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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ 弱者の強さ(後編) ]


 それは一ヶ月前――
 一つの事件を幕切れに更なる事件が広がっていく。
 半径五十kmの範囲で異能力者連続通り魔事件発生。多数の軽傷者、四人の重症者を出した事件は、遂に月刊アトラス編集部社員桂をも巻き込む。
 その調査を月刊アトラス編集部編集長・碇麗香から任された草間興信所所長・草間武彦は、協力者と共に事件解決へと踏み出した。結果桂は無事救出、だが肝心の武彦は通り魔らしき者を追いかけ行方不明。
 しかし捜査の結果、犯人は漆黒のマントを身に纏い能力者の血を吸うことにより、その能力者の能力をコピー可能。同時、能力者に毒のような物を混入、重症を負わせることが判明。その話は後日瞬く間に各地へと広がった。
 しかし事件は未だ謎に満ちたまま未解決。グループは解散。
 それから数日後…‥広がる異能力者への被害。それは遂に全国区へと発展した。

「大変……だ」
 とある病院の一角。個室から相部屋へと移動され、退院も間近である桂がそんな新聞記事を見、そっと呟いた。
「やっぱりあいつが……ボクの時計を――」
 そっと新聞を握り締める手に力が篭る。
 前回の事件の後、軽傷で済んだものの怪我を負った彼はこうして病院に居る。しかしやはり見つからない。

 大切な時計が。


 ――同時刻
「ったく……厄介なことになったな」
 此処数日寝ずに先行く背を追い続ける草間武彦は、火の点いていない煙草を銜えながら流れる汗を拭うと、間も無く充電の切れる携帯電話を片手に舌打ちする。
「一体あいつはどう言う神経してんだ」
 悪態を吐きながらメールモードでアドレス帳にあるだけの連絡先を全てBCCで選択。時折画面から目を離しては、追っている者が姿を晦まさないかも確認する。今、さほどスピードは出していない。勿論走る速度だ。ただし時折飛びもする……。
 此処数日、武彦は犯人らしき背を追うものの犯行回数は何故だか減っている。否、それはまるで見定めしているようにも思えた。それとも武彦の尾行は気づかれており、犯人はしつこい武彦を撒くまでは犯行には及ばないとでもいうのか……?
「……んなの考えてられるか!! 届け、でもってお前らもどうにかしてくれ!」
 メール送信画面。少しの間を置き送信完了の文字。それと同時、ピーと高らかな音と共に電池切れのメッセージが辺りに響き渡る。


「――能力の複写、のう」
 そして、そんな武彦のメールとは無縁なものの……面白そうに呟く一人の男。声と同時、男の手首から突如手錠が出現した。それは男が自らの意思で出した――普段からそこに存在する――物。そんな腕骨をも貫く手錠のある両の手で、彼は自分の首にある黒く太い鎖を指し笑みを浮かべる。
「これも含め複写しよったら……面白そうじゃのう」
 それは数日前、ある友人から聞いた話が始まりだった。そして今日、再びその事件が動き出したと小耳に挟み彼は腰を上げる。
「まぁ……能力も面白そうじゃし、暇を持て余しとったところじゃ。ちょいと行ってみるかの」
 赤い鬣のような、それでいて所々金色の混じる長い髪が風に揺れた。見上げた空は――不気味なほどに曇っている。

    ■□■

 メール受信から数時間。興信所に集まったのは前回もこの事件に関わった四人のメンバー、そこに新たな人物が一人加わった五人だった。
「以前神納から聞いて面白そうじゃと思うてな、今回はわしも混ぜてもらってよいかの?」
 そう言い皆の前に出たのは人造六面王・羅火(じんぞうむつらおう・らか)だ。そしてふっと浮かべた笑みを、隣に立つ神納・水晶(かのう・みなあき)へ向ける。
「ん、別に誰も反対なんてしないだろーし、戦力は多い方がいーんじゃない?」
 そう水晶が言うと、その隣に立つシュライン・エマが声に出す。
「確かにね。今回は戦力に情報、多すぎても全く損は無いから歓迎ですよ」
「戦力に情報、今回も…だけど、あたしの方は揃ってるよ。っても、情報は会長の力でこれから先どうにでもなるってもんだけどね」
 最後の台詞に笑みを僅かな苦笑いに変えながら古田・緋赤(ふるた・ひあか)は言う。
「私は前回の情報も参考に、少しでも早く事件解明のお役に立てればと思いますよ」
 そう、最後に言ったのはシオン・レ・ハイ。
 こうしてそれぞれが一言言い終わると、五人は客用ソファーに座り草間・零から出されたお茶に口をつける。しかしのんびりしている場合でもなく、一口だけ飲み終わり最初に湯飲みをテーブルに置いた彼が早速切り出した。
「で、さ……まずはどーするワケ? 俺一度コピーされちゃってるけどあちらさんは全然興味なさそーだし。どーやって誘い出すか、相手の出る場所に先回りできるか、が今回問題だよね」
 そう言うは水晶だが、その声を皮切りに犯人に関しての声が飛び交うこととなる。
「それなのだけど、武彦さんのメールの中に答えがあると思うの」
「場所だったら愛知、青森、秋田、石川、茨城……と言ってましたね、っと」
 言いながらシオンはテーブルに日本地図を広げ、武彦の足取りに印を付けていく。
「うむ……どうもわしの苦手なところじゃのう。ここらは若人に任せるわい」
 地図を覗き込むものの、結局唸りながらソファーに身を預けた羅火は、戦闘まではお役目が無いといわんばかりに目を閉じた。その様子を隣の水晶が横目で見ながら、シュラインに続きを求める。
「多分ね、あいうえお順なのよ。その意図は判らないし、一日に数県跨ったりも有り得るだろうけど」
「ってことは、これで犯人の足取りはばっちり?」
「予測上は岩手・愛媛・大分・大阪…と続きそうですね」
 緋赤の言葉に続きシオンが地図へとチェックを入れていく。目を閉じたままの羅火も進む話を聞いてか、満足そうに頷いていた。
「移動の土地がわかったとして……アイツが何処に出てくるかもわかれば、手っ取り早く結界符で空間閉じちゃうんだケドね」
 現段階ではまだ場所の特定が完全といったわけではない。面積の広い県などでは探している間に犯人が他へ移動する可能性は十分すぎるほどある。例え水晶が穴から出てきたその気配を感じ取ったとしても、正反対の場所で待機していては話にならない。だからといって散らばって待機しているのも良い策だとは言いきれない。
「そして此方にはすばやい移動手段がないからこの近くまで来るのを待つしかない……一番早くて神奈川だけど、それまでに出来ることもあるでしょうし、とにかく今は準備を整えましょ?」
「何にしろ草間さんの協力も必要ですね。もし何か気づいたことを送ってくだされば、また判ることもあるでしょうし」
 シオンの言葉にシュラインは素早く携帯電話を取り出すと武彦へとメールを送り、ゆっくりと顔を上げた。
「これで良し……って、もうこんな時間ね」
 時計を見たシュラインに、皆の目もそれぞれ時計へ移動する。その中の一人、シオンは日本地図を畳むと真剣な面持ちで言う。
「今回は先が見えないので時間が惜しいところで。此処からは各自分担し、それぞれ情報をやり取りしながらの別行動としませんか?」
「やっぱそーだよね! 俺調べ物ってあんま好きじゃないし、ココからは調べ物するのと戦いの準備で別れた方が効率もいーんじゃない?」
「わしもそれに賛成じゃよ」
「あたしも。ぁ、因みにあたしは戦うからさ、会長直通の電話番号渡しておくね。何かしらの機関に情報を求めるとき、これ使って構わないから」
 シオンに続き水晶、羅火、緋赤が言い、最後に緋赤から電話番号の書かれた紙を受け取ったシュラインは頷き立ち上がる。
「それじゃ、何か判り次第連絡を取り合っていくことで、此処からは各自情報収集や戦いに備えましょう」
 そうして五人はそれぞれ興信所を後にした。今回の事件についての捜査担当はシュラインとシオン。恐らく避けられぬであろう犯人との戦闘、その要員は羅火、水晶、緋赤。

 時刻は午後一時五十分。

    □■□

「それにしても能力の複写とか言ったかの。要は血を与えねばよいのじゃな?」
 普段ならば太陽が暖かな日差しを注いでいるこの時間。曇り空を見上げながらぽつりと、先行く羅火は呟いた。
「そーだよ。だから……羅火には十分気をつけて欲しーね」
 羅火の後ろを一歩遅れ水晶が歩き呟く。その忠告には勿論意味がある。しかしその言葉を受けた羅火は「うぅむ」と小さく唸り、水晶の嫌な視線を感じた。
 そんな水晶の数歩後ろを歩く緋赤は、二人に追いつくよう早足になると、提案というような明るい口調で言う。
「それならあたしが囮になってもいいよ? あたしだったらさ、身体能力が人より優れてるだけで他の能力とか無いから、コピーされても問題ないし」
 しかしその言葉に水晶は歩幅を狭め、まだ後ろにいる緋赤を振り返る。
「でもアイツ、厄介な毒もってたケド? どーせ俺なもーコピーされてるし、毒も自分で消せるからさ」
「確かにそうじゃのう、囮というなら神納が適役。じゃが……囮は一人とは限らぬ。複数、或いは全員が囮のような役割も相手を欺くのには良いじゃろうに」
 歩く速度を落とした水晶を振り返り、そしてその先の緋赤を見、羅火は口の端に笑みを浮かべ言った。
「一応ね、あたしだって考えなしじゃないんだから。ほらこれ、会長から渡された……お役立ち道具」
 言いながら緋赤の鞄から出てくるのは殺虫剤の大きな缶と、ボトルに入った虫除けスプレー数本。
「……どーすんのコレ?」
「……ぬしらの追っている者とは虫じゃったのか?」
「いやね、会長に前回のこと報告したら『まるで蚊みたいね』って渡されてさ。多分無いよりはマシじゃないかな? まぁ、とにかくあたしのことは死ぬ前に助けて頂戴よ。っていうか……二人もこれ使う?」
 そう、スプレー缶を見せた緋赤に、二人はそっと首を横に振った。
「おまけに仮に古田が虫除けして、ソレに効果があったら囮の意味無いじゃん?」
 僅かに苦笑いを浮かべた水晶に羅火が「尤もじゃな」と頷いた。だからといって水晶と羅火がそのスプレーを振り撒くでもなく、僅かな沈黙を破ったのは、二つの携帯電話が奏でる短い着信音。
「メール? 古田もってことは……」
「内容同じだろね、っと」
 二人が同時に開く新着メール。

○月○日 14:00
From:草間武彦
Sub :神納と古田へ
本文:今大分県な。今回もお前ら来てるか?それ前提、例外あるものの県境に出ることが多い。後はやたら緑の多い場所とか日陰の多い場所、今日は曇りだから場所は結構区々だけどな。

「なんじゃ……曖昧なこと言う奴よのぉ」
 水晶のメールを後ろから覗き見た羅火は呆れ声で言うと、水晶もそれに続く。
「コレならもー少し絞れる場所への移動を待ったほーが、探す側にとっては楽だケドね? でも、それじゃ被害は拡大するだろーから……やっぱダメか」
 半ば自問自答の言葉を呟く水晶は、来たメールに返信すると顔を上げた。
「まぁ、こうして必死に追いかけてメールくれてる面ではやっぱ評価しないと。ところで神奈川の県境っての、一応場所調べておかない?」
「うむ、時間を持て余しとるのもなんじゃし、知っとるのと知らんのじゃ移動時間の浪費も違うじゃろうに」
 シュラインとシオンも今は情報収集で忙しいはずと、三人は揃って近場の本屋へ入り地図を調べることにした。
 結局神奈川の場合隣接するは東京都、山梨県、静岡県。その隣接距離は莫大なもので、あらかじめの待ち伏せなど到底不可能に近い。
「前回はバッタリ犯人に会ったとはいえ、こーも範囲が広いと気が読めたとしてもすぐには行けないカモね……なんかいー案無い?」
 地図を片手に、水晶は羅火を振り返る。羅火といえば今その手に猫の本を持ち水晶の方を向いた。
「そうじゃのう……ここは無理矢理にでも県境、或は都県境に誘き寄せるのはどうじゃろうか?」
「そう言えば、神納が前回相手と対面した時って誘き寄せたんでしょ? だったらさ、案外同じ手でいけるんじゃない?」
 羅火の案に月刊アトラスの通り魔記事を読んでいた緋赤も顔を上げ言う。その案に水晶は一瞬首をかしげた後、羅火から緋赤へ向けた視線をもう一度元へ戻し言った。
「さっきも言ったけど、あちらさん俺にはもう興味無さそーだから、ソレやるなら言い出しっぺの羅火がしてよ」
「わしか? まぁよいが、要するに殺気でも放っとれば良いんじゃな?」
 羅火の言葉に水晶は頷き地図を閉じようとした。しかしそれをする前に緋赤が言葉を挟む。
「で、問題は場所だけど、あたし達じゃどうにもだから、何か判り次第例えば相手に不利な場所だとか送ってもらうことにしようか?」
 言うや否や緋赤はシュラインとシオン宛にメール文書を作成し、すぐさま送信した。
「あちらさんの返事が返ってくるまでは此処で待機かの……」
 羅火が小さく呟くと、水晶に緋赤も頷きそれぞれの本を片手に、マナーモードにした携帯電話が再び震えるまで暫し待つこと十数分。

○月○日 15:00
From:シオン レ ハイ
Sub :検査結果
本文:四人の重症患者さんは検査の結果、脳炎に近い症状だそうです。しかし症状と一部の型のみで、等相違点は多く、変異体ウイルスと見られるとのこと。現在患者四人には不活化ワクチンを投与中、症状に和らぎ有り。現段階から致死に至る可能性は少なく、症状が治まる可能性は高いと……詳細はまだ検査中のようですが、戦う際は傷を付けられぬよう努めるのが良いでしょう。因みにウイルスの侵入経路は首だそうです。

「脳炎って、やっぱ蚊ってビンゴなんじゃない?」
 小さく声に出す緋赤に、前回相手と対面した水晶は地図を片手に持ったまま腕を組み言った。
「でも、アイツどー見ても人の体だったケド。それに古田もアイツ見てたよね?」
「むっ、そうなると蚊の能力を手に入れた人間と……否、ちぃと変わった吸血鬼かの?」
 羅火の言葉に、二人の視線が集まる。
「どーしてそー繋がるかなぁ……」
「まぁ棄てきれない考えじゃない? 人っぽい姿形してたの見たあたし達の中にそんな発想無いだけで、客観的意見も案外的を得てるかもしれないしさ」
 結局のところ緋赤の意見でこの話は打ち切りとなるが、この問題が判った以上、ある程度の回復が効く水晶と羅火以外は関わらない方が無難だと、そんな気もした。
 それから数分後、武彦からのメールに三人はただ顔を見合わせる。
「被害は無く鹿児島、突入ね」
「……あのさ、この地図買ってそろそろ店出ない? どーも目が冷たいんだケド」
 店員という名の人が放つ視線に耐えかねた水晶は、地図を閉じるとそれを緋赤へと手渡した。
「え?」
「俺個人でこんなのにかける金ナイしさ、羅火は問題外だろーし。古田なら経費でどーにか出来るでしょ?」
「問題外とはなんじゃ! わしとて今少し位の持ち合わせはあるわい。じゃが……おぬしがどうにかしてくれるのならば、わしが払う必要もなかろうに」
 自分より年上のフリーター二人に揃って言われ、緋赤は苦笑い混じりに渡された地図をレジへ、領収書を受け取ると店を後にする。
「ん?」
 本屋を出たところで先行く水晶は立ち止まると、再び携帯電話を出した。そして「ちょっと待って」と静止の声を入れ電話に出る。
「何、なんか判った?」
 その内容から電話の相手はシュラインかシオンだろう。
「――倒しちゃいけないって、ムズカシーことゆーもんだね……」
 電話の向こう側、その言葉に苦笑した水晶の言葉様子に、自然と羅火と緋赤の表情も厳しくなる。
「――……判った、それじゃぁ今から向かう」
 電話を切ると、水晶は二人を振り返る。
「行く場所が、決まったよ」
 その振り向きに、羅火はいよいよと昂っていく気持ちを感じた。
「そうと決まれば早速動かなくちゃね」
「待ちくたびれるところじゃったわい。ほれ、早く案内せい」
 そして三人は動き出す。

    ■□■

 陽はまだ沈まず辺りは明るいものの、急激に冷たくなっていく風を肌で感じ始める時刻だった。それはこの場が川辺ということもあり、更に強く感じる気もする。
 休日の昼間は少年野球チームの試合などで賑わうこの場所も、今日は平日ということもあり、犬の散歩をさせる人の姿すらまだまばらにしか見受けられなかった。もっとも、この状況は三人にとっては好都合だ。
「それで、これからどうするの? やっぱあたし囮で行こっか?」
「そーだね……まず羅火に相手を誘き寄せてもらって、俺が気を察知、近くに開くハズの穴の前で古田が待機、相手が古田に気をとられてるうちに俺が空間を閉じちゃう――って、上手くいけばいーんだけどねぇ」
 珍しく考える姿勢の水晶に、羅火はその肩を叩き「どうにかなるじゃろう」と笑って見せた。しかし、その後に続く言葉はまだ見ぬ相手への警戒心からなのか、熟年からのアドバイスなのか……そっと逸らされた視線は何処か遠い場所を見ている。
「ただ、万が一にその策がダメになった場合は焦らずゆっくり考えることじゃ。どんな事にも突破口は必ずあるからの?」
「ん……判ってるよ。とは言え前回のこともあるからね――今回は最初から本気でいくつもりだよ」
「それじゃ、準備といこっか」
 緋赤の声にそれぞれは散らばった。

「さて……どうするかの」
 小石の散らばる川辺で、羅火は腕を組み辺りを見渡した。配置的に自分の背の先に緋赤が背を向けて立っており、そんな緋赤から少しは慣れた場所で水晶が左掌から抜刀する姿が伺える。
 同時、水晶を取り巻く空気が変わった。不揃いの髪が風により定まらぬ方向へと揺れ、水晶の本性が現れるとそれに合わせるよう、羅火は殺気を放つ。物理的な力は放出しないまま、ただ水晶の言う気を増幅させ……地が揺れる。それは大地が悲鳴を上げているようだった。羅火と水晶、今二つの大きな力がぶつかり合う。
「――来るか!?」
 直後、水晶の視線が揺れる。しかし、それの視線は一箇所には定まらず、まだ相手の存在は見つけていないことを示していた。
「羅火!! まだ足りぬ、更に奴を刺激する程の力を!」
「ちぃっ、人使いの荒い奴よのぉ……ぬぅっ!!」
 文句を垂れながらも、一層の力を込めると両足が僅かに地にのめり込んでいく。すぐ横を流れる川の水位が変動する。その流れさえも、自然に逆らおうと、そして泳ぐ魚達は飛び跳ね、空さえも雲の流れを速めていく。
 緋赤は思わず固唾を呑みながらも、辺りの変化に気を配っているようだった。
 刹那――羅火と水晶の視線が向く先、その空間が揺らぎ、ぽっかりと一つの穴が開く。
 水晶の指示に緋赤は、羅火の背後……つまりのところ自分の前方に開いた穴へと向かって行った。穴は丁度土手にある橋の支柱部分に出来ている。因みにその上は鉄道の線路になっていた。
 そして緋赤の動きと同時、水晶は気配を完全に断ち切り穴の真横へと移動。
「来るよ!!」
 緋赤の声が辺りに響くと同時、穴からぬっと黒い影が現れた。
 続いて漆黒のマントに覆われたその姿が此方の空間に降り立つと同時、水晶の放つ符の力により相手の動きはそこで静止した。
「呆気なく成功なわけ!?」
 緋赤の声が辺りに響くが、それに続き伝わる微弱振動。それは恐らく相手が結界を破ろうとする力だ。『判っているだろうが』と内心思いながらも、羅火は水晶へ向け叫ぶ。
「否! 神納、じきに破られるぞ!!」
「――羅火は暫し奴の足止めを、古田は羅火のサポートを」
 水晶が言うや否や、空気の振動、燃えゆく符に羅火は殺気をそのままに相手の方向へと、背の翼を広げ素早く飛び出した。そう殺気を込め、猛攻へ移行しようとする姿は相手を引き寄せる為だ。
「ち……が…欲しい…――っ!!」
 案の定、相手はすぐ羅火に喰らいつこうとする。そこで素早く相手との距離を取った。
「さて、幾つかの能力複写をしてきたたようじゃが、借り物は所詮借り物にすぎぬ」
 言うや否や、羅火の右腕には炎が纏い、左手には僅かな光が球状に集まりだす。
 見上げた空は先ほどから僅かに雲が無くなり、その切れ間から陽の光が差していた。それをその手に集めると同時、ニィと口の端を上げ右腕の炎を球状にし相手へと素早く放つ。羅火の手を離れた炎の玉は、真っ直ぐに立ち尽くす相手へと向かい、そのマントへ届くと同時、まるで地獄の業火のようにマントを燃やしていく。
「なんじゃ? もう終わりかの。この光をお見舞いし終わりの筈じゃったが、ちいとやりすぎ――」
「今のは……すこし…熱かった……」
「――なっ!?」
 が、背後の声に目を見開いた。目の前の業火は……やがてプスプスと音を立てながら黒煙を出し、時期に治まっていく。しかしそれよりも耳に響いた少年の声、そして首に感じた痛みに、羅火は翼の力を失い落ちると同時、膝を折る。
「ちぃ……油断というわけじゃ無かろう…距離は十分取ったはずじゃ……が――……オリジナルと戦り合ったところで、ぬしはわしにも神納にも勝てぬよ」
 語尾は小さく、相手に届いたかは判らない。しかしジャリッと石の音と同時、背後にいた相手は距離を取った。それは羅火にとって好都合である。その間に回復は十分追いつく。確かに体内に入り込んできた何かがあるが、それを血液中の治癒能力で排除すると長い髪を片手でかき分け、首から傷も消えたことを手で確認する。
「まぁ、わしのコピーと戦り合うのも一興じゃな」
 初めからそんな考えが微塵も無かったとは言いきれないゆえ、羅火は開き直ると振り向き相手を見る。
「わしのコピーと戦り合うのも一興じゃな……と」
 相手はそのマントから羅火と同じ赤い髪の毛を覗かせると、同じ台詞を笑い混じりに呟いた。
「どっちがコピーじゃ、どっちが!」
 言いながら先程とは比べ物にならない短時間の間、今度は流れるような炎を右腕から右手そして左手へと……両手で編み出し相手へと投げかける。
「どっちがコピーじゃ、どっちが!」
 同時、同じ声と同じ炎が、相手からも繰り出されるのを羅火は目にした。その両手には手錠も見える。能力はともかく姿形は全て真似ているらしい。となると、見せ掛けだけではなくやはりその性質までも受け継いでいるのだろうか?
「……あやつは一体何処まで真似る気じゃ?」
 呆れ声のまま、炎を放つ手に更なる力を込める。コピー如きに負けるなど、端からそんな考えは無かったが――いざ自分の力があっという間に相手を飲み込んでいくと呆気にとられるものもあった。
 相手は自分が放ったコピーの炎と、羅火が放った言わばオリジナルの炎を受け、今度こそ羅火の前で燃えている。とは言え羅火はとどめを刺すことは出来ず、フッと辺りを見渡すとそこへ丁度水晶がやって来た。どうやら今の間、この辺りに結界を張ったらしい。
「遅いではないか、おぬしがのろのろしてるお陰でわしの能力まで盗られてしまったぞ」
「――っ、なっぁ!?」
 あまりにも台詞が呑気だったせいか、本性の水晶が取り乱しかける。
「ちょいとした前座遊戯のつもりじゃったが、此処からは本気で行かんと痛い目をみるのぉ」
「……当たり前だ。もっとも端から手など抜くものならば我が容赦せぬぞ」
 そう水晶が構えた刀の刃は、雲の切れ間から差し込む日を受け反射する。
「しかし好機、一気に片を付けてくれるわ」
 そんな水晶の動きに合わせてか、相手は両手をマントの下から出すと、見た目は水晶のものと全く同じ日本刀を左掌から出し構えた。
 キィィンと、金属同士ぶつかり合う音が響く。そこから生まれ出る突風が羅火の髪を揺らす。砂埃が視界を悪くするが、羅火は気にせず二人の動きを追った。
「どちらも早いっ……のう」
「我に勝てる等、思うでないぞ!」
 そう、恐らく水晶自身の言葉と同時、折れた刃が宙を舞う。その直後、辺りが微かに血腥くなった。恐らく水晶が相手を斬ったのだろう。
「――血……、俺は…こんな所で死ねない!!」
 そのまま体は崩れ落ちようとするが、相手は折れた刀を手放すと、細い腕は太く変化し、その手首に再び手錠を見る。
「だから忠告したのだがな……此処まで複写するとは厄介な」
 嘆息を漏らすとすぐ横を掠め行く炎に、水晶は舌打ちを重ねた。
「おお、一気に戦り難そうじゃのぉ」
 その声を聞きながらも、水晶は相手に僅かな一撃を与えているが、どれも致命傷には至らない。
「誰のせいと思っているか!? 複写に関しての警告は十分にした筈が……」
 五行の相剋により水晶の属性でもある金は火に勝つことは出来ず、場合によっては大ダメージを受けかねない。最初の警告はそんな意味を含んでいたが、羅火の頭には勿論そのような考えは無かった。
 そんな言い争いの最中、相手の目は二人から離れた緋赤へと向けられる。流れ落ちていた血はいつの間にか止まっていた。
「おっと、死ぬ前には助ける約束じゃったな」
「心得ている。これ以上奴の好きにはさせぬ」
 しかし、次の瞬間相手の体が大きく仰け反る。何が起こったのか、羅火と水晶からは全く判らないうえ、相手の姿で今は隠れた緋赤の安否も気になった。
「むっ、どういう…ことじゃ?」
 羅火の呟き、それは自分自身、そして水晶の脚をも止める。
 目の前には地に倒れ行く少年の姿。その向こうに見る緋赤は、その手に漆黒のマントを握り、それをジッと見つめると川へと放り投げ少年へと駆け寄った。
「何? こんな小さな子供が犯人だったわけ!?」
 しゃがみ呟く緋赤の後ろに立った水晶は、懐から一枚の符を出すとそれを少年の前に翳し、彼を動けなくする程度の結界を編み出す。
「これで目覚めても身動きは取れまい……我の役目も、此処迄よ」
 そう水晶が目を瞑ると、その瞼の奥で灰色の瞳は黒へと戻り、右手に持つ刀は左掌へと戻る。次に目を開けたとき、彼はいつもの明るい水晶の姿に戻っていた。ただ、その表情は「面白くない」と物語っている。
「ふぅっ、ちょーっと疲れたけど、結局トドメは古田なワケ?」
「一体何をしたんじゃ?」
「ん……コレ」
 そう言い緋赤が出したのは…‥――

    □■□

 川辺は沈みかけの夕陽に照らされ、水面はオレンジ色に輝いている。
 全てが終わる頃、何時からか状況を見ていたシュラインとシオン、武彦も合流し、六人は一人の少年を取り囲むように話しを始めた。と言っても、少年は気を失ったまま今は眠っている。
 整った美少年といえる顔、そして風に揺れる金髪は地毛だろう。こんな少年が異能力者を次々に襲っていたと思うと……人は見かけによらないと言いたくなる。
「一体コレはどーゆーコト?」
「こやつは何かに操られでもしとったのか?」
「なんか、わけわかんないね」
「それでは、順を追って説明しましょうか」
 戦闘に関わっていた三人の言葉を受け、シオンが一歩前へ出る。
「結論的に判ったのは、彼の血の中に問題があったということでした。本来吸血鬼というのは血を飲むという形で取り入れるのですが、彼の場合輸血という形からも血を補っていた為、その輸血に問題があったのでしょう」
「結局後天的、知らぬ間に彼は複写能力と脳炎ウイルスを体内に保持するようになった、それは今彼の体内を流れる誰かの血から得たのでしょうね。此処までは仮説を立て判ったことで、それがどうして結果此処まで暴走したか、それは本人に聞くしかないわ」
 シオンに続き言うシュライン、その後に意外にも武彦が続いた。
「ただ一つ判るのはな、こいつは今まであんなことを繰り返しておきながらも時折俺に助けを求めているようにも思えた。だから途中から被害がなくなったのは、それと何か関係があるんじゃないかと思う。何かに支配されていたものの、まだ心が残っていた、みたいな……な」
「わかるよーなわからないよーな……とにかく本人に聞くのが手っ取り早いってコトかな」
 水晶の言葉に三人は頷いた。もっとも、本人が無意識下の内で全てが起こっていたとすると話にもならないのだが。
「あ、動いた?」
「目が覚めたようじゃな」
 緋色と羅火の言葉にそれぞれが一歩前へと足を進める。
「――‥…んっ、ぁ……?」
「気がついたかしら?」
 ゆっくりと目を開けた少年は、その視界に入り込んできた女性――シュライン――を見、その深紅の眼をぱちくりとさせた。
「記憶は……大丈夫でしょうか?」
 その後そっと移動させた視線に入り込んだ男――シオン――にハッとし、辺りをぐるりと見渡し起き上がろうとするが、水晶の符の効力のせいか、動くことが出来ない。
「もう大丈夫だから、何とかしてあげて?」
 シュラインに言われ水晶は短く返事をすると、少年の前でしゃがみ込み右手と左手を合わせ、素早く符を取り除くと、立ち上がり「終わったよ」と、一歩下がった。
「お話、出来ますか? あなたのことや今までのこと」
 シオンの言葉に少年は起き上がり頷くと、先ずはぺこりと頭を下げた。
「助けてくれてありがとうございます。えっと……何処から話すべきか――まず俺がバンパイアと言うことからでしょうか?」
「ほう、やはり元は吸血鬼なんじゃな」
 羅火の相槌に少年はコクリと頷き、「でも…」と後を続けた。
「本来無差別に血を吸うわけではなく年に数度……心許す者の血を吸う程度です。けど俺はある時期を境に貧血気味で、父から血を分け与えてもらうことは勿論、新鮮な血液を血管に直接、質ではなく量として補っていました」
「この子の部屋に大量の輸血パックがあったわ。勿論空だったし、何処から手に入れたのか得体の知れないものだったけどね」
 シュラインの言葉に少年は苦笑いを浮かべながらも言葉を続ける。
「コピー能力を見出したのは一年ほど前。しかし俺はそれを知っても……なんとも思わなかったのです」
「それって矛盾してない? それとも、今回の目的は能力のコピーとは関係ないとか?」
「正直……どうして此処までのことをしてしまったか、俺自身判りません。ただ、取るべく方法を間違えたのかも知れませんね」
 やがて苦笑いを消し俯く少年に、緋赤は直接少年には見せないながら顰め面となった。
「結局のところ、何がきっかけ、そして目的で始まった行動だったのか教えていただけますか?」
 シオンの優しい口調に、少年は俯いたまま小さく、皆に聞こえるのか判らぬ声で言う。
「俺の、今の母は義母なんですが……義母が家に来たばかりの頃は俺も良くして貰いました。でも三ヶ月前、父の長期出張をきっかけに食事は貰えない、輸血も貰えない、邸中から暗幕が剥ぎ取られ、自分の部屋以外は四六時中明るい……そんな状況が続きました」
「あなたの部屋で昔の写真を見たわ。……綺麗で、優しそうなお母様で」
「義母も…悪くは無かったんです。亡くなった母の次に父が愛した人だ、俺も好きだった……好きに、なろうとした」
「でも、結果そーして裏切られ、それでも義母を憎みきれず――酷い矛盾を抱え込んじゃったワケねぇ?」
 皆から一歩下がった水晶は腕を組み、少年からは僅かに視線を離し呟く。その声色からは、何を思いその言葉を呟いたかは判りかねる。
「結局、何よりもまず不足した血液を欲するようになった俺は、一ヶ月前家を飛び出しました。苛立つのは義母への憎しみでは無く、血が足りないからだと。一般人を襲うことは簡単でしたが、万が一にも殺してしまうのが怖かったから、多少血を抜いても大丈夫そうな能力者を狙ったんです」
「そんな理由だったわけ!? 能力者を襲って能力をコピーして……強くなりたいとかでなくて?」
 緋赤の言葉に少年は頭を振る。
「結果的にコピーした能力を時折使ってまで血を求めてしまいましたが、とにかく誰彼構わず血が欲しくて……今思えばそれは自分の中にあった本性だったのかもしれませんね。今の俺は、そんなこと望みませんけど…だから必死で自分を止めたかった、でも血を得るとまた次と――」
「吸血鬼の本能ゆえの行動、かのぉ。と言うことは、脳炎ウイルスも故意ではなさそうじゃな」
 案の定羅火の言葉に少年はきょとんとした表情で首を傾げた。その様子に一同は息を吐く。考え方が優しいのやらそうでないのやら……方法は幾らでもあったはずだが、結局こんな方向へ彼は本能のまま動き、結果こうして騒動は治まった――筈。
「あ、そうそう……俺自身無事血は補えたのですけど、さっき斬られたりしたときに流れた血のお陰で得た能力は全て失くしちゃったみたいです」
 そのことで色々吹っ切れたことも有ったのか、少年は僅かに笑みを浮かべた。
「そういえば、病院からも連絡が入ったんですよ。重症者四人が全員回復と」
「根本であった彼から脳炎ウイルスの能力も無くなったお陰、なのかもしれないわね」
 そうシオンとシュラインが言うと、少年は立ち上がり服についた砂埃を叩き言う。
「御迷惑おかけしました。俺、今から父のところに行って、色々話してこようと思います。そうすれば貧血も治まる気がしますし。あ、この時計は持ち主の子に返してあげてください」
「良いけど……どうして話すと貧血が治るのかしら?」
 たまたま少年の側に立っていたシュラインが桂の時計を受け取るが、その言葉の意味は理解しがたい。
「俺の貧血は母さんが死んでからなんです。そして義母が来て悪化した――要するに胃潰瘍です」

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「あーあ、何……結局アイツは能力じゃなくて血液欲しくて俺の血ぃ吸ったワケ? しかも胃潰瘍で貧血の吸血鬼なんて有り得ないデショ……おまけにアレ、マザコンって奴じゃ?」
「まぁ、そう言いなさるな。わしは一時でも自分の複写とまみえたこと、面白く思ったぞ?」
「そのお陰で俺は困ったんだケド……」
 少年と別れた帰り道、沈み行く夕陽を横に、先頭を行く羅火と水晶はごちゃごちゃと言い争いを始める。
「む、終わり良ければ全てよしじゃろうに。それにしても、我を失うほどの思いの強さとでも言うのか……なんとも言えぬ結末だったのぉ」
「でも結局は…心の弱さが引き起こした事だと、あたしはなんとなく思うけどね……」
 羅火と水晶、その一歩後ろを行く緋赤はポツリと呟いた。その声は後ろの二人には届かず、前の二人には確実に届いたわけだが、それに視線を僅かに動かすものの言葉は無い。代わりに後ろの二人、シュラインとシオンがふと気になったことを呟いた。
「そういえば、あの少年を気絶させたのは古田さんのようでしたが一体どうやって?」
「それ、私も気になってたのよ。よく見えなくてね」
 そんな二人の言葉に緋赤は顔だけ振り返り、「ん、あたし自身ビックリだったけど」とぼやくと、再び前を見鞄の中身をあさりだす。その動作言葉に前の二人が苦笑いを浮かべたのは言うまでも無い。
「コレ」
 言葉と同時、緋赤が鞄から出し二人に見せたのは会長に渡されたと言った虫除けスプレーと殺虫剤。
「蚊って、ことですか……」
「彼はあの時吸血鬼というよりは蚊だった、ということかしらね……」
 思わず後ろの二人も苦笑すると、それにつられたのか緋赤も最後に苦笑いを浮かべた。

 数日後、今回の事件は月刊アトラスの独占記事なった。他社誌が扱わなかったのはその不可解さと、事件解決により重症者も元へ戻り、まるで何事も無かったかのようなことからだろう。
「うむ……何々?」
 その記事の内容は一部事実からは掛け離れ、明らかにゴシップじみた所もあったが、大方武彦が麗香に話しでもしたのか、終わりは明確に書かれていた。
「普段は病弱で温厚な少年が突然の変異!! ‥‥それは弱者の強さを垣間見た瞬間だと思う。本誌はその一部始終を追った――なんというべきか、今一じゃな……」
 立ち寄った本屋で立ち読んだその本を両手で閉じると、羅火は踵を返す。
 そして空をそっと仰ぎ、その先に気持ち良い陽を見、目を細めた。
「今日も、良い天気じゃな…‥」

 声は遠い空へと昇っていく――


 [終幕]

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [1538/人造六面王・羅火/男性/428歳/何でも屋兼用心棒]
 [3620/ 神納・水晶  /男性/24歳/フリーター]
 [0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員]
 [4047/ 古田・緋赤  /女性/19歳/古田グループ会長専属の何でも屋]
 [3356/シオン・レ・ハイ/男性/42歳/びんぼーにん(食住)+α]

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■         ライター通信          ■
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 ということで、大変長々となりまして……お疲れ様でした。
 すっかりポンコツでした李月です。出だしで風邪を引き、コレが終わる頃ようやく治り……もう不甲斐ないばかりですが、出来上がりました後編、少しでもお楽しみいただけていれば幸いです。
 色々補足部分はあると思うのですが――取りあえず此方ご参加の方々は倒すという意見と助けたい、もしくは行動に不可解な部分があるという意見が合わさりこのような展開、結末となりました。こうして終わり、タイトルは色々な意味で受け取っていただければと思います。何がどう弱く何がどう強いのか――私自身、この意味については当初全く違う事を考えてましたからね…
 相変わらず共通部分でさえ一部は若干差がある書き方となっております。もしお時間がありましたら、このグループ内はザッと見ていただければ詳細が見えてくる…かも知れません。

【人造六面王・羅火さま】
 初めまして、この度は弱者の強さ(後編)へのご参加ありがとうございました(ぺこり)
 しかしながら初めての口調に、水晶さんの方もあり(しかしながら有難うございます。他の方視点からもご意見を頂けるのは又違う感触がありましたしね)、二重プレッシャーでもありましたが大丈夫だったでしょうか? なにやら羅火さんに関しては書いてる間時折どこかの方言が入ってしまい、微調整を繰り返してきたのですが、完全に掴みきれないまま最後まで来てしまいました。本当に申し訳ありません。攻撃もこの姿のままだとの想像で少々…色々と暈してあったりもしますが、ご想像頂ければと思います。また、水晶さんとコンビ状態で色々と書かせては頂きましたが、そちらも含みまして何か違う点や不都合などありましたらどうぞお申し付けください!
 ともあれ、とても楽しく書かせていただきました。少しでもお気に召していただけてればと思います。

 それでは又のご縁がありましたら…‥
 李月蒼