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大宇宙の神秘・アルティメットマン!
東京はお正月真っ只中だというのに、太平洋を超えてわざわざ大怪獣が現れた。不動 修羅はこの時、友人たちとともにこの地にやってきていたのだが、緊急事態発生をパトカーの退去命令で知る。彼はその時、静かに目を閉じた。そして地球の周りを旋廻している銀色の円盤の存在を感覚的に知る。彼は小さく頷いた。今こそ、俺が東京を救う時なのだと。
多くの人でごった返すお台場は予告もなしに出現した怪獣に大パニックになった。蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う民間人たち。警視庁は即座にこの三段腹の巨大怪獣を『シメナワン』と名付け、航空自衛隊が誇る高性能戦闘機で迎撃した。しかし、いくら腹はデカくて情けないフォルムをしているシメナワン言えども、曲がりなりにも人知を超えた巨大怪獣である。小蝿のごとく付きまとう戦闘機を巨大な手のひらを振りまわすことで追っ払い、いよいよ陸に上がろうとしたその時だ。
『デゥワァァ!』
怪獣と同じく頼んでもいないのにさっそうと登場したのは、メタリックなフォルムをした巨大な戦士であった。宇宙から来た彼を誰ともなしに『アルティメットマン』と呼んだ。大怪獣シメナワンと対峙するところを見ると、どうやら彼は人間を助けに来たらしい。実際はかなり遠くでその侵攻を防いでいるのだろうが、ひとりと一匹が巨大すぎて距離感がはっきりとつかめない。いったいどれくらいの大きさなのかはパッと見ではわからない。さっそくアルティメットマンはシメナワンに対して挨拶代わりのチョップをお見舞いする!
『ウシャアァァッ!』
『ブギュアァァッ、ブギュアァァッ!』
その一撃で攻撃が通じることを確かめたのか、アルティメットマンはその後も大きな腹めがけてパンチにキックを連打する。海の彼方へ怪獣を追いやろうと懸命に戦う。しかしシメナワンの大きな腹はゴムのような働きをし、銀色の戦士の攻撃をすべて防いでしまうではないか。逆に陸地へと後退させられてしまうアルティメットマン。ぶよぶよの身体を持つ大怪獣を倒すのは一筋縄ではいかないようだ。間合いを取って、逆襲の時を待つ巨大な存在たち。
お台場にいる人間たちは皆、当然のごとくアルティメットマンを応援していた。しかし彼がそれを聞いている余裕はどこにもない。実はアルティメットマンは致命的な弱点を持っていた。この地球は特殊宇宙放射線が極端に少なく、約5分程度しかその巨体を維持することができない。そう、胸のライトシグナルが消え去る時がアルティメットマンの敗北であり、巨大怪獣の勝利なのだ。もはや一刻の猶予もない。
アルティメットマンはゴムの腹を突き出して迫るシメナワンをじっくりと見据えた。ライトシグナルの光が弱まり、徐々にその力が失われようとしている……彼は怪獣が大きく頭を後ろにのけぞらせているのを見て閃いた。そして大きくジャンプして、ギロチンドロップをお見舞いするのだった!
『ウシュラアーーーッ!』
『ピギャ、ペギュワァァーーーッ!』
彼の予想通りだった。怪獣の弱点は頭である。全身が頭という種類の怪獣でない以上、必ず思考を支える脳とそれを守る頭が存在するはずだ。そしてそこまでが鋼鉄やゴムであろうはずがない。アルティメットマンの作戦勝ちだ。勢いを止められ、予想してなかったダメージを受けて苦しみ悶えるシメナワン。海上に寝そべり、大きく身を揺らすので周囲には大きな波が立った。今がチャンスとばかりにアルティメットマンは必殺の『プラチナム光閃』を放つ。もちろん、この名前は後に人間たちによってつけられた名前である。白銀のエネルギー波は適確に怪獣の頭部をえぐった!
シュキィィィーーーーーン!
『ブギェアガガガガガアーーーーーーッ!』
風船が破裂するかのように、巨大怪獣シメナワンは大爆発とともにこの世を去った。目前の脅威が去り、拍手喝采や戦士を称える声を放つ人々。そんな声を聞きながらアルティメットマンもその場から大きなジャンプで宇宙空間へと飛び去った。その時には今までの様子を伺っていた妖しい円盤は影も形もなくなっていた。隠してお台場の、いや東京の危機は救われたのである。
ビルの隙間に避難していた修羅の友人たちも未知なる戦士の戦いに熱狂していた。しかしその場に修羅がいないことに気づき、誰もが声をかける。
「そういえば修羅がいないね。」
「あれ、不動は?」
「おおい、こっちこっち!」
彼らの心配をかき消すくらい元気な声が遠くから響く。修羅ははるか向こうのビルから手を振っていた。もう片方の手には独銛杵が握られている。そう、彼こそがお台場のヒーロー・アルティメットマンだったのだ。こうして、今日も地球の平和が守られたのであった。
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┗━┛★あけましておめでとうPCパーティノベル★┗━┛
【整理番号:PC名/性別/年齢/職業】
【2592:不動・修羅/男性/17歳/神聖都学園高等部2年生 降霊師】
(※登場人物の各種紹介は、受注の順番に掲載させて頂いております。)
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■ ライター通信 ■
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いつもありがとうございます、市川 智彦です。今回は「巨大大戦」なお話でした。
発注者が修羅さんしかいらっしゃいませんでしたので、おかしな怪獣も出してみました。
実はこの手の特撮を書くのは初めてなんです。新年早々、いい経験をしました(笑)。
今回は本当にありがとうございました。ちょっと特別なお正月気分を味わってくださいね。
また別の依頼やシチュノベなどでお会いしましょう! 次回もよろしくお願いします!
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