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クリスマス・イブ〜貴方に贈るプレゼント〜
●オープニング 〜雪降る日〜
「あ‥雪だ〜‥‥」
今年もクリスマスが近づいている。
狐族の銀（きつねぞくのぎん）が何気なく外を覗き見るとふわふわと雪が舞っている。
外はクリスマスに向けて美しいイリュミネーションが街中を賑やかにしている。
「クリスマス・イブは大切な人と過ごす日なんだよね‥」
「うん！ でも私は仕事に追われる事に成りそうかな‥‥」
雪に見とれながら話す銀に、苦笑しながら瀬名・雫（せな・しずく）が答えた。
銀にとって、人間界での２度目のクリスマス・イブが巡ってきた。
今年も皆が大切な人との楽しいひと時を過ごせるようにと願う。
「ボクも大切な人に贈り物を贈りたいな‥‥」
「去年は手作りチョコだったよね？ 今年は他の物を作ってみたらどうかな？」
プレゼントを贈る習慣があまりない銀には何を贈ったらいいのか分からずに悩む。
「皆に聞けばいい案が得られるかも知れないわ」
「そうだね！ 今年は皆どんな贈り物をするのかな？」
笑顔を溢して銀は嬉しそうに雫に言葉を返した。
●想いを込めて贈ります。
クリスマス・イブ直前、さすがに町並みはクリスマス一色で賑わっている。
どのお店もクリスマス向けにディスプレイされていて、とても美しい。
「うちはクリスマスをお祝いすると言う風習がないけれど、今日は銀さんと一緒にプレゼントを探したいと思います」
「うん！ みなもお姉さん、素敵なプレゼントを探そうね」
試験勉強や補習などに追われて大変な中、一息つくのも大切だと思いみなもは銀と一緒にクリスマスプレゼントを探すことにした。
クリスマスに近づくごとに気温は日に日にさがり、風邪を引かないようにみなもは十分に暖かい格好をする。
もちろん銀にも十分に暖かい格好をさせて、お互いに風邪を引いてしまわない様に気をつける。
「あたしは例えどんなに忙しくてもお父さんには‥‥いえ家族にプレゼントを贈りたいと思っています」
「うん！ボクも家族のことすごく大好きだよ！ ボクも両親へプレゼントを贈りたいな‥‥」
みなもは一息つく為だけではなく、クリスマスをお祝いする風習がない分、照れずに人へ贈り物をする機会がそう多くはない為、今年は銀と共にプレゼントをしようと考えていた。
銀はみなもの家族思いな面になかなか会えない両親の事を思い出し、自分も両親へ贈り物をしたいという気持ちになっていた。
みなもは銀の要望を受け入れて、出来る範囲でアドバイスをおくる事にした。
「お姉様には素直に洋服を贈ります。時間を見つけて編んでいた手編みのセーターを贈ろうと思っているんです‥」
実の所、目が飛び飛びで少し恥ずかしいのだが、姉が前にこういうのは手作りなのだと実感できて嬉しいのだと語っていたのを思い出し、みなもはプレゼントする事を決意したのだと銀に語る。
「だけど、今から作るのは少し遅いですよね‥。違う物を探しましょうか‥‥」
「そっか‥。だけど来年、機会があったら教えてね‥」
手編みの物は定番でよい案なのだが、初心者の銀の実力と日数的にも今から編むのは難しそうなので今回は断念する事にした。
「うーん、なにがいいでしょうか‥」
「わぁぁ‥このスカーフ暖かそうだね‥」
みなもが悩んでいる内に、銀が近くのウィンドウガラスの前で足を止めていた。
ガラスにへばりつく様にして見入る銀の元へとやって来てみなもはゆっくりとガラス越しの商品を覗き込む。
中には暖かそうなスカーフが何点か飾られていた。
幾ら暖かい格好をしていても、外の寒さに勝てるわけではないので、銀の目には暖かそうなスカーフが魅力的に見えた。
「本当、素敵です‥。このスカーフなんてお母さんに似合いそう‥‥」
みなもの目にすぐに留まったのはみなもの母に似合いそうな真っ赤なバラが描かれた大人っぽい落ち着いた感じのスカーフである。
「このバラの模様が描かれたスカーフをお母さんに贈りたいです‥。お店に寄って行ってもかまいませんか？」
「うん！ みなもお姉さんのお母さん、喜んでくれるといいね」
みなもが母の事を思い、幸せそうにスカーフを見定める姿を見ていると銀はなんだか自分自身も嬉しい気分になっていた。
「「ありがとうございました‥」」
クリスマス用に美しいラッピングが施された、スカーフの入った箱を大切そうに抱えてみなもは嬉しそうな表情を見せる。
「ブランド物じゃないけれど、お母さん喜んでくれると嬉しいです‥」
「大丈夫だよ。みなもお姉さんが選んだものだもん！」
「‥そうですね。心を込めて選ぶからこそ価値があるんですよね」
姉に贈るセーターにしても心を込めて編んでいる事を思い出したみなもは銀の言葉で改めてプレゼントを贈る時は心を込める事が大切なのだと実感した。
●プレゼントはなににする？
「この小箱綺麗だね‥」
スカーフを買った後、銀と共にいろいろな物を見てまわる。
いろいろな話をしながら見てまわるが、なかなか之だという品な見つからない。
しかし、二人はウィンドウショッピングを楽しみながら焦ること無く、ゆっくりと捜し求める。
「お母さんにもプレゼントを買ったし、お父さんにもプレゼントを贈りたいです。何にしましょうか‥‥」
父親のプレゼントを贈ろうと決めたのはいいが、何を贈ろうかと足を止めてみなもは頬に右の掌をあてて真剣に悩む。
「定番のネクタイピン‥でもカフスズボンも捨てがたいですし‥‥」
銀はみなもを見上げて答えを待つ。
「お父さんの趣味を詳しく知りませんから、あたしの趣味で選ぶ事にします‥」
みなもは悩んだのだが、結局決めることが出来ず、銀を見下ろしてみなもは苦笑する。
「そっか。そしたら一緒に素敵なプレゼントを見つけようね！！」
「ええ、そうですね‥」
万遍の笑みでみなもを見上げて微笑む銀に、みなもも優しく微笑んで返事を返す。
「ねぇ、みなもお姉さん、この綺麗な石はなに？」
「これは紅メノウのブレスレットですね‥。紅メノウは知恵と幸運のお守りなんですよ」
快活で朗らかな女性にぴったりのプレスレットだとみなもは付け足した。
「ボク、このブレスレットを贈ろうかな‥‥」
「あたしも銀さんと一緒でお父さんに石を贈ろうかしら‥‥」
ディスプレイされた石の中から、みなもの好みの石をガラス越しで真剣に選び出す。
「これ、この黒曜石にします！」
黒曜石の色に不思議と引き込まれそうになり、不思議な魅力に銀はじっと黒曜石を見つめる。
「黒曜石にはどんな意味があるの？」
「えっと、確か魔除けの効果です。病気から身を守ってくれたりする浄化作用のある、邪気を祓ってくれるお守りですよ‥」
「健康は何よりも大切にしないと‥。健康じゃないと色々な事が出来ないもんね！！」
納得して首を軽く縦に振る銀を見て、みなもは自然と軽く微笑んでしまう。
「そうですね！ 健康は大切です！！」
気合を入れて言った銀の言葉をみなもは復唱して、銀に同意も兼ねて返事を返した。
石を選んだところで二人は暖かい店内へと入り、紅メノウのブレスレットと黒曜石をクリスマスプレゼント用に包んでもらう。
銀は可愛らしく包んでもらい、みなもは父親にあげるので大人っぽい男性向けのシックなラッピングを施してもらった。
●美味しい美味しいプリン。
二人が店内を出ると、今まで暖かい店内にいたせいで外の寒さが身にしみる。
「風邪を引かないようにちゃんとマフラーの付け直しをしましょうね」
「うん‥‥」
ずっと歩いていて、いつの間にか緩んでしまった銀のマフラーをみなもは直してあげると銀はマフラーをぎゅっと握って暖かそうな表情を見せた。
ゆっくりとウィンドウショッピングを楽しんでいたせいで、外は少しだけ薄暗く寒さが増してきているせいもあるだろう。
「銀さん、寒さが増してしまう前に家へ戻りましょうね」
「うん！ でも、暗くなってきたからイリュミネーションがとっても綺麗だね」
帰り道を歩いていると、大きなクリスマスツリーの前を通り、明るい時間とはまた違った雰囲気を見せている。
電飾が町を飾り、その中でもクリスマスツリーが一番美しい光を放っていて神秘的な雰囲気をかもし出している。
「ええ、本当に‥‥美しいです」
みなも足を止めて、クリスマスツリーを自然と見上げてしまっていた。
クリスマスを祝う習慣はないが、みなもはクリスマスを祝うのも悪くはないものだと心の片隅で思った。
「そうそう、妹にはお菓子を贈ろうと思っているんです。ケーキはもとより手作りプリンを贈ろうかと‥‥」
実は以前、『バケツプリン食べたいっ！！』、っと妹から要望が出されていたのをみなもはふっと思い出す。
その時は苦笑するしかなく、まさかクリスマスにバケツプリンを贈ろうと考えるなど、みなも自身思っていなかった事であった。
しかし、折角作るチャンスに恵まれたのだからと、バケツプリンに挑戦しようと考えていた。
「プ‥プリン？？」
「銀さんはプリンを食べたことがないのですか？ プリンにも色々な種類があるのですが、一般的なのが黄色くて上にカラメルソースがかかっていてとても美味しいですよ」
銀は頬に手を当てて、美味しそうなプリンを想像して今にもとろけてしまいそうな幸せな表情を見せる。
「くすくす‥‥それならば銀さんも一緒に作りますか？」
「作る！ 楽しみだな〜」
みなもの提案に銀は右手をあげて、みなもにすごく嬉しそうな表情を向ける。
「では、後はプリンの材料の買出しをしてから家へと戻りましょうね‥‥」
二人はこの後、プリン作りを開始し、みなもは初めてのプリン作りに戸惑う銀に丁寧に指導しながら二人はプリン作りを完成させた。
大切な家族へ。
これからもよろしくお願いします‥‥
みなもより。
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
1252／海原・みなも （うなばら・みなも）／女／13／中学生
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■ ライター通信 ■
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お久しぶりです。いつもお世話になっています葵桜です。
今回はクリスマスイベントのご参加、ありがとうございました。
１００％個人での作成は本当に珍しいのですが、気に入って
いただけたでしょうか？？
たくさんの素敵なアドバイスを銀にしていただきありがとうございました。
私も編み物は苦手なんですよね‥（苦笑）
所でクリスマスプレゼントとして、みなもさんと一緒に作った
銀のお手製プリンを送りますね。
賞味期限には気をつけてくださいね（＾＾）。
例年よりも暖かい日が多いとはいえ、寒い日が続きますので
お体には十分に気をつけてくださいね。
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