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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


あやかし荘のクリスマス 2004

「たしか、そろそろ『くりすます』ではないのか?」
管理室のコタツでせんべいを食べている嬉璃が、因幡恵美に訊く。
「そうよねぇ」
「また、今年も、ぱぁーっとくりすますぱーてぃーと言うものをやってみたいものぢゃ」
「ええ、もちろん。パーティの準備しなくちゃね」
と、てきぱき動く恵美であった。

「さて、儂はあやつをなんとかしたいのう」
 ニヤリと笑う嬉璃だった
 いつも、「さんした」よばわりされている三下忠は、クリスマスパーティの道具や料理買い出しに恵美の手伝いをする。
前々から彼は因幡恵美に好意を寄せている。しかし、いつも空回り。
「こ、ことしこそ!」
 そんな運命は全くないと運命を見ることが出来る神は言う。

「で、今年もするのですね」
 エルハンドは恵美に確認する。
「はい、お手伝いやお友達を沢山呼んで楽しみたいのでよろしくお願いします」
 恵美は元気な顔で準備に急ぐ。

「エルハンド〜♪」
「エヴァ?」
 エヴァはミニスカサンタの姿でエルハンドに抱きつく。
「姉さん達やタケヒコもよぼうよー」
「ふむ、それは良いな。しかしその格好で行くと……少しは面白いかも知れないな」
「えへへ」

 さて、今年のクリスマスはどうなる事やら……。


1.前日
 
11:00 ジュジュの野望1
 管理人室では、恵美とジュジュ・ミュージーの何か話をしていた。
「暫く部屋を借りたいのですか?」
「イエース!」
 明るく答える
「まぁ、酔いつぶれる等あるからから、かまわんぢゃろう。ちまたで有名なうぃーくりぃやまんすりぃ等と思えば」
 ジトメで見ている嬉璃。ごそごそと戸棚から何かを出してきている。
「では、嬉璃ちゃん、その手続きお願いしますね。私は撫子さんたちと買い出ししますので」
「おう、まかせるのぢゃ。 ……じゃ、一応仮契約で適当にサインや印鑑をおしてくれ。形式だけだがの」
「どうして、嬉璃がするのヨ」
「ぶつくさ言うな。恵美の好意を無駄にするつもりか、ばかもん」
「はい、はい、OK」
 と、渋々嫌いな嬉璃の言うとおりに書類に目を通し、サインをしていく。判子は手元になかったので拇印に。
嬉璃は彼女が何を考えているのか、全く気にしていなかった。

ジュジュが借りてからと言うもの、その部屋は何かとうるさかったが、誰も気にすることもなかった。


11:00 鼻血で始まります。
「エヴァ様ステキです!」
朝っぱらから早々、ミニスカサンタエヴァの姿を見て感涙し、また鼻血を出している鹿沼デルフェスさんの声から始まる。
「そうおもう? えっへん」
デルフェスに抱きつくエヴァ。
仲が良くなっている事は良いことだと、エルハンドは微笑む。
「しかし、お父様……コレで町中を歩くのはモラルがピンチです」
「今までの格好よりはマシだと思うが? 確かに、変な輩がジロジロ見るかも知れないが」
「……た、確かにそうですわね。で、お父様がお勧めに?」
 今までの格好を考えると、マシだと思うデルフェス。しかし、一度聞いてみる。
「エヴァが自分で着たのだ。勧めては居ない。草間や零がビックリすることが楽しいだけだ」
 あっさり否定。
「あたしが着たんだよ。それにぃ〜何か袋を持って歩いていたらあまり不思議にならないと思う」
「なるほど、なるほど。では、草間様のところに参りましょうか」
「うん。あ、でも、エルハンドもデルフェスも言っているから普通の冬服に着替えてくるね♪」
「はい」
と、デルフェスとエヴァは草間興信所に向かうことになった。
エルハンドは、別の用事で出かけるそうで途中まで付き合っていた。

 興信所で見たモノは……。
「あれ〜! 姉さんも」
 出迎えたのはミニスカサンタ姿の零ちゃんであった。
「どうしたの?」
「ううん……これじゃわたしも着てくれば良かったな〜」
 一寸がっくりなエヴァ
「お二人でサンタ服……たまりません」
 妄想にまた鼻血を出すミスリルゴーレム・デルフェスさんであった。


12:00 天薙姉妹の買い出し部隊と従兄の……。
 恵美から連絡を受け、参加すると決めた天薙撫子。
 前日から気合いは入りまくりです。プレゼントも出来上がってます。
 丁度、従兄の宮小路皇騎も天薙の神社に顔を出していたので、連絡の方は早かった。
「そう言う時期だな」
 もくもくと、作業をしている皇騎が焦り始めている。
「そうね。ところで皇騎ちゃん」
 にこやかに微笑んでいる撫子さん。
「な、なんだ?」
「まだ、例のモノできてないんでしょ?」
 悪戯っぽく笑う撫子。
「う、だから遅くなると伝えてくれないか?」
「ご自分でやったらいいじゃない」
「うう……」
 やっぱり女性には逆らえません。
「お姉様はやく!」
 榊船亜真知はエヴァが居るから楽しみのようだ。


12:00 忠君と、恵美さん、彼女の彼氏
|Д゚) じい……
「な、なんなのですか?」
 ナマモノはずっと忠を見ている。
 忠は、この小麦色が何故か苦手の様だ。
 ナマモノは見ているだけで、答えない。
「まさか、ボクが恵美さんに告白するとか……ああ! 言ってしまった!」
|Д゚) (……愚蕪(おろかぶ))

「三下さん、遮那君、買い出し一緒に行きませんか?」
 管理人の因幡恵美さんが二人を呼んだ。
 おそらく、恵美は携帯メールで前に参加した人に連絡をつけているのだろう。
「はい、行きますぅ!」
 即答する、忠。
|Д゚) あわれ……
 ナマモノは知っている。いや、他のあやかし荘の住人は忠除いて知っている。
「恵美さん、待って下さいね〜。」
 女の子っぽいが男の子の奉丈遮那が現れる。
Σ|Д゚;) いじめっ子キタ━━━━━━━━!!!
「いじめてないよ〜かわうそ?」
 微笑む遮那。しかし、目はいじめっ子の其れ。
 何故か遮那が苦手なかわうそ?
 ここで、恵美は遮那の天敵でかわうそ?が天敵の存在が居れば3すくみになるわねと思ったのは秘密である。
「さて、途中で撫子さん達に合流すると思いますから沢山買いましょうね」
「はい」
「はい!」
 と、小麦色を残し、3人は出かけていった。
|Д゚) さて、かわうそ? もなにかするか。


12:30 めいどのあくまとメイド魔神
 田中裕介のマンション。相変わらずメイド服が一杯なところ。
「行きたくない! 絶対行きたくない」
「えークリスマス楽しそうです! 裕さんいきましょうよー」
 恵美からの電話を聞いて、行きづらい裕介(メイド魔神)と居候の内藤祐子(めいどのあくま)が言い争っている。
「また問題起こすつもりか! 俺はな……」
 |Д゚) メイド魔神怒る
「いきなり現れるなぁ! ナマモノ!」
 魔人は近くにあった木刀でかわうそ?をホームラン。
(゚∀゚)ノシ 行けばいいことあるかとー。
 と、何のために現れたかわからない小麦色は星になった。
「かわうそ? さんも、ああいってますから。ねね〜?」
「し、しかたないなー」
 渋々付き合うことにする裕介。
 更に追い打ちで、メールが届く。
「母さんから??」
 携帯を見る……。

[件名:あやかし荘のクリスマス]
 私も参りますから、あなたも来なさいな。私はエヴァの様子の為に行きます。特製のお菓子を持ってね。
                                          隠岐智恵美
 ということらしい。
 流石に母親が来ると言うことは……。
「行かないと大変な目に遭う……俺はともかく、他の人が!」
 焦り出すメイド魔神であった。
「やったぁ!」
 めいどのあくま、喜ぶ。


13:00 長谷神社
 茜と蓮也は此処からサンタ衣装などを持ってくる役目をになっていた。
「しかしどうしてなんだ?」
「たしかねー、子供会などの倉庫として使われているだって」
「むむ、納得」
 結構広い倉庫があるためだろう。
「まぁ、ここってつまらない謎が多いから」
「ハリセンがあるぐらいだし……」
「其れは言わない……」
 ハリセン巫女がフグ面になる。
 丁度、エルハンドが現れる。
「師匠、こんにちは」
「エルハンド」
「仲が良いな」
 エルハンドは微笑んだ。
「友だちだもん」
「そうだな。準備は出来たか?」
「はい」
 後ろには室内用のツリーなどが一杯である。
 男手が二人で、
「俺、明日は料理の方にまわるから、飾り付けは手伝えない」
「えっと、私も飾り付けは」
 どうしようと悩んでいる
「その辺は心配ない。かわうそ?や義明、時音。ほかに何か色々楽しい“企み”を持っている者達がするだろう」
 エルハンドはそう言った。
「時音という人はわかるけど……、かわうそ?は何というか……その“企み”をねじ曲げて居るかも知れないのは気のせい?」
 なんか不安に感じる蓮也。
 茜やらナマモノに弄り倒されているこの頃です。
「気にしちゃダメだよ、蓮也」
 ニコニコと笑う茜だった。


13:00 飾り付け班
 大広間には、丁度縁側があり、庭も出来ている。そこには饅頭うさぎがぴょんぴょんはねている。
|Д゚) 何度も壊れるあやかし荘。最終的、綾の資金提供で改築できるということで。
 迷宮化している要因をカメラ目線で話す小麦色。
|Д゚)b ビシィ

 そこで、眼鏡の少女と例の“ソレ”が何か話している。
「賑やかに彩りとか考えないとね〜♪」
 銀野らせんは、かわうそ?と楽しく過ごすため、あやかし荘にきている。
|Д゚) で、どうすんの?
「ドリルガールサンタ仕様に変身してね〜」
|Д゚) ふむふむ。
 と話していると、

「なにやっているんですか?」
 と、木材を持って来てきた17歳の少年と、赤子を抱いた歌姫が現れた。
|Д゚)ノ おかえりー時音〜。
「クリスマスの準備ですか?」
 らせんが訊く。
「はい。僕は風野時音です。この辺りに雪避け(金沢や雪国で使われている屋根や遮蔽物)を設置して色々しようと思いまして。そちらも何かするようですね?」
「あたしは、銀野らせんです。 えっとですね……」
 |Д゚)ノ 彩り?
「そうですね、イルミネーションの他にホワイトクリスマス的に庭を飾ろうと」
「良い考え〜」
 と、らせんとナマモノ、時音が話し合う。
「では、僕は歌姫と雪香で手作りのモノを作ります」
「じゃ、あたしも何か手伝うね」
|Д゚) かわうそ? がんがる。
 と、暫くはらせんと、時音と歌姫が雪で色々形作り、かわうそ?が住処に保管する形になる。
 らせんは親から頼み、もみの木を持ってきては、時音がしっかり手作りで土台などを作っていた。
「やっぱり、持ち運びは能力を使うけど、実際の飾り付けなどは手作りが良いな」
 と、時音は言う。
 其れに反論する者は居ない。

「あれ〜。すごい! すごい!」
 鈴代ゆゆと柚葉が、時音が持ってきたもみの木を見て驚いてやってくる。
 ゆゆは、ミニスカサンタ姿で色々な飾り付けを持っており、柚葉も真似て部屋にあるストラップ人形を持っている。
「皆で飾り付け〜♪」
「いいね♪ どうぞ、どうぞ」
「じゃ、はじめよう!」
 と、皆でわいわい飾り付けをすることになる。
 ゆゆは、結構真剣にウンウンいいながら、飾り付けを楽しんでいる。
 時音は雪避けを作り、仕切も作っている。大体人二人座れる間隔だ。
何のため?ときいても彼は微笑んで答えない。

 雪香はまだ赤ん坊ですやすや眠っている。そこには金色の猫が丸くなって周りをみていた。


|Д゚) 時音、箱できた。例のモノ。
「おお、こう言うときは助かるなぁ……あの人は?」
|Д゚) 多分、代わりが居るから当日参加と思われ。
「そうか。ありがとう、かわうそ?」
 箱の中身は、みょうな卵形の機械だった。
 一体何なのだろう?


 こうして、当日まで色々と忙しない一日であった。


当日の準備
10:00 完成1
「で、出来た……」
 皇騎は、徹夜で何かを完成させた。
「これで、しっかり言える……うん」
 手のひらには何か光るもの。
 其れを小さな箱に丁寧に入れる。
「茜さん……待って下さいね」
 と、皇騎は疲れでそのまま眠ってしまった。
「あらま」
 従妹が笑いながらそっと、毛布を掛けた。
「おつかれさま。遅刻しないようにね」
 微笑みながら、彼女は去っていった。

13:00 ジュジュの野望2
「完成! これで良し!」
 何とボロアパートの部屋がラブホテルのようにピンクな世界に改装されていた!
「これで、タケヒコと! ふふふ!」
 邪ではないが笑みを浮かべるジュジュ。
 ジュジュは草間とラブラブになりたいそうだ。
 エヴァが先日出かけたのを知っている。今日必ず草間は来る。
そのために徹夜して改装したのだ。
 ドラッグの方も準備万端。後は自分の演技。
しかし、実際うまく行くかは……わからない。

12:00 飾り付け終了
一度家に帰った者もいるが、朝から時音の手伝いをしたり、もみの木に飾り付けをしたりと準備参加者人が増えてきた。
 どこかの国では、オレンジなどを飾るとかもあるらしく、見た目はかなり派手になっている。
「イルミネーションもってきたよー。もちろんツリー用も!」
 らせんは玩具会社の令嬢。すんなりこの手のモノは手に入るのだ。
「綺麗〜」
 飾り付けを手伝うのはゆゆと柚葉、歌姫、らせんだった。

 時音は腹巻きをした二足歩行のヤギらしい生物といつもの小麦色で雪避けを作って完成させた。
「どうもありがとうございます」
「べらんめぇ」
|Д゚) ――カニが来たらどうするんだろう? と思っているナマモノ。

「らせんさん、では夜には」
「はい、任せて下さい」
 二人でニコニコ笑う。
「なになに〜?」
 ゆゆが小首を傾げて訊くが、
「本番までのお楽しみだよ」
 と、時音が言う。
「わかった。楽しみにしてるね」
 と、ゆゆはまたツリーに向かっていった。

 フラリとエルハンドが庭にやってくる。
「出来たみたいだな」
「あ、エルハンド」
 ゆゆはエルハンドの方に向かおうとするが……、
「エルハンド!」
 エヴァが抱きついてきた。
「あ……」
 ちょっととまってしまったゆゆ。
 何となく邪魔しちゃいけない雰囲気になっていたため、すごすごと戻ってく。
 いつの間にか、その隣に大工姿の義明がいた。
「大丈夫だよ、ゆゆちゃん」
「え?」
「師は、君のことが大事だから」
「ほんと?」
「ああ」
「でも、今日はエヴァに譲ろうかな」
「そうしなくてもいいよ。エヴァを慕う人は結構いるからさ」
「うーん」
 悩むゆゆだった。

 義明の言ったことは本当で、既にエヴァを中心に隠岐智恵美に鹿沼デルフェスがやってきている。
「皆! メリークリスマス」
「エヴァ様!」
「エヴァ、元気ですか」
「うん、元気!」
「アマチと姉さんにタケヒコは?」
 エヴァは二人に訊く。
「草間様は今最後の仕事の詰めで遅くなるそうです。零様、亜真知様は共同炊事場で料理の支度をしておりますわ」
「ふーん。アマチやナデシコの料理って美味しいし、メグミも上手だからいいな♪」
 エヴァは既にエルハンドから離れて二人と会話している。
「私たちは、食堂のお掃除をしましょう」
「うん」

 エルハンドは彼女たちの後ろ姿を見送ったあと、ゆゆをみて申し訳なさそうな顔をしていた。

「皆さん! 大人数なので、この名簿に記入お願いします!」
 と、奉丈遮那が大声で庭にいる人達を呼んだ。
「はーい」
 |Д゚;)! いじめっ子キタ━━━━━━━━!!!
――いや其れは良いから……。


14:00 撫子さんのお料理教室
「さて、始めますよ!」
 気合い入れてのハチマキに、襷の撫子さんが張り切っていた。
|Д゚)ノ 〈撫子さんお料理教室〉
 と、ナマモノが炊事場の看板を書き換えているほど。
 参加者は当然、茜に蓮也、亜真知サマ、恵美である。遮那の方は参加者の確認で走り回っているようだ。
「ではまず……食べて下さる方に愛情を込めて作ることが大切です」
 と、言いながら、撫子さんは参加者に、色々料理のコツを教えている。
 和風ながら洋風にアレンジする創作料理である。

 |Д゚) クリスマスだもんよ

 定番のもも肉やら丸焼きもあるが、それは既に昨日のうちに仕込み焼く。そのほかにも色々大事なのだ。
 恵美、撫子、茜はそう言ったもの、亜真知サマと蓮也君はお菓子作りと別れている。
 三下というと、嬉璃にこき使われていることだ。

皆「そうなるよね」←納得している方々。

「茜さん、皆さんにお料理の腕前を披露致しましょう。特に大事な人にはね」
撫子さん悪戯っぽくニコリと笑う
「はい♪」
「え、えっと、そうですね」
茜は元気に、恵美は少し照れての反応。
「撫子センセー! 料理班は特定の大事な人がいます! なので センセーもよしちゃんのために!」
 茜が反撃。
 其れで少し焦る撫子さん。
「あ、そそれは! そ、それは良いから始めますよ。お料理は時間がかかるものですからっ!」
 赤面してかつらむきやら、テクニックを教えながら取りかかる。


 デザート班では、黙々というわけでもないが、デザートを作る亜真知と蓮也。
「済まないけどさ、亜真知。コレ味見てくれない?」
「かまいませんわ」
 先日に作った、ケーキを料理がパティシエ並みに上手い亜真知に味見して貰う。
「……」
「ど、どうだ?」
 不安になる蓮也。
 前に茜に味見して貰ったが、「美味しい」と言うことはわかったが、人によっては違う。
「なかなかいけますね♪ でも、此処は〜」
「ふむふむ」
 と、亜真知はスポンジケーキの作り方から“実践”で教えていく。
「生クリームにも何かと仕掛けが必要です♪ 各所に美味しい洋酒を入れるというのは基本になってきていますけどね」
 と、にっこり微笑む亜真知サマ。
――著者は菓子作りにまーったく詳しくないが、今のケーキ屋などはよく洋酒を入れている。隠し味であったり、メインにしたり、とだ。
「ハイできました〜。ケーキは手作りです♪」
 と、蓮也の作ったケーキと亜真知が作ったケーキが出来た。
 流石に経験があるというか、超越者の亜真知サマのケーキの飾り付けは見事であるが、蓮也も実のところ負けていない。
 想いが篭もっているためもあるし、影の特訓の成果もあるのだ。
――意図的に運斬使うことも今のところ出来ないからね〜 ←著者
「人は努力してなるものですね♪」
「ああ、コレで、アイツの約束したことが出来るよ」
 完成した汗を拭う、蓮也の額に、クリームが付いた。
「うふふふ」
 亜真知サマ笑う。
「さて、残りのデザートも出来上がる頃ですよ」
「じゃ、その味も盗むからな」
「やってみて下さいね」
 なかなか息が合っている模様だ。


 そんなこんなで、茜と恵美は撫子をからかいながらも料理に力を入れ、徐々に完成させていく。どんどん時間がたつに連れて、歌姫たちあやかし荘住民と、零にエヴァが参加し始めた。
 デザートの方には柚葉と綾、しかも草間もやってきてつまみ食いするところ、亜真知サマに軽くお仕置きされるベタな事件もあったが、滞りなくすすむ。
 撫子がしっかり義明の好物用料理をしっかり作っているのは言うまでもない。

 
15:00 別のところで
黒澄龍は孤児院の兄弟とクリスマスで忙しかった。
「オイオイ喧嘩するな、逃げやしないって!」
 兄貴肌の龍。
 ささやかながらも楽しいクリスマスである。

 ちょっと、他の世話ができる妹分に任せた後、トイレに向かう龍の前に
 |Д゚) おいーす、ばか龍♪
 小麦色が現れた。
「げ! かわうそ?!」
 何故か居る小麦色。
「何故此処に!?」
 |Д゚) 幻影
「……そうか」
 言葉が返せない。
 |Д゚)ノ 兄弟連れてあやかし荘に来る。いじょ。
「おいまて! こらー!」
 幻影の小麦色はどこかに行ってしまった……。
「もうケーキとかは……食い過ぎたんだけどな……」
 しかし、アレから誘いを受けたとなっては、行ってみるのも良いだろうと、思う龍だった。
――仕返ししないといけないしな……。


17:30 勢揃い? 開始30分前
 すでに、準備も整い、集まっている人と談話している状態になっているあやかし荘の食堂。
「雪避けだー」
「でも雪ってふるかな?」
 と、物珍しそうにみている子供達がいる。
 龍の兄弟姉妹だ。
「ナマモノどこにいるんだ?」
 と、捜す龍。一応先に礼はしておきたかったら

 |Д゚) らせん、子供向けも
「わかった。何とか手配するね」
 と、影でのらせんとかわうそ?の会話。
しい。

「零様にエヴァ様のミニスカ姿ステキです」
 と、皿配りを終えたエヴァはうっとりと二人を愛でている。
「デルフェス目がおかしいよ〜」
「あら、あらら」
 智恵美さんもエヴァの元気な姿やその仕草を一挙一動見逃さなかった。

「田中裕介と……内藤祐子です」
「はい、田中さん。名簿に書いて下さいね」
|Д゚) とっとと書け、メイド魔神
「うるさいナマモノ」
 と、受付でもある玄関先で奉丈遮那と裕介、祐子がいる。
「義母は?」
「智恵美さんならエヴァさんと」
「ですか……あの気をつけて下さいね……あの人のお料理は食ってはなりませんから」
「……あ、はい……」
 裕介の真剣さに遮那は頷く。
 祐子は裕介が居ると元気に周りに集まっている人と会話している。一応暴走しない為に、裕介は特殊な紐を取り付けてあるようだ。
「裕さん。義明さんと撫子さんはどこですか〜」
「お、おまえなー」
 めいどのあくま内藤祐子の目的を知っているため、ため息吐くメイド魔神。
|Д゚) お似合いカップル
「ちがう! 断じて違う!」
 かわうそ?に突っこむメイド魔神であった。
「何かイヤな予感がします。悪寒が……」
 撫子がブルブルしている。
「風邪? 大丈夫か」
「いえ、そう言うことではないんですが……」
 と、蓮の間から食堂の方に向かう撫子と義明。
 そこで、夏のあの日のように……出会ってしまった。
「あ♪」
「撫子さん逃げて下さい! 義明君も!」
 対極の反応するメイド趣味人物
「きゃああ!」
「な、撫子!」
 何と、祐子は撫子に抱きついていたのだ。
「お会いしたかったです♪」
 猫のように懐くめいどのあくま。
「悪意は……ありそうでない……」
 裕介に少し同情する、よっしー。
「いい加減にしろ」
 と、紐を引っ張る裕介。
「きゃ! あーれー ご主人様のいじわる〜」
 玄関は大騒ぎになってしまう。
「何か騒がしいですネー」
 ジュジュが徹夜で部屋改築から起き出した模様。

 裏方作業に徹している恵美と時音、そして忠なのだが、忠は恵美に遮那という恋人が居ると言うのを知らない。大体の準備雰囲気で既に準備に参加していた全員はわかってしまった。
 なぜなら、別行動でてきぱきと働く二人だが、休むときは一緒に休んでいて近寄れる雰囲気ではなかったのだ。
 
 知らないのは、鈍感なのか忠と先ほど起きたジュジュぐらいである。
「くっつけること出来ないんだね」
 と、ゆゆは一寸がっかり。
「だって、時音と雪香と歌姫は家族で。遮那って恵美の部屋から直ぐの月下美人の間だもん」
「世の中全て金やけどね〜。恋愛だけはちがうんやな〜」
 柚葉と綾が説明する。
 別のところ、蓮の間でも、エルハンドと亜真知がそんな話をしている。
「あらら、既に相思相愛なんですか?」
「そうだ。なので三下の思いは空回りだ。骨折り損するより先に伝えておく」
「はい、危うくお節介しそうでした。ありがとうございますお父様」
 と、亜真知は子供のようにエルハンドに抱きつき甘えた。
「エヴァと一緒に楽しむことだな」
「はい」

「おーい、零、きたぞ〜」
「兄さん」
「タケヒコ!」
「Hallo! 武彦!」
 零、エヴァ、ジュジュが草間をみては呼ぶ。
 既に会場ではエヴァを中心に人だかりができていた。

|Д゚) おーすげー。 エヴァ人気
|Д゚) まぁ、一部違うけど
嬉璃「お主、全体像みてどうおもう?」
|Д゚) 楽しいトラブルが満載、嬉璃は忠いぢめ?
嬉璃「そうか……。まぁそうなるかの」

 食堂は、天井に様々な飾り付けになり、室内用のツリーにもかなり個性的な飾り付けがされている (テラヤギ関係が多いのは気にするな)。雪避け縁側にはいるには、胸の高さぐらいある仕切扉を開けないといけない。縁側自体には完全に仕切が出来ている。恋人達の個室みたいなものだ。当然、中庭全体が見えるように工夫はされている(真ん中あたりは其れがない)。
 庭には、もみの木と様々な謎のオブジェがあるが、時音の案で出来たモノらしい。
 マイクセットを出してきた恵美。
「皆さん、そのままで良いですからテーブルに置いているジュースをコップに注いで下さい。大人の方はシャンパンの栓抜きの準備をして下さい」
「はーい」
 ジュジュや好意で差し入れしてくれた飲み物を注ぐ。
「かなり本格的だな」
 龍が感心する。
 ケーキは食い飽きたのだが、目の前にあるケーキの美味しさに負けそうになる。
 それより、兄弟達を世話するのに必死でもあるのだが、子供好きの智恵美によって助かっている。
「あ、さんきゅ」
「いえいえ」
 
 と、マイクの音がまた聞こえた。恵美の声だ。
「では、今年も無事クリスマスを迎えられました。皆さん楽しんでいって下さいね! 乾杯!」
「かんぱーい」
 と、シャンパンの栓が飛ぶ音と、クラッカーの音が響いて宴が始まった。


19:00 宴の盛り上がりに
「済みません! 遅れてきました」
「皇騎さん!」
 走ってやってきたのは、宮小路皇騎だった。
 寒い中を走ってきたようである。
 茜は直ぐに彼に抱きついた。
「仲が良いな、あの二人」
「そうですね、義明君。でも……」
「ん?」
「この子どうしましょうか?」
 アレからずっとめいどのあくまは撫子さんに抱きついて離れなかったりする。
 猫である。
 めいどのあくまにして更に猫だ。
 悪気がないというあたりで二人ともどうしようか悩むところである。
「裕介さん」
 裕介は裏方作業に暫く徹底しているみたいなので、よっしがー呼んだ。
「あ、す、済みません」
 紐をひっぱり、猫を外す。
「いやー、いやー」
「我が儘言うな、バカネコ!」
 この紐はどうもエーテル界特製物らしい。

「雪が降りませんね」
 と、零がぽつりという
「だよね」
 エヴァ。
「少し残念ですわ」
 鹿沼デルフェスさん
「あらあらら」
 お菓子を息子に取り上げられてションボリ気味の智恵美さん
「どうしましょう?」
 亜真知サマ何か考えている。
「あれ? みてみて!」
 ゆゆが外を指さした。
 雪が降っている。
「すごいーすごーい」
 エヴァや祐子、龍の兄弟がはしゃいでいる。
 ジュジュも驚いている模様だ。
「オー!? 天気予報じゃ雪降らなかったんじゃないの?」
「さぁな」
 ジュジュにお酌して貰っている草間が答える。

 あやかし荘庭の死角では、エルハンドと時音が箱で届いた神器……『サンタクロースの降雪器』を動かしていたのだ。
 サンタは今回、別の人が担当する。
「さて、1cm程は積もったかな?」
「ですね、では」
 雪に術をかける二人。
 イルミネーションと重なり、幻想的な庭を演出していった。奇妙なオブジェはそれの媒体である。
 トナカイやメリークリスマスの文字が浮かび上がるのだ。
 其れに合わせて、歌姫が歌い出す。“きよしこのよる”を
 子供ははしゃいで、大人はその美しさを堪能する。
「凝っていますね」
「ええ、遮那君」
 |Д゚)ノ ふたり、お疲れ。あちらにどぞー
 かわうそ?が遮那と恵美を個室間隔になっている雪避けに押していった。
「こ、こら、か、かわうそ?」
 遮那君と恵美さん驚く。
 其れを目の当たりにした三下君は……
「え? え? ええええ!? い、何時の間に!」
「そう言う事だからご愁傷様」
 滝のように涙している忠君の方をぽむぽむたたいた。

「あ、恵美さんと遮那君は恋人同士だったんだ……」
 ゆゆも驚いた。
――花見や他のときもそうだったね……すっかり忘れていたなぁ。

「幸せは来ないんだよな……糸に幸せに関する物がないんだよ」
 蓮也は大泣きして嬉璃に殴られる様をみて同情するしかなかった。

 ジュジュは草間にぴったりくっついている(零は面識多少面識あるので溜息をついているが)。
――お姉さんに誤解がなければいいのだけど。
 草間には既に恋人というか嫁さんがいるのである。
――まぁ、今は自分で切り抜けられるか自業自得に……
 零の独り言。

 そして、何かしら雪車の音が聞こえた。
「ドリルガールサンタ仕様!となかい?つれてただいま参上!」
 と、小麦色にトナカイの格好をさせて、ドリルガールがやってきたのだ。何も入っていないような袋をもって
 |Д゚) こんかいはとなかい? なり
「わーナマモノだ!」
 |Д゚)!
 いきなり龍の兄弟にもみくちゃにされる小麦色。
|Д`)ノ きゃー ←嬉しいのか災難なのかわからない模様
「これこれ、子供達〜“いいこ”にしてないとプレゼントが渡せないよー」
 ドリルガールが言う。
「えっと、サンタから皆さんにプレゼントがありまーす。子供も大人も楽しめる物ですけど♪」
 と、何もなさそうな袋にドリルの付いた腕を突っこんで、ぱっとラッピングされた箱を出した。
「わー!」
 |Д゚)ノ ならぶー ならぶー ←もみくちゃにされて元に戻った小麦色。
「なかなかやるな、かわうそ?」
 龍はすこしナマモノと、腕にドリルが付いた少女に感謝した。

「良いクリスマスのようですね」
「まぁそうだな」
 一段落、落ち着いた裕介とエルハンドは撫子から貰った酒や裕介持参の大吟醸で賑やかなクリスマス会を眺めている。
 サシとは行かず、めいどのあくまをお酌させている。
「あの女始めてみるが、草間に惚れているんだな」
「そうなんですか?」
 ジュジュのことを言っているようだ。
「運が悪い者と幸運な者のハッキリわかる世界だな」
「で、ですね……」
 苦笑する裕介。

 ジュジュは草間の避けに薬を入れるよう試みるのだが、草間はこう言った。
「済まんが、既に決めた女がいるんだけどな、ジュジュ」
「オーノー! そんな!」
 いきなり大ショック。
「単にごく普通の呑み友だち付き合いなら良いが、あやかし荘改装してまでの苦労はわかるが……」
「酷い! 武彦!」
 嘘泣きで去っていくジュジュ。
「泣かしましたね、兄さん。でもアレで良かったと思います」
「……ジュジュには悪いけどな。あ、子供達がいるから外で吸ってくる」
 草間は猫背で庭に出て行った。

 時音も作業が一段落して、歌姫のBGM係に徹し、他国語でデルフェスが歌いたいと申し出たため、歌姫との聖歌コンビが出来上がった。
 時音の雪避け縁側は、遮那に皇騎、撫子にとってとても都合の良い代物だった。二人っきりで雪を眺めるクリスマスなのだから。これほど良い物はないだろう。
 
 全体的にトラブルと言えば、智恵美さんに酒を飲ましてしまって数名天国行きの料理を食してしまったことやら、龍とその兄弟とかわうそ?のどつき漫才で石入れ雪合戦が行われた程度である。
 めいどのあくまも、酒を飲んでしまったらしく脱ぎ始めるところ、サンタドリルガールに気絶させられた。しかしらせんも酒を飲んでしまってダウンする。
 ゆゆは、独りぼっちになってきたので、エルハンドに近寄ってみた。
 智恵美には近づけないし、エヴァにくっついているのは亜真知サマと酔った隠岐智恵美さん。
 義明の言葉がきになったからである。
「ね、エルハンド……」
「ゆゆ、メリークリスマス」
 神は純真な鈴蘭の精の頭を撫でた。
「♪」
 彼女は其れがとても嬉しかった。
「では、師匠。俺はコレで」
「ああ、よい年末になると良いな」
「はい」
 裕介は去っていく。

 そうして、大体21時ごろに無事お開きになるのであった。


21:00〜翌朝
 宴が終わってからの皆はどうなったのだろう?
 後かたづけは、嬉璃や綾と号泣している忠で行われていた。恵美さんは遮那と二人っきりにさせたいという粋な計らいである。

 ゆゆは朝起きると、知らないようでよく見たことのある天井を眺めていた。
「うー、頭が痛くない?」
 其れより人間化していた。
「あれ〜?」
 よく見るとヤギパジャマを着ている。
「あうー多分……あの後お酒飲んじゃったんだ。そして」
 エルハンドに介抱されたんだとしおしおとなる。
「でも、何故人間に? あの薬かな?」
 と、ゆゆは考えてみる。
 寒さや暖かさなど結構デリケートな鈴蘭の精、ゆゆ。
「起きたか?」
 隅の方で、瞑想していたらしいエルハンドが声をかけた。
「え、エルハンド」
「寒さや酒、あの場の勢いで酔ってしまったんだよ。人間にはよくある事だが、感情を持つ存在でも起こりえる」
 彼の声はとても優しい。
 頭を撫でる手が心地良かった。精の時と人間になっているときとでは感覚が違う。
「ありがとう、エルハンド」
 ゆゆは、感謝の気持ちで一杯だった。
「クリスマスプレゼントとはいえないが、いざとなったらいつもあげている薬を使うと良い」
 と、1本人間変化の薬を渡す。
「材料がかなり多くなったので、だいぶ渡せる。必要になったら言ってくれればいい」
「ありがとう」
 ゆゆは、このクリスマスはエルハンドと一緒に過ごせないと思っていたばかり、感激で涙を流していた。
「暫くゆっくり休め、此処に居候と言えば……猫ぐらいになった」
 微笑んで、炬燵を占拠している猫の群れを指さす、エルハンド。
「あははは」
 ゆゆは、その可愛らしいオブジェに笑った。

End

■登場PC
【0328 天薙・撫子 18 女 大学生・巫女・天位覚醒者】
【0428 鈴代・ゆゆ 10 女 鈴蘭の精】
【0461 宮小路・皇騎 20 男 大学生・財閥御曹司】
【0506 奉丈・遮那 18 男 高校生・占い師】
【0585 ジュジュ・ミュージー 21 女 デーモン使いの何でも屋(特に暗殺)】
【1098 田中・裕介 18 男 孤児院のお手伝い兼何でも屋】
【1219 風野・時音 17 男 時空跳躍者】
【1535 黒澄・龍 14 男 シマのリーダー】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体…神さま!?】
【2066 銀野・らせん 17 女 高校生(ドリルガール)】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【2276 御影・蓮也 18 男 大学生 概念操者】
【2390 隠岐・智恵美 46 女 教会のシスター】
【3670 内藤・祐子 22 女 めいどのあくま】


■ライター通信
滝照直樹です
「あやかし荘のクリスマス 2004」に参加して頂き、ありがとうございます。
よい作品に仕上げようとしたかったのですが……如何だったでしょうか?
 宴の終わりは個別になっております。また、此処の通信も個人宛に書いております。

鈴代ゆゆ様:どうも2年連続参加ありがとうございます。
エルハンドがゆゆちゃんを大切に思っているのは変わりありませんし、これからもです。
長く存在する者と短い一生を迎える対極の位置にいる故でしょう。
|Д゚) 単にエルハンドがゆゆに惚れているのかも知れない〜
かわうそ?の言っていることにも一理ありますが……。
人間変化の薬をアイテム化しておりますのでご報告致します。

では、またの起こしをお待ちしております。