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[ 雪月花1.5 迷子はどっち？ ]
独りの旅が二人になり、二人の旅が三人になって数日後。
相変わらず先行く二人にこれといった目的の場所等無く、その後をただ着いて行く一人の男性。日々あっちの町からこっちの町へと点々とする彼らは洸、柾葵。そして彼らが言うところの新しいみちづれ、となった眞宮紫苑。
その日は朝から雨が降り、僅かな霧も出る嫌な日だった。
洸と柾葵の二人は元々持っていた小さな傘を差し、紫苑は途中で買った傘を差す。それは前を見えにくくするものの、それでも進むしかなかった。休む時間すら二人には惜しく、紫苑はそれをただ見守るよう後を追う。
冬が来れば、更に一日の進行速度は減ってしまう。それは去年二人が経験したことであり、多少暖かいうちに少しでも先へと進みたかった。紫苑がそれにどうこうと口を出すことも無く。
しかし か、そしてか……それが、災いした。
「――？」
「ん、どうした洸？」
唐突に足を止めたため右隣に並んだ洸に紫苑は問いかける。
「……そっちに柾葵いますか？」
言われ紫苑は左に目を向けるがそこには誰の姿も無く、足を止め後ろを振り返るがやはりそこにも誰の姿も無く。足音も、傘が雨を弾く音も二人のもの以外はなく。吐かれる息の白さも、その息の音さえも柾葵のものは辺りに無く、ただ優しい雨の音が鼓膜を震わせていた。
豪雨と言うわけではない。しかし互いの声も、恐らく此処まで近く無いと聞こえないだろう。時折吹く風が木々を揺らし、葉の音で何もかもがかき消されている気がした。
「まさか居なくなったのか？」
いつの間にか気配すらこの近くには無く、洸にとっては気づくのが遅すぎた…としか言いようがない。勿論それは紫苑にとっても似たようなものではある。尤も、それを口にするような彼ではないが。
「おいおい、あんなデカイ図体して迷子かよ……って、まさか俺の事が気に食わないから――なんて、まさかそこまでガキじゃねぇよな？」
苦笑いを浮かべながらも紫苑は冗談めかして言った。とは言え、紫苑は初対面の時から柾葵に避けられはしないものの、決して友好的態度を受けてはいないのは事実だ。思い返せば数日前、洸も最初は友好的と言えるものではなかった。必要最低限の言葉だけで、話しかけてくることは滅多に無く。たまに紫苑が話しかけると応える、そんな状況が続いていた。それは昨日までも変わらないことだった。
しかし今、問われた洸は紫苑を見ると、一瞬ぽっかりと口を開け、小さく噴出し手を横に振って見せた。こうして微かにだが笑って見せたのは初めてだと思う。よほど可笑しかったのだろうか……。
「いくらなんでもそこまで子供じゃない……筈です、よね？」
「いや、なんでそこで俺に問い返すんだ？ 洸の方が柾葵といる時間が断然長いだろうが」
最初は笑みを浮かべ言いながら、紫苑は体を洸の方へと向け、上に差していた傘を肩に乗せるよう斜めに差す。すると洸はその表情から笑みを消し、微かに首を傾げ言った。
「長いといっても一年だし、アイツ予想以上に子供だから未だ行動が判らないんです。ただ、今までもよくはぐれたんでコレはそろそろ問題か……」
そう、唸りながらも洸は辺りをきょろきょろと見渡している。今までそれでよくも無事だったな…と紫苑は内心呟く。洸がそれほどまでの強運を持つ者なのか、意外と二人引き合うものがあるのか。
「ま、そんなに心配するなよ。探し物ってのは、ノンビリやるもんだ。焦っていると見逃すぜ？」
「そう、なんですけどね。実は雨の中逸れた事は無くて。アイツ雨が好きだから夢中で何処か行ってる気も――」
口元に右手を持って行き考える仕草を止めぬ洸に、紫苑は今来た道をゆっくりと振り返る。
「先ずは来た道を戻ってみるか？」
「そう、ですね」
それに頷く洸。しかしその後続く言葉に、紫苑は今まさに銜えようとした煙草をその手から落とした。
「見つからないなら置いてっても問題ないんですが、見つかるなら拾ってやるのが俺ルールなので、とりあえず行きましょうか」
「あ……ぁ」
やがて来た道を戻るべく先行く洸。それさえも見失ってしまわぬよう紫苑は後を追うが、先ほど洸がポツリと呟いた言葉に苦笑いを浮かべてしまった顔が元へと戻らず、挙句新しい煙草を銜える気もおきない。
要するに、心配していると思っていた表情は『探すのは面倒だが、近くにいるならしょうがないから探しに行ってやるか』と、その様な感情を抱えていたらしい。行動自体は迷子の子供を捜す親にも似てるが、内心は全く別のものであり、こんな洸と毎回合流できる柾葵はよほど運が良いんじゃないかと紫苑はつくづく思った。
「ったく……次から次へと飽きねぇなぁ――」
果たしてその声は洸には届いたのか。ただ思わずポツリと呟いたゆえ、紫苑は先行く洸に今の言葉を聞かせるつもりは微塵も無かった。しかし、歩みを止めぬまま首だけ紫苑を見た洸には、その声が届いていたのかもしれない。
そんな洸からの言葉が無かったのは、聞こえていながらも敢えて何も言わないのか、聞こえておらずただ偶然振り返り「すぐに付いて来てください」と言っているのか……真相は謎だ。
ただ、内心紫苑はこんな二人の様子を見て楽しんでいた。否、初めて出会ったとき二人に告げた『興味本位』それは今でも変わらない形で、こんな行動を引き起こしている。
だから自分を飽きさせず、突拍子もないことを言ったり、何かしでかすような二人を見てる時間がそれなりに好きだったりした。
そして唯一つ、彼の中に興味本位以外のものがあるとしたら、それは気まぐれにも似た手助けだろう。
三人揃って歩いていたこの道は、舗装されていない田舎道。さほど広くも無く、せいぜい人二人が並んで歩ける程度の道だった。そこから一歩逸れると、きちんとした脇道が無い限り田んぼか川に足を突っ込むこととなる。
雨のお陰と人通りの少なさもあり、今自分達が歩いて来た道には僅かに足跡が残っていた。洸はそれに気づいているのか――尤も見えていないのだから目にしていることはないのだが――確実にその足跡を戻っている。
「それにしてもこんな日に消えるなんてな……」
溜息を吐きながらも辺りにはそれなりに気を配っているらしく、紫苑はただそんな洸の背を追いかけていた。
「あの、眞宮さん」
「ん、何だ？」
しかし唐突に洸がその足を止め振り返り、紫苑もゆっくりと歩みを止める。
「此処数日は気配を消さないので助かってるんですが、今ばかりは『俺は此処だぜ』って勢いは抑えてもらえます？ 居ると主張してくれてるのは二次迷子も無く良いと思うんですけど」
そう、少し遠まわしに洸は紫苑の気配が邪魔だと、途中紫苑の口真似らしき言葉も交え言ってのけた。おまけに二次迷子というのは紫苑すら洸の前から消えるということか……。
とは言え、柾葵の気配だけを捉えたいならば近くで存在を主張する気配は確かに混乱の原因になりそうで、言われた紫苑は「あぁ」と呟くと洸を見る。
「悪い。今は柾葵の気配が第一だよな。とは言え俺が洸の背を見失うことはねぇから、気配は消しとくな」
言うや否や気配を消した紫苑に、洸は礼を告げ歩き出す。
そうしてゆっくりと来た道を戻ること約一時間。とは言え、来たときよりも明らかに速度は遅い為、その距離も同じ距離にしては倍程は掛かっているが。
「いつもは一時間探せばどっかから出てくるんだけどな……何処行ったんだあいつは」
結局のところ未だ探すのを止めぬ洸に、何だかんだで心配しているんだなと、紫苑は笑みを浮かべてしまう。しかしこの雨の中、大分戻っては来たが見つからないのはそろそろ問題だとは思った。来た道を戻り見つからないならば、他の考え方から探すしかない。第一洸の言い方からすると、彼が探し当てるわけではなく、柾葵から現れるということだ。
「――なぁ、柾葵が行きそうな場所の心当たりなんかねぇのか？」
ポツリと呟く紫苑の言葉に洸は「うーん」と声に出し唸りながら不意に宙を見、ハッとしたように紫苑を見た。
「俺、全然柾葵のこと知りませんね。行きそうな場所なんて思いつきもしない」
「おい、威張れることじゃねぇだろが」
清清しいほどの声色で信じられない台詞を無表情にも似た顔を向け言う洸に、紫苑は冷静な突っ込みと同時ゆっくり項垂れる。しかし洸はその後に小さく「ただ、」と続けた。
「雨の日が好きで、後はそうだな……本読むのが好きでやたら子供が好きで――」
つまりのところ、本人のことはそれなりには知っているものの、好む場所は判らないという事のようだ。
「それじゃ今度は少し道逸れてみるか？」
今までも恐らくそうだったのだろう。ただひたすら、来た道を戻るだけの洸の探し方に紫苑はちょっとした助言を出した。
そんな紫苑の言葉に洸は「あぁ」と思いついたように頷き、「でも」とやはり後が続く。
「それなら眞宮さんが案内してください。ささ、どうぞ前へ。後今度は俺が見失わないよう気配をもう少しだけ強く」
次々に注文を出してくる洸に、紫苑はその背を押されながらあっという間に前に立たされた。言いたいことは何となく判る。要するに、何だかんだ鋭い感覚で補っていようと、全てが見えているわけではない。こういう事が起きて改めて、洸は目が見えなかったのだと実感する気がした。
とは言え、出された注文は多い。
「えーと、案内？ 俺だって知ってる場所ってワケじゃねぇしな、さっきの話から適当に当たってみるか。後、こんくらいでいいか？」
そう、適当に消しもせずアピールしすぎでもない微妙な気配に洸は満足そうに頷いた。初めて出会った時よりは意識した、此処に居るという気配。しかしこういう状況が一番中途半端で、消しているよりも実は疲れると思う。
とは言え、ここで消せば二次迷子、主張すると邪魔だといわれる事だけは確かで……紫苑はそのまま大人しく歩み始めた。
雨は止まぬまま、ただ静かに降り注ぐ田舎道の昼下がり。遠くで微かに聞こえる子供の声は学校が終わったという合図にも似ていた。
洸曰く『柾葵は子供が好き』だが、この辺りに公園など子供が集まりそうな場所は先ずないだろう。こういう場所では、子供達にとって何処も彼処も遊び場となる。
「――ねぇ」
しかし紫苑が一体柾葵は何処へ行ったのか、思考を巡らせているところで洸が小さく呟いた。
なんと無しに歩みを止め振り返ると、洸は数メートル遠い場所で既に歩みを止めていたようで立ち止まっている。
「どうした？」
「……どうして、なんだよ」
「だーから、何がだよ？」
本題を切り出されない洸に特別苛立つ様子も無く、やがて紫苑は笑みを浮かべた。
「どうして眞宮さんは何も聞かない？ 何も、言わない？」
「ぁん？ いやぁ、色々言ってるだろ。俺なりにコミュニケーションは取ってるつもりだけどな？」
「そうじゃない！」
感情的に声を荒げた洸に、紫苑は一瞬口を開いてしまい、すぐさまそれを閉じる。
「アレから数日。まだ後を付いて来るし、それでいて俺達のことを聞いてくるでもない。正直……こんな人には初めて出会ったよ」
距離は遠く、しかし声は近く。
言葉を受けた紫苑は真っ直ぐと洸を見たまま。ただ、もう一度だけ笑みを浮かべた。
「何だ、そんなすぐ飽きると思ってたのか？ アレからまだ数日だろうが」
洸にすれば紫苑はニ三日で離れていくような予定があったらしい。
「それにあの日お互い同意したようなもんだろ……穿鑿はしないって。それは俺もお前らも同じだと思ってるけどな？」
『判りました、俺もこれ以上は穿鑿しませんよ。あなたもする気はないようだから』
その言葉に洸は「あぁ…」と思い出したように頷きそのまま俯いた。自然と傘を持つ手も落ち、透明なビニール傘越しに見る洸は少しぼやけて見える。
「――…‥」
嘆息を一つ。そしてそっと歩む。
水溜りがパシャリと 小さく音を立てた。
靴に泥が掛かることまでは考えていなかったのだが……まぁ良いかと、今は目の前に立つ自分よりも少し大きく、それで居て大人のフリをしているような子供、そんな洸を見た。
「らしく、ないんじゃねぇの？」
「は？」
思わず洸は顔を上げ、目の前に立つ紫苑を見る。
「柾葵を探すんだろ？ で、今は俺が案内人なワケだ。シケた面してっと運まで逃げるぜ？」
それだけ言い踵を返す。後ろでは動きがない。気配は消してないゆえ、見失うということはないだろう。それにこれ以上言っても、話を余計ややこしくさせるか、彼の機嫌を更に損ねるか。今でも十分損ねているのは手に取るように判る為、紫苑は歩みを進める。
ただ、静止は突然に。
「眞宮さん！」
「ん？」
歩みを始めたばかりの脚で振り返る。やはりパシャリと水が撥ねるが、気が付けば雨が傘を弾く時の微かな振動だとか、耳に響く雨音だとか頬を撫ぜる風だとか。
それらが無くなり無音状態
「俺、誤解してましたよ。あなたも今まで関わってきた人間と同じなんじゃないかってね」
既に傘を手放していた洸の声だけが耳へと届く。
頭上でゆっくりと流れてゆく分厚い雲。その切れ間から差し込む陽の光が洸のサングラスに反射する。雨粒も付いていたのだろうか、光るそれをうざったそうに外すと、洸はもう一度真っ直ぐ紫苑を見る。
「……それじゃあ、早くも誤解は解けたって事か？」
今まで余程嫌な経験もあったのか、思い返すような言い方の洸に紫苑が問うと、彼は小さく頷いた。
「でも、柾葵は拒絶こそしないもののあの日からずっと警戒心を解いてない。それがある限り、俺だって気は抜けませんよ。まぁ、俺達だって確かな素性は話してはいないから、お互い様なんですけど。ただ――そういう者同士適当につるむのも悪く無いとは、今思いました」
「なんつうか、曖昧だな」
結局のところ、一枚の壁のような物にひびが入る程度には変化があったとは思う。
そんな洸の言葉に、紫苑は苦笑いを浮かべながら傘を閉じ空を仰いだ。まだ沈まないとは言え、夕暮れは近い。暗くなれば夜目が利くとは言え人探しなど困難となるだろう。気を取り直し、紫苑は問う。
「さて、行くか？」
「えぇ。そして見つかるまでに――散々手間を掛けさせた罰でも考えましょうか」
わざと声のトーンを落とし呟いた洸に、紫苑は思わず前を見たまま笑みを取り戻した。
後に響くは 心地良い水の音。
やがて山と森と田んぼと畑、時折流れる川程度しか無かった紫苑の視界に唐突、赤いものが飛び込んだ。
「鳥居、か」
この辺りで人工物といえるものは今のところアレくらいしか見つからず、何処か遠く聞こえる学校のチャイムの音も、肝心の建物は全く現れない。
「とりあえず行ってみるか？」
その言葉に洸は頷き、二人揃って更に整わぬ道へと逸れて行った。
手入れなど全くされていない道。草は多い茂り木の枝は伸び放題、石段には物凄い量のコケが生え、雨上がりの今は油断すると足を滑らせる。
紫苑は時折後ろの洸を振り返るが、特別危険な気配も無く、自分自身は一段抜かしで先に階段を上がりきった。
小さな山の中腹に立つような神社だった。見るからに小さくて、それでもこの辺りに住む者はきっと此処で初詣を済ませるに違いない。辺りは木々で囲まれ、今の時間は殆どが日陰で覆われ寒い場所。
一通り人気の無い境内を見渡し、溜息を一つ吐いたところ……階段を上がってきた洸の声が背に響く。
「眞宮さん、この辺りに居ますよ……あの馬鹿」
言われ紫苑はもう一度辺りを見渡した。
「柾葵ー、居るなら出て来い、洸も居るぞー」
ゆっくりと、奥へと進んでいく。その後を、洸がゆっくりと付いてくる。
「……あ゛」
「え゛……」
声はほぼ同時に。ただ、実際その姿を目の当たりにすることは出来ない洸の声は、やや疑問の色を含んでいる気もした。
とは言え、次に響くその音に洸は瞬時顔を歪ませる。
「……どうするよ？」
思わず紫苑は洸に指示を仰ぎ、振り向いたそこに半ば凶悪な表情を見た気がした。無表情だったものが、唐突に口の端を上げたというその出来事。
「……とりあえずそこら辺に本、あるでしょ？ その角で思い切り殴ってください。そいつ頑丈だから大丈夫ですよ、俺が許します」
「それじゃあ、遠慮なく」
言うや否や、紫苑は賽銭箱の横で寝息を立て眠っていた柾葵へと歩み寄る。
恐らく最初はそこの石段に腰掛本を読んでいたのだろう。しかし今は長い足を石段へと投げ出し、その膝から下辺りは屋根からは外れ、雨のお陰か濡れていた。傘は風で飛んだのか、遥か向こうに転がっていた。
そして柾葵の手から落ちたらしい分厚い文庫本を手に取ると、紫苑はその角を「えい」と柾葵へとぶつける。
しかし実際その手にはさほど力等加えられず、本はこつんと彼の頭に乗っかるよう触れた。
「――……？」
覚醒と同時、目の前の紫苑に驚き、その後ろの洸に胸を撫で下ろし。ついでに辺りを見渡し首を傾げる。今自分が何処に居るかも理解していない様子だ。
そんな彼に本を手渡すと、柾葵はキョトンとした後、小さく頭を下げて見せた。
それに紫苑が反応しきれぬ内、柾葵は立ち上がり洸の元へと走っていく。振り返り見たその姿は、やはり親を見つけた子供のようだった。二人は多分、毎回こんなことを繰り返してきたのだろう。紫苑には柾葵のこうした行動は何故かなど予想も出来ないが、少なくともやはり自分の事が気に食わないため居なくなった訳では無い、ということだけは今きちんと証明された気がした。
しかしながら雨の中、神社で眠る度胸と根性とでも言うのか、それもまた…計り知れないものだろう。
「……さ、先に行きますよ」
とは言え合流と同時、今度は洸の態度が変わった気がする。否、それは本来のものに戻ったというべきなのかもしれない。
柾葵が警戒心を解かない限り、洸も気は抜けないと言っていた。
「――……そういう、コトなのか？」
どちらかに問うでもない言葉。
やがて二人の姿は足早に境内を離れ階段を下りて行き、その姿を晦まそうとしていた。
その消え行く背中に紫苑は、ただ小さく呟く。
「ますます興味が湧くってもんだろ？ コレは――」
言うと同時、タンッと地を蹴り二人の背を追った。
石段を下りる最中、目に入るは真っ赤な夕陽。日の暮れる前には適当に寝床になる場所を探しに行かなければいけないが……果たしてどうなることやら。
石段を下りきると、元来た道を正確に戻り先行く二人の背を見つけた。此処まで追いつけばもう見失い事は無いと速度を落としはするが、途中撥ねてしまった水溜り。その音に思わず歩みを止めると、振り返り笑みを浮かべた。
思い出すは 最初に柾葵が撥ねていた
そして途中 洸が傘を突き刺し遊んでいたような…‥
パシャパシャと響く あの音色――
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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→PC
[2661／眞宮・紫苑(まみや・しおん)／男性／26歳／殺し屋]
→NPC
[ 洸(あきら)・男性・16歳・放浪者 ]
[ 柾葵(まさき)・男性・21歳・大学生 ]
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、亀ライター李月です。この度は[雪月花1.5 迷子はどっち？]ご参加有難うございました。又眞宮さんに会えました事、嬉しく思っております！
ということで、迷子は見事柾葵、眞宮さんには洸と一緒に彼を探していただきましたが……如何だったでしょうか？
お判りでしょうが眞宮さんが前回からホンの少々口の悪――否ワイルドさと言うのでしょうか、増してます。多分こっちの方がらしいのかな？ と最近思ってまして。もし違うベクトルで進んでましたり、いっそ前回のままで進んでくれ等何なりとご指摘下さい。本編に戻ると同時、何事も無かったように変更します。その他可笑しなところありましたら遠慮なく！ 結構、洸と長々とお話してますのでね。考え方の違いなども有りましたら..。
まだ明らかに変わった・取り除けた、というの物は無いのですが、洸の考えだけは少々変わった――そんなお話でした。そしてなにやら眞宮さんがお母さんでしたね…後ろからそっと見守る(笑)助言と言う形のちょっとした助けが多かったですが、人探しの上で洸と対照的に眼が良いと言うのは一緒に居て力強かったかもしれません。それを洸が気づいていたかは別として。
ともあれ番外編、少々長めでしたが、何処かしら少しでもお楽しみいただけていれば幸いです。
追記：途中洸が真似た眞宮さんの口調、本人とても必死でしたが酷く似ていません……(合掌)
それでは又のご縁がありましたら…‥
李月蒼
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