コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


草間兄妹の海水浴 私を海に連れてって (2日目/3日間)

 前回のあらすじ
 零とエヴァの可愛い我が儘で又“深淵”に海水浴に向かった。
 現地に着いた草間ご一行様は各々バカンスを楽しんで1日を過ごした。

 で、2日目の朝である。
「ねーねータケヒコー」
 と、エヴァが武彦に抱きついて何かせがんでいる。
「なんだ? また子供みたいに我が儘か?」
「ちーがーうー! 2日目も別行動だとつまらないからみなで何かしようよ!」
「うーむ、前に肝試しはしたが……。洞窟にいる神様に迷惑かけたからな〜」
 流石に宿でジタバタされたら困るので此処は素直に考えている武彦。
 零はその和やかな雰囲気を笑ってご飯を食べている。
「釣りはどうでしょうか? 兄さん」
「ふむ。たしか、深淵には一式あるな磯釣り用などは。漁師からも頼んだら、船釣りもできるな」
「決まりですね」
「やったー! そのあとは、夜にシーフードバーベキューとしようよ!」
 スケジュールが決まったので嬉しそうなエヴァ。
 外の世界を知りたい為か、彼女は何かと積極的であった。

 ――良い一日であればいいな。
 そう草間も、零も他の皆も思っているだろう。


0 早朝:朝食前
 “深淵”のバス停に2人の女性の人影があった。
 バスが到着すると、似たような服装をした女性2人が降りてくる。
「きぃぃあ――っ!!海だぜいっ!!」
 と、気合い入りまくりの女性が背伸びして叫ぶ。
「んじゃ、ゆっくり遊んでくるんだ」
 男勝りの女性が2人に声をかけた。
「まかしてー」
 と、ロックバンドメンバーの休日は交代。前日のやかましい女とナマモノ萌えの女はバスに乗って一足先に帰っていった。
 彼女ら曰く、バックのプロダクションがとてもやる気がないようなので、自分で売り込みを始めている始末。そんなわけで、ほかの新米アーティストより休日という物がないらしい。

 “深淵”では
 (。A。) あさ〜。
 鶏の声ならぬ、かわうそ?の叫び声で朝を告げる。簀巻きにされて木に宙づりにされている。
「全く昨日は散々な目に遭わせやがって!」
 黒澄龍が、ナマモノを懲らしめていたのだった。
 (。A。) ぷ。うぶなやつめ。胸の感触、忘れられない。あのときもー♪
「なにー!」
 龍が更に怒って、簀巻きナマモノをサンドバックにする。
 。・゚・(ノД`)・゚・。 どうぶつぎゃくた〜い。 とりゃ!
 かわうそ?は悲鳴を上げ、仕返しとばかりそのまま反動を利用し謎の20m/sで龍に身体を直撃させる。
「いってー! その状態でやり返すとは!」
「おいおい、かわうそ? 虐めると後が怖くなるぞ」
 と、朝4時ぐらいに起きていたのか、砂浜で走り込みをしていた織田義明がこの不毛な喧嘩を止めた。
 (。A。)ノ よっしーへるぷー
「断る。その状態というのは、お前が悪いコトしたんだろ?」
 と、そのまま通り過ぎた。
 (。A。) …… ←さすがよっしーと思っているナマモノ。
「後が怖いって……、なんだ?」
 龍が首を傾げるのだが……。
 いきなり後頭部に何かが直撃。鈍痛と……。
「いってー! な……な?」
 |Д゚) けっけっけっ
 かわうそ?はいつの間にか簀巻き状態から抜けだし、龍の延髄にドロップキックをかましたのだ。
 そのまま気を失う龍。
「あら〜、龍さん、こんなところで寝ていましたらかぜをひいてしまいますぅ」
 と、朝食10分前に大曽根千春に起こされるわけとなる。何故かメイド服なのは突っこまない方がいいだろう。
 |Д゚) 千春、人工呼吸。たぶんやばいかも。
「え〜? かわうそ?さん、龍さんそうなに危ないのですかぁ?」
 危機感全くない天然娘。
 ――いや、命に別状はないし人口呼吸も要らないんだが。
 と、そのあとはどうなったか皆さんのご想像におまかせする。
 |Д゚) けっけっけっ


1.朝の会議
 さて、エヴァの案により釣りの話が朝食の中で持ち上がったので、広間で一堂が集まった。
 尚、既に連絡が入っていたスティルインラヴのメンバー松田真赤と飯合さねとも加わっている。
「まぁ、数は磯の方が多数だな」
 と、草間はメンバーのチェックしている。
 船釣りを希望するものがいるので、草間はそちらに向かうことにして、エルハンドが磯をもつことにした。
「エヴァ、船で釣るのは楽しいです♪」
「ほんと!?」
 榊船亜真知がエヴァに船釣りを勧めた結果にある。
 隠岐智恵美は苦笑してエヴァと一緒に同行するようだ。
「船酔いするから気を付けろよ」
 と、草間は漁師の組合先に電話を入れていた。

 天薙撫子とシュラインは皆のぶんの弁当を用意することで“深淵”の厨房を借りることを言う。
「さて、わたくしは皆さんのためにお弁当作りますわね」
 と、天薙撫子はニコリと立ち上がって台所に向かった。
「あたしもそういうことで、全員のぶんのっと……義明くんのぶんは大丈夫よね」
 と、シュラインは若い剣客をちらりと見て同じく台所に向かう。
 少年の反応はすこし照れているようだった。
「ま、二人っきりが良いだろうな。無粋なことはせんよ」
「師匠、からかっているつもりですか? 当然一緒にいますよ。昔みたいなことはないし」
「そうだな。お前自身、決着の時が近いからな……」
 神の剣を持つ2人は何か深刻な会話をしているように見える。


「えっと、わたしいつも手づかみか水を使うから……分からないんですが」
 海原みなもが、釣りについて素人であると告げる。
「なに、今時の釣り具は素人でも大丈夫だ。知っているヤツは俺と、あそこの神や男あたり知っているだろう」
 草間は不安そうなみなもに告げた。
「って、たしかみなもって人魚だよな……まさか…」
 龍がとても小さい声でボソリという。
 しかし、かわうそ?が尽かさず、みなもに龍の思ったことを伝えたとたん、みなもが殺気を帯びた冷たい笑いを彼に見せた。
「いや、なんでもない……なんでもないです。だからその……すまん」
 彼女から一気に離れて謝り、汗だくになる龍くん。
 (。A。) 禁句――♪
「てめぇ ちくったなぁ!」
 |Д゚) あさのしかえしー
「喧嘩なら外でやれー!」
 草間がかわうそ?と龍に既に膨らましていたビーチバレーをぶつけ広間から退場させた。
 仕切直してみなものが、
「あ、ここの……竜宮の使いたちに“釣りをする”事を報告しないと。間違って……」
「それなら大丈夫だろう。此処の生物の一部は人間の言葉を理解し喋る。しっかり、漁師達の漁や釣りの境界が出来ている。そこまで心配することはない」
 草間はサラリとみなもの不安を解消させる。万一間違って捕まっても逃がしたりするそうだ。怪我を負っている時や別の危険から逃げているときに、態と捕られることもあるらしいのだ。
「すごい、草間さん、妙にてきぱきしていますね。いつもはずぼらなのに」
「ですよね。暇なときのあのずぼらさのみじんもありません」
「一言多いぞ、みなも、零」
 草間はみなもと零の言葉に眉間に皺を寄せ言った。
「ありがとうございます。これで、安心して釣りを楽しめます」
 みなもは笑顔で答えた。

 各自準備に取りかかり、シュラインと撫子がお弁当を作って、男性陣が釣りの支度をしている事、
「エヴァ様! 今日こそ、このハイレグビキニで!」
 と、念のために中は水着にするわけあるが、鹿沼デルフェスの野望は諦めてなかった。
 エヴァのスタイルは素体事態アーリア人なので、日本人に比べ豊満な方。絶対ハイレグが似合うと豪語しているのだ。色はエヴァが普段着ている服に合わせて黒を基調にオレンジだ。
「ありがとう、デルフェス。コレ着るね」
「ありがとうございます!」
 感涙と興奮と妄想のあまりまた鼻血が出ている元・ミスリルゴーレム。
「でも、デルフェスさん」
 零とみなもがおそるおそる、声をかける。
「なんでございましょうか?」
「その水着を着ても、このライフガードや釣りに相応しい服を上から着るんですけど?」
 その言葉で、デルフェスはショックのあまり膝をついてそのまま石化してしまった。
「仕方有りませんわね。泳ぐのではなく釣りですから」
 亜真知サマ、冷静。
 みなもが、石像の顔をみると苦笑する。
 石像の涙は血涙に変わっていたのだった。
 ――よほど見たかったのですね……。


2.出発♪ と?
「さて、組の割り振りを確認するぞ」
 草間が紙に書いて磯釣りか船釣りか班の確認をとる。
  磯
   織田義明、天薙撫子、シュライン・エマ、エルハンド、鈴代ゆゆ、黒澄龍、松田真赤、飯合さねと、鹿沼デルフェス
  船
   大曽根千春、海原みなも、榊船亜真知、隠岐智恵美、草間武彦、エヴァ、草間零

「なお、シュラインは途中でバーベキューの支度をする為途中で抜ける。磯の責任者はエルハンドだ。分からないところや、危険に晒されたときは彼に言うように」
 と、告げる。
 かわうそ?は深淵の大きな木に又簀巻きになっているので欠場だ。
 (。A。) ……♪
 ――かわうそ?だからいつの間にか何処でもかしこでも湧き出てくるだろうから、欠場というのは語弊があるだろう。

 深淵では皆がわいわい準備で楽しむ時刻のころである。
「何か楽しいことがあります」
「いや、俺からすれば不安と災難の固まりなのだが……」
 と、サイドカーに乗っているカップルが深淵に向かっていた。
 見た目、極普通の黒い服の青年。しかし、サイドカーに乗っている少女は、メイド服。
 メイドの味方、メイド魔神・田中裕介が、猫のように拾って保護している記憶喪失の内藤祐子にせがまれて、やってきているのだ。
 波乱の幕開けとなるか、墓穴ならぬうみの藻屑となるために来たのか……裕介は不安であった。対照的に祐子はうきうきしていた。
「あ、海が見えました!」
「着いたのか……」
 祐子の声に裕介は溜息をついた。
 どう楽しむ? いや、どう言い逃れするべきか。
 全く世の中は踏んだり蹴ったり、裕介君は厄払い必須か? いや。
 ――自業自得だ。
 で済ましておくべきだろう、まる。

磯グループ2:前半
 磯班は祠から更に離れた磯で釣りや素潜りをすることに。ただ、義明と撫子に“気を利かせ”別行動である。


 だいたい磯でも船でも竿をフルスイングしてポイントを狙うものだ。
 自然と後ろを通るときは声をかけないと……大変なことになる。
「後ろに気を付けて、投げる。魚の餌も様々だから、アジなら虫などで良いだろうが、クエなら魚そのものになるな、もっともクエは滅多に釣れないし、かなり強烈なアタリだ。気を付けろ」
 と、エルハンドがどうするか訊いてきたシュラインに話す。
「ありがとう」
 礼を言って、釣り針に餌を付ける。
「釣りは初めて。ちょっと可哀想な気もするけどみんなの大事な御飯だから頑張らないと……!」
 と、ゆゆは釣りに挑戦するわけだが、餌の虫や他の餌を見て怯えと驚きを隠せない。
「どうしても……針に通さないと駄目なの?」
「そうなのよ」
 シュラインは簡単に餌を付けて「はい」とゆゆに渡す。
 ――たしか、小学校の時など、餌の取り付けに嫌がってあたしが代わりに付けてあげたっけ。
 など、昔を思い出す彼女。
「ありがとう」
 ゆゆは、感心していた。
 状況はまず平和。エルハンドものんびりと竿を持って釣りをしているのだが。
「よ――っし! みんながいっぱい釣れるようにBGM歌ってあげるね! ファーストナンバーから!」
 大きな声をはりあげようとする真赤に瞬間。
 |Д゚) 釣りは静かに〜 てい!
 音も立てず、彼女の膝を“秘技・膝かっくん”させる謎の小麦色。
「わ、わわわわ!」
 彼女は、バランス崩して磯から海にダイブ……大きな水柱があがった。
 幸い、まだ始まったばかりで良かったが、
「エルハンド怒ると、容赦ないよ。声とか封印されても知らないよ」
 と、練習もかねて釣りをしているゆゆは呟いた。
「まぁ……結果こういう事になるのだが」
 苦笑して、神は真赤を釣り上げた。
「世間を知らずしてどうする、若人」
「す、すみません」

 さて、同じバンドメンバーのさねとはというと……
 だいたい、素潜りする組と釣りをする組の境目でぼーっとしていた。
「たいへんやなぁ、おっちゃん」
「へー、そないなことが」
 焔は彼女の目線に何か居ると感じて、怖がって逃げた。
「どうしたの?」
 駆け寄ってくる猫を抱き留めるシュライン。素潜りに向かうらしい。
「にゃーにゃー」
 猫語を理解できるわけでないシュライン。だが何となくさねとの行動でピンと来たようだ。
「何しているの?」
「えーっとなぁ……ここで5年前酔って溺れたっておっちゃんがいるねん」
 さねとの指さす先には何もいない。
 ――ああ、あの子と同じね。
「そ、そうなの? それなりに楽しんでいるなら良いわ」
 ――あとで、エルハンドが何かするでしょう

 さて、龍は素潜りにした、あまり群れたくない彼なのだが、ほぼ強制参加なので渋々らしい。
「何が採れるか……楽しみだ」
 |Д゚)ノ 
「貴様もか!」
 |Д゚) 悪いかガキ。
「かわうそ? お前ホントはラッコじゃないのか?」
 |Д゚#)ぷー! らっこちゃう! かわうそ?はかわうそ?なのだ!
 ああ、又低次元な喧嘩が……。
「はいはい、喧嘩は止めましょう」
 と、シュラインさんが仲裁にはいって、事は収まる。
 |Д゚)ノ はーい
 美人には素直なナマモノ。現金な。
 気を取り直し、準備運動し、一緒に素潜りをする。当然、手に軍手等は欠かせない。それはウニを無理矢理掴んだりすると厄介だからだ。細かく、鏃のように中に食い込んでしまう棘なのである。
 この地域のうみうし、イソギンチャクと共生しているヤドカリに挨拶されて驚く龍も、慣れていけば目的のナマコとウニを上手く掴んで、かごに入れていく。面白いことに、
「この先に、ウニの群れがあるぞ」
 と、磯の穴からいきなり顔をだしてきたウツボが言ってくれた。
「ありがとう」
「さんきゅー」
 と、サインで礼を言う2人
 しかし、タコと遭遇し、2人に襲いかかろうとする所そのウツボは割って入ってくれたのだ。
 |Д゚) なぅー 分かりあえない宿命〜
 小麦色は言いながらも、その2匹の喧嘩に巻き込まれてしまった。
 (;´Д`)ノ いやー!
「今のうちに逃げた方が良いわね……」
 シュラインは、危険区域から脱出する。
 龍も急いで彼女の後を追う。
 その周りはタコ墨で真っ黒になっていった。


磯グループ2:昼食と午後
 シュラインさんは、弁当の他に、個々で採れた近海の魚と一部のウニを上手く捌いて、刺身にする。
「休憩しましょう」
「そうだな」
 と、皆で仲良く食事をする。
「凄く美味しいよ!」
「とれたては、なかなかいいねぇ!」
 と舌鼓。
「あれ? 居ないなデルフェスが」
「何処に行ったのかな?」
「特訓か何か?じゃないかな?」
「まぁ……大丈夫だろう」
「おくれすみませーん」
 と、デルフェスがやってくる。
「あまり無茶するな、名残でまだ金槌なのだから」
 エルハンドが注意する。
「はい、でも泳げるようには」
「気持ちは分かる。しかし焦りは禁物だ」
 それ以降はごく和気藹々と昼食に。

 昼食が終わり、シュラインは予定通り深淵に帰っていく。
「バーベキューするんだ」
 真赤は何を思ったのか、磯から去っていく。
「一寸用事だから気にしないでー!」
 と、言ってだ。
「はぁ」
 神は溜息をついた。

 釣りをするのは、エルハンドとさねと、あとの残りは素潜りか海遊びとなった。
 魚が沢山釣れたためだろう。どっちかというと珍味、貝などが不足しているので、龍はそちらを捕ろうと考えている。
「ハマグリとかサザエとかあんまり捕れなかった」
「気を付けろ、底の方にはクエが居るらしいからな。あれがいれば何とかなるだろうが」
 元気に海辺にて、貝を割って食べている小麦色を差す神様。どう見てもラッコの真似だ。
「ナマモノを信頼しているのか?」
「あれは驚異だぞ? 信じる信じない事はお前の自由だが、事実私のサポートしてくれている」
 ……そうか? ウツボとタコの喧嘩に巻き込まれていたんだが……?
 疑問を感じながら龍は素潜りに向かった。


 ゆゆは、一人磯の散策し何かを探している。
 それと、海の生き物を見て感動をしている。ヤドカリ、フジツボ、小さい蟹。波で打ち上げられたヒトデ。海は地球生命の母。ゆゆからすればそこまで壮大なことは思いつかないが事実である。
 陸の精霊故に海に落ちることは無かれ、本体に大きな影響をきたす。しかし彼女は探したい物があるのだ。
 エルハンドにお礼だ。
 前日に空鯨に会わせてくれた感謝を心と形で送りたい。純粋な気持ちなのだ。
 その、想いは海全体に伝わっているのは彼女自身知らない。
「なにか貝殻ないかしら? 桜貝しかわからないけど……」
 磯をキョロキョロしていると、光る物を見つける。
 既に中身は何かに食われたのか、もしくは中の住人が居なくなったか分からないが大きな貝殻を見つけた。桜貝ではないが、綺麗にさくら色をしている巻き貝が二つ。大きい物と小さい物。
「綺麗〜」
 ゆゆは、其れを拾って、またエルハンドの元に戻っていった。
「大きいのは彼の、小さいのは私」
 あの時、桜の木の下で写真を撮って貰った時を思い出しながら彼女は向かった。

 デルフェスは、こっそり、泳ぎの練習をしている。
 しかし、元のシステムがミスリルだったため上手く泳げない。いや、沈んでしまう。
「このままだと、一緒にエヴァ様達と遊べませんわ」
 がっくりするデルフェス。
「しかし! 私の願望のために!」
 と、ガッツポーズをするデルフェス。
 なんとか、バタ足は出来るようになったが、どんどん沈む。面白いように沈む。
 何故なのかと考えるよりはまず実行のほうが頭を占めている。
 それが注意を怠ることも知らず……。
 デルフェスは深みにはまってしまった……。
「きゃぁ!」
 その叫び声は、潮の音で皆に届かなかった。
 そのまま沈み、潮に流されるデルフェス。
「ああ、わたくしはここで……悲しすぎます……」
 と、助けを呼びたいが無理な気持ちになる。
 しかし、彼女の不運は続く。
 磯の穴から自分よりおおきな影が襲ってきたのだ。
 黒い磯の主。クエ。体長3mは有ろうかという巨大魚。おそらくデルフェスの水着に一部が餌と勘違いしたのだろうか?
「……!」
 逃げようとするがどんどん沈むデルフェスに為す術はない。しかしクエはデルフェスに襲いかかる。
「きゃー!」
 強烈な激突でデルフェスは苦しむが。そのままクエをつかんだ。

 一方、さねとが。
「なんか当たった」
 とぼけーっとしたように言う。
「うわ、重!」
 彼女の腕力ではつり上げられそうにない。
「私に貸せ!」
 エルハンドが代わり、其れをつり上げようとする。
「大当たりか?」
 しこたま貝を拾ってきた龍もかわうそ?もこのただならぬ状況を見守っていた。

「か……換石の術を……!」
 と、クエと格闘しているデルフェス。しかし、いきなりの浮遊感……いや引っ張り上げられる感覚に驚く。景色が泡となり、青空が見えた。
 換石の術の効果は、エルハンドに向かっていた。しかし、呪文耐性や強制変化術に完全耐性を持つ彼には何も起きず、クエは磯に投げられた。
 さねとは
「わーすごわー」
 と、まいぺーす。クエの活きの良さに感心している。
 釣り具を放り出して、エルハンドは落ちてくるデルフェスを受け止める。
「馬鹿者! だから無茶するなと言っただろう!」
「うう、すみません〜」
 と泣いてしまうデルフェス。
「まったく……私で良かったが、他の者だとどうなっていたか」
 溜息ついてデルフェスを起こした。
「申し訳ありません、エルハンド様」
 ションボリするデルフェス。
 クエという大物を手にしたが暫く時間があるので、皆で一緒に魚釣りをする。
 |ДT) ←じつはクエの下敷きになっている小麦色。クエが動くので余計苦しいらしい。

 暫くすると夕食時になったので、一行は“深淵”に帰る事となった。


4.シーフードバーベキュー
「うそだー! ここってスーパー無いの?!」
「ここはないぞ。土産屋か雑貨屋じゃ」
 と、真赤はがっくり肩をおとす。
「仕方ない、帰るか……野菜ぐらいは買って」
 と、トボトボ帰る真赤。
 その方がいいのだ。

「大漁ね〜♪」
 2班の大量具合にシュラインは驚いた。磯はクエだし、船は天然の大きなタイが2、アジ沢山。クエの方は流石に直ぐに捌けないので、ショーとしてかわうそ?の手に委ねられる。流石に料理の上手いシュラインも撫子もこの巨大魚は無理のようだ(智恵美さんは味覚が異常なだけで、捌くだけなら問題ないが船酔い+現在息子を説教中)。
「どうするのだ?」
 龍がかわうそ?に訊いた。
 |Д゚)ノ コレで捌く☆
 と、かわうそ?が手にしているのは、小さい包丁。
「うそだろ! お前が? って、前足で包丁持ってるし!」
「かわうそ? だからな」
「其れで片付けるなぁ! 納得いかないぞ、草間!」
 いや、コレに常識は一切無い。
 |Д゚) コレとはしっけいにゃー!

 深淵の一室で起きる大きな悲鳴を無視して、草間達は、網に魚介類を並べる。真赤の買ってきた野菜は、シュラインと撫子の手によって別の料理になる。薬味になる物一部はみなもにわたった。
「雑魚汁味噌仕立てです」
 と、彼女は言う。
 魚の臭みなどをとるには味噌も葱などの薬味野菜は役に立つものだ。
 わいわいと皆で楽しむバーベキューが始まった。
 かわうそ?のクエの包丁捌きショーを見て皆拍手を送り、バーベキューに、あとは煮物なりになるだろう。

 ゆゆは気持ち食べることは止めて雰囲気を楽しんでいる。その隣では、エルハンドがゆっくり酒を飲んでこの宴を楽しんでいる。デルフェスはシュラインと撫子から料理の手伝いを教わっている。亜真知はエヴァや零と一緒にご飯を食べて海釣りの話で盛り上がっていた。千春とさねとは、どこかの浮遊霊と談笑していて近づけない雰囲気をかもしだしおり、龍は相変わらずかわうそ?にからかわれていた。草間と言えば、疲れからか、単に食って飲んでいるだけで終始無言だった。

 何だかんだ言っても楽しい思い出が出来たことは変わりなく、今日も皆無事であった。

 義明やかわうそ?とデルフェスが後かたづけをすると言うことで、他の者は自由となる。何故かメイド魔神が連れてきた、メイドの内藤祐子も義明にくっつきたがるので、撫子も急いで参加。

 暇になったのは、みなもと龍、シュライン、千春、真赤にさねとぐらいだろう。

 部屋の窓から星空を眺めるシュライン。完全にばてているのに草間はまだ地ビールを飲んで、クエで作った煮物を食べている。
「夜空が綺麗……」
 シュラインがをみて呟いた。
「明日も晴れだな……明日はどうなることか」
 その隣に、相変わらずな草間が答える。
「また、此処に来れるかしら?」
 彼女の問いに草間はさぁなと言う。 
 それ以降、2人に会話らしいものはないが、良い雰囲気である。

 ふすまの隙間からエヴァと零が覗き見しているのも気が付いていないのだが。
 
 
 まぁ、大事もなく一日は過ぎたのだった。


最終日に続く。


■参加人物紹介
【0086 シュライン・エマ 26 女 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0170 大曽根・千春 17 女 メイドな高校生】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生】
【0428 鈴代・ゆゆ 10 女 鈴蘭の精】
【1098 田中・裕介 18 男 孤児院手伝い/何でも屋】
【1252 海原・みなも 13 女 中学生】
【1535 黒澄・龍 14 男 中学生/シマのリーダー】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体・・・神さま!?】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【2390 隠岐・智恵美 46 女 教会のシスター】
【2849 松田・真赤 22 女 ロックバンド】
【2867 飯合・さねと 22 女 ロックバンド】
【3670 内藤祐子 22 女 迷子の預言者】


■ライター通信ならぬかわうそ?通信
|Д゚)ノ ぉぅぃぇ〜
|Д゚) 予定異なった。3本、別執筆? 時間のズレなどはあまり無い。
|Д゚) 今回、一番参加が多かった、磯グループの1つなり。
|Д゚) あとラスト1日、たのしめー!

By かわうそ?