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「おはようさんの怪」
------<オープニング>-----
「確かに、妙ではあるな……」
草間武彦が眺めているのは、新聞の記事を切り抜いて貼り付けてある赤いスクラップブックだった。
新聞の記事の内容はどれもこれも事故に関するものばかりだった。
知り合いのオカルト雑誌の局長から送られてきた代物であったが、中を開けて見るなり唖然としたものだ。新聞の切抜きがただ貼り付けてあるだけのスクラップブック。一緒に手紙らしきものも同封されていたが、まずはこちらを見た。
最初は訳がわからなかった。しかし半分ほどを眺めて後、ひとつの事に思い当たって武彦はもう一度初めから記事を見直し、そして呟いたのだった。
数十件にわたる事故の記事は、事故は事故でも内容は多岐に渡っていた。自動車の事故、自転車の事故、人と人、人と自動車、自転車と……エトセトラ、エトセトラ。
まるで関連性が無いように思える事故の内容であったが、唯一つと言っていいか分からないが、どれも場所がかなり近い。半径百メーターほどの円形の中で全ての事故が起こっている事を資料の最後に付された地図が物語っていた。
これが頭痛の種なのだ。
もし一箇所で多発する事故であるのなら、それは場所に何らかの理由がある。ならば、それは最終的には警察の交通課などの管轄となるだろう。
これが事故でなく、ひったくりのなどの事件なら間違いなく警察の管轄だ。
しかし、謎の事故が近いエリアで多発するとなると……。
「また、怪奇現象か」
苦々しげに呟きながら、煙草に火をつけ、武彦はソファーに身を沈めて天井を仰いだ。吐き出した紫煙がゆっくりと空へと向って、消える。
本来こういった事件の調査は望んでいない。まったくオカルト雑誌の編集社の人間と知っていればよしみなど結ばなかったものを。
しかし請けると言った以上はやらなくてはならないだろう。
煙草一本分の時間を費やして気を取り直し、武彦は同封された手紙に目を通した。
手紙には武彦自信が気が付いた事が説明されていて、最後にもう一つ、全く知らない事実が書かれていた。
「おはようさん……って何だ?」
文面を読みながら目を丸くして、次に眉間に皺が寄る。最後に眼鏡がずり落ちた。
それは事故のあった界隈の学校などで噂になっている奇妙な少女の事だった。
道端で突然、声をかけられるというのだ。「おはよう」や「こんにちわ」などといった挨拶をされ、振り返ると遠ざかっていく少女の姿があるのだという。それがいつの間にか「おはようさん」という名称で呼ばれるようになったらしい。
問題はその後だ。
事故にあった被害者のほとんどが事故の直前「誰かに声をかけられた気がする」という証言をしているのだそうだ。
「一体どういう事なんだ?」
事件、あるいは事故。とにかく何でもいい。この奇妙な出来事を調べるとなれば、確かに怪奇事件の知識とそれに相応の見方の感覚を身につけた誰かを当てる必要があるだろう。
<ライターより>
はじめまして「とらむ」といいます。
今回は皆様に事件の調査依頼をしたいと思います。
調べていただきたい点は二つ。一つは事故の原因。そしてもう一つは、事故と「おはようさん」の関係、そして「おはようさん」の正体についてです。
事故は全て半径二百メートル以内で起こっています。物証はいくつか上がっているようです。つぶてのような物で走行中の車のフロントガラスが割られたりもしています。
警察でも事件として調査を開始しているようですが、決め手はありません。
事故の起こる時間はまちまちのようです。
「おはようさん」については事故の区内でも評判になっています。目撃者は相当数に昇っています。若い女性、あるいは高校生くらいの少女が「おはようさん」のようです。
特殊な力を使って調べて頂いても結構ですし、聞き込みなどをして頂いても結構です。
物語の展開次第では戦闘もありえます。
事後の原因(連続事故を起こした犯人を捕まえる)を特定し、噂の「おはようさん」と事故との関係を解き明かしてください。
どうか皆さんのご協力を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
<我らが噂の少年少女探偵団>
「さて、困ったぞ……」
煙草をふかしながら天井を見つめ、草間武彦は呟いた。警察も絡んでいる事件となるとむやみやたらと動き回るのは得策とは言えない。だからこそ、こんな所に依頼を持ち込んだのだろうが、いい迷惑だった。普通の依頼ならともかく、だ。
「へぇ〜。なかなか面白そうな依頼じゃないですか」
突然聞こえた声に、草間武彦は身体を波打たせて咽返った。横から見ていると、ソファーにもたれかかったまま、垂直に飛び跳ねたように見える。
「器用な芸当をお持ちですね、草間おじさん」
いつの間にか入り込んでいた少女が武彦の向かいに腰を下ろして、テーブルの上の資料に目を通している。その視線をちらりと一瞬だけ武彦に向けて、彼女は呟いた。
「だ、誰が、おじさんだ」
と苦も無く言えればそれなりに迫力はあっただろうが、涙目で咽返っていたのでは格好もつかない。
呼吸を整え、体裁を取り繕うまでの数秒間、少女は涼しげな表情で資料につらつらと目を通し、なるほどと腕を組む。
「私の調べた資料によれば、「おはようさん」はどうやら若い女性、しかも学生のようですね」
十歳という年齢に相応しからぬ落ち着いた声音と態度で、武彦にそう告げたのは飛鷹いずみという。この探偵事務所に出入りするようになってしばらくだが、もちろん武彦自身は勝手に事務所の中に侵入するのを許容した覚えはない。
「お前、いつの間に入って来た?」
「隙だらけなんですよ、草間さんは」
「だからといって勝手に事務所に入り込んでいい理由にはならんと思うが?」
「それは考え方にもよりますね」
一応武彦は嫌味のつもりで言ったのだったが、いずみはそれを表情一つ変えずに受け流した。
「たまたま、依頼を引き受ける為にやって来てあげたら、出迎えがなかったので失礼させてもらったまでです」
「……それは、お前、世に言う屁理屈って奴じゃないのか?」
「屁理屈でも、通れば理屈でしょう?」
いずみはまったく悪びれる様子もない。武彦は思わず眉間に手をやった。
「あまり難しく考えると、早く歳を取りますよ。そうでなくてもたいして切れる方じゃないでしょう?」
「……お前な。気を悪くするぞ」
「じゃあ、図星なんですね」
武彦は頬の辺りを一度だけピクリと痙攣させて、引き攣った顔を無理やり笑顔にほぐした。口では彼女に勝てそうもない。
まったく、容姿に似合わず可愛げのない子供だ。
いずみは知ってか知らずか、微かに表情をほころばせて笑みを浮かべる。
まったく何処までも小憎らしい。
「思った事は素直に口に出した方が健康の為にいいですよ。草間さん」
「……それをしないのが、大人ってもんだ」
「じゃあ、私は子供だから遠慮しなくていいんですね」
「お前の辞書に遠慮という言葉があったのか?」などという不毛な会話を敢えてする事はせず、武彦は代わりに小さく咳払いをした。
「それで、何を知っているというんだ?」
「知っているわけではありません。あくまで情報だけです。真相はこれから調べますので」
広げてあった資料をたたみ、いずみは立ち上がる。
「待て。誰がお前に依頼するといった?」
「ご心配なく。私ではなく」
という言葉の語尾に、いくつもの声が重なった。
「あの、こんにちわ」
少しばかり大人びた感じがある大人しそうな女の子が顔を出す。
「ワタシ達デ〜ス!」
その横で満面の笑みを浮かべているのは、ひと際目立つ黄金色の髪の毛と大きな青い瞳、それにやんちゃ臭さを感じさせるそばかすがトレードマークの女の子。
「お久しぶりです」
二人の背後からやや申し訳なさそうに草間に頭を下げるのは長い黒髪をシンプルに後ろに束ねている優しげな女性だった。応仁守瑠璃子といい、前の二人とは年齢が倍ほども違う。武彦も何度か仕事を依頼した覚えがあるが、このガキども、もとい子供達とつながりがあるとは思ってもみなかった。
今川恵那とローナ・カーツウェルとは共に飛鷹いずみと一緒になって「少年少女探偵団」を名乗って行動している仲間だった。度々事務所に出入りして(侵入して)は仕事を引っ掻き回してくれるありがたい子供達だ。
「お前達なぁ。ごっこ遊びも程々にしておかないと、痛い目を見るぞ」
「そんな説教臭い言い方をするところは立派におじさんですね。草間さん」
三人とは反対側から武彦を見ていたいずみが冷ややかに微笑む。
「それにごっこ遊びは子供の情操教育には欠かせないものです。いろいろな想像体験が発想力や、強いては相手の立場を思い遣るという精神的な修練の第一歩になるんです。知りませんでしたか?」
知るか、そんな事……。
武彦は思わずこめかみに手をやった。いずみと話していると気のせいか頭が痛くなってくる。
「それに、一般の大人としては社会的貢献の一旦として周りにいる子供達の成長を手助けし、時には見守るという行為は人道的にも社会的にもあって然るべき義務という考えは根付いてきているんですよ」
この発言が歳相応の相手から発せられたのであれば、立派に騒乱の種となるべきところだが、相手は十歳の子供である。武彦の顔が大きく引き攣った。
「いずみちゃん、それくらいで……」
窓から見ていた今川恵那がもともと不安そうな顔付きをさらに困ったようにして、いずみに言う。
「子供に子供然たるを求めるのであれば、大人にもそれ相応の態度というものがあって然るべき──」
言葉の最後に「あ痛ッ」と残して、いずみは軽く頭を仰け反らせた。
「はい、そこまで」
と声をかけたのは、瑠璃子だった。どうやら彼女が放った何かがいずみの頭を小突いたらしい。それを見ていた恵那が「あっ……」と小さく声を立てた。彼女も友人の暴走を自分なりに止めようとしたらしいが、先を越されてしまったようである。何処となく残念そうに見えたのは、果たして気のせいだったろうか。
瑠璃子が放ったのはどうやら窓際に置いてあった消しゴムだったようだ。それを拾いながら、武彦は娘ほども歳の違う来訪者を呆れたように見る。
「……お前、いったい幾つだ? 会う度に憎たらしくなっていくな」
「子供の成長は早いものです」
間髪入れずにいずみは答えた。
「可愛くない、あ〜可愛くない」
わざと聞こえるようにしてぶつぶつ言いながら、武彦は窓際へと歩み寄る。この場でともかくもまともに話の出来そうな相手は瑠璃子だけだ。
「応仁守さん、あなたまで一緒になって」
出来れば自分の側に回って加勢して欲しいところだったが、次の一言でその期待は粉砕された。
「この子達だけではほら、心配でしょうけど私がついていますから。警察も動いているのなら、返ってこういった形の方がいいと思いますよ」
にこやかにそう言われては返す言葉もない。
「しかしなぁ。どうやってこの事を知ったんだ?」
まだ誰にも話していない事件の事だった。偶然にしては少々タイミングが良過ぎる。
「簡単なことデース。ミーの忍術でチョチョイノチョイね」
片言な割にはマニアックな日本語までを知っているものだ。しかし、忍術って何の事だ?
ローナの手仕種が何となく電話の形に似ていたので、まさかと思って電話の所へと駆け寄る。
「盗聴しているわけじゃないだろうな?」
「そんな野暮な事はシませんネ−」
得意満面の笑顔でローナは鼻の頭にあるそばかすを躍らせる。
数分後。静かになった室内で、武彦はもう一度受話器を見た。
「忍術ねぇ……」
と、一人ごちて煙草をふかす。厄介払いできたらいいが──
そんな事を思いながら、ソファーに身を沈めた。
<出動、の前に>
「事前の情報はこれぐらいでいいとして、まずはどうしたらいいと思います。瑠璃子さん?」
いずみ訊かれて、一瞬考えを巡らせると、瑠璃子は「そうねぇ」と形の良い顎に手をあてた。
事件調べる基本はまず何より現場を見る事だ。一番いいのは事件そのものに遭遇する事に違いないが、それでは危険を伴ってしまう。草間武彦の持つ資料を見た限りでは、事件そのものには法則性がないように思えた。つまり偶発的な事故の連続と言う事だ。だとしたら、下手に現場に近付くのは巻き込まれる可能性があり、詰まるところ危ないという事だ。自分一人だけならともかく、この子供たちを連れて行ったのでは……。
「クライムは必ず誰かがハッピーになるね。ミーはイッツ、サーチするよ!」
ローナの提案に、いずみはなるほどと頷いた。
「一理あるわね。でも、ローナ。事故を見る限り、被害者の範囲が広すぎるんじゃない? 何かの利益とは関係がないように思えるけど」
「……サーテンリーね」
瑠璃子に指摘された部分は確かにその通りだった。年齢も住んでいる場所も、何もかもがバラバラで、そういう意味でも法則がない。唯一一緒といえば、皆何かしらの乗り物に乗っていると言う事だけだ。
「それじゃあ、犯人はきっと根暗でオタクのサイコ野郎に違いないわ。無差別に適当にこの事件を起こしているのよ」
いずみの毒舌も相手が目の前にいないのでは今一つ冴えがない。
「あの、『おはようさん』のことは……」
実はいずみが知っている「おはようさん」の情報は、もともと恵那が調べたものだった。効果でも噂になっている「おはようさん」の事を学級新聞に載せるのだと初め提案したのは彼女だった。
事件の事を知ったのはその聞き込みの最中だった。それで事件ならと、いずみが武彦のところへ向かう事に決めたのだ。こういった事件の類いなら、武彦の所に情報があると見込んでだ。
ちょうど一緒になったローナを連れて事務所へとたどり着いたところで別の用事で来ていた瑠璃子と一緒になり、事のついでだからと顧問役を彼女が買って出たというわけだった。
元々恵那は事件そのものよりこの「おはようさん」の事が気になっていた。出来れば「おはようさん」と会ってみたいと思う。
「そのガールが、ホシかもしれないネー」
ローナが手を打ってさも名案だといわんばかりに言う。
「ねえ、そのややこしい喋り方、何とかならない? ローナ」
「オゥ、Noネ。イッツ、御約束、御約束」
鼻の頭辺りのそばかすを躍らせるようにしてにっこりと笑い、ローナは軽快に人差し指を振る。
「私は、違うと思うな……」
と恵那がやや目を伏せながら自信なさ気に言う。
「ホワイ? アクシデントには、ガールが関係してるネ。きっと、リーズンあると思うヨ」
「それはそうだけど……」
自信があるわけではない。けれども彼女が「おはようさん」が犯人ではないという気がする。彼女はきっと別の目的があって道行く人に声をかけているような気がするのだ。
「私も、恵那に賛成。ローナの言う事ももっともだけど、むしろ警告をしているんじゃないかって気がするな」
それから三人は瑠璃子の方をそれぞれに見た。結局の所誰も推測の域を出ていない。実際この中の誰も「おはようさん」の噂を聞いたことはあっても出会った事はないからだった。瑠璃子にしても条件は同じだった。むしろ噂を知らないだけ三人に比べて、より知らない方だ。
「やっぱり、現場に直接行ってみるしかないかな」
と躊躇いがちになってしまうのも、やはり事件の全容がつかめないからだ。今のところ命に関わるような事にまではなっていないとしても、だ。
「虎穴にいらずんば、虎子を得ず。デース」
と迷っている瑠璃子にローナが告げる。
「墓穴にならなきゃいいけどね」といずみ。
「いずみちゃん。笑えないよ」と恵那が困った顔をした。
<アクシデントは突然に?>
自前のMTBを駆るローナを別にして、一足先にバスで移動し事故の頻発する交差点の辺りまで歩いてくるといずみが呆れたように言った。
「何これ? これで事故が起きない方が奇跡に近いと思わない? いい加減な公共事業のせいね。税金の無駄遣いだわ」
今日日、小学生だろうが消費税を納めているのだから言えない台詞ではないが、決してらしいとは思えない発言に、しかし瑠璃子も恵那も頷いた。
急勾配の長い坂道を登りきった所にある変則交差点で、交わる道は商店街のアーケードをから伸びている。かなり車通りの多い場所なのにも関わらず、補助指示の信号もなく信号が変わる度に車同士がぶつかり合いそうになりながら通り過ぎていくという有様だった。しかもこの交差点の直ぐ真横にはこれまたせまっくるしいT字路の道路が続いていて、信号を待ち切れずにフライングで飛び出す車もいないわけではない。
なるほどここで事故が起こったとしても、誰も不思議には思わないだろう。警察の捜査も力が入らないのはこれも理由の一つかもしれない。
「事故の報告にあった内の何割かは、紛れもない事故なのかもしれないわね」と瑠璃子も諦め顔だ。
事実、ローナが合流するまでと少しばかり聞き込みを行ってみたが「事故なんて珍しい事じゃないよ」とほとんどの人に笑われる始末だ。
確かに最近事故が多いという事を気にしている人もいたが、死人が出るほどの事故になっていないことも手伝って、さほど大きな事件とも捉えられていない感じがあった。
同様に「おはようさん」についても多くの人が、まるで当たり前と言わんばかりにこの不思議な少女の事を知っていた。中でも気になったのは、数ヶ月前にこの近くで通り魔に刺された女子高生に似ている気がするという証言だった。
残念ながら、いずみも恵那もその事件の事はよく知らない。瑠璃子にしても同じ様なものだ。生活圏からはかなり離れた場所であるせいもあっただろう。
「あーあ、まったく。もっと役に立つ情報はないの?」
「い、いずみちゃん。そういう事は大声で言わない方が……」
両手を上げて大きく伸びをしながらかなり大きな声で独り言をのたまっているいずみの衣服を恵那が遠慮がちに引っ張る。
「だいたい無神経にも程があるわよ。間近でこれだけ事故か頻繁しているっていうのに、誰も彼も無関心だなんて、どうかしてる。違う? 結局自分だけは無事で被害に遭わないなんて、極楽楽観主義の平和ボケが招いた怠慢でなくて何? まったく大人がこんなんでこれから育っていく子供がまともになるわけがないわ」
武彦がいたなら「お前が言うなよ」と突っ込んだところであろうが、残念ながらいない。
なだめようとする恵那を尻目に納得のいかない様子で頬を膨らませるいずみの視線の先に、その時遠くからMTBを駆って走り来るローナの姿が見えた。大きく手を振りながらこちらへと向っている。
恵那がそれに応えて手を振ろうと腕を持ち上げた時、ローナのMTBが突然、弾かれるようにしておかしな方向に向きを変えた。
三人からみると、まるで前半分が直角に方向を変えた感じに見える。
見ている方も驚いたが、乗っている方に比べたら大したことはなかったはずだ。
その直前。何処からともなく声が聞こえた気がして、ローナは足を止め、つと視線を逸らした。
「こんにちわ」
確かにそう聞こえた。直ぐ近くから。自転車を走らせているにもかかわらず、声は直ぐ近くから、ほとんど隣から聞こえた。だが声の主を確かめられない内に、何の前触れもなく横合いから受けた衝撃にハンドルをあらぬ方向に持っていかれて、ローナは思わず声を上げた。
「ホワット?」
まったく訳のわからないまま、身体が空中へと投げ出されて弧を描く。何が起こったのかはわからなかったが、何が起きているのかは瞬時に理解できた。弧を描いた身体が綺麗に回転しながら道路へと完全に落下する前に、ローナは咄嗟にあるものを呼び出した。
「ケミュ?」
という甲高い鼻にかかったような音と共に、どこからともなくサッカーボールほどの大きさの真っ白い毛玉のようなものが無数に現れて、ローナの落下地点で一塊の毛玉になる。投げ出された勢いで空中で二回転もしたローナは、ボフッ、という鈍い音を立てて毛玉の中へと半ば埋もれると、青色の眼を瞬かせた。
「ホワイ? ホワッツ、ハプン……?」
驚きで目を丸くしているローナの元へといずみ達は駆け寄った。いったい何が起きたのか、見ている側にも当の本人ですらもわかっていない。
それよりも、だ。
いずみ達が二つの意味で血相を変えて走り寄って来るのと同時に、一つの塊は無数の小さな塊にそそくさと分裂し、素早い動きでどこかへと消えていく。地面に接した下の部分から順番に崩れていくので、全部が何処かへと消え去った時、ローナは彼女自身の二本の足で地面に立っていた。その足元で、最後の一匹がふっと消える。
「ローナ、今の何?」
珍しく目を丸くしたいずみが訊く。
「トリブルだけど?」
「……何それ?」
聞いたことのない名前に恵那が首を傾げる。
「アイ、ドント、ノーネ」
自分が口寄せで呼び出した物が何であるのか、ローナ自身もわからない。普段とは違うものを咄嗟に呼び出してしまった事だけは間違いがない。聞かれてもよくわからないのだった。とにかく驚いた事だけは事実だ。
ローナは思い出したように後ろを振り返り、今まで自分が乗っていたMTBを探す。それは道の端に転がっていた。駆け寄ってみると、フレームの一部が酷く変形して見るも無残な形になっている。
「オーマイゴッドね」と悲しそうな顔をするローナの横にいずみと恵那が来て、MTB
を一緒に見下ろした。
「いずみちゃん、何か見えなかった?」
大きく変形している前輪部分は、何かがぶつかったような跡が残ってはいるものの、痕跡だけではぶつかってきたものの正体はわからなかった。しかし、人より異常なまでに優れたいずみの動体視力なら何か見えても良かったはずだ。
けれども、いずみは悔しそうに首を振った。
何も見えなかったのか、それともこの事態に虚を突かれてしまって見落としたか。どちらにしても何も見えなかったのは間違いない。
「多分、あっちからね」と二人の横に立っていた瑠璃子が指差した方向を三人が三様に振り向いた。
道路を挟んで反対側のアーケード。細い路地が何本もある中の一つを指差したまま、瑠璃子はスッと目を細めた。
ローナのMTBが方向を変えられた時の様子から考えて、おおよその見当は付けることが出来る。確かに範囲は広いだろうが、状況と組み合わせて考えれば自ずと結果は導き出されるはずだった。
機をせずして、路地の端に停まっていた一台の車が動き出し、軽快なエンジン音と共に走り去っていく。
「瑠璃子さん、あれ……?」
恵那がその視線に気づき、次いで走り去る車にも気が付いたようだった。
瑠璃子の無言の視線の意味を察した恵那はパチンコを取り出し構えるが、車はとっくに走り去ってしまっている。標的がいないのでは、相手に向って意思を飛ばす強制伝達テレパスも役には立たない。
残念そうな表情で振り向いた恵那に優しい微笑を向けながら、瑠璃子は彼女の肩に手を置いた。それから、ローナの方へ二人して向き直り改めて彼女の身を心配する。
いまだに状況の把握を完全に行えないまま半分呆然としているローナの傍で、いずみがどこかへと消え去ってしまった、ローナがトリブルと呼んだ謎の生き物を何となく探していた。
「ローナ、何ともない?」
「ミーはノープロブレムね。ちょっとビックリしただけデース」
「それよりも」とローナはアクシデントの直前に誰かの声を聞いたと答えた。
「それって『おはようさん』?」
と、いずみが訊ねる。
「アイドンノー、よくわからないネ。バット、メイビーそうかもネ」
「見た?」
と恵那に訊かれて、ローナは首を振った。姿は見ていない。声をかけてきてだけだ。しかもあのタイミングで。
「ビコーズ。やっぱりグッドモーニングガールが犯人ネ!」
突然元気を取り戻して、ローナは軽快に指を鳴らした。
「次に会ったら、ヒャクネンメ。ミーが必ず成敗するネ!」
「相変わらず、短絡思考のおめでたい考え方だわ」
と呆れたように言ういずみをローナが睨む。
「ユーはミーに喧嘩をセールしてるネ! ナウ! 今なら三割引でバイイングするヨ!」 甲高い声を上げるローナを見て、恵那は「いずみちゃん……」と服の袖を引いた。しかしその手を煩わしげに払われる。
「ああ、もう煩いなぁ。だってその通りじゃない。タイミングよく発進して行った車、それにアクシデントの直前声をかけてきた事。もしそうじゃなかったら、全速力で漕いだままだったんじゃないの? もっと危なかった筈でしょ? 状況を考えたら、絶対怪しいのはあの車。『おはようさん』は警告してくれてるだけに決まってる」
どう、文句ある?
と言わんばかりの勢いで、いずみは胸を張る。
「ウッ……サーテンリーね」とローナは言葉もない。恵那も似たようなものだ。
「そうね。事実はどうであれ、いずみちゃんの言う事はこの場合理にかなっていると思うわ。問題は、どうやってそれを証明するかだけど──」
少し考える風にして小首を傾げる瑠璃子の傍で、いずみは「簡単よ」とにやりと笑う。
「この手の根暗は目的が達成できなかった事を簡単には納得できないわけ。だから──」
その先を話は聞くまでもない。要するに囮になれと言う事だ。
「危ないよ、いずみちゃん」と不安気な恵那を他所に、ローナの方はどうやら乗り気のようだった。
「オーケー。ミーにお任せね! バット、でも……」
とローナは壊れてしまったMTBに視線を遣る。肝心のMTBがあの有様では囮も何もあったものではない。
「大丈夫。私が明日までに何とかするから」
さすがに新しい物を用意する形にはなると思うが、鬼神党の会長である祖父に頼めば何とかしてもらえるだろう。確かに少々危険な方法ではあるが、こうも間近で危険な状況を見てしまったのでは放っても置けない。いざとなれば自分がこの子達を守ればいい。
<びしっと決めて事件解決?>
実際問題として、本当に犯人がまた現れるのか、またローナが狙われるのかといった未確定の要素が多いと思えた。しかし恵那がローナに触れて事故の状況を感じ取った時、それらを肯定するいくつかの情報が確かにあった。
その中にはローナが声をかけられた「おはようさん」の事も含まれていた。
「犯人はまたくると思う。いずみちゃんの言うように、またきっとローナを狙ってくるわ……」
その理由を聞いた三人は、互いの役割について再度確認する。後は実行あるのみだった。
さすがに、一度試しただけでは犯人は現れず、午前中から数回に渡ってアーケード街をうろうろする羽目になってしまったが、午後一番に機会はやってきた。
ローナと自転車を食い入るように見つめるいずみは、その一瞬の変化を見逃さなかった。もともと動体視力は常軌を逸して鋭い。ローナが何かに気を取られるような表情の変化を見せた時、今回は彼女に向って飛来する物を見落とさなかった。
陽光を反射して、一瞬だけそれは光ったように見えた。いずみは小さなその物体に意識を集中させ、ベクトルを力の向きを勢いそのままにほとんど正反対近い形に変える。
次の瞬間、男のものと思える悲鳴と共に、固い同士がぶつかり合う鈍い音が響いた。
ローナも恵那もいずみも、一斉に音のした方を見る。確かに昨日の車である事は瑠璃子にはわかった。
ローナのMTBが急激な角度で曲線を描いて車の方へと疾走する。
恵那といずみも咄嗟に走り出した。
慌てたように車が動き出し、耳に痛いスリップ音を撒き散らしながら、事もあろうにローナの方へ向けて走り出す。
双方共に移動しているのであっという間に距離が詰まり、続け様に先ほどの音とは比べ物にならないほどの大きな激突音が辺りに響く。
ようやくその時になって往来の人々が事態の異状に気がついた時、街行く人々の全てが目の前に繰り広げられる滑稽な現状に目を丸くした。
車がぶつかって、へしゃげている。最近の車はぶつかった時に衝撃を吸収する為、ものの見事に潰れるようになっているわけだが、何よりも驚いたのはぶつかった相手だろう。
「サンクス!」
とローナは目の前に現れた巨大な相撲取りほどもある大ガマ蛙に片目を閉じる。そのままMTBを降り、ガマの背中を駆け上がると蜘蛛の巣状に皹の入ったフロンとガラス越しに中の人物に目掛けて、両手を翳して首を回す。
「ハッ! コソコソト悪事を働く小悪党め。開き直ってお上に逆らうとはいい度胸だ。主の御名において、成敗いたす! あっ、覚悟しろい!」
大見得を切って片足を踏み出すと、何処からともなく拍子木の音までが響いてきて、思わず観客と化した街の人達も惜しげない拍手を贈る始末だ。
ローナはその声援に、そばかすだらけの鼻の頭に皺を寄せてにっこりと愛らしい微笑を浮かべると、一言「ファイア!」とのたまった。
その声に呼応して、「ゲコ」と一声鳴くと、ガマが大きな口を開ける。真っ赤な炎が噴き出して車の表面を焼いた。観客からは再び盛大な拍手。そして車の中からはみっともない悲鳴が上がり、中から一人の男が髪を振り乱して飛び出してきた。
「ヘイ、ユー! 覚悟するネ!」
ガマの上からびしっと指を差すローナを、血走った目で見つめると男は徐に手にしていた黒い銃のようなものを構えて引き金を絞る。プシュッという発射音がした。
飛び出した弾丸はしかし、ローナの目の前で180度に近いありえない角度に曲がって、手にしていた黒い物体を問答無用で弾き飛ばした。乾いた音を立てて、地面に転がったそれはバラバラに砕けてしまう。
驚きに顔を引き攣らせる男が振り向いて、地面にばら撒かれたモデルガンの破片を唖然と見る。
「学習能力がない。だから、人生でも仕事でも確実に失敗するのよ。救いようがないわね」
ちょうど追いついたいずみが腕を組みながらクールに言った。
台詞の内容よりも、言われた相手が小学生の女の子だった事に男は痛く心を傷つけられたようだった。怒りに我を忘れて掴みかかろうとしたが、今度はその胴体になにやら赤くて細い物が巻きついて動きを止める。
再三に渡って驚かされた男が振り向いて見たものは、大口を開ける巨大ガマの姿だった。
今度こそ言葉にならない大絶叫を上げながら、男の上半身がガマの口の中へと飲み込まれて、腰から下だけがだらりとガマの口から垂れ下がる。
「美しくないわ。あのまま死んじゃった方が身の為なんじゃない?」
と呆れたように言ういずみに、恵那が「言い過ぎだよ、いずみちゃん」と横から囁く。
ガマの上では、得意げに腰に手を当ててふんぞり返っていたローナが身を乗り出すようにして男の姿を確認する。
一瞬、ローナが怪訝な表情を見せた。
ひくひくと小さく痙攣する男の体から、何やら黒い影のようなものが染み出してきて、次の瞬間にいずみ達の方へ向けて銃弾もかくやというスピードで移動する。
いずみはさっきと同じくベクトル変換を試みたが、なぜか通用しなかった。思わず「えっ?」と声を上げるいずみの横を銀色の疾風が駆け抜け、黒い物体を退ける。
いずみと恵那の後ろに控えていた瑠璃子だった。いつの間にか手にしていた日本刀を逆袈裟に振りかざし、二人の前に立ちはだかる。
「べ、べっくらすだぁ!」と思わず漏らした恵那が慌てて口元に手を当てる。
「恵那ちゃん、出番よ」
と言う声に促されて、恵那は表情を引き締め視線を鋭くする。
あの時、ローナを通じて知った事がある。今回の事件、犯人は人間だがもっと根本のところ得体の知れない力が働いている。物理的な手段では太刀打ちできない相手だ。人の意思が固まった物、それを撃ち倒すには唯一つの方法しかない。
恵那は持っていた大きなパチンコを振り絞る。人の意思を伝えるという彼女の特殊な能力。それを補助する為にいつも持ち歩いている物だった。
弾に乗せるのは、被害者の怒りと苦痛ではない。唯一つだけ、強い想いだけ。「おはようさん」と呼ばれている彼女の意思、想い、思い遣り。どんなものにも負けない強い想いだけを彼女に代わって私が、届ける。
引き絞ったパチンコを、恵那は「えいっ!」という声と共に解き放った。
黒い影は避けようと動くが、いずみが近くにいてはとてもかなうはずもない。
パンッ。と弾ける様な音を残して黒い影は四散する。恵那が「ふぅ」と息をついた。
「とりあえずは、終わったわね」と瑠璃子が笑みを見せる。
その時、傍らに立った影に三人は思わず振り向いた。
「ありがとう」と声がする。そして声だけを残して、現れた少女の姿は消えてしまった。 「待って!」と手を伸ばす恵那の手が少女のいた後をすり抜ける。
「愛想がいいんだか悪いんだか分からない子ね」といずみが言う。
「ううん。そんな事ないよ、いずみちゃん」
と珍しく、恵那がいずみのいう事に異を唱えた。
「ちゃんと教えてくれたよ」
と恵那はすり抜けてしまった自分の手を見つめる。触れる事はできなかったが、感じる事はできた。
瑠璃子に話し掛けようと振り向いた恵那の横にローナが遣ってきて「ミッション、コンプリートネ」と笑う。瑠璃子に「大活躍だったわね」といわれて得意顔だ。
「ま、派手に暴れたのは確かね」といずみは冷ややかに言った後、ローナの背後で気になる光景を視界に捕えて目を瞬かせた。
「ねぇ、ローナ。蛙が犯人食べちゃってるけどいいの?」
「え゛?」
と振り向いた三人の視線の先で「ゴクン」という音がした。口から外へ出ていた二本の足が、ガマの口の中へと消えていく。
数時間後、四人はとある家の前にいた。
今は「おはようさん」と呼ばれている少女が生前住んでいた家だった。最後に現れた時、恵那は彼女に触れる事はできなかったが、その想いは感じる事が出来た。
数ヶ月前、通り魔に刺されて命を落した少女は生きている間は仲の悪かった父親にたった一言伝えたい事があって、それで街を彷徨っていたのだった。
いつの間にか挨拶すらも交わせなくなってしまっていた父親と娘。彼女はその事だけを悔やんでいた。
「こんにちわ」
外で車を洗っていた男性に瑠璃子が声をかける。
胡散臭げにこちらを見る男性に、恵那がすっと近付いた。
「誰です?」
言葉で説明するのは難しい。わかってもらうのは、もっと難しいだろう。だから直接伝えるしかなかった。
「あの……」
俯き加減で上手く切り出せない恵那に代わって、いずみが口を開く。
「あなたに伝えたい事があるって人がいるんです。聞いてあげないと後悔しますよ」
と半分脅しているように聞こえる言い方だ。
その言い方も悪かったせいもあるだろうが、男性は頑なな表情で「何の事ですか?」とこちらを睨む。
「あのですね。なんでも子供の言う事だからと否定してかかる事が、そもそも間違いなんだって気がついたらいいですよ。大人がそれだけ狭量だから子供が萎縮するんですよ。可能性を否定するだけが大人の責任じゃないでしょう? そんな事だから、娘の気持ちも分からないんですよ」
「はい、そこまで」
さらに口を開きかけたいずみの頭を瑠璃子が軽く上からぽんと叩く。「あぐぅ」と言う意味不明の音を発して口を閉じたいずみの前へ出て、瑠璃子は男性に話し掛けた。
「説明するのは難しいんです。けれど、伝えたい事があるのは本当です」
それだけを言って、瑠璃子は恵那の手を取り、男性の手も取って重ね合わせた。
短い時間だったが、それだけで十分だった。娘の想いは伝わっただろう。泣き崩れる父親の傍で佇んでいた四人が少女の家を後にした時、再び「おはようさん」が現れて、優しげに微笑んで、消えた。
「さあ、皆。お茶にしましょう。ごちそうするわね」
彼女を見送って、瑠璃子が三人の顔を見ながらそう宣言した。
「ティータイムね!」とローナは嬉しそうだ。
言いたいことを半分も言わせてもらえなかったいずみは不完全燃焼気味だったが「見え見えの手だけど、乗ってあげるわ。チョコレートケーキ付きね」と済ました顔をする。
「素直じゃないなぁ、いずみちゃん」と恵那が笑った。
『真昼の大珍事?』
新聞の紙面。見出しに踊るその文字を、草間武彦は恨めしそうに睨んでいた。
街中で繰り広げられた大道芸の数々とか何とか記事が書かれている。「突如出現した大ガマが火を吐いた」と言うのが何よりも話題になっているらしい。
テレビでも現場の中継がなされているが、残念ながら事件の起こった実際の映像はなく焼け焦げた道路が名残を残すのみだった。
報道の中では日本刀を振り回す若い女性の話なども出ていたが、リポーターは半信半疑といった感じだった。
当初の話題は、連続事故が実は犯罪だったと発覚した事だった。犯人はモデルガンで氷の弾丸を打ち出して車や自転車を狙っていたらしい。
それが先日逮捕されたというのだ。
捕まった犯人は、どうも精神的に異常をきたしてしまったらしい。何度もうわ言で「蛙に食べられると」言っているそうだった。
不意に電話の音がなった気がして、武彦は耳を澄ました。
いや、そんなはずはない。電話の音なんて聞こえる筈がない。きっちり冷蔵庫の中へとしまいこんでいるはずだ。絶対音が漏れる事はない。
犯人を捕まえたのは四人組の少女で内一人は二十歳ほどの美人だったらしい。
彼女たちの一人が発したコメントが話題になっている。
「我々は草間興信所の者だ。やる気のない公的機関に成り代わって巷を騒がす悪人を成敗させてもらった。以上」
犯行声明とも取れそうな内容を発したのはもちろん飛鷹いずみだろう。
「冗談じゃないぞ、まったく」
問題は冒頭の一文だった。
昨日から問い合わせの電話が殺到している。まったく余計な事を、あのガキどもめ……。
届けられたクッキーの入った箱の中には一枚のメッセージカードが入っていた。
「事件は解決ネ! イッツ、オールライト!」
ピースサインの入ったイラストつきだ。
武彦は箱の中のクッキーを取り出して、苦々しげな表情で頬張った。
〜了〜
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【1271 / 飛鷹 いずみ / 女 / 10歳 /小学生 】
【1343 / 今川 恵那 / 女 / 10歳 / 小学生 】
【1936 / ローナ・カーツウェル / 女 / 10歳 /小学生 】
【1472 / 応仁守 瑠璃子 / 女 / 20歳 / 大学生・鬼神党幹部 】
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■ ライター通信 ■
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とらむです。
お待たせいたしました。「おはようさんの怪」お届けいたします。きっちり時間一杯かかってしまいました(汗
皆さんとても楽しいキャラクターで愉しませていただきました。
クールないずみちゃん、元気なローナ、おろおろしている恵那ちゃん。そして、まとめ役の瑠璃子さん。きっちり書けてましたでしょうかねえ?(冷汗
プレイングがとても面白く、どこでどう活かそうかと悩みました(笑
なんとか個々の子供達の特徴を活かそうと頑張ってみたのですが、愉しんでいただけましたでしょうか?
また機会がありましたなら、元気な子供たちを描いてみたいと思います。
ご依頼有難うございました! また是非お願いします!
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