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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


Fairy Circle

「フェアリーサークル?……妖精の住処はよく聞くけど、日本にあるとはおもわないなぁ」
 SHIZUKUは自分のサイト管理をしながら、付き人になっている早乙女礼子と打ち合わせしている。
「しかし、ここ数日書き込み数が多いでしょ?」
「うん、これはガセや煽りも有るけどね……やっぱり嘘だよ……」
 確かに、フェアリーは霊的地場や環境、情報、思想が欧州同等に整わないと生まれないかも知れない。
 しかい過去の大きな“事件”で、そう言うことは定説から外れている。
「むぅ……別段困ったことは? 場所の特定はできているんですか?」
 SHIZUKUは付き人に訊く。
「ありますよ。大阪の山奥」
「……滝畑ダムだと何かありそう」
「流石詳しいのね」
「うーん、肘掛け婆さん追いかけていたから。現地とんじゃったw」
「あなたらしいわ。ズバリそこよ」
「え?」
 お化けや霊的地場は多分問題ないが、あそこって……
「自殺の名所だよ……! なぜお気楽悪戯妖精がそんなところにサークルをもつの!」
 SHIZUKUは驚いた。先入観ではないが、大抵妖精は悪戯好きだ。
「うふふ、大阪区域の人から情報集めてみましょ? そこで」
「うん……」
 大阪ホストっぽい人の書き込みを二人で調べ、数日。
「うん、確かめに行こう! 今度の恐怖TVリポートも此処で決まりだね」
「現地に飛ぶ手段などは此方でするから細かいスケジュールはあとでね」
「はい」
 もう、やる気満々なSHIZUKU。
「あとね、また助っ人呼んで良いかな?」
 上目遣いで頼むオカルトアイドル。
 礼子は微笑んで、彼女の頭を撫でた。
「もちろんよ。滝畑ダム周辺の山を歩くんだもの。幽霊や目的以外に何か出るかもしれないし、目的の妖精達が返してくれないこともあるからね」
「ありがとう!」

 さっそく、信頼できる人(?)にメールするSHIZUKUだった。
 もちろん、護衛以外で愉快な仲間にもメールすることは変わりなし。
「大阪にリポート行くので先着4名様〜」
 メールタイトルがコレである……。  

1.|Д゚)ノ せんせー! 集まりました!(何故、かわうそ? だよ)
 集まる場所は、いつものネットカフェからタレント事務所に移動。
 取材用のマイクロバスが待機していた。その隣に誰かのバイク。
 さて、どういう風に人が集まったのか

a.月見里千里の場合
 携帯のメールで怪訝な顔をする、今をときめく16歳、月見里千里。
 SHIZUKUに関わり合うと何かとイヤーな思いをするのだ。
「むむー!」
 “どういったことなの?”とメール返信。
[大阪のあの有名テーマパークより面白いところ有るんだよ〜。あのね、ちーちゃんが好きなアーティストも〜]
 と、返事が帰ってきた。
「それなら行く! 絶対行く!」

|Д゚) ちったー疑えよ、ちーちゃん。

「うるさいわね! ナマモノ!」
 ちーちゃんが作りだした金属バットで小麦色はホームランされる
 ≡≡≡(゚∀゚)ノシ じゃーのちほどー(ドップラー効果)
「来なくていい!」
 星になりながら余裕のかわうそ? に怒鳴る、千里だった。

b.宮小路皇騎
 宮小路皇騎20歳、財閥御曹司である。しかし、現在家から逃げているらしい。おそらく師走なのか大きな仕事がある為だろう。
 彼曰く、
「何故、私がいなくとも何とか出来るではないのか!」
 という。
 若いから、普通に学園ライフも楽しみたかったり、恋人と一緒に居たかったりと青春まっしぐらなこの頃。
 そこで、一件のSHIZUKUから例のメールが届く。
[地元に戻ってしまうが“灯台もと暗し”。 OKです]
|Д゚) 茜とのデートは?
「う……」
 いきなり現れた、イタチなのかよく分からない存在(少なくとも妖魔妖怪の類ではない)の言葉に戸惑う皇騎。顔は真っ赤になっている。
「その日には間に合うじゃないか? もしも、万一の場合、何とかする。埋め合わせするって」
|Д゚) ふーん
 ――なんだその疑いの眼差しは
 と思ってしまう皇騎だった。

c.鹿沼デルフェス
 色々今の文明の利器になれてきた鹿沼デルフェスさん。今では携帯も扱えるほどに巧くなっているとか。
 彼女は、モデルとして、またSHIZUKUがアイドル成長を見守ると言う事を生活の一部として取りこんでいる。
 当然、メールが届いたとき、喜びのあまりはしゃいでしまうのであった。
「雫様からメール♪ メールですわ♪」
 ぴょんぴょん嬉しくはね回る彼女。もちろんOKと返信。
「うるさいよ! デルフェス! 床が抜けたらどうすんだい!」
 店でマッタリしている蓮に怒られてしまった。
「も、申し訳ございません!(体重普通の人ぐらいなのに〜)」
 直ぐに謝るも、SHIZUKUと一緒に出かけたり、見守ったりすることが楽しみな彼女だった。

d.堂島志倫
 色々SHIZUKUと礼子がフェアリーサークルを調べていた時に知り合った、元大阪育ちの学生堂島志倫にもメールが届く。
 彼はつい最近に、特殊能力を覚醒した大学生で剣士らしい。
「大阪は詳しいから案内します。滝畑ダムにツーリングで行ったこと良くあるので」
 と、言うことで参加表明したのだ。
 趣味はバイクでのツーリングである。
 今は東京にいるために、昔の滝畑ダムとは違うのか、大阪がどうなっているかが気になっている。


 くどいようだが、SHIZUKUは「先着4名」といったのでこの4名で揃ったことになる。
 つまり、ロケ車の隣にあるのは、志倫のバイクなのだ。

「では、まず、皆さんは今から新幹線で大阪に向かいます。既にAD達は向こうに居ますし、移動手段も車になります」
 と、礼子が4人に説明。
「では、交通手段は問題ないのですね?」
 志倫が訊く。
「はい、そうです。バイクの方は此方の事務所の地下に預からせて頂きますが?」
「分かりました」
 6名+ADの集団でバイクは難しい。とんでも無くなったときの逃げる手段ではバイクは小回りがきくが、能力者が集まったリポートの仕事ではあまり要らないだろう。
 とは言っても、皆“滝畑ダム”や“怪奇レポ”の言葉を隠して会話いる。
 SHIZUKUからの頼みらしい。
 その理由は……。
「なに? ねぇ? ホントどこいくの? ホントにあの人気アーティストに会えるんだよね?」
 千里がSHIZUKUの襟首を掴んでブンブン振っている。
 メンバーの殆どを見て、不安になっているちーちゃん。
「だ、だいじょぶだよ! それよりちーちゃん、く、くるしい! しぬ〜!」
 宥めているSHIZUKU。
「まぁまぁ、千里様。これ以上絞めていると、SHIZUKU様があの世に逝ってしまわれますわ」
 宥めるデルフェス。
 数名は彼女が「大の怪談嫌い」と言うことを知っているためだ。幽霊を見たりするのは全く平気なのだが、その前に曰く付きの話を聞くととたんに怖がる性格なのである。SHIZUKUが雫の時から、いつもこの手に引っかかっているらしく、成長が見られない(言葉巧みに騙されているのだろうかは、さておき)。
 礼子も苦笑しているのだが、千里とSHIZUKUは同年代だから一緒にいた方が何かといいし、彼女の我が儘を多少OKしたのは自分なのだ。責任は自分がとると決めていた。

 そして有る程度、打ち合わせが終わった後に一行は新幹線で一路大阪に向かった。
 

2.(゚∀゚)ノ おいでませ、食い倒れの街に(また、かわうそ?か)
 新大阪に到着した一行。
 流石に早く東西を行き来出来る世の中になったが、駅はあまり変わってない。
「久々の大阪や〜」
 思わず、座り疲れで大阪弁になる志倫。
「帰郷のような感じですか?」
 皇騎が尋ねる。
「そうやねぇ」
「私は……京都が実家ですからね」
「其れは奇遇やな。関西者どうしで食い倒れ紀行もいいよな」
 と、色々話が弾んでいる男性陣。

 一方で、
「あー!し、SHIZUKUちゃん! 返してー!」
「へへー! ちーちゃんの財布と帰りのチケットは奪い取ったりぃ♪」
 此方は喧しい少女二人、SHIZUKUと千里。
「な、何!? 何故そんなコトするの? ひょっとして? 昔はやったヒッチハイクで東京まで帰る様な番組なの?」
 何か別な不安がよぎるちーちゃん。
「じつはね〜」
 勝ち誇ったように……SHIZUKUは……、
「今日大阪に来たのは他でもない、滝畑ダムの怪談調査なの〜♪」
「え? ……えー! いや〜!」
 SHIZUKUの話だけで、へたりとなる千里。青ざめた顔に膝を地面について、そのままゆっくりふにゃり、と後ろに折れ曲がった。結構身体は柔らかい?
 関西人2名(?)とデルフェスは苦笑するしかなかった。
「やっぱり、怖がる人がいないと♪」
「命の危険あるんだから」
 皇騎たちが、SHIZUKUを軽く小突く。
「大丈夫、大丈夫〜」
 それでも、ニコニコしているSHIZUKU。
「その自身はどこからあるんや?」
 もう大阪弁状態の志倫。
「ADメンバーには“あの子”が居るからね」
 と、SHIZUKUがロケ車とAD車が停まっているところを指さす。
 そこには、


 |Д゚)ノ いよ〜

 
 ……
 ………
 …………

 場が凍り付いた。
 いや、表現がし難い状態なのは確かで。
「妖気も感じられないのに! 喋る二足歩行の………犬? 猫?」
 と、志倫が驚く。
 不思議な能力が開花したとて、このけったいな存在には驚くのものである。
|Д゚)ノ 失敬な、犬や猫とちゃう。かわうそ? のかわうそ? なのだー♪
 と、自己挨拶とは言えない自己挨拶。
「かわいいのー♪」
|Д゚*)
 SHIZUKUが小麦色に抱きつく。
「前回にも居ましたので、“彼?”は役にはやってくれるでしょう」
 礼子が皆に伝える。
「な、ナマモノまで……」
 余計力抜ける、ちーちゃん。
|Д゚#) ナマモノちゃう! かわうそ?なのだー!
 怖がっている千里と相変わらずなナマモノの再会。
 皇騎も有る事情で不安を隠せない……。
|Д゚)ノ では近くのホテルまで後案内〜。
「ひょっとして……運転するんかあんた?」
 元大阪人が尋ねる。
|Д゚) 何、免許ありゅ。無問題。
「そー言う問題とちゃうわー!」
 ツッコミ入れる志倫だった。

 ――そもそも、この小麦色にツッコミどころ満載なんだが、疲れ果てるので放置が賢明なのである。

「滝畑ダムではねー」
|Д゚)ノ 外近くのトンネルには〜
「聞きたくないー」
 と、SHIZUKUはナマモノと一緒に千里で遊ぶ1日となった。
 大人達の方は、子供の遊びを見守りながら(デルフェスがそんな感じ)、大阪の風景を眺め呑んでゆっくり旅の疲れを癒す。
 そう、次の夕方には現地に赴くために。


3.現地レポート大騒ぎ。
 昼までに、各自情報収集や準備に勤しんでいた。特にSHIZUKUとデルフェスはメイクなどで忙しい。
「大した情報はえられなかったですね」
 皇騎は目撃証言などの洗い直しをしたのだが、余りよい成果はなかった。
「“確実に有る”という“噂”が“確信”になっているのかも知れません」
 噂が一定の域に達すれば具現化することがあるのだ。
「現地で直に聞くのが一番良いかも知れないな。昔の友人にいたかな……」
 志倫が提案。
「……結局其れしかないか」
「ほんとにいくの〜いや〜」
「はいはい、だいじょうぶだから〜♪」
 強制連行のちーちゃん。
 多分あまり寝ていないだろう。なにせ、散々怪談話を聞かされたのだ(滝畑ダムで起こった嘘の話だけでも既に効果覿面)。因みに、ちーちゃんの能力は満タンである(金属バット生成は数日前だからカウントされない)。

 志倫の知っている裏道を通り、和泉市経由からの河内長野にある滝畑ダムに向かう。
 この周辺は各地にトンネルがあるため、その中で幽霊の話が多い。
「確かに、霊が……蠢いてますね」
 霊感がある皇騎、志倫、デルフェス、礼子はうろうろする浮遊霊や自然霊を発見している。こっちにあまり危害を加えない感じから、滝畑ダムに近づく頃には、怨念も感じている。
 ガクガク震えている千里に、
「ん?こわいの? 怖いの」
 |Д゚) こわがりーv そこがまたステキv
「ふ、ふん! こ、怖くないもん!」
 SHIZUKUのニヤリとした言い方に、強がって否定するも……、夜のダムに近づくとわかると……口数が少なくなっている。
 トンネルの中で真っ暗になった時、
「うらめしやー」
|Д゚) ぉぅぃぇ〜
 SHIZUKUとナマモノは懐中電灯を顎の下で照らして千里を驚かせた。
「いやー!」
 怖がって隣にいるデルフェスに抱きつくちーちゃん。
「ヤッパリ怖いんだー」
|Д゚) うひゃひゃ!
「う、うるさいわね! 特にナマモノ! ホントに出てくるんじゃないわよ!」
 怒るちーちゃん。
 流石に見かねたデルフェスは
「SHIZUKU様、千里様が可哀想ですわ。それに、本当に危険ですわ」
 と、注意した。
「う、うん。わかったよ〜」
 素直に従うSHIZUKU。
|Д゚) けっけっけ〜おこられたー
「あなたもです!」
 パンと頭を叩かれるナマモノ。
|ДT) あうー
 緊張感台無し。
 ――ちーちゃんからかうのって楽しいよねー(SHIZUKUとナマモノの心の声)

 実際、滝畑ダムは殆ど人気がない。精々、近くのスポーツセンターの帰り道で通る家族か、そこの地元の人のみだろう。サークルが実際あるかなんて分からない。大体の位置は特定出来たのだが、其れが本当のサークルとは思えないのが全員の考えだ。
 ダムで出来た湖は細長く、その周辺に道があり、バスが通る。中心辺りに民俗資料館もあるのだが、流石に今の時間は閉まっている。
 深夜に近い時間。そろそろ霊が起き出す頃だ。
 そして各自が準備をして、AD達もカメラなど持ち、いざぶっつけ本番レポート開始。
 SHIZUKUを護るように、3名が動く。デルフェス以外カメラには極力映らないように、だ。
 皇騎はGPS機器で迷わないように行動の示唆などし、志倫は今まで所持している武器を持っている。
 怖がっている千里は礼子と小麦色に護られている。
|ДT) かわうそ? みんくちゃう。
 襟巻きにされている小麦色。

 一方、デルフェスとSHIZUKUはというと、仕事の顔になり。
「本当に、居るのかしら! 妖精さん」
「居るかも〜でもね〜。やはり新聞より〜なんだっけ?」
「百聞は一見にしかずですわ」
「そうそう! 流石にダムには妖精さんはいないから、あたし達は山奥にすすむのです!」
 と、何か大阪でのレポなのか、二人して寒い漫才をしていたようだ(大体漫才かどうか怪しい)。
「ひねりがないなー」
 警戒心はあるものの、突っこまずに居られない志倫くんが呟いた。

 小径と皇騎のナビを頼りに、山をすすむ一行。ダムからは離れていく。しかし、浮遊霊は確かに存在する。動物や本当に自殺した霊がそこかしこにいるのだ。
 運が良いのか、彼らは近づくことはない。
「この辺りに凄い霊反応が有りますね」
 皇騎が、皆に伝える。
「サークルかな?」
 確認をとるため皇騎と志倫、SHIZUKUが先行する。
「キミは相変わらず変わってないね」
「えへへ♪」
 SHIZUKUの活動力を解る皇騎は彼女を護るようにすすむ。
「いきなり消えた!?」
 向かっていた霊力ポイントがすっぽり無くなり、待機しているデルフェスの方に其れが移動した。
「急がなければ!」
 3人は走る。
 丁度、デルフェスは千里の様子がおかしいことに気が付いた。
「どうされました? 千里様」
 ……返事がない。
|Д゚) 立ち寝?
「冗談言っている場合で……、かわうそ?様にげて!」
 千里がいきなりマフラーかわうそ?の首を締め上げた!
 ―――がああああ!
「皆様! 千里様が、“何か”に取り憑かれたようです!?」
 とデルフェスが叫ぶ。
|Д`)・゜・。 く、くるしぃ!
「一気に引きはがします!」
「憑依集合体か? 彼女を取り押さえるから!」
 皇騎が札を取り出し、志倫が力を解放し、肉体能力を活性化させる。
 かわうそ?が身体の力や骨を外してするりと抜け落ちた瞬間、志倫が千里を羽交い締めにするが、流石に霊力で操られているので少女の力は強力だ。
「はやく!」
「解っている! 御隠居!」
 皇騎が札と梟の効果で憑依集合体を彼女の身体から引き離した。
 デルフェスの目の前に憑依集合体が現れそのまま突き進もうとするが、
「昇天法!」
 と、以前に三滝の墓地にて使った浄化能力を換石の術の併用でぶち当てる。
 一点集中型での術により、その力は強力。集合体は分解し在るべき場所〜アストラルかエーテル〜に帰っていった。
 憑依で力尽きそうな千里を支えてあげる志倫とデルフェス。
「大丈夫、気を失っているだけだ」
 皆は安堵した。

 |Д゚) かわうそ? の心配して〜
――誰もしません
 |ДT) せつないー

 暫くして千里が意識を取り戻し、声も出せるようになってからと言うもの……
「もういやーかえりたいー!」
 と、騒いでいる。
 究極の駄々っ子です。何か持っているとダメージ増強します。
「マイナス思考はまた取り憑かれますよ、千里さん」
「だからかえりたいー」
「お仕事終わるまで一緒に居ないと帰れないよー? チケットもお財布もしかも家の鍵などもあたしが持ってるもーん」
 SHIZUKUが言うと、
「あう〜」
 悄気る千里。
 因みに、すっかり自分の能力を忘れているちーちゃん16歳
 その気になれば、トンデモナイ道具を(自分の家の鍵から科学爆弾まで)分子で作れるのだが、流石に子供なので(いやかなり恋愛暴走で砂糖行為は経験していますが〜其れは抜きにして)で、冷静さを欠いている。
 騒ぐ子供を宥めるように、彼女を抱きしめデルフェスが子守歌を歌い出す。
 歌詞は英語だが、美声であるため、千里も落ち着いてきたようだ。
「前のカラオケ大会や稽古のたまものだね♪」
「はい、SHIZUKU様」
 二人は微笑んだ。
「でもかえりたいよう〜」
 デルフェスにがっちり捕まっている千里。
|Д゚*) ちーちゃん、かわいい
 
 そうすると、
 すすんでいる先から同じような詩が聞こえてくる。
 少しアクセントやリズムが違う。
「ラテン語と英語の複合分のような……」
 デルフェスが驚いている。
「霊的属性は中立か? そうか……」
 皇騎が梟から情報をえる。
 笑い声、そして
「Let’s Dance. Let’s Play Together.」
 と、ウェールズ鈍りの単調な英語が聞こえた。
 目の前に、蝶々の羽をもった、如何にもという妖精が居る。
「ホントに……」
「妖精だー!」
 SHIZUKUが感動するよりも早く、今まで怖がっていた千里が妖精にむかって走り出した。
「まさか! 本当に……」
「こんな霊的地理でいるのは信じられない」
「ああ、矛盾している」
 デルフェス、皇騎、志倫は唖然としている。
 礼子も、まさかと言う顔だった。
|Д゚) ←動じてない。
 そして目の前に、キノコで出来た円形のサークルと、様々な自然妖精が飛び交って遊んでいたのだ。
 其れが事実として受け止められないのはおかしい。
 物語で聞かされる、其れと全く同じ。
 信じられないが、其れが真実だった。

 暫くサークル外で妖精と遊ぶ。
 サークルにはいると、流石に危ないという霊能力を備わっている者からの意見からである。
それに、彼らの領土を侵害するのは宜しくない。
「なるほど〜地図では、滝畑ダムの悪霊領域より、自然の力が強くなっているんだ」
 SHIZUKUは皇騎の示した地図を見て驚いた。
「宗教、ちがうけど、寺院、神殿ある。ここまで力、悪は浄化されて、私達すんでる」
 たどたどしい日本語で妖精が話している。
 おそらく滝畑ダム近くの寺社でなく、高野山のことではないだろうか?
「できれば、そっとして欲しい」
 妖精が嘆願する。
「どうしよう?」
 SHIZUKUは困った。
 確かにネタにはなるのだが、何でもネタにするアトラスのようには行かないのだ。
 やはり、マスメディアにもモラルは必要になる。
「仕方ないわね……悪霊霊的スポット取材企画書にしているから……問題はないけど」
 この辺りはTV局などとのかねあいだろう。
「でも、また遊びに来ても良いから……」
 妖精はかなり友好的だった。
 千里がとても気に入ったらしい。
「人間の世界……怖いけど。ある大きな事件でこんな極東にきちゃった私たち、淋しいから」
「はい、わかったよ。また安全なときに来るからね」
 握手のようなことを交わす千里と妖精立ち。
 そして、他の者と話をする。
「大きな事件って?」
「時間の巻き戻し。平行世界。時空の裂け目がイングランドまで……」
「あの事件と……異界現象……が……」
 SHIZUKUは過去の大きな事件と今存在する大きな平行世界〜異界〜ではないかと思い驚いた。
「そこの謎存在、多分それの……一部」
|Д゚汗) かわうそ? そーなの?
実は自分も解ってないらしいかわうそ?(否芝居かも知れない)
 一つ謎を背負って、皆はサークルを後にした。


4.|Д゚)ノ それから? それから?(またお前か)
 大阪のホテルで一息ついた一行は、ホテル一階のレストランのモーニングセットで優雅な一時を楽しんでいた。
「さて、大阪行脚しようか」
 志倫と皇騎が、提案する。
「大阪の文化に触れたいですわね」
 デルフェスはにっこりと微笑む。
「私は知っていますよ」
「俺もね♪」
 地元民がいれば多少街が変わっていても大丈夫(かもしれない)。
 大人の落ち着いた雰囲気の中で会話しているが、
 子供達とナマモノは
「SHIZUKUちゃーん 良くも騙したわね〜」
 ちーちゃんはSHIZUKUに両手でこめかみグリグリしている。
「ご、ごめんだよー! いたいー」
|Д゚) うひゃひゃ〜
「あんたもよ! ナマモノ!」
 ちーちゃん必殺かかと落とし。丁度小麦色の脳天クリーンヒット。
|ДT) あうち〜。動物虐待はんたーい!
「そんときだけ、動物扱い主張すなー!」
 ちーちゃん、今日も元気です。

 そして、数日は大阪を満喫することになるのだが、皇騎は別だった。
 何気なく、スケジュール表をみてみると……、
「やばい、今日がデートの日だった……」
 ショックうける宮小路皇騎20歳。
|Д゚) だからいったろー
 勝ち誇る小麦色。因みにたんこぶで10cm高くなっている。
「ど、どうしよう……」
「どうしようってなーに?」
「あ、あの声は……」
 後ろを恐る恐る振り返る皇騎。
 恋人の長谷茜と、捜索隊の黒服(女性)2名が立っていた。
「まったくー大事な人のデートほっぽり出して、SHIZUKUちゃんと千里ちゃんとでなにしていたのかなー?」
「いや、そ、それは」
「今回は茜様の指揮下の元に行動しております。奥様方は彼女の意見を最優先にとの事です」
 捜索の人は冷静な返答。
「さて、言い訳は別室で聞きますからね〜こ・う・き・さん♪」
「だ、だれかたすけて〜」
 皇騎君、恋人に連れ去られる。哀れというか、なんというか。

「あらら」
 デルフェスさんとはあまり
「面白いから写真録っちゃえ」
「あとで、織田さんや従姉妹さんに見せると面白いね」
 子供2人とナマモノはデジカメで撮り放題。
「何だったんだろう? 仕方ないか、個人的な事情だし」
 志倫は気の合いそうな仲間が居なくなって残念気味。

 礼子がやってきて、
「さて、皆さん遊びに行きますか? お一人おられないようですが?」
「事情で早く帰っちゃいましたー」
 と、SHIZUKU。
「残念ですね。なら、志倫さんと私で、大阪案内しますね」
「はーい」
 と、楽しむ事に決めたのだった。
 サイクルセンターで遊んだり、遺跡文化を勉強したり、あと食い倒れと大阪を満喫したのだった。
「あー! ホントにこのアーティストのライブチケット! しかも一番乗り!」
「ウチの事務所とレコード会社のちからだよー♪」
 一番驚いたのはミーハーの ちーちゃんであった。
 
 後の話……。
 フェアリーサークルの話はなかったが、幽霊スポット紹介番組でSHIZUKUは今回の経験を生かして活躍、またSHIZUKUファンが増えていったのであった。

End

■登場人物
【0165 月見里・千里 16 女 女子高校生】
【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生(財閥御曹司・陰陽師)】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【3321 堂島志倫 22 男 大学生・剣術士】


■ライター通信の前に|Д゚)代理でお送りします。
|Д゚)ノ かわうそ? の、かわうそ? なのだー
|Д゚) 相変わらずナマモノと言われるこの頃如何お過ごしでしょうか?
|Д゚) 単に、滝照=かわうそ? になりつつあり
|Д゚)ゞ 色々複雑な気分w
|Д゚) 滝照にかわるなり

 滝照直樹です。
 Fairy Circleに参加して頂きありがとうございます。
 色々ドタバタと、既に怪奇存在であるかわうそ?登場しますが、だいたいSHIZUKUのレポノベルはこういう感じに進んでいきます。
 滝畑ダム自体でなく其の周辺の山道を探しフェアリーとの遭遇は如何でしたでしょうか?
 笑いとしんみり、ちょっとシリアス(?)が入っているかと思います。
 |Д゚) ←90%シリアスだと入れないからなーと嘆いている顔の小麦色。

 堂島志倫さま、初参加ありがとうございます。

 では、またの機会が有ればお会いしましょう

 滝照“かわうそ?”直樹拝