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<東京怪談・PCゲームノベル>


§茜の子育て奮戦記

 まず、長谷神社に白の着物に水色の袴姿の五歳の子供を抱っこしている茜が居た。
「茜姉しゃま」
「なぁに?」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。今日は何して遊ぶ?」
 その子供は、禰宜に近い姿で黒長髪、抱きしめたくなるほど可愛い。
「ぼく、姉しゃまといっしょにいる〜」
 と、とても甘えている。
 驚くべき事だが、この子供、あの宮小路皇騎であるのだ。


 事は、前の神聖都裏山浄化仕事の後にある。
 皇騎の従妹が天位覚醒して一気に浄化したのは良いが、悪魔をそのまま消滅させた程の威力。しかし、その悪魔1体は死に際の呪いを発動。自分を攻撃しようとしていた皇騎にかけたのだ。それは「時の逆行」の呪いで、心身記憶共に若返っていき、最後には無になる恐ろしいものだった。
 ただ、完全ではなかったようで、皇騎は5歳まで退行するのみに留まり、暫くこの神社の神木の霊気を浴び、然るべき術式にて解呪可能という事が分かった。
 大きなすくいは、茜の神社の前で別れる寸前にこの呪いが発動したことと、彼の茜に対しての“想い”は記憶から無くならなかったことだ。これだとかなり不完全と見て分かる。
 皇騎の幼児化にともない、彼の元からの霊気が喰らおうとする悪鬼を呼び起こした。急いで茜はハリセンではなく皇騎の持っている式神と自分の加護をしてくれている“霊木”の力で悪鬼達を浄化させ、急いで自分の神社に担ぎ込んだのだ。


 それから数日後のことがこれである。
「時間の逆行の解呪はエルハンドから教えて貰っている……これは私が何とかしなきゃ」
 と、意気込む茜。
 とは言っても、5歳児の腕白ぶり皇騎君を世話するのは結構疲れる。幸い懐いている分、いや茜を好きである分、彼女の言うことを聞いてくれるが、霊木と鳥居を使った四方結界の外には、義明の体験していたこと同じく、皇騎の魂を喰らいに来ている悪鬼や悪霊が待ち伏せしているのである。宮司姿というのは彼の好みのようだ。
 けっこう、茜は疲れて縁側で溜息をついている。座ろうとしている時なんて「よっこいしょ」と言うぐらいだ。
 |Д゚) 育児疲れ?
「似たようなものね……って、皇騎さんと一緒にいるのは苦じゃないけど、結界維持で殆ど精神を使っているから」
 |Д゚) ふむー……
 と、かわうそ?と話をしている時である。
 廊下を走ってくる足音のすぐに……。
 |ДT)! あおう!
「姉しゃまに近づく物の怪め!」
 |ДT) かわうそ?も物の怪あつかい〜!?
 皇騎は、特撮ヒーローのキックを小麦色に食らわす。小麦色はそのまま吹き飛ばされて(自分で吹き飛んだのだが)風船みたいに破裂した。
「姉しゃまはボクがまもりゅ!」
「そんな、演出するから……誤解というか遊び道具にされるんだよ」
 茜は皇騎を抱いてから、なんとなく結果的になのかどうかは分からないが、育児のサポートをしてくれている小麦色の生物に感謝し苦笑した。


「まぁ、この状態を打破するに時間がかかるかなぁ」
 茜は子皇騎を寝かしつけた後に自分の工房であれこれ、解呪術を考えている。
 既に長谷神社後継者となった茜は巫女姿で動くが、宮司やそれに近い階位となった。また元からエルハンドに異世界の魔術魔法特に時間魔法を教えて貰いその魔導書関連や研究の成果の物品は自室に置けないぐらいになっているので、実家に地下室を作ったぐらいである(正確には半分エーテル界に置いている特殊な空間だ)。
「私が霊木を維持できる時間と、解呪儀式の時には四方結界の弱体する……。お父さんがサポートにまわったとしても1つの方向のみ。この件にはエルハンド、よしちゃん……には頼めないし。うーん」
 紙に色々論を書いては丸めて捨ての繰り返し。
 若いため、精霊と結界維持消費コントロール難しい。消費が激しく、やはり育児と、結界の維持で疲れている。
「ちゃんと皇騎さんを元に戻さないと……だって……私の大切な人だから」
 真剣な目だった。

 自分も寝ないと、と寝室に戻る。そこには 皇騎はかわうそ?を枕にしてすやすやと眠っている。それは、とても可愛かった。
 |Д゚) ヤッパリ蔑ろされてる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
「がまんしてね」
 |Д゚) あうち
「ねえしゃま……だいすき」
 皇騎は夢の中でも茜に甘えているようである。


 解呪の日になった。四方結界をもう何重にかけて、対応することと、父親と小麦色の“謎”に頼むことに。流石に義明とエルハンドには頼めなかった。
「たぶん、感づいて来るかも知れないけど」
 頼りにしちゃ行けないと茜は自分に言い聞かせる。
 既に、彼女は世界を護るための役目を背負ったのだから。
 また、愛する人を守り、そして共に歩むのだから。
 気負いすぎというわけではない。其れが自然である。
 儀式の間で不安がっている皇騎が不安そうに、
「ねえしゃま?」
 と、聞いてきた。
「皇騎君、じっとしていてね」
 彼女は彼の頭をなでる。
 すると、頬を真っ赤にする皇騎が頷いた。
「そのまま、その白い枠からでないでね」
 と、言って、彼女は多元宇宙の上位言語で術を唱え始める。
 天使の詩に似た声は、長谷神社に響いた。
 皇騎の身体に異変が起きると同時に、神社を護っている(正確には皇騎)結界が崩れていく。
「持ちこたえてくれよ、娘!」
 平八郎が、ありったけの力で、皇騎を狙おうとする悪鬼達と戦っていた。
「うわあああ!」
(もう少しだから……もう少し……)
 苦しみ出す皇騎に、術に集中する茜。
 しかし、かわうそ?がボールみたいに転がって来たとき、最後の結界が破られたとわかった。しかし続ける。多くの悪鬼が彼女と皇騎を襲いかかってくる!
「解!」
 その言葉と、悪鬼達のおぞましい噛みつきの音は同時だった。
 |ДT) あかね!
 しかし、かわうそ?が心配した結果にはならなかった。
 茜は気を失っているが、宮司姿で、自分の宝剣を持った元の皇騎が悪鬼を蹴散らしていたのだ。精霊は2人に“加護”を与えている。
「茜さん、ありがとう。俺の為に頑張ってくれて」
 霊木は“私はどうなるの? まぁそんなことを聞くのは野暮ね”という感じで揺れているが、しっかり2人を護っていた。
 あとは、皇騎自身が茜のがんばりに応えるのみである。
 茜が予め用意してくれていた、彼の呪符を数枚取り出し、精霊と共に悪霊・悪鬼を退治するのだった。


 茜は布団の中で目覚める。
 時間は、どう見ても夜中。
 目の前に、うたた寝している皇騎。
「術成功したんだ……よかった」
 やおら起きあがって、眠っている皇騎を抱きしめる。
「ん? 茜……さん。大丈夫ですか?」
「うん 大丈夫。よかった」
 目を覚ました皇騎に、にっこり微笑む茜。
「ありがとうございます。茜さん」
 少し困惑している皇騎。
「五歳の皇騎さん、可愛かった」
「え? そ、そんな」
 真っ赤になる皇騎。
 茜も少し頬を赤らめ、彼にキスをし、一緒に布団の中にと誘う。
 2人の肌の暖かみを感じて、夜は更けていった。


 霊木は、心地よい霊気の風を神社中心に吹かせて、全ての良き生き物に良き霊に安らぎを与えていた。

 |Д゚) ←これは何処にいるか知らないが。気にすることもあるまい。所詮ナマモノだし。


■登場人物紹介

【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生(財閥御曹司・陰陽師)】

【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女(長谷家後継者)】
【NPC 長谷・平八郎 65 男 長谷神社宮司】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】

■かわうそ?通信
|Д゚) ラブラブ? らぶらぶ? 
|Д゚)ノ せんせー! これはドキドキモノですか?!(謎の発言)
|Д゚)ノ せんせー! 砂糖はどれぐらいですか?!(更に謎の発言)
|Д゚) 恋愛に使命、両立ガンバ。
|Д゚) あとの2人がどうなった、知りたい? 
|Д゚*) 想像に、お・ま・か・せ(はぁと)

平八郎「蔑ろと言っても、お主の方が出番おおいの〜」

|Д゚) メインタイトル、頭、かわうそ?だし