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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


■深紅のカノン■

 「三下くん!」
 鋭い声が、騒々しい編集部に響き渡る。
 どんなにざわついていようが、どんなに騒然としていようが、その声はまるで神の啓示の様に、編集部には届くのだ。
 きりりとした涼やかな目元は、まるで絶対零度である南極の氷の中にいるかの様だと彼は思う。形の良い足を組み、デスクに肘をついて顔を乗せ、編集部を一望する場所から睥睨している。
 「聞こえないの! 三下くん!」
 再度の思し召しだ。
 「は、はいぃぃぃ!!」
 まさにすっ飛んで、呼ばれた彼──三下忠雄(みのした ただお)は、彼の女王様、もとい、彼の上司である碇麗香(いかり れいか)の元へと馳せ参じた。
 「遅い! 呼ばれたら、トイレに入って様と、すぐ私の元にいらっしゃい!」
 「すすすすす済みませんん……」
 無茶苦茶なことを言っているのだが、いかんせん三下には反論出来ない。哀れっぽくそう言い、何で御座いましょうかと、蠅の様に両手をすりすりして麗香の次の言葉を待った。
 「取材、行ってきて」
 「へ?」
 「へじゃない! 取材よ、しゅ・ざ・い。解った?!」
 「あ、あの何の取材でしょう…」
 ばさりと三下の前に、紙束投げられた。
 恐る恐る、三下はそれを読む。
 みるみる内に、三下の顔が青ざめて行った。
 「ここここここここ」
 「何? 鶏の真似? 似てないわよ」
 「ちちちちち、違います! 何ですかこれわぁぁぁぁ」
 語尾に号泣マークが付きそうな勢いで、三下は叫び出す。
 「見ての通りよ。新宿の片隅に、キューケツキが現れたって話。それの取材に行ってちょうだい。新宿って特定されてるだけでも、有り難いと思いなさいよ」
 無情に言い切る麗香に縋っても無駄だとは、百も承知だ。なのにお約束の様に、三下は麗香を拝む様にして言い募る。
 「そそそそんなん、有り難くもなんともないですぅぅぅ!! ぼ、僕、まだ死にたくありませーーーん」
 「じゃあ、クビ」
 あっさりさっぱりと言い切る麗香に、卒倒しそうになる三下は、しかしながらクビと言う一言には弱かった。
 「えええええええっ?! ………行ってきます」
 「勿論、助っ人は頼んで良いわよ」
 麗香の本音は、『どーせあんたは役に立たないから、誰かちゃんとしたのを連れて行きなさい』だ。
 溜息を深く吐いた三下は、そう言えば…と思い当たり、恐れ多くも麗香女王様に具申した。
 「あ、あの編集長…」
 「何? まだ何かあるの?」
 その視線にすくみ上がるのを、三下は踏ん張った。ここで言っておかなければ、麗香が恥をかくかも知れないからだ。
 「そ、そのです、ね。このキューケツキと言う字、鬼じゃないですか? 木ではなくて…」
 麗香の眉毛が跳ね上がる。
 「私が書いたものに、間違いなどないわよ! それはね、血を吸う木だから、吸血木! 解った?! さっさと準備なさい!!」
 「は、はいっっ!!」
 飛び上がる様にして、三下は手伝ってくれそうな人へと、おいおい泣きながらも電話した。



 彼は、とある企業の代表と会食が終わって館へ戻る途中だった。
 まだ夜も早いと言う時間であった為、誰かを誘って夜を楽しもうかと考えていたところで、その電話を受けたのだ。
 いや、車内電話にかかってきた為、実際最初に取ったのは運転手だった。運転手は少々困った顔で、彼にその旨を告げる。
 黄昏と言う言葉が一番相応しいこの時間、ぽつぽつと人工の明かりが灯り始めた。
 その人工の明かりすら、その場に佇む様にしている彼の為のスポットライトである様だ。
 背に滑る清流の様な銀の髪と、海色の瞳を持つ彼の名は、セレスティ・カーニンガムと言った。
 アイルランドに本拠を置く、リンスター財閥の総帥である。
 「セレスティ様、申し訳ありません。あの…妙な電話がかかっておりまして…」
 「妙な電話?」
 一体なんだろうと、セレスティは思う。普通ならその様な電話を、彼が取り次ぐ訳もない。セレスティの不快になる様な電話など、彼に仕える誰もが、心優しき主に取り次ぐ筈がないのだ。
 「はい…。月刊アトラス編集部からと言うことは、かろうじて聞き取れたのですが、それ以外が全く以て、要領を得ませんで…」
 セレスティは苦笑した。
 この電話の主は、三下だ。
 月刊アトラス編集部で、意味不明な電話をかけてくるのは、彼ぐらいしかいない。大方、またもや麗香に言い渡された取材を、手伝ってくれと言うことなのだろうと、セレスティは中りをつける。
 「誰だか解りましたよ。構いませんから、電話をこちらへ」
 「はい」
 車に乗り込むことを確認した運転手は、恭しく、電話を保留解除してからセレスティへと渡す。受け取ったセレスティは、車を発進させる様に運転手に告げた。
 「もしもし? 三下くんですか?」
 『セセセセセレスティさぁぁぁん!! よ、良かったぁぁ…』
 既に涙声を通り越し、号泣している様に感じる。
 「どうされました?」
 『へ、編集長に、…しゅしゅ…を……。怖くて、ぼ、僕、死んじゃいますぅぅぅ』
 確かにこんな風に話されては、要領を得ないだろう。
 「三下くん、落ち着いて下さい。どんな取材を頼まれたのですか?」
 えぐえぐと言う声…と言うか、呻き声の様なものが聞こえるも、何とか三下は言葉を続けた。
 『きゅ、キューケツキの取材、ななんです……。新宿に生えたんですぅぅぅ』
 何故吸血鬼が生えるのだろうかと、セレスティは、暫し考えてみた。
 また三下のことだから、言葉遣いを間違えているのかもしれない。
 「三下くん、吸血鬼が生えるとは、どう言う意味ですか?」
 『鬼じゃないんですぅ、血血血血血血を吸う木なんですっ! そ、そんな木を、ぼぼぼぼ僕に、編集長はぁぁっ! セレスティさん! 助けて下さいぃぃっ! セレスティさんが頼りなんですぅぅぅ!!』
 またもや号泣し始める。セレスティは、三下に気付かれない様クスリと笑うと、穏やかに答えた。
 「解りました。お手伝い致しますよ。編集部にむかえば宜しいのですね?」
 『はいっっ!! ありがとうございますぅぅ!!』
 そう答えるが、慌てて彼は付け足した。
 『あ、場所は、あの新宿の『ターリブ』と言う喫茶店ですぅーー。待ち合わせをしているので…』
 三下はそう言うと、店の住所と電話番号を伝える。
 今度は感動の海に溺れている三下の声を聞きつつ、セレスティは電話を切った。
 「血を吸う木ですか…。面白そうですねぇ。吸血鬼とは違うのでしょうか…。もしも吸血鬼なら……。手名付けてみるのも、一興ですねぇ」
 口元に浮かべる笑みは、まるで大輪の紅薔薇が花開いた様だった。
 待ち合わせていると言う店に到着するまでに、出来るだけ調べておこうと車内に搭載してあるノートパソコンを手にした。
 この高級リムジン内は、ある意味セレスティの第二の執務室とも言える。忙しく日々の業務を執り行う際、移動時間も貴重なのだ。
 パソコンを起動し、まずは一番手早いネットでの情報収集を行う。事件になっていれば、噂などが飛び交っているだろう。セレスティは、検索サイトへと飛んだ。
 「キーワードは、……そうですね。やはり吸血木でしょうか…」
 そう呟くと、キーワードを入力する。結果は二万七千二百件。
 「……多いですね」
 しかしトップにあるのが、妖怪アンテナを持つ小僧のシリーズだ。すっと画面に視線を走らせると、その内の殆どが望む情報でないと解る。吸血木だと、そのものを引いてしまうと解ったセレスティは、そう言う噂を拾えそうな場、つまりはオカルト系サイトや、ニュースサイトへ飛ぶことにした。
 結果は…。
 「ものの見事に、ゴシップ扱いですね」
 タイトルに苦笑しつつ、中身を読んでいくと、どうやらその噂──血を吸う木が出たと言う噂が出たのは、大体一ヶ月前あたりだ。まだ死人は出ていないものの、重度の貧血状態で一週間入院したと言うのが、一番酷く、また直近の被害者の状態だった。
 ただ、その噂を書いている人物は、最後を『どーせ、酔っぱらって喧嘩かなんかしたけど、負けたの格好悪くて、そんなこと言ってんだろ』と締めていた。それに対する反論もあったが、両者とも数は半々と言ったところだった。
 他のニュースサイトでも似た様なものだ。
 取り敢えず、そう言う被害の中心地は、新宿は歌舞伎町の外れ(この場所が酔っぱらいの喧嘩説に拍車をかけている)、稲荷鬼王神社であるとも触れている。
 セレスティは、その名を見て興味を惹かれた。由来を見ると、どうやらここは鬼王を祀っていると言う。鬼王とは、そのままの鬼を祀っているのではなく、月夜見命、大物主命、天手力男命のことを指している。
 だが、実はこの神社には、もう一人祀られている者がいる。先に挙げた三神ですら、その者を指し示す為の存在でしかないとは、とある一説のことだ。
 「もしもこの話が絡んでいるなら、三下くんに感謝したくなるくらいに魅力的ですが…。まあ、これはあくまでこの神社に関する話でしょう。吸血鬼にも木にも関係ありませんし。正体は別にあるのでしょうねぇ」
 そのニュースサイトから他に拾えた情報は、被害者が二十名に及ぶこと。そして一人で歩いている──これは被害者の証言──ことだ。特定条件を持つ人間が襲われた訳ではなく、年齢、性別、職業などは様々で、そこをたまたま歩いていただけのことだろうと推測される。
 取り敢えず…。
 「行き先を変更します。稲荷鬼王神社へ、向かって下さい」



 「そうですか、ありがとうございます」
 そう言って微笑むセレスティに、相手は男性ながらもほうっと赤くなる。
 「い、いえ…あの。お役に立てなくて…」
 申し訳ありませんと、ごにょごにょ口の中で言うのを、セレスティは聞いた。
 鬼王神社は、歌舞伎町の外れにある。
 セレスティは、取り敢えずは神社近くにある店の人間や、この界隈の常連かと思しき人物に聞き込みをしていたのだ。
 ちなみに運転手が、高級リムジンを放り出し、電柱の影ではらはらと自分を見ているのを、セレスティは知っている。彼がそこにいるのは、いくら運転手が止めても、自分が聞かないからだと言う理由を理解しているから、何も言わずにいた。
 セレスティ自身、ここにいることが目立っているのは承知のことだ。どう見ても、場違いな人間がそこを歩いているのだ。目立たない訳がない。言い寄って来る輩を、適当にあしらっているものの、確かに鬱陶しいくらいだとは思っているが。
 不意に、胸元に納めている携帯が震える。
 「…三下くんでしょうか」
 少々遅くなりすぎたかと思いつつ、セレスティは電話を受ける。
 『セ、セレスティさん! ご無事ですかぁっ!!!』
 大声を出さなくても聞こえるのだが…と思ったのだが、相手は心配してくれていると言うことが解る為、それには口を閉ざした。
 「はい。三下くんですね」
 『は……、』
 『セレスティさん!』
 いきなり横から電話が浚われた様だ。声が変わった。
 「おや、シュラインさんも、この件に?」
 『……良かったぁ…。無事なんですね?』
 何だか相手は緊迫している様に思える。
 「どうかされましたか?」
 『どうかじゃないですよ! 今どちら?』
 「そうですねぇ…」
 そう言い、周囲を見回して見るが、住所を書いているものが良く見えない。
 『取り敢えず、神社じゃないですよね?』
 「ええ、違います。歌舞伎町の外れではありますけれど」
 『車に戻って下さい。車で来られてますよね?』
 「はい。待たせてありますが」
 何やら後ろで話している声が聞こえたかと思うと、再度シュラインが言う。
 『じゃあ、運転手さんに言って下さい。明治通りにいて下さいって』
 「……あの…」
 『直ぐに行きますからっ』
 唐突に電話が切れる。彼女らしくない性急さだ。
 そこでふと思い出す。
 『そう言えば、襲われたのは、一人で神社に行った人ですね』
 もしかするとセレスティが一人で行って、危ない目にあってはならないと危惧しているのかもしれない。セレスティが遅れをとる様なことはないだろうが、それでも心配しているのだと解って、不謹慎ながら楽しくなる。
 クスリと笑みを漏らすセレスティだが、背後に人の気配を感じ、振り向いた。
 「お兄さん、さっきから面白いこと、聞いてるじゃない」
 そう言ってセレスティに声をかけたのは、どう見てもキャバクラのおねーちゃん風の女性だ。グロテスクなまでに赤い紅を引き、口角を上げて笑っている。胸元が極限までに開いて見えそうな、スーツなんだか布なんだか解らない様な格好で、腕を組み小首を傾げていた。
 「面白いでしょうかねぇ…?」
 婉然と微笑むセレスティに、本来なら男をあしらい慣れているだろう女が怯む。
 「あ、ああ…。面白いねぇ」
 それでも、女は何とか言い返した。
 「あたし、知ってるわよ。血を吸われたって子。今日は店には来てないけどさ。話は聞いたのよ。教えて欲しい? 教えるのは良いんだけどねぇ…」
 どうやら見返りが欲しいらしいと察したセレスティは、眉を顰める。
 『あまり、こう言った女性は好みではありませんねぇ…』
 馬鹿丁寧に付き合うこともないと判断したセレスティは、すっと彼女の瞳を見つめる。
 「その方は、何と仰っていましたか?」
 瞬間、瞳孔が開いた様になった彼女は、そのままセレスティの問いに素直に口を開いた。
 「…店が終わって、ちょっと神社にお参りしようと思って一人で鳥居を潜ったんだってさ…。まだ、あんな噂がある前だったからね。そうしたら、昨日はなかった筈の木が、鳥居の横にあったんだって…。何だか気味悪くなったから、そのまま帰ろうとしたら、いきなり目の前が真っ暗になって…。気が付いたら、手水のところに倒れてたそうよ…。慌てて立ち上がろうとしたら立ち眩みがして…。その時、手首に傷があることに、気が付いたって言ってたわ。血は……もう、固まっていた」
 どうやら最初の被害者のことらしいと、その話から察せられる。
 「何時くらいのことでしょうか?」
 「店が、終わる頃だから…。そうねぇ…。二時過ぎくらい、かしら、ねぇ…」
 セレスティがまあこんなもんだろうと思い、質問を終えようとした時だった。
 「あたし…。実はあの子があんなことにあった後、行ってみたの」
 「神社へ?」
 眇めた目でセレスティが見ると、こくんと、まるで首が折れたかの様に頷いた。
 「昼間…だけど…。その時、私の背くらいの木が生えてた。二〜三日前は、なかったのよ? 何だか凄く綺麗で…、でも……凄く怖かった。でも…」
 「でも…?」
 「でも、怖かったのはもっと後よ。三日前…、最近また血を吸われたって言うヤツが出たから、また行ってみたんだよ。あの木、まだ一ヶ月くらいしか経ってないのに、…もう、大きかった…。見上げても、一番上が見えなくなってたわ。そして……蕾が一つ、まるであたしを見下ろす様にして、何時でも食べれるぞって言う様にして、付いてた」
 どうやらこの辺が潮時かも知れないと、セレスティは思う。ふっと微笑むと、彼は力強い口調で言った。
 「そうですか。どうもありがとうございました」
 「──?! え?」
 目をぱちくりとさせた彼女は、何事かと周囲を見回しているが、セレスティは、もう用がないとばかりに、では、と背を向ける。
 ステッキを使用しつつ、数歩進んだところで、先ほどの女とは違う男性の声が聞こえた。
 セレスティは、女に見せたのとは全く違った笑みを浮かべて声をかける。
 「如何ですか? 皆さん」



 「ひぇぇぇっ!!」
 セレスティがかけた声に、三下が飛び上がった。シオンも又驚いてはいたのだが、それは三下の声にの様だ。セレスティはその驚いた二人に、目を丸くしつつも、直ぐさま何時もの如く笑みを浮かべる。
 「驚かせてしまいましたか。申し訳ありませんね」
 既に会話が終わっていたことに気が付いていなかったのは、当然ながら三下だけだろう。
 「でもまあ、面白い話が聞けましたしね」
 匡乃がセレスティを見つつ、そう言って笑う。
 「それにしても、可笑しなお話でしたね」
 次いで凪砂が、そう言った。
 大抵の者は、その意味が解っているが、解っていない者が約一名いた。勿論それは、彼の所為ではない。ちゃんと話を伝えていない、三下が全面的に悪いのだ。
 「取り敢えず、道を塞ぐ訳にもいかないし。移動しましょうか」
 「どうやら中へ入らなければ、大丈夫な様ですから、もういっそ、神社へ行きましょう。あそこはビルの谷間ですから、人通りはここよりありませんし」
 当然の如く、色んな意味で人目を引く六人だ。今でもちらちらと視線が痛い。提案した凪砂に、促す匡乃だが。
 「ええええええっっ!! も、もう…ですかぁっ?!」
 思いっ切り三下が嫌そうに言う。この取材は、一体誰の取材だと言いたくなる程に、イヤだと全身が言っていた。
 「そうよ。『もう』行くの。シオンさん、そっち持って」
 「はいっ」
 腰の引けている三下は、シュラインとシオンに両脇を抱えられ、ずるずると引きずられる様にして歩いていく。
 「三下くんは、何時もみんなに可愛がられていますねぇ」
 微笑ましいと思いつつもそう言うと、隣に歩く匡乃がセレスティに声をかけた。
 「……セレスティさんの愛情表現は、とても興味深いですね。一度じっくりお伺いしたいものです」



 へたり込む三下を取り囲んだ様子が、まるでカツアゲしている様…に見えないのは、そこいる五人の風体が絵になる程に煌びやかであるからだろう。彼らは、取り敢えず中には入らず、鳥居から少しばかり離れたところにいた。
 「何だか、凄く寒いんですけど…」
 シオンがそう言って、おやつの林檎を持ったまま、ぶるっと身震いをする。何時もであれば、薄着をしているからだと突っ込むのだが、現在はそれもない。皆が皆、薄ら寒さを感じているからだ。
 有り体に言ってしまえば、『妖気』の様なものだ。
 「もう少し人が通るかとも思ったんですけど…」
 凪砂もそう言いつつ、緊張した面持ちで周囲を見回した。まだ十時過ぎあたりなのに、そこには人通りがまるでない。皆迂回しているのかもしれなかった。
 「やっぱり、気味悪いから避けてるのね。まあ、解るけど」
 「どれがそうか直ぐに解りますね」
 「ええ。その場所が、ここからでも十分に…」
 匡乃が言うことが、セレスティにも良く解る。弱い視力は、この際全く関係ない。顔を向けた先には、黒い影があった。
 「それにしても、取り敢えずは木だって解った訳だけど…」
 「ええっ?! シュ、シュラインさん! 今なんて! 樹木子さんて方の、取材じゃないんですかっ?!」
 驚きの声を上げるシオンに三下が反応するも、匡乃とシュライン二人して頭を押さえつけられ動きを封じられる。
 「あのね、シオンさん。三下くんが何を言ったのかは知らないけど、ここにはね、血を吸う木の取材に来ているの。樹木子さんって人じゃないの」
 ゆっくり噛んで含める様にして言うシュラインの言葉に、シオンは騙された…とショックを受けている。
 そんな彼を取り敢えず置いておき、彼らはこれからの行動を思案し始める。
 「目標は解りましたよね。正体も目的も未だ良く解りませんが」
 匡乃の言葉に、シュラインと凪砂が顔を見合わせた。
 「正体ねぇ…。樹木子かと思ったんだけど」
 「お話を聞くに、微妙にずれてますよね」
 「樹木子は、古戦場みたいな多くの血が流れた場所で成長するみたいだし」
 セレスティにも、そう言ったものは感じられない。そこにあるのは、妖木を除き、何処か残り香の様なものだったのだ。
 「少なくとも、ここで今回の事件以前に、血が流れた様には思えませんねぇ。ただ、曰く因縁のある場所の様ですから、それを糧に根付いた可能性も考えられますけれど」
 「そもそも、その木の成長…と言うより出現も、可笑しいと思いますが」
 それぞれが思うことを口にし、暫しの沈黙が降りる。
 だがそれを破ったのは、セレスティだった。
 「そうなると、あまり嬉しくない答えが出て来ますねぇ」
 「ええ。『第三者が植えた可能性もある』ってことよ。…と言うか、その可能性の方が大きいわ」
 三下の頭から手を離し、腕組みをしつつ、シュラインがきっぱりとそう言った。
 「そうすると疑問点は、誰が、何の為にここに木を植えたのか、ですけれど…」
 セレスティは妖しい笑みを浮かべる。恐らく、その植えた者の気まぐれでなければ、その理由を知ることはないだろうと思ったのだ。
 取り敢えず、背後関係はさておき、問題はそこにある木だ。
 「で、三下くん。どうする? ただ単に、木の取材をするだけにする? それとも…」
 「枯らしてしまいますか?」
 シュラインとセレスティにそう言われ、三下はあわあわしている。土台彼に、そう言うことを決めさせるのは無理だろう。
 「では多数決で行きましょう。日本は民主主義の国らしいですから」
 何処か空とぼけた様に、匡乃が言う。反対の意思はない様だと確認して、決を採る。
 「枯らしてしまう派の人」
 「条件付きで、挙手」
 シュラインが言う。
 「私も条件付きですね」
 無闇に壊す趣味など、セレスティは持ち合わせていなかった。
 「あたしは…枯らそうとは思いません」
 「シオンさんは?」
 「……私は……。良く解りません」
 どうにかショックから立ち直ったシオンは、けれどどうして良いのか今一つ決めかねている様だ。
 「うーん、かろうじて条件付きで枯らすと言う方向ですか」
 「匡乃さんも枯らす派なの?」
 「まあ、お二方と同じく、状況を見て、ですけどね」
 「要は、血を吸うことを止めてくれれば、枯らす必要はないと思っていると言うことですね」
 セレスティの言葉に、その通りと言う風で、残り枯らす派二名が頷いた。
 「まあでも、妖木に説得が通じるかどうか、甚だ疑問が残るところよねぇ」
 取り敢えずは、三下の意見は聞かれぬままで、木の処遇は決定してしまった。
 「さて、人通りもないことだし」
 にっこりと笑うシュラインに続き、セレスティもまた笑顔で言う。
 「三下くん、頼みましたよ。君にしか出来ないことです」
 「え? え?」
 まるで怯えるリスの様に、三下は不穏な状況を打開してくれる人を探した。
 だが、匡乃は匡乃で面白そうに三下を見ているし、シオンは何が起きるのだろうかとわくわくしている様だ。頼みの綱とも言える凪砂は、ごめんなさいとばかりに顔を逸らしている。
 「そ…、そんなぁ……」
 がっくり肩を落としつつ、三下は一歩踏み出した。しかし一歩踏み出すと、後ろを振り向きと行った具合に、なかなか目的地へは到着しない。当然後ろに控えている者達は、三下のそんな行動を知りつつも黙殺し、会話を交わす。ただ一人、シオンだけは三下に手を振っていたが。
 「植えたかも知れない第三者、出てくると思いますか?」
 「そう言う匡乃さんはどう思うの?」
 「出て来ないでしょうね」
 肩を竦めてそう答える匡乃に、凪砂もまた同意した。
 「あたしも、そう思います。何だか、ここに木を植えて放ったらかしにしているみたいですから…。さっき、セレスティさんが『誰が何の為にここに植えたのか』と仰ってましたけど、あたしはその植えた人は、ただ単に、ここに血を吸う木を植えたらどうなるかを、見たかっただけの様な気がするんです」
 凪砂の言うことは、セレスティが感じたことと同じだ。
 「凪砂さんの仰ることは、恐らく正しいと思いますよ。第三者の介入を示唆することが、こんなにはっきりと現れているのに、その第三者自体の噂は、全く口には上がらない。何かあの木を使ってするつもりがあるのなら、姿を見たと言う話まではいかないものの、木、以外の何らかの話が出ても良い筈です。けれど例外なく、そう言う話は出ていません」
 シュラインが溜息を吐く。
 「私達だけ例外には……──っ?!」
 空間が、歪んだ。
 「……例外、お作りいたしましょうか…?」
 五人は背筋を見えざる氷の手で撫でられた様な感覚を受け、一斉に三下が向かった鳥居の方を見る。
 「初めまして。この木を植えた、張本人です」
 巫山戯た挨拶を行ったそれをは、明らかに普通の人ではない。
 逆さまに、首だけ世界に現れたその顔は、笑っていた。
 いや、笑いの面と化粧に彩られているのだ。それは逆さまなピエロの顔だった。
 全てが仮面かと思いきや、実はそうであるのは右半分のみ。もう左半分は、右とほぼ同じではあるが、奇妙にずれた化粧でピエロを模している。白塗りに赤と紫で彩られたそれは、恐らくここにいる面々でなければ、腰が抜けてしまったかもしれない。
 完全に重力に逆らって、彼の銀であろうと思われる髪は、下から上に流れ、首から以降がすっぱり消えている。
 とうとう諦めて鳥居を潜った三下と、こちらでこの有り得ない事象を見ているどちらが幸せだったのか、それは誰も解らない。
 「悪趣味ですね」
 セレスティは、そう断言しつつも微笑した。
 「挨拶としても、あまり面白いものでもありませんし」
 匡乃もまた同じく、そう言って身構える。
 「貴方は、何が目的なんですか?」
 凪砂がのキツイ声がそう問うた。
 「お嬢様が仰った通りでございますよ。僕はただ、見たかっただけです。可愛い樹木子を、戦場ではなくここに置けばどうなるか。違うものを食する様になるかと思ったのですが…。三つ子の魂、百までとはよく言ったものですよ。どのみち、あの子は血が欲しいのですね。それが解れば、もう後は興味はありません。貴方達に差し上げましょう。最後に、貴方達の様な方々に出会えたのは、とても嬉しく思います。では…」
 またもや空間のぐにゃりと歪む気配がする。
 「待ちなさいっ!」
 シュラインは、紙袋の中から一抱えもある瓢箪型の瓶を取り出し、中身をぶちまけるも、その逆さまピエロが中身を被ることはなかった。ご丁寧にも、違った場所に、再度顔だけ出している。
 「……乱暴ですねぇ…」
 「やっぱり無理か」
 ちっと舌打ちするも、あまり落胆していないのは、本人もそれが有効であるとは思っていなかったからだろう。
 「ああ、そうそう。あの木、燃やせば良い物が手に入りますよ。では、今度こそ、さようなら」
 「あっ!」
 「ぎゃぁぁぁぁーーーー!!!」
 行動を起こすまでもなく、不意にたち消えたピエロの首と同時に、世にも哀れな絶叫が響いた。
 「三下くんっ?!」



 五人は僅かな距離を急ぐ。鳥居に入り、見たものは…。
 「ぎゃぁぁぁぁーーーー、いやぁぁぁぁーーーーー止めて下さいぃぃぃぃっ、お願いですぅぅーーー。たたたたたたた、だずげでぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」
 鼻水と涙で顔面をぐちゃぐちゃにした三下は、木が伸ばした枝に巻き付かれ、即席ジェットコースターを味わっていた。即席ジェットコースターに乗っているにしては、悲壮な声だが、いかんせん発しているのは三下だ。絹を引き裂く……ではなく、パンツを引き裂く男の悲鳴であれば、一体何処の誰が救助意欲に燃える方向へ走るだろうか。
 先ほどの痛いまでの不気味さは、三下の醜態で既に木っ端微塵に砕かれている。
 その三下が振り回される度、今まさに咲こうかとしている様な蕾が揺れた。
 「三下くん、絶叫系マシンはダメだったのね」
 「……何だか、シュールですよね」
 「そうですねぇ…。まるで木が釣りをしている様ですね」
 釣られているのが三下であるのは、やはり違和感がないと、少々酷いことを思ってしまう。
 「釣りですかぁ? 良いなぁ私もしてみたいですーー」
 「え、えーと、皆さん、三下さんを助けませんか?」
 「でもねぇ…。三下くんは、自分から身を挺してネタを作っている様ですしねぇ…」
 セレスティが半分くらいは、本気で言っていることを、恐らく誰もが感じているだろう。
 「でも、やっぱり助けてと言ってるからには、助けないとねぇ」
 「それにしても、先ほど聞いた話と、えらく違いますね」
 「あの女性の話だと、何だかとても静かに血を吸われていた様ですけど…」
 この騒ぎを聞き、誰か駆けつけて来ないかが、とても不安になってしまう程、静かとはほど遠い。はっきり言うと、騒音にしか思えないのだ。
 言いたい放題言っていた五人だが、即座に視線を交わす。
 「あの木の気を逸らせます」
 「どうやって?」
 シュラインにそう問われ、凪砂はクーラーボックスの中を開けた。
 「輸血用の血液ですか。…では、凪砂さんが木を引きつけている間、僕は人様のお邪魔にならないよう、結界でも張りましょうか」
 すっと胸元から長針を取り出す。
 「匡乃さん、それは?」
 「妹直伝の『誰でも出来ます。簡単結界作成針』ですね」
 とぼけて言う匡乃に、皆がクスリと笑う。
 BGMは、三下の絶叫だが。
 「では私は、血の流れを操作しましょう」
 セレスティは、既にフォローに回ろうと決めていた。直接的な攻撃が出来ない訳でもなかったが、この面々であればそうした方が有効であると考えたのだ。
 「じゃあシオンさんは、落っこちてきた三下くんを受け止めてね。後の三下くんの面倒は、私が見るわ」
 「解りましたっ」
 「シュラインさん、先ほどのあれは、何でしょうか?」
 何やら清浄な気を感じた為、仕えるかも知れないと思ったセレスティがそう聞いた。
 「御神酒よ。ちょっとでも穢れを払えればと思って持ってきたの。あれに使ったのは、ちょっと勿体なかったわね」
 肩を竦めて、セレスティにそう返す。
 「まだありますか?」
 「ええ、半分以上あるわよ」
 「では私に預けて頂けますか?」
 「良いわ。好きに使って。…あ、ちょっとだけ残しておいてくれると嬉しいんだけど…。興信所に置こうかと思って」
 苦笑混じりに言うシュラインを見つつ、やはり草間のことを気にしているのだと感じ、了承する。
 「取り敢えず、あの木は燃やしましょうか。元の持ち主が、ああ言ってるんだから、ここにそのままにしておく訳にはいかないわ」
 「……私が燃やします…」
 何処か寂しそうにシオンが言う。
 恐らく彼は、ただそこに連れて来られただけと言う木に、哀れみを抱いているのだろう。
 「期待しているわ、シオンさん」
 「僕も退魔の風で、バックアップします」
 「結界があるから大丈夫かとは思いますが、もし万が一の類焼は、私が何とかしますよ」
 「シオンさんの身柄は、あたしが守りますから」
 話は決まった。
 「じゃ、行くわよっ」
 シュラインの力強い声が合図だ。
 セレスティは、シュラインから御神酒を受け取り、両手に抱え持つ。
 凪砂が輸血用パックを持ち、助走もなしにジャンプした。
 その下では、匡乃が結界を張るべく、ベストな場所を見定めている。
 木が凪砂の間近に見えると、通常では到底考えられない力で、彼女は纏めてパックを引きちぎった。
 溢れ出る血流。その動きをしっかりと意識の内につかみ取り、セレスティは余すことなく木の方へと引き寄せた。
 木が血の臭いに引かれ、三下を投げ捨てる。
 「ぎゃぁぁぁぁぁぁーーー!!!!」
 絶叫と共に、三下の身体がくるくる回り、匡乃はそれを避けて長い針を持つ腕を振りかぶる。
 シオンが落ちる三下を追う為、必死の形相で駆け出し、凪砂がその背後に着地した。
 セレスティがタクトを振る指揮者の様に、木の動きに合わせて血の演奏を行った。
 闇夜に赤黒く舞う血液を、まるで獲物を追う獣の様に木が食らう。
 枝からそれを吸い上げる度、蕾が鮮やかな紅に輝いた。
 「受け止めましたっ!!」
 「シオンさん、えらいっ! あっちに戻って!」
 シオンの元にシュラインが駆け寄ると、既に三下は気絶していた。
 入れ替わりに駆け出すシオンが四人の元へと戻ると、既に結界を張り終えた匡乃が彼の横に並んで立つ。
 「では、仕上げです」
 セレスティがそう一声発し、手の内にある自らの眷属に働きかける。彼の意を受けた御神酒は、匡乃の張った結界の内を守る様に舞った。月の光を受け、鮮やかに輝くそれは、まるで天使の涙の様だ。
 それを見ていたシオンが、切ない色を浮かべ僅かな逡巡。
 顔色に決意を刷いたシオンが手袋を取ると、そこには炎に踊る鮫がいる。
 「ごめんなさいっ!!」
 青い鮫が牙を剥く。木を目掛けて泳ぐ鮫を、匡乃が放つ退魔の風が後押しした。
 怒濤の様に進む鮫は、木に近づくに連れて退魔の風を食らい大きく成長する。結界が軋みを上げるが、そうはさせじと聖なる水が震え立つ。
 鮫を操るシオンの足が、微かにぶれそうになるも、背後に回った凪砂が支えた。
 結界内部を揺るがす煽りを受け、力無い三下が吹き飛びそうになるのをシュラインが地面に押さえつける。
 『ああ、啼いている…』
 血に酔いしれている木が、今初めて炎に気が付き慟哭した。
 刹那──。
 眩い光が周囲を染め、全ての視界が失われる。
 まるで民が死に絶えた故宮で目覚めた時の様な、有り得ない静寂さ。
 その一瞬の後、時が巻き戻されて行く様に、色が、音が、甦る。
 そこにあったのは、赤く赫い木だ。
 その存在全てを浄化の炎に包まれ、身悶えし……。
 炎の飲まれつつも、身に抱いた花を咲かせていた。
 「綺麗…ですね」
 ぽつりと凪砂が囁いた。
 「ええ…。本当に」
 余りに眩いそれは、セレスティの瞳を焼いた。けれどそれは心地よい光でもある。
 匡乃も目を眇め、黙ってそれを見ていた。
 起きあがったシュラインもまた、手をかざしつつも木に魅入る。
 シオンは静かに涙を流していた。
 その花は、まるで一瞬を喜ぶ様に鮮やかに咲いている。身を焼かれ、それでもその時を楽しむ様に咲く花は、絶後なまでに美しかった──。



 「消えましたね」
 匡乃の言うとおり、そこに残るのは消し炭だけだ。
 既に結界は解いている。
 「あれ…?」
 シオンが何かを見つけた様で、汚れるのも構わずその消し炭の中へと分け入っていった。
 「…何してるの? シオンさん」
 せっせと掘り出しているシオンは、何かを見つけると直ぐさま立ち上がって振り向いた。
 「ありました!」
 何かを掲げる様に持つそれを、四人が乗り出す様にしていた。
 ちなみに三下は、未だ気絶している。
 「これはまた、…見事なカノンになっていますねぇ…」
 あまりの見事さに、セレスティは簡単の溜息を漏らす。
 「え? カノン…? どう言うこと。セレスティさん」
 「カノンって、音楽のことじゃないんですか?」
 シュラインと凪砂の問いに、軽く頷いて微笑んだセレスティが答える。
 「確かにカノンとは、輪唱のことも指しますが、古代ギリシアの建築用法や彫刻において、定規の意味もあります。つまり、標準律を意味するのです。この像は、見事なまでに、それに沿っているのですよ」
 シオンが見つけ出したのは、何処の物とも知れない八重大輪の華を抱きしめた、目の覚める様な深紅の女人像だった。
 「良い物とは、このことを言ってたんですね」
 溜息混じりに言う匡乃は、続いて至極現実的なことを言った。
 「これ、どうしますか?」
 まずは見つけたシオンが答えた。
 「私は……。ウサちゃんがいますし。囓られてしまっては可愛そうなので、持ち帰るのはご遠慮したいです」
 「元が元だしねぇ…。私も持って帰ったら、御神酒の効果が半減しそうだから遠慮するわ」
 シュラインの台詞を聞き、何かに気付いた様に凪砂も言った。
 「あたしも遠慮します」
 「僕も、もう人形遊びする年でもありませんしねぇ。家に物が増えるのは、遠慮致します」
 四人の視線がセレスティに集まった。
 「では、私がこれを頂いて帰りましょう。動き出す気配があっても、十分対処出来ますしね」
 吸血鬼は手に入らなかったが、変わり種を得られるのならば、まあ良いかと思う。
 「気になることも、残っていますけど、まあ、また縁でもあれば解ることもあるでしょうね」
 「縁なんかない方が嬉しいんだけどねぇ」
 「取り敢えず、帰りましょうか」
 その言葉を合図に、皆が大口を開けたまま気絶している三下を起こしにかかった。



Ende

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    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

1883 セレスティ・カーニンガム(せれすてぃ・かーにんがむ) 男性 725歳 財閥総帥・占い師・水霊使い

3356 シオン・レ・ハイ(しおん・れ・はい) 男性 42歳 びんぼーにん(食住)+α

1847 雨柳・凪砂(うりゅう・なぎさ) 女性 24歳 好事家

1537 綾和泉・匡乃(あやいずみ・きょうの) 男性 27歳 予備校講師

0086 シュライン・エマ(しゅらいん・えま) 女性 26歳 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

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          ライター通信
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こん●●んわ、ちょっと意地悪になっちゃった斎木涼です。
今回の依頼は、色々と隠していることが多かった為、皆様にはプレイングをお書き頂く際困らせてしまいまして申し訳ありません。
血を吸う木の正体は、樹木子と言う妖樹でございました。
ご正解者がいらっしゃらなかったのですが、お書き頂きましたプレイングを実際に試してみまして、正解が導き出されましたので、名前を出すことが出来ました。
また、作中に突如として出現致しましたあの妙なものは、後、正式にNPC登録致しまして、今後色んなところに出没する予定でございます。どれに出没するのかは、未定にございますが。

 > セレスティ・カーニンガムさま

 続いてのご参加、有り難う御座います(^-^)。
 吸血鬼を手名付けると御座いましたが、申し訳ありません。正体は木でございました。
 その代わりと言っては何なのですが、灰の中から出てきました正体不明の像をお持ち帰り下さいませ。その中に潜むものは、セレスティさま自らお確かめ下さればと思います。
 もしもご不要でございましたら、厳重に封印を施した後、燃えないゴミの日にお出し下さい…(^-^;)。

 セレスティさまに、このお話をお気に召して頂ければ幸いです。
 ではでは、またご縁が御座いましたら、宜しくお願い致します(^-^)。