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温泉へ行こう！
「大変、大変だぁーーーーっ！！！！」
バターン、と勢いよく開け放たれた扉。中にいた槻哉たちは当然それに驚き、斎月などは煙草を床に落としていた。
扉を開けたのは、外から戻ってきた早畝だったのだ。
「……早畝、小さい子供じゃないんだから、もう少し落ち着きを…」
「それどころじゃないんだって！！ 当たっちゃったの！！」
槻哉が溜息を吐きながら、早畝の行動を窘めようと口を開けば、それを彼が遮って詰め寄ってくる。
「…なにが当たったんだい？」
多少、引き気味になりながら。
槻哉のデスクの上に右ひざを乗り上げている早畝を降ろして、話を促す。
「じゃーん！ 温泉チケット！！ そこの福引きやったら当たった！！」
「……………」
びら、と槻哉の目の前に突きつけられたもの。
そこには『一泊二日湯けむりの旅』と書かれた一枚のチケットがあった。
「な、なっ、俺凄いだろーー？ だからさー、皆で温泉いこうぜ！」
「……まぁ、いいんじゃねーの？ 休暇の話の途中だったんだしさ…」
一人、自慢げに話す早畝に苦笑しながら、斎月が槻哉にそう言ってくる。
実は早畝が此処にたどり着く前に、槻哉と斎月で休暇の打ち合わせをしていたのだ。早い話が忘年会のようなものだ。
「何の話？」
斎月の話の内容がよく飲み込めていない早畝は、槻哉に小首をかしげながら問いかける。
「…斎月の言ったとおりだよ。休暇をとって温泉でも行こうかと話をしていたところだったんだ……」
槻哉はそう応えて、早畝からチケットを受け取った。そして何か思いついたのか、顔を上げて早畝たちを見る。
「？」
「…僕らはもともと温泉へ行くという予定はあったんだ。このチケットは普段からお世話になっている協力者の人たちへのプレゼントとして、誘ってみる…と言うのはどうだろうか？」
槻哉の提案にしては、珍しいとも取れる内容ではあるが。
それでもこの場にいるもの達からは反対の声はあがらないようだ。
「俺も賛成だな」
暖房の前で丸くなっていたナガレも、しっかり会話は聞いていたようでぴょん、と地を蹴って早畝の肩へと飛び移り、そう言った。
「じゃあ決まりだな。どうせ大人数で移動ってことになるだろうし、俺と槻哉で車出そうぜ」
意外と乗り気なのは、斎月だった。実は温泉行きの話を最初に持ちかけたのは、彼だったのである。
このメンバーの中で車を自由に動かせるのは、斎月と槻哉だけ。
斎月の言葉に槻哉は黙って頷き、立ち上がる。
「楽しい旅行にしたいね。皆が予定が合えばいいのだが」
「…やっりぃ！ 久しぶりの温泉だーー！！」
槻哉の話を聞いているのかいないのか。早畝はもう早旅行気分になり、その場でぴょん、と跳ねている。
斎月もナガレもそれを呆れ顔で見てはいるが、その胸のうちは休暇の嬉しさでいっぱいなのか、何も言わずにいる。
今月は立て込んだ仕事も無い。
一泊であるが、楽しい旅行が出来そうだ。
特捜部のビルの真後ろに、彼ら専用の駐車場がある。
各自決められた位置で、トランクルームに荷物を詰め込んでいるのは、それぞれの車の持ち主である、槻哉と斎月だ。
槻哉は意外と思われるかもしれないが、RV車。斎月は改造を加えたスポーツーカーである。
「ナガレは僕の車でいいんだね」
「斎月の車には早畝が乗るんだろ。それに、あいつの車じゃ落ち着けねぇよ」
槻哉の確認の言葉に、そんな返事を返すのは彼の肩の上に乗っているナガレだ。その視線の先は、斎月の車を嬉々として見回している早畝の後姿。…寂しく思っているのだろうか。
「おはようございます！」
そんな彼らの背後から、元気のよい声が聞こえてきた。
その声に皆が視線を上げると、そこにはライダージャケットを着込んだ真の姿があった。そしてその傍らには、彼女の眷属である、白狼が静かに腰を下ろしている。
「おっはよーまこちゃん！」
一番に彼女へと声をかけたのは、早畝だった。斎月の車の傍で、大きく手を振っている。
「今日はお誘いいただきありがとうございます。
…あの、疾風（はやて）も連れていっちゃダメかしら？独りぼっちでお留守番させとくのも可哀想だし…」
真は早畝に微笑んだ後、槻哉へと頭を軽く下げる。『疾風』というのは、白狼の名だ。
「ああ、かまわないよ」
疾風の頭を撫でながら、槻哉は真の申し出を快く承諾する。
すると真はニッコリ笑い、
「席は私の分にでも」
と言った。
その言葉に槻哉が首をかしげると、彼女は悪戯っぽく笑いながら、その身を後ろに一歩引いた。
「真さんは秘密兵器で行きまーす」
「……これは、また…」
下がった彼女の後ろに、見えるもの。
そこには、銀色の中型二輪が佇んでいた。
「うわ…まこちゃんカッコイイ！！」
彼らの行動をずっと見ていた早畝が、そんな声を上げた。斎月も釣られるように自分の体を愛車に預けつつ、苦笑している。
「…意外だったかしら？」
驚きを隠せずにいる槻哉に、真は微笑みながらそう言った。
「…………了解したよ。僕の車がナビゲートするから、気をつけてついてくるんだよ」
「はい♪」
疾風を預かり、後部座席へと彼を誘導した槻哉は、真の与えてくれた新鮮さに、軽く微笑んでそう返した。
「それじゃあ、そろそろ出発しようか」
そして、そんな槻哉の一言で。
彼らは各自車に乗り込み、温泉宿へと目指して、駐車場を後にした。
「……………」
「……………」
槻哉の車内、後部座席がやけに静まり返っている。疾風はちょこんと姿勢良く座っているのだが、その隣にいるナガレが硬直したままでいるからだ。
「…どうしたんだい、ナガレ」
槻哉がその空気を読み、ルームミラーごしに語りかけてくる。
「……いや…別に…」
ナガレは疾風をチラ見しつつ、槻哉を見た。すると彼はうっすらと笑っている。状況を、把握している証拠だ。
「解ってるなら、聞いてくるなよ…」
「…すまない。助手席に移ったらどうだい？」
ナガレが視線を逸らしながらはき捨てるようにそう言うと、槻哉はさらに笑いながら、そんなことを言ってくる。
正直、槻哉とはどう頑張っても言い争うことにはならないと思いながら、ナガレはその言葉に従い、ひらりと身を翻して助手席へと移動した。
「疾風も、楽にしていいんだよ」
ナガレが助手席に座ったのを確認した後、槻哉はルームミラーを通して疾風へと声をかけた。その言葉を受けて、彼はシートへと座り込む。
「…彼が苦手、かい？」
「苦手って言うか…圧倒されるんだよ、空気に」
ぽん、と音を立てて、人の形をとるナガレ。その姿を前から知っている槻哉は、特に驚く様子も見せない。
「『神聖』と言う意味かい？」
「……まぁ、そうなんだろうな。真の眷属なんだから、神気を纏っているのは当たり前なんだしさ…」
別に、ナガレは疾風を嫌っているわけではない。その属性からくる空気に、ほんの少しだけの圧迫感を感じているだけなのだ。…もうひとつ付け加えると、『自分より姿が大きい』と言うことにも、押されているようなのだが…。人型をとったのも、そのささやかな反抗心からなのだろう。
「…疾風ってさ、人間の言葉、理解してんのかな」
「どうだろうね…でも頭もよさそうだし、解っているんじゃないのかな」
ナガレの言葉にそう答えながら、槻哉がルームミラーごしに疾風に視線をやると、彼はゆったりと座り、瞳を閉じていた。眠っているのかもしれない。
それから二人は、時間を置きながら他愛の無い会話を数回続け、そうするうちにナガレは椅子を倒して眠ってしまい、槻哉はそれを微笑ましく見ながら、運転を続けた。
走り続けて２時間ほど経った頃。
斎月の車の後をつけていた真のバイクに、変化があった。
「………お？」
それに一番最初に気がついたのは、斎月だった。
「どしたの、斎月？」
「あれ、見てみろ」
袋菓子を抱えていた早畝が斎月の声に反応しそう問いかけると、彼は顎で視線を誘導してみせる。
「…うわお…まこちゃんスゴイ…」
「色んな意味で…読めねー女だよなぁ…」
早畝が誘導されるままに視線を持っていくと、そこには斎月の車を追い越し、そして槻哉の車さえをも追い越しをかけようとしている真のバイクがあったのだ。
温泉宿がもう少しで見えてくる、と言うところで、彼女は何を思ったのかあっと言う間に車２台を追い越し、先へと進んでいってしまった。
おそらく、前の車にいる槻哉たちも驚きを隠せずにいるのだろう。
斎月はドリンクホルダーにおいてあった缶コーヒーに手を伸ばしながら、くくっと楽しそうに笑っていた。
その、当の本人の真といえば。
槻哉たちの車を追い越した後、一足早くに温泉宿へとたどり着き、宿泊手続きを済ませているところであった。実に秘書らしい行動だ。
部屋割りまできちんと済ませた頃に、ようやく槻哉たちの車が到着し、真は彼らを出迎えるべく玄関の外で待っていた。
「いらっしゃいませ。皆さんお疲れ様でした。
…なーんて、仲居さんっぽくお迎えしてみたり♪」
微笑みながらそういう彼女に、槻哉は苦笑しか出来ずにいる。抜け目のない彼女に、負けた、と思っているのだろうか。
「疾風と仲良くしてくれたみたいで良かったわ」
槻哉の横でお座りをしている疾風に、真はやさしく笑いかけながら、彼の頭を撫でてる。そして槻哉と斎月に部屋の鍵を手渡し、食事の時間や入浴時間などを説明した。
「……宿の人間より役に立つよな…」
「さすが真君だね」
彼女のテキパキとした行動に、ナガレが素直に感心し、槻哉の肩の上でそう言う。
槻哉も満足そうに笑いながら、ナガレの言葉に返事をしていた。
「疾風は…適当にお散歩しててね」
槻哉たちを先へ宿へと進ませ、真は入り口の端で、疾風へとそう言い聞かせる。すると彼は一度頷くかのような仕草を見せ、それから地を蹴り茂みの中へと姿を消した。
「…………」
それから僅かな時間、姿を消した疾風の後を追うようにその方向へと視線を向けたままの真であったが、早畝の呼び声にすぐに反応し、小走りで彼等の元へと戻っていった。
宿の中へと進むと、槻哉たちの部屋は行き来もしやすいようにと隣同士で用意されていた。真だけは、女性ということもあり、少しだけ離れた位置にそれは存在した。
「…素敵」
仲居に部屋へと案内された真は、窓から見える庭園の美しさに目を奪われる。
「女性専用に、小さな露天風呂も完備したお部屋でございます」
仲居がお茶を淹れながら真にそう言うと、彼女はさっそく大きな窓を開けて露天風呂を確認する。小さい造りではあるが、檜で出来ているそれは上品で、真はそれだけでも気分を良くし、にっこりと微笑んだ。
「お食事はラルフォードさんのお部屋でよろしいですね」
「はい、お願いします」
テーブルに置かれたお茶には、僅かな金粉が入っていた。
それに微笑みながら、真はその場に座り、ゆったりとした気分を味わう。
食事は皆で食べたほうがいいと提案したのは真だった。だから槻哉の部屋は、皆より少し大きめな間取りになっている。今はそこに、槻哉とナガレが入り、一息ついている頃だろう。
仲居が『ごゆっくり』と言い残し部屋を後にするのを、にっこりと笑いながら見送った後は、真は鼻歌を唄いながら浴衣へと着替えを始めた。白地に濃紺で散りばめられている小さな花柄が、彼女に良く似合っている。
羽織に腕を通し、タオルを手にした真は、『よし♪』と言いながら、上機嫌で部屋を後にした。
「あ、まこちゃん」
部屋を出ると、着替えを済ませた早畝と斎月が立っていた。そして視線を前方へと移動させると、槻哉もこちらへと歩いてきている。ナガレの姿が見当たらないが、彼は留守番と言ったところであろう。人型へと変容出来ることは真も知っているのだが、早畝がその真実を知らない為に、皆の前には出られないのだ。
「夕食まで時間もあることだし、温泉を楽しむことにしよう。女性のほうは僕らより数が多いそうだね」
「はい♪ 内湯に露天に、あるだけ制覇しなくちゃ！」
真は槻哉の言葉に元気よくそう答える。すると斎月が口元を隠しながら、くすりと笑っていた。
「私は長風呂も全然平気だけど、皆はのぼせない程度にね」
長い廊下を歩きながら、真は槻哉たちにそんな言葉をかけた。彼女は本当に楽しそうだ。
槻哉はそんな彼女を見つめながら、安心したように微笑む。
「それでは、後程♪」
「ああ、またな」
突き当りまで歩くと、道が分かれた。男性用は階が違うようで、彼らは真に手を振りながら、上階へと足を進めていった。
温泉宿と言うだけに、浴場も素晴らしいものだった。
内湯で４つ、露天は２つ。広いサウナも完備されている。
時間も早いせいか、浴場には真しかおらず、彼女は貸しきり気分で温泉を楽しんでいた。
「…ここはジェットバスになっているのね♪」
ひとつひとつの湯の効力が違うのも魅力で、真はそれらの説明を丁寧に読みながら、体を預ける。
「……おう、楽しんでるか？」
「あら、ナガレ君…今は『ちゃん』かしら？」
ボコボコと音を立てて泡を出している湯に体を沈め、ゆっくりと息を吐いたそのときに、背後から声がかけられた。
真はそれに驚くこともなく、振り返りながら、声の主へとそう言葉を返す。
そこには女性体へと体を作り変えたナガレが立っていたのだ。
「やっぱり、こういう時は女の子なのね？」
徐に同じ湯へと入り込んできたナガレを招き入れるように、真は場を空ける。
「…普段なら、一般客に紛れて男でもいいんだけどな…今日はソレが出来ないからさ」
「？」
長い銀髪を、器用に後ろでまとめあげたナガレは、足元から出てくる泡に気をとられながら、真の問いに答える。
すると彼女は小首を傾げたので、『ああ』と独り納得したかのように独り言を漏らした。
「そっか、槻哉は言ってないんだな。
…真の為にってさ…今日だけだが、貸切なんだよ、この宿」
「……あら…」
手ぬぐいを頭の上に乗せたナガレは、天井を見上げながら、真に言葉を繋げる。
その言葉を受けた真は驚きを隠せずにいたのだが、『槻哉さんらしい、思いやりね』と言い、優しく微笑んでいた。
「…ま、存分に甘えて、ゆっくりしようぜ。俺もさ、嫌いじゃないんだ、温泉」
「ええ、そうね」
に、と笑うナガレに、真もニッコリと笑い、頷いた。
そして二人はその後も露天や別の湯を試し、満足するまで堪能するのだった。
「さな君、早畝はどうかな」
「…今、眠ってしまいましたわ」
槻哉の部屋で用意された料理をよそに、早畝は湯あたりでダウンしていた。
その早畝を布団へと連れ、眠るまで傍にいたのは真の中の慈悲神格である『さな』であった。
「すまないね」
「いいえ、いいんです。それより、早畝さんが目を覚ましたらお食事を取られるでしょうし…こちらに寄せておきましょうね」
さなはゆったりと微笑みながらそう言い、早畝の為に料理を取り分けていた。彼女の優しい思いやりに、槻哉も黙ってそれを見届けている。
「……まったく、あれだけ迷惑行為はよせって言ってあったのによ…」
斎月がその彼女を横目で見ながら、ブツブツと文句を言っていた。その隣では、鼬の姿に戻ったナガレが、必死になって海老と格闘している。動物の前足では、上手く食べられないようだ。
「ありがとう、さな君」
「どういたしまして」
一通り料理を小皿へと取り分け終えたさなを槻哉は隣に座らせ、小さな杯を持たせて酒を注いだ。
「これからは、ゆっくりするといい」
「ありがとうございます」
カチン、と杯と杯を合わせて、槻哉とさなが酒を口に含む。
視線を上げると、斎月も彼女に笑いかけながら、手にしていた杯を少し手前へと出し、『お疲れさん』と合図してくれていた。
「……美味しいお食事に、美味しいお酒…幸せですわ」
ゆっくりと杯の中の酒を味わったさなは、うっすらと頬をピンク色に染めながら、幸せそうに微笑む。
そして槻哉と斎月を見ながら、彼女は優美に立ち上がり、二人の間へと足を進める。
「…実は私、お酒は強いんですの。槻哉さん、斎月さん、お酌しますわね」
そう言った彼女は、テーブルの上の銚子を取り上げて、にこにこと笑っていた。
「お、いいねぇ」
それに気を良くした斎月が、さなの傍へと寄ってくる。槻哉も遠慮がちに、彼女へと杯を差し出した。
さなは交互に、彼等の杯に酒を注ぐ。その優しげな微笑の裏に『全員酔い潰し』の野望を抱えているとは、一欠けらも見せることはせずに。
そんな中で、ナガレは相変わらず、一人で必死に海老の殻と格闘を続けていた。
時計の針が21時を過ぎた頃には、斎月も槻哉も、さなのささやかな野望に負け、その場で酔いつぶれてしまっていた。
それでも彼らも頑張ったようで、追加で頼まれた銚子が５、６本転がっている。
テーブルに突っ伏している槻哉と、寝転がっている斎月にそれぞれの羽織をかけてやったさなは、そのまま窓のほうへとゆっくりと足を向けた。
実は槻哉の部屋からは、庭へと繋がる道があり、散歩が出来るようになっているのだ。
小さい体でたくさん食べたのか、膨らんだ腹を上に、眠ってしまっているナガレと、布団の中で眠り続けている早畝を交互に見やった後は、ゆっくりと大きな窓を開けて、彼女は外へと出た。
天を見上げれば、夜空には無数の星たちが広がり、そして綺麗な弧を描いた三日月が優しく彼女を照らしている。
「………疾風」
そう口唇を開き、声を漏らした彼女の瞳は、『真』のものへと戻っていた。
ゆらり、と吹いた風とともに真の前に姿を現したのは、疾風。
彼女に駆け寄り、足元で頬を擦り付ける。
そんな疾風の頭を撫でながら、真は石畳をゆっくりと進んだ。からん…と桐の下駄が綺麗な音色を生み、それは静寂の中の庭全体へ響き渡る。
「偶にはこういう安らぎも、彼等には必要…よね」
隣を歩く疾風に向かい、真は微笑みを崩すことなくそう言った。
冷たい風が彼女の頬をくすぐりながら、天空へと舞い上がっていく。
普段、時間に追われながら休む間もなく動き続けている彼らへ、せめてもの安らぎを。
それは、彼女の心の底からの優しさであった。そしてそれには、槻哉への感謝の気持ちも含んでいる。
夜が明け、現地に戻れば彼らにはまた忙しさが戻ってくる。それは、避けることのできない現実。自分はその彼らに、ほんの少しの手助けをすることしか出来ない。
どうか、この優しい時間だけでも、彼らが癒されるように。
真は心の中で静かにそう願いながら、夜の庭を、疾風と二人きりで散歩を続けた。
こうして、特捜部の温泉旅行は、斎月の二日酔いをおまけに幕を閉じたのであった。
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登場人物
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【整理番号 ： ＰＣ名 ： 性別 ： 年齢 ： 職業】
【１８９１ ： 風祭・真 ： 女性 ： ９８７歳 ： 特捜本部司令室付秘書／古神】
【ＮＰＣ ： 早畝】
【ＮＰＣ ： 斎月】
【ＮＰＣ ： 槻哉】
【ＮＰＣ ：ナガレ】
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ライター通信
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ライターの桐岬です。今回は『温泉へ行こう！』へのご参加、ありがとうございました。
風祭・真さま
いつもありがとうございます。体調を崩し、納品が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。
如何でしたでしょうか…まこちゃんは楽しんでくれましたでしょうか。
有能な秘書さんを労うつもりが、逆になってしまいましたね…さすがまこちゃんです（笑）。
ありがとうございました。槻哉たちも楽しい思い出が作れたみたいです。
ご感想など、お聞かせくださると嬉しいです。今後の参考にさせていただきます。
もちろん苦情も受け付けます。遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした…（平謝り）。
今回は本当に有難うございました。
誤字脱字が有りました場合、申し訳有りません。
桐岬 美沖。
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