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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


草間兄妹の海水浴 私を海に連れてって (最終日/3日目)

 前回のあらすじ
 零とエヴァの可愛い我が儘で又“深淵”に海水浴に向かった。
 現地に着いた草間ご一行様は各々バカンスを楽しんで2日を過ごした。
 今日が最終日である。

 朝日の光が草間を起こした。
「兄さん、あさだよ〜」
 起こしに来たのは零だった。カーテンを開けている。
「そうか」
「皆、下で待ってるわ、いそいでね」
「ああ、わかった」
 今回の海水浴は彼女にどういう風に見えたのだろうか。
「タケヒコー」
 と、エヴァが抱きついてくる。
「もう終わりなの? まだいようよ」
「だーめーだー!」
「ぶー」
「エヴァ、だめよ。帰った後は片づけなどで忙しくなるんだから」
「はぁい」

 零にはだいぶ素直になったエヴァである。

 さて、昼迄に珍騒動はあるのか? 平和に過ごすことが出来るのか? である。
 

1b.波乱の朝
 織田義明は、朝起きると、沈黙していた。
 田中裕介の居候兼メイド(だから誤解です:裕介談)の内藤祐子が彼の布団の中で猫のように丸く寝ており、反対側では怒気を放出している天薙撫子であった。
「……」
「よしあきくん、これはいったい?」
「はい? 何故そんなに難しい顔をされておられるのでしょうか?」
 怒気を放つ撫子さんに対して、寝ぼけ眼のメイドの悪魔はボケボケな返答をする。
「誤解です。ええ、間違いない。メイド魔神の陰謀です」
 義明が落ち着いて訳をいうと、撫子は「そうですね」と満面な笑みをみせて、
「でも、浮気は駄目ですね」
 よっしーは妖斬鋼糸で簀巻きにされて木に吊されてしまいました。
 当然、メイド魔神こと田名裕介も同罪。
「何故、俺が〜! 無実だ〜! 誤解だ!」
「メイドの管理ぐらいしっかりして下さい。メイド魔神さん。嫌がらせも程ほどにして下さい」
「違うって! って、だから其の名前で呼ばないでー! って、君だけ抜けているし!」
 
「やかましい朝だな」
「昨日はかわうそ?だったね」
 草間はエヴァに抱きつかれながら、2人の簀巻き姿を眺めて言った。


 朝食になるまで義明は撫子の機嫌と仲直りする事は出来たモノの、簀巻き状態の裕介は朝食お預け状態、更に智恵美さんに又説教されていたのであった。
 なお、元凶である内藤祐子は、
「え? 自分の寝室に行こうとしたんですよ。でも起きたら、義明さんがいたんです。あーまちがえたんだ〜って起きて30分ぐらいで分かりました。あの、その、義明さん、撫子さん申し訳ありません」
 と、いう事であり、責任は全部裕介の監督不行きであるとなったのだ。
「裕介、あなたって人は先日、あれほど」
「母さん、その前にこの状態を」
「いいえ、じっくり反省しなさい、大体あなたは……」
 |Д゚) きゃっ
 説教はかわうそ?以外観客は居ない。
 皆楽しく朝ご飯を食べていた。


2.朝ご飯で会話色々あります。
「何故かえるの〜」
「スケジュールだ。仕事も残っている」
「ブー! 納得いかない!」
 と、エヴァの我が儘を聞き流し、草間は朝食を食べている。
「名残惜しいのが良いのよ、エヴァ」
「そうなのかな?」
「そう言うものよ」
 シュラインさんはエヴァを宥める。
 

「帰りの軽食作ろうかしら」
 シュライン・エマがぽつりという。
「シュラインのご飯美味しいから楽しみ!」
 エヴァがニコリと笑う。
「エヴァ、どんな食べ物が好き?」
「んっと、ねぇ」
 箸を器用に持って、好物は何か悩んでいる。
 実際霊鬼兵は食事をとらなくて良い。趣向で食べることはできるのだ。味覚もしっかりある。
「ウィンナーとビール」
「野球観戦でもするの? えっと、ウィンナーね。」
 苦笑するシュラインさん。
 アーリア人素体だから、多少趣向が残っているのだろう。
「んーっと、あまり好き嫌いがないの。嫌いと言えば、納豆」
「確かに納豆は人を選ぶわね」
 と、仲が良い姉妹というか友達な感覚で会話が弾む。
「兄さん、兄さん」
「何だ?」
「エヴァに優しくできないんですか?」
「……」
 零の質問を無視し朝食に集中する草間。
「こら―! 武彦さん。ちゃんと質問には答えるのよ」
 シュラインさんが肘で彼を小突いた。
「……」
 それでも、頑固に食べているので、シュラインと零は溜息をつく。

「しかし、なんでこんなものおくるんやろう?」
 と、飯合さねとは携帯で食事を携帯で撮す。
 ――ナマモノ撮ってきてね。
 と、メンバーから頼まれてのことだ。
 しかし、誰も突っこまない。此処の思い出で撮っているのだろうと勘違いしている。内容を知っているのは同じメンバー松田真赤のみ。
 さねとが写真を撮っている時、真赤はかわうそ?をどう撮ろうか考えていた。
 某メイド魔神が母親の説教を見物している小麦色を一回撮ってみたら……。
 映ったのは、何故か自分の幼いときの写真だった。
 おそらく、アレの許可無く写真を撮ることは不可能だというのだろう。
「あとで、かわうそ?呼んでみよう」
 と、美味しいご飯を食べて、さねとのおかずも少々頂く。
「あー、うちのごはんがー」
 間抜けな声で、さねとが不平をこぼした。


3.さて最後のバカンス
 食事の後、シュラインさんは草間と零の荷物を先にまとめていたり、草間はその間に夕方には帰るから其れまでは自由時間と言うことを皆に告げていたり、撫子さんは、又今朝の出来事を不安がっており、義明にくっついている。厨房で下ごしらえの時も、まるで大切な人に首輪を付けているかのよう妖斬鋼糸がキラリと光っていた。
 当のメイドの悪魔は義明に近づきたいのだが、事が事なので、近づけない。
 メイド魔神の方はと言うと……まだ智恵美さんに説教されている。解放される時間はまだ先のようだ。

「焼けた肌がひりひりしていたいですぅ〜☆ ほら……こんなにも焼けちゃったんですよ」
 と、千春は恥ずかしさも見せずにビキニをはだけさせて見せようとするが、女性陣に止められ……。
「あれ〜」
 連行されました、まる
 黒澄龍は、(しっかり千春の背中とか見て)なにやら決意をもって先に海辺に向かって出て行った。おそらく……あの小麦色をぎゃふんと言わせるつもりなのだろう……。


3e.ゆゆとシュラインは散歩(シュライン、ゆゆ)
「今年の夏は陽が強すぎて泳ぐ気になれないわ」
 と苦笑するシュラインと、
「あたしは、泳げないからね」
 と、植物の精霊であるゆゆは砂浜を散歩している。
 しっかり、2人とも日焼け対策はしている。
 小瓶をもって、貝殻などを集めるシュラインと、其れを見ているゆゆ。
 のんびりとした時間が過ぎていく。
「ねね、シュラインさん。木が呼んでいるよ」
「木が?」
「うん」
 ゆゆは、シュラインの手を引っ張って、砂浜から離れる。
 少し険しい道のようだが無理ではなかった。
 ゆゆは植物たちと会話して、安全な道を選ぶ。
 そして、たどり着いたところは、丁度、空鯨の祠がある崖だった。
「此処も又見晴らしが良いって」
「ホント、ステキね」
 遠くで、空鯨が空を“泳いで”いる。
「あ、鯨さん」
「また会えたわ。エヴァも帰りに見れるかもね」
「先に見せて貰ったの、エルハンドに」
「エルハンドってゆゆちゃんに優しいのね」
「うん」
 


3g.軽食作りとお料理講座(シュライン、撫子)
 シュラインは、昼に宿に戻って一汗流し、軽食を作り始める。
 丁度、撫子と亜真知が昼食を作りに帰ってきたので、一緒に作ることになった。
「少し豪勢になっちゃいそうね」
「ですわね」
 厨房からこっそりエヴァと零が覗いている。
「? どうしたの? 2人とも?」
 シュラインは訊いた。
「お料理教えて欲しい……」
 エヴァがモジモジと言う。
「良いですわよ」
 撫子がニコリと笑う。
 そして実戦をふまえた、撫子の料理教室が始まった。
 当然、夏美達が「技を盗みに」やってきて、厨房は大にぎわい。
 零もエヴァも必死に簡単な料理に挑戦している。
 シュラインは軽食を作り終えた後、撫子の料理教室に参加する。
 
 そのあと、撫子の豪勢な昼食で舌鼓を打ち、その後もバカンスや泳ぎの練習をしている一行だった。一部は沖から帰ってきた模様であるが……。


4a.終わりに
 夕方近くになった。
 みなもはおみやげ屋で、深淵饅頭やら、父親用に根性と書かれたお土産セットを買い込んで、うきうきしていた。また、一寸したお菓子も調達して、帰りも皆で楽しむことにする。
「海産物は、此処のお姉様達が用意して下さったし♪」

「さて、皆帰り支度は済んだか?」
 車のチェックを終えた草間が、宿の前で叫んでいる。
「武彦さん、点呼はあたしがするわ。はい、コレあなたと零ちゃんの分」
「サンキュ」
 荷物と軽食を渡し、シュラインはまた宿の方に。
「今年もありがとうございました」
 と、シュラインとみなも、亜真知が深淵の兄妹に礼を言って、暫く談笑する。ま、急ぐわけでもない。草間は草間で半日は寝ていたのだ。長距離運転するためか、単に歳のせいであるか、両方だろう。

「あ! タケヒコ! デルフェス! 亜真知! あ、あれ!?」
 空に何かを見つけたエヴァが草間と
「お、空鯨か」
「アレが空鯨?」
「そうだ。見送ってくれるんだよ」
「へぇ」
 感動するエヴァ。
 世界には色々あるんだと、純真無垢な瞳が輝いている。
「ステキですわね」
「又来年ですね」
 初めて見た一行も去年も見た者も、空を泳ぐ鯨を眺めていた。

「ありがとうございました〜」
 宿では夏美が見送り、空では鯨が泳ぐ。
 不思議な何と落ち着く感覚。
 草間の車が動き出した。
 
 皆がシュラインの軽食やみなもの用意したお菓子で余韻を感じながら楽しんでいるなか、ゆゆは疲れですやすやと眠っている。流石に潮風に当たりすぎなのだろう。エルハンドが付き添っている。
「仲が良いですね。良い感じで。“きょうだい”というかステキな感じです師」
「そうか?」
 義明が師に言う。少し微笑んで返すエルハンド。
「今年は暫く波乱がありそうです」
 と、義明の隣で撫子がぼやく。
 別の意味で波乱なんだろうな、義明は苦笑した。

「今度はメンバー全員でいけたらいいなぁ」
 さねとが、遠くなる深淵をみて言った。
「そうだね。いっそ来年あそこでライブって言うのも良いかも」
「いいかもなぁ。でもライブだと忙しくなるで?」
 真赤の言葉に突っこんでみるさねとだった。
 
 色々あったが、夏の充電は終わり、又日常に戻るわけである。


END

■参加人物紹介
【0086 シュライン・エマ 26 女 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【0170 大曽根・千春 17 女 メイドな高校生】
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生】
【0428 鈴代・ゆゆ 10 女 鈴蘭の精】
【1098 田中・裕介 18 男 孤児院手伝い/何でも屋+メイド魔神】
【1252 海原・みなも 13 女 中学生】
【1535 黒澄・龍 14 男 中学生/シマのリーダー】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体・・・神さま!?】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【2390 隠岐・智恵美 46 女 教会のシスター】
【2849 松田・真赤 22 女 ロックバンド】
【2867 飯合・さねと 22 女 ロックバンド】
【3670 内藤祐子 22 女 迷子の預言者+メイドの悪魔】


■ライター通信ならぬ、かわうそ?通信
|Д゚) 皆、おつかれまんもす
|Д゚) どきどきぱにっく
|Д゚) しかし、家つくまで旅行、みなも、いっている

|Д゚)ノ またどっかであえれば、かわうそ? うれしい♪