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じょうずなかわうそ?のつかまえ方
0.At start
「あんたが来るなんて珍しいな」
草間は、煙草を消して久方ぶりに出会った黒い服の女性を見た。
高峰・沙耶、黒猫を抱いている謎女性。彼女の依頼がなければ、草間武彦は怪奇探偵にはならなかっただろう。
しかし、彼女のおかげで赤貧から一応憲法で保障されている必要最低限の生活は維持できているし……。
「依頼か?」
「難しい依頼よ、此処に良く現れる、かわうそ?を“捕獲”して欲しいの」
「かわうそ?なら、呼ばずに現れるが……って捕獲か!?」
確かに難しい。
捕獲し、調査するというのは、かわうそ?にとって嫌なこと。故にあの小麦色は最強の神秘“謎”で逃げてしまう。
一応、あのイタチ科に属するのか分からないナマモノと付き合いは長い(はずだ)。
「お礼は弾むわ」
「何とかやってみるが」
断れないのが少し悲しい草間。
妹の零は心配そうな顔。
「単にアイツを紹介して、単に会話するだけなら依頼でもない出でもないんだがな……研究か?」
「そうね……。研究と言えば研究ね」
「そうか……」
草間は肩を落とす。
捕獲、研究、アレが一番嫌う要素。暫くは、あの小麦色は此処には現れないだろう。
草間はかわうそ?に興味あったり、友人だったり、宿敵だったり、兎に角、助手を頼むことにした。
1.It is not a meaning, to be unexpected, too, but it becomes such course.
「依頼を受けないだと!」
バンと自分の机を叩く草間。
ケーナズ・ルクセンブルク、柏木狭波、空狐焔樹は興信所やってきて、この依頼を断った。
「私が、私の能力の研究で捕獲されると考えると反対だからな。それに、かわうそ?は私のペットだ」
「かわいそう……」
「単に珍しいだけで、つかまえるのは納得がいかぬ。確かに珍しい種であるようだが、私とて追われていた獣だ。」
と、それぞれの意見だ。
「ああもう、好きにするがいい」
「あ、それと一つ」
「なんだ、ケーナズ?」
「私と彼は、赤い糸で結ばれているからな」
「アレはあいつの悪戯だろ……」
草間は前の依頼のことを思い出した。
しかし、ケーナズとアレの関係は宜しい。
「もし、……他のひとがつかまえるなら…邪魔します……から……」
狭波はそう言い、焔樹も「受けに来て悪いが……」と言って、去っていこうとする。
高峰はその間何も言わず、彼女の黒猫は焔が睨めっこして遊んでいる。
そこで、お茶やお茶請けを用意しているシュライン・エマが台所から、
「ひょっとして、かわうそ?を研究とはおっしゃっていないのよね?」
テーブルに皆の分のお茶を置いた。
「研究と言えば研究と言っている。なら、研究じゃないのか?」
ケーナズが首を傾げて訊く。
「あら、そうかしら。観察かもしれないし、単に彼がどう行動取るかだけじゃないかしら?」
「……ん……」
「どう言うことだ?」
出て行こうとする2人の足が止まる。
「正直に話して戴けませんか?」
シュラインは沈黙を守る漆黒の服を着ている神秘的な女性に頼んだ。
高峰は微笑んだ。
それは、シュラインの考えていることを肯定しているのかもしれない。
2.It didn't think that anyone would catch the creature of that mystery.
「私が捕まえましょう」
と、依頼を受けたのは庭師と愛称を持つ(?)モーリス・ラジアルだった。
「良かった」
と、草間は安堵する。
ハッキリ言えば、あのナマモノを探し出して捕まえるか説得する何て無理な話だ。この男なら大丈夫と思った。
シュラインは
「結果はどうであっても此処を中継所にするだろうから、お茶やお菓子を用意しておくわ」
と、零と共にお出かけ。
先に来た者達もそれぞれの意志を貫くために出かけていた。
すでに、モーリスと草間、そして猫の焔しかいない。ちなみに焔は、この依頼を受ける前から草間の頭に乗っかっている。よほど居心地が良いのだろう。
「では、私は色々準備があるので失礼しますね」
モーリスはそのまま興信所を去っていった。
――おそらく草間くんは喜んでいるだろう。まともに(?)依頼を受けた人は私しかいないと信じ切っている。
モーリスは思った。
たしかにかわうそ?を捕らえるのは、利害の一致で宜しい。あの、イタチ化の姿でとても毛並みの良さ。溜まらなく撫でたい。そう撫でたいのだ。モーリスはあのナマモノにご執心。
兎に角顔見知りの人はかわうそ?が気になるのだ。
好きだったり、守りたかったり、撫でたかったり様々である。
「たしか、女性が良いと……」
モーリスは一端自宅に戻ってから策を練る。アレが何処で何をしているのか全く見当も着かないこともあるからだ。前に特殊な空間でばてているかわうそ?を触って悦に浸っていた事も記憶に新しい。又あの感覚を楽しみたいのだ。
彼は女性に変身してから、また屋敷から出て行った。主は彼の姿を見て、少しほくそ笑んだに違いない。
しかしながら、千里眼や思考検索の網の目がこの東京中に張り巡らされていたことを知るよしもなかった。
狭波は心当たりのある場所を、ケーナズとシュラインから聞いて、そのルートを巡回する。焔樹も聞いた先で小麦色の発見場所を聞き込みする。巫女という能力によってはあやかしを狩るものと、齢1000を超える狐が手を結ぶのもまた此の魔都東京ではさほど珍しくはない。
「どこ……にいるの……?」
狭波はこの大都市にいる謎のはた迷惑の様でそうでないナマモノを探した。危険をしっかり知らせるために。
「モーリス、君は何を考えているんだ」
とケーナズは眼鏡を外し、ため息をついた。
――単にかわうそ?を助けたいなら、断ればいいだろうに。
しかしコレはコレで楽しそうだ。姿形を好みに変えられる者と万能超能力者としての戦いを楽しめそうだからだ。
結局、思考を遮断できるのは本当の神や、ケーナズが指定していない者ぐらいだ。当然ナマモノは其れを避けている。断ったとはいえ、何処に居るか知られたら他の能力者に居場所を知られてしまう。故にアストラル界に逃げ込んでいるのであった。
しかし、かわうそ?の謎という能力には弱点がある。謎とはご都合な奇蹟、神秘。大体思惑通りに出来る便利なものだが、偶然という奇蹟。そう、思いも寄らない事。確率統計、公式から“必ずある”のに誰も其れに気がついていない出来事。つまり矛盾要因にはとんと弱いのだ。世界を変える力やそう言ったものではない。意図せず能力を使え、其れが当たり前に思っている能力者や事柄だ。
実はそうした“友人”を持っているかわうそ?だった。
大曽根千春である。
あやかし荘付近にある喫茶店で彼女は水まきをしていた。実際アストラル界は物質界から見えない。もちろん幽霊の本体が居るエーテル界もこの世から見えない。実際幽霊などはエーテル界の存在している。しかし彼女は“その世界”をいつもの様に見ているのだ。其れが、当たり前なのである。
「どうしたんですか?」
|Д゚) !見られた!
焦るナマモノ。しかし時既に遅く、千春の思念はケーナズに届いた。千春は事情を知らないので、悔しいが彼は彼女に任せておこうと思った。まずは庭師と“遊ぼう”とケーナズは思った。
|Д゚) ……追われている
「あらまあ……此処だと大丈夫ですよぅ」
|Д゚) あい
と、千春に連れられ、一緒に新作ケーキと紅茶を飲んでいるナマモノだった。
3.The thought of the people when wanting to defend “ Kawauso?”?
「かわうそ?くんが捕獲されるって?」
牧鞘子は興信所の電話を受けてからそのまま店長に許可を貰わず出て行った。かわうそ?との腐れ縁である、彼女。命の恩人で悲しいクリスマスの時にやってきたナマモノと仲良しになった。
後で師匠に怒られようとも、親友が大事である。ダウジングロッドでかわうそ?を捜すことに。
しかし、其れで見付かれば世話はない。同時刻ではアレはアストラルに居るのだから。呑気にアストラルの魔獣などと戯れていることだろう(その後に千春に見付かるのだが)。
大体同時期に銀野らせんも“かわうそ?捕獲”の話を聞くのだが。
「かわうそ?ちゃんが捕獲され解剖されるっですって!?」
と、驚愕する。
――情報が歪んで入った様だ。
故に彼女もドリルガールに変身し、愛するかわうそ?を助けるべく走った。
「くだらん」
魔法のドリルは心の中で呟いた。
対する黒野らせんも、かわうそ?のことが気になっていた。情報云々も既にTIから貰っている。それより、独占欲がオリジナルのらせんと同じかそれ以上である。
「他のヤツが居るから、わたしのものにならないんだ」
新しい武装ラウザーでブラックドリルガールに変身し、かわうそ?にご執心な“宿敵”を殺すために飛び立っていった。
黒ヤギは我感ぜずといったかんじで、ボケッとした顔で彼女の重要書類を食べていた。
「出かける」
ナマモノはおもった。逃げることなら得意なものさ。と言った感じ。
〈OSU〉で美味しいケーキをごちそうになりのんびりしているナマモノだが、流石に千春を巻き込むわけにはいかない。何となくであるが、大きな戦闘が起こる予感がするのだ。
|Д゚)いってくる
「だいじょうぶなのですかぁ?」
相変わらずマイペースな千春。
「なに、大丈夫。どこかが又壊れる程度。でも此処壊れたらだめっぷ」
「はい、今度は旬の果物をたっぷり使ったパフェをごちそうしますからね」
|Д゚)ノ あーい
かわうそ?はそのまま姿を消す。今度はエーテル界に移動したのだ。実のところこっちの世界の方が“この世”をアストラルの其れより見ることが可能なのだ。
現在必死に追いかけ回そうとしているのは草間武彦本人だけである。
「どこだ!ナマモノ!!」
息を切らす3X歳。
4.Fight!
そして戦いは始まった。
まず、モーリスは女性になってかわうそ?と接触した。
|Д゚) 庭師! オカマだったのか?
「いいえ、本質は男ですけど? あなたは女性が好みと聞きまして」
|Д゚) ふーん
何も動じないナマモノ。
|Д゚) でも、庭師は庭師。女性であるなら純粋に女性がいい。変身してだと萎える。
正論なのかどうかはさておき、実際モーリス自体“人ではない”故この会話は不毛だ。
「会話している暇はないです。今捕まったらそのつやつやした毛皮が台無しになります。庭師と呼ばずにハニーかダーリンと呼んで欲しいです」
|Д゚) う゛ぁー
モーリスはそう言いながら、かわうそ?を抱き上げ、すたこらとその場から逃げる。
しかし、追跡者がいる。狭波と焔樹だ。
「かわうそ?さんを放しなさい……」
「そうはいきませんね!」
と粋なり奥の手、檻で2人を閉じこめた。
「ぬぅ。流石に長生きしていることはある様だ! しかし若い!」
焔樹が狐火でその檻を溶かした。
「まちなさい……!」
狭波は、退魔術の行使に入る。檻をもう一度出させないために、彼の能力を一時封印するのだ。
トランスミューター・モーリスと巫女・狭波の精神合戦中に焔樹が剣を振りかざし割り込む。
しかし、モーリスは先読みをしていたのか、また檻を作っていたのだ。
なんと、間合い1.5mに見えない壁フォースキューブである。先ほどの檻より強力なのだ。
「行きますよ! かわうそ?くん」
|Д゚)……
「まて!」
焔樹が剣で切り裂こうとも、びくともしない。
しかし其れは何かの力によって、壊れた。
サイオニックによる物理干渉だった。
「ケーナズさん?」
――まったく、良い感じにやっているが、私は捕まえようとする者を邪魔する役目なのでね。
テレパスでモーリスに伝える。
その隙に、焔樹がモーリスに斬りかかる。しかし目の前にナマモノが抱かれていたので寸止めに終わった。
「その生き物をはなせ! 長命者!」
「お断りです。私は愛の逃避行を!」
なにか訳の分からない会話になる。
「それは……、私だってしたい……」
狭波は自分の欲望を赤面して言った。
焔樹はその場で凍り付く。
――可愛いが、そういうことではないでは?
丁度その一部始終を見ていた草間、いや紅……。
「貴様ら……死ね」
|Д゚) マジに怒るな、元・ヘタレ探偵。現在殺し屋。
「貴様は殺す!」
怒る紅、もうナマモノにかかったら通常の120%は格好いい(実際はその分更にずぼらになる)彼もただのギャグキャラとなる。素晴らしいぞ、ナマモノの“謎”能力。
強力な呪物である“紅”の銃声と、物の怪の妖術、謎の神秘、モーリスの治癒と檻製作能力が反響し、この一帯が爆発。更に、
「貴様等まとめていなくなれ!」
と、3コンボルーンラウズで「熱核爆裂散弾砲」を発動した黒らせん。
この一帯は更に大爆発した。放射能は空間転移で無いと思いたい。
残っているのは、アフロになった草間に(元に戻った)、何とか結界や檻で防ぐ3人だった。ナマモノは……
いない……。
隙を見て、らせんが彼を捕まえ、エンジェルフォームで飛んでいるのだ。しかも一緒に逃げているのは拝み屋鞘子。彼女と途中合流して、ダウジングに引っかかったのだ。
「危機一髪だったね!」
「そうそう、誰だか分からないけど、ダウジングの影響が強力になったの」
と、一緒に逃げる2人。
因みにナマモノは、らせんの服から顔をだしている。
|Д゚*) 肌ふわふわ
「もう、かわうそちゃんのえっちー」
――馬鹿な会話してんじゃない(ケーナズのテレパス)。
「わたしの……わたしのかわうそ?さんを!」
後ろの方では怒り狂う黒いらせん。
ケーナズのPKの束縛網さえも、キャンセル効果のあるルーンを使い、突進する黒らせん。
――何!
しかしケーナズは目の前にいるモーリスに襲いかかられる。おそらく焔樹がモーリスとケーナズが知り合いであると察し、なら腐れ縁で戦ってくれと思って、すぐ術で転移させたのだろう。もうこうなった場合、Psion対ハルモニーマスター。もう、1000年ほど戦って下さいである。場数踏みでも互角ではないだろうか?
さて問題は……らせんと黒らせんで、流石に鞘子はあの黒いのとは戦えない。
狭波がやってきて、お互い敵でないことを知ると、今後どうするかを急速に考え始めた。向こうは古代ルーンを科学的変換で倍増している。しかも空の上で、天使状態のらせんと戦っている。
「こんなとき、私に何が……」
悔しがる狭波。
「かわうそ?くん大丈夫かな?」
「あのドタバタでも呑気に生きておるから大丈夫だろう」
呑気に見ているわけにもいかないが。
「貴様さえいなければ、かわうそ?さんは私のものだ!」
「違うわよ! わたしのかわうそ?くんだよ!」
「違う! 断じて違う!」
と、空で言い合う二つのドリル。
螺旋剣は欠伸をしている。
「いい加減通常に戻れよ」
|Д゚) だよねー
空間が間抜けすぎてなんと言ったらいいのか。
「貴様を殺す! この場で!」
更に高速化する黒らせんでエンジェルフォームのらせんに飛びかかるしかし、らせんの服から丁度顔を出しているナマモノをみて、ドリルが5インチ先で止まった。
そう、彼女はかわうそ?が大好きなのから、攻撃できないのだ。
唇をかみしる黒らせん。
「こ、この卑怯者!」
「な、なによ! あ! まさか、高峰さんはTI社と組んで彼を狙ったのね!」
「……? ……ああ、そうだ! コレは全て私が仕組んだこと! しかし、オリジナル! 卑怯だ! かわうそ?さんを盾にするなんて!」
「そんなことしてないわよ!」
否定するらせん。
会話は、アザだらけのケーナズがPKで皆に伝えている。網に寄るものだが。つまり筒抜け、街頭演説みたいな状態。
「よくみろ! かわうそ?さんが居るところを!」
指を指す黒らせん。
焔樹も、狭波も、鞘子も納得していた。
胸の服にいるナマモノ。
|Д゚)ゞ ……
心臓を守るにはある意味最強だ。
「あ。そ、それは……あんたの勘違いよ!」
「だまれ! 今度こそお前を倒すからな! この洗濯板! うわーん!」
大泣きながら飛び去っていく黒らせん。
「せ、洗濯板……」
「事実だな」
ドリルが言う。
「また心で負けた……」
エンジェルフォームを解き、空中で悄気るらせんであった。
きがついたら、その場にかわうそ?はいなかった。
5.シュラインさんに軍配
|Д゚) なんかよーわからん
と、あのバカ騒ぎから逃げ出したナマモノ。容易いことなのだ。
路地裏でばったり美人さん2名にであう。そう高峰とシュラインだった。
|Д゚) ……あうち
動けない。高峰から感じられるのは同等の“謎”だ。質は違っていても、逃げることが出来るのだろうか?
「可愛いわね」
「そうでしょ? だから人気があるのかもしれません」
シュラインが、かわうそ?に近づいた。
|Д゚) 食べられるの? かわうそ?捕まえて?
「誰も食べないわよ……」
苦笑するシュライン。
このナマモノが美人に弱いのはご存じの通りである。
「本当は、捕まえるんじゃなくて、如何にあなたがこの騒ぎに反応するかを見ていたかったらしいわ」
|Д゚) にゅー
不満そうな鳴き声をだすナマモノ。
ま、つまりは人気がどれ程なものかといったぐあいなのだ。
「他に色々あるらしいけど、研究所に行って少しお話しすることだけみたいよ?」
|Д゚) にゃー
何故猫の鳴き声になるのか謎。
高峰は、何かを察したのか姿を消した。自分が居ては素直にならないのだろうと考えたのかもしれないと、シュラインは思った。
「あ、怪我しているわ」
|Д゚) あ、ほんと
騒ぎで偶々、毛皮がすれてしまった様だ。
「一寸待って」
と、シュラインは携帯型の治療具をだす。消毒液と絆創膏程度しかないが。
|Д゚) ありがとう。
「大した傷でなくて良かったわ」
|Д゚) ……
何となくナマモノの表情がかわっている。
「どうしたの?」
|Д゚) もう少し待つ。気が向いたら、あの黒い人にあうかも。お話しだけなら。
「よかった」
|Д゚) 騒ぎは?
「勝手に終わると思うわ。あなたは悪くないし」
|Д゚)ノ じゃ、かわうそ? 帰る。
「はい、またね」
シュラインとナマモノはその場で手を振って別れた。
交渉成立、お仕事は完了したのだから。
6.The end which doesn't descend.
あやかし荘。そこでかわうそ?は千春の膝の上でまどろんでいた。
「大変でしたねぇ」
|Д―) ……
気持ちよさそうにしているナマモノ。
「よかったよかった」
「もう、どうなることかと♪」
と、鞘子とらせんが喜んでいる。
「千春さん、鞘子さん、お茶が入りましたよ」
「は〜い」
夏が近いと感じさせる空に陽の光。
恵美がかわうそ?の頭を撫でている。ナマモノは猫の様にゴロゴロと喉を鳴らした。
「ホント災難だったみたいですね」
|Д゚) あい
平和なあやかし荘ではあるが……。
草間興信所はむせび泣く黒らせんに、思惑通りに行かなく悔しがっている庭師と何故か勝ち誇った感じのジャーマンの超能力者。かわうそ?が捕獲されずに済んだ思っている中学生巫女と天の狐。ま、こういう展開だよねと、お気楽に考えて格別に美味しいコーヒーを淹れて皆の労をねぎらうシュライン。
もっとも、複雑なのは草間武彦本人。未だにアフロ。庭師は不満そうなので治してくれない。もこもこ似うっとりしているのは古参のシュラインさん。
高峰はなかなか真相を明らかにしない。しかし、そう言う人物でも、こうした感じで人を困らせることは人生に少し愉快さを求めたのかとか考える。一応、断った人間が大多数を占め、ハッキリ言って捕まえようとした者は自分だけ。興信所に100%もらえるらしい。正規の事務員である(もうそうしたほうがいい)シュラインと妹の零に分けることで済むだろう。
「まともな依頼が欲しい……」
彼はそうぼやき、マルボロをくわえる。頭に乗っている赤い猫が爪でその先を触っただけで火がついた。
応接間では、色々な人々の思惑のオーラが詰まっている。その雰囲気でだれも喋らなかった。
ただ沈黙しかない。
「しかしだな……」
草間は
「そんなにお前ら、あのナマモノが好きなんだ! 謎だらけなんだぞ! 依頼を蹴るほどそんなに好きなのか!」
と叫んだ。
しかし、すぐさま殺気の篭もった沢山の視線が、一気に向けられ、身じろぎする草間だった。
――そう、やっぱり好きなんのね(シュラインさんの心の声)。
草間は何故そこまでアレが好きなのか分からなかった。いや、もう考えたくはない。
今日も興信所は平和だった。
街角が破壊されていても……である。
End?
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【0086 シュライン・エマ 26 女 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0170 大曽根・千春 17 女 メイドな高校生】
【1462 柏木・狭波 14 女 中学生・巫女】
【1481 ケーナズ・ルクセンブルク 25 男 製薬会社研究員(諜報員)】
【2005 牧・鞘子 19 女 人形師見習い兼拝み屋】
【2066 銀野・らせん 16 女 高校生(/ドリルガール)】
【2318 モーリス・ラジアル 527 男 ガードナー・医師・調和者】
【2644 ブラック・ドリルガール(黒野らせん) 1 女 戦闘用クローン人間】
【3484 空狐・焔樹 999 女 空狐】
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■ ライター通信 ■
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滝照直樹です。
|Д゚) ←疲れ切っているナマモノ。もうこりごりらしい
空狐焔樹様初参加ありがとうございます。
では、機会が有れば又お会いしましょう。
滝照直樹拝
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