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<東京怪談・PCゲームノベル>


∞いきなりの来訪者∞

 鏡の様な存在
 光と闇
 静と動
 善と悪
 愛情と憎悪
 似ているが全く異なるもの
 つまり表裏一体


「――と言うわけだ」
 珍しく、何か恐ろしい“何か”を体験したような青ざめた表情で、エルハンド・ダークライツは、いつも居着く織田義明やかわうそ?  長谷茜に何かを告げた。
「せんせーも、そう言うことあるんですねぇ」
|Д゚) かわうそ? しらんかった
「でも、既にわかっているんでしょ、エルハンド? 何れは……」
 天然剣客は毎度のんびりして驚き(相変わらず器用というか)、小麦色も目を丸くしている。
 ハリセン巫女だけは少し心配そうにお茶菓子を用意。
「それはそれだ。何とかはぐらかした」

――そこでこっちから一言。神だって驚いたり怖がったりするモノなのよ。


 さて、エルハンド自体が此処まで青ざめている体験とは一体何なのだろう?


 ある日、新品の黒い服を着た美少女が、あやかし荘付近を歩きキョロキョロしていた。
「あ、こっちでしょうか?」
 僅かな“気”の名残を探している模様。
 黒榊魅月姫。
 道筋がわかれば、あとは足音も建てず軽やかに、そして優雅に歩いていった。
 彼女は欧州から何らかの形で日本に渡って来た模様である。
「此処からやはり強くなってきます。正解ですわ」
 にっこりと微笑んで急な坂道さえも苦もせず歩く。
 彼女止まった場所は、あやかし荘。
「〜♪」
 彼女は管理人と座敷童子に会ってから軽く挨拶し、そのまま蓮の間に直行した。
「エルハンドの知り合いのようぢゃな?」
「そのようですね」
「しかし誰かに似ておらぬか?」
「……ん〜誰でしたっけ?」
 二人は喉でつっかえる思いをしてのんびり煎餅を食っていた。
 ボロ巨大アパートだが、迷宮状態。蓮の間まで向かうには、かなりの狂った地場をくぐり抜けないと行けない。他の部屋もそうなのだが、部屋の利用者によって影響は凄いらしい。

 |Д゚) ! しらんかった!
 ――あんたはいいだろ
 |Д゚) ぷー ←不満の模様

 すんなり、たどり着いた魅月姫。
「失礼します」
 ドアを叩く。
 勝手にドアは開いた。
「誰かな? ここに来るのは……知って……」
 主が一瞬固まる。
 其れに呼応してなのか、居座っている猫たちが一斉に窓から逃げた。
 何故、エルハンドが固まるのか。
――魅月姫が似ているからである。良く出会う日本人形のような少女に。
「どうかしましたか? あの人を捜しておりまして、気配を辿れば此処に」
「……何でもない。ふむ、そう言うことならわかるかもしれん」
 と、この玄関先では問題なので、中に入れるエルハンド。

 テーブルに蕎麦と酒が置いているのはエルハンドが昼食中だったということを物語っている。
 簡単に名前だけの紹介を終わらせて本題に入る。
「さて、誰を捜しているのかな?」
「こういう人です」
 と、闇の鏡を持ち出し、幻影を持って、姿を映す。
 その姿にエルハンドはまた凍り付いた。
――あの少女の5年後の姿。
「あ、アマチ」
 運命を司る神の口から漏れる名前。
「ご、ご存じなんですか? 何処におられます?」
 確信したのか、エルハンドに真剣な眼差しで問いつめようとする魅月姫。
「……いや、他人のそら似か……」
 安堵しているエルハンド
「え?」
「似ているとはいっても、世の中に3人は似ている人物がいると言うことだ。私の勘違いかもしれん」
 そう、5年前の彼女を想像すれば容易いし、なにぶん過去未来を見通せるエルハンド。
「お前なら、知っていると思うが、この世界は時空自体が混沌としており、おなじ自分が3人いるという言い伝えをはじめ、数ある迷信が現実に起きている。相手が神や高等魔技であれば隠蔽、捏造も可能だ。私自身からは、お前が探している人物と確信、断定は出来ない」
 と、エルハンドは言った。
「あなたが“神”でもですか?」
「私はこの世界の“神”じゃないからな。抑止の一ではあるが」
 落ち着いて、済まないなという顔をし、首を振るエルハンド。
「そうですか……」
 しかし落ち込む魅月姫。
「しかし、何故この女性を捜す?」
「わかりません。会わないことには」
「……そうか」

 ――未来が見えなかった。先見で未来を見るには抑止が働いているのだろうか?

「いきなりお邪魔して申し訳ありませんでした」
 と、魅月姫は去っていった。

 彼女の気配が完全に無くなったあと……
「ぶは―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――っ!!」
 全身冷や汗、顔面蒼白になった。
 今まで緊張していたのをいつもの様にあまり驚くことのないよう務めていたのだ。
「まったく、上限知らずになってきた。私の責でもあるのだろうか?」
 不安をぬぐい去るため、酒を飲む。
 
――問題は彼女自身がこの世界の住人状態であること、人間の善悪基準が越えて実質“無い”と言うことか。いやそれ以上に……。

 先が見えないことはよく知っているし、其れが何でアレ驚くこともない。
 今回は例外だ。
 あの策士神サマの対極性がいることで、世界が崩壊しかねないか恐ろしいのだ。
 おそらく、“影斬”であれば彼女を止めることは出来よう。こういう最悪自体を考えるの自分が恐ろしい。
 あまりにも楽しめない未来だ……と、直ぐにこの事を記憶の底に沈め、昼食再開するのだが……
「のびてしまっている……」
 たぬきそばだったので、蕎麦がつゆを吸い取ってのびていた。
 彼のささやかで楽しい午後が、一寸惨めなものになり凹んだ。



|Д゚) そっちで凹むかよ、小市民め。
「せんせーらしいよ」
 呑気な義明の感想とかわうそ?のつっこみ。
「まったく。呑気にしていられないのよ? わかる?」
「そうですわ。不謹慎です」
 真剣に考えているのは茜と霊木の精霊。
「でも、蕎麦がのびただけなら……。いえ、茜そう言うことではないですから」
「あなたねーそれでも世界の守護精霊?」
「ううう」
「お前等、真剣に考えるか漫才にするか……。蕎麦はいいから、この先どうするか気合い入れておけ」
 やっぱり、茜と真剣モード義明(影斬)だけに言っておいた方が良かったと後悔している御隠居予定の神であった。

|Д゚)ノ なんとかなりゅ
――ああ、まぁ何とかなるよな。お前なら
|Д゚) ふっ


End でいいのかね?

■登場人物
【4682 黒榊・魅月姫 999 女 吸血鬼(真祖)/深淵の魔女】


【NPC エルハンド・ダークライツ 年齢不詳 男 正当神格保持者・剣聖・大魔技】
【NPC 織田・義明 18 男 神聖都学園高等部・天空剣剣士】
【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女(長谷家継承者)】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】

■|Д゚) 通信
|Д゚)ノ おはつー
|Д゚) 真祖って(事情によりずぎゃーんと言う効果音)でしか?
|Д゚) タジタジエルハンド見てておもろかった。
|Д゚) ふっふっふっ
|Д゚) 人捜しの旅、がんばー

|Д゚) 旦~~ 平和が一番。面倒かけりゅな。