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キミの代価
------＜オープニング＞--------------------------------------
「ちょっとSHIZUKUー」
いつものようにパソコンにかじりついているSIZUKUに声をかけた少女は、んー、と相変わらず気のない返事を返す相手を気にせずに続ける。
「今ね、学校内で流行ってるらしいんだけど聞いたことある？『願いの声』っての」
「知らない」
「はいはい、そう言うと思ってました。でさ、それってアタシ可笑しいと思うのよ。なんかね、ある儀式――まぁ、儀式って辺りかなり胡散臭いんだけどね――それで願いが叶うっていうものらしいんだけど、何も要らないんだって。普通、そういうのって黒魔術系っぽいから生け贄とかなんかいると思うんだけど。世間一般的にいって何だって等価交換でしょ？何かをしてもらうから何かを得る。願いを叶えるからそれ相応のものを差し出す」
「まぁねー」
少しは興味を持ったらしくSHIZUKUは少女に視線を合わせる。
少女は、ふふんっ、と得意気に先を続ける。
「それで興味を持ったアタシは潜入捜査をしてみることにしたんだけどさー」
「潜入捜査？それはいいけど……断られなかった？」
SHIZUKUの言葉に項垂れる少女。
「そうなのー。怪奇探検クラブは関わるなって追い出されちゃった。やーっぱアタシくらい名が売れてるとねー」
それは『怪奇探検クラブ』って入った名札のせいだよ、とSHIZUKUは呟くがそれは少女の耳には入らなかったようだ。
「とにかく、頭に来ちゃってこっそり見学してきました！」
すちゃっ！、と敬礼しつつ少女が語る内容はSHIZUKUもビックリする内容だった。
「まず、用意するのは六角形の鏡。それとその鏡を囲むための蝋燭６本。それと綺麗な水を透明な水差しに入れておくの」
「へぇ。六角形の鏡だなんて六芒星とかも意識させるから本格的に聞こえるね」
「だから結構本格的なんだって。真っ暗な中に蝋燭の光だけでしょ。あ、忘れてたけど鏡置く時は臙脂のビロードの上ね」
はいはい、と頷いてSHIZUKUは先を促した。
「そしてゆっくりと鏡の上に水をそっと垂らしていくの。六芒星を描きながら願い事を口に出して言うんだって。ちなみに、おかしな事に水は零れないんですねー」
「あからさまに変じゃない、それ」
「更におかしいのが、その鏡が話すの。まるで白雪姫に出てくる鏡みたいに」
それ絶対変だって、とSHIZUKUが胡散臭そうに告げた。
「本当に叶った願いってあるの？」
「百発百中らしいよ。ただ、皆口々に叶ったって言うけどそれを他の人が確認したことは無いんだって」
「…それじゃ百発百中かなんて分からないじゃない。それって一人でも出来るんでしょ？それにもし仮に叶っていたとしても目に見えないものがなくなってる可能性だってあるじゃない」
うんうん、と頷く少女はニヤリと笑う。
「ね、気になるでしょ？」
うっ、と言葉に詰まるSHIZUKU。気にはなるが自分で調査する時間もない。かといって目の前の少女ははっきりいって信用ならない。
「だ……誰かに調査して貰う」
誰にしようかなー、とSHIZUKUはディスプレイと睨めっこを開始した。
------＜ピアノの声＞--------------------------------------
ポーン、と鍵盤を軽く弾いて音を鳴らすのは坂乾透憶。
透憶は笑みを浮かべながら、戯れるようにピアノの鍵盤を触る。
「嬉しい？弾いて貰えるのが？」
（えぇ、とても嬉しいです。私を弾いてくれる方がいることはとても）
優しい声がまるで音楽室に鳴り響くピアノの音色のように透憶の胸に響いてくる。
透憶には生まれつき無機質なものと話せる力があった。
しかし周りからは奇妙に思われるため、誰もいないこういう時にしかゆっくりと話す機会はない。
本当はいつでも話していたいと思う。
大抵、それらは透憶に対し温かな言葉をくれるからだ。
「そっか……我輩もこうしていられて嬉しいな」
鍵盤にぺたりと顔を押し当て、透憶は微笑む。
（そうですね。私もあなたとお話しできてとても嬉しいです。いつでも私は人々に話しかけてはいるけれど、聞いてくださる方は今までおりませんでしたから）
「我輩で良ければいつでも話しに来るよ。……あ、でもたまーにしか来れないかな。我輩、この学校の生徒じゃないから」
残念そうに透憶が呟くと、コロコロと笑うピアノ。
（そんなに悩まないでください。文化祭の時期にでもまたお話出来たら嬉しいです）
「そうだね。文化祭にはまた来るよ。たくさんたくさんお話ししようね」
（はい。……あら、もうすぐ逢魔が時がやってきますわ。）
ピアノの言葉に透憶は窓から見える空を眺めた。
だんだんと空は色を変え、ゆっくりと夜の気配が近づいてきているのが分かる。
西の空は橙に燃え始め、世界は色を変えていく。
（……彼女たちはまたやるのでしょうか……）
そんな時、ピアノの心配そうな声が透憶に響いた。
「何をするの？」
透憶は首を傾げながらピアノに尋ねる。
（今、生徒達の間で逸ってる呪いのようなものがあるんです。『願いの声』というものだったはずです。逢魔が時に行うと無償で願いが叶う、そんな話が広まって……。今あちこちで行われているんですよ）
「無償で願いが叶うの？それって神様？」
自分で言っておきながら透憶は、そんなことないよね、と小さく首を振った。
透憶はこうして喋れないモノと話す事ができるが、神様という存在を信じてはいなかった。いや、信じたくなかった。
神様に願う事で全て叶うのなら、両親は今も透憶の隣で笑っていたに違いない。
願いは、そして祈りは人に未来へと歩き出す力を与えるものになるがそれでも万能ではない事を透憶は知っていた。
無償で与えられるものなどあるはずがない。
（分かりません。……ただその願いは必ず叶えられるということだけ）
「どうしてそんなこと出来るんだろうね。…でもピアノさんは心配なんだ」
（ええ、もし恐ろしい願いまでも叶えられてしまうとしたらそれは大変な事です。私は生徒達が大好きです。護ってあげる事が出来るなら護ってあげたい。此処から動く事は出来ないけれど……）
そんなピアノの願いを聞いて、透憶はうーんと唸る。
そしてピアノに透憶は申し出る。この学園の生徒ではないが出来る事はあるはずだ、と。
「もし、我輩が出来るならそれを止めてあげたいと思う。最近はどんな話を聞いたの？」
（最近ですか……？ピアノが上手になりたい…というものから……それから、あの子、ムカツクからこの世から消そうよって言っているのまで色々あるんですけど）
「それって怖いよ。ムカツクからって……」
その話に透憶は嫌な胸騒ぎを感じる。
（私もそう思います。ですが……）
「調べてみるよっ。何か出来るかもしれないから」
せっかく友達になったピアノが悲しむのは透憶は嫌だった。それに胸につかえたようなもやもやも。
「またね」
そう言って透憶はピアノと別れたのだった。
------＜願いの声＞--------------------------------------
何かを得ようとした時に、何かを失う。
それは当たり前の事なのかもしれない。
世界の誰かが笑えばその分、他の誰かが泣くのだろう。
それで世界は成り立っている。
だからこそ透憶はピアノの言っていた『願いの声』はおかしいと思う。
代償も無しに願いを叶えるなんてことはたとえそれが神様だとしてもおかしいのだ。
平等なる愛情など嘘だと思う。
そんなものが存在しているのならば、透憶の両親だって死ぬ事はなかったはずなのだから。
透憶は用事もないのに他校の生徒が神聖都学園に出入りしてもいいものか、と一応考えた。
しかし考えたところで立ち止まっていては前に進む事など不可能。
透憶は、よしっ、と気合いを入れて神聖都学園へと足を踏み入れた。
その時、早速前方から歩いてきた教師に声をかけられる。
「ん？こんにちは。なんだ、何かの打ち合わせか？」
人の良さそうな笑みを浮かべた教師に、にははー、と透憶は曖昧な笑みを浮かべてみせる。
別に打ち合わせでもなんでもなかったが本当の事など言っても仕方がない。
「そんなとこです」
その時、上から声をかけられた。
「あーっ！遅ーい、早く来てってばー」
教室の窓から身を乗り出して手を振っている人物は、どうやら透憶の事を呼んでいるらしかった。しかし見覚えはない。ただ、困っているところを助けてくれようとしていることは分かった。
「なんだ、怪奇探検クラブに用事か。あぁ、騒がんでも連れて行ってやるから」
苦笑しながら教師が言うと少女は大きく頷いて、よろしくー、と告げ顔を引っ込めた。
「全く。……それじゃ案内してやるよ。ここは結構迷うからなぁ」
教師はそう言って本当に透憶を怪奇探検クラブの部室まで案内してくれた。
「じゃぁな」
「ありがとうございました」
ぺこり、とお辞儀をして透憶は怪奇探検クラブの扉を叩く。
「はぁーい」
開いてるよー、と明るい声が聞こえ透憶はそのまま扉を開いた。
「いらっしゃーい。って、なんか困ってたからつい声かけちゃったけど大丈夫だった？」
笑顔で尋ねられ、透憶は頷く。
「助かりました。我輩ちょっと用事があって……」
「ん？用事？なんか厄介事だったらうちでも手伝おうよー」
いえ、と言いかけた言葉を透憶は飲み込む。
ここは怪奇探検クラブだった。『願いの声』というものは怪奇に入らないだろうか。
それに色々と情報を提供してくれると言ってるのだから聞いてみる価値はある。
「願いの声……っていうのを我輩調べてて……」
「良いタイミング！」
ニヤリ、と少女は笑みを浮かべる。
「アタシも今同じのを追ってるんだ。ここはさ、一つ協力し合わない？」
「協力？」
「そ。だって一人より二人の方が良いじゃない？SHIZUKUは…って、うちの副部長なんだけどアタシが信用ならないから他に頼むって言ってたんだけど、アタシだって出来るんだぞーって自慢したいし。それにアタシ貴方の事知ってるよ。凄腕の発明家ってね」
情報網をなめんなよってね、と人好きのする笑みを浮かべた少女は笑う。
「いいかもしれない」
でしょー、と少女は笑い透憶の手を取った。
「それじゃ一致団結頑張りましょー！」
情報提供として透憶は自分がピアノから聞いた事柄を話す。
すると少女は頷きながらメモを取り、自分の手帳に書いてあるものと照らし合わせた。
「それはー……これか……って時間もうすぐじゃない！あの子時間に正確だからヤバイ！」
この世から消してしまうと言っていたのを少女も聞いていたのだ。そしてその時間はあと五分後に迫っていた。
「ぎゃー！ヤバイ！行こう！」
透憶の手を引いて少女は走り出す。
邪魔をしたからと言ってそれを止めるとは思えない。
だけど聞いてしまった以上は、見逃す事は出来ない。
そんなことをすればその願った子にも願いの対象の子にも酷いことが起こるに違いない。そんな事はさせない。
少女に手を引かれるままに透憶は走る。
そしてその間に手には万能レコーダーなるものを握っていた。そして電源を入れておく。
こんなのを作るのは透憶にとっては至極簡単だ。透憶は他にも使えそうな自作アイテムを持参してきていた。
儀式の行われている教室へたどり着いた二人は、その教室の中へと飛び込む。
「音稀葵がこの世界から消えますように」
それは丁度儀式を行っていた少女が鏡に水差しで図を描き始めた時だった。
「だめっ！そんなことは…させないっ！」
透憶は儀式を行っている少女の持った水差しを奪い取り振り返る。
中途半端に儀式を中断したせいだろうか。
水差しを奪い取られた少女の姿がかき消えるように目の前から消えてしまう。
「ちょっ……えっ！」
透憶は目の前で起きた事に驚き、自分をここまで連れてきた少女を振り返った。
「ねぇ、消えちゃった……」
「あ？何が？えーと、願いの儀式をやってたのは貴方？」
そう言って少女が指さすのは透憶だった。
「違う。今儀式をやってた人が消えてしまったの。我輩が途中で儀式を止めたからかもしれない」
「何言ってるの？だってここにはその二人しかいなくて、現に水差し持ってるのは貴方で。アレ……でもアタシが連れてきたんだよねぇ」
所々記憶が曖昧になっているようだ。
二人の様子を見て、儀式を行っていた少女達は教室から逃げ出してしまう。
「あっ！………仕方ないかな。あの、音稀葵って聞いた事は？」
透憶は少女に尋ねる。それは先ほど願いを言っていた少女が告げた名前だ。
「誰？そんな子居ないよ。多分。だって、いくら大きな学校ったってそんな珍しい名字忘れるはず無いからね」
じゃあさっきの子は、と目の前で消えた少女の名前が手帳に書かれていたのを思い出す。
「手帳を見せて。それに書いてある名前に見覚えは？」
「手帳ー？……遠山令佳？さぁー記憶にないけど」
「嘘。だってさっき時間に正確な子だって言ってた……忘れてしまった？」
「アタシ記憶力だけは良いんだけどなぁ」
心外だ、という様子の少女に透憶は首を傾げる。
確かに少女は、手帳を見て言ったのだ。『時間に正確な子だからヤバイ』と。
透憶は先ほど録音しておいたものを少女に聞かせる。
しかし少女は首を傾げるばかりだ。
儀式が始まる前までは知っていたのだ。その人物を。それなのに、今は知らないという。
願いの儀式を中断した事で、歪みが出来てしまったのかもしれない。中途半端に願いは叶ってしまい、願った子も願いの対象の子の存在が周りの人の記憶から消えてしまったのではないか。中断してしまった自分だけに記憶が残っているのだろう。
透憶は悔しそうに唇を噛む。
これは自分が中断してしまったからなのだと。
しかし、中断しなければそれは成就してしまっていた。それは許せない。
何を代償にしているのか、それは分からなかったがそれだけはいけないことだと思う。
ぎゅっ、と透憶は水差しを握りしめ鏡に向かう。
幸い、儀式のままの状態が保たれている。
鏡に透憶は話しかける。
「消えてしまった人は何処に行ってしまったの？」
（…………）
鏡は答えてはくれない。
人々と同じように、全部が全部社交的というわけではないのだ。
ちょっと誰と話してるの、と少女は尋ねようとしたが透憶が真剣な表情で問いかけているのを止める事は出来なかった。ただ、透憶の様子をじっと見つめる。
「ねぇ、お願い。我輩が途中で止めてしまったからこうなったの？」
その時、手にした水差しが声を上げた。
（まだ此処にいるけれど……見えていないだけ）
「取り戻す事は出来る？」
（………貴方がその鏡に望めば………）
水差しがそう告げる。
ごくり、と透憶は鍔を飲み込んだ。
「代償は……ないってきいたけど本当？」
（………………）
水差しは答えてはくれない。
その代わり鏡が重い口を開いた。
（………お前のタイセツナモノ……をくれれば歪んだ空間を直してやる）
「タイセツナモノ……？」
透憶はそれはなんだろうと悩みに悩んだ。
グルグルと頭の中で何が最善なのかを考える。
皆を取り戻す事が出来、そしてこんな恐ろしい儀式をしないですむ事。
「我輩のタイセツナモノ…………たくさんあるけれど、今持っているモノではこれかな」
丸い物体を鏡に見せる。
（……それは？）
これは我輩の最新作品の人工知能付き最新ロボ、と透憶は告げる。
そして心の中で謝罪する。ごめんね、と。
（ほほぅ。それは鏡の中でも使えるのか？）
興味を示した鏡に透憶は頷く。
「多分、大丈夫だと思うよ。鏡の中の空間がどういう事になってるのかは分からないけど、水の中でも真空状態の中でも動いてたから」
（よし。それでは願いを…）
小さく頷いて透憶は儀式の続きを行う。
やはり代償無しには願いを叶えてはくれないのだ。透憶は物と話す事が出来る力があったため、交渉などという事が出来たが、きっと皆は気づかないうちにタイセツナモノを取られてしまっていたに違いない。
透憶はゆっくりと先ほど少女に教えられた通りに水差しの水で鏡に描いていく。
「消えてしまった人たちが元に戻りますように。そして取られた物が皆も元へ帰りますように」
最後の言葉は早口で告げそして図形を書ききってしまう。
そのまま透憶は鏡に向けて『タイセツナモノ』と告げた球体を投げつけた。
それはそのまま鏡の中へと飲み込まれていく。
「ごめんなさいっ」
ぎゅっと震える手を透憶は握りしめた。
物を自ら壊してしまう行為を。
けれど、この儀式が続く事は許される事ではない。
内側から破裂するように鏡はバラバラに砕け散った。
タイセツナモノだと告げた球体は簡易の小型爆弾だった。先ほど力の加減も手の上で転がして見せた時に調整済みだ。
（………大丈夫。皆元に戻ったから）
優しい水差しの声が透憶に届く。
「でも……壊してしまったよ……」
（あの鏡は……タイセツナモノっていうのが何か分からなくなって……それで皆のタイセツナモノを集めていただけ。タイセツナモノなんて人それぞれなのにね。またどこかで会えるから、きっと）
「うん………」
ありがとう、と透憶が水差しに告げた瞬間、すぅっと消えてしまった少女の姿が現れる。
自分の身に起きた事が分からなくて混乱しているのだろう。少女は透憶のことを見るとそのままぱたりと倒れた。
「……貴方は凄いね。格好良かったよ」
今までじっと透憶のすることを眺めていた少女は透憶に微笑む。
あんなに不思議なものをその目で見ていたのに、少女は恐がりもせず透憶に言う。
「またさ、一緒に事件解決できたらいいね。今回アタシは何もしてないんだけど」
苦笑しながら告げる少女に透憶は頷く。
「うん、またね」
そして倒れ込んでしまった少女を脇に退けて、二人は教室の後かたづけを始めたのだった。
------＜安らぎの声＞--------------------------------------
透憶は、寄っていきたいところがあるから、と少女に別れを告げ音楽室へと向かう。
カラカラと扉を開けると、ピアノの方が嬉しそうに声を上げた。
（こんにちは。……ってもうこんばんはかしら？）
「コンバンハ…かな？あのね、報告しに来たの」
（………？）
「ピアノさんがね、心配してた儀式を出来ないようにしてきたの」
（本当に？）
「うん。本当に。ただ……鏡さんを壊してしまって。水差しさんが言うには『タイセツナモノ』が分からなくなって暴走してた鏡さんが原因だったみたいなんだけど……」
（そう………タイセツナモノ……貴方のタイセツナモノは？）
透憶はその問いに、うーん、と悩む。
先ほども鏡に同じ問いをされたが、それとはまた話が別だ。
「我輩のタイセツナモノ……我輩の笑顔かな」
自分が今笑っていられるのは死んだ両親がいたからこそ成り立つものだと思う。
もう今は居ないけれど、慈しみたくさんの愛情を与えてくれた。
それが今の自分に笑顔を浮かばせる大切なものの一つである事に間違いはない。
タイセツナモノとはたくさんの想いが積み重ねられたものなのだと思う。
（それは本当に素敵なもの。笑っていられるということは、周りの人たちが優しく見守っていてくれるという事なのだから。これからもずっと素敵な笑顔でいて下さいね。そしてまた遊びに来て下さい。お待ちしてます）
「うん。わかった。それじゃ、またね」
透憶はヒラヒラとピアノに手を振り、そして笑顔を浮かべる。
夕焼けの差し込む教室でそれは艶やかに花開いた。
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■登場人物（この物語に登場した人物の一覧）■
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【整理番号／ＰＣ名／性別／年齢／職業】
●2290／坂乾・透憶／女性 ／17歳／女子高校生＆？？？
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■□■ライター通信■□■
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初めまして、こんにちは。夕凪沙久夜です。
今回の依頼にご参加頂きありがとうございました。
これは仮面ヒロインに変身し解決してしまっても良いのだろうか、と思いつつも変身せずに透憶さんとして事件を解決して頂きました。
仮面ヒロイン、とても心惹かれたのですが（特撮とか大好きなものでｖ）今回はプレイングを拝見し考えた時に、精神的な部分を全面に押し出したお話に仕上がりそうだったので。
イメージを壊していなければ良いのですが。
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
それではまた機会がありましたらお会い致しましょう。
ありがとうございました！
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