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【 想い――つながる 】
お前は今、何してるんだ。
本当にごくわずかな時間なのだが、こんなことを考えてしまうときがある。
自分がここにいることの意味は?
答えがでないことなんてわかっているし、考えたって仕方がない。
今、ここにいること自体が全てで、それ以上でも、それ以下でもない。
もし意味があるとすれば、存在することの全てが意味になる。
難しいことかもしれないが、深く考えようとしなければごく当たり前のこと。
それを、ごく当たり前と感じられるようになったのは――彼女のおかげなのかもしれない。
体調を崩したので、今日は学校を休みます。
今朝、学校へ向かおうと思った矢先に入ったメールの内容で、一気に学校へ行こうという気持ちがそがれてしまった。
彼女は今日、学校に来ない。
会えることが当たり前。日常の中に彼女の存在は確かで、いないことが「非日常」と感じるようになったのは、いつのことからだっただろうか。
遠い昔ではないし、近い過去でもないと、はっきり言える。実際の時間を数えたら、どちらかと言うと後者なのかもしれない。しかし、そうとは感じさせないぐらい、心の深いところに浸透している、彼女という存在の大きさ。
どんなものさしを使っても、測ることなんてできない、形なきもの。
今日は彼女と会えない。
もし会えたら、何を話しただろうか。
いつも、彼女とはどんな話をしていただろうか。
そこにいることが当たり前すぎて、いなくなったときにあらためて考えてみると、なかなか浮かんでこない。
彼女のこと。自分のこと。彼女のペットのこと。自分のペットのこと。
昨日見たテレビのこと。今日の学校でのこと。それから、それから――
◇ ◇ ◇
あなたは今、何をしてますか。
本当にごくわずかな時間なのだが、こんなことを考えてしまうときがある。
自分が自分という存在でなかったら?
答えがでないことなんてわかっているし、考えたって仕方がない。
もし他の存在として自分が在ったのなら、それを受け入れなければいけないのだろう。
けれど、今更自分が他の存在になることはできないし、自分の存在を否定しなければいけない。
今の自分を否定なんてしたくないし、誰かに自身の否定をしてほしくもない。自分は自分でしか在れないのだから、自分を大切にしてほしい。
それを、ごく当たり前のように感じられるのは――彼のおかげかもしれない。
体調を崩したので、今日は学校を休みます。
今朝、目を覚ましたと同時に感じた不快感に、起き上がることができなかった。
こんな状態で学校へ行ったら、周りの人に余計に心配をかけてしまうだけだ。潔く休むことを決意すると、一人、どうしてもそのことを伝えなければいけない人物が脳裏に浮かんで、メールを送る。
返事はない。きっと、さらに返事を返さなければいけなくなるから、気を使って返してこなかったのだろう。
彼らしい。と、思わず微笑ましくなった。
会えることが当たり前。日常の中に彼の存在は確かで、いないことが「非日常」と感じるようになったのは、いつのことからだっただろうか。
遠い昔ではないし、近い過去でもないと、はっきり言える。実際の時間を数えたら、どちらかと言うと後者なのかもしれない。しかし、そうとは感じさせないぐらい、心の深いところに浸透している、彼という存在の大きさ。
どんなものさしを使っても、測ることなんてできない、形なきもの。
今日は彼と会えない。
もし会えたら、何を話しただろうか。
いつも、彼とはどんな話をしていただろうか。
そこにいることが当たり前すぎて、いなくなったときにあらためて考えてみると、なかなか浮かんでこない。
彼のこと。自分のこと。彼のペットのこと。自分のペットのこと。
昨日見たテレビのこと。今日の学校でのこと。それから、それから――
◇ ◇ ◇
どうせ、俺が心配してるかもしれないって、気にしてるんだろ。
授業はほとんど頭に入ってこなかった。教師が黒板に書き込んだことをとりあえずノートに書き写してはいるものの、心ここにあらず。
普段ならもう少しまじめに授業を聞いている気がするが、今日はめっきりやる気が起きなかった。
心配なのだ。
体調を崩したといっていたけれど、何をして崩したのかが気になる。
風邪? それともなにか、身体に負担がかかるようなことをしたのか?
気になる。でも、聞けない。ここでメールを送っても、電話をかけても、安眠妨害だ。
しかも、自分が彼女のことを心配しているということを気にして、余計に体調を悪くさせる要因を作ってしまいそうで。
それとも、俺のことなんか気にしないで、ちゃんと爆睡できてるか。
それはそれで、寂しい気がした。けれど、彼女に限ってそれがありえないということもわかっていた。
だからこそ、余計に気になって仕方がない。
時がすぎるのが遅すぎる。彼女と一緒にいないと、一日はこんなに長く感じるなんて。
あー、そうだ。話したいこと、あったんだった。
昨日のテレビを見ていたとき、ふっと耳に飛び込んできたコマーシャル。何の変哲もないものだったのに、なぜか目を離せなくなってしまった。
たかが十五秒。けれど、その十五秒が鮮明に頭の中に叩き込まれた。
映画のコマーシャル。同時に駆け抜けた、一つの想い。
明日でもいいか……でも、できたら――
◇ ◇ ◇
きっと、私が体調を崩したことを気にしてくれてんだよね。
身体は深い眠りにつくように訴えてきているというのに、目を閉じても不思議と眠れなかった。早く眠って、しっかり疲れを癒して、体調を治したいのに。明日は学校に行きたいから。
けれど、眠りにつくことはできなかった。
気になるのだ。
体調を崩して自分が休んでいることを、きっと彼が気にしているだろうと思って。
心配をかけたくないのに。迷惑になってしまうのに。
大丈夫だから心配しないでなんて言ったら、余計にひどいように思われてしまいそうだ。
やっぱり、朝のメールは送らないほうがよかったかもしれない。けれど、学校に来ていないことで、逆に心配をかけてしまう。
それとも、私のことなんか気にしないで、今日一日をすごしているのかな。
それはそれで、寂しい気がした。けれど、彼に限ってそれがありえないということもわかっていた。
だからこそ、余計に気になって仕方がない。
時がすぎるのが遅すぎる。彼と一緒にいないと、一日はこんなに長く感じるなんて。
あ、そうだ。今日は話したいことが……あったのに。
昨日のテレビを見ていたとき、ふっと耳に飛び込んできたコマーシャル。何の変哲もないものだったのに、なぜか目を離せなくなってしまった。
たかが十五秒。けれど、その十五秒が鮮明に頭の中に叩き込まれた。
映画のコマーシャル。同時に駆け抜けた、一つの想い。
明日でもいいけど……できたら――
◇ ◇ ◇
長い一日が終わりを告げる。
結局、魂が抜けたような一日をすごしてしまった。
一緒にいないと、意味のない一日になってしまう。
でも、今日を意味のない日にしたくはない。
だから、せめて。
携帯電話を開いてメールを作成する。内容は、今日話したかったこと。
明日でも、ぜんぜんかまわない内容なのだが、一緒にいれなかった今日を意味のある日にするために。
メールを作り終えて、送信ボタンを押した。届けられるメール。
携帯電話を閉じて返事を待とうとしたが、間髪いれずにメールの受信を告げた。
開いて確認する内容、それは――
「え……?」
――日和、体調は大丈夫か? よかったら今度、一緒に映画行かないか。面白そうなのが、あったんだ――
「あ……?」
――悠宇、今日は心配かけてごめんなさい。よかったら今度、一緒に映画に行きませんか。面白そうな映画のコマーシャルを見たんです――
心の深いところで、つながる形なきもの。
それが、形となって現れる瞬間。
想いつながる、そのとき。
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ライターより。
この度は発注ありがとうございました! ライターの山崎あすなです。
また、悠宇さんと日和さんを描かせていただけて、本当に嬉しいです〜!
今回は、体調を崩して学校をお休みする日和さんと、心配する悠宇さんと
いうことで、一緒にいないけど結局は二人でおんなじことを考えていた、
という話にしたい!と 思い、執筆させていただきました。
情景描写をなくして、心理描写を多用することで、やわらかい雰囲気を演
出できていればいいなと思います。楽しんでいただければ、光栄です。
それでは失礼します。
また、お会いできることを、心より願っております。
山崎あすな 拝
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