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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ 弱者の強さ(後編) ]


 それは一ヶ月前――
 一つの事件を幕切れに更なる事件が広がっていく。
 半径五十kmの範囲で異能力者連続通り魔事件発生。多数の軽傷者、四人の重症者を出した事件は、遂に月刊アトラス編集部社員桂をも巻き込む。
 その調査を月刊アトラス編集部編集長・碇麗香から任された草間興信所所長・草間武彦は、協力者と共に事件解決へと踏み出した。結果桂は無事救出、だが肝心の武彦は通り魔らしき者を追いかけ行方不明。
 しかし捜査の結果、犯人は漆黒のマントを身に纏い能力者の血を吸うことにより、その能力者の能力をコピー可能。同時、能力者に毒のような物を混入、重症を負わせることが判明。その話は後日瞬く間に各地へと広がった。
 しかし事件は未だ謎に満ちたまま未解決。グループは解散。
 それから数日後…‥広がる異能力者への被害。それは遂に全国区へと発展した。

「大変……だ」
 とある病院の一角。個室から相部屋へと移動され、退院も間近である桂がそんな新聞記事を見、そっと呟いた。
「やっぱりあいつが……ボクの時計を――」
 そっと新聞を握り締める手に力が篭る。
 前回の事件の後、軽傷で済んだものの怪我を負った彼はこうして病院に居る。しかしやはり見つからない。

 大切な時計が。


 ――同時刻
「ったく……厄介なことになったな」
 此処数日寝ずに先行く背を追い続ける草間武彦は、火の点いていない煙草を銜えながら流れる汗を拭うと、間も無く充電の切れる携帯電話を片手に舌打ちする。
「一体あいつはどう言う神経してんだ」
 悪態を吐きながらメールモードでアドレス帳にあるだけの連絡先を全てBCCで選択。時折画面から目を離しては、追っている者が姿を晦まさないかも確認する。今、さほどスピードは出していない。勿論走る速度だ。ただし時折飛びもする……。
 此処数日、武彦は犯人らしき背を追うものの犯行回数は何故だか減っている。否、それはまるで見定めしているようにも思えた。それとも武彦の尾行は気づかれており、犯人はしつこい武彦を撒くまでは犯行には及ばないとでもいうのか……?
「……んなの考えてられるか!! 届け、でもってお前らもどうにかしてくれ!」
 メール送信画面。少しの間を置き送信完了の文字。それと同時、ピーと高らかな音と共に電池切れのメッセージが辺りに響き渡る。

「ん?」
 響く着信音に彼女は顔を上げた。着信メロディからそれはメールのものだと判断できるが、開いた先には意外な物を見た。

○月○日 11:25
From:草間武彦
Sub :応援頼む
本文:通り魔追ってる、応援頼む。奴は桂から時計奪ったらしい。俺が追いかけてるのは愛知、青森、秋田、石川、今茨城。電池切れ、買えたら買うから連絡はメール。集合は興信所で。宜しくな

「いよいよ犯人とご対面ってことね。まあ、まずは興信所に行かないと」
 呟き携帯電話を閉じると彼女は、軽い昼食を取っていたカフェを出、興信所を目指す。外に出ると、空はいつの間にか雲に覆われていた。

    ■□■

 メール受信から数時間後の草間興信所、そこに集まったのは前回もこの事件に関わった三人のメンバー、そこに新たな四人が加わった総計七名。
 ソファーに座るには限界があるとも思ったが、実際そこに座ったのはたったの四人で、先ずは自己紹介と話が進んでいった。
「ミーはジュジュ ミュージー、もうスッカリ乗りかかった船だからネェ。ミーは犯人撲滅に頑張りマァス」
 そう言うは今回も幾らかの手荷物を持ったジュジュ・ミュージー。彼女はソファーに座っており、その後ろには二人の男が居た。そのうちの一人、黒縁の眼鏡を掛けた熊のような男――彼の名を鷹旗・羽翼(たかはた・うよく)と言う――が豪快に後へと続く。
「俺は鷹旗羽翼だ。ジュジュの付き合いもあるが、俺のライター魂にも火がついてなぁ。一緒にやらせてもらうぞ」
「俺もこの友人の頼みということと、それよりも前……他からの頼みということで付き合います。名は蜂須賀大六…と」
 それに続いたのは、言葉遣いはそれなりに丁寧なもののその見た目、そして声色に"堅気"はあまり近づきたくないような色を含んだ男――彼の名を蜂須賀・大六(はちすか・だいろく)と言う。その身なりは人目で"その道"に関わっていると表すようなものだが、今一品が無い。
「一応名前? 我宝ヶ峰沙霧。なんか前回よりやたら増えて……まぁ構わないのだけど、こうも多いと移動が大変そうね」
 そしてジュジュの隣、ソファーで寛ぐは我宝ヶ峰・沙霧(がほうがみね・さぎり)、彼女も前回この事件に関わった者。
「……俺は翆南雲と言う。宜しく頼む」
「俺はニグレド ジュデッカ。あっちの南雲と同じところから来てる、よろしくな」
 そう、ぶっきら棒な……そして一見して女性にも見える青年――彼の名を翆・南雲(すい・なぐも)と言う――と、それとは対照的な明るい青年――名をニグレド・ジュデッカと言う――の挨拶が続く。そして南雲は部屋の隅に一人立っているが、ニグレドはちゃっかりソファーに座っていた。
「俺が最後、か……幾島だ。前回も関わってこうして此処に来たが、今回は単独行動させてもらう。但し、此方の情報と他の誰かが掴んだ情報を時折交換してもらいたい」
 そして最後に口を開いたのは、ニグレドの隣に座っていた幾島・壮司(いくしま・そうし)、前回関わった者である。彼は掛けたサングラスを押し上げ、そのまま僅かに俯いた。しかし反対意見は出ないことから、それを拒む者はいないということだろう。
 皆の一声を確認すると沙霧がソファーから身を乗り出す。
「ところで今茨城って言っていたけど、やっぱりそこまで行くってこと?」
 此処東京から茨城までは行けない距離ではないが、桂の時計を手に入れているということも有れば、此方の移動中相手が動く可能性もあるのじゃないかと、誰もが内心思うことだった。
「でも相手は五十音順に移動している。そこを上手く突ければ何とかできるんじゃないか?」
 壮司の目が泳いだ後、正面のジュジュとバッチリ合い、彼女が笑みを浮かべたのを彼は見た。
 それを見たニグレドは、わざと茶化すように口笛を吹く。
「ん、ユーはオモシロイ人デスね。……とは言え、確かに五十音順で次は岩手県と、同じくミーも推測しましたからネェ」
 最初は笑いながらニグレドを見て言ったジュジュだが、やがてその声色が真剣みを帯びると携帯電話を取り出し、どこかに電話を掛け、後ろに立つ羽翼を見た。そして電話を切ると素早く指示を出す。
「今バスをチャーターしました。先に岩手方面へ、やり方は……ユーにお任せネ」
「了解よぉ。他に俺と一緒に先行く奴はいるか?」
 やがてジュジュから目を逸らした羽翼が、ついでとばかり皆に声をかけた。
「……俺も良いだろうか?」
 声に出したのは隅に居た南雲だ。その声に正面のニグレドが頷く。
「おうよ、それじゃあ兄ちゃん…翠って言ったなぁ、行くぞ」
「――了解」
 羽翼の声に南雲が続き、先ずは興信所から二人の姿が消えた。
「後に残ったメンバーは……みんな戦うようにしか見えないけれど、これからどうするの?」
「俺は調べたいことも有るからそろそろ出ようと思うが、さっきも言ったとおり情報は欲しい。だから前回俺だけが掴んでる情報を渡そうと思う。その代わり何か掴んだら……わりぃがさっきの二人分も含めこっちに流してくれるか?」
「OK! ミーからユーへ、ネ」
 互いに確認しあうと壮司は数枚の用紙を出し、今いる全員に配ると「んじゃ」と、興信所を後にした。彼のいなくなった興信所、そこで残りの四人はそれぞれ思考を巡らす。
 用紙の内容は以下の通りだ。それは壮司が神の左眼より解析した相手のほぼ全てともいえる情報でもあった。

**********左眼の記録情報**********
 年齢15〜18歳、犬歯の異様発達、長い爪を持つ。本来持つべく能力は吸血による自己の貧血回避。いわゆる吸血鬼に似たもの。しかしその際何かしらを体に取り込んでしまったことにより能力の変化。
 現在の能力は僅かな血の匂いからその能力者の能力を判別、吸血によりその能力者の能力をコピー。吸血と同時、血液中に毒(自己による治癒能力を持ち合わせていない場合高熱を発症する場合有り、数日後やがて昏睡状態にまで陥る)を混入(蚊の性質に似る)毒は口内と爪に有り。
 血液中より能力のコピーを行うため、掠り傷程度の血からもコピー可能。コピーはどんなものも可能だが、多くのコピーは本来の力を発揮しない(はったり)
 現在幾島を含め五人の能力者の能力を持つが、どれも不安定の模様。
*************ここまで*************

「――ヤッパリミーの推測どおり……でも毒に関しての具体的解析はナシ」
「――あなたに出来ないなら俺が最後は犯人を殺る……それが今回の条件。でも此処まで判ったなら、あなた一人でもどうにかなるものでは?」
 悩むジュジュに背後の大六がひょこっと、彼女を覗き込むように言う。その行動にジュジュは「判ってマス、でも油断大敵デス」と短く返答し、考える姿勢へ入った。
「――相手がこれなら、無理矢理にでも時間稼ぎをして、晴れたところで戦いを挑んだ方がもしかして私達に有利なんじゃない?」
「――でも現場へ向かうことを今は優先させるべきだろ? あっちにはもう南雲も向かってるし、今この時季下手すれば移動中に陽も落ちる。そうすれば少し不利になるんじゃ?」
 沙霧の声にニグレドが続いたとき、四人の携帯電話が一斉に音を奏でた。それが意味するのは武彦からのメールということだ。

○月○日 14:35
From:草間武彦
Sub :言い忘れ
本文:移動は一日一都道府県。毎日昼過ぎに移動、今日はこれからまたどこかに移動して留まるだろう。後前回俺と行動共にした奴ら、今回もいるのか?最初に言っておくが殺すな、とにかく静止させろ。殺しは……俺の感が正しければ嫌な予感がするんだ。

「嫌な予感? とは言え、相手も十分過ぎるほど被害者を出してるじゃない? それを静止って……」
 腑に落ちないといった様子で沙霧がポツリと呟くが、ジュジュは相変わらず唸ったまま、ニグレドは早々に携帯電話を閉じると皆の様子をきょろきょろと見、大六は窓際に寄るとそこから外を眺め始めた。
「デモ……メール見る限り、明日の昼頃マデは岩手に居るハズ。ならばミー達は夜の間に移動準備して、明朝に賭けますカァ?」
「明日の天気は…っと、朝から晴れね」
 ジュジュの提案に沙霧が携帯電話を片手に天気予報を調べ言う。
 しかしそうなると、今度は移動手段が話題となった。此処東京から岩手は遠い。おまけに夜間の移動ともなれば動きに制限も出てくるものだ。
「ミーがもう一台、なんとかチャーターしマァス。まだ暗い内に着くとしてぇ……二十二時、東京駅バス停前集合にしマスね」
「それならそうと南雲に連絡入れないとなぁ……」
 言いながらニグレドは携帯電話を取り出した。
「さて、それじゃあミーは幾島サンに連絡、と。――後一応アッチにも連絡入れるべきカナァ……」
「俺は自分の車で行きますからよろしく」
 言いながら大六は興信所を出て行く。しかしながら時間と場所は確認したので、恐らく共には行くのだろう。
「さてと、私もそれまでは時間潰しに外にでも出るわ。時間が有るならもう少し準備も整えたいしね」
「俺は……前回のことを少し聞いておきたいから誰か――ってもどちらか、だけどいいかな?」
 結局最後に呟かれたニグレドの言葉により、振り向いたジュジュと沙霧は暫しお茶しながら前回のおさらいを……と言うことになった。勿論お茶は草間興信所で、草間・零の出す美味しく暖かい物。

    □■□

 ジュジュと沙霧は片側のソファーに腰掛け、ニグレドが向かいのソファーに座るという、男女に分かれつつも前回のことを知っている知らないの形で分かれた三人は一息吐く。
「サテ、何から話すべきですかネェ?」
「取りあえずさっきの資料見ながらでいいんじゃないの? 私達が初めて知ることも十分あったけどね」
 言いながら三人は先ほど壮司から手渡された資料に目を通す。
「通り魔って話だったけど、被害者は主に能力者で結構出てるって話で……」
 確かに世間で報道されている面では能力者を襲っているということ。そして能力者の間で広まっているのは能力をコピーされ、毒を混入されると言うこと。ニグレドが知るのはその程度、基本の情報のみだ。
「直接見た者の意見として、相手は黒いマントなんて羽織って正体は全く判らなかったわ。それにあの速さは尋常じゃなかった」
「確かに。それにミーのとっておきも効かなかったデス。一体どんな攻撃が有効ナノか……」
「とは言え、今の状況だと敵に見つからぬよう距離を取って攻撃すれば良いんじゃ?」
 ニグレドの意見にジュジュと沙霧は顔を見合わせた。それが出来れば……苦労はないのだが。
「まぁ今は人数も多いし、やろうと思えば出来なくは無いと思うけど――面倒でも虱潰しに行くしかないんじゃない? 先ずは奪われた桂の時計を取るのが優先よね。移動され、万が一にでも見失えば元も子もないじゃない?」
「狙撃なら任せてくれよ。南雲も勿論だけどな」
「ウーン、もしかしてと思いマスが皆サンの主な武器って――?」
 言うや否やジュジュは持ち物の中から拳銃と銀の弾丸を出した。それに続いて沙霧が愛用の二丁拳銃の一つを出し、ニグレドもリボルバーを出す。そして一同顔を見合わせ、沙霧とニグレドが同時に声に出した。
「拳銃ね」
「拳銃だね」
「大六サンもそうデシタしネ……翠サンも入れると全員で五人。難しいカナァ?」
 しかしジュジュが一人浮かべた苦笑に沙霧は拳銃をしまいながら言う。
「でもそれぞれ役割分担すれば心配もないでしょ?」
「確かに。人数が多いのは固より連携が大切だけど、事前にある程度話し合えば何とかなると俺も思うし」
「ソウなのだけど……ン?」
 しかしジュジュは唸ると同時、携帯電話を取り出した。マナーモードに切り替えていた長い震えは着信を知らせいたようで、ジュジュは二人に目を向け頭を下げると電話に出た。
「モシモシ?――ミーがソウだけど、もしかして結果……デスか?」
 電話の向こうの声にジュジュは笑みを浮かべた。結果というのはもしかしたら今回の事件について何か調べた結果なのかもしれない。
「それで、ナニか判ったことは……――……ソウ、デスか。それでも十分助かりマス、調査有難うございマシタ」
 一頻りの話を終えた後、ジュジュは電源を押し通話を切った。同時に出るのは溜息だ。
「何か判ったの?」
 沙霧の声にジュジュは彼女を見、頷いた。
「実は桂氏に関して気になっている点があって、その体に抵抗でもあるのかと思ってマシタが、体内に毒が入っていないことが判明しマシタ。つまり前回の桂の怪我は慌てて転んだとかそんなものダッタらしいデス……」
 要するに前回桂があれほどの怪我をしていた=毒を受けているはずが平気であった。それはつまり彼の体に秘密があるものと……それは確かに納得できる。しかし、そもそも桂は毒を受けるような怪我を負っていなかったということが判明されただけのようだった。
 そこでジュジュは一旦言葉を切り僅かに俯く。
「デモ、その毒らしきものは皮膚に付着したままであったので検査した結果、血液中に溶け込むと有害を引き起こすことが判りマシタ」
 苦笑交じりに言うと、ジュジュが舌打ちしたように思えた。しかしそれが気にはならなかったのか、ニグレドがポツリと疑問を呟き、それに反応したジュジュは僅かに顔を上げる。
「つまりそれって、この資料にある爪ってので深く引っかかれた場合でも、掠り程度なら大丈夫ってこと?」
「イエス――後は敵自身の弱点でも判ればすぐ終わらせられるとは思いマスガァ……被害者を救える道はドコにあるか」
 言いながらジュジュは右手の親指の爪を噛み資料にもう一度目を通す。
「あんまり考え込むと煮詰まっちゃうわよ。いざとなったら、私の知を飲ませてもいいと思うから」
 その提案にジュジュが疑問符を浮かべ沙霧を見た。
「私の血は死そのものだから。もし相手に飲ませることが出来れば、多分コピー能力なんかを消滅させることが出来るはずよ。もっとも、これは入れ知恵……だけどね。それにそれが必要なければ、私は端から後方支援に回る予定だから」
「俺はそうだな……これだけ人数が居ることだし、どうにかして敵を引き付けようと思うよ。誰の元へ行くか判らないよりは、俺の元へ来させて後はみんながどうにかする、それが一番手っ取り早いだろうし、多分それは俺が一番適役だからさ」
「ミーも一応接近戦を目論んでマスが、囮役が居るのはいいかもしれませんネ」
 そう、これからの戦いに備えた話が徐々にまとまっていくと、ジュジュは携帯電話を開く。今の話をまとめたものを壮司に送るのかもしれない。
「これでよしとっ……とにかく相手は厄介デスよ、くれぐれも気をつけてクダサイ」
 携帯電話を閉じたジュジュは、そのままニグレドを見、念を押していた。その言葉にニグレドは特別嫌な顔もせず、笑顔で答える。
「了解! それじゃあ後は個々で時間を潰すか。手間取らせて悪かったね」
「気にしなくていいわよ。じゃあ、又後でね」
「バァーイ」
 そしてニグレド、沙霧、ジュジュは興信所を出、それぞれはビルの下で別れた。それはまだ――陽の落ちきらない時間だった。

    ■□■

「ん、そろそろ時間ね」
 東京近郊で時間を潰していた沙霧は、ふと時計を見、踵を返す。
 そしてバス停に止まる、他のバスとは明らかに違う、文字も色使いも無いバスの前ドアから車内を覗き込む。その時既に集合時間十分前。結局車内にはニグレドと壮司が座っており、沙霧は後部座席に座るニグレドと、中間辺りに座る壮司の更に中間に腰を下ろすと一息吐いた。
 結局五分前に最後のジュジュが既に集まっている三人を見て笑いながら乗り込み、バスは集合時間である二十二時、東京を離れた。
 そしてその後ろを、二台の車がぴったりと後を追う。それは大六とその連れの車である。
 バスの中での会話は殆どといっていいほど無かったが、沙霧の元へ走行中の車内を歩き壮司がやってきた。何かと思えば昼間のメールについての件らしい。自分の血を飲ませて能力を消し去るということ、それは自分にとっては不都合だと壮司は言った。話によると、壮司は戦いの最初に一旦神の眼に、相手の能力をコピーしたいらしい。そして多少の時間が有れば出来るから、ホンの僅かな時間で構わないと付け足した。
 すると沙霧は「あぁ、あれ入れ知恵だから…まぁ、最悪試してみるって感じよ。だから最初からは使わない、安心して」と笑い言い、思わず壮司も苦笑混じりながらも微笑を浮かべ席に戻って行く。
 そして出発から少し経ったところで、ジュジュの携帯電話がメールを受信していた。
「――皆サン、今羽翼から連絡入りました」
 そしてそれを読み終えたのか、一番前の方に座るジュジュはわざわざ椅子から立ち上がり、車内に居る全員を見渡し言う。
「相手は体内に蚊を飼っているソウデス。そして、黒いマントが多分邪魔だと。弾はどうかわかりませんけど……そのマントのせいで様々な能力が無効化されてる可能性が高いデス」
「蚊……ね。それも来たら来たで、片っ端からぶっ放すのがいいと思うけど――」
 ジュジュの言葉に沙霧は一人呟き目を閉じる。
 岩手まで長い長い道のり。やがて車内は元々人数も居ないこともあり、静まり返り、ただ後方で読書灯だけが灯っていた。

 そして数時間後、止まることの無いバスは岩手県突入。羽翼が今居るという市街地から僅か外れた場所まで推定時間一時間。
「はぁ、移動だけで疲れるわ……」
 沙霧はそう嘆息交じりに伸びをすると、窓の外の景色に目を向ける。
 まだ暗い外は雲ひとつ無く――ただ暗い。

    □■□

 ジュジュたちが現場へ到着する少し前、再び羽翼と南雲から相手の移動が報告された。
 廃墟を出て向かうのは市街地を軸に間逆の方向へと移動しただけではあるが、後から車で向かっている五人が先に現場へ向かい、最初に到着していた二人はバスのある場所まで一旦戻り、後を追うことにした。
「それにしても、今のところは時計を使うことはないみたいね?」
 ぽつりと沙霧が呟きジュジュが頷いた。羽翼の連絡によれば、相手は桂の時計を使うことなく、飛行移動をしているらしい。
「飛べるっつうのは吸血鬼からきてるのか、蚊からきているのか……」
「とにかくこの辺にいるんですね……とっとと出てこないんですかね、そいつは。俺が見事なまでの蜂の巣にしてあげますよ!」
「ウーン、確か連絡によるとこの辺りで……!? っ、隠れてクダサイ、正面デェス!!」
 壮司と大六の声を聞きながら辺りを見渡すジュジュは、正面のやはり廃墟といえる場所に立つ影を見つけ、小さいながらも声を荒げ、一斉にバスの陰や近くに立つアパートの影に身を隠す。
「――幸い、こちらには気づいていないようだな……それにしてもナグモはまだか!?」
 はやる気持ちを抑えながらニグレドは時計に目を向けた。
「あれは正面から乗り込んでくしかねぇか……?」
 その近くに佇む壮司がああだこうだとぼやいている。
「幾島サン、取りあえず全員揃ってからの方がいいデスよ。ユーのミッションも尊重しマァス、だからもう少しダケ……」
「結局順番的にはどうなんですか? 向こうの二人も気になりますが、俺的には早く終わらせたくてですね?」
 近くで苛つく大六を横目で見た沙霧が、苦笑交じりに言う。
「今更これを相談ってのも遅いと思うけど……私は前に出る予定は無いから」
 言うならば移動中にすることでもあったが、見事にばらけた状況でその点に関しての話題が最終的に挙がらなかったのが悔やまれる。否、どうにかなるという気持ちの方が大きかった気もするのだが……。
「ダイジョーブ、アイコンタクトデェス!」
 そう、ジュジュが言ったところでザーッと、何かノイズのような音が響く。
「――ナグモからの連絡のようだ」
 そういうニグレドの口調は、昼間にあったちゃらんぽらんそうな彼とは打って変わっていた。
『――待たせたなニグレド。今現在現場に到着した所だ。今そちらとは反対側に居る、バスの陰だけは伺えるがその辺りに居るんだな?』
「そうだ……もっとも今はアパートの陰に隠れているが。……さて、今回のミッションをもう一度確認する」
 南雲の言葉にニグレドは頷くと、一旦言葉を切り俯きがちだった顔を上げた。
「君に依頼する任務は一つ、異能力者連続通り魔事件の犯人を抑止する事。武器は何でも構わない」
 そう言うと、向こう側では一瞬の沈黙が訪れた。通信が途切れたわけではなく、南雲自身がニグレドの言葉の意味に疑問を持ち、すぐさまの返答が出なかったようだ。
「暗殺とは計画を練って人の不意を突いて殺す事さ。君と私のミッションにその言葉は不適切だ」
『――……了解。では予定を変更して狙撃態勢に修正、これよりミッションに入る』
 その南雲の返答と同時、通信は彼から切られた。
「悪いが最初は私とナグモが行かせて貰う。状況によっては足止め程度にしかならないかもしれないが……仕留める方向ではいる」
 言いながら無線機をしまうと、ニグレドは銃を出し、銃口を上向きに構えてみせる。
「とは言え皆それぞれの考えを持っているようだからな……間を見て幾島やミュージーも飛び込んでくると良い。ナグモも私も無関係な者を撃つようなヘマはしない」
 そして最後に笑みを浮かべると、隠れていたアパートの陰から飛び出し、一目散に相手の下へと掛けていく。
 相手のいる場所は元は二階建て一軒家だったのだろう。しかしその大きさと外観は西洋屋敷を思わせるものだった。そんな屋敷の半分落ちた屋根に向かうべき相手はいた。
 相変わらず黒いマントを羽織ったまま、ただ夜空を見上げているようにも見える相手にニグレドは声を上げると、相手は振り返り何か言ったようだった。
「さぁ、それはどうだか」
 ニグレドは冷静沈着に答え、やがて相手は屋根からふわりと降り、この地に足を着けニグレドと対面した。
「……さぁ、私はその手の事に興味が無く知ったことじゃない」
 近づいてくる相手に、ニグレドは怯むことなく言葉を紡ぎその場に静止を続ける。しかし勿論その右手には確かに銃が握られている。
 じりじりと、二人の間が詰まるが刹那、相手はニグレドとの距離を一気に詰める。その速さは確かに覚えがある。ただし前回よりも場所が広いせいか、速さが若干増していた。
「っ、私の名か……」
 ただ真っ直ぐに突っ込んできた相手をかわし、その背にニグレドは言った。
「Special operations NIGHTMARE DOLL……」
 言いながら右手の銃が彼の手の中で、まるで西部劇で見るかのように素早く回され、相手の振り返り様、ニグレドの表情は冷たくも、口の端に僅かな笑みを浮かべ言う。
「――ニグレド・ジュデッカ」
 同時に響く発砲音。銃の構造ゆえか、発砲後銃口が跳ね上がるという反動は少なく、ニグレドは素早く銃を左手へ持ち帰ると右手を前に出し、その掌は宙を泳ぐように――まるで弾は彼の手により操られているかのようで、上下左右と、ニグレドの手の動きに合わせ動き、相手の脚を止めさせた。
 銃弾はニグレドの手の動きに合わせ相手を掠めたり目の前を通過したりと、その目まぐるしさにより相手の脚を止めさせた。
「ダンスパーティーは……この辺で終わりにしようか」
 ふっと、ニグレドが表情から笑みを完全に消したとき、その手が相手を捉える。
 か細い手が万との下から伸び出でニグレドを掴もうとするが、ニグレドの掌が示すとおり、彼の撃った球が軌道を変えそのまま相手の背を直撃した。恐らく致命傷は避けたであろうが、暫く動けない所を上手く撃ったと思う。
「ワオ!!」
 そして同じく近くで今の瞬間を目撃したジュジュが思わず声を上げる。
 しかし、冷静沈着であったニグレドの表情が微かに戸惑いの色を含んだのを沙霧は見た。だが、確かにその気持ちには賛同する。
「……不死身って反則だと思うんだけど、この際言ってられないのかしら?」
 相手はそのマントの下からぽたぽたと血を流しながらも、倒れることなくその場に立っており、ニグレドの視線はいつの間にかアパートの屋上へと移動していた南雲へと向く。それと同時、今度は連続した銃撃音がこの普段は平和であろう穏やかな町に響いた。
 狙撃というだけに、銃弾の全ては的確に両脚を狙ったものであり、一気に相手はバランスを崩す。
 その様子に壮司がアパートの影から姿を現した。彼は素早く相手の横へと移動すると、僅かにサングラスをずらす。
 やがて相手は壮司と対面、何か話を始めた。
 吹く風が、散々の銃弾により穴の開いたマントを揺らし、壮司の横顔が唐突に疑問の色を含む。一体何を言っているのか……
 しかし次の瞬間隣で五月蝿く響く発砲音、視線の先、相手の体は跳ね目が大きく見開かれるとがっくりと膝を突く。
「幾島サン! 悪いけど今のうちに少し弱らせマァス!!」
 声に出すはやはり近くに居たジュジュで、その手に持つ拳銃に銀の弾をリロードさせ、素早く二発目を発砲、一発目を背に受け膝を追ったままの相手に、二発目の弾は呆気なく命中し、その身はただゆっくりと地へ落ちてゆく。
 それで本当に終わるのだろうか? 相手を見ていた沙霧の目は確かに銀色のそれを見つけ素早く二挺拳銃を握り、左右一発ずつ……決して時計は壊れぬよう掠める程度に的を絞り、桂の時計を打ち上げた。
「誰かその、桂の時計拾ってっ!!」
 そう、皆の視線が向かうは相手の手を離れ今は宙を舞う懐中時計だが、それはすぐさまキャッチされ、羽翼が不敵な笑みを浮かべた。宙を舞うそれを取ったのは彼のデーモン『ヘブンリー・アイズ』だ。今まで調査を行ってきた羽翼の相棒であり、素早さと分析力を誇る。
「これでもう逃げられんだろぉ」
 ガハハと、いつの間にか上がったのか、羽翼はアパートの屋上に登った南雲の隣に仁王立ちで居た。
「やるじゃない、見かけによらずってやつ?」
「ナイスデェス!!」
「おいおい……どうでもいいんだか悪いんだか、こっちもどうにかしろってんだ」
 沙霧とジュジュは喚起の声を上げるが、それを打ち消すような呆れ声を壮司が発し、再び状況は元へと戻る。否、相手は立ち上がるもののその足元はおぼつかない。
「……誰も…誰も俺を判ってなどくれない……だから…一人で生きてきたと言うのに」
「その場を離れろ!!」
 そんな少年の声と南雲の声が重なった。
 それと同時辺りに巻き起こった爆風は南雲が放った何かにより引き起こされたものらしい。
 沙霧は再びバスの陰に身を潜めそれをやり過ごし、視界が開ける頃、沙霧は目の前の状況に一瞬息を忘れた。
「あれ…、蚊の集団!?」
 相手の体の周りには、いつの間にか黒いカーテンのような物体がある。今の瞬間、そのカーテンは崩れ落ちたかのように見えたが、相手が手を空へかざすと同時、それは修復される。そして確かに沙霧の言うとおり蚊の集団であり、数が数なだけに羽音が遠く離れた場所でも良く聞こえた。羽翼の情報どおり、確かに体内に蚊を飼っており、それを今外へ放出しているのかもしれない。だからと言ってそれがどうなればあんなシールドのようになるのか。
「でもあんなのが無限に出るなんて考えられないし――」
「オラァ! もう俺は我慢できませんよ!!」
「大六サン!?」
 しかし沙霧の視線の先へ声と同時突撃していくのは大六と、今この瞬間何処からか出てきた殺し屋集団十人。彼らは一直線に相手へと向かい、殺し屋集団はジュジュと同じく銀の弾を連続で発砲、大六にいたってはデーモン『ホーニィ・ホーネット』を使役した。大きさ5Mともいえる巨大な女王蜂型デーモンは、小型の蜂型戦闘機の戦闘端末を無数に繰り出し、その全てが蚊のカーテンへと向かって行った。
「……今やらないで何時やるってのよ!?」
 そして沙霧はちゃっかり後方支援とばかりにカーテンに向かい発砲を始める。
 カーテンを狙い、大六が相手を直接狙い、やがて砂煙で一切の視界がなくなる中、唐突に予想もしない強い風が吹き荒れる。
 バスが大きく揺れ、その近くに居たジュジュと沙霧はその場所から退避。大六と殺し屋達は豪快に地を転がっていくのを見た。
 そして一瞬限りの風が砂煙を遥か遠くに吹き飛ばすと同時、視界は一気に広がり、その先にはいつの間にか壮司に捕縛されている相手の姿。どういうことか、今壮司の腕が人ならざるもの――まるで獣のような腕――で、それがきつく相手を縛り付けているらしい。
「っ、ふざけるな! 誰も俺を理解しないし、俺に何か願うことなんてないんだ、父さんも母さんも……みんなそうだ!!」
 相手は壮司に強く束縛されながら、未だもがき足掻き、しかしやがてその抵抗をやめていく。それは叶わないと知ったからなのか、他の理由からなのか。
 少しすると沙霧は壮司に呼ばれ二人の元へと駆け足で向かった。そこで聞かされたのは何度か話題になった沙霧の血についてのことだった。
「要するに、コピー能力を手に入れてしまってからコピーした能力とコピー能力自体だけを消去ってこと?」
 壮司の言うことには、目の前の相手――少年――は能力のコピーを目的として動いているわけではなく、言うならばこんな能力は要らないと言っている。
「あぁ。もしかしてそんな細かくは出来ないか?」
「こればかりは出来るかどうかからして判らないわ。だから半分半分ってとこ」
「それでもいい、こいつに血を飲ませてやってくれ」
 人の気を知ってか知らずか、壮司は少年を捕縛したまま言う。沙霧は苦悩の表情を見せるが、確実ともわからないそこに賭けようとする二人に、「何があっても私は関係ないからね……」と、嘆息と同時微笑を浮かべた。
「はいはい…で、どうやって飲ませるわけよ?」
「……すみません、利き手でないほうの手首を出してください。実は蚊の能力は制御しきれていなかったのですが、今体内のものはほぼ出し切り消滅してしまいましたので、毒はありません。俺本来の吸血方で頂きますから」
 言われたとおり沙霧は手首を差し出すと、袖を捲り肌を出す。
「頂きますって……まぁ、全部は取らないでね」
「加減はしますけど、散々撃たれたんで血が足りて無いんですよ」
 笑い言った相手に悪気は微塵も無かっただろう。
 ゆっくりと少年は沙霧の手首喰い付き、それは注射針のような痛みが走る。しかし痛みはその一度きりで、相手は喉を鳴らし血を取り入れ始めたようだ。急激とは言わないが、血の気が引くような、確実になくなっている感じを実感する。
 沙霧の手首から血を吸い取れば、先ずはそれを体内で勝手にコピーしてしまう。が、同時沙霧の手首からそっと口を離し、顔を上げた。
「悪いが…ご対面」
 その時、捕縛を続けていた壮司が黒いマントを後ろから剥がした。
 下から現れるは小柄で、確かに十五歳ほど、金髪の少年。沙霧は少年の笑みを目の前で見た。
「――……ありが、とう」
 それはとても嬉しそうな……。

 やがて朝日が雲の切れ間から顔を出す。気づけば今朝は雲が多く、太陽は既に昇っていた。

    ■□■

 数日後、病院を訪れた沙霧は自分の血を飲んで元気そうにしている少年を見、笑いながら病院を後にした。
 元滅ぼすものであり、殺し屋でもある自分の血が誰かを助けたこの事実は大きく、喜ぶべきなのか残念がるべきなのか今一判らない。ただ、誰かを救った――と言う意味であったこの出来事がそれほど悪いとは思えなかった。何より事件は確かに終わり、最初の被害者達も一斉に回復傾向を見せたからだ。
「もう、あのことが嘘だったみたいに……ね」
 全てが日常へ戻る。
 血を吸われた手首も、吸われた当時は二つの跡が残っていたものの、翌日には消えた。数日は貧血状態になりかけたものの、それ以外の不調も無く今は元通りの体に戻っている。
「さてと、ちょっとだけ鎖の部分を撃っちゃったけど……この時計大丈夫よねぇ?」
 苦笑いを浮かべ沙霧はポケットから出した桂の時計を見た。
 向かうは月間アトラス編集部。
 到着するや否や沙霧は麗香から「来月号、渡しておくわ」と、月刊アトラスを渡された。
「えっ、ちょっと……」
 しかし麗香は素早く自分の席へと戻ると仕事を始めてしまい、沙霧は溜息混じりに中身を見た。
「――弱者の強さ、ね……どちらかといえば弱い気もしたけど?」
 羽翼が書いたその記事を見、沙霧は途中で本を閉じた。出入り口のドアに桂の姿を見かけたからだ。

 時計を渡し終えると早々に編集部を出る。
 真上は晴れているものの、遠い向こうが半分雲で覆われている空は、何となくあの朝の景色を思い出させた――…‥


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [0585/ジュジュ・ミュージー/女性/21歳/デーモン使いの何でも屋(特に暗殺)]
 [0602/   鷹旗・羽翼  /男性/38歳/フリーライター兼デーモン使いの情報屋]
 [0630/  蜂須賀・大六  /男性/28歳/街のチンピラでデーモン使いの殺し屋]
 [3994/  我宝ヶ峰・沙霧 /女性/22歳/摂理の一部]
 [4279/   翆・南雲   /男性/25歳/NIGHTMARE DOLL隊員]
 [4240/ニグレド・ジュデッカ/男性/23歳/NIGHTMARE DOLL隊員]
 [3950/  幾島・壮司   /男性/21歳/浪人生兼観定屋]

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■         ライター通信          ■
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 という事でお疲れ様でした! ポンコツライター李月です。
 遅くなりまして大変申し訳ありませんでした!! 今回は様々な初めてづくしに、様々な不調が重なり一部納品がずれ込んでしまいました。本当にすみませんでした。
 何度か途中途中の見直しはしているのですが、前部隊も色々やってしまってますので、此方でも何かありましたらどうかご連絡、若しくはリテイクくださいませ。
 ほぼ全てが皆様の視点となっていますので、共通であるはずの戦闘部分もそれぞれ大幅に違う状況と、ボリュームだけは半端でないことになっています。他の六名様全てを見るのは不可能に近いですが、相手に近いほど情報を得ている…と言う状況ですので、そちらだけ確認していただければ真相が見えてくると思います。
 尚、前部隊とはやや展開が違っています。此方はとにかく色々ぶっ放した状況ですね……少年に関してもあまり触れていません。
 なかなかにまとまりがなくなってしまいましたが、何処かしらお楽しみいただけていれば幸いです。

【我宝ヶ峰・沙霧さま】
 前回に引き続きのご参加有難うございました。後方支援ということでしたが、最後の最後でカギとなる存在となりました。
 入れ知恵=不確定と取らせていただきまして、もし解釈の仕方が間違っていましたらすみません! 曖昧さゆえ、死というのも半分という比率で書かせていただきました(なので、後天的に手に入れたもの全てが死んだという意味で..)
 口調に関しても問題ありましたらご連絡ください。どうも書いているうちにクール寄りに行ってしまっている気がしまして……。

 それでは又のご縁がありましたら…‥
 李月蒼