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<東京怪談・PCゲームノベル>


□うさぎりすとよっしー

 天薙撫子の神社、神薙神社はかなり奥に庭がある。庭と言うより森だ。
 それは、信仰している神の実質的大きさから来ているともいえる。神薙神社の広大な鎮守の森の中にご神木がある。そこから、居候であり従妹として慕っている神様がお目覚めになった所でもあるのだ。
 それからかなり経ったのだろうか。

「久しぶりに、ご神木の下でお茶会をしたいですわ」
 と、天薙撫子はおもった。
 従妹サマの方は、まだ三滝との戦いによる反動で、欠席するとのこと。抑止力のせいで眠たいらしい。
「今度は、師匠と義明くんをお呼びしましょう」
 ニコニコと準備と連絡を入れる撫子である。
 
 天空剣道場での事。
 義明にお茶会のことを話し誘う撫子。
「うん?いいよ」
 義明は即OKがでた。
 愛する人の誘いを断るはずがない。
 エルハンドは頷いて、
「お前の従妹の調子を看ないと」
 といった。娘みたいに思い始めているのだろう。
「私、一寸用事があるから……ごめんね、撫子さん」
 茜は何故か断った。
 すこし恥じらいを感じだが、撫子さん気が付かず、気づいているのは、エルハンドと親の平八郎ぐらいだ。何か彼女にいいことがあったらしい。
 義明はと言うと「?」と首を傾げるだけである。
「では、エルハンド殿、義明、儂等でいくか」
 平八郎が確認をとる。
 |Д゚) ←行きたそうな顔
「お主は勝手にくるじゃろうが」
 |Д゚) がーん!
 どうやらメンバーは決まったようだ。
「では、明日にお待ちしております」
 撫子はお辞儀をした。

 義明は撫子を神薙神社まで送っていく。三滝の件が終わっても、結果半神位まで上がった撫子を襲う者がいる可能性があるからだ。
「でも、一緒にお茶するのは撫子と俺だけっぽいかも」
 と、帰り道にとんでも無いとこを言う恋人。
 撫子はとたん顔を赤らめてしまう。
「え、そそ……」
「だって、師は従妹を看病するみたいだし、おじさんは多分撫子の爺さんと囲碁するだろうし……それは」
「それは?」
「みーんな、俺と撫子を二人っきりにさせたがっているのさ」
 にっこり微笑む若き剣客。
 その、笑顔に見とれてしまう撫子さんであった。



 神薙神社に集まったエルハンドと義明、平八郎とかわうそ?は、母親に招かれ、ご神木のお茶会場に向かう。
 お茶会と言っても、雑談ではなく、日本の茶道のように厳かな雰囲気で行われる。御神木の池の畔で、ゆっくり堪能するのである。その時に一切私語はない。
 礼儀ということだろう。
 撫子が茶を点てて、皆が茶道の礼に従いお茶を戴く。
 茶道はもてなしなど思いやりを大事にする事に意味を見いだすと言われている。
 ご神木の前でのお茶は神に対しての礼儀と、また相手への感謝と言うことだ。
 そうは言っても、はじめの礼儀だけで終わり、撫子よりものほほんとした母親が、色々な和菓子とお茶を持ってきた事で、厳かでなく気の楽なお茶会に変わるのだった。
「では私はお前の従妹を看てこよう」
 エルハンドが去っていく。
「ここは縁側で一局と一献どうかと思うのじゃが」
「それはいいな」
 と、爺さん達退場。
「あらまぁ。じゃあわたくしも失礼しますね」
「お、お母様!」
 珍しく鋭い母親の行動に、赤面して慌てている撫子。
「かわうそ?様は……」
 |Д゚)ノシ ===3 馬に蹴られたくないから
 そそくさと退場するナマモノ。
 義明の言った通り、二人っきりになってしまった。
「言った通りだろ?」
 勝ち誇っている恋人
「もう!」
 恥ずかしいのか拗ねてみる。
 流石にご神木の前でいちゃつく事は罰が当たりそうだが、ご神木の方も何となく許可しているようで余計に恥ずかしい。
 ただ恋人の涼しげな顔がとてもステキだなと撫子は感じずにいられなかった。
 かなり天然で、放っておけなかった彼が、ココまで成長したのも自分の影響なのかとか思ってしまう。
 会話はなくても、一緒にいられるだけで落ちつけるのは何とも心地良いものだろうか。

 しかし、少しご神木が気になった撫子。
「どうしたの?」
「何かあるようです」
 畔から、橋を渡り、ご神木を見上げる撫子。
 見た目は霊気の放出具合も木の健康状態も良好だが、何かがあった。
「あれは……卵?」
「え?卵?」
 義明が気になって撫子の目を追った。
 しっかり視認しないと見つけることが出来ないところに45cm程の大きい卵がある。
「ガチョウの卵に近いね」
「ですね……何なのでしょう?」
 と、会話していると、卵が音も立てず落ちてきた。
「あ、あ、ああああ!」
 慌てながらも撫子さんがキャッチする。
「危なかったね」
「ええ、しかしコレは何なのでしょう?」
「師か従妹さんなら分かるかも」
「ですわね……って!?」
 卵にヒビが入り、光と共に何かが飛び出してきた!
「きゃぁ!」
「!?」
 仲から出てきた物体は……。
 白くうさぎ耳に可愛い瞳、栗鼠とも猫ともとれるような身体の奇妙な生き物だった。
「微弱に神格を感じますね……」
 その生き物は、撫子をみると、軽やかに飛びついて身体をすり寄せた。
「可愛い」
 この生き物の仕草がとても可愛かったし、撫子にとても懐いている。
 撫子はとてもご機嫌である。
「可愛いな。ほれ、こっちにもきて」
 と、動物好きでもある義明が誘うが、
 ぷいっとそっぽ向いた。
「む、なんちゅう……」
「どうしたんでしょうね」
「うーん」
 撫子の肩にのっているその生き物を義明が触ろうとすると。
 思いっきり噛みつかれてしまった。
「ぎゃああああ!」
 痛みには結構慣れている義明ではあるが、かなりいたがっている。
 小柄の生き物がまるでスッポンのように義明の手から離れない。
 本気で噛んでいる。
「よ、義明くん!」
 あわてて、撫子は義明に噛みついている生き物を触る。
 とたん、つぶらな瞳で撫子の所にもどって身体をすり寄せた。
「うわー、いってー。かなりいたい」
 と言いながら、義明は瞬時に噛まれた傷を自分の神格で癒す。流石に三滝の戦いでの負傷は治らなかったが、この生き物の傷は治せた模様だ。
「うーん。すり込み。でしかも、撫子に近づく者は敵って感じだな〜」
 義明はがっかりする。
「義明くん……気を落とさないで」
 と近づく撫子。
 とたん
 生き物は義明の頭をがぶりと噛んだ。
「ぎゃああああ!」
「あーやめなさぁい」
 当然他の者が何事かと駆け寄ってくるのであった。


 で、一応傷の手当てをして分かったこと。
 この生き物は、義明以外には一応友好的か中立なのだが、義明に対してかなり敵対している。
 機嫌が悪くなる一方の義明と生き物。火花が飛び出す勢いだった。
 |Д゚) …… ←ナマモノ
 |・) …… ←うさぎりす
 二匹は暫く見つめ合ったあと、仲が良くなった、謎生物同士なにか通じたのだろう。
「り、理不尽だ」
 敗北感を感じるよっしー。
 かわうそ?とそのうさぎりすが遊んでいる所を撫子は眺めている。
 よっしーは、今は彼女に近づけない。アレは瞬間移動で噛みついてきそうだからだ。
「おそらく……」
 エルハンドが口を開いた。
「どうしました?」
「あの生き物は、従妹の理力と覚醒した撫子の神格で生まれた新しい神の幼生だな」
「なるほど……」
「で、すり込みで撫子を母親と思っている」
「しかし、俺に対して……」
「どこぞの誰かさんの嫉妬も受け継いでいるのかもな」
 エルハンドはくっくっくと笑った。
「嫉妬するって……あの二名しかいない気がする……」
 そう、幼なじみともう一人、抑止力でまだ本調子ではない撫子の従妹様だ。
「はぁ、どうしようかね」
 よっしーは溜息をついた。


「星凰、こっちに来なさい」
「ぴー」
 撫子に命名された幼生。
「星凰? そんなのナマモノでいい……」
 ヤキモチを妬いて悪口を言うよっしー。だが、
 ガブ
「ぎゃあああ!」
「よ、義明くん! 星凰やめなさい!」
 見事に噛まれるよっしーに慌てて止めに入る撫子さん
 本日の神薙神社は平和でありました、まる


End

■登場人物
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生(巫女):天位覚醒者】

【NPC 織田・義明 18 男 神聖都学園高等部・天空剣剣士】
【NPC エルハンド・ダークライツ ? 男 神・天空剣剣士】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】
【NPC 長谷・平八郎 65 男 長谷神社宮司】

【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女(長谷家継承者)】

■かわうそ?通信
 |Д゚) ……よっしー災難
 |Д゚) ……別に悪いことしてないのにね(同情しているようです)
 義明「母離れしてくれるまでどうなるのかなぁ……はぁ」
 |Д゚)ノ 気を落とすな、今日より明日