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調査コードネーム：奇病！ 肉球病！
執筆ライター ：ゆうきつかさ
調査組織名 ：草間興信所
募集予定人数 ：１人〜
------＜オープニング＞--------------------------------------
「最近、この街で奇妙な病気が流行っているんだけど‥‥知ってた？」
先日あやかし荘に引っ越した鬼頭・一哉（きとう・かずや）を呼び出し、久遠・美麗（くおん・みれい）が一緒に肉まんを頬張った。
「今度は何だ？ パンダ病か？」
最近パンダ関連の依頼ばかり引き受けていたため、一哉が疲れた様子で溜息をつく。
決してパンダが嫌いなわけではないのだが、常識を覆す事ばかり起こっているため少し疲れているようだ。
「惜しい！ 肉球病よ！」
残念そうに指をパチンと揺らしながら、美麗が２個目の肉まんを頬張った。
「肉球病？ なんだそりゃ！」
いまいち意味が理解できず、一哉が首を傾げてツッコミをいれる。
「‥‥肉球病はねぇ。とても恐ろしい病気なの。症状として肉球が手の平に出来た後、円らな瞳になっていくそうよ」
イメージ映像を脳裏のに浮かべ、美麗が肉球病の恐ろしさについて語っていく。
肉球病は乙女フィールドが消滅した頃から確認されており、傷口から簡単に感染するため一時的なブームになっているらしい。
「全然、問題ないんじゃねぇの？ ほら、猫耳とか猫尻尾とか流行りだし‥‥」
あまり興味がないのか、一哉が苦笑いを浮かべて肉まんを奪う。
「この病気の問題はねぇ‥‥そこにあるの！ この病気はねぇ‥‥放っておくと大変な事になるの」
おどろおどろしい表情を浮かべ、美麗が深刻な表情を浮かべて答えを返す。
「‥‥大変な事に？」
手の平の肉球を隠し、一哉が大粒の汗を浮かべる。
「ある朝、突然『黒光りするマッチョな兄貴』になっちゃうの。何もつけずにテカテカよ。あまりの眩しさに後光が射すかも知れないわ」
熱っぽく語りながら、美麗が一哉の顔を指差した。
「ち、治療法はあるんだろ。草間が動き出したって事はさ」
気まずい様子で視線を逸らし、一哉がボソリと呟いた。
「この注射を打つだけよ」
満面の笑みを浮かべながら、美麗が巨大な注射をズブリと刺す。
「デカッ！ つーか、イテッ！」
そして一哉はあまりの激痛に飛び上がり、大粒の涙を浮かべながらお尻を押さえるのであった。
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●肉球病の患者達（２）
‥‥これは肉球病に感染した患者達の物語‥‥。
●彼瀬・蔵人（かのせ・くろうど）の場合
あの日、目が覚めたら‥‥。
『肉球』が出来ていた。
しかも尻尾まで！
もちろん、ちゃんと動くんです！
とっても柔らかくってフニフニしているし、ふわふわの尻尾はほわほわしていた暖かい。
ああ‥‥幸せだ‥‥。
しばしの間、鏡の前でウットリする。
気のせい瞳までウルウルしていて可愛らしい。
ある意味、犯罪と呼べるぐらいの愛らしさ。
‥‥駄目だ。
このままでは‥‥。
どうにかなってしまいそうなくらいにプリティだ。
巷では肉球狩りが横行しているらしいので、僕も気をつけておかないと‥‥。
●神納・水晶（かのう・みなあき）の場合
朝、起きたら‥‥掌に変な物がついていた。
肉球‥‥か？
触るとプニプにしていて気持ちよく、何だか妙にくすぐったい。
でも、この手じゃ‥‥本体の刀が掴めない！
ああっ、やっぱり‥‥！
ど、どうしよう。
そんな事をしているうちに今度は耳がニョキっと生えた。
しかもピクピク自由に動く。
どうやらこれも‥‥本物らしい。
しかも妙な胸騒ぎ。
脳裏を過ぎる黒光りのマッチョガイ。
まるでジクソーパズルのように、嫌な予感の正体が形作られていく。
ひょっとして、これって‥‥。
何か危険の前触れなのか‥‥？
●笹倉・小暮（ささくら・こぐれ）の場合
朝、目が覚めたら何故か肉球と尻尾が生えていた‥‥。
多分、黒い猫‥‥。
フニフニしていて気持ちいいけど‥‥。
引っ張っても取れないし、異様に良く動くので玩具ではないらしい‥‥。
最初は誰かの悪戯だと思っていたけど‥‥。
‥‥これって実は病気らしい。
最近流行の『肉球病』‥‥。
放置しておくと大変だって、町内会の回覧版を読んで初めて知った‥‥。
何故‥‥ニュースで報道しないのだろう‥‥？
何だか妙に胡散臭い‥‥。
でも、このまま放っておく訳にもいかないしなぁ‥‥。
お医者さんに行って治してもらわなきゃ‥‥。
●肉球ハンター
「もう逃げ道はないぜ！ 覚悟してもらおうか」
巨大な注射器を構えたハンター達が、蔵人のまわりを一瞬にして取り囲む。
‥‥悪寒の正体はこれか。
蔵人が本能的に理解した。
ハンターの口から語られる病名。
‥‥‥‥肉球病‥‥‥‥。
全く聞いた事のない病名だった。
「こんなに可愛いものが病気であるはずは無い！！ 降りかかる火の粉は捻じ伏せろと日頃から親父殿も言っている、母さんも、悪党に容赦しても得は無いといっていた気がする。これ以上、僕に関わるつもりなら、それなりの覚悟をしておく事だ」
鏡に映った自分自身を思い浮かべ、蔵人がゆっくりと拳を握り締める。
ハンターの数は全部で５人。
まともに戦ったら勝ち目がない。
だが、ここで逃げる訳には行かないだろう。
コタツで丸まって肉球を愛でる事を至上の喜びとする『にくきゅう会』を作るまで‥‥。
●草間興信所
「残念だが草間さんはここに居ない。肉球病なら俺達が治してやるよ」
下品な笑みを浮かべながら、ハンター達が興信所の入り口を塞ぐ。
中で騒ぎがあったのか、ハンター達の表情は固い。
「既に覚悟は出来ている。さぁ、早く注射を‥‥」
ハンターが注射を打ちやすいように背中をむける。
本当ならもっと遊びたかったけど‥‥。
黒光りするマッチョになんかなりたくない。
「いくぞ！」
それと同時に凄まじい激痛が、全身を駆け巡る。
まるで骨の中をムカデが這い回るような感覚。
「これで‥‥元に戻るのか‥‥」
本体の刀を握りつめ、ひたすら激痛に耐える。
一瞬、誰かの記憶が見えた。
肉球病の正体。
それは‥‥。
●逃亡者
はあ‥‥はあ‥‥。
ここまで来れば大丈夫かな‥‥？
‥‥ハンター達の影はない。
まさかあんな大きな注射器を持ってくるとは思わなかったため、気がついたら逃げ出していた‥‥。
肉球病になったおかげもあってか、屋根から屋根へ飛び移る。
本当にアレを打ったら治るのかな‥‥？
‥‥素直に信用する事は出来ない。
「こんな所にいたのか。‥‥探したぜ」
満月をバックにハンター達が姿を現した。
家の屋根の上でポーズを決め、何やら熱く語っている。
ちょっと近所迷惑だなぁっと思ったら、案の定その家の主人がやかんをハンターに投げていた。
やかんが当たってバランスを崩し、雪崩の如くゴロゴロと転がるハンター達。
何だかとても格好悪い‥‥。
「不意打ちとは卑怯だぞ！」
怒りのやり場に困ったのか、ハンター達が文句を言う。
‥‥みんな何故か涙目だ。
「ここまでおいで♪」
不意に出た言葉。
マッチョ化まで時間がある。
だから‥‥もう少し‥‥。
もう少しだけ‥‥この感覚を楽しもう‥‥。
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
4321／彼瀬・蔵人／男／28歳／合気道家 死神
3620／神納・水晶／男／24歳／フリーター
0990／笹倉・小暮／男／17歳／高校生
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■ ライター通信 ■
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どうも、ゆうきつかさです。
今回の結果も３種類ほど存在しています。
本当なら個人別にしようと思ったんですが、途中で断念した名残りが残っていたりします（汗）。
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