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かくれんぼ
――プロローグ
クラクションの音で我に返る。
「草間さん？」
依頼人松浦・高晃の声に、草間はもう冷めてしまったコーヒーに手を伸ばした。舌に触れた苦い感触になんだかほっとして、真っ直ぐに目の前に座った松浦の顔を見上げた。
「……つまり、その、捕らえられた座敷童子を、その、逃がしてやってほしいってことですか」
「ええ、たぶん」
また怪奇だ。しかも、たぶんときた。
草間は煙草の箱をガラステーブルに打ち付けてトントンと鳴らしながら、じっくりとなるべく訝しい顔で言った。
「現実的に考えて、座敷童子がいるのかということが問題になりますよね」
「いえ、でもたぶん。たしかに、たぶん座敷童子がいなくなって不幸になった家があって、逆に私の主神楽坂は繁栄するばかりで。その、たぶん、全てその座敷童子のせいかと」
松浦は神楽坂という政治家の秘書である。
それなのに、全然要領を得ない。草間が言っているのは、不幸とか繁栄ではなく、座敷童子の有無なのだ。
「……松浦さん、座敷童子を見たんですか」
少しイライラしながら口を開く。
松浦は人の良さそうな顔を歪めて、ほんの少し悔しそうに答えた。
「いえ、たぶんいるんですけど。私には見えないらしいのです」
「どうしていると？」
「神楽坂の屋敷には、開かずの間があります。四方をお札で囲まれている部屋です。がらんとしていてなにもありません」
空き部屋ぐらい好きに使ったっていいと思うが。
「逃がしてやりゃあいいじゃないですか。だって、神楽坂さんの家に好きにあなた入れるんでしょう」
「それが、私には見えないものですから、どうしたらいいかカラッキシわからず……こうしてご相談に」
草間は口をへの字に曲げて、煙草を一本くわえた。すると、松浦は慣れた様子でライターを取り出して即座に火をつけた。
「織田さんの家というのが、一家心中ですか、海に車で。娘さんが一人だけ生き残られていて」
細く長く煙を吐き出しながら、草間は頬をかいた。
座敷童子とやらが繁栄を生むのならば、この興信所にも一人ほしいものだ。
松浦は歯切れの悪い男だった。これでよく、政治家の秘書など務まるものだ。まあ、怪奇話を自信たっぷりに話されても信憑性に欠けるか……。
「娘さんのお世話を神楽坂は引き受けております」
「いい話じゃないですか」
「娘さんは、かくれんぼの途中で女の子がいなくなったって言うんです」
脈絡がない。しかし、言いたいことはわからいでもない。
草間は灰皿に煙草を置き、両手を組んでから言った。
「織田家から神楽坂家に、座敷童子が連れ去られたとお考えなんですね。……自然に、移り住んだのではなく」
「はあ。たぶん」
政治家の家に忍び込んでお札を外す仕事だなんて、軽犯罪になるじゃないか。
困ったなあと考え込みながら松浦を見ると、松浦も心底困った顔で草間をじいと見つめていた。
――エピソード
困った草間・武彦に代わって反応したのは、依頼人を差し置いてソファーに寝ていた二人であった。一人は、昨夜飲み会で終電を逃し草間興信所に転がり込んできた雪森・雛太。もう一方はいつのまにかソファーですやすや寝息を立てていた、シオン・レ・ハイである。
どちらも、極小の依頼人を座らせることもせず、ぐーすか事務所のソファーで眠っていた。
低血圧なのか、雛太は「うー」とうなって、草間と依頼人松浦を交互に見ていた。
うなられる覚えはない。
すると、シオンは何を聞いていたのか、握り拳を作って正義に燃えた眼差しで言った。
「子供が誘拐された？ 早く救出しましょう！ 草間さん」
すっかり依頼を履き違えている。
シオンは思い込みが激しいので、そこのところをしっかりと正してやらなければならない。
「いや、あのな、それは子供じゃなくて……妖怪」
草間が訳を話し始めたところで、不機嫌マックスの雛太がうなるような声で草間に突っかかった。
「うっさいわ、ボケ」
あまりのことに、草間が黙る。すると、雛太は二日酔いであろう頭を振って「うーうー」うなり、それでも要点を余すことなく言った。
「俺はねみーんだよ、この部屋でボソボソボソボソ話しやがって、安眠妨害してんじゃねえつうの。政治家が幼女囲ってるってぇ？ つーかまったくありそーな話だな。バカにしてんのか。え？秘書さん。ロリコンの秘書も大変ちゃあ大変だろうけどよ、今、俺はまさに今大変なわけ」
草間が聞いていられなくなって、手をかざしたが、雛太の暴走は止まらなかった。
「そもそも座敷童子がいて、あんたのとこ助かってるわけだろ。どーしてそんなの逃がさなきゃならねえの。ご主人様と一緒に没落すんだぜ。……つーかマジ頭痛いし……ついでに、あんた、そうあんた」
松浦が雛太に押されながら自分を指でさした。
「あんたのしゃべりかたマジイライラすっからさ、もっときっぱりはっきり、隠し事抜きですっぱーんってしゃべれよ。俺は、機嫌が悪いんだからな」
ローテンションながら静かにまくし立てた雛太は、ふうと息をついた。そこへ、苦い顔をしたシュライン・エマがキッチンから出てくる。
「雛太くん」
シュラインは怒りを抑えた声で雛太を呼び、盆から水の入った物を雛太に手渡し、継いで液キャベを雛太に渡した。雛太は、液キャベの味を想像したのか「げー」という顔をする。シオンの前に冷たいジャスミンティーを置くと、シオンはぺこんとシュラインに頭を下げた。
依頼人はソファーに小さくなって座っている。草間も、小さくなって座っていた。二人の前にも、ジャスミンティーが置かれた。
それからシュラインは、ソファーの後ろに立っている人物を見た。
相変わらず神父姿の、神宮寺・旭である。
「……飲みます？」
「いただきます」
今気付いたのか、雛太が大きく旭を振り返って怒ったような口調で言う。
「お前、またいたのかよ！」
旭が口を開こうとする前に
「フルネームを名乗るな」
そう忠告する。しかし、神宮寺はその突込みを片手で受けてなかったことにして
「神宮寺・旭です」
余裕の笑顔で名乗り、少しずれていた眼鏡を片手で直した。
神宮寺・旭はいついかなる場所でもなぜだか、フルネームでまず自分の名前を名乗らなくては気がすまないらしい。今回のように、雛太が先回りして突っ込んでおいても無駄なようだった。
最初から話を聞いていればわかるのだが、この松浦という男は、旭が連れてきた男なのだった。旭はそういった怪奇を相手にするものを仕事にしているのだから、旭が解決すればよかろうと言ったが、旭は静かに首を横に振って
「泥棒まがいのことは……」
「……うちにぴったりだとでも言いたいのか」
草間が低い声で答える。旭は、失言したとばかりに口を押さえた。
そういうわけで、草間興信所は軽犯罪に触れるような依頼を受けようとしている。
シュラインは全員にお茶を配り終わると、盆をテーブルへ置いて顎に手を当てながら松浦に訊いた。
「雛太くんの言うとおり、座敷童子を離してしまったら、神楽坂家がどうなるかはわからないんですよ。私達は他人事ですけれど、松浦さんにとっては失職の危機でしょうし……縁ある人が没落していくなんて、嫌なことじゃありません？」
言われて、松浦は表情に影を落とした。
「確かに、神楽坂にはお世話になっております。しかし――しかし、やはり、織田家から無理矢理むしりとってきた繁栄であるのならば、神楽坂は地に落ちるべきなのです。私は何度も娘さん、裕子さんとおっしゃるのですが、裕子さんをお見舞いにいっております。裕子さんは、表情を失くされてしまったのです。
神楽坂が織田家からお金だけを盗ったというのならば、私は秘書として犯罪者とわかっていても庇う道を選んだかもしれません。ですが、神楽坂は織田家から、なにもかも全ての幸福を奪っていったことになるのです。私は――人として……許せません」
草間は煙草の火を消して、ソファーから立ち上がった。
「どうやれば巧くやれるか、考えてみましょう」
そう言って草間は、年代物の黒電話の受話器を取って電話を二件かけた。
一本は知人の陰陽師足立・道満にかけたのだったが、電源が入っていない為繋がらないとアナウンスが流れてきた。仕方なく、蒼王・翼に電話をかける。翼は六回ほどベルを鳴らすと、愛想のよい声で電話に出た。
「術者の類が必要なんだ。ちょっと込み入った依頼でな、手伝ってもらいたい」
草間は少し暗い口調で言った。
――エピソード２
旭と、シオンと雛太が一緒だと話が前に進まないのは目に見えていたので、草間は三人に向かいの古びた喫茶店でかき氷でも食べて来いと言った。邪魔にされているの気付いたのは雛太だけで、旭とシオンは「ブルーハワイの味がいいですよね」「あの青さがたまらないですよね」とすれ違った会話をしている。
雛太は草間の前に片手を突き出した。
草間は、ぶっきらぼうに言う。
「なんだ」
「かき氷代」
草間は救いを求めるようにシュラインを見たが、シュラインは皆の飲んだグラスを盆に載せて、そそくさとキッチンへと戻って行ってしまった。
渋々、薄っぺらい自分の財布を取り出す。
そこを雛太に横からかっさらわれ、「ああっ！ 俺の財布！」と草間はうらめしそうに呟いた。
入れ替わりに蒼王・翼が入ってくる。翼はいつも通り、空色のこざっぱりとしたシャツを着、ベージュのズボンを履いていた。
「ちょうど、もらった物があったんだ」
とシュラインに四角い箱を手渡す。シュラインは箱を受け取り、中身を見て嬉しそうに笑った。
「神戸堂のシュークリーム、並ばないと買えないのよ」
翼はそれに笑顔で答え、事務所の朽ちかけたドアから一人の男を中へ招きいれた。
男は暑いというのに狩衣姿であった。それでも涼しい顔をして、翼の隣に立っている。
「こいつは、桜塚・金蝉という。まあ、僕の知り合いだ。陰陽師をしている」
紹介されて、草間は頭を下げた。桜塚・金蝉は草間を見下すような軽薄は表情で、草間の様子を眺めている。それからめんどくさそうに、投げやりに言った。
「好きで来たわけじゃない。好きで着ているわけでもない」
開口一番でそんなことを言うものだから、草間は呆気に取られてしまった。
捕捉をするように翼が言った。
「こういう奴だが、こんな胡散臭い事件には役に立つだろう。来てもらった。あまり気にしないでくれ」
草間はますます難しい顔になった。
この事件には、確かに術師が必要だろうが、こんなに物々しい陰陽師が出向いては目立つだけなのではないか。
草間は一応事件の内容を翼と金蝉へ伝え、二人の反応を待った。
翼は草間ではなく、ソファーに座っている松浦に向かって訊いた。
「松浦さんと言いましたね。キミの目から見て、神楽坂という政治家はどういう男なのですか」
松浦は少し戸惑ったような顔をしてから、眉を寄せ、固い口調で言った。
「悪い人間ではありませんし、善い人間とも言いかねるでしょう。多くのボランティアを行っていますし、それで助かっている多くの人がいるのも事実です。しかし、それを利用して伸し上がろうとしているのも事実です。ボランティアというものは、完全な善意でなくともよいものですから。ですから、私は神楽坂の秘書をしていることを誇りとは思いません。……今回のことがなければ、忙しいですが実りのある仕事だと思っていたと思います」
座敷童子の話をしていたとは思えない、きっぱりとした物言いである。
おそらく松浦という男は、自分の把握していないところを語るとき言葉を探し出せないのだろう。そして逆に、知ったものを語るときには雄弁になる。なるほど、さすが政治家の秘書である。
翼は向かいのソファーに腰をかけ、金蝉にも座るように薦めたが、金蝉は従わなかった。仕方なく、翼一人が腰をかける。
シュラインがジャスミンティーを持って現れた。翼の前に一つグラスを置き、金蝉の分をどうしようか迷っている。金蝉には、どこか話しかけづらい空気が漂っていた。
気付いた翼が軽い口調で言う。
「ここに置いておいて。勝手に飲むさ」
聞いた金蝉が、ふん、と鼻を鳴らした。
翼は松浦に向き直り、静かな口調で言った。
「松浦さんが、良心の呵責を感じていらっしゃるのならば、キミが結界を解いてあげるのが一番なのでは？」
松浦は深くうつむいて、首を横に振った。
「できないのです」
「見えないからですか」
「そう、それもあります。……できないのです」
ずっと黙っていた金蝉が、深い声で静かに言った。
「それは結界だな。おそらく、入れないという名の結界が貼ってあるのだ。話によれば、妖怪もその中から出られないという。妖怪に対しても、出られないという結界が貼ってあるということになる。二重の結界ということだな」
金蝉は鮮やかな金髪の髪を軽く撫で、少し興味深げに続けた。
「どんな術者がかけたものか」
翼が後ろを向いて訊く。
「興味がでてきたか、金蝉」
「悪いがまったくない。お前一人で十分だという俺の認識は正しい筈だ」
翼はやれやれと手を振って、松浦に向き直った。
「一度神楽坂さんに会わせていただきたい。僕も金蝉も忙しい身ですので、今から向かいましょう」
翼はジャスミンティを一口飲んで喉を潤した。
「面倒ごとは嫌いだ。一日で済むなら、そちらの方がいい」
金蝉はあからさまに嫌そうな顔をしながらも、翼の案に同意した。
「しかし……神楽坂は多忙で……」
翼は立ち上がりながら、少年か少女かどちらともつかない顔で爽やかに笑った。
「大丈夫です、必ず会えますよ」
遠くから魅了をかければよい話なのだ。
金蝉はすすすと進み出て、ガラステーブルの上のジャスミンティーを手に取り、一口飲んだ。それから少し機嫌を良くした様子で、キッチンの前に立っているシュラインへ言った。
「香りのよいお茶だ」
シュラインは反応に困ったのか、曖昧に笑顔をこぼした。
――エピソード３
神楽坂邸宅はなるほど大きかった。門を入ると、中に広大な駐車場が広がっており、車を降りると庭園が見える。ずずずいと進み、大きな玄関が開いてメイドが深々と頭を下げて顔を出した。広々とした廊下を行き、応接間へ通される。
「……あまり、よい気ではない」
金蝉がこぼす。翼もうなずいた。一緒に来た草間だけが、大きな屋敷に目を丸くしている。
応接間では、もう神楽坂と思われる狸面をした丸い男が椅子にかけていた。三人がメイドに案内され入って行っても、腰を上げない。チラリと、三人を一瞥しただけである。
「はじめまして……」
と草間は言った。空気にそぐわず、草間の言葉は豪華な部屋の中を浮遊している。
神楽坂は億劫そうに口を開いた。
「なぜ、ワシがここにいなくてはならないのか。ワシにはわからん。どうしてだか、そうしなくてはならなくなってしまった。これは、お前の仕業か」
狩り衣姿の金蝉へ、神楽坂は矛先を向けた。金蝉は、少し慇懃無礼と思えるほどの微苦笑を浮かべたまま、答えようともしない。
草間がぼっと突っ立っていた横で、翼は神楽坂の目の前の椅子へ腰かけた。どの椅子にもゴテゴテと装飾がしてあった。翼に習うようにして、金蝉が隣の椅子へと静かに腰かけた。
草間も、慌てて腰をかけた。
メイドが紅茶を持って入ってくる。神楽坂が叱責した。
「そんなものいらん。持ち帰りなさい」
「……ゆっくり、お話を伺いたいのですが」
翼が、静かに神楽坂を見据えた。神楽坂の様子が、一瞬だけ一変した。気弱なような、腰が引けているような、そんな印象だった。けれど、すぐに神楽坂は元の横柄な調子を取り戻し、短く答えた。
「なんだ」
「政治家に必要なものは何とお考えですか」
神楽坂は片眉を上げてから、ふん、と鼻で笑った。
「信用と、詭弁だな」
「織田家のお話は、どうお考えですか」
神楽坂は翼から目を逸らし、小声になりながら言った。
「織田……ああ、娘さんのことか。たしか、裕子という」
「いえ、もう一人の女の子ですよ」
重い沈黙が流れる。誰も口を開かない。しかししばらくして、神楽坂は渋々口を開いた。
「だから、なんだというんだ」
「結界の札を、外していただければと思います」
静かな口調の翼には、妙な迫力があった。
「逃がせと」
呟くように神楽坂が言う。翼は神楽坂を見据えたまま、柔らかい口調で続ける。
「政治家としての神楽坂さんは、たかが妖怪一匹に支えられているわけではないでしょう」
神楽坂は笑った。笑っていたが、目は笑っていないように見えた。
それからパンパンと手を打って、メイドを呼んだ。
「お客のお帰りだ、お見送りしなさい」
言った後、神楽坂は立ち上がって奥の部屋へ続いているであろう扉を開け、去って行った。その後姿は、どこかおどおどしていて頼りなさげだった。神楽坂という人物に、一番相応しくない形容詞である。
翼は立ち上がった。
「終わったね、あの男は終わりだ」
メイドに案内されながら、翼はぼんやりと言った。
ふいに金蝉が立ち止まる。金蝉は何かに気がついたように、廊下を勝手に進み始めた。しかし、後ろから翼が止めた。
「金蝉」
「なんだ」
「お前の言うとおり、お前に頼むほどのことではなかったな」
すると、金蝉はするすると翼の隣へ戻った。
草間は呆気に取られっぱなしで、二人のやり取りを見守っていた。
興信所へ帰って来た三人を、シュラインが出迎える。草間は複雑な表情をしていた。それを察したシュラインも、少し心配そうな顔をしている。
興信所の中へ入ると、翼は両手を合わせて合掌のポーズを取ってから、そっと手を引き離した。なにか、次元がねじれるようなオーロラに似た色の空間の中から、剣と思しき物がすらりと現れる。草間は、ただ唖然として翼を見守っていた。シュラインも、固唾を飲んでいる。ただ金蝉だけは表情を変えず、少し目を伏せていた。
「神剣の前では結界は意味をなさない。結界に亀裂を入れる」
剣を片手に取り、振り上げた翼はゆっくりと剣を振り下ろした。切るというよりも、何かをなぞっているようだった。その先には何も切れた後は残っていない。
「……これで、その座敷童子という妖怪は好きに動けるだろう」
「まったく、俺の動きはほとんど無駄骨だったということか」
金蝉は目を伏せたまま溜め息をついた。翼は異次元へ神剣を納め、爽快な笑顔を作って言った。
「悪かったよ」
金蝉は口ほど怒っているわけではないらしく、くくく、と小さく笑った。
――エピローグ
いち、に、さん、し……。
長い髪の少女裕子が、木に顔を伏せて数えている。その後ろを、きゃっきゃと言いながらおかっぱ頭の着物を着た少女が駆け回っている。
「今度は見つけてくれる？」
少女はくすくすと笑い、そしてまた駆けた。
神楽坂は選挙法違反で捕まった。
それが、座敷童子のせいなのか、それとも旭の放った疫病神のせいなのか、それともただ自分のせいだったのかはわからない。
しかし予感できることがある。
神楽坂家は、もう衰退の一途を辿るだろうということだ。
――ｅｎｄ
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【0086／シュライン・エマ／女性／26／翻訳家＆幽霊作家＋草間興信所事務員】
【2254／雪森・雛太（ゆきもり・ひなた）／男性／23／フリーター】
【2863／蒼王・翼（そうおう・つばさ）／女性／16／Ｆ１レーサー兼闇の狩人】
【2916／桜塚・金蝉（さくらづか・こんぜん）／男性／21／陰陽師】
【3356／シオン・レ・ハイ／男性／43／びんぼーＥｆｒｅｅｔ】
【3383／神宮寺・旭（じんぐうじ・あさひ）／男性／27／悪魔祓い師】
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■ ライター通信 ■
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「かくれんぼ」にご参加ありがとうございます。
ライターの文ふやかです。
今回は珍しくシリアス一辺倒でしたが、いかがでしたでしょうか。
では、次にお会いできることを願っております。
蒼王・翼さま
毎度どうも！ ご参加ありがとうございます。
翼さまのイメージに合うお話しが書けているかどうか心配です。
少しでもご希望に添えていれば幸いです。
ご意見がありましたら、お気軽にお寄せください。
文ふやか
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