三月うさぎに図書館の蔵書について尋ねていた。
 三月うさぎは、彼の問いに丁寧にこの図書館の蔵書について説明している。すなわち、時空図書館の本館には、古今東西のあらゆる書物が収められているが、それは図書館に迷い込んだ人間の望むとおりのもの――つまりは、想像の産物でしかないのだということを。そして、そんな中、シュラインが向かった別館だけは、「本物の書物」を収蔵している場所なのだと。
 汐耶自身は、そのあたりのことは、以前に来た時に教えられていたので今更だと聞き流しながら、隣に座す零に、一緒に紫陽花の園を見て回らないかと声をかける。
「いいですね。でも……兄さんやシュラインさんと同じルートにならないように、気をつけないと。二人の邪魔をしたくないです」
 うなずいた零は、すぐにそう言った。
「それもそうね」
 汐耶もうなずく。彼女にしろ、友人の恋路を邪魔するつもりはさらさらない。
「でも、大丈夫でしょう。こんなに広いのだし……。なんなら、三月うさぎさんに聞いてみましょう」
「そうですね」
 彼女の提案に、零もうなずく。
 その二人に、三月うさぎと更に何か話していたシオンが、声をかけて来た。
「すみません。私もご一緒させていただいて、いいですか?」
「私はかまいませんけど……」
 汐耶は答えて、尋ねる視線を零に向けた。
「私もかまいません。大勢で回った方が、楽しいですから」
 零も言ってうなずく。
 そこで彼女たちは、改めて三月うさぎにその旨を告げ、シュラインたちとは違うルートをたどる方法を教えてもらうと、何事か話し込んでいるセレスティとみたまにも一言告げて、席を立った。

■紫陽花巡り
 ややあって、汐耶とシオン、零の三人は、紫陽花の園の中に作られた散策用の小道を見事な紫陽花の群れを眺めながら歩いていた。
 小道は、まるで病院や役所の建物の中のようにいくつかに色分けされており、彼らはその中の青いタイルを貼られた道をたどっていた。ちなみに、シュラインたちは別館へと続く門のある黄色いタイルの道を行ったようだ。
 紫陽花は、植わっている土に含まれるPHによっても色を変えるものなのだが、ここではそういうことは関係ないようだ。同じ土に植えられているものであっても、それぞれにまったく異なる色を持つ。また、種類が違うものもあって、紫陽花と一口に言ってもこうして眺めてみると、なかなかに味わい深いものだとわかる。
「凄いですね。紫陽花に、こんなにいろんな色や種類があるなんて……!」
 零が歩きながら、無邪気な声を上げた。
「そうですね。……ただ、手入れは大変そうですけれど」
 シオンがうなずき、ふと思いついたように言う。
「手入れとかは、たぶん、あの女の人たちがするんじゃないでしょうか。ほら。私たちのお茶の給仕をしてくれた……」
 汐耶はそれへ翡翠色の髪と目の女たちのことを思い出して言った。
「ああ……」
 シオンがうなずき、何を思ってか深い溜息をつく。そうして、紫陽花の群れを改めて見やると立ち止まり、何事か悩むかのように腕組みをする。
「シオンさん?」
 汐耶は、そんな彼を怪訝に思って見やり、声をかけた。我に返ったようにシオンが尋ねる。
「汐耶さんなら、この中からプレゼントをもらうとしたら、どれがいいですか?」
「え……」
 突然問われて、彼女はとまどった。が、すぐに、シオンが誰かにプレゼントするために、ここの紫陽花を一輪もらう許可を三月うさぎからもらったのだと言っていたことを思い出す。彼女は、改めてあたりを見やり、考え込んだ。
 ややあって、彼女は口を開いた。
「数が多すぎて、決められないです。でも……それはただ、ピンと来る紫陽花がここにはないだけなのかもしれないですけど」
 そうして、小さく笑って付け加える。
「それに、私とシオンさんがプレゼントしたい相手の好みは、違うかもしれませんよ?」
「そ、それもそうですよね」
 シオンは、わずかに動揺しながらうなずく。そして、やはりプレゼントにする紫陽花は自分で選ぶしかないようだと思い決めたようだ。
 そのまま彼女たちは、たわいのない話をしながら、咲き乱れる紫陽花に目を遊ばせつつ、小道を歩いて行った。そのうちようやくシオンは、プレゼントにしたいと思う紫陽花にめぐり会ったようだ。
「すみません。ちょっと、待っていていただけますか」
 幾分うわずった口調で、汐耶と零を引き止め、自分は紫陽花の群れの中に分け入って行く。彼が見つけたのは、中の方がほんのりと淡い青で、そこから外側に向かってゆるやかなピンクに変化している傍目にも見事だと感じられる紫陽花だった。紅がかった紫のオーラをまとって、輝いているようにも見える。
 嬉々としてそちらへ歩み寄って行くシオンの背を見やり、汐耶はよほどその誰かは、彼にとって大切な相手らしいとふと思った。
(どんな人かわからないけど……その人はきっと幸せね)
 胸に呟き、ほほえましい気持ちで、彼が戻って来るのを待つ。
 ほどなくシオンは、目的の紫陽花を手に、彼女たちの所へ戻って来た。そして、何か口を開こうとする。その時、零がふいに小さく目をしばたたいて、彼の後方を指差した。
「あれ、なんでしょうか」
「兎……みたいね」
 その指差す方を見やって、汐耶は思わず目を見張りながら呟く。
「どうかしましたか?」
 二人の言葉に、シオンもふり返る。そして彼もまた目を見張った。
 三人の視線の先には、たしかに兎が一匹、じっとこちらをうかがうようにしてうずくまっていた。ちょうど紫陽花の群れが途切れ、別の小道と交わっているあたりだ。
 と、兎をじっと見詰めていたシオンが、ふいにその兎の方へと走り出した。
「シオンさん?」
 汐耶と零が、思わず怪訝な声を上げる。が、シオンはふり返ることすらしない。一方兎は、まるで彼が近づくのを厭うように走り出した。それを追うシオンの足も止まらない。
 汐耶と零は、思わず顔を見合わせると、シオンの後を追って走り出した。

■水の封印
 汐耶と零は、肩で大きく息をしながら、足を止めた。
 二人の前を兎を追って走り続けていたシオンが立ち止まったのは、紫陽花の園が完全に途切れ、だだっ広い何もない空き地が目の前に姿を現したあたりでだった。とはいえ、そこが空き地だったから立ち止まったわけではないようだ。そうではなく、彼の前を走り続けていた兎が、ふいに姿を消してしまったかららしい。
「どうしたんですか? 急に走り出したりして」
 彼に追いつき、やっと息を整えてから汐耶が訊いた。
「すみません……。何か、気がついたら、走り出してしまっていて……」
 シオンは幾分とまどったように答えて、ふいに眉をひそめ、足元に目をやった。その視線を追って、汐耶は小さな石のプレートのようなものがはまっているのに気づく。
「これ……何かの封印みたいだわ」
 低く呟いて、彼女はしゃがみ込む。なぜかはわからないが、そのプレートが何かを封印しているもののように彼女には感じられた。以前ここへ来た時のことを思い出したせいなのかもしれないが。ともあれ、封印ならば解いてやらなくては……とどうしてだか、彼女は思う。まるで、自分がここへ来たのはそのためなのだというようにさえ感じられた。
 彼女は小さくうなずくと、そのプレートに片手を当てる。
「な、何をしてるんですか?」
 シオンが問うて来たが、彼女はプレートに集中したかったので、答えなかった。傍から、零が彼に教えているのが聞こえる。
「たぶん、あのプレートは何かの封印なんじゃないでしょうか。汐耶さんは、封印能力を持っていて、逆に封印を解くこともできるんです」
「へぇ。便利な能力を持っているんですね」
 シオンが、妙にのんびりとした口調で感心したように言った。
 二人がそんな会話を交わしている間にも、汐耶は自分の持つ封印能力を逆転させ、開封の力としてプレートの内側へと注ぎ込む。
 やがて。どこかで、何かが割れるか折れるかするかのような、奇妙な音が響いた。と。
 今まで何もなかったはずの、空き地の上の空間――ちょうど彼らの目の高さの位置がふいに二つに割れて、そこからまるで滝のように水があふれ出して来たのだ。
「……!」
 汐耶は信じられない光景に瞠目したが、とっさにそこから動くことができなかった。零も同様なのか、彼女の傍に立ち尽くしている。
 ただ、シオンだけが「げっ!」と奇妙な声を上げるなり、青い炎の姿と化して空の高みへと舞い上がった。なるほど、あれが彼のイフリートとしての本性なのかと、汐耶は妙に場違いなことをぼんやりと考えた。
 が、すぐにその思考はどこかへ行ってしまう。
 彼女と零の頭から大量の水が降って来て、二人はびしょ濡れになってしまったのだ。
(いけない……!)
 それでも彼女は、瞬時に身を屈めてプレートに触れると、先程解いたはずの封印を再び施す。途端に水はまるで嘘のように消え、二つに割れた空間も元どおりになった。
 後にはただ、びしょ濡れのままの汐耶と零の二人がいるのみである。
 呆然としている彼女たちの傍に、地上に降りて人間の姿に戻ったシオンが、慌てて駆け寄って来た。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ……。なんとか」
 問われてうなずいたものの、汐耶は自分の軽率な行動に小さく肩を落として謝る。
「それより、ごめんなさい。……私が、むやみに封印を解いたりしなければ」
「気にしないで下さい。私は濡れてませんし……それより、四阿へ戻って、三月うさぎさんに、着替えがないか訊いてみませんか?」
 慌ててかぶりをふり、シオンはびしょ濡れの二人を見かねたように言った。
「そうね。……そうしましょうか」
 自分の姿を改めて見やり、汐耶は深い溜息をついて言うと、零を見やった。彼女もうなずく。それを見やって、汐耶はなんとなくとぼとぼと歩き出した。その胸は、どうしてあんな軽率な行動を取ってしまったのかという奇妙な思いと、自己嫌悪で一杯だった。

■着替えはワンピース
 四阿へ戻ると、びしょ濡れの汐耶と零に、三月うさぎもさすがに目を丸くした。
「どうされたんですか?」
 問われても、汐耶は肩を落としたまま答えられなかった。ここまで歩く間に、濡れた衣服が体にまといつく心地の悪さに、更に自己嫌悪は深くなってしまっていた。
 そんな彼女を零が、気遣うように見やる。そして、助けを求めるように次にはシオンを見上げた。しかたなく彼が、事情を三月うさぎに説明する。
 話を聞いて、彼は少し困ったように、小さく笑う。
「それはそれは。災難でしたね。ここを出る前に、一言説明しておけばよかったですね。その空き地は、この園の噴水やこの池に使うために作られた貯水タンクのようなものですよ。今日いらした方の中には、水の性を持った方も何人かいますから、それに刺激されて封印を解かせようと誘いを向けたのでしょう。あなた方は、たまたまそれに引っかかってしまったということです」
「それで……でしょうか。あのプレートを見たら、なんだか封印を解かなければいけない、という気になってしまって……」
 彼の説明に、肩を落としたまま汐耶は言った。
「私もです。兎を見た途端に、自分が飼っている兎を思い出して……気づいたら、後を追って駆け出していました」
 シオンも、うなずいて傍から続ける。
「なんの警戒もしていなかったのですから、無理もありませんよ」
 三月うさぎは穏やかに微笑んで言うと、汐耶と零に着替えて来るよう言った。そうして、翡翠色の髪の女たちの一人に、二人を案内するよう命じる。女に促されて、汐耶と零は再び四阿を後にした。
 二人が案内されたのは、四阿から少し歩いた先に設けられた小さなアーチの向こうにある小館だった。その中の一室に通され、二人はそれぞれ着替えを渡される。それは、白いフレンチスリーブのワンピースだった。汐耶は思わず顔をしかめる。
「あの……できたら、スカートじゃなくパンツの方がいいんだけど……」
 思わずそう口にしていた。普段あまりスカートをはかない彼女には、それは幾分着るのに抵抗のある服だったのだ。が、翡翠色の髪の女はかぶりをふる。どうやら、ここには女物の着替えはこれしかないらしい。零も同じ服のサイズ違いを渡されたようだ。
 結局汐耶は、濡れた服のままよりマシかと、しかたなくそのワンピースに着替えた。
 その彼女に、零が笑いかけて来る。
「汐耶さん、可愛いです」
「か、可愛い?」
 訊き返す声が思わず裏返ってしまったのは、それがあまりにも普段聞き慣れない言葉だったからだ。が、零はにっこり笑って大きくうなずく。
「う……」
 彼女から視線を逸らし、汐耶は改めて自分の姿を見やった。しかし、脱いだ服はいつの間にやらさっきの女が持ち去っていて、今更着替えるわけにはいかない状態だ。
 やがて戻って来た女が、笑顔で四阿へ戻ろうと言うように、自分たちを招くのへ、汐耶は暗い気持ちになりながら、従った。

■賑やかにお茶を
 四阿に戻ると、汐耶はぎこちなく三月うさぎに礼を言って、元の自分の席に腰を降ろした。最初着て来た服は、帰るまでには乾くだろうと三月うさぎは言ってくれたが、彼女はできれば今すぐ乾かして、返してほしいと思ってしまう。足元がすうすうして気持ちが悪いのだ。
 シオンは、プレゼント用にもらった紫陽花を一輪挿しに生けてもらって、テーブルの上の自分の傍に置き、セレスティにここの紫陽花の見事さを話していた。セレスティは、穏やかに微笑みながら、その話に耳を傾けている。どこへ行ったのか、みたまの姿はなかった。
 そうこうするうち、シュラインと草間が戻って来た。しかも二人はどういうわけか、三月うさぎの友人の妹尾静流を伴っている。汐耶は思わず目を見張ったが、静流は三月うさぎと話していて、彼女には気づいていないようだ。
 どうやらシュラインは、別館まで行ったものの、望みの書物を見ることができなかったらしい。静流と三月うさぎのやりとりは、主にそのことだった。
 やがて、三月うさぎがシュラインに自分の不手際を謝罪する。シュラインは、それへかぶりをふって言った。
「あ……。いいえ、次に来た時の楽しみに取っておくから、気にしないで。それより、新しいお茶をいただけないかしら。歩いたら、喉が乾いてしまって」
「ああ、そうですね。では、他の皆さんにも、みたまさんからいただいた日本茶をお出ししましょうか」
 うなずいて、三月うさぎは翡翠色の髪の女たちの一人に、お茶の用意を命じる。
 それを聞いて汐耶は、自分も喉が乾いていることに気づいた。
(日本茶をいただいたら、少しは気持ちもおちつくかもしれない……)
 ふとそんなことも思う。
 その彼女に、シュラインがそっと声をかけて来た。
「服をどうしたの? 汐耶」
「……濡らしてしまったから、これを借りたのよ。でも、なんだかおちつかなくて」
 わずかに頬を赤らめて言うと、彼女は思わず訊いた。
「何か、変じゃない?」
「全然。スカートも似合うわよ」
 シュラインは、笑って答える。
 その答えに汐耶は、再度自分の姿を見やった。可愛いというのは言い過ぎだと思うが、零とシュラインの二人して変じゃないと言うなら、そうなのかもしれないと思う。おちつかないのは、単に着慣れていないだけのことなのかもしれない。
 ふと見やると、静流がシオンやセレスティと初対面の挨拶を交わしている。それをぼんやり眺めながら彼女は、先日他の所で彼と会った時、携帯の番号を交換して、いずれ一緒に古書店巡りをしようと言われたことを思い出した。もっとも、その後なんの連絡もないし、彼女の方からも連絡を取っていない。
(……あれって、ただの社交辞令だったのかしら)
 携帯番号を交換した時には、ナンパだったのかとも疑ったりしたのだが、と彼女は胸の中で首をかしげた。
 そこへ、みたまも戻って来た。
 どこへ行っていたのか、意気揚々とした足取りで三月うさぎの傍まで来ると、手にしていたトランプ大のカードを見せる。
「少し虐めさせてもらって、言われたとおり、封印したわ。面白い武器になりそうだから、もらって帰るわ。それと、こっちは返すわね」
 言って彼女は、反対側の手首に巻きつけていた腕輪のようなものをはずして、テーブルに置いた。かなりの重量があるのか、重そうな音がする。
「それはそれは。……傭兵というのも、伊達ではありませんね」
 三月うさぎは、軽く目を見張って、感心したように答えた。
 そこへ、ちょうどおりよく新しいお茶が運ばれて来た。
「あら、うれしい。ちょうど喉が乾いていたのよ」
 言ってみたまは、自分の席に腰を降ろした。そうして、初めて静流に気づいたようにそちらをふり返り、互いに挨拶を交わす。
 そんな彼女たちの前に、女たちが次々と日本茶の入った茶器を並べて行く。
 汐耶はそれを手に取り、一口飲んだ。途端、さわやかな苦味と芳ばしさが口の中に広がる。どうやら、緑茶に玄米茶をプラスしたものらしい。
 それを半分ほど飲んでから、彼女は新たに菓子類も取り分けてもらう。菓子類には、日本茶に合うようにとの配慮なのか、葛餅が加えられていた。彼女はそれとロールケーキと枇杷のシャーベットを取ってもらった。
 彼女が葛餅に手を伸ばしたところで、シオンが慌てたように三月うさぎに切り出した。
「すみません。こちらに出されたのや、皆さんが持参したお菓子ですが、残ったら、いただいて帰ってもいいですか?」
「私はかまいませんよ。他の皆さんは、いかがですか?」
 三月うさぎは、にこやかに答えて他の者たちにも問う。汐耶は何も持参していなかったので黙っていたが、他の者たちは皆それを快諾した。シオンは安堵したように一人一人に礼を言ってから、自分の前に取り分けられた菓子に手を伸ばす。
 それを見やって汐耶は、自分も三月うさぎに訊いてみたいことがあったのだと思い出した。
「三月うさぎさん、ここで出されるお菓子は、皆手作りなんですよね? 洋菓子作りのコツってあるんですか?」
「洋菓子作りのコツですか……。それは難しい質問ですね」
 言って三月うさぎは、問うように静流の方を見やった。取り分けてもらったフルーツゼリーとムースのスィーツの器を取り上げながら、静流は少し考え、口を開く。
「洋菓子と一口に言っても、種類はいろいろですから、作り方のコツはそれぞれ違うと思います。ただ、全体として言えることは、細部まで手を抜かず丁寧に、細かい作業を一つ一つきっちりこなすことですね」
 言われたことを、頭の隅にメモしながら、汐耶は返した。
「なんとなくわかるけれど……本のとおりに作っても何か物足りなくなってしまうのは、なぜかしら。私は、そういうことが多くて、それで洋菓子作りは苦手なんだけど」
「それはきっと、慣れの問題ですね」
 静流は、笑って言った。
「苦手だと思うことは、あまりやろうとしませんから、それでよけいに苦手になってしまうんじゃないかと思います。だから、失敗してもかまわないぐらいの気持ちで、何度でもチャレンジすることがうまく作れるようになる秘訣ですよ」
 なるほどとうなずきながらも、汐耶は小さく首をかしげた。
「ずいぶんと詳しいけれど……妹尾さんもお菓子を作るんですか?」
「今日ここで出した菓子は、静流からの差し入れですよ。葛餅は、日本茶に合うようにと、以前彼にもらったレシピでヒスイたちに作らせたものですけれどもね」
 今度は三月うさぎが、苦笑と共に告げる。「ヒスイ」というのは、翡翠色の髪と目の女たちのことのようだ。思いがけない答えに、汐耶は軽く目を見張った。思わず、テーブルの上のティラミスを見やる。紅茶を出された時に食べたのだが、それはなんとも美味なものだった。
 彼女は改めて感心しつつ、帰ったら自分も何か簡単なものから洋菓子作りに挑戦してみようかと考えるのだった。

■エンディング
 汐耶たちが草間興信所に戻った時には、あたりはすでに真っ暗になっていた。
 以前に時空図書館の庭園へ行った時と同じだ。あちらはずっと明るいままなのに、こちらに帰って来れば、確実に時間は過ぎている。とはいえ、お茶会は充分に堪能したので、なんの不満もなかったが。
 唯一彼女をおちつかなくさせていた白いワンピースも、今はむろん脱いで、最初に来ていた濃紺のパンツスーツ姿だった。
 他の者たちと別れ、草間の事務所に預けてあった本の詰まったビニールバッグを手に、汐耶はそこを後にする。
 時空図書館からの帰り際、彼女はやはり気になったので、静流に先日の「いずれ一緒に古書店巡りをしよう」という言葉の真意を質した。問われて静流は、少しだけすまなそうな顔になる。
「……何か、あらぬ誤解をさせてしまったのなら、すみません。同じ本好きの方と出会えてうれしくて、つい……。その上、あの後連絡もしなくて。仕事がずっと立て込んでいたものですから」
 言って彼は、今日は久しぶりの休暇だったのだと付け加えた。
 その言葉に、ナンパかと思ったのはどうやら自分の勘違いだったらしいと汐耶は納得する。そこで改めて、今度こそ古書店巡りを実現させようと約束し、彼女は時空図書館を後にしたのだった。
(あちらも忙しそうだし……なかなか約束は実現しないかもしれないけど。とりあえず、楽しみが一つ増えたわね)
 胸に呟き、汐耶は家路をたどり始める。その脳裏には、今日見た色とりどりの紫陽花がやわらかくきらめいているのだった――。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1449 /綾和泉汐耶 /女性 /23歳 /都立図書館司書】
【1685 /海原みたま /女性 /22歳 /奥さん兼主婦兼傭兵】
【3356 /シオン・レ・ハイ /男性 /42歳 /びんぼーEfreet】
【1883 /セレスティ・カーニンガム /男性 /725歳 /財閥総帥・占い師・水霊使い】
【0086 /シュライン・エマ /女性 /26歳 /翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員(バイト)】


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■         ライター通信          ■
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ライターの織人文です。
私の調査依頼に参加いただき、ありがとうございます。
6月→梅雨→紫陽花、という発想で、紫陽花と噴水といった舞台を考えてみました。
皆さんに、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

●綾和泉汐耶さま
三度目のご参加、ありがとうございます。
今回は、シオン・レ・ハイさま、草間零と一緒に行動していただきましたが、
いかがだったでしょうか。
また、「高峰温泉へようこそ!」の個別ノベルの件については、
作中でお返事させていただいております。
微妙に期待させてしまったのでしたら、申し訳ありませんでした。
これに懲りずに、これからもよろしくお願いします。