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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


あなたの想い、お作りします。


 ひとつ編んでは父のため〜ふたつ編んでは母のため〜。
 みっつ編んではあなたの…。

 季節は初冬。冬の贈り物といえば?

 そう、あったか〜い手編みのマフラーです!

 人知れず心を寄せるあの人へ、振り向いてはくれないあの人へ、
 日頃の感謝の気持ちを伝えたいあの人へ。

 あなたの『想い』、形にしてみませんか?

 当店が責任を持って、あなたの『想い』、形にする術をお教えします。
 さあみんなでレッツ編み物!!


 ご注意:『想い』を埋め込んだマフラーが、どんな風に仕上がるか…
      それはお客様の意思によって変わります。
      少しまどろっこしい告白の手段に使用するのもよし、
      憎いあんちくしょうへのお礼参り…げほんごほん。
      使用目的は何でも可。
      ただし化け物は生み出さぬよう、細心の注意を払ってください。



                雑貨屋『ワールズエンド』店長ルーリィ





「…何、これ?」
 神聖都学園の女教師、響カスミは、職員室前に張られた張り紙の前で立ち尽くしていた。
…いつの間に張られてたのかしら、こんなもの。
「…一見まともな宣伝のように思えるけど…この注意事項が気になるわね。
なんだかにおうのよ…あぁ〜また怪奇現象なの?もういやっ!」
 カスミは思わず嫌な想像をし、頭を抱えた。
「こんなの…あんまり関わりたくないけどっ!出来ることならさっさと破って捨てたいのよ。
でも何か祟りでもあったら……」
 ゾッと青ざめた顔で手を組むカスミ。
関わり合いになるのも嫌だが、余計な火の粉が降りかかるのも嫌らしい。
全く持って難儀な性格だ。
「でも、このまま放っておくのもまずいわよね…。
そう、私は教務で忙しいから!誰か様子を見てきてくれない?
私は忙しいのよ、ごめんなさいね!」
   



                        ★



「カスミ様、お顔の色がすぐれないようですが?」
 カスミの横に立っていた女性が、小刻みに震えているカスミの顔を覗き込んだ。
その拍子に、波打つ黒い髪がさらりと揺れる。
どこかの姫が着ているようなドレスを着た彼女は、心配そうに眉を潜めた。
「…鹿沼さん…これってその、やっぱりアレかしら?」
「どうでしょう…現状ではわたくしには分かりかねますわ」
「そうよねぇ〜はぁ、どうしよう」
 がっくりと肩を落とすカスミ。その彼女を見て、女性は更に心配そうな表情になって、カスミの背を撫でた。
女性の名は鹿沼・デルフェス。
この学園の関係者ではないが、先ほど茶飲み友達であるカスミのお茶に付き合ってきたところだった。
話しながら廊下を歩いていると、ふいに見つけたこの張り紙。
怪奇現象が滅法苦手なカスミを想い、デルフェスは心の中で拳を握った。
「…カスミ様。わたくしで良ければ、この集会を調査してまいりますが?
カスミ様がこのようなものをお得意でないことを承知しておりますし、わたくしはその点大丈夫なので」
 カスミを元気づけるように、笑顔を作り彼女にそう伝える。
カスミはその言葉を聞き、ぱあっと顔を明るくした。
「ほんとう!?じゃあお願いするわ、鹿沼さん。あ、でも危険なことには首をつっこんじゃだめよ?」



                        ★



 その日の放課後。使われていない教室で、その会合は開かれた。
前の黒板にはでかでかと大きなかな釘文字で、『編み物教室inワールズエンド』と書かれていた。
その黒板の前に立つのは、長い金髪を揺らし、笑顔を浮かべている一人の少女。
「ようこそいらっしゃい、皆さん!あなたたの参加、心より歓迎致しますっ」
 色とりどりの毛糸玉が入った籠を抱え、目の前に立つ五人によく透る大きな声で言った。
「私の名前はルーリィ、雑貨屋の店長です。
今回はちょっと思い立って、こうして空き教室を借りて、編み物教室を開いてみました。
私は編み物のプロではないので、十分なことはできないかもしれませんが…、
でもその分、想いをこめることについてはアドバイスできると思います。
といっても、皆さんのほうがそれには長けているかもしれませんけどね?」
 だって、『想い』の持ち主は貴方方なんだもの。
ルーリィはそう言って、持っていたカゴを教卓の上に置いた。
そして目の前の五人に向かって言う。
「さあ、どこでも好きなところへ座って頂戴」
 彼女がパチン、と指を鳴らすと、五人の目の前に良くある教室の椅子が現れた。
そしてルーリィは自分の目の前にも椅子を出すと、ちょこんとそれに座る。
「さて、まずは自己紹介かしら。彼女からどうぞ?」
 出された椅子は、いびつな円を描いていた。
ルーリィは、自分のすぐ右隣に座った女性に顔を向けた。
「ええ…初めまして、我宝ヶ峰・久遠(がほうがみね・くおん)と申します」
 久遠と名乗った女性は、穏やかな笑みを浮かべてそういった。
綺麗な黒髪を持つ彼女は、常に目を伏せていた。
だが周囲の様子は分かるようで、まっすぐ前を向いている。
「久遠さん?もしかして、目がお悪いのかしら」
 ルーリィは首をかしげてそういった。
「ええ、少し…事情がありまして。でも特に不自由はないので、ご安心を」
 そう言って、ルーリィのほうを向く久遠。
確かに不自由はなさそうだ。
 ルーリィはそれならば、と頷いて、久遠の横に座っている女性に声をかけた。
「さあ、どうぞ?あなたのお名前は?」
「ああ。ルーナという、宜しく頼む」
 中性的な美しさを持った彼女は、かすかな笑みを浮かべてそう言った。
透ける様な銀色の髪を持ち、その瞳は青く輝いている。
「ルーナさん?素敵なお名前。新月、だったかしら?」
「その通りだ。ルーリィ殿は博識だな」
「え?そんなことないのよ。ちょっとどこかで聞いたことがあっただけ」
 あはは、と照れ笑いを浮かべて、頭の後ろを掻いた。
ルーナはそんな彼女を優しく見つめたあと、ふ、と笑って背を椅子にもたれた。
どうやら自分の番は終わり、という意思表示らしい。
「えっと…じゃあ次は、あなたね?」
 同じような調子で、デルフェス、シオンと続き、ルーリィの左隣まで来たところで、違う声があがった。
「あのう、ルーリィさん?」
「はぁい?えーっと…」
「月夢優名です。ちょっとお聞きしたいんですが」
「何かしら?」
 ルーリィは首を傾げて彼女を見た。
唯一の学生である彼女は、
「この教室、参加費とかいらないんでしょうか?
張り紙には書いてなかったもので」
「ああ…そのことね?」
 ルーリィはくすり、と笑って答えた。
「要らないわ、お金をとるほどのことでもないもの。
だから皆さん、気楽にやってね?」
 だから敬語もいらないわよ、そんな堅苦しく考えないでね。
そういいながら、彼女は教卓に置いたカゴの中に手を突っ込んだ。
そして中から、薄い冊子のようなものを五冊取り出す。
その取り出した冊子を五人に回すように配り始めた。
当然起こるのは、疑問の声。
「ルーリィ様、これは一体?」
 そう言って不思議そうに冊子を手に取ったのはデルフェス。
「あはは…実は私もそんなに上手くないのよね、編み物。
だからこれを教材代わりね?あ、ちなみにそこの本屋で買ってきた、普通のテキストだから。
それは心配しないでね」
 別に怪しいものじゃないわよ。
苦笑しながら、彼女らに向かってそう言った。
「これは詐欺では…」
「あらでも、お金をとらないので詐欺ではないのでは?」
 そういいながら顔を見合わせているシオンとデルフェス。
「まあまあ。多分貴方方の中でも編み物が得意な方もいるでしょうし、皆さん教えあいながら編みましょう!」
 ルーリィはパァンと手を叩き、にっこりと笑顔を浮かべて言った。
「さあ皆さん。気持ちのこもった、良い物を作ってね」
 


                        ★



「ふふ。心配していたより、まともな教室で良かったですわ」
「そういえばカスミ先生が心配していましたね、ここのことを」
「ええ…わたくし、実はカスミ様に頼まれて、此処に来ましたの」
 開始してから数十分が経ち、五人は思い思いの場所で編み始めていた。
シオンとデルフェスは何故か気が合ったようで、向かい合わせで椅子に座っていた。
デルフェスは穏やかな笑みを浮かべながら、カスミとのことを話す。
「今日は本当は、カスミ様のお茶に付き合うために学園へ参りましたの。
そこへ、この教室の張り紙でしょう?カスミ様が大変心配してらっしゃって。
思わず参加してしまいましたわ」
「へえ。私はちょっとした用事だったんですけどね。
編み物は好きだし、丁度プレゼントしたい相手もいるので…ひょっこりやってきてしまいました」
 参加費をとられなくて安心です。
そう、ふにゃ、とした笑顔を浮かべて言うシオン。
彼の脳裏には、現在の財布の中身がよぎっていた。
勿論、その中身は皆無。
だが年中その状態であるシオンにとっては、さほどの問題でもない。
「言わばタダで編めるわけですしね。あのお嬢さんも太っ腹ですね」
「そうですわねえ。…優名様はどなたに編まれるの?」
 デルフェスはシオンの言葉に相槌を打ちながら、隣に座っている優名に声をかけた。
優名はふっと顔を上げ、少々困ったように首を傾げた。
「あたしは…皆さんのように恋人とかいませんから。
とりあえず、自分用です。それでも良いんですよね?」
「勿論良いわよ、だって『自分』もある意味、とても大切な人だもの」
 先ほど聞いた溌剌とした声が、彼女たちの上から降ってきた。
不思議に思って優名が顔を上げると、にっこりと笑うルーリィと目が合う。
「きれいな色。良い色を選んだのね」
 そう言って、彼女は優名が編んでいる毛糸に目を移す。
それは優名自身のような、柔らかいクリーム色をしていた。
「ええ…何故かしら、この毛糸玉にとても惹かれたんです」
「そう。成る程ね」
 優名の言葉を聞きながら、ルーリィは嬉しそうににこにこと笑っていた。
少し不思議に思った優名は、彼女に尋ねる。
「毛糸がどうかしましたか?」
「ん?いいね、少しね…。まあいいか、教えても」
 そう言って、ルーリィはしゃがんで彼女たち三人に聞こえるようにひそひそと言った。
「この毛玉ね、私の実験作で。触れた人が望む色になるのよ。
その人をあらわす色とでもいうのかしら。面白いでしょ?」
 そう言ってくすくすと笑う。
その言葉を聞いて、シオンは少し目を丸くした。
「そんな毛玉、聞いたことありませんよ。しかもお嬢さんが作ったって?」
「ええ。私、魔法使いだから」
「…成る程。道理で少し不思議な雰囲気があるのですね」
 納得したように、こくこくと頷いたのはデルフェス。
「この街って、結構そういう人多いみたいね、みんなあんまり驚かないの。
でも私はそっちのほうがいいわ」
 あなたたちも、何かの『力』を持ってるのかしら?
 ルーリィは半ば確信した様子で、笑みを浮かべたまま言った。
シオンとデルフェスはお互いを見交わし、否定も肯定もしなかった。
唯一、優名を除いて。
「そんな、力なんて。あたしは普通の女子高校生ですよ?」
「ふぅん?あなた自身がそういうなら、そうかもしれないわね」
 何を考えているのか、ルーリィはにこにこと笑いながら返した。
優名は、本当のことなのに、と首を傾げた。
「わたくしはー…ノーコメントですわ。
あ、そうそう、ルーリィ様」
 デルフェスはそう言って、ルーリィを呼ぶ。
「なぁに?」
「あの張り紙ですけどね」
 彼女はルーリィの耳に自分の口を寄せて、微かに囁いた。
「わたくしの大事な方が、不可思議なことが少し苦手なんですの」
 そう言って、す、と離れる。
ルーリィは思わず目を大きくして、手を口に寄せた。
「あら…それは御免なさい。もう少し言葉を選ぶべきだったわね」
「いいえ、気をつけて下さればそれで結構ですわ。あと、張り紙を張る前に、許可も得ればもっと良かったですわね」
 デルフェスは小さくウインクをして微笑んだ。
ルーリィは苦笑して、
「あ…許可ね、ごめんなさい、忘れてたわ。
デルフェスさんの大事な方に伝えて下さるかしら」
 そういって、彼女は顔の前で両手を合わせた。
「本当にごめんなさい。これからは『まともな』集合を開くわ」
 デルフェスはにっこりと笑い、
「はい、了解致しました」
 と返した。
 そしてルーリィはありがとう、と笑い、すっと立ち上がった。
そして手をひらひらと振って、
「じゃあ私、他の人の様子も見てくるから。
シオンさん、どうやら編み物慣れてらっしゃるようだし、他の人にも教えてあげてね」
 そういって、パタパタとスリッパを鳴らして去っていた。
その後姿を見送って、デルフェスは思い出したように言う。
「そういえば、優名様。わたくしは恋人へ編んでいるわけでは御座いませんよ?」
 ふふ、と微笑を浮かべながら、デルフェスは編み棒を持ち直した。
「恋人ではありませんが、大事な方です。これから寒くなりますし、ね」
 あの方を温められるような愛情を込めて、編んでいるのです。
彼女はそう言って、ふっとシオンのほうに目を向けた。
「シオン様はどうなのかしら」
「私ですか?」
 慣れた手つきで編み棒を動かしていた彼は、ふいに振られた言葉に顔をあげた。
「私も同じく、大事な人に向けてですよ。
確かにこれから寒さが厳しくなりますし、風邪を引かないようにね。
幼い身体は免疫も弱いので…」
 相手のことを思い浮かべているのか、シオンはふにゃ、と崩れた笑みを浮かべる。
その年齢に相応しくないー…何処か少年のような笑みを眺めつつ、優名は言った。
「幼い?シオンさんのお子さんですか?」
「いえ、私に子供はいませんよ」
 鼻歌を歌うように、楽しげにすいすいと編み棒を動かすシオン。
デルフェスと優名は、思わず顔を見合わせた。
「これって…あの、アレでしょうか?」
「さあ…わたくしには分かりかねますわ…」
 ひそひそと囁きあいながら、じっとシオンに視線を向ける。
楽しげに編んでいたシオンは、自分に向けられた視線に気付き、ハッと顔をあげた。
「…何ですか、その目。私は変な趣味ではないですよ?」
「あっ…そんなこと思ってませんわ。ねえ、優名様?」
「ええ、ええ、思ってませんとも」
 二人して苦笑を浮かべる女性たちに、シオンはハァとため息をもらした。
「いいですけどね、別に。どうせ幼女趣味とか思ってるんでしょう?」
 慌てて首を横に振る女性陣二人。
シオンはいじけた様子でぶちぶちと言う。
「いいですよぅ、もう。……あ、そうだ。カスミ先生にもお作りしますか。
デルフェスさんもカスミ先生宛てのようですが」
 思いついたように、ニッと笑ってデルフェスを見た。
彼女はというと、図星だというように、ほんのり頬を赤くして微笑を浮かべた。
「へえ、カスミ先生宛てだったんですか。仲が良いんですね」
 それを見て、驚いたように優名が言う。
「ええ、先ほども申したでしょう?大事な方だと。それに調査の報告も兼ねて、ね」
「成る程、そうだったんですね」
 確かにあの教師は、様々な人たちに人気があるらしいし。
どこか放っておけないところがあるからだろうか。
「あ、そうだ。シオンさん、編み物お得意なんですよね」
 思い出したように優名が言った。
シオンは首を傾げて頷く。
「一応、暇つぶしに編んでますからね、いつも。優名さんは何か編みたいものでも?」
 その言葉に、優名は照れたように頬を赤くし、うつむいた。
「私…編み物初心者なんですけど。柘榴の柄を編みたいんです…難しいでしょうか?」
「柘榴…ですか。大丈夫、頑張ればできますよ」
 そう言ってシオンは、椅子を優名の隣に動かした。
そして教える体勢を取り、優名の手もとの編みかけのマフラーに目を落とす。
「そうですね、まずここのところに針を通して…」
 突然小さな編み物教室が始まってしまったようだ。
デルフェスはそんな二人を眺めながら、愛おしそうに笑みを浮かべた。
 …自分も頑張らなくては。
そして、カスミの笑顔を思い浮かべながら、棒を毛糸の間に通し始めた。





                        ★


「あら、もうこんな時間」
 ルーリィはふと気がついて、顔を横に向けた。
窓の外から見える空は、既に闇が広がっていた。
「ごめんなさい、あんまり楽しくて時間を忘れちゃった。皆さん、出来上がった?」
 そう言ってルーリィは、五人の顔を見渡す。
各々の手には、各々の想いを込められた作品が乗せられていた。
「うん、ちゃんと出来たみたい。皆さんの『想い』、とっても暖かかったわ」
 お疲れ様、と五人に向かって笑みを向ける。
「皆さんの想い、届くといいわね」










 そして人気がなくなった教室で。
ルーリィは一人で後片付けをしていた。
教室の後ろに追いやっていた机を元に戻しながら、忘れ物がないかチェックをしながら。
そしてそこに、カタン、と音が響いた。
ルーリィがパッと振り返ると、戸口のところに大きなシェパード犬がちょこんと座っていた。
その毛並みは銀色に光っている。
 ルーリィは犬を見て、驚いて声をあげた。
「銀埜!どうしたの、遅かったじゃない」
 助手を頼んでたのに、と思わず頬を膨らませる。
銀埜と呼ばれたそのシェパード犬は、申し訳なさそうにうつむき、耳を垂らした。
「…申し訳ありません、門のところで…その」
「?どうしたのよ、一体」
 ルーリィは眉を潜めて、銀埜に駆け寄った。
そしてしゃがんで、彼と同じ目線になり、ん?と首を傾げて促す。
「怒らないから言ってみなさい。どうしたの?」
 銀埜はしぶしぶながら口を開いた。
「……門のところで、学生たちに捕まえられまして」
「ははあ。また可愛がられちゃったの?どうせ撫でられて嬉しかったんでしょ」
 事情を察して、にやりと笑みを浮かべる。
銀埜は慌てて首を振った。
「いえ、そういうことはありません。早く手伝いに行こうと必死だったのですが。
…どうやら犬好きのものがいたらしく…」
「あはは、良いわよもう。思った以上にすんなり終ったしね」
 気にしちゃダメよ、とルーリィは暖かい毛皮を撫でた。
「…さいですか。ルーリィ、会のほうはどうでしたか?」
「うん、中々良かったわよ。思った以上に暖かい『想い』ばっかりでね。
ふふ、良い材料になりそう」
 ルーリィはそういって立ち上がった。
銀埜は呆れたように言う。
「…また何かの実験に使うおつもりですか?」
「何よ、良いじゃない。銀埜だって知ってるでしょう?」
 そう言って、ルーリィはくすっと笑う。

 「ヒトの『想い』っていうのは、得られそうでいて滅多に得られない、格別の材料なんだから」










 おわり。






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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2181 / 鹿沼・デルフェス / 女性 / 463歳 / アンティークショップ・レンの店員】
【2803 / 月夢・優名 / 女性 / 17歳 / 神聖都学園高等部2年生】
【3356 / シオン・レ・ハイ / 男性 / 42歳 / びんぼーにん(食住)+α】
【3890 / ノワ・ルーナ / 女性 / 662歳 / 花籠屋】
【4276 / 我宝ヶ峰・久遠 / 女性 / 24歳 / チェンバロ奏者】



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■         ライター通信          ■
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初めまして、ライターの瀬戸太一です。
今回は当依頼に参加して頂き、誠に有り難う御座います。
今回の作品では、各々に個別の部分を設けさせていただきました。
個別の部分の場所はPCさんによって違いますが、
大体同じぐらいの分量にしたつもりです。
宜しければ、他のPCさんの納品作品も読んでみて下さいませ。

ステキなプレイングばかりでしたので、
主にプレイングの内容を反映させてみたいと思い、心理描写の部分が大目です。
気に入っていただけると光栄です。
そして、あまり編んでいる部分の描写がなくて申し訳ありませんでした;

ご意見、ご感想等ありましたら、どうぞお気軽に送ってやって下さいませ。
お返事は多少遅くなるときもありますが、1週間以内には書かせて頂きます^^

それでは、またどこかでお会いできることを祈って。