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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ 弱者の強さ(後編) ]


 それは一ヶ月前――
 一つの事件を幕切れに更なる事件が広がっていく。
 半径五十kmの範囲で異能力者連続通り魔事件発生。多数の軽傷者、四人の重症者を出した事件は、遂に月刊アトラス編集部社員桂をも巻き込む。
 その調査を月刊アトラス編集部編集長・碇麗香から任された草間興信所所長・草間武彦は、協力者と共に事件解決へと踏み出した。結果桂は無事救出、だが肝心の武彦は通り魔らしき者を追いかけ行方不明。
 しかし捜査の結果、犯人は漆黒のマントを身に纏い能力者の血を吸うことにより、その能力者の能力をコピー可能。同時、能力者に毒のような物を混入、重症を負わせることが判明。その話は後日瞬く間に各地へと広がった。
 しかし事件は未だ謎に満ちたまま未解決。グループは解散。
 それから数日後…‥広がる異能力者への被害。それは遂に全国区へと発展した。

「大変……だ」
 とある病院の一角。個室から相部屋へと移動され、退院も間近である桂がそんな新聞記事を見、そっと呟いた。
「やっぱりあいつが……ボクの時計を――」
 そっと新聞を握り締める手に力が篭る。
 前回の事件の後、軽傷で済んだものの怪我を負った彼はこうして病院に居る。しかしやはり見つからない。

 大切な時計が。


 ――同時刻
「ったく……厄介なことになったな」
 此処数日寝ずに先行く背を追い続ける草間武彦は、火の点いていない煙草を銜えながら流れる汗を拭うと、間も無く充電の切れる携帯電話を片手に舌打ちする。
「一体あいつはどう言う神経してんだ」
 悪態を吐きながらメールモードでアドレス帳にあるだけの連絡先を全てBCCで選択。時折画面から目を離しては、追っている者が姿を晦まさないかも確認する。今、さほどスピードは出していない。勿論走る速度だ。ただし時折飛びもする……。
 此処数日、武彦は犯人らしき背を追うものの犯行回数は何故だか減っている。否、それはまるで見定めしているようにも思えた。それとも武彦の尾行は気づかれており、犯人はしつこい武彦を撒くまでは犯行には及ばないとでもいうのか……?
「……んなの考えてられるか!! 届け、でもってお前らもどうにかしてくれ!」
 メール送信画面。少しの間を置き送信完了の文字。それと同時、ピーと高らかな音と共に電池切れのメッセージが辺りに響き渡る。

「あら?」
 メールの受信音に気づき彼女は顔を上げる。誰からのメールかと携帯電話を開けばそこには此処数日全く連絡の取れなかった武彦の名前があり、すぐさまメールを開封した。

○月○日 11:25
From:草間武彦
Sub :応援頼む
本文:通り魔追ってる、応援頼む。奴は桂から時計奪ったらしい。俺が追いかけてるのは愛知、青森、秋田、石川、今茨城。電池切れ、買えたら買うから連絡はメール。集合は興信所で。宜しくな

「――武彦さん」
 そっと目を閉じると、彼女は座っていた椅子から立ち上がる。こんな連絡が入ればのんびりしてなどいられない。
 一先ず何時か電池が戻りメールを受信してくれることを願いつつ、返信に「くれぐれも気をつけてね」と手短に打ち送信。本来ならば直接伝えたいところだが、それはまだ少し先の話になりそうだった……。
 前回のおさらいをしながらも荷物をまとめ家を出る。
「嫌な天気ね……」
 見上げた空は一面灰色の雲、青空など覆い隠されていた。

    ■□■
 メール受信から数時間。興信所に集まったのは前回もこの事件に関わった四人のメンバー、そこに新たな人物が一人加わった五人だった。
「以前神納から聞いて面白そうじゃと思うてな、今回はわしも混ぜてもらってよいかのぉ?」
 そう言い皆の前に出たのは人造六面王・羅火(じんぞうむつらおう・らか)だ。そしてふっと浮かべた笑みを、隣に立つ神納・水晶(かのう・みなあき)へ向ける。
「ん、別に誰も反対なんてしないだろーし、戦力は多い方がいーんじゃない?」
 そう水晶が言うと、その隣に立つシュライン・エマが声に出す。
「確かにね。今回は戦力に情報、多すぎても全く損は無いから歓迎ですよ」
「戦力に情報、今回も…だけど、あたしの方は揃ってるよ。っても、情報は会長の力でこれから先どうにでもなるってもんだけどね」
 最後の台詞に笑みを僅かな苦笑いに変えながら古田・緋赤(ふるた・ひあか)は言う。
「私は前回の情報も参考に、少しでも早く事件解明のお役に立てればと思いますよ」
 そう、最後に言ったのはシオン・レ・ハイ。
 こうしてそれぞれが一言言い終わると、五人は客用ソファーに座り草間・零から出されたお茶に口をつける。しかしのんびりしている場合でもなく、一口だけ飲み終わり最初に湯飲みをテーブルに置いた彼が早速切り出した。
「で、さ……まずはどーするワケ? 俺一度コピーされちゃってるけどあちらさんは全然興味なさそーだし。どーやって誘い出すか、相手の出る場所に先回りできるか、が今回問題だよね」
 そう言うは水晶だが、その声を皮切りに犯人に関しての声が飛び交うこととなる。
「それなのだけど、武彦さんのメールの中に答えがあると思うの」
「場所だったら愛知、青森、秋田、石川、茨城……と言ってましたね、っと」
 言いながらシオンはテーブルに日本地図を広げ、武彦の足取りに印を付けていく。
「うむ……どうもわしの苦手なところじゃのぅ。ここらは若人に任せるわい」
 地図を覗き込むものの、結局唸りながらソファーに身を預けた羅火は、戦闘まではお役目が無いといわんばかりに目を閉じた。その様子を隣の水晶が横目で見ながら、シュラインに続きを求める。
「多分ね、あいうえお順なのよ。その意図は判らないし、一日に数県跨ったりも有り得るだろうけど」
「ってことは、これで犯人の足取りはばっちり?」
「予測上は岩手・愛媛・大分・大阪…と続きそうですね」
 緋赤の言葉に続きシオンが地図へとチェックを入れていく。目を閉じたままの羅火も進む話を聞いてか、満足そうに頷いていた。
「移動の土地がわかったとして……アイツが何処に出てくるかもわかれば、手っ取り早く結界符で空間閉じちゃうんだケドね」
 現段階ではまだ場所の特定が完全といったわけではない。面積の広い県などでは探している間に犯人が他へ移動する可能性は十分すぎるほどある。例え水晶が穴から出てきたその気配を感じ取ったとしても、正反対の場所で待機していては話にならない。だからといって散らばって待機しているのも良い策だとは言いきれない。
「そして此方にはすばやい移動手段がないからこの近くまで来るのを待つしかない……一番早くて神奈川だけど、それまでに出来ることもあるでしょうし、とにかく今は準備を整えましょ?」
「何にしろ草間さんの協力も必要ですね。もし何か気づいたことを送ってくだされば、また判ることもあるでしょうし」
 シオンの言葉にシュラインは素早く携帯電話を取り出すと武彦へとメールを送り、ゆっくりと顔を上げた。
「これで良し……って、もうこんな時間ね」
 時計を見たシュラインに、皆の目もそれぞれ時計へ移動する。その中の一人、シオンは日本地図を畳むと真剣な面持ちで言う。
「今回は先が見えないので時間が惜しいところで。此処からは各自分担し、それぞれ情報をやり取りしながらの別行動としませんか?」
「やっぱそーだよね! 俺調べ物ってあんま好きじゃないし、ココからは調べ物するのと戦いの準備で別れた方が効率もいーんじゃない?」
「わしもそれに賛成じゃよ」
「あたしも。ぁ、因みにあたしは戦うからさ、会長直通の電話番号渡しておくね。何かしらの機関に情報を求めるとき、これ使って構わないから」
 シオンに続き水晶、羅火、緋赤が言い、最後に緋赤から電話番号の書かれた紙を受け取ったシュラインは頷き立ち上がる。
「それじゃ、何か判り次第連絡を取り合っていくことで、此処からは各自情報収集や戦いに備えましょう」
 そうして五人はそれぞれ興信所を後にした。今回の事件についての捜査担当はシュラインとシオン。恐らく避けられぬであろう犯人との戦闘、その要員は羅火、水晶、緋赤。

 時刻は午後一時五十分。

    □■□

 戦闘要員の三人が早々に出て行った興信所。そこに残るは捜査担当のシュラインとシオン……勿論キッチンの奥には零も居て、今はお茶の方付けをしている。此処数日帰らぬ武彦の代わりに来た皆に、先ほどまでは喜びを見せていたが今は普段通りに戻ったようだ。
「さて、どうしましょうか? 因みに私はこれから病院へ行ってみようと思ってます。情報次第で皆さんの戦いも楽になるかもしれませんし、今までの被害者さんの状況も気になりますしね」
 切り出したシオンにシュラインはいつの間にか俯きがちだった顔を上げた。先ほどまで定員オーバーとも思われたソファーは今、ひとつに一人と十分な余裕があり、二人向かい合い話をする。シュラインにとって今この場に武彦がいないということは、どうも不思議なことに思えてしょうがない。
 ともあれ先ほど緋赤から渡された電話番号を念のため手帳へ書き写すと、シオンへそれを手渡した。
「――私は前回シオンさんが発見した血痕……あれを今友人に調べてもらってます。その間に最初の事件が起こった場所へ聞き込みに行こうかと」
 そう、お互い調査面が重ならないことを確認するとソファーから立ち、揃って興信所を後に、ビルを出たところでそれぞれ右と左に別れ調査を開始する。

「犯人の目的……一体何なのかしら? 今までは長距離移動もなかったし人を殺しもしない。それに、どうも人で無い可能性も否定出来ないのよね」
 呟きながらもシュラインの向かう先はこの連続通り魔、最初の事件現場。
「でも正体が何であれ、もし力を欲する事で我を忘れ暴走してるだけなら……どうにかして止めてあげたいわね」
 様々な可能性を頭で整理しつつ、シュラインは先を急いだ。
 最初の事件現場はシオンの向かった病院とは正反対方向に少し、比較的興信所から近くバスと徒歩で数十分ほどで現場へと辿り着く。
 事件から既に一ヶ月以上の時が経ち、訪れた事件現場は町の一部として戻り今そこにあった。
「――ここで、ね」
 一つ息を吐くと鞄から手帳を出す。この周囲、目に付くところで特別気になるところはない。それに事件現場そのものの血痕は残さず洗い落とされたようで、シュラインは眼鏡を掛けると前回シオンが見つけたよう、目の前の塀に視線を向ける。しかしそこに、不気味なまでの血痕を見つけることは出来なかった。
「って、そう都合よく見つかるわけもないか……」
 しかし、そう視線を逸らしたタイミングで携帯電話がメールを受信する。シオンからの連絡か武彦からの連絡か或は他か、何にしても重要なものに変わりなく、素早くメール画面へ移動すると差出人の名にホッと、胸を撫で下ろした。

○月○日 14:15
From:草間武彦
Sub :シュラインとシオンへ
本文:情報集めてるであろう二人に追加。あれから岩手、愛媛、大分、大阪まで来た。これ五十音か? 一日の行動がこんなに早いのは今日が初めてだ。それにしてもそろそろ疲れた…

「……武彦さん」
 どうやら何かしらの方法で電池が回復したのは判るが、彼の体力が危険に思える。
「でも、一日に数県どころでなく一時間に数県跨るようになってるみたいね……急がないと間に合わないわ」
 携帯電話を閉じ顔を上げると、少し先の道で数人の主婦がシュラインの方を見てなにやらコソコソと話しているのが見えた。目が合うと同時、逸らされた視線が明らかにシュラインのことを話していると知らせていた。
「まぁ……あの人たちに聞くのが一番そうね」
 呟くとシュラインは掛けていた眼鏡を外し、主婦達の方へと向かっていく。近づいて判ることだが中高年の、いかにも噂好きそうな集まりだった。こう言う人は聞き方さえ間違えなければ大抵のことを、上手くいけば聞きもしないことまで教えてくれる。反面、時折事実に尾ひれがついている事も多いのだが……。
「こんにちは、少しよろしいですか?」
 シュラインの言葉に主婦らはコソコソと会話を止めることは無く、それでも視線は一斉に注がれる。
「最近この辺りで普段はあまり無いような出来事はありませんでしたか? 例えば動物が棄てられていたとか、人が行方不明になったとか」
 此処ではまだ何時頃のことか、そして事件のことを口にすることはなかった。すると主婦らは口々に話し合い、その結果が出たのか、ポツリポツリと声が集まり、その何気ない一言一言に耳を傾けながらシュラインは手帳に情報を記していく。最初は何気ない迷子ペットの話から、あそこの旦那が家出したらしいなど、それぞれの間で意見の食い違いが多くある、何処から仕入れてるのかも判らない情報ばかりだった。しかし…‥
「それよりも二丁目のあの子――」
「あぁ、あの男の子ねぇ……誘拐でも失踪でもなくて家出だって言うけど、もう一ヶ月以上でしょ?」
 『一ヶ月以上』その単語にシュラインはペンを止め顔を上げた。
「失礼ですが……どなたか行方不明ですか?」
 しかしまるでその言葉を待っていたかのように、話を切り出した主婦がすぐさま口を開く。
「いえね、二丁目のお坊ちゃん…と言ってももう十五歳だったかしら、突然居なくなったらしいのよぉ。最初は身代金目的の誘拐とも騒がれたけど、翌日この街では物騒な事件も起きてそれどころじゃないし、結局犯人からの連絡も来なくて」
「警察には家出で済まされちゃってね。でも奥さん、息子さん居なくなったのに落ち込んでないわよね?」
「そうなのよ! だからあの奥さんが息子さんを――なんて話がね。でも元々あの方確か後妻でしょ? 自分の息子でなければやりかねなくも、無いわよねっ」
 言いながら主婦の一人が、手に持った折り畳み傘を握り締め、向かいの主婦にまるで突き刺すような……そんな動作を見せた。勿論顔も声も笑っていて、やがてその動作が談笑のきっかけとなる。
 シュラインはその場を上手くすり抜けると、ついでに尋ね聞いた二丁目の邸へ向かうことにした。しかしその途中入るメール。
「結果が、出たようね……えーと」
 友人に頼んでいた血液の分析依頼、その結果にシュラインは方眉を上げた。
「血液は人間のもので間違いなし。ただし複数の物が混ざっている可能性もある(しかし被害者の物とは一致せず)因みに血液の飛び散り方などから、落下推定位置は十M程度上から……」
 ひとまずそのメール内容を手帳へと写すと、噂の二丁目へと足を向ける。


「――……息子、のことですか?」
 そうして訪れたこの場所は、まるで西洋にでも迷い込んだのではと錯覚するほど、この町には場違いな建物だった。しかしそこに響く声はこの豪邸に相応しくも、少しばかり嫌味が含まれると思われる声色だ。
 この邸はその敷地の広さゆえ入り口の門から玄関までの距離が幾らか有り、玄関ドアは大きくやや重い両開きに、入ってすぐの巨大シャンデリア。そこで受信した緋赤からのメールはパッと見、相手を誘き寄せる為弱点を見つけたら良い場所を教えてくれとのことだった。それを頭の隅に置くと、先行く女中の後を追った。
 案内された応接間には多くの骨董品が並び、まるでその中に埋もれてしまうのではないのかと思う場所に今、この邸の婦人は細い体に色白の肌を持ち立っている。歳の程は二十後半程だろう。十五の息子が居るとして、その主人の後妻と言うには歳若い気もするがそこについては人それぞれだろう。
 婦人を真っ直ぐ見据え、シュラインは言った。
「はい。実は私、ある事件の調査中此方の話を伺いまして。御子息も巻き込まれたのでは、と」
 シュラインの言葉に婦人は振り返る。彼女はそれを出された紅茶の湯気越しに見た。
「……きっとそれはありませんわ。あの子はこの家が嫌になって出て行ったのですから」
「嫌、ですか」
 表情に悲しみの色など無く、声は淡々と断言までしている。そして婦人は出入り口のドアへと向かう。
「私からお話しすることは御座いません、どうか早々にお引取りください」
 声と同時、閉まるドアにシュラインは思わず片目を瞑る。事件への関連性や、情報を得られることなどさほど期待はしていなかったものの、噂から考えた予想以上の婦人だった。
「でも、こんな邸の一人息子が荷物一つ持たず家を出るかしら?」
 呟くものの、すぐさま「これが身分の差なのかしらね」と小さくぼやきソファーから立ち上がる。興信所の客用ソファーとは雲泥の差のものだったが、やはり座りなれたあちらのソファーの方が好きだと考えたりもした。
 そして応接間から帰る途中、シュラインはドアが少しばかり開いた一つの部屋を見つける。場所は一階の隅、これほどまでに明るい邸の中では、何やら人が好き好んで立ち寄りはしなさそうな暗い場所だった。
 丁度女中の姿も途絶え、辺りを見渡すとシュラインは素早くその部屋へと侵入する。
「もしかして此処は?」
 やや薄暗いながらも見える本棚や勉強机にベッド、床に散らばる様々な玩具。それらを見る限り、やはり此処が失踪した息子の部屋だと思われる。もっとも、この邸に他の息子が居なければの話だが。
 今日が曇りとは言えどうして此処まで薄暗いのか気になり、後ろ手にドアを閉めると中へ進む。すると部屋に一つ存在する窓には半分だけ、暗幕のようなカーテンが引かれていた。ただでさえ隅のせいで日当たりも悪いのか、寒い部屋に掛かる暗幕のようなカーテン。おまけに今引かれているカーテンのみでは窓全てを覆うことは不可能に見えた。
「半分…いえ、カーテンが片側だけしかないの? ……っ、何!?」
 前だけを見て進んでいたせいか、床の何かを踏み思わず一歩後退る。感触は固より、視界に入ったそれは本来一般家庭にゴロゴロと転がっているようなものではない。
「――おかしいわ……何かが変」
 それを目にしたとき、シュラインの中で何かが引っかかった。しかし言うならばあと1ピース、パズルの欠片が足りない。
 その時携帯電話が再び小さく震えた。

○月○日 15:00
From:シオン レ ハイ
Sub :検査結果
本文:四人の重症患者さんは検査の結果、脳炎に近い症状だそうです。しかし症状と一部の型のみで、等相違点は多く、変異体ウイルスと見られるとのこと。現在患者四人には不活化ワクチンを投与中、症状に和らぎ有り。現段階から致死に至る可能性は少なく、症状が治まる可能性は高いと……詳細はまだ検査中のようですが、戦う際は傷を付けられぬよう努めるのが良いでしょう。因みにウイルスの侵入経路は首だそうです。

追伸:シュラインさんは犯人のマント、気になりませんか?どうもアレが気になり考えてるのですが、どの方向性で考えるべきでしょう。姿を見られたくない為か暗闇に紛れる為か、光に弱いのでしょうか……

「――‥ っ、それよ!!」
 思わず声に出してしまった口を自ら塞ぎ、シュラインはすぐさまシオンに返信を打つ。
「犯人は吸血鬼、或はダンピール…吸血鬼と人間のハーフの可能性。でも……それだけじゃ説明がいかない箇所も多すぎる」
 返信後、そっと顔を上げ辺りを見渡した。今その足で踏んだ――その空の輸血パックは勿論のこと、良く見れば本棚には今の考えを正論付けてくれるような本が並び、その隣に一つの写真立てを見る。そこには先ほど対面した婦人とは別の……とても優しい笑みを浮かべた女性と一人の男性、そして少年が写っている。その光景に、シュラインは一つの答えを見つけ出す。
「……シオンさんに合流した方が早いかも」
 言うと同時、シュラインは窓を開けそこから外へと出る。
 同時、シオンからの返信。そこには病院敷地内の図書館に居ると書かれていた。
 この町からシオンが居るであろう場所は快速電車で繋がっている。シュラインは時計を見ると同時走り出した。
 途中、武彦から受信したメールは、現在地が鹿児島だと告げていた。

    ■□■

 合流した図書館で、シュラインは手帳の中身をシオンへと見せ、代わりにシオンは自分の手帳の中身と資料をシュラインへと見せた。
 シオンの手帳には医師から手渡されたらしき資料から抜き出された脳炎に関するデータや吸血鬼、ダンピールに関してのことが書き並べられていた。
「どうです? もしこの仮説が正しければ犯人の特定と弱点の参考にはなる。後のことは本人から直接聞くしかなく……もっとも、聞ければの話ですけどね」
 二人の情報を持ち合わせ、それは確かに繋がっていく。
「仮に犯人がシュラインさんの考えの者だとし……脳炎ウイルスを持つ蚊の力をも手に入れたとすると、殺していないのではなく殺せないという考えで?」
「えぇ、そして多分コピー能力とここで出てきた脳炎を齎す能力は、犯人の部屋にあった輸血パックの血液が問題だったのかもと……」
 そう、二人がまとめた意見は次の通りだった。

1:犯人は最初に事件が起こった町に住む人物(現在行方不明の15歳少年)の可能性
2:犯人は吸血鬼、或はダンピール(吸血鬼と人間のハーフ)である(ゆえに空を飛んでの移動もある)可能性
3:犯人が纏っているマントは(光の遮断、若しくは姿を見られないため等の可能性)自室から持って出た暗幕のカーテンの可能性
4:犯人は自室に持ち込んだ輸血パック内より体内にコピー能力と脳炎ウイルスを持つ力を後天的に手に入れた可能性
5:但し脳炎ウイルスに関してはコピーからの複写能力の可能性も
6:以上の可能性から、犯人の弱点は吸血鬼、或は蚊の対処法と類似の可能性

「けれど私には犯人が力を求めているのか、本当は血を求めているのか……今一判らないところもあって。もしかしたら今は我を忘れて暴走しているだけの可能性も十分有り得ますし」
 お互い手帳を返しあうと、沈黙の後シオンが口を開いた。
「やはりそうですね……殺していないというのが非常に引っかかる。しかしながら、今はこの線で行くしかないですよ」
「そう、ですね……だとすると、戦闘で私達が有利な場所は――」

『何、なんか判った?』
 掛けた電話の向こう、水晶は手短に用件を聞こうとしてきた。勿論今は詳しく説明する暇も無く、シュラインも要点のみを掻い摘む。
「今の段階では全て仮説の話だけど、犯人は吸血鬼或はダンピールの線。加えて十五歳の少年、我を忘れて暴走しているだけの可能性が棄てきれないから、くれぐれも倒しはしないように」
『倒しちゃいけないって、ムズカシーこと言うもんだね……』
 水晶の言葉が苦笑混じりなものの、楽しそうに聞こえるのは恐らく気のせいではないだろう。
「戦闘で有利な場所は日の当たる水辺、それで県境と言うならば都県境にある大きな川へ誘き寄せると良いと思うわ。戦うときは黒いマントを取ることを優先的に、この曇り空がこの後晴れればそれだけで相手の戦力は大幅に下がるはずよ。少ししたら私達も向かうわ」
『……判った、それじゃぁ今から向かう』
 電話は向こうから素早く切られるとシュラインも電話を閉じシオンを見た。
「私達も現場へ向かいましょう」
「そうですね」
 声と同時、二人は病院を後に。電車を乗り継いだ都県境にある大きな川へと向かう。

    ■□■

「っ、とは言え川も長いですから何処で戦うことにしているのか……」
「そうですね……あらかじめどの辺りで戦うか聞いておけばよかったわ」
 二人が都県境の川に着いた時、辺りはまだ明るく、しかし急激に冷たくなっていく風を肌で感じ始める時刻だった。それはこの場が川辺ということもあり、更に強く感じる気もする。
 しかし、探す間も無くどこかから響き渡る轟音に、二人は素早く視線を動かし黒煙を見つけた。場所は此処からさほど遠くは無いはずで、顔を見合わせるとそこへ向かい走り出す。
 やがて川辺に居る三人と犯人の場所まで近づくと、土手の辺りに武彦の姿を見つけた。
「武彦さん!」
 シュラインの声に振り返った武彦は、火の点いていない煙草を銜えたまま苦笑交じりに手招きする。その体を見る限り、上から下まで怪我一つ無い。ただ、目の下に隈が出来てはいた。無事であったのは何よりで、お疲れ様の一声も掛けたいところだがまだ事件自体は解決されていないため、シュラインはその言葉を飲み込んだ。
「色々と情報ありがとうございました。それにしても大丈夫でした?」
 シオンの台詞に武彦はゆっくり頷き、その視線を三人へと戻した。丁度水晶と緋赤がこの辺りに結界を張ったのか、辺りは光り輝き、それは天まで昇っていく。
「あぁ、あいつらが相手を誘き寄せたお陰、後から出てきた俺はあいつらにも気づかれず此処まで逃げてきた……ところでシュライン、犯人の正体判ったか?」
「え、えぇ。全て可能性の話だけど、私とシオンさんの情報を集めた感じではあの犯人多分――」
「少年…だな?」
 そう、声を遮った武彦にシュラインとシオンの視線が集まった。
「どうして、それを?」
 言い当てられ、シュラインは思わず聞き返す。
「あの時は立ったまま夢でも見てたんじゃないかって思ったんだけどな、『どうかもう、こんな俺を止めてください』って声が聞こえて、目の前に金髪のガキが……って、あいつやばいんじゃないか!?」
 戦闘状況を見つめていた武彦は、思わず口から煙草を落とすと、今しがたまで犯人と水晶、そして羅火が戦っている現場へ走ろうとした。自分の目に間違いが無ければ、今犯人は巻き起こった砂煙に紛れ、戦闘から離れていた緋赤の方へと向かったと見る。
 異能力者同士の戦闘も当然の現状で、彼女は恐らく苦戦すると、舌打ちと同時――
「あ゛!?」
「えっ!?」
「おや?」
 三人は、緋赤の前……無様に崩れ落ちる犯人、そしてマントを剥ぎ取られた先に少年の姿を見た。
 それとほぼ同時、シオンの携帯電話が音を奏でる。
「はい……あ、先ほどはありがとうございました……はい、はい? あぁ、本当ですか!? それは良かった…は、判りました…それでは……」
 一連の流れにシュラインはそっとシオンを見た。その視線にシオンは安心しきった笑顔を見せる。
「今までの被害者さんが完全に回復したそうです。恐らく体内からウイルスそのものが居なくなったと……これで一安心ですね」

    □■□

 川辺は沈みかけの夕陽に照らされ、水面はオレンジ色に輝いている。
 全てが終わる頃、シュラインとシオン、武彦も三人に合流し、六人は一人の少年を取り囲むように話しを始めた。と言っても、少年は気を失ったまま今は眠っている。
 整った美少年といえる顔、そして風に揺れる金髪は地毛だろう。こんな少年が異能力者を次々に襲っていたと思うと……人は見かけによらないと言いたくなる。
「一体コレはどーゆーコト?」
「こやつは何かに操られでもしとったのか?」
「なんか、わけわかんないね」
「それでは、順を追って説明しましょうか」
 戦闘に関わっていた三人の言葉を受け、シオンが一歩前へ出る。
「結論的に判ったのは、彼の血の中に問題があったということでした。本来吸血鬼というのは血を飲むという形で取り入れるのですが、彼の場合輸血という形からも血を補っていた為、その輸血に問題があったのでしょう」
「結局後天的、知らぬ間に彼は複写能力と脳炎ウイルスを体内に保持するようになった、それは今彼の体内を流れる誰かの血から得たのでしょうね。此処までは仮説を立て判ったことで、それがどうして結果此処まで暴走したか、それは本人に聞くしかないわ」
 シオンに続き言うシュライン、その後に意外にも武彦が続いた。
「ただ一つ判るのはな、こいつは今まであんなことを繰り返しておきながらも時折俺に助けを求めているようにも思えた。だから途中から被害がなくなったのは、それと何か関係があるんじゃないかと思う。何かに支配されていたものの、まだ心が残っていた、みたいな……な」
「わかるよーなわからないよーな……とにかく本人に聞くのが手っ取り早いってコトかな」
 水晶の言葉に三人は頷いた。もっとも、本人が無意識下の内で全てが起こっていたとすると話にもならないのだが。
「あ、動いた?」
「目が覚めたようじゃな」
 緋色と羅火の言葉にそれぞれが一歩前へと足を進める。
「――‥…んっ、ぁ……?」
「気がついたかしら?」
 ゆっくりと目を開けた少年は、その視界に入り込んできた女性――シュライン――を見、その深紅の眼をぱちくりとさせた。
「記憶は……大丈夫でしょうか?」
 その後そっと移動させた視線に入り込んだ男――シオン――にハッとし、辺りをぐるりと見渡し起き上がろうとするが、水晶の符の効力のせいか、動くことが出来ない。
「もう大丈夫だから、何とかしてあげて?」
 シュラインに言われ水晶は短く返事をすると、少年の前でしゃがみ込み右手と左手を合わせ、素早く符を取り除くと、立ち上がり「終わったよ」と、一歩下がった。
「お話、出来ますか? あなたのことや今までのこと」
 シオンの言葉に少年は起き上がり頷くと、先ずはぺこりと頭を下げた。
「助けてくれてありがとうございます。えっと……何処から話すべきか――まず俺がバンパイアと言うことからでしょうか?」
「ほう、やはり元は吸血鬼なんじゃな」
 羅火の相槌に少年はコクリと頷き、「でも…」と後を続けた。
「本来無差別に血を吸うわけではなく年に数度……心許す者の血を吸う程度です。けど俺はある時期を境に貧血気味で、父から血を分け与えてもらうことは勿論、新鮮な血液を血管に直接、質ではなく量として補っていました」
「この子の部屋に大量の輸血パックがあったわ。勿論空だったし、何処から手に入れたのか得体の知れないものだったけどね」
 シュラインの言葉に少年は苦笑いを浮かべながらも言葉を続ける。
「コピー能力を見出したのは一年ほど前。しかし俺はそれを知っても……なんとも思わなかったのです」
「それって矛盾してない? それとも、今回の目的は能力のコピーとは関係ないとか?」
「正直……どうして此処までのことをしてしまったか、俺自身判りません。ただ、取るべく方法を間違えたのかも知れませんね」
 やがて苦笑いを消し俯く少年に、緋赤は直接少年には見せないながら顰め面となった。
「結局のところ、何がきっかけ、そして目的で始まった行動だったのか教えていただけますか?」
 シオンの優しい口調に、少年は俯いたまま小さく、皆に聞こえるのか判らぬ声で言う。
「俺の、今の母は義母なんですが……義母が家に来たばかりの頃は俺も良くして貰いました。でも三ヶ月前、父の長期出張をきっかけに食事は貰えない、輸血も貰えない、邸中から暗幕が剥ぎ取られ、自分の部屋以外は四六時中明るい……そんな状況が続きました」
「あなたの部屋で昔の写真を見たわ。……綺麗で、優しそうなお母様で」
「義母も…悪くは無かったんです。亡くなった母の次に父が愛した人だ、俺も好きだった……好きに、なろうとした」
「でも、結果そーして裏切られ、それでも義母を憎みきれず――酷い矛盾を抱え込んじゃったワケねぇ?」
 皆から一歩下がった水晶は腕を組み、少年からは僅かに視線を離し呟く。その声色からは、何を思いその言葉を呟いたかは判りかねる。
「結局、何よりもまず不足した血液を欲するようになった俺は、一ヶ月前家を飛び出しました。苛立つのは義母への憎しみでは無く、血が足りないからだと。一般人を襲うことは簡単でしたが、万が一にも殺してしまうのが怖かったから、多少血を抜いても大丈夫そうな能力者を狙ったんです」
「そんな理由だったわけ!? 能力者を襲って能力をコピーして……強くなりたいとかでなくて?」
 緋赤の言葉に少年は頭を振る。
「結果的にコピーした能力を時折使ってまで血を求めてしまいましたが、とにかく誰彼構わず血が欲しくて……今思えばそれは自分の中にあった本性だったのかもしれませんね。今の俺は、そんなこと望みませんけど…だから必死で自分を止めたかった、でも血を得るとまた次と――」
「吸血鬼の本能ゆえの行動、かのぉ。と言うことは、脳炎ウイルスも故意ではなさそうじゃな」
 案の定羅火の言葉に少年はきょとんとした表情で首を傾げた。その様子に一同は息を吐く。考え方が優しいのやらそうでないのやら……方法は幾らでもあったはずだが、結局こんな方向へ彼は本能のまま動き、結果こうして騒動は治まった――筈。
「あ、そうそう……俺自身無事血は補えたのですけど、さっき斬られたりしたときに流れた血のお陰で得た能力は全て失くしちゃったみたいです」
 そのことで色々吹っ切れたことも有ったのか、少年は僅かに笑みを浮かべた。
「そういえば、病院からも連絡が入ったんですよ。重症者四人が全員回復と」
「根本であった彼から脳炎ウイルスの能力も無くなったお陰、なのかもしれないわね」
 そうシオンとシュラインが言うと、少年は立ち上がり服についた砂埃を叩き言う。
「御迷惑おかけしました。俺、今から父のところに行って、色々話してこようと思います。そうすれば貧血も治まる気がしますし。あ、この時計は持ち主の子に返してあげてください」
「良いけど……どうして話すと貧血が治るのかしら?」
 たまたま少年の側に立っていたシュラインが桂の時計を受け取るが、その言葉の意味は理解しがたい。
「俺の貧血は母さんが死んでからなんです。そして義母が来て悪化した――要するに胃潰瘍です」

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「あーあ、何……結局アイツは能力じゃなくて血液欲しくて俺の血ぃ吸ったワケ? しかも胃潰瘍で貧血の吸血鬼なんて有り得ないデショ……おまけにアレ、マザコンって奴じゃ?」
「まぁ、そう言いなさるな。わしは一時でも自分の複写とまみえたこと、面白く思ったぞ?」
「そのお陰で俺は困ったんだケド……」
 少年と別れた帰り道、沈み行く夕陽を横に、先頭を行く羅火と水晶がなにやらごちゃごちゃと言い争いを始める。
「む、終わり良ければ全てよしじゃろうに。それにしても、我を失うほどの思いの強さとでも言うのか……なんとも言えぬ結末だったのぉ」
「――――」
 羅火と水晶、その一歩後ろを行く緋赤が何かポツリと呟いた。その声は後ろの二人には届かず、前の二人には確実に届いたわけだが、結果それに続くよう後ろの二人、シュラインとシオンがふと気になったことを呟いた。
「そういえば、あの少年を気絶させたのは古田さんのようでしたが一体どうやって?」
「それ、私も気になってたのよ。よく見えなくてね」
 そんな二人の言葉に緋赤は顔だけ振り返り、「ん、あたし自身ビックリだったけど」とぼやくと、再び前を見鞄の中身をあさりだす。その動作言葉に、既に事の成り行きを説明されている前を行く二人が苦笑いを浮かべたのは言うまでも無い。
「コレ」
 言葉と同時、緋赤が鞄から出し二人に見せたのは虫除けスプレーと殺虫剤。話によると会長から手渡されたらしい。
「蚊って、ことですか……」
「彼はあの時吸血鬼というよりは蚊だった、ということかしらね……」
 思わず二人が苦笑すると、それにつられたのか緋赤も最後に苦笑いを浮かべた。

 数日後、今回の事件は月刊アトラスの独占記事なった。他社誌が扱わなかったのはその不可解さと、事件解決により重症者も元へ戻り、まるで何事も無かったかのようなことからだろう。
「……あら?」
 その記事の内容は一部事実からは掛け離れ、明らかにゴシップじみた所もあったが、大方武彦が麗香に話しでもしたのか、終わりは明確に書かれていた。
「普段は病弱で温厚な少年が突然の変異!! ‥‥それは弱者の強さを垣間見た瞬間だと思う。本誌はその一部始終を追った――ねぇ……」
 立ち寄った本屋で立ち読んだその本を両手で閉じると、シュラインは踵を返す。
 そして寒空の下、鞄の中身を思い出し更に踵を返す。
「さて、桂君も無事退院したことだし、大事な時計返しに行かなくちゃ」

 時計は今も変わりなく まるで何事も無かったかのよう時を刻んでいた――


 [終幕]

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [1538/人造六面王・羅火/男性/428歳/何でも屋兼用心棒]
 [3620/ 神納・水晶  /男性/24歳/フリーター]
 [0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員]
 [4047/ 古田・緋赤  /女性/19歳/古田グループ会長専属の何でも屋]
 [3356/シオン・レ・ハイ/男性/42歳/びんぼーにん(食住)+α]

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■         ライター通信          ■
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 ということで、大変長々となりまして……お疲れ様でした。
 すっかりポンコツでした李月です。出だしで風邪を引き、コレが終わる頃ようやく治り……もう不甲斐ないばかりですが、出来上がりました後編、少しでもお楽しみいただけていれば幸いです。
 色々補足部分はあると思うのですが――取りあえず此方ご参加の方々は倒すという意見と助けたい、もしくは行動に不可解な部分があるという意見が合わさりこのような展開、結末となりました。こうして終わり、タイトルは色々な意味で受け取っていただければと思います。何がどう弱く何がどう強いのか――私自身、この意味については当初全く違う事を考えてましたからね…
 相変わらず共通部分でさえ一部は若干差がある書き方となっております。もしお時間がありましたら、このグループ内はザッと見ていただければ詳細が見えてくる…かも知れません。

【シュライン・エマさま】
 いつもありがとうございます、とすみませんでした!
 今回戦闘はそれのみに絞る感じだったのですが、捜査に関しては範囲が多方面に渡りありすぎましたね(汗)
 シュラインさんサイドでは、犯人の背景に直接迫る動きとなりました。色々な情報の交差で混乱されるかもしれませんが、犯人自身は貧血気味の吸血鬼であり、輸血により血を補っていましたが、その血と相性が良かったのか、献血者が持っていたコピー能力を貰いうけてしまい、最終的にどこかで脳炎ウイルス関連の力も入れてしまったと(ウイルス話は結局此方には書けず..)
 犯人イメージは歳の割には背の低い少年でしたので、すれ違い様が少々小さかったりでした。持ち物はお話の流れから使えなくなってしまいすみません。共に使えてましたら十分な効果ありました……。
 そして毎度ながら頭の切れと行動力には脱帽です。ありがとうございます。

 それでは又のご縁がありましたら…‥
 李月蒼