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■無人島探索奇譚■
「別荘を買ったあ?」
出て行けだの二度と顔を見せるなだの一頻り言って、すっかり疲れきった草間武彦は、お馴染みの生野・英治郎(しょうの・えいじろう)のその言葉に、耳を疑った。
「はい。是非皆さんをご招待したいと思いまして」
山篭りをしょっちゅうしているという、この謎の薬剤師のことを、武彦はすっかり貧乏なものだと考えていたのだが───そういえば、実家は金持ちとか、遥か遥か昔に聞いたような聞かなかったような。
「軽井沢とかか?」
「いえ、外国に。ニュージーランドです。これで別荘は5つめですかねえ」
「……お前な」
武彦は半眼になり、ずいっと身体を乗り出す。
「俺や俺の仲間の全員が全員に、そこまで行く足代があるとでも思うのか?」
「いいえ」
どぎっぱりと、英治郎。
「ですから、クルーザーでのんびりまったり冬休みを利用して、長期旅行なんかは如何でしょうかと。無論こちらが誘うんですから、旅費や諸経費等は全額出しますよ」
「却下。お前といると何が起こるかわからんからな」
「そうですか」
では、と英治郎は立ち上がる。ん?と武彦は、その手元にぶら下がっている人形を見つめた───いや、人形ではない、それは愛しの我が妹ではないか!
「この妹君は私がもらっていきます」
「待て! 誰も行かないとは言ってないだろう!」
「言ったじゃないですか」
「却下と言っただけだ! 妹を離せ!」
今度は英治郎が、ずいっと笑顔で武彦の顔を覗き込んだ。
「行 っ て く れ ま す ね?」
「くっ……」
誰も、たかだか旅行につきあうつきあわないという理由で、こんな会話が繰り広げられているとは思わないだろう。
武彦は、いつの間にか小人豆を食べさせられて小さくさせられていた零を見て、「ごめんなさーい、兄さん」と、慣れたような口調のその妹に瞳が潤み、がっくりと首を項垂れるように承諾したのだった。
そして、後日、荷物を持った、招待した仲間達と共に英治郎のクルーザーに乗り込んだ武彦なのだが。
誰も、思わなかったのだ。
この後、クルーザーが破損して、無人島に流れ着く───などとは。
■無人の島の武彦達■
と、いつぞや大ヒットした某アニメのようなタイトルがつきそうな展開になってしまった武彦達、なのだが。
「いやあ、この地点が夏に近い気温で良かったですね、武彦」
びしょぬれのスーツ姿からカジュアル服に着替えながら、英治郎が涼やかに言う。その胸倉をさっきから武彦が離してくれないのだが、おかまいなしなのである。
「お前、俺達に何の恨みがあるんだ! 大体、オープンデッキまでついてたお洒落で豪華なクルーザーが破損するなんて、お前といなきゃ滅多にあわない事故だぞ分かってんのか!」
武彦が噛み付いたところへ、その大きなクルーザーから、無事だったものを四方神・結(しもがみ・ゆい)や初瀬・日和(はつせ・ひより)、羽角・悠宇(はすみ・ゆう)、零に手渡しながら、シュライン・エマが声をかける。
「武彦さん、『そっち』はいいから、荷物運びを手伝って。これで天候が崩れたりしてクルーザーまで流されちゃったら洒落にならないわ」
内心、英治郎にいつ何を飲まされるか分からないので、武彦を手元(?)に置いておきたい心境のシュラインである。これ以上のトラブルは避けたいのだ。
「あ、あのさ、結さん。これって、別荘に行くのに必要だったモノ?」
防水のバッグだったから中身は無事だったものの、口が開いてしまっていて中身が偶然見えてしまった悠宇が、引っ張り上げながら、恐る恐るといった風に尋ねる。バッグの中に入っていたものは、お菓子はまだ分かるのだが乾麺のそばやそばつゆ、真空パックのお餅や海苔、醤油等の調味料、餅網まで揃っている。大晦日も正月もいつ来てもコワくないセットと言っても過言ではない。
「……駄目なんです! 日本人なんです! クルーザーで旅行なんかして、うっかり大晦日に年越しそばが! 正月にお雑煮が食べられなかったらって考えたら、持って来ずにはいられなかったんです! ……でも、こういう状況なら持って来て良かったですよね……あはは……」
一頻り自分の信念を叫び終えて、半泣きで笑う結を横目で見ているのは、通信手段が一切ダメになっていると分かり、逸早く荷物を運び終えて砂浜にパラソルをさして休んでいる、身体の強くないセレスティ・カーニンガムである。内心、武彦の次に面白い少女だなとか考えている。
「そういえば、シオンさんはどこにいったのかな?」
そんな意地悪な視線には全く気付かず半分取り乱し半分諦めている結を宥めつつ、日和は、ふと顔を上げて島を見た。
そう、クルーザーが破損し、流れ着いたとき、唯一この状況を喜んだ人間、シオン・レ・ハイがいない。流れ着いたのはもうすぐ昼というときだったのだが、シオンは感慨深く、こう語ったものだ。
「無人島は……懐かしいです。子供の頃……そう、まだこんなに小さな頃……、父親に過酷な環境に置き去りにされたり、大海原にほーりだされては無人島に泳ぎ着き、はたまた打ち上げられ、サバイバル生活を送ったものです。誰も助けてくれる人はいなかったので生き抜く為に必死でした……。死にかけたこともあります。忘れられて何ヶ月も迎えに来てもらえないことは当たり前でした!」
そんな話でも笑顔を絶やさなかった美中年男、シオンの姿が、見えない。
「崖はそんなに高くないけれど、昇っていったのかしら。上は森になってるみたいだけど……」
陽射しに手をかざしながら、シュラインが改めて、この流れ着いた無人島を見る。毛布など暖かなものも用意してきたのだが、ここがどの地点か分からない以上、今は少し暑いくらいでも、夜になったら寒くなって必要になるかもしれない。幸いこちらもビニールに入れてきていたので濡れずに済んだ。
「この島がどの辺りかとか、本当に無人島かとか、見てきてもいいけど」
と、日和の荷物を自分の荷物と一緒に引きずり出しながら、悠宇。シュラインに、「出来るならお願いしたいわ」と言われ、目配せで日和を近くに呼んだ。
「あの翼、使うの? 悠宇」
「ああ。状況を知るのにもいいと思うし、それに……日和も一緒に飛んでみないかなと思って」
悠宇に、そんなことを言われるのは初めてだ。日和は目をぱちくりし、この状況をあまり把握していないのではないかと思われるほど今までのほほんとしていたのだが、笑顔になって喜んだ。
「本当? 嬉しい! じゃ、人目につかないところで、ね」
悠宇も実のところ前から、人目につかないんだったら日和を抱いて飛んで見たいと、一度でいいからやってみたかったんだよなと思っていたのだった。それを口に出さないのは、男心というものだろう。
まあ、この面子なら見られても差し支えないとは思うのだが、一応、皆から隠れた場所まで来て、日和を抱き抱える。
「しっかり掴まってろよ」
「う、うん」
少し恥ずかしそうに日和が悠宇の首に手を回したが、悠宇はそれには気付かず、神経を集中させる。やがてあらかじめ脱いで太陽のもと晒されていた背中に黒い石の翼が現れ、彼は地を蹴った。
崖を飛び越え、空をゆっくりと漂う。
「わあ、すごい、悠宇!」
日和が歓声を上げる。こんなに無邪気にはしゃぐ日和を見たのは、久し振りだ。悠宇も自然に笑顔になり、そして二人はしばらくの間、空中散歩を楽しんだ。
一方、地の上では。
崖から突如飛び降りてきたシオンに、昼食のため、無事だったチャッカマンで火を焚いていた結が悲鳴を上げた。何事かと武彦とシュライン、零、セレスティ、英治郎も振り返る。
頭からかぶったワカメと思われるモノがびろびろと伸びて、非常に近寄りがたい。
それに気付いていないのだろう、ワカメの隙間からシオンは両手を挙げてみせ、陽気な声を出した。
「皆さん、海の幸と森の幸が採れましたよ♪」
右手には魚がぴちぴちと、左手にはシメジに似たキノコや大根に似た野菜が握られている。
「……頭のワカメもね」
と、取ってやりながら、シュライン。
「どうりで視界が狭いと思いました」
にこにこと、シオン。
「さすが無人島経験者は違いますね。ちょうどいい具合に火が大きくなってきましたので、焼いて食べましょう」
セレスティが、太陽から極力体力を奪われないよう日傘をさしながら、結が作った焚き火を破損したクルーザーから落ちて木の棒となったそれでつつく。餅網がこんなところで役に立つなんて、と零が言っていたが、まったくその通りだと結も嬉しいような切ないような複雑な気持ちだった。
餅網の上でキノコと野菜を焼き、紙皿に取る。
「残念ながら、お水はなかったんです」
シオンが、まだ帰ってこない悠宇と日和の分も取り分けながら、言う。
「お水なら濾過しておいたから大丈夫だけど、この島本当に無人島だったの?」
何気なく、ちらりと英治郎を一瞬見て、シュライン。そこへ、地上に降りた悠宇と日和がやってきた。当然、背中の翼はしまう。
「全部回ってみましたけど、そんなに大きな島ではありませんね、歩けたくらいですから。蔦はありました、ターザンごっこをするにはいいかもしれません」
真顔で言うシオンの隣に座り、更に隣に日和を座らせながら、悠宇が報告の付け足しをする。
「ターザンごっこは置いといても、島全体はそんなに大きくなかったのは確かだな。で、周囲見える限り全体海で覆われてる。気長に船とかの救助を待つしかないな」
「とりあえず皆さん、食べ物が冷めないうちに食べましょう」
全部の取り皿に食べ物が行き渡り、結が言う。真っ先に英治郎が、「いただきます」と口にする。
「うん、おいしいですよ結さん」
そう言いしっかり飲み込むのを見届けてから、シュラインと武彦は食べ始める。
「でもさ、シオンさん」
こちらも何故かこっそりとシュラインに「生野さんが食べて飲み込むまでは食べちゃ駄目よ」と言われていた悠宇が日和にも小声で伝言した後、目配せでシュラインにOKを貰って食べ始めながら、言う。
「俺が上から見た限りでも崖と砂浜、それに森林だけだったけど、この島。魚はおいといても、どこからこんなしめじとか大根とかに似た野菜採ってきたんだ?」
「明らかに畑のものですよね」
と、ゆったりと食べながら、セレスティ。
「誰かが住んでるんじゃないですか?」
日和の問いに、シオンはかぶりを降る。
「この野菜はですね、木に生っていたんです。それを採ってきました。大丈夫です! ナマで毒見をしてきましたから」
途端、一同が不審顔になる。
「ちょっと待て、じゃあこの餅はなんだ?」
武彦が、いい感じに、ぷくーっと焼けた餅を枝で割って作った割り箸でつつきながら用心深く尋ねる。
「やだなあ、そこで何故私を見るんです?」
「お前が一番怪しそうだからだ英治郎」
その発言に、「武彦さんも学習してきたのね」と素直に変な感心をする、シュラインである。
「あ、あの」
結が、もじもじと言いにくそうに言った。
「そのお餅は、私が持ってきた真空パックのお餅なんです、お正月用の。お餅は腹持ちもいいし、お正月に食べる分が残っていればいいかなって……だ、だめでしたか?」
「いいえ。とても美味しいですよ」
にっこりと、お餅を食べながらセレスティ。言っちゃ悪いが魚とこのお餅が、この料理の貴重なる「まともな食材」と言っても過言ではないと内心思っている。
「この後、英治郎を連れて探索に行ってみるか。シオン、お前も。サバイバルに強いって、ここに着いたばかりの時語ってたからな」
英治郎の次に食べ終わった武彦が、シオンを見ながら言う。
「そうね、生野さんが多分一番、ここら辺に詳しいでしょうから。別荘に行く経由で通ったのなら、そうでしょう? 武彦さん、探索には私も行くわ」
こちらも食べ終わりながら、シュライン。
シオンは、ひとり、いつも肌身離さず持っていたマイお箸で食べていたのだが、こんな時のために持っていたのかもしれないとひとりで感動していたのだが(料理も彼の中では素晴らしく充実したものだった)、「お供します!」と張り切って言った途端、そのマイお箸を持った手からバチッと音がして、残りキノコ一つとなったお皿を取り落としてしまった。
「な、なんだ!?」
咄嗟に日和を後ろにかばう、悠宇。きょとんとしたシオンだが、結が「まさか……」といった表情で英治郎を見つめた。
結だけではない、他の者も自然と彼の顔を見つめる。
「英治郎、お前……食材に何か『また』変なものを混ぜたのか?」
武彦が代表して言うと、英治郎は「とんでもない」と爽やかな笑顔で否定する。
「いくら私でも、こんな非常時にそんなことはしませんよ」
「あなたならしそうだからコワいのよ」
ため息をつきつつ、シュライン。
「いえ、本当に『今度のは』私じゃありませんよ」
ちょっと真顔で、英治郎。シオンはその会話の間、あちこち触ってみている。セレスティに触ってみようとして華麗にかわされ、ちょうど日和と一緒に立ち上がって歩いていた悠宇の足にタッチしてしまった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」
足を押さえ、力が抜けたように地面に崩れ落ちる、悠宇。
「だ、大丈夫、悠宇!?」
青褪める日和。
「大丈夫ですか!? 今、救急箱を……確か、無事だったはずですから」
と、荷物のところに駆けていく結。救急箱を持って戻ってきた時には、全員がシオンと悠宇の元に集まっていた。
「間違いない、電気の感触だった」
あービックリした、と胸を撫で下ろす悠宇。
「つまり……」
と、セレスティが推測し、シオンの腕を取ってまずシオン自身の身体に触らせ、次に英治郎の肩にぽんと手を置かせてみる。
「…………」
にこにこと、笑顔のまま英治郎は、砂浜に崩れ落ちた。かすかに、指先がピクピクしている。
「……効きましたよ、セレスティさん……」
「私じゃありません。シオンさんの手です」
英治郎の発言もにこやかにかわす、セレスティ。
「恐らく、この料理のどれかに『中って』シオンさんの手は、触るもの全部に電流を流してしまうのね」
シュラインがとどのつまりを纏めて、改めて食材を見つめる。
「わ、私のお餅でしょうか」
半分目に涙をためながらの結に、「違いますよ」と零が宥める。
「多分……キノコか大根ね」
「私もそれが一番『くさい』と思います」
シュラインとセレスティの意見が合致する。
「そういう種類の野菜なのか、それとも……人為的なものなのかな」
悠宇が呟くと、
「じゃ、やっぱり人がどこかにいるってこと?」
と、日和。
「なんにせよ」
武彦が、立ち上がった。
「『この地点』は日の入りが早いみたいだ。いつの間にか、もう夕方になってるしな。今日は休んで、明日探索に行くか」
「そうね、体力は極力温存しておいたほうがいいわ」
と、シュライン。
「でも、だいぶ寒くなってきましたね」
行き先がニュージーランドと聞いていたので夏服を着ていた日和が、腕をさする。
「夜になると寒くなるんですね」
くしゅん、と可愛らしいくしゃみをしながら、結。
「毛布はありますから、砂浜にビニールを敷いて皆で固まって寝ますか?」
セレスティが提案すると、既に荷物の塊から毛布を人数分、零と一緒に持ってきたシュラインが頷く。そこへ、シオンが、
「あ、簡単ですけど丈夫な『家』なら、さっき探索に行った時に木の上に作ってきましたけど」
と、アッサリと言う。
───だから、帰りが遅かったのか。
ある意味この中で万が一、一生救助が来なくても、シオンさえいれば、この島で生きていけるような気がする一同だった。
■無人島一夜■
危なくない程度に充分な距離を取った木の上に、結構大き目の、まるでトム・ソーヤの小屋のような家が建てられていた。時間と比べると、かえって、よくあの短期間でこんな家が一人で作れたものである。
「どうです、中にはまだ何も手を加えていませんけれど、床には草もたくさん敷き詰めてありますし、まず、底が抜けることはありませんよ」
得意顔で、シオン。
「凄いな、ちょっと力入れたら毀れそうだけど窓もちゃんとあるじゃん!」
悠宇が真っ先に、木で作られた小窓を開けてみる。
「これで藁があったら、ハイジの屋根裏みたいですね」
「シオンさん、藁はなかったんですか?」
こちらは、シュラインから渡された毛布を次々に零と一緒に敷いていく、結と日和。
「しかし、どれもこれも見たことのないような木でしたね」
セレスティが見渡す。家も、その木で作られている。トン、と入り口の辺りを軽く手の甲で叩いてみるだけでも、今まで感じたことのないような手ごたえだ。
「でも、今通ってきた森林───人が手を加えたような形跡はなかったわ」
考え込みながら、シュライン。
「まあまあ、夜に頭を使っては充分に休めませんよ。今日のところは寝ましょう。あ、私、真ん中とります」
まるで緊張感のない男、英治郎が敷き詰められた毛布の真ん中に早速寝転ぶ。
「ああっ真ん中、狙っていたのに」
しくしくと、シオン。そんな彼に耳打ちをする武彦。
「毛布は円状に敷き詰められてるんだから、真ん中に陣取ったら寝返りとかで蹴られるのがオチだぞ」
結局真ん中は英治郎、その北側に武彦、その右隣に零、シュライン、結、日和、悠宇、セレスティ、シオンという順に寝転がった。
家の中は結構暖かく、全員が眠りに入るのは、すぐだった。時々、結が岸辺に行っては焚き火を絶やさないようにしているのを、その中の何人かは知っていて、こっそり護衛としてついていったりもしたのだが───その、何回目かの時である。
小さな悲鳴が聞こえ、全員同時に目を覚ました。
焚き火を絶やさないようにして、戻ってきたばかりの結のものではない。毛布を跳ね除けた、日和だった。
「どうしたの!?」
抱きついてきた日和を、シュラインは抱きしめる。
「だ、誰かが、私の、私のおなかを、ぎゅーってっ……」
寝ていた位置からして、容疑者は結と悠宇である。だが、結は知らぬうちにセレスティの護衛つきで焚き火の番から戻ってきたばかりのため、彼女ではないのは確かである。となると───。
自然、疑惑の目が悠宇に向けられる。
「羽角……いくら思春期だからって、それは赦されないぞ」
「同意の上ならともかくですけれど」
武彦に続いてにこにこと言う英治郎の発言に顔を赤くした零と結、日和にかわり、シュラインが手近にあったものでパシッとハリセンのかわりとばかりに制裁をくわえる。
「あ……シュラインさん、それではないですか?」
しゅるしゅると英治郎の身体に巻き付いていく、今シュラインが制裁のために使った「それ」を指差し、戸口辺りから、セレスティが言う。
だが明け方近くとはいえ、如何せん暗くてよく見えない。
「電球なら、無事だったから荷物の中にありますけど……」
ぽつりと言った結に、「それです」と英治郎が閃いたように、シオンに持ってくるように頼んだ。流石にまだ夜も明けないうちに、未知の森林にか弱い少女を行かせるようなことはしないようだ。やがて予想通り無事に戻ってきたシオンが電球を箱ごと持ってくると、開けるように言った。
開けてシオンが取り出すと、途端に光り出す電球。急に眩しくなったので、皆一瞬目を閉じた。
「なるほど、シオンさんの手で触れたものは電気を通すんでしたね」
感心したように頷くセレスティ。
「人間コンセントですね……」
もうこの世界は人間の世界じゃない、と、どこか遠い目をして思う、結。
そして皆は見た、英治郎の身体に絡まっている奇妙な蔦を。
誰も動かしていないのに、うねうねと、生き物のように動いている。途端に硬直する、女性陣。
「し……生野さん、『何か』吸い取られてるみたいな感触は……?」
悠宇が、無実の罪が通ったことにホッとすることも忘れて、顔を引き攣らせながら尋ねる。
「ううん、かすかに血の気が引いていくような感覚は、しますね」
英治郎が答えるや否や、武彦がライターを取り出した。
「こんな蔦、焼いちまえばいいんだ。英治郎、ちょっと熱いかもしれんが血を吸われて死ぬよりはマシだろ、我慢してくれ」
するとライターを近づけた途端、キシャアッと蔦の先端が牙を見せて武彦のほうに襲い掛かってきた。ライターの火にも動じていない。
「あ、あの」
結が、電球の明かりを頼りに家の中を見渡しながら、震えながら口を開く。
「に、逃げたほうが……いいと思います……」
何故、と尋ねる人間は一人もいなかった。英治郎に巻きついていた蔦の奇声を合図にしたかのように、天井から蔦が降りてきて、今にも全員に襲い掛かってきそうだった。
武彦が英治郎を引きずりながら、シュラインは零と一緒に全員分の荷物を掴み、悠宇は日和を抱き上げ、セレスティは結の手を取り家の中から脱出した。シオンが光る電球を持ちながら先導する。
「いやーっ! どんどん落ちてきますっ!」
「なんなんだこの森林!」
結と悠宇が木に巻き付いた蔦が襲ってくるのを避ける。
と、急に先導していたシオンが『消えた』。
「えっ……」
と思った矢先、シュラインも足を取られた。武彦と英治郎、そして零と共に落ちていく。
「落とし穴ですね」
「やっぱり人がいたんですね」
セレスティと結が辛うじて踏みとどまり、その位置から少しずつ移動する。悠宇も日和を抱き上げたまま合流しようとした時、結の足を蔦が引っ張った。
「結さん!」
セレスティは手を伸ばしたが、間に合わない。結もまた、違う落とし穴に入っていく。
「!」
何か勘付いて身を引こうとしたが、彼もまた、蔦に捕まって落とし穴に落とされた。
「ゆ、悠宇」
「大丈夫だ」
震える日和をしっかりと抱きしめた悠宇だが、見計らったように急に足元がなくなり、二人もまた落ちていった。
やっと昇り始めた朝日が、しんと静まり返る森林を、照らしていた。
■穴の中で、何する人ぞ■
「この穴狭いっつか俺に触るなシオン! 電流で痺れる!」
「す、すみません! ですがこう狭くては手の位置が思うようにいかず……」
「取れたわ、噛む力はそんなにないみたい、この蔦」
「有り難うございます、シュラインさん」
「でも、手、引っかき傷だらけです、大丈夫ですか?」
武彦とシオンが狭い穴の中で押し合いへし合いをしている中、シオンが持ち続けている電球の明かりを頼りに英治郎に絡み付いていた蔦をなんとかはがしたシュラインだが、その手は多少ながらも噛み付かれた傷跡が残っている。零が心配しながら、ポケットにあっただけの絆創膏を取り出し、貼ってあげた。
「あれ」
武彦に触るまいと、穴の壁に手をついていたシオンが、何か気付いたようにそこを電気で照らした。
「どうしたの?」
シュラインが尋ねると、
「ここだけ音が軽い気が。もしかして」
シオンは、すうっと息を吸い込み、てやっと右手で拳を作って壁を殴った。ぽろぽろと、あっけなく崩れていく壁の向こうに、空洞が見えた。
「やった、抜け道だ」
武彦が更に穴を広げ、5人は空洞に出た。少し寒いが、土で囲まれた洞窟である。
少し向こうに、二人の人影が見えた。
「もう少しではがれます」
「す、すみません、セレスティさん」
足の蔦をはがそうとしている、セレスティと結だった。電球の明かりで5人に気付き、二人同時に振り返る。
「良かった、合流できました」
泣きそうな顔で、結。蔦を取り終えて微笑むセレスティ。
「あとは、悠宇さん・日和さんと合流するだけですね」
そして7人は残った二人を探すべく、洞窟の壁をそれぞれに叩いたりし始めた。
■気がつけば、そこは別荘■
さて悠宇と日和は、彼らなりに他の7人を探そうとしていた。落ちてきた穴から光が差し込んでくるのを頼りに、辺りを見渡しながら壁を叩いてみる。
「見て、悠宇!」
ちょっと興奮したような声で、日和が一点を指差してきたので、悠宇は何か手がかりが見つかったのかと走ってきた。最初に武彦達が落ちた穴より、二人が落ちた穴は大きい。
「すごく綺麗なお花。ね、その肩からかけてるカメラでこのお花、撮ってくれない?」
日和の目は、きらきらと小犬のように輝いている。悠宇は思わず、ガクッと力が抜けた。だが、こんな状況でも、こんな心を捨てない日和は、ある意味強いのだろう。何よりも悠宇の支えになってくれている。
「分かったよ」
悠宇は仕方ないなというふうに微笑み、しっかりと日和もフレーム内に入れて、花を撮った。
「あとね、こっちにも信じられないものがあるの」
日和が手招きするままに歩くと、なんとも美しい湖に突き当たった。
「すごいな……まるでファンタジーの世界だ」
そして、ふと思い当たる。
「な、日和。せっかくだし、ちょっと息抜きに泳いでいかないか? 水着持ってきてたろ?」
え、という顔をする、日和。途端に、真っ赤になる。
「確かに、いつ泳げてもいいようにって、夏服の下に水着は着てきてるけど……。恥ずかしい、な……」
恥ずかしがる姿がまた、物凄く可愛い。だが悠宇も年相応の男の子である。しっかりはしていても、こんな時は顔に出てしまい、こちらも赤くなる。
「誰も見てないから大丈夫だって。まったく、こんなところでまで照れてどうすんだか……」
「ゆ、悠宇が見てるじゃない」
ドキッとする。悠宇は思わず視線をそらした。
「ば、ばか。俺はただ、こんな綺麗な湖ひ……で泳がないのは勿体無いと思っただけだよ」
日和が、黙りこくる。「こんな綺麗な湖に日和はピッタリだ」、なんて言葉を悠宇が呑み込んだことに気付いたのだろうか?
次第に、二人の鼓動が速くなってくる。
それを止めたのは、悠宇がそらした視線の先にいた人物達だった。
「青春していますね」
にこにことした、英治郎だった。
「わあっ!!」
「きゃっ!!」
何もしていないのに、ますます真っ赤になって退く悠宇と日和である。
「おや、続けないのですか?」
英治郎の後ろから、微笑みをたたえて、セレスティ。よく見ると、英治郎の背後に武彦、シュライン、零、結、シオンもいる。
「い、い、いつからいたんだみんな!」
悠宇のその問いに、シュラインが武彦と視線を合わせ、
「いつからだったかしら」
と、真面目に考え込む。
「悠宇さんが、『な、日和。せっかくだから……』の辺りからです。安心してください」
絶対にからかっているであろうセレスティが答えると、恥ずかしさに悠宇と日和はもっともっと赤くなる。
「これ以上赤くなったら、頭に血が昇りすぎて倒れちゃいますよ、二人とも」
真剣に、妙な心配をしている結。
「ふふ、案じなくても、偶然! 生野さんが無機物だけを小さくするというドライヤー、『コビドライヤー』で小さくして持ってきていたカメラで私が! お二人のツーショットを撮っておきましたから!」
シオンの駄目押しに、「ちくしょーっ!」と何故だか叫ぶ、悠宇であった。
「さて、落ち着いたところで、ですね」
セレスティが、全員揃って、荷物から結が持ってきたお菓子を出して食べるのを見つめながら、切り出した。
「そろそろ生野さんに『吐いて』頂こうかと思うのですが、如何でしょう?」
ぴた、と全員の動作が止まる。他の皆はきょとんとしていたが、シュラインだけは「こんな場合も考えていた」のだろう、セレスティの意見に賛同するように、お菓子を食べている英治郎を横目で見やった。
「ど、どういうことでしょう?」
結が、空洞の中で見つけた、燃やせそうなものを見つけて焚き火を炊き、湖が「無害」とシオンに判断してもらってからその水を鍋に入れ、沸騰させながら尋ねる。
「実は昼間のうちに生野さんに色々と、新薬を見せて頂いていて、それを結さんの作ったお料理に混ぜさせて頂いたのですよ」
セレスティが言うと、「どんな薬なんですか?」と、だいぶ顔の熱も引いてきた日和。
「色々と見せて頂いた中に、『本音キノコ』というのがありまして。どうやって生野さんに食べさせようかと思っていたところへ、シオンさんが丁度よく、しめじに似たキノコを持ってきて下さったので、混ぜたのです。『本音キノコ』もしめじに凄く似ていましたからね。今がそろそろ効いて来る時間だと思いましたし。副作用は確か……」
そこまで言った時、突然、英治郎が笑い出した。どこかをくすぐられているかのように、げらげらと。
セレスティが、にっこり微笑む。
「そう、副作用は、その『くすぐられたように笑い出す』ことです」
「やりましたねセレスティさん!」
「よくやった! 俺の積年の恨みをかわりに晴らしてくれたんだな」
シオンが目を輝かせ、武彦が感動に瞳を潤ませる。
「いえ、単に早く真相が知りたかったものですから」
さらりと笑顔でその武彦の期待を裏切る、セレスティ。落ち込む武彦を、
「まあまあ、武彦さん。どちらにしろ、これからが見ものじゃない」
と、背中を撫でてやるシュラインである。
そして、英治郎に向き直る。
「ね、生野さん。本当はこの島が別荘、とかいうオチではないの?」
「それは……はは……あっていて……ふふ……あってないですね……」
笑いながら、途切れ途切れに答えざるを得ない英治郎。シオンと悠宇がシャッターをその間、切っているのは当然のことと言えよう。この機を逃したら、いつ英治郎のこんな姿を撮れるか分からない。
「ついでにいうと……くふふ……もうすぐ、そう……日本時間で……あと5分で……あはは……お、大晦日、ですよ……」
ゼェゼェと苦しそうに笑いながらの英治郎の言葉に、結がサッと青褪めた。
「年越しそばです!」
荷物の中から急いで乾麺のそばと、そばつゆを取り出す。沸騰していた鍋にそばつゆとそばを入れた。
「お、落ち着いて結さん。まだあと5分ありますから」
と言う日和だが、
「あと4分になったぞ」
と、悠宇。
「そう……そして、この無人島は……移動型別荘……『ニュー・爺ランド』です」
笑いを堪えつつ、しかし自分が作った『本音キノコ』に負けて本当のことを言ってしまう英治郎。
一同の眉間に、一斉にしわが寄る。
「生野さん……今私の耳に、妙な発音で『ニュージーランド』と聞こえたのだけれど……?」
代表してシュラインが聞くと、英治郎が笑いつつ本当のことを引き続き話した。
笑い声が邪魔なので、簡単に解説すると、こういうことである。
◇1◇クルーザーの事故は、この「島」による「自動的事故」である。
◇2◇この島には不思議な爺魂があり、何故か全世界の年寄り男性の霊を呼び寄せずにはいられない。
◇3◇この島にいる、その年寄り男性達の霊は、この島の不思議な爺魂に「護られて」いるため、幾ら霊感を持っていても感知できず、退治もできない。
◇4◇この島にある不思議なもの達は皆、島の爺魂に力を与えられた、年寄り男性達=お爺さん達によるものである。
◇5◇また、この島と心を通わせた生野英治郎の意思でのみ、この島は「移動」することが出来る。
◇6◇よって、この島は「移動型ニュー・爺ランド」と生野英治郎により命名された。
「なんだそれ!?」
悠宇が、納得は行くが、あまりにも常軌を逸脱した事実に愕然とする。
「あの動く蔦や触ったものに電気を通してしまう『中毒キノコ』は、お爺さん達の霊が作った大事なものだったのですね」
そういえばいつの間にか、その症状も消えていると、妙な感動を覚えているシオンである。
シュラインは、いつものように、頭痛がする、といった感じで頭を抑えている。
「じゃ、移動してもらいましょうか。いつまでもこんなところにいるつもりはありませんので」
と、湖の水を操って脅しながら、セレスティ。英治郎は笑いながらもこくこく頷き、叫んだ。
「我が『ニュー・爺ランド』よ、そこに住まう者たちよ! 私達を東京に! ───カムバックさせてねv」
「『v』はいらん、『v』は!」
「武彦さん、落ち着いて」
もはや青筋が立っている武彦を、こりずに宥めるシュラインだが。
更に不審な音が聞こえてきて、一同は耳を済ませた。
チク タク チク タク
そう、まるで「古時計」のような───。
「……おい」
武彦が、むんずと、笑い転げている英治郎の胸元を掴む。
「まさかその『島の爺魂』とかいうのが、『お爺さんの古時計』みたいな形だったりとかフザケタことは言わないよな?」
「ビンゴv です……クスッ」
ぶちっと武彦がキレた。
「クスッ じゃねえ! そこになおれ!」
「いやだなあ……フフ……これは副作用ですって……ハハ……」
そうこうしているうちに、ゴゴゴゴ……と島の底のほうから音が響いてきて、大地震が全員を襲った。
「な、なんですかこれは!?」
「日和、こっち!」
「ああっ年越しそばがぁっ!」
シオンと悠宇、結がそれぞれに声を上げる。シュラインはしっかりと零を抱きしめ、壁の出っ張りに掴まる。悠宇もさっきの照れはどこへやら、こういう時はしっかりしている。日和を抱きしめ、同じく壁の出っ張りを見つけて掴まった。
「年越しそばより命です、こちらへ」
無情にもこぼれていくそばとそばつゆを追いかけようとする結の手を引っ張り、セレスティも同じようにする。そして、全員の身体を湖の水を操り、窒息させないよう勿論気をつけてクッションにして包み込んだ。
物凄い速度の大移動だった。
除夜の鐘が、まだ50を数えたばかりである。
確かに気候などにより、南半球近くにあったと思われる「ニュー・爺ランド」は今、東京湾に突っ込み、都内の大きな寺にあった。
草木が全員を空洞から丁重に運び出し、丁寧にコンクリートの上に降ろす。
そしてまた、来た時と同じスピードで、字の如く目にも止まらぬ速さで去っていった。
初詣にと既に集まっていた人々が、明らかに日本の大晦日にはおかしい格好の9人を見て騒ぎ始める。マスコミが一部始終を知りたがり、駆けつけてくる。
いや、おかしい格好は8人だった。ただひとりセレスティだけが、逸早く、替えに持ってきていたスーツにいつの間にか着替えていた。
「セレスティさん、他人の顔すんなよ!」
「テレビに映るのでしたら、身だしなみはしっかりしないといけませんから着替えただけですよ」
「よかった、カメラは悠宇さんのも私が持っていたのも無事です。さあこれを現像しにいきましょう!」
「みんな、元気ね……」
「悠宇、寒いから私達も着替えよう?」
「年越しそばがーっ……!」
悠宇にセレスティ、シオンにシュライン、日和に結がそれぞれに言い合っているすぐ隣で、武彦もまた、まだ笑い続ける英治郎の胸元を掴んでぐらぐらと揺すっていた。
零がマスコミの人間に適当に返事をしたらしく、頭を撫でられながら、お盆を持ってきた。
「はーい、皆さん、マスコミの皆さんから、夏服で世界一周旅行をやり遂げた記念の第一回プレゼントとして、取材許可のかわりに年越しそば、もらってきました!」
豪華料亭の作ったものである。思わず、目を瞠ってしまう一同だった。
セレスティは、それ程驚いた風でもなく丁寧に、
「これはあの料亭のものですね、久し振りです。頂きます」
と、割り箸を割り、
「あ、毛布はありますから大丈夫です」
と、マスコミが呼んだどこぞのボランティア軍団からの毛布をシュラインが笑顔を引き攣らせながら断り、
「こっこ、こ、こんな豪華な年越しそばが食べられるなんて、私は生涯! このご恩は忘れません!」
と、シオンは勿論マイお箸で涙を流しながら年越しそばに一礼して食べ始め、
「草間さん、この年越しそばおいしいです。いい年おさめでよかったですね」
と、相変わらずのほほんと和やかな笑顔で日和はおそばをすすり、
「年越しそば、食べるの間に合ってよかったです!」
と、こちらはシオンとは違って安堵の涙を流しながら結も具を割り箸でひとつとり、
「なんにせよ、みんな無事で帰ってきたし、いい思い出も出来たし、貴重な写真はたくさん撮れたし、来年もいい年になりそうだな!」
と、ゴーンと鳴り響く108つめの鐘と共に、自動式にしたカメラに向けてポーズを取った悠宇を、
カシャッ
と、全員をしっかりフレームにおさめて、写真は年明けに出来上がるのだった。
追記:その後、生野英治郎の別荘である「移動式ニュー・爺ランド」を求める、武彦に言わせれば「脳みそが英治郎並みだ」という冒険者や好奇心旺盛な者達が絶えず、英治郎は更に金持ちになったという噂である。
《完》
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0086/シュライン・エマ (しゅらいん・えま)/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
3524/初瀬・日和 (はつせ・ひより)/女性/16歳/高校生
3525/羽角・悠宇 (はすみ・ゆう)/男性/16歳/高校生
3356/シオン・レ・ハイ (しおん・れ・はい)/男性/42歳/びんぼーにん(食住)+α
3941/四方神・結 (しもがみ・ゆい)/女性/17歳/学生兼退魔師
1883/セレスティ・カーニンガム (せれすてぃ・かーにんがむ)/男性/725歳/財閥総帥・占い師・水霊使い
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、東瑠真黒逢(とうりゅう まくあ)改め東圭真喜愛(とうこ まきと)です。
今回、ライターとしてこの物語を書かせていただきました。今まで約一年ほど、身体の不調や父の死去等で仕事を休ませて頂いていたのですが、これからは、身体と相談しながら、確実に、そしていいものを作っていくよう心がけていこうと思っています。覚えていて下さった方々からは、暖かいお迎えのお言葉、本当に嬉しく思いますv
さて今回ですが、生野氏絡みではあるけれど一応番外編の「年越しノベル」を書いてみましたが、ネタがありすぎて収集がつかなくなりそうなのをなんとか纏めることが出来て、皆様に感謝しております。また、今回は個別部分がないせいもありますが、わたしの書くノベル、特に生野氏による草間武彦受難シリーズの中では一番長くなってしまい、読みにくいだけかもしれません; 自分的には凄くやってみたかったネタだったのですが、皆様如何でしたでしょうか?
次回、七草粥ネタは既にお客様が集まっておりますので、その次のネタはバレンタインネタより先に、イベントではない何かによる受難を考えております。「本音キノコ」とか今回出てきた、「触れたものに電気を通してしまう」ネタが一番候補が強いですが(苦笑)。
もし可能なら年末までに窓を開けたいと思います。
■シュライン・エマ様:いつもご参加、有難うございますv 時期的なことを考えて下さったのに、夏の気候ですみませんでした; ですがやはり、毛布は必需品だったようで、毛布を書いてきてくださって助かりました。他、草間氏に何か生野氏に一服(?)盛られないようにというプレイングにより、今回このシリーズで初めて生野氏に受難を味わってもらうことになりました。もっとも、本人は楽しんでいるかもしれませんが(爆)。本当は草間氏とのいい感じのシーンも書ければ書きたかったのですが、それだけが残念です。一番真相を突いていたのはシュラインさんでしたが、今回は如何でしたでしょうか。
■初瀬・日和様:いつもご参加、有難うございますv 回を追うごとに───と前に書きましたが、今回が一番日和さん、のほほんとしていたかもしれません(笑)。最初に蔦の被害に遭った日和さんですが、悠宇さんが犯人(?)ではないかという一瞬の疑惑の中、何を考えていたのか非常に興味があるところです。また、空中散歩は具体的に書けなかったのですが、如何でしたでしょうか。
■羽角・悠宇様:いつもご参加、有難うございますv 日和さんを抱きしめた疑い───その時の悠宇さんの心境は恐らく、この世の終わりの心境と似たものと考えていますが、実際は如何でしたでしょうか。しかし、空洞ではもう少しあのままにしていたら、二人で和やかに湖で泳いでいたのかなと思うと、やはり微笑ましい気がします(笑)。今年の大晦日の「受難おさめ」の写真は、悠宇さんに撮って頂きました。
■シオン・レ・ハイ様:いつもご参加、有り難うございますv 実はそんな過去があったなんて、と思ってしまったプレイングでしたが、書いているうちに何故か自然と「無人島とシオンさん」が本当に「自然」なことに気付き、自分で驚いていました。イルカのように鮫と泳いで頂きたかったのですが、物語の流れ的にそれが出来ず、かなり残念です。でも木の上に家を作って頂けたのは予想外の楽しみで、思わずこちらも新しくネタが出てきてしまい、あんな始末になりましたが(笑)、如何でしたでしょうか。
■四方神・結様:二度目のご参加、有り難うございますv プレイングを見ていて、まだ二度目にご参加頂くPC様なのに、「ああ、結さんらしいな」と納得してしまったわたしです(笑)。今回も殆ど取り乱して頂いてしまいましたが、結さんはどちらかというと、「普段はおしとやかで何かきっかけがあると、とことん取り乱す」というイメージがあるのはわたしだけでしょうか。今回の無人島体験は、如何でしたでしょうか。
■セレスティ・カーニンガム様:いつもご参加、有り難うございますv 今回は無人島ということでしたが、無人島においてもどんな状態においても、普段の姿勢を崩さず隙あらば人をからかう……といった感じになってしまいましたが、シリアスのセレスティさんとそんなにかわりがないような気がするのはわたしだけでしょうか(笑)。生野氏に一泡吹かせられたのは、シュラインさんとの連携プレーとも言えます。お見事でした。生野氏本人が楽しんでいるような気がしますが、それは置いておきましても、今年のしめの受難シリーズ、如何でしたでしょうか。
「夢」と「命」、そして「愛情」はわたしの全ての作品のテーマと言っても過言ではありません。今回は主に「夢」というか、ひとときの「和み」(もっと望むならば今回は笑いも)を草間武彦氏、そして今回は生野英治郎氏にも提供して頂きまして、皆様にも彼にもとても感謝しております(笑)。そして改めて言うことでもないのですが、ついに(?)生野氏がNPC登録されました! お暇がありすぎて仕方がないという方は、是非異界「双翼龍宮−レビス−」のNPC欄をご覧ください(笑)。いずれイラストもつけたいなと思っています。
次回の「受難」はどんな風になるのか、書き手としても楽しみです。
なにはともあれ、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これからも魂を込めて頑張って書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します<(_ _)>
それでは皆様、少し早いですが、よいお年を!☆
2004/12/27 Makito Touko
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