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<幻影学園奇譚・学園祭パーティノベル>


スウィートを召し上がれ! -anything you want-


01

 天下の雑食忍者・守崎北斗の密かな野望は、学園祭の食べ物に関する出店を制覇することであった。
 たとえ守崎家の家計を圧迫しようとも。娯楽にかける費用を削ろうとも。
 目の前に差し出されたならば食べねばならぬっ、と妙な使命感に燃えつつ――
「兄貴兄貴っ! これ行こう、これ、なっ!」
 北斗は、学園祭のパンフレットを指差して守崎啓斗にずいっと迫った。
 双子故に容姿は同じだが、緑色の瞳とまったく逆のベクトルに向かった性格のおかげで別人と知れる兄、啓斗は、難しい顔をしてパンフレットの紙面に踊る文字を睨んだ。
『何でもござれ フルーツ飴』、とある。
 主催は神聖都学園通り商店街。定番のリンゴを始め、ミカン、ブトウ、イチゴ、バナナ、ドリアン等々。
「……何でもござれ、というところに一抹の不安を感じるのは俺だけか?」
 日頃から北斗の暴食っぷりを目の当たりにしている啓斗は、店の前で繰り広げられるであろう光景をまざまざと想像して眉間に皺を寄せた。――果たして、ドリアン程度の変わり種で北斗の食欲を満足させることはできるのか?
「バナナにドリアンだって。何食おっかなー」
 啓斗の気持ちを知ってか知らずか。青い瞳を爛々と輝かせ、北斗。
「行こうぜ兄貴。スイカが俺を待っているっ!」
 弟に腕を引かれ廊下を歩きながら、
「スイカ……?」
 緑に黒い縞々模様の巨大なスイカお化けを思い浮かべ、いよいよ不安になってくる啓斗であった。

    *

 甘いものは別腹、とは良く言ったものだ。何でも科学的に立証されているとかいないとかいう話だが――
「さて、次は何を召し上がりますか?」
 クレープを食べた後でもまだまだお腹に余裕がある気がするのは、甘いものにお祭り、という相乗効果のおかげかもしれない。と、シュライン・エマは思う。
「このフルーツ飴というのも面白そうですね」
 クレープ屋から行動を共にしているセレスティ・カーニンガムは、パンフレットに掲載されたこれまた甘そうな出し物を指差し、穏やかな微笑を浮かべた。
「お祭りらしいですね」シュラインはパンフレットに目を落とす。「でもリンゴ飴じゃなくて……フルーツ飴?」
 パンフレットにはこんな謳い文句が。
『リンゴに限らず、何にでも対応!』。
 イチゴ、バナナまではまあ理解できる。
「ドリアン……。冗談抜きで『何でもござれ』なんですね」需要はあるのかしら、ともっともな疑問を抱くシュラインである。「美味しいのかしら、ドリアン飴って」
「お祭りでしか食べられないと思えば、美味しく感じられるかもしれませんよ」
「ああ、それは確かに」
「綿菓子やチョコバナナなどといったものも基本的に甘いだけでしょう?」
「お祭りへ行くとつい食べてしまうんですよね」
 雑談に花を咲かせつつ歩いていた二人は、ほぼ同時に、前方を歩く背の高い後ろ姿に気づいた。
「あれは匡乃君ではありませんか? ――匡乃君!」
 シュラインのクラスメートである綾和泉匡乃は、セレスティに呼び止められて振り返った。二人の姿を認めると、人好きのする笑顔を浮かべた。
「こんにちは。二人お揃いでどちらへ?」
「フルーツ飴を食べにいくところよ。匡乃君は?」
「奇遇ですね。僕もです。妹に弁当を作ってもらったので礼を言いにいこうと思いまして」
「それならご一緒しましょうか」
「ええ、是非とも」
 セレスティの提案で、一同は共に校庭へ向かった。

    *

「フルーツ飴、ですか」
 校庭の一角を占めている出店の看板を振り仰ぎ、モーリス・ラジアルは愉快そうな表情を浮かべた。
『何でもござれ』とは、また。
「自殺行為ですね」
 周囲の生徒には聞き取れない程度の声でつぶやき、くすりと笑う。
 モーリスは好んで甘いものを食べるというほうではない。人に付き合っているせいで慣れてきた、というのが本音だ。それもどこぞの貴族達が、茶会の席に並べているような、パティシエ作の洋菓子ばかりで――、
「このチープさはある意味、新鮮ですね」
 中流階級の人間が聞いたら腹を立てそうな感想を、モーリスは口にした。
「チープって何ですか、チープって」
 案の定、店番をしていた生徒がむっと睨み返してきた。
「調理工程が短いと解釈して良いと思いますが」何しろ果物を丸ごと飴に漬けて終わりだ。「まあ、折角ですしいただきましょうか」
「そうこなくっちゃ」店番の生徒は、にっと笑って腕まくりした。「さて、何にします?」
「そうですね――」
 何かあまり甘くないもの、と思って店の前に並べられた色とりどりの果物を物色していると、
「メロンかスイカ、丸ごと!」
 何やらとんでもない注文が飛んできた。
「ま、丸ごと?」
 さすがに予想外の注文を受けて、生徒はあんぐりと口を開ける。
 そこには、上機嫌の守崎北斗とその双子の兄の姿があった。北斗の背後で、啓斗は額を押さえている。今にも溜息が漏れそうだ。
「ほら、自殺行為だ」
 モーリス・ラジアルは、雑食少年と困り顔の生徒を見比べて、意地の悪い笑顔を浮かべた。


02

 ブドウ飴やイチゴ飴という物珍しさも手伝ってか、『何でもござれ フルーツ飴』はそれなりに繁盛していた。果物の仕入れ値などを考えると、利益は赤字を脱却できるかどうかといったところかもしれないが。学生のお祭りなのだから、客が集まれば出し物としては成功だろう。
 多くの生徒や一般客で賑わう神聖都学園の校庭。その一角に店を構えるフルーツ飴の屋台の前は、他の出し物よりちょっと目立っていた。色んな意味で。
「な、メロン飴反則? あの皮を全部剥いて飴かけちゃうの」
 などと、浮かれた注文をして店番を困らせている生徒が一名。
 守崎啓斗の横では、モーリス・ラジアルがにやにやと面白そうに彼らのやり取りを見物している。
 後から、セレスティ・カーニンガムにシュライン・エマ、綾和泉匡乃の三人組がやって来た。単純に、集まっているだけで注目を集めてしまうメンツとでもいえば良いか。じろじろと他の客から無遠慮な視線を浴びせられているのを、しかし誰も気にする様子はない。
「メロンじゃなかったらスイカ飴。もち丸ごとね。食い応え抜群だと思うんだけど……やってくんねーかな?」かな? と邪気のない笑顔を向けられ、店番の生徒はたじろいだ。「俺手伝うからさ?」
「……丸ごとなんて、ちゃんと食べるんですか?」と店番。
「ちちち、俺を舐めてもらっちゃ困るね!」悪戯っぽく目を細めて、北斗は人差し指ワイパーをした。「天下の雑食忍者なんだぜ? メロン飴の一つや二つ、バリバリ噛み砕いて食うに決まってんじゃん」
「北斗……」雑食少年の兄は、頭を抱えて溜息をついた。「おまえはいつもいつも、どうしてそう舞い上がったことばかり!」
 さすが兄貴。心得ている。
「メロンは高すぎる! せめて桃当たりで我慢しろ! それか枇杷か!」
 訂正。心得ていない(主に突っ込みどころを)。
「兄貴、かったいなー。たまのお祭りなんだから景気良くいこうぜ?」
「お祭りだろうが何だろうがいつも景気が良いじゃないか、おまえは!」
「まあ、そうとも言う?」
「おまえの限度を知らない胃袋のおかげで、うちのエンゲル係数はがんがん上がってるんだぞ……!」
「あ、かぼちゃ! かぼちゃ飴なんてのもアリじゃね?」
「人の話を聞けっ! おまえはスイカの皮でも食べてろ、この雑食忍者!」
「おっけーおっけー、皮も食うからさ。ってわけで、メロン飴よろしくー。あ、メロンは高いからマクワ瓜なんてのはなしだぜ?」
「まったく……」
 啓斗は、北斗の代わりに財布の中身を確かめている。説得は諦めたらしい。
「さすが脅威のブラックホールね」
 シュライン・エマは、呆れとも感心ともつかない溜息を漏らした。その顔には苦笑が浮かんでいる。啓斗は憮然とした顔で財布から夏目漱石を一枚取り出した。
「だから嫌なんだ、学園祭なんて。出し物がこんなものばっかりなんだから」
「まあまあ、そう言わず。折角のお祭りなんですから、啓斗君も何か注文なさったらいかがですか?」
 セレスティの宥めるような台詞に、啓斗は財布と相談しつつ唸る。
「そうだな……ここは杏飴が妥当か。昔からあるものだし味は保障されてる」
「冒険してみれば?」とシュライン。
「それは北斗だけで十分だ」啓斗は手空きの生徒に杏飴を注文した。「すまない、弟のしつけが悪くて……代金はちゃんと支払うから」
 値切るけど、と付け加える。え? と店番の生徒が固まった。
 啓斗はきっと顔を上げる。
「だってこの値段でこれだけの飴なんてちょっと少なすぎだろう!」
「それは弟君のメロン飴と比較してるからじゃないの?」とシュラインが突っ込む。
 いいや、と啓斗は首を振った。「せめて半額! いや! 三割で!」
 びしいっと指を指され、生徒は反射的に両手を上げた。
「あ、あの、三割じゃ原価下回っちゃうんですけど……」
「それじゃ35%だ!」
「もともと良心的な価格――」
「いや、君は騙されているぞ。祭のときは金銭感覚が狂うものなんだ」
「そ、そう言われましても」
 ――交渉は長引きそうだった。


03

 二人の(哀れな)生徒達に守崎兄弟の相手をさせておき、シュラインとセレスティは『ごく普通の』注文をすることにした。
「私は杏飴と葡萄飴お願いね」
「それでは私は、マスカットと巨峰のコントラトでお願いします」
 厄介な客がつづいたため、店番の生徒はあからさまな安堵の溜息をついた。
 メロンやスイカとまではいかないものの、地元の祭りでは味わえない飴に二人は大満足だ。シュラインとセレスティの頭上にはふわふわと花が舞っている。
「美味しいですね、シュラインさん」
「ええ。やっぱりお祭り効果でしょうか、セレス先輩」
 周りにまで伝染しそうな幸せオーラだ。
「折角ですから何か大きいものに挑戦してみましょうか。いよかんってどうなのでしょう」
「柑橘類だしいいけるんじゃないでしょうか? あ、レモンの酸味と飴の甘味っていう組み合わせはどうかしら」
「これは病みつきになりますねぇ」
 あまりにも二人がほのぼのとしているため、モーリスは毒気を抜かれてしまった。
「本当に貴方は甘いものがお好きですね」モーリスは、幸せそうにマスカット飴を舐めているセレスティに向かって言う。「お二人とも、先ほどクレープ屋にいたように思いますが?」
「そうなの。セレス先輩に奢っていただいて」
「クレープにつづきフルーツ飴ですか……」
「甘いものは嫌いですか?」
 匡乃が、ややうんざり顔のモーリスに訊く。
 こちらも何やら大量に購入した様子だった。王道のリンゴ飴を二本に、その他杏や苺などの小さいものがいくつか。自分は葡萄飴を頬張っている。匡乃までにこにこしているので、何も食べていないのにモーリスはお腹がいっぱいになってきた。
「好んで食べるほうではありませんね。――その大量の飴、どうするんですか?」
「妹が弁当を作ってくれましたので。お土産にいくつかと思いまして」
「ああ、汐耶さんですか」
「自分だけで楽しんではずるいでしょう? 美味しいものは分かちあわなければ」
「美味しいというより、甘いだけのような気もしますがね」
 チープですしね、と心の中でつぶやく。
「甘くなさそうなものにしては?」
「パインアップルの輪切りにしましょうか……」
 匡乃の勧めに従って、モーリスもパインアップル飴を注文した。シュラインがそれを携帯のカメラに収める。
 ドリアン、マンゴー、スターフルーツetc、『何でもあり』というよりはもはや『色物あり』と化している様々なフルーツ飴を、シュラインはカメラで激写しまくった。啓斗の値切り戦がまだ続行していたので、ついでにそれも写しておいた。
 他に何か良い被写体はないだろうか――と携帯を構えていると、北斗が写り込んできた。
「兄貴、まだやってんの?」
 巨大なメロン飴をあっという間に消費してしまい、北斗は宣言通り皮までばりばりと食らっている。豪快な食べっぷりに、セレスティはおやおやと目を丸くした。
「やっぱりスイカも食おーっと。兄貴のお咎めがないうちに」
「まだ食べるんですか、北斗君……」お腹いっぱいを通り越して、食欲が減退してくるモーリスである。「変わり種に挑戦するのも面白いかもしれませんが、その前に何か飲み物が欲しいところですね。口の中が甘くて仕方ありません」
「何か買いにいきましょうか?」
 匡乃は、気を利かせてセレスティとシュライン、北斗にリクエストを訊く。ちなみに啓斗はまだ値切り中だ(今のところ啓斗が優勢のようだった)。
「では行ってきますね」
 匡乃とモーリスは、連れ立って飲み物を買いにいった。
 なんとなく手持ち無沙汰なシュラインは、もう一つくらい挑戦してみようかと果物の山を眺めている――ふと、ライチが目についた。
 ライチ。あれは飴に包んで美味しいものなのだろうか。試してみたいようなそうでないような。一人腕を組んで思案していると、
「どうぞ、シュラインさん」
 セレスティからライチ飴を差し出された。
「えっ?」
「私の奢りです」
「あ……、ありがとうございます」
 物欲しそうにしていたのを観察されていたらしいとわかって、シュラインは頬を赤く染めた。ぺこっと頭を下げて、セレスティの手からライチ飴を受け取る。
 一口舐めてみたら、意外に美味しかった。
「いかがですか?」
 微笑を浮かべてセレスティは問う。
「美味しいです。果物と飴の組み合わせって、結構何でもいけるんですね」
「それでは私も少し冒険してみることにしましょうか」
 うきうきと追加注文をしにいくセレスティ。
 その隣りでは、ついに根負けした生徒が啓斗から定額の2.5割を受け取っていた。値切り戦は啓斗の大勝利に終わったようだ。
「よし、北斗の分の出費は補った――って、北斗! おまえ、今度はそんなものを……!」
「お、兄貴。やっと終わったんだ?」
 北斗は、ご機嫌な様子でスイカ飴を貪り食っている最中だった。もちろん皮ごと。
 恐るべし、雑食少年。


04

「それにしても――」
 衰えることを知らない守崎北斗の食欲を目の前にして、モーリスは呆れ顔でつぶやいた。
「神聖都学園通り商店街も、気前が良いと言うかなんというか……」
「あ、お帰りー」
 もごもごとかぼちゃ飴を食べていた北斗が、匡乃とモーリスに気づいて手を上げた。
「メロンの次はかぼちゃですか。良く食べますね」
 匡乃はしげしげと北斗の食べっぷりを眺める。
「あ、これ三個目。スイカも食ったから」
「……お腹を壊しませんか?」
「んー? 今んとこ平気だぜ?」
「万一北斗が腹を壊すようなことがあったら、俺達は食中毒であの世逝きだ」と啓斗。
 北斗は、最後の一口を匡乃から受け取った緑茶と一緒に流し込む。
「あー食った食った。まだいけそうだけど、兄貴に怒られっからやめとくかー」
 メロンとスイカとかぼちゃを丸ごと食べてまだいけるのか……? と啓斗を除き誰もが思ったが、口には出さなかった。
「桃とかも食ってみたいんだけどなー。フルーツ飴、来年もやらねーかな」
「そういえば、北斗君が食べているのは野菜ばかりですよね」
「へ?」
 匡乃の言葉に、北斗は間の抜けた声を上げた。
「そもそも、スイカや苺が出ている時点でもうフルーツ飴ではありませんよね」
「なんで? スイカも苺も果物じゃん」
「両方とも野菜ですよ?」
「えーっ、マジで!?」
「メロンもそうですが」
「それ詐欺だろ!?」
「『何でもござれ フルーツ&野菜飴』にするべきですよね」
 匡乃はにこにこと看板を指差す。
「苺のどこが野菜なんだよ!? 普通に甘いじゃん!」
「草本性植物が野菜、多年生で木になるものが果物です。その定義でいったら、スイカもメロンも苺も野菜でしょう?」
「なんかすげー騙された気分なんだけど……!」
 営業妨害になりかねない話で盛り上がっているせいか、店番の生徒の視線が冷たい。匡乃は彼らの視線を軽く受け流した。
「ま、美味しければ何でもあり、ですよね」
 ごもっとも。
 果物だろうが野菜だろうが、飴で包んでしまえば甘味であることには変わりない。
「甘いものって、幸せになれません?」
「セレス先輩とちょうどそんな話をしてたところよ」
「私はもう結構という感じですね……」モーリスは肩を竦めた。
「あんた、パインアップルしか食べてないじゃん。だからそんなに細いんだぜ? もっと甘いもん食わなきゃ駄目だよ」
「甘いもの限定なんですか?」モーリスは短く溜息をついた。「芸術作品のような洋菓子ばかり食べていると、『甘いだけ』のフルーツ飴はいささか簡素に過ぎますね」
「何だよそれ。あんたブルジョワ?」
「それに近いかと思います」
「マジ? じゃあ夕飯奢ってくれたりしないかなーなんて!」
 モーリスは、にこりと微笑を浮かべた。
「可愛い後輩には奢ってあげても良いですよ」
「北斗、おまえはどうしてそう、食い意地が張っているんだ……」北斗が既に奢ってもらう気満々なので、啓斗は脱力した。「北斗を甘やかさないでくれ。与えられればいくらでも食べるんだ、こいつは。ブラックホールなんだから」
「育ち盛りの証拠でしょう。啓斗君もいかがですか? 何でしたら皆さんで食事にでも行きましょう」
「良いですね。歩き回るのも疲れてきましたしね」
 異議を唱えるものはいなかった。
 というわけで、一同の次なる目的地は、校外のファミリーレストランに決まった。


05

 お祭りと甘味の効果はまだつづいていたらしい。
 モーリス以外の全員が、さんざん何でもござれ飴を試したにも関わらず、彼らはまだ『甘いもの』が食べ足りないようだった――
「奢るのは構いませんが」
 テーブルの上に並んだ色取りどりのデザート類は、モーリスから食欲を奪うには十分すぎるほど十分な量だった。
「折角甘いものに慣れてきたというのに、しばらく食傷気味になりそうですね」
 チョコレートパフェにチーズケーキ、ショートケーキ、抹茶アイス、その他色々。
 見ているだけで幸せになれそうな甘味類は、確かに一同の心を潤しているようで。
 頬を緩ませている後輩達を見ると、まあ良いか、という気になってしまう。
「君は食べないんですか?」
 セレスティに訊かれ、モーリスは首を振った。
「先ほどから言っているように、ね。――皆さんの顔を見ているだけでこちらはお腹がいっぱいですよ」

 ですから、どうぞ。
 ――お望みのスウィートを、好きなだけ召し上がって下さい。








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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 2−A】
【0554 / 守崎・啓斗 / 男 / 2−A】
【0568 / 守崎・北斗 / 男 / 2−A】
【1537 / 綾和泉・匡乃 / 男 / 2−A】
【1883 / セレスティ・カーニンガム / 男 / 3−A】
【2318 / モーリス・ラジアル / 男 / 3−A】


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■         ライター通信          ■
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 はじめまして&こんにちは、ライターの雨宮祐貴です。
 パーティノベルへのご発注ありがとうございました。皆さん仲良しのようなのでなんとか一場面に全員登場させてみたのですが、おかげで読みにくい文章になってしまいました……。指摘等ありましたらお願いします。

シュライン・エマ様
 私の中では「カッコイイお姉様」のイメージが強いシュラインさんですが、プレイングを拝見したら意外に可愛らしく(失礼)、セレスティさんと共にほのぼのしていただきました。セレスティさん相手は敬語でよろしかったでしょうか?

守崎啓斗様
「真面目な性格故にちょっとズレている」人物は個人的に好きなので、楽しく書かせていただきました。特に値切り攻防のあたり。北斗君のおかげで妙に生活力がありそうですよね(笑)。

守崎北斗様
 雑食忍者なら、食べ物ネタでは花を持たせてあげなければ! と、最初から終わりまで食べまくっております。「何でもござれ」だなんて、北斗君のためにあるような出店ではありませんかー。

綾和泉匡乃様
 果物と野菜の定義は私も知らなかったので、調べてみました。そうして北斗君が野菜ばかり食べていたことに気づきました。匡乃さんの博識(雑学?)っぷりはどこまでカバーし得るのでしょうか。

セレスティ・カーニンガム様
 前回のパーティノベルが悪戯心たっぷりのセレスさんだったので、今回は毒気のないほのぼのセレスさんです。普段は高級チョコレートや洒落た洋菓子を優雅に食べてらっしゃるんでしょうねぇ、セレスティさん。

モーリス・ラジアル様
 今回の件で甘いものが苦手になってしまったらどうしましょう(笑)。私もどちらかというと甘味が苦手な人間なもので、モーリスさんと一緒になって「もうお腹いっぱいです」と思いながら執筆しておりました。


 では、またどこかでお会いできることを祈りつつ。