コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


独りぼっちの少女

#00
●姉を待ちわびる少女
「お姉ちゃんいつになったら帰ってくるのかな?」
 そう言ってその少女はたった一人の姉が帰ってくるのを待っていた。
 その姉がすでに帰る途中に交通事故でもう二度と少女の元へ帰ってくることができないという事を知らずに……。
 そしてその日の晩、その家に強盗が入りその少女も現の人ではなくなっていた、二度と帰らぬ姉の事を待ちわびながら……。


●噂話
 『どんよりしたうす曇りの夜に○○区の誰も住んでない民家から少女のすすり泣く様な声が聞こえてくる。ただその家に入ってみてもどこにもその泣き声の主は見えず、泣き声が本当なのかさえわからない』
 このような噂が立ち始めたのはここ一月ほどであった。

「ねぇ、本当にこの話知らないの?」
 神聖都学園のとある教室。
 秋篠宮静奈(あきしのみや・しずな)に昼休みのお弁当を一緒に食べながらクラスメイトが話しかける。
「その幽霊が出るってうわさ?」
「うん、結構ネットとかでは有名だから知ってるかな?と思ってたんだけど……。」
「ごめん、僕ネットとかあまり得意じゃないから。」
 そう言いながら苦笑してクラスメイトに答える静奈。
「なんかそういうの静奈らしいっていえば静奈らしいんだけど。」
「何よ、その言い方。まるでボクが機械音痴みたいに聞こえるじゃない。」
 むくれてそう話す静奈の表情を診て一緒に弁当を食べていたクラスメイト達は思わず笑い出すのであった。

 そして放課後、校門のところで静奈は昼休みに皆から聞いた話をふと思い出す。
「誰も住んでいないはずの民家から少女の鳴き声、かぁ……うーんちょっと気になるな。」
 そう言ってゆっくりと校門を背に静奈は歩き出す。
 しばらくは普通に帰る方向に向かって歩いていた静奈であったが、ふと空を見上げる。
 ちょうどその日もうす曇、噂が真実ならば多分今日もその泣き声が聞こえるはずだ、そう思った静奈は突然歩く方向を変える。
「やっぱりその家に行ってみよう。」
 静奈はそう呟くとその噂となっている○○区の民家へと向かうのであった。

 そして日もかなり暮れかけたころ、ようやく静奈はその民家へたどり着いていた。
 民家の入り口で静奈は民家の中からあふれてくる、一種独特の気配を感じる。
 そして静奈の耳に確かに泣き声のようなものが聞こえてきた。
「確かにこの民家には何かあるみたい。本当に幽霊なら……。」
 そこまで言って静奈は言葉を飲み込み、民家の玄関へと向かっていった。
 すでに使われなくなって久しいその民家の玄関は鍵も掛かっておらず、静奈は何の抵抗もなく中に入る事ができた
 
 民家の中はもうかなり使われていない為かかなり埃まみれになっていた。
「はぁ、明日が休みでよかった、洗濯しないとだめだな。」
 静奈はついつい埃で汚れていっている着ている制服の心配をしてしまう。
 そして玄関を抜け、二階へ上がる階段を上ろうとした静奈の耳に上からはっきりとすすり泣くような声が聞こえてくる。
 その声が聞こえた瞬間、静奈ははじかれたように階段を駆け上っていた。
 階段を上った静奈がその泣き声のしている部屋の前までやってきてゆっくり扉を開ける。
 部屋の中には少女が一人椅子に座って泣いているのが見えた。
「どうしたの?なんで泣いているの?」
 静奈がそう声をかけると少女は自分にかけられた声に気がつき、泣き顔からうれしそうな笑顔に変わる。
『良かった、お姉ちゃんようやく帰ってきてくれたんだね。』
「え?お姉ちゃん?」
 【お姉ちゃん】と呼ばれ驚く静奈をよそにゆっくりと少女は静奈に近づいてくる。
 そして呆然としている静奈に少女が抱きしめた瞬間の事であった。
 静奈はそのまま急に虚ろな表情となり少女の事を抱きしめるのであった。

『もう……どこにも行かないでね、お姉ちゃん……。』

 その少女の呟きはすでに静奈の耳には届いてなかった。

#01
●ゴーストネット掲示板
「こんな事件が起きてるんだ、みあおもちょっと気になるな……。」
 海原みあお(うなばら・−)はインターネットにあるゴーストネットの掲示板を見ながらそんな風に呟く。
 みあおはその掲示板に急いでレスをつけると座っていた椅子から立ち上がる。
 立ち上がったみあおは壁にかけてあった上着を手にとろうとしたときに、ふと顎に手を当てて考え込む。
「問題はどうやってこの家を探すかかな……。でも今日はちょうどうす曇だし、行けば何とかなるかもしれないな。うんそうだね、○○区は近いしきっとうまくいくよ。」
 そう決意したみあおの行動は早い、上着の少し短めのダッフルコートを手に取るとすでに部屋を駆け出していた。
 みあおがそうやって自宅のパソコンでゴーストネットの掲示板を見ていた頃、街のカフェでノートパソコンから同じようにモーリス・ラジアルもゴーストネットの掲示板を見ていた。
「ふむ……これは興味深いですね。ちょうど今日は条件の合う薄曇……、○○区ならここから近いですしちょっと行って見ますか。」
 モーリスはそう言ってノートパソコンをたたみ、支払いを手早く済ますと、外に止めてあった車に乗り込む。
 そして車を走り出させるモーリスだった。
 ゴーストネットの情報から大体の場所をすでに特定していたモーリスはその近辺と思われる場所に車を止め歩いて、その家を探しはじめる。
 途中自らの感覚を頼りにその家を探していたみあおと出会い一緒に探す事になる。
「多分、こっちだと思うなんとなく霊気がそっちから流れている感じがする。」
 そしてみあおが示した方向に向かって二人は歩き出す。


●待っている者
 みあおとモーリスがその廃屋に向かっている頃、瀬川蓮(せがわ・れん)はその廃屋の前でその廃屋から聞こえてくる泣き声に耳を傾けていた。
「やはりここの家で間違いなさそうだね。」
 もし今日が月明かりが明るければ、綺麗に見えたであろう金髪をたなびかせ蓮は呟く。
「どうやら先客がいたようですね。」
 そして蓮は背後から急に人の声がしたので振り返る。
 蓮が振り返った先にはみあおとモーリスの二人が廃屋の前にやってきていた。
「どうやらみあお達と目的は一緒なのかな?」
 振り返った先にいた少女みあおが蓮にそうは話しかける。
「そうみたいですね。ボクとお二人はどうyたら一緒の目的のようですね。あの噂を聞いてきたのなら……。」
「まぁ同じ目的なら、一緒に行くというのはどうでしょう?一人ずつで行くよりもそちらの方が良いでしょうから。」
 どこか憎めない笑顔を浮かべてモーリスが蓮の事を誘う。
「そうだね、そうしようか。ボクは瀬川蓮。君達は?」
 蓮が二人に自己紹介をするとみあおとモーリスも同じように自己紹介をしていく。
 三人はそれぞれ自分達の事を話し終わるとゆっくりと中へ入っていった。


●野望
 三人がそういって廃屋に入っていった頃、修善寺美童(しゅぜんじ・びどう)は自らの自宅の自室にて部下達にゴーストネットの掲示板に書かれている噂の場所の特定を急がせていた。
「待っててね。きっとボクのコレクションに入れてあげるから。」
 そううっすらと微笑を浮かべる美童の中にはどこか邪な物が潜んでいるようであった。


●廃屋の中で待つもの
 廃屋の中に入っていった三人は周囲に気をつけながらゆっくりと進んでいった。
「確かに泣き声が聞こえますね。掲示板に書いてあった通りだ。」
「あ、モーリスもゴーストネットの掲示板を見てきたんだ。でもこういうのに首を突っ込むのってモーリスらしいね。」
 みあおとモーリスがそんな事を言い合っていると蓮が二人にそっと注意をする。
「二人とも静かにしてください。まだ何が起きてるのか判っている訳ではないんですから。」
 蓮は二人にそう注意を促すと、そっと意識を泣き声に傾ける。
「やはり二階から聞こえてくるみたいですね。」
 蓮が二人にそう話すとみあおが来る途中で、途中で出会った人達から聞いた話など自分ありに調べてきた話を二人にする。
 それはこの家で起きた事件の事であった。
「となると、この泣き声はその殺された少女と関係がありそうですね……。」
 二階へ続く階段を見上げながらモーリスが呟く。
「みあおもそう思うよ。もしそうだったら急いでいこうよ。やっぱりその女の子が可愛そうだと思うもん。」
 みあおがそう言って階段を駆け上がっていく。
 そんなみあおに残された二人もみあおと同じ気持ちでゆっくりと階段を上って行った。


●移動開始
 美童は部下達から蓮絡を受けて、ようやくその廃屋の場所を特定すると動ける部下達を数人呼び出かける準備をする。
 その間に美堂も自ら出かける準備をして、外に止めてある車に向かう。
「○○区の民家へ向かう、急いでくれ。」
 運転手に命令するのになれた口調で指示を飛ばし、美童を乗せた高級車は走り出し、その後に数台の車が続くのであった。


●扉の前
「ここの部屋が一番凄く霊気を感じるね。」
 みあおがそう言ってとある部屋の前で立ち止まる。
「確かにどこかただならぬ気配を感じるね……。」
 みあおの言葉に蓮もあいづちを打つ。
 そのような霊気などを感じる事ができないモーリスもどこか他の部屋とは違う違和感をその部屋から感じていた。
「それじゃこの扉を開けるよ?準備はいいかい?」
 モーリスはそう言って扉のノブに手を掛け、二人の事を見る。
 みあおと蓮はモーリスのその言葉にうなずいて、判ったという意思を伝える。
 ぎぃっと小さな音を立ててゆっくりと扉をモーリスは開けていく。
 部屋の中には虚ろな瞳でかすかにうなずいている様子で椅子に座っている神聖徒学園の制服を着たままの静奈とその横で嬉しそうに静奈に話しかけている少女の姿があった。
「どうやらあの噂の少女のようですね。それにあの座っている人は?」
 少女の幽霊と、もう一人の座っている静奈を見て不思議そうに蓮は見る。
 モーリスはその座っている静奈に見覚えがあった。
「あれは……静奈さん?なんでこんな所に?」
 まさか、自身もこの事件が気になりこの廃屋にやってきたが、少女の幽霊に心が囚われてしまった事などモーリスは知る由も無かった。
「くすくす……、みんなしてお姉ちゃんを私から奪いに来たんでしょう?駄目だよ!和美(かずみ)のお姉ちゃんはもう誰にも渡さないんだから、もう独りぼっちは嫌だもん!!」
 今まで静奈の隣にいた少女は静奈の前に立ち、三人との間に立ちふさがる。
「あの座っているお姉さんを知ってるの?」
 どうやら座っている少女を知っているらしいモーリスにみあおが聞く。
 モーリスは自らを和美と名乗った少女の幽霊に気を配りながらみあおに答える。
「ええ、以前ちょっとした依頼でご一緒しまして。それなりに力を持っていた方だったと思うのですが……、何があったんでしょうね?」
「そんな事はどうでもいいよ。まずはあの幽霊を何とかするほうが先でしょ!?」
 モーリスの言う事などどうでも良いといった様子で蓮が二人を怒鳴りつける。
 みあおはその怒鳴り声に思わずびくっとしてしまうのを見て、モーリスはそっとみあおを安心させる様にその小さな肩に手を載せる。
 みあおは知ってる人の温もりを感じて、なんと下記を落ち着けようと大きく息を吸う。
「なにも怒鳴りつけなくても良いじゃないですか、みあおちゃんも驚いてしまってましたし。でも君の言うのも確かですね、早く何とかした方がいいというのは私も同感です。静奈さんの様子も気になりますしね。」
 モーリスがそう言って和美の方を向くと残り二人も少女に注意を向ける。
「やっぱり君が和美クンなんだね?本当に君は「それ」でいいのかい?その人は君の本当のお姉さんじゃないんだよ?」
「そうです、きっと和美の本当のお姉さんも本来行くべき場所で和美の事待ってると思うよ!」
 蓮はどこか責める様な、みあおはどこか諭す様なそんな風に和美に話しかけた。


●到着
 三人が和美と相対している頃美童達はその廃屋に到着した。
「よし、それじゃまずはボク以外の人間が入れないように周囲を固める。準備が出来たら呼んでくれ。」
 美堂は車の中から手早く指示を出し、準備が整うのを待つ事にした。


●気持ち
「私のお姉ちゃんじゃない?」
 蓮とみあおの言った事が理解できない、といった様子で和美は首を横に振る。
 三人は一歩ずつゆっくりと和美に近づいていく。
「本当なんだよ、その人は私の知り合いで、君のお姉さんじゃないそれは確かなんだよ。」
 モーリスが静奈の事を説明しようとするが和美は両手を振り回しその言葉を拒絶しようとする
「だってやっと帰ってきてくれたんだよ?和美はずっとずっと独りで待ってて、やっとお姉ちゃんが帰ってきてくれたのに、なんでそんな事を言うの?」
 和美は三人から離れて必死に静奈を抱きしめて泣き叫ぶ。
「だからそれは君の本当のお姉さんじゃないんですよ……。」
「君にとっては辛いだろうけど、君にとってその人は本当のお姉さんじゃない。それは絶対に認めるべき事なんだよ。もしどうしても判らないと言うなら、ボクにもボクなりの考えがある。」
 どこか冷たい響きを持った蓮の言葉を聞いて和美がびくっと身をこわばらせる。
 蓮はその和美に向かって何かしらの決意を持って一歩踏み出そうとするが、その肩をモーリスが掴んで蓮を止める。
「君の言うのは正しい、でも無理やりと言うのは良くない……。」
 例え事実であっても、それを彼女に上手く判らせてあげる事が出来ない、そして蓮に対して止める言葉しか出てこない自分に対しモーリスはいらつきを隠せないでいた。
 そしてその二人のやり取りを見てみあおが和美に話しかける。
「和美は、その人がお姉さんじゃないってどうすれば判ってもらえるの?」
「なんでこの人がお姉ちゃんじゃないの?だって和美の所にやっと帰ってきてくれたんだよ?他には誰も帰ってきてくれなかったもん。」
 姉が事故で死んだ事を知らない彼女は、自分が死んでいる事にも気がつかずずっと独りでもう二度と帰らぬ姉を待ち続けていたのだろう、それを思うとみあおは自らの姉妹の事を思い出し胸が痛くなった。
「残念だけど、和美のお姉さんはもう二度とここには帰ってこないよ。彼女はすでに交通事故でこの世の人ではないのだから、そして君もね。」
 蓮がそう和美に告げるとみあおがむっとしたような顔で蓮の事をにらみつける。
「確かにその通りだけど、なにもそんな風に言うこと無いじゃない。」
「ボクは事実を彼女に伝えただけだよ。どこが悪いんだ?遅かれ早かれいずれ判る事だよ?」
「それはそうだけど……。」
 蓮のその言葉にみあおが言葉を続ける事が出来なくなりその様子にやはりこうなったか、と言う感じでモーリスが小さくため息をついたその時であった、急に三人が壁際まで吹き飛ばされる。
「そんな事無いもん、この人は私のお姉ちゃんだもん、死んでなんか無いもん!!」
 和美の拒絶の心が三人を弾き飛ばす結果になったのだろう。
「これはどうやっても彼女に判ってもらうしかなさそうですね。それに蓮君、あまり彼女にきつい事は、静奈さんがどうなってるか判らないのに……。」
 モーリスが打ちつけた背中の痛みに顔を歪めながら呟く。
「そんな風に甘い事を言っていても仕方ないでしょう。じゃあモーリスは今、何か出来るんですか?」
 蓮のその言葉がモーリスの心に突き刺さる、そしてみあおが意を決した様に二人に話す。
「みあおが和美のお姉さんに説得してもらえるように頼んでみるよ。だから二人とも喧嘩とかしないでよ。」
 みあおの思わず泣き出しそうな表情を見てモーリスも蓮も何も言えなくなってしまう。
「現状、それしか手が無いようですね、みあお頼みます。」
「そうですね、みあおちゃんならきっと出来るでしょう、信じてますよ。一緒にあの三人を助けてあげましょう。」
 蓮とモーリスが口々にみあおを励ます。
「うん、判ったがんばってみる……。」
 みあおは二人に励まされ、がんばろうと心に決めた。


●配置完了
「美童様、準備完了しました。」
 車の中で、本を読みながら準備が終わるのを待っていた美童であったが部下のその言葉に本を閉じ車から出る。
「判った、ボクはこれからこの家の中に入る、その間誰もこの家に入れるなよ?」
 そう部下に指示を飛ばすと美童はゆっくりと廃屋の中へ入っていった


●姉と妹
 そしてみあおがゆっくりと瞳をつぶり意識を集中させる。
『天使さん、和美のお姉さんを呼んであげて……。』
 みあおの意識だ研ぎ澄まされていき、どこか暖かな存在と触れ合う。
 みあおの心の中でゆっくりと白い翼を広げたそれは輝くひとつのクリスタルをみあおの心に渡す。
 みあおの心に渡されたそのクリスタルはみあおの体を通して光を放ち、ゆっくりと少女の姿をとり始める。
 その少女はどこか和美と似た面影を持ちその場にいた誰もが和美の姉であると確信する事が出来た。
『和美……ただいま。』
 やさしい微笑を浮かべ和美の方へと歩いていくその少女を見て和美も何かの憑き物が落ちたかのような表情になる。
『お姉ちゃん?帰ってきてくれたの?』
『ごめんね、ずっと独りぼっちにしてしまって……、これからはおねえちゃんと二人一緒にすごしましょう?』
『うん……、おねえちゃん一緒にいよう』
 和美はそう言うと姉を抱きしめる。
 そしてそのまま二人はゆっくりと光に包まれだんだんとその姿が消えていった。
 そしてその場にいた三人には聞こえるはずの無い、だがはっきりと聞こえた言葉があった。
『ありがとう。』と……。


●結末
 光が消えた後、モーリスは慌てて静奈の元へと向かう。
 モーリスは静奈の呼吸が正常なのを確認するとほっと安心したような吐息をもらす。
「静奈さんは大丈夫な様です。多分和美ちゃんに心を囚われていただけでしょう。だからもう人安心です。」
 モーリスのその言葉にみあおと蓮も緊張が解けたような表情を浮かべたその時、背後から声が聞こえてくる。
「ボクのコレクションはどこにいるのかな?」
 そこに現れたのは美童であった。
「コレクション、ですか?」
 モーリスが静奈を抱きかかえながらそう問い返す。
「ああ、コレクションだよ。ここに少女の幽霊がいるって聞いたからコレクション入れてあげようと思ってね、ボクは来たんだよ。ボクのコレクションに入れるなんて光栄な事なのに、その幽霊はどこにいるのかな?」
 その美童の言葉に三人ともこみ上げてくる怒りを抑える事ができなかった。
「残念でしたね、その子ならたった今、彼女のいるべき所へ帰って行ったよ。」
 蓮が怒りを何とかこらえながら美童にそう話す。
「なんだ折角ここまで来てやったのに、まさか君たちがボクの大事なコレクションに何かしたんじゃないんだろうね?」
 美童のその台詞にモーリスと蓮が二人がほぼ同時に美童の顔面をしたたかに殴りつけていた。
「こんな者と一緒の空気を吸っているのは非常に腹が立ちます。とっとここを出ましょう。」
 そのまま顔面を赤くして気絶している美童をまったく気にしようともせずに、モーリスは二人を促し二人ともモーリスに続いて階段を折り、ゆっくりと廃屋を出て行く。
 廃屋の周りには入る時にはいなかった、黒服の男達が周囲をうろついていた。

……
………
…………

『まったく、さっきの仲間でしょうか?あの子達の事をまるで侮辱しているかのようだ。』
 モーリスがそう心の中で呟いたのは蓮もみあおも同じであったろう。
 しばらく三人で一緒に歩いていたが、モーリスは自分の車のところにたどり着くと皆に問う。
「私は静奈さんを家まで送り届けてくるけど二人はどうする?」
「ポクはここで失礼させてもらうよ。」
「みあおもここから帰ったほうが近いから、このまま帰るよ。」
「そうですか、それじゃお二人ともお気をつけて。」
 モーリスはそう言って自分の車の助手席に静奈を乗せて、自身も乗り込みながら二人の陰をバックミラーで見送る。
 そしてゆっくりと車のエンジンをかける。
「それじゃ帰りましょうか、眠り姫さん。」
 静奈のほうを一瞥してそう言うと、モーリスは車を走らせ始めた。


Fin

□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
≪PC≫
■ 海原・みあお
整理番号:1415 性別:女 年齢:13
職業:小学生

■ モーリス・ラジアル
整理番号:2318 性別:男 年齢:527
職業:ガードナー・医師・調和者

■ 瀬川・蓮
整理番号:1790 性別:男 年齢:13
職業:ストリートキッド(デビルサモナー)

■ 修善寺・美童
整理番号:635 性別:男 年齢:16
職業:魂収集家のデーモン使い(高校生)

≪NPC≫
■ 秋篠宮・静奈
職業:高校生兼巫女

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 どうも初めまして&こん○○わライターの藤杜錬です。
 この度はゴーストネットOFFでの初依頼『独りぼっちの少女』へのご参加ありがとうございました。
 皆さんの行動のお陰で無事少女の心は救われたと思います、ありがとうございました。

●海原みあお様
 再びのご参加ありがとうございました。
 今回は一番おいしい所を一番近い立場と言うのがありこの様な感じにしてみました。
 いかがだったでしょうか?

●モーリス・ラジアル様
 今回は全般的に大人として外から見る役になっていただきました。
 如何だったでしょうか?
 
●瀬川蓮様
 初めまして、ご参加ありがとうございます。
 上手く蓮さんらしさが表現できていればよいのですが、少し心配です。
 子供でありながらどこか大人と同じような視点で世の中を見ている、そんな風に感じられたのですが、如何だったでしょうか?

●修善寺美童様
 初めまして、ご参加ありがとうございます。
 状況などの結果からこのようになりました。

それでは皆様、本当にご参加ありがとうございました。

2004.12.05.
Written by Ren Fujimori