コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


双六!【青の書編】


□オープニング

 「双六をしましょう!」
 その日、突如草間興信所を訪れた少女はそう言った。
 鼻息も荒く、なにやら張り切った様子の少女に草間武彦は盛大なため息をつくと首をひねった。
 「・・・なんで?」
 「実は最近みょうちきりんなものを購入したんです。」
 少女・・紅咲 閏はそう言うと、文庫本サイズほどにたたまれた紙を手渡した。
 ・・双六の紙だ・・・。
 右隅には“ドキドキ☆人生の縮図のようだよ!大双六大会!【青の書】”と書かれている。
 ・・・なんとも力の抜ける題名だ。
 「青の書って言うのは・・コレが入っていた箱が青かったからだと思うんですけど・・。」
 閏はそう言うと、すっと青い箱を取り出した。
 そこにも“ドキドキ☆人生の縮図の・・・(以下略)”と書かれている。
 「・・と言う事は、青以外にもあるのか?」
 「・・ふふ・・秘密でーす。・・それで、どうしてココにコレを持って来たかと言いますと・・。」
 閏は武彦の耳にごしょごしょとなにやら囁いた。
 「実現する!?コレに書かれていることがか・・!?」
 「そうでーす!なんと、実際に書かれてることが起きちゃうんです!なんだかとってもお得でしょう!」
 ふんと、力瘤を作りながら自慢げに話すが、まったくもって得ではない。
 「あ〜〜そう言うのは管轄外だ。他をあたって・・。」
 「え〜!ここだから持って来たのに〜!!もしかしたら、億万長者になるとかって言うのも・・。」
 「・・・よし!分った!やろう、ここで!!」
 武彦は力強くそう言うと、閏の手からそれをひったくった。
 その影で閏が小さく舌を出していたのは・・見ていなかった・・・。

 ○シュライン エマ

 その日、シュラインはいつもと同じように草間興信所を訪ねてきた。
 その右手には零へのお土産もかねて、ケーキの箱が握られていた。駅前のケーキ屋さんでセールをやっていたからつい買い込んできてしまったのだ。
 かなり沢山買ったが・・なにぶん持って行く先は草間興信所だ。いつでも何かしらの事件が起こるここでは、大抵の場合その頻度に比例して人も沢山いる。
 つまり、いくらケーキを大量に買い込もうが、クッキーを大量に買い込もうが困ることにはならないのだ。
 ある意味では安心して買って行っても良い場所ということになる。
 シュラインは草間興信所と書かれている扉を押し開けた。
 「零ちゃん、武彦さ・・・」
 「あ〜っ!誰か来たぁ〜!」
 中へと呼びかけた声は、中からの叫びにも似た声でかき消された。
 数度瞬きをし、見つめた先には見慣れない1人の少女が立っていた。
 そしてその後・・草間武彦がいそいそと何かの支度をしているのが見えた・・・。
 「さぁさぁ、入って入って!」
 少女に引き連れられるままに中に入って行くと、武彦がニヤリと微笑んだ。
 その視線は机の上にぽんと置かれてある文庫本サイズほどに畳まれた紙へと注がれている・・・。
 なんだか嫌な予感がする・・・。
 「さぁ、座って座って!」
 少女の手によって、シュラインは並べられている椅子の一つに座らされた。
 「な・・なに・・??」
 「ふー、これで一人捕獲っと!」
 爽やかに微笑む少女の、瞳の奥は微笑んでなんていなかった・・・。


■さぁ、双六を始めましょう!

 ぐるりと円形に座らされた一同の顔を、紅咲 閏が順々に眺める。
 そして、にっこりと微笑むと机の上の双六を取り上げた。
 「さぁさぁ、皆様!コレより双六を開始するための手続きを開始いたしまぁ〜す!」
 「・・手続きなんてあるの?」
 「はい、ありますよ〜。さぁ、まずはシュライン エマさん!こちらに来て・・。」
 閏はそう言うと、シュラインを手招きした。
 シュラインがおずおずと席から立ち上がり、閏の前へと歩み出る。
 閏はさっとシュラインの手を取ると、双六の上に乗せた。
 「はい、コレでもう大丈夫ですよ!次、神納 水晶(かのう みなあきら)さん!」
 水晶もシュラインと同じように双六の上に手を乗せる。
 「次、深山 揚羽(みやま あげは)さん!」
 「ジュジュ ミュージーさん!」
 「狩野 宴(かのう えん)さん!」
 「斎 黯傅(いつき くろもり)さん!」
 「葉陰 和歌(はのかげ わか)さん!」
 「大曽根 つばさ(おおそね つばさ)さん!」
 「如月 緑樹(きさらぎ えんじゅ)さん!」
 ポンポンと、リズム良く名前を呼んでは双六の上に手を乗せさせる。
 もっとも、手ではなく肉球を乗せたものもいたが・・・。
 「次、草間 武彦さん!」
 名前を呼ばれた武彦が、まってましたとばかりに立ち上がると双六の上に手を乗せた。
 最後に閏も手を乗せて、ポンと双六を机の上に放り投げた。
 「これで手続き終了です。」
 「・・アレだけネ・・?」
 「はい。これでもう皆さん・・双六をやらざるを得なくなりました!」
 閏はにっこりと微笑むと、ぴっと、細く切った紙を取り出した。
 「・・これはなんだ?」
 「順番を決めるための紙ですさぁさぁ、皆様引いてください!」
 閏はそう言うと、グイっと皆の目の前に紙を突き出した。
 緑樹から時計回りに紙を引いて行く・・・。
 「さぁ、皆さん引きましたね?まだ紙は見ないで下さいっ!これより注意事項をいくつか説明します。」
 ピッと人差し指を突き出す。
 「一つ、双六は最高6人グループでやらなければなりません。よって、5,4で皆様を2つに分けたいと思います。5人チームの方には草間さんが付き、4人チームの方には草間さんと私が付きます!」
 閏は自分の持っていた紙を表に返した。
 そこには青い星の絵柄が書かれている・・・。
 「星の絵柄が書かれている方が、4人チームです。次に、これが最重要注意事項なのですが・・・。」
 一呼吸置く。
 その間が、なんとも不気味だ・・・。
 「双六は一度始めると途中で終了できません。皆様、今のうちに支度を済ませてください。」
 “何の支度ですか?”などと間抜けにきくものは誰もいなかった。
 言わずとも知れた事だった・・それを人は暗黙の了解と言う。
 気のきいた数人が席を立ち、茶菓子だなんだと持ってくる。
 更にもっと気のきいた人達は、一人一人に救急セットを手渡していく・・・。
 「それにしても武彦さん、どっちもの双六に参加するなんて、大丈夫なの?」
 「あぁ、もし2つともで憶万世長者になったら、一気に兆億万長者だな!」
 無邪気に笑う武彦が、何故か酷くかわいそうな・・それでいて純粋な人のように見えてくる・・・。

 ●音符グループ

 先ほどひいた紙を机の上に並べ、順番どおりに席に着いた。
 数字の隣には閏とは違う、音符のマークが描かれていた。
 順番はこうだった。

 シュライン→水晶→揚羽→ジュジュ→宴→武彦

 「ね、武彦さん。素朴な疑問なんだけど・・・反対に赤貧になる可能性もあるって事じゃないの?」
 シュラインがそう言い、武彦以外の全員が大きく頷く。
 「・・・えぇっ!?」
 かなりオーバーリアクションの武彦を横目で見ながらジュジュが言う。
 「むしろそっちの可能性のほうが大きいデショ?」
 「でも、例えば“ジュマンジ”のごとく、サイコロの着地点で『どんどこどんどこ』とノリノリのリズムが鳴って、“人生ゲーム”のごとく、金の卵を産んじゃう鶏と会っちゃったりしちゃうのかしらー・・・♪」
 武彦と同じかそれ以上に無邪気な発言をしたのは揚羽だった。
 「草間さんとか、喜びそうよね。」
 笑いながらそう付け足すが、先ほどの“赤貧”発言が未だに傷になっている模様の武彦にはその声は届いていない。
 「双六は、盤上遊戯として位置づけられている。盤上遊戯の最古のの一つはイラクの国立博物館に展示されていたんだ。」
 水晶は言いながら、テーブルの上に置かれている双六を指先でつついた。
 「湾岸戦争で博物館も被爆したとの報もあるが・・。同国立博物館には、紀元前3200年頃のウル第一王朝かソレよりも古いとされる遊戯盤があるそうだ。」
 「へ〜。そうなんだ・・。」
 「日本最初の歴史書『日本書紀』には689年に『禁断双六』と記述されている。現存する最古の双六は正倉院北庫に所蔵されている『木画紫檀双六局(もくがしたんのすごろくきょく)』だ。」
 「良く知ってるわねぇ。」
 「その後も、双六に関して記されている書物はいくつかある。『栄華物語』『大鏡』『今昔物語』など・・。そして、絵双六が成立したのが江戸時代。浄土双六と言って、上がりは極楽浄土だった・・。」
 まるで昔を懐かしむように語る水晶に、とっても不思議な瞳を向ける面々。
 それもそうだ。
 どう見たって水晶の外見は20歳そこそこだったし・・実際年齢もそうなのだろう。
 それなのに、まるで見てきたかのように語る水晶は、ハタから見たらとっても不思議な人である。
 「とにかく、せっかく可愛いお嬢さん達もいる事だし・・ぜひドキドキ☆させてもらいたいね。」
 そう言って微笑みながら一同を見渡すのは宴だ。
 視線はシュライン、揚羽、ジュジュの上を行ったり来たりしている・・・。
 「それでは、始めまショ、カ?」
 ジュジュの少々遠慮がちな提案に、一同は大きく頷くと双六を開いた・・。


 ○第一投目

 シュライン→5
  『貴方の目の前に小さな箱が見えますね?双六!からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください。』
 グラリと視界が揺れ・・目の前にあったはずの興信所の風景が掻き消えた。
 代わりに現れたのは、RPGゲームなどで良く見かける宝箱だ・・。
 シュラインはそっとフタに手をかけると、パカリと開いた。
 そこにはビスクドールが横たわっていた。
 (ビスクドール・シンディー入手)

 水晶→2
  『さて、ここは舞台の上です。貴方がジュリエット、貴方の前の方がロミオ。『あぁ、貴方はどうしてロミオなの!?』と感情タップリに言ってください。そして・・ロミオさん、貴方が何故ロミオなのか説明してあげてください。』
 ボンヤリと視界が霞んだかと思うと、強烈なライトの光を浴びせられて水晶は瞳を伏せた。
 ライトの熱は四方八方から水晶を照らし出し、熱くさせる。
 ぱっと服を見ると・・何故かアンティークドレス調のドレスに身を包んでいた。生地はポンパドゥール風だ・・。
 細身の水晶には良く似合っている・・。
 「おぉロミオ・・。貴方はどうしてロミオなの?」
 水晶の口から、勝手に言葉があふれ出す。
 その声は哀愁を帯びていた・・。まさに、演技に浸っている。
 ぱっとスポットライトが別の場所を指し示す。そこには、ピシっとした王子服を身に纏ったシュラインの姿があった。
 細みのシュラインには、黒の生地が良く似合う・・。
 「・・そもそも、ロミオって言うのは親がつけた名前であって、そこに何故と質問されても私には答えようが・・・。」
 シュラインが、困惑したように言葉を紡ぐ・・・。
 かなり一理ある意見だ・・。

 揚羽→6
  『ゼハールポイント』
 急に双六から白い煙が出たかと思うと、そこから1人の少女が出現した。
 違う・・正確には、少女の顔をした男の人だ。大きな鎌を持ち、恭しく揚羽に頭を下げる。
 「お呼びでしょうか?」
 「え・・貴方は・・??」
 「私は堕天使ゼハールです。貴方様は今私を召喚なさりました。」
 「・・召喚って言っても・・ただ・・。」
 「マスター。貴方様の願いはなんでしょうか?」
 ゼハールはそう言うと、すっと揚羽を見た。
 「そうは言われても・・。でも、私が願いを言わなければ、あなたは帰れないのよね?」
 揚羽の質問に、ゼハールはただ首を縦に振った。
 「う〜ん・・そうだなぁ・・。あっ!もし、興信所が爆破とか、壊滅とかになっちゃいそうになった場合・・無効にすることって、できるかしら?」
 「分りました。仰せのままに。」
 ゼハールはそう言って僅かばかり目を伏せた後で、再び双六の中へと入って行った・・。
 (興信所の破壊行為、無効)

 ジュジュ→2
  『さて、ここは舞台の上です。貴方がジュリエット、貴方の前の方がロミオ。『あぁ、貴方はどうしてロミオなの!?』と感情タップリに言ってください。そして・・ロミオさん、貴方が何故ロミオなのか説明してあげてください。』
 ボンヤリと視界が霞んだかと思うと、強烈なライトの光を浴びせられてジュジュは瞳を伏せた。
 ライトの熱は四方八方からジュジュを照らし出し、熱くさせる。
 ぱっと服を見ると・・何故かアンティークドレス調のドレスに身を包んでいた。生地はポンパドゥール風だ・・。
 豊満な体型のジュジュには良く似合っている・・。
 「おぉロミオ・・。貴方はどうしてロミオなの?」
 ジュジュの口から、勝手に言葉があふれ出す。
 その声は哀愁を帯びていた・・。まさに、演技に浸っている。それに加えて、表情までもが舞台女優顔負けのものがあった。
 主演女優賞でも取れそうな勢いだ。
 ぱっとスポットライトが別の場所を指し示す。そこには、ピシっとした王子服を身に纏った揚羽の姿があった。
 細みの揚羽には、黒の生地が良く似合う・・。
 「・・おぉ、ジュリエット!モンタギューとキャピュレットの・・」
 揚羽もノリノリでジュジュの言葉に応える。
 こちらも、主演男優賞でも取れそうな勢いがある・・。

 宴→6
  『ゼハールポイント』
 急に双六から白い煙が出たかと思うと、そこから1人の少女が出現した。
 違う・・正確には、少女の顔をした男の人だ。大きな鎌を持ち、恭しく宴に頭を下げる。
 「お呼びでしょうか?」
 「君は・・??」
 「私は堕天使ゼハールです。貴方様は今私を召喚なさりました。」
 「・・召喚って言ったって・・。」
 「マスター。貴方様の願いはなんでしょうか?」
 ゼハールはそう言うと、すっと宴を見た。
 「そうは言われても・・。でも、そうだなぁ・・。私が願いを言わなければ、君は帰れないんだよね?」
 宴の質問に、ゼハールはただ首を縦に振った。
 「それじゃぁ、ここにいる可愛いお嬢さん達他、ここにいる面々に危害が及ぶような事が無いように・・。君の力で出来るかな?」
 「分りました。仰せのままに。」
 ゼハールはそう言って僅かばかり目を伏せた後で、再び双六の中へと入って行った・・。
 (過度の怪我の回避)
 
 武彦→5


 ☆揚羽&宴→シュライン&武彦→水晶&ジュジュ

 
 ●第二投目

 シュライン→2 (7)
  『未来予想です。貴方は・・10年後に・・・3人の子供を授かるでしょう。ちなみに名前は一番最初から『すご』『禄』『青』でなくてはなりません。』
 「・・未来予想って言うの、これ?」
 どちらかと言うと、予想と言うより予言である。
 「それより、これって確か書いてある事が実現するって・・。」
 水晶の呟きに、シュラインは引きつり笑顔で武彦を見つめた。
 「・・それにしても、名前が“すご”“禄”“青”とは・・・。」
 なんとも可哀想な名前である。
 「って言う事は、10年後に本当になるって言う事なのっ!?」
 ・・多分その通りである。

 水晶→5 (7)
  『未来予想です。貴方は・・10年後に・・・3人の子供を授かるでしょう。ちなみに名前は一番最初から『すご』『禄』『青』でなくてはなりません。』
 「・・うおっ!俺もココにっ!」
 水晶はそう呟くと、既に未来確定済みになっているシュラインを見つめた。
 すがるような視線に、同情の視線を返される。
 『すご』『禄』『青』
 ここにまた1人、犠牲者が増えた・・。

 揚羽→2 (8)
  『ピンチです!この部屋にある何かが今・・まさに爆発しようとしています!!』
 「えっ!?な・・なにコレっ!?」
 揚羽は言いながら、辺りをキョロキョロと見渡した。
 どこにも異変はないように思える・・。
 「でもさっき揚羽ちゃん、頼んでたし・・。」
 「多分なにも起こらない。デショ?」
 シュラインとジュジュがそっと呟く。
 揚羽は先ほどゼハールにお願いした事を思い出すと、すとりと席に着いた。
 「そうだよねぇ、別に何も起こらな・・。」
 言いかける揚羽の言葉を、巨大な爆発音が遮る・・が、興信所内で何かが爆発した形跡はない。本当に、音だけだった。
 「これは・・さっき頼んでなかったらココ、吹っ飛んでたかもな。」
 水晶の言葉に、一番顔色を青くしたのは武彦だった・・。

 ジュジュ→3 (5)
  『貴方の目の前に小さな箱が見えますね?双六!からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください。』
 グラリと視界が揺れ・・目の前にあったはずの興信所の風景が掻き消えた。
 代わりに現れたのは、RPGゲームなどで良く見かける宝箱だ・・。
 ジュジュはそっとフタに手をかけると、パカリと開いた。
 そこにはビスクドールが横たわっていた。
 (ビスクドール・シンディー入手)

 宴→3 (9)
  『貴方から3つ前の人と一緒にドナドナを哀愁タップリに歌い上げてください。そして・・貴方の後ろの人・・子牛役に決定です。室内を一周してください。』
 水晶、宴(歌)、武彦(子牛役)
  水晶と宴がノリノリで歌いながら、武彦の入った荷馬車ならぬ、台車を引いている。
 台車の上にちょこりと体育座りで座っている武彦がなんだか悲しい。
 歌とあいまって、やけに哀愁タップリだ・・。
  「モー。」
 武彦が、モロ棒読みで鳴く。
 しかし・・棒読みの割に哀愁が伝わってくる気がするのは気のせいだろうか・・?
 「モー。」

 武彦→6 (11)
  『あぁぁぁっ!大変です!今まさに、蜂の大群が貴方の背後からっ!』
 「え・・?おい、怪我とかはしないはずじゃ・・。」
 そう言ってオロオロとする武彦の背後から大量の蜂が飛んでくると・・たちまち武彦は蜂の中に埋まった。
 なんだかよくわけの分らない叫びが興信所内に木霊する。
 ・・・・・・・合掌。
 

 ☆武彦→宴→揚羽→シュライン&水晶→ジュジュ


 ○第三投目

 シュライン→4 (11)
  『あぁぁぁっ!大変です!今まさに、蜂の大群が貴方の背後からっ!』
 「えっ!?」
 驚くシュラインの背後より、大量の蜂が襲い掛かる・・。
 先ほどの武彦同様に蜂にもまれるか・・と思いきや、シュラインはその難を回避した。
 「あ〜驚いた・・。大丈夫?怪我はない?」
 「あ・・大丈夫・・。」
 シュラインをギリギリの所で助け出したのは宴だった。
 「そう、良かった。怪我なんてしちゃったら、大変だものね?」
 宴がそう言い、シュラインの頭にそっと手を乗せた。
 なんだかとっても良い男風の女性を前に、シュラインが小さく礼を言った。
 「ありがとう・・。」

 水晶→2 (9)
  『貴方から3つ前の人と一緒にドナドナを哀愁タップリに歌い上げてください。そして・・貴方の後ろの人・・子牛役に決定です。室内を一周してください。』
 水晶、宴(歌)、揚羽(子牛役)
  水晶と宴がノリノリで歌いながら、揚羽の乗った荷馬車ならぬ、台車を引いている。
 台車の上にちょこりと正座で座っている揚羽がなんだかとても愛らしい。
 哀愁タップリの歌とあいまって、こんな可愛い子牛・・じゃない、揚羽を売ってしまうなんて。と、涙を誘う。
  「モー。」
 揚羽が楽しそうに、一声鳴いた。なんだかとっても可愛らしい。
 「モー。」
 これには外野から拍手喝さいだ。

 揚羽→2 (10)
  『あぁっ!大変です!貴方の後ろの人が怪我をしています!』
 「アウチっ・・!!」
 突然ジュジュから声が上がり、指先に小さな血の玉が出来上がる。
 「大丈夫っ!?」
 揚羽は慌てて駆け寄ると、持っていた救急箱から絆創膏を取り出した。
 「ありがとうデェス。」
 「どういたしまして。」
 ジュジュと揚羽が微笑をかわす。
 (友好度が少しだけ上がりました。)
 
 ジュジュ→3 (8)
  『ピンチです!この部屋にある何かが今・・まさに爆発しようとしています!!』
 「ま・・またネ!?」
 ジュジュは言いながら、辺りをキョロキョロと見渡した。
 「うわぁぁっ!た・・たたた・・。」
 あきれ返るほどに取り乱しているのは武彦だった。・・まぁ、興信所内で爆発してしまった場合・・ここは瓦礫の山と化す。
 取り乱す気持ちも分らないでもないが・・。
 ジュジュはすっと、興信所内に置かれているソファーを指差した。
 「あそこが怪しいネっ!」
 すぐさま武彦がソファーに近づき・・ソファーの隙間から平らな箱を取り出した。
 その時、双六から警告音のようなものが流れ・・武彦を混乱の中に突き落とした。
 「わーわわわーっ!!」
 「・・あ、クリアって出てる。」
 水晶が双六を指差しながらポツリとそう言った。
 ジュジュの駒の止まっているマスには、赤い色でクリアと出ている。
 「つまり、見つければ自動的にクリアになるって事ね・・?」
 シュラインの言葉に、武彦以外の面々は大きく頷いた。

 宴→5 (14)
  『貴方は白雪姫です。7人の小人達と一緒に仲良く仕事を・・していますか?』
 グラリと視界が揺れ、目の前に小さな小屋が出現する。
 小屋の前にはカラフルな洋服を身に纏った小さな小人達・・。
 「仲良く一緒に仕事、してるよね?」
 宴が背後に薔薇を背負いつつ、小人達に囁いた。
 コクコクと首が吹っ飛びそうなくらいに小人達が大きく頷き、真っ赤なりんごを差し出した。
 ・・・毒りんご・・で、ない事はもはや明白だった・・・。

 武彦→5 (16)
  『早口言葉です。“隣の柿はよく客食う柿だ”』
 「隣の柿はよくきゃきゅきゅう・・ってぇ、ちょっと待った!!どうして柿が客を食うんだ!?」
 「・・そっちの方が言いにくいじゃない。」
 「デショ?」
 「確かに・・。」
 納得する一同の顔を見ながら、武彦は頭をかいた。
 「だからって、本来は・・っ!!」
 「・・常識でこれを考えちゃダメじゃないかしら。」
 シュラインのあまりにも的を得た意見に、武彦は大人しく椅子に座った。

 ☆武彦→宴→シュライン→揚羽→水晶→ジュジュ


 ●第四投目

 シュライン→3 (14)
  『貴方は白雪姫です。7人の小人達と一緒に仲良く仕事を・・していますか?』
 グラリと視界が揺れ、目の前に小さな小屋が出現する。
 小屋の前にはカラフルな洋服を身に纏った小さな小人達・・。
 「仲良く一緒に仕事、してるわよね?」
 シュラインがニッコリと微笑みつつ小人達にきいた。
 コクコクと小人達が大きく頷き、真っ赤なりんごを差し出した。
 ・・・毒りんご・・で、ない事を祈る・・・。

 水晶→5 (14)
  『貴方は白雪姫です。7人の小人達と一緒に仲良く仕事を・・していますか?』
 グラリと視界が揺れ、目の前に小さな小屋が出現する。
 小屋の前にはカラフルな洋服を身に纏った小さな小人達・・。
 「仲良く一緒に仕事、してるよな?」
 水晶が背後に何か重く暗いものを背負いながらがニッコリと微笑みつつ小人達にきいた。
 コクコクと小人達が震えながら頷き、恐る恐る真っ赤なりんごを差し出した。
 ・・・毒りんご・・な事は、直ぐにわかった・・・。

 揚羽→6 (16)
  『早口言葉です。“隣の柿はよく客食う柿だ”』
 「隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ。・・お粗末さまでした。」
 揚羽がアナウンサー張りに素晴らしく滑らかな発音で難なく言ってのけた。
 これには一同大拍手だ。

 ジュジュ→1 (9)
  『貴方から3つ前の人と一緒にドナドナを哀愁タップリに歌い上げてください。そして・・貴方の後ろの人・・子牛役に決定です。室内を一周してください。』
 ジュジュ、シュライン(歌)、宴(子牛役)
 ジュジュとシュラインがノリノリで歌いながら、宴の乗った荷馬車ならぬ、台車を引いている。
 台車の上にちょこりと座って、キラキラとしたオーラを発している宴がなんだかとても眩しい。
 哀愁タップリの歌とあいまって、こんな眩しい子牛・・じゃない、宴を売ってしまうなんて。と、涙を誘う。
 「モー。」
 宴が楽しそうに、一声鳴いた。なんだかとっても美しい・・。
 「モー。」
 これには外野から拍手喝さいだ。

 宴→3 (17)
  『目の前に、枯れかけた鉢植えが見えますね・・?』
 突如宴の目の前に、小さな鉢植えが現れた。
 その中の花は茶色く元気がない。・・水が足りていないのだ。
 宴は直ぐにコップに水を汲むと、花へと注いだ・・。
 その瞬間、鉢植えから光が走り・・花の中から何か小さなものが飛び出した。
 『初めまして、ご主人様。わたくしの名前は瑠璃蝶々。瑠璃蝶々の精でございます。』
 「ご主人様って・・。」
 『この鉢植えを助けてくださり、どうもありがとう御座いました。お礼に、わたくしが誠心誠意尽くしてご主人様のお世話をさせていただきますわ。』
 「ご主人様じゃないよ。宴。狩野 宴だよ。」
 『・・ふふ、宴様・・ですね。それでは、なにかありましたら何なりとお申し付けくださいませ。』
 瑠璃蝶々の精はそう言うと、テーブルの上に置かれた小さなケースへと入って行った。
 (瑠璃蝶々の精を入手)

 武彦→4 (20)
  『今日はバニーガール日和です!偶数の方、皆さんバニーガールになりましょう!』  
 「え・・?」
 ポン、ポン、ポンと、軽快な音がして・・白い煙が辺りを包み込んだ。
 水晶、ジュジュ、そして・・武彦自身もバニーガールの姿へと変貌している。
 「くぅぅさぁぁまぁぁぁ〜〜・・!!」
 驚くほど低音ボイスで怒りをあらわにしているのは、水晶だ。
 しかし・・細身の身体にはバニーガールが良く似合う。足なんかは美脚と言っても過言ではない。
 「・・ミーも・・バニーガールデェスネェ?」
 ニッコリと微笑みながらも怒りをあらわにするのは・・ジュジュだ。
 豊満ボディーのため、胸元に視線が行くのは必然だ。
 そして最後・・あいたたた〜なのはこのマスに止まってしまった張本人の・・武彦だ。
 ジュジュはバニーガールが良く似合い、水晶も似合っている。
 しかし、武彦には少々無理があった・・。
 なんだか・・サラリーマンかくし芸大会を思い出す・・。
 まぁ、かくし芸ではないが。

 ☆武彦→宴→揚羽→シュライン&水晶→ジュジュ


 ○第五投目

 シュライン→2 (16)
  『早口言葉です。“隣の柿はよく客食う柿だ”』
 「隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ。」
 シュラインがアナウンサー張りに素晴らしく滑らかな発音で難なく言ってのけた。
 その声の良さともあいまって、これには一同大拍手だ。

 水晶→2 (16)
  『早口言葉です。“隣の柿はよく客食う柿だ”』
 「隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ、隣の柿はよく客食う柿だ。」
 水晶がアナウンサー張りに素晴らしく滑らかな発音で難なく言ってのけた。
 少し低めの綺麗な声とあいまって、これには一同大拍手だ。

 揚羽→6 (22)
  『ドキワク☆知能テストー!“毒草を三つ以上答えなさい!”』
 「え・・?何で毒草・・?・・ま、いっか。」
 揚羽は一応の納得を示すと、右手の指を折々宙に視線を彷徨わせる。
 「クララでしょう?彼岸花でしょう?ボタンヅルでしょう?ツルシキミ、バイケイソウ・・。」
 なんだかポンポンと出てくる毒草の名前に、双六がたまらず正解の音を鳴らす。
 「・・なんでそんなに知ってるんだ・・?」
 武彦がなんだかとっても血色の悪い顔で揚羽にきく。
 「・・さあ?」
 ケロリと言ってのける揚羽にほんの少しだけ、危機を抱いた瞬間だった・・。
 『補足:クララ→マメ科。薬草(胃薬)として用いられる。多量に煎じ液を飲む事による中毒事故あり。呼吸や脈拍が早くなる中毒症状が現れる。
     ヒガンバナ→ヒガンバナ科。山菜のノビルと間違えて食べてしまう中毒事故がある。嘔吐や下痢、神経麻痺などの中毒症状が現れる。
     ボタンヅル→キンポウゲ科。誤飲すると、口の中や食道などが腫れ上がる。汁液が皮膚に付着すると、皮膚の弱い人は赤く腫れ上がったりする。
     ツルシキミ→ミカン科。秋に赤く熟した丸い実を食べてしまうと、嘔吐や手足の痺れなどの中毒症状が現れる。
     バイケイソウ→ユリ科。山菜のウルイと間違えて食べてしまう中毒事故がある。誤飲すると嘔吐や下痢、神経麻痺などの中毒症状が現れる。』
 

 ジュジュ→4 (13)
  『貴方のお財布を見てください。・・増えているでしょう?』
 ジュジュはポケットに押し込んであったお財布を取り出すと・・そっと開いた。
 “千円増えていた!!”

 宴→3 (20)
  『今日はバニーガール日和です!偶数の方、皆さんバニーガールになりましょう!』  
 武彦同様、あの魅惑のゾーンにはまってしまった宴だが・・既に偶数の面々はバニーガールへと変身している。
 なので、何も起こらなかった。

 武彦→5 (25)
  『奇数の女の子はメイドさんに変身〜っ!』
 ・・・またしてもイロモノマスに止まった武彦。
 シュライン、揚羽、そして・・宴がメイド衣装へと変身する。
 「・・武彦さん・・?」
 シュラインの低い呟きに、武彦はワザとではないと言う事を全身でアピールする。
 「なんだか、この衣装動きやすいわね〜!」
 そう言ってキャッキャとスカートの裾をヒラヒラさせているのは揚羽だ。とっても楽しそうだ。
 「やっぱり、女の子のメイド姿はなんだか良いよね。」
 既に悟りの境地に入っている宴だったが、自身もロリロリメイド服だ。
 バニーガール(ガールじゃない方を含む)とメイドさん達。
 ハタから見たらこれは一体何の集団なのかと疑ってしまいたくなるような光景だった。
 ・・これが興信所内での出来事だから良い。
 しかし、もし・・これが外での出来事だったならば・・。
 拷問以外の何物でもない。精神的苦痛だ。最上級のイジメだ・・。

 ☆武彦→揚羽→宴→シュライン&水晶→ジュジュ


 ●第六投目

 シュライン→1 (17)
  『目の前に、枯れかけた鉢植えが見えますね・・?』
 突如シュラインの目の前に、小さな鉢植えが現れた。
 その中の花は茶色く元気がない。・・水が足りていないのだ。
 シュラインは直ぐにコップに水を汲むと、花へと注いだ・・。
 その瞬間、鉢植えから光が走り・・花の中から何か小さなものが飛び出した。
 『初めまして、ご主人様。わたくしの名前は瑠璃蝶々。瑠璃蝶々の精でございます。』
 「ご主人様って・・。」
 『この鉢植えを助けてくださり、どうもありがとう御座いました。お礼に、わたくしが誠心誠意尽くしてご主人様のお世話をさせていただきますわ。』
 「ご主人様じゃないわ。私の名前はシュライン エマよ。」
 『・・ふふ、シュライン様・・ですね。それでは、なにかありましたら何なりとお申し付けくださいませ。』
 瑠璃蝶々の精はそう言うと、テーブルの上に置かれた小さなケースへと入って行った。
 (瑠璃蝶々の精を入手)

 水晶→5 (21)
  『貴方の目の前に小さな刀がありますね?どうぞ、双六!からのプレゼントです。』
 突如目の前に、小さな剣が浮かび上がってきた。
 とても強い光を発するそれを・・水晶は手に取った。
 (七里刀入手)

 揚羽→4 (26)
  『珈琲タイム。双六!自慢の珈琲をさぁ、御賞味あれ!』
 揚羽の目の前に、湯気の立つ白い珈琲カップが置かれている。
 漂ってくる香りは甘く、それでいてほろ苦い。
 揚羽はそっと珈琲カップを持つと、一口だけ口に含んだ。
 甘い香りが口の中で広がり、全身に解け広がる・・。
 「美味しい・・。」
 揚羽はそっと呟くと、うっとりと目を閉じた。

 ジュジュ→6 (19)
  『本日は暑いですね〜。』
 「・・これは・・。」
 何かを言いかけたジュジュの背後から、猛烈に暑い熱風が吹き込んできた。
 ・・なんなんだこれはと、困惑する一同をよそに何処からとも無く熱風が吹き荒れる。
 “暑いですね〜”なんてレベルではないっ!
 サウナ以上だ!南の島以上だ!!
 ・・うだるような暑さの中、バニーガールとメイド達はそれでも双六に向かい合った・・。

 宴→3 (23)
  『お財布を見てください!ミラクルイリュージョンが起こっています!』
 「・・ミラクルイリュージョン・・?」
 宴は首をひねると、ポケットからお財布を取り出した。
 ・・なんだかとっても膨れている気がする。
 一瞬の躊躇の後に、お財布を開けた・・すると、中からは小さなものが次々と興信所内へ飛び散っていく。
 「な・・なに!?」
 「これななんデェスカァ!?」
 「・・一円玉・・?」
 水晶が空中に飛び散るその一つをキャッチして、一同に見せた。
 ・・何故一円玉が宴のお財布から飛び散っているのだろうか・・?
 「あ、なんか文字が浮かび上がってきたわよ。」
 揚羽の言葉に、一同が双六のマスを見つめた。
 『お財布の中身が全て一円玉に。ミラクルイリュージョンですっ!』
 ・・なんて迷惑なミラクルイリュージョンなのだろうか・・。

 武彦→2 (27)
  『レッツ社交ダンス!前の番号の人と一緒に社交ダンスを踊ってください!』
 前の番号・・宴だ。
 宴が物凄く不本意だと言いたげな表情で渋々武彦の手を取った。
 ・・宴が男性役で、武彦が女性役だ。
 しかし、自分がマスに止まってしまった以上は文句は言えない。
 宴は慣れた様子で華麗にステップを踏むが、武彦は数度宴の足を踏んだ。
 ハタから見ても、息があっていないのは明白だった。
 特に、武彦の社交ダンスっぷりは、そこらの社交ダンス初心者のサラリーマンよりも酷いと断言できるようなものだった・・・。

 ☆武彦→揚羽→宴→水晶→ジュジュ→シュライン


 ○第七投目

 シュライン→5 (22)
  『ドキワク☆知能テストー!“毒草を三つ以上答えなさい!”』
 「また毒草・・?」
 シュライン困惑しながらもは、右手の指を折々宙に視線を彷徨わせる。
 「アイリスでしょう?アマリリスでしょう?ルピナスでしょう、プリムラ、シクラメン・・。」
 ポンポンと出てくる毒草の名前に、双六がたまらず正解の音を鳴らす。
 「・・先ほどに引き続き・・なんでそんなに知ってるんだ・・?」
 武彦がなんだか凄く血色の悪い顔でシュラインにきく。
 「・・色々と使うから。」
 その言葉の裏には、仕事でと言う言葉が来る。
 作家であるシュラインにとって、毒草ですらも知識の一旦として記憶の中にストックされている。
 しかし何を思ったか、武彦は青白い顔でじっとシュラインの事を見つめていた。
 『補足:アイリス→アヤメ科。毒部分は全草、根茎、樹液。症状は皮膚炎、嘔吐、下痢、胃腸炎。
     アマリリス→ヒガンバナ科。毒部分は球根、花、葉。症状は嘔吐、下痢、血圧低下、肝障害。
     ルピナス→マメ科。毒部分は全草、種子。症状は嘔吐、心臓麻痺。
     プリムラ→サクラソウ科。毒部分、葉。症状は皮膚炎、かぶれ。
     シクラメン→サクラソウ科。毒部分、根茎。症状は皮膚炎、嘔吐、下痢、痙攣、胃腸炎。』

 水晶→3 (24)
  『さぁ、貴方はサーカスの熊です!玉乗りをしてください!』
 「は?玉乗り・・??」
 ボンっと鈍い音がして、水晶の身体の周りに白い靄が立ち込める・・。
 なんだか嫌な気がしてみてみると・・いつの間にかもじゃもじゃの茶色い毛が身体全体を覆っていた。
 実際には、ただ着ぐるみを着せられた状態だったのだが・・。
 目の前に大きくカラフルな玉が転がってくる。
 ・・これに、乗れと言うのだ。
 水晶はひょいと玉の上に乗ると、バランス良く玉の上で歩いた。
 これはサーカスの熊とどっこいどっこいか、それ以上の上手さだ!外野からも大きな拍手が巻き上がる!
 ・・もちろん、玉乗りを上手いと褒められても、どこか素直に喜べない所があったが・・。

 揚羽→2 (28)
  『貴方から後3人目の人の物まねをしてください!』
 後3人目・・。
 武彦だ。
 揚羽はゆるゆると武彦を見つめ、僅かばかり考え込むと・・テーブルの上においてあった武彦のタバコを1本だけ拝借した。
 人差し指と中指の間に挟み、ちょっとアンニュイ気味に窓の外を眺める。
 これは・・。
 「正確には草間ではなく、草間の目指している・・ハードボイルド風の物まねって事か?」
 水晶の問いかけに、揚羽はぱちんと指を鳴らした。
 確かに、武彦よりもかなりきまっていた。
 「俺はもっと・・こう・・。」
 何かを説明しようとして詰まっている武彦は、とうていハードボイルド風ではなかった。

 ジュジュ→6 (25)
  『奇数の女の子はメイドさんに変身〜っ!』
 またしてもイロモノだ・・。
 しかし、残念ながら奇数の女の子はすでに武彦の魔の手によってメイドへと変えられていた。
 ・・とっても意味深な表現の仕方だが・・。

 宴→6 (29)
  『さぁ、縄跳び5回!跳んで★跳んで!』
 宴の目の前に、長い紐が現れた。
 結構太さもある紐だ・・。
 その紐が、何の前触れも無く回り始めた。
 宴は何とか1回、2回と跳び・・あまり危なげない様子で5回跳び切った。
 「これは一体・・??」
 跳んだ意味がまったく分らずに、宴はすっと紐に手を伸ばした・・その時、その紐が動き・・宴の手に向かって大きな口をあけた。
 寸での所で宴は手を引っ込め、マジマジと紐を見つめた。
 ・・蛇・・??
 それは太い蛇が何匹も繋がって出来ている紐のようだった。
 つまり、引っかかった途端にジ・エンドだったと言う事だろうか・・?

 武彦→5 (32)
 
 ☆武彦→宴→揚羽→ジュジュ→水晶→シュライン


 ●第八投目

 シュライン→5 (27)
  『レッツ社交ダンス!前の番号の人と一緒に社交ダンスを踊ってください!』
 前の番号・・武彦だ。
 「ほら。」
 戸惑いながら席を立ったシュラインの手を、武彦が引き寄せる。
 ・・武彦が男性役で、シュラインが女性役だ。
 息の合ったステップで、華麗に踊る。
 先ほどは初心者サラリーマンよりもヘタだったステップも、何とか社交ダンス歴3ヶ月のサラリーマンくらいには見える。
 とっても大きな進歩をした・・様に思える。が、シュラインがなかなか華麗なステップを踏むので、結局武彦は初心者サラリーマンに見えてしまう・・。

 水晶→3 (27)
  『レッツ社交ダンス!前の番号の人と一緒に社交ダンスを踊ってください!』
 前の番号・・シュラインだ。
 「よろしくね。」
 先ほど踊ったばかりのシュラインが、にこやかに水晶に手を伸ばす。
 ・・水晶が男性役で、シュラインが女性役だ。
 最初はステップがわからなく戸惑っていた水晶だが・・徐々にステップを覚えていくと、華麗にシュラインをリードしていく。
 なんだか2人の背後にシャンデリアと赤絨毯が見える・・・。
 これには拍手喝采だ。
 どこかの舞踏会でも見てきたような気分だ。

 揚羽→2 (30)
  『大変です!果たし状がっ!!』
 「・・果たし状・・?」
 首をひねる揚羽の背後から、矢文が飛んできた!!
 興信所の硝子を突き破り、一直線に飛んでくる矢文を揚羽が難なく避ける。
 ザクリと興信所の机に刺さり・・武彦が狂いそうになりながら硝子と机を指差す。
 「ダイジョーブ。興信所の破壊行為無効・・デショ?」
 ジュジュの言葉どおり、瞬きをするうちに硝子は何事も無かったかのように元通りに戻っていた。
 机も、矢文を取った場所に穴なんてあいていない。
 揚羽は矢から手紙をとると、開いた。
 『果たし状』
 そして大きな空白の後。
 『果たしました。』
 ・・・完全に“なに”の部分が抜けている。
 何が果たされたのか、さっぱり分らない。
 揚羽はクシャリと紙を潰すと、ポイとゴミ箱へ投げ入れた。

 ジュジュ→6 (31)
  『お財布の中を見てください。ちょこっとですが、ほんのお気持ち程度に。』
 ジュジュはすっとお財布の中を見た。
 なんと・・!!!
 『400円』増えているではないかっ!!
 ・・・これでコンビニのおにぎりが3つは買える・・。
 なんだかほんの少しだけ得した気分だった。

 宴→3 (32)
  『この部屋に爆発物が隠されてマース。さぁ、直感でドーゾ!』
 「また爆発物ネタかぁ・・。」
 宴は少々困ったように眉をひそめたが・・本当に勘でぱっと指差した。
 そこは武彦がいつも座っている椅子の上だった。
 武彦が大慌てでそこを見に行った時・・先ほどまで武彦が座っていた席から爆発音が響いた。
 モチロン、ゼハールに興信所の破壊行為の無効を願っただけあり・・ただ“爆発音だけ”が響いたのだが・・。
 「うわぁ、草間さんの席、モロだったわねぇ。」
 「危機一髪って感じかしら・・?」
 「狩野・・お前・・。」
 物凄く凄く勘違いしたような視線を、宴に向ける。
 「お前は命の恩人だっ!」
 「・・ハハ、どうも・・。」
 宴が明後日の方向を見ながらそう呟いた・・。

 武彦→5 (37)
  『大変です!上から鉛球がっ・・!!』
 「鉛だ・・ま・・・?」
 武彦がゆっくりと、上を見上げる・・。
 そこには巨大な鉄の塊がデンと構えていた。
 丁度お誕生パーティーとかで割る須玉と同じくらいの大きさだ。
 可もなく不可もなく、大きすぎず小さすぎず・・。
 「・・・わーっ!!!」
 鉄の玉が、かなりのスピードで武彦の頭に落ちてくると・・一瞬のうちに押しつぶした。
 「キャーっ!!」
 「わーっ!!」
 興信所内は大パニックである。
 たった今、目の前で殺人事件が起こったのだ!のん気に双六などしている場合ではないっ!
 凶器は鉛球、犯人は・・・。
 すーっと一同の視線がテーブルの上に広げられている双六に集まる。
 犯人は、双六である。もしくは、コレを持って来た紅咲 閏か・・。
 視線が双六に集まっているうちに、鉛球が消えうせた。
 そして・・。
 「いたたた・・。」
 無傷の武彦氏。
 「そう言えば、ゼハールちゃんに・・怪我の回避をお願いしてたっけ。」
 揚羽の言葉ではっと思い出す、ほんの一時間前くらいの出来事・・。
 とっても騒ぎ損のような気がして、深いため息をついた。

 ☆武彦→宴→揚羽→ジュジュ→シュライン&水晶


 ○第九投目

 シュライン→4 (31)
  『お財布の中を見てください。ちょこっとですが、ほんのお気持ち程度に。』
 シュラインはすっとお財布の中を見た。
 なんと・・!!!
 『300円』増えているではないかっ!!
 ・・・これでコンビニのおにぎりが2つは買える・・。
 なんだかほんの少しだけ得した気分だった。

 水晶→2 (29)
  『さぁ、縄跳び5回!跳んで★跳んで!』
 水晶の目の前に、長い紐が現れた。
 結構太さもある紐だ・・。
 その紐が、何の前触れも無く回り始めた。
 水晶は難なく1回、2回と跳び・・素晴らしい運動神経で軽く跳び終えた。
 「これは何だったんだ・・??」
 跳んだ意味がまったく分らずに、水晶はすっと紐に手を伸ばした・・その時、その紐が動き・・水晶の手に向かって大きな口をあけた。
 寸での所で水晶は手を引っ込め、マジマジと紐を見つめた。
 ・・蛇・・??
 それは太い蛇が何匹も繋がって出来ている紐のようだった。
 つまり、引っかかった途端にジ・エンドだったと言う事だろうか・・?

 揚羽→6 (36)
  『双六!終了まで貴方は姫です!さぁ、この衣装をっ!』
 ポンと乾いた音がして、白い煙がもうもうと立ち上った。
 揚羽はむせかえりながらも自分の服を見つめた・・。
 姫・・と言うよりは、ゴシックロリータ。ゴスロリというよりは、どこぞの魔女・・。
 真っ黒なスカートの裾には真っ白のレースがひらひらと付き、靴は膝下まである編み上げブーツ。
 そして・・何故かオプションとして木の杖が付いている・・。
 ・・真横に大なべが見えてくるから不思議だ・・。
 それでも可愛らしく見えるのは、揚羽がそれなりにその格好を楽しんでいるからだろう。

 ジュジュ→4 (35)
  『目の前で小さな女の子が泣いています!』
 グニャリと視界が歪み、目の前に何処かの街角の風景が広がる。
 真っ白なワンピースを着た女の子が目の前でシクシクと泣いている・・。
 ジュジュはその子にそっと近づくと、柔らかく頭を撫ぜた。
 「どうしたんでぇすカァ?」
 「ひっく・・えぇっく・・。だ・・だって・・ここ・・・。」
 「ここがどうしたんデスカァ?」
 「“目の前で小さな女の子が泣いています”って言う、マス・・でしょう・・?」
 女の子はそう言うと、顔を上げた。
 「・・演技で泣くのって、大変だよね。」
 その瞳は濡れてはいたものの、悲しみには染まっていなかった。
 ・・とってもやるせない気持ちのまま、ジュジュは再び草間興信所へと舞い戻って行った・・。

 宴→4 (36)
  『双六!終了まで貴方は姫です!さぁ、この衣装をっ!』
 ポンと乾いた音がして、白い煙がもうもうと立ち上った。
 宴はむせかえりながらも自分の服を見つめた・・。
 姫・・と言うよりは、ゴシックロリータ。ゴスロリというよりは、どこぞの魔女・・。
 真っ黒なスカートの裾には真っ白のレースがひらひらと付き、靴は膝下まである編み上げブーツ。
 そして・・何故かオプションとして木の杖が付いている・・。
 なんだか真横に大なべが見えてくるから不思議だ・・
 ・・余計な事を言ってしまったら、隣にある・・とても幻覚とは思えないほどリアルに浮かび上がっている大なべの中に入れられてしまいそうなほどの迫力がある。

 武彦→1 (38)

 ☆武彦→揚羽&宴→ジュジュ→シュライン→水晶


 ●第十投目

 シュライン→3 (34)
  『さぁ、元素記号!5個以上は答えてください!』
 「元素記号・・?えぇっと・・。」
 シュラインが虚空を見つめながら指を折る。
 「水素がH、ヘリウムがHe、リチウムがLi、ベリリウムがBe、硼酸がB、炭素がC、窒素がN、酸素がO・・。」
 シュラインが原子番号順にスラスラと言っていく。
 このままではローレンシウムのLrまで言ってしまいそうな勢いに、双六が正解の音を出した。

 水晶→6 (35)
  『目の前で小さな女の子が泣いています!』
 グニャリと視界が歪み、目の前に何処かの街角の風景が広がる。
 真っ白なワンピースを着た女の子が目の前でシクシクと泣いている・・。
 水晶はその子にそっと近づくと、柔らかく頭を撫ぜた。
 「どうしたんだ?」
 「ひっく・・えぇっく・・。だ・・だって・・ここ・・・。」
 「ここが・・なんだって?」
 「“目の前で小さな女の子が泣いています”って言う、マス・・でしょう・・?」
 女の子はそう言うと、顔を上げた。
 「・・演技で泣くのって、大変だよね。」
 その瞳は濡れてはいたものの、悲しみには染まっていなかった。
 ・・とってもやるせない気持ちのまま、水晶は再び草間興信所へと舞い戻って行った・・。

 揚羽→1 (37)
  『大変です!上から鉛球がっ・・!!』
 「鉛球?さっきの草間さんと一緒ね・・!?」
 揚羽が、さっと上を見上げる・・。
 そこには巨大な鉄の塊がデンと構えていた。
 丁度お誕生パーティーとかでわる須玉と同じくらいの大きさだ。
 可もなく不可もなく、大きすぎず小さすぎず・・。
 その後に続く惨劇を知っていた揚羽は、すぐに脇に退くと何とか鉛玉をやり過ごした。
 ・・武彦の犠牲のおかげである。
 「ありがとう、草間さん。助かっちゃった。」
 「・・あぁ・・。」
 爽やかに微笑む揚羽に、武彦は苦い微笑を返した。

 ジュジュ→3 (38)
  『今日は寒いですね〜。』
 ・・暑いに引き続き、今度“寒い”だ。
 ジュジュの背後から強烈な冷気が襲う・・が、未だに暑い部屋には丁度良いそよ風だった。
 つまり・・プラスマイナスゼロだ。

 宴→5 (41)
  『カインとアベル・・知っていますか?』
 「カインとアベル・・?って、聖書に出てくるカインとアベルの事・・かな?」
 双六が正解の音を鳴らし、宴は一つだけ頷くと言葉を紡いだ。
 「土地を耕すもののカイン、羊を飼うもののアベル。2人はエバから産まれた兄弟だ・・。」
 宴はほんの少し何かを考えるように目を伏せた後で、再び双六へと視線を戻した。

 武彦→3 (41)

 ☆宴&武彦→ジュジュ→揚羽→水晶→シュライン

 ○第十一投目

 シュライン→5 (39)
  『未来予想図です・・。』
 そこまで見て、シュラインは思わず身構えた。
 先ほどの未来予想図では勝手に子供の名前まで決められてしまったのだ・・!
 『貴方は、3年後に・・猫を飼うでしょう!』
 「なんだ・・。」
 シュラインはほっと、息をついた。

 水晶→3 (38)
  『今日は寒いですね〜。』
 水晶の背後から強烈な冷気が襲う・・暑い寒いと来て、丁度良い温度になっていた室内が・・一気に寒くなる。
 つまり・・プラスマイナスマイナス=マイナスだ。

 揚羽→2 (39)
  『未来予想図です・・。貴方は、3年後に・・猫を飼うでしょう!』
 「そうなんだ!?それじゃぁ今から名前を決めておかないと。」
 揚羽はかなり乗り気でそう言うと、名前候補の一つをあげた。
 「ペロポンとか、可愛いかも知れないわねぇ〜。」
 ・・それはちょっと可哀想だ。

 ジュジュ→4 (42)
  『さぁっ!イリュージョンですっ!』
 ジュジュは思わず身構えた。
 先ほど宴がイリュージョンです!と言うマスに止まった時・・お財布の小銭が全て一円玉になるという不幸が生じたのだ。
 今度は何が起こるか・・。
 「あ・・・あ・・あの・・!!」
 パクパクと口を開閉しながらジュジュを指し示す、揚羽。
 その顔はなんだか青い。
 グルリと一同を見つめる。皆一様に口をあけて驚いた顔をしている。
 「・・なんデェスカぁ・・・?」
 「かみ・・かみ・・かみっ・!!」
 「カミ・・?」
 ジュジュはハテナマークいっぱいの視線を向けながらも、自分の髪の毛を触った。
 別段変わりは・・。
 サラサラと、髪を手ですく。
 サラサラ・・・サラサラ・・サラサラ・・サラサラ・・サラサラサラサラサラ・・。
 「なっ!!」
 ジュジュは思わず自分の髪の毛を引っ張った。
 髪の毛は・・ジュジュの足元まで伸びている!!
 髪の毛が伸びる呪の人形よりも早い伸び具合だった・・。

 宴→3 (44)
 『ゴール!』

 武彦→1 (42)
  『さぁっ!イリュージョンですっ!』
 先ほどのジュジュと同じ所で止まり・・武彦はとてもショックを受けたような顔をして呆然と自分の髪を見つめた。
 サラサラと、流れる髪は長すぎて、何時の間にやら踏んでいたとか・・。
 思わず一句詠んでしまう。

 ☆宴(ゴール)→ジュジュ&武彦→揚羽&シュライン→水晶

 ●第十二投目

 シュライン→1 (40)
  『お財布の中を見てください!・・イリュージョンです!』
 「・・また、お財布の中身が一円になってたりとかだったらどうしよう・・。」
 恐る恐るお財布を開くシュライン。
 しかし、一円玉飛び出し大パニックは回避したようだ。
 その代わり・・なんだか札入れがパンパンになっている。
 「えっ・・?」
 驚いてお札を引っ張り出すシュライン。
 目に映る、見慣れぬ肖像がの人物。そして・・印字される“一億”の文字。
 「・・一億円札・・!?」
 「な・・なんだって!?」
 武彦がすかさずシュラインの手から一億円札を抜き、まじまじと見つめる。
 ちゃんと透かしも入った・・本物だ!
 1枚2枚・・ぎっしりと入っているお札は30枚くらいだろうか・・?
 「って事は、30億円!?」
 はしゃぐ武彦。それを、冷ややかな目で見つめる水晶とシュライン。
 「でも・・。」
 「使えないんじゃん?」
 「使えないんじゃない?」
 「・・なんで?」
 「だって、そんなお札・・。」
 「ないじゃん。」
 「ないじゃない。」
 シュラインと水晶が完璧にハモって事の真相を伝える。
 ボトリと落ちた億円札の肖像画の人物が、僅かに笑んだ気がした・・。

 水晶→6 (44)
  『ゴール!』

 揚羽→1 (40)
  『お財布の中を見てください!・・イリュージョンです!』
 シュラインに続いてそのマスに止まった揚羽は、少しだけ諦めたような微笑を浮かべながら財布を開いた。
 ・・全て億円札になっているお財布の中。
 まったくもって用途のない億円札は、持っているだけ重かった・・。

 ジュジュ→4 (44)
  『ゴール!』

 宴(ゴール済)


 武彦→1 (43)

 ☆宴→水晶→ジュジュ→武彦シュライン&揚羽


 ○第十三投目

 シュライン→4 (44)
  『ゴール!』

 水晶(ゴール済)

 揚羽→6 (44)
  『ゴール!』

 ジュジュ(ゴール済)

 宴(ゴール済)

 武彦→5 (44)
  『ゴール!』

 ☆宴→水晶→ジュジュ→シュライン→揚羽→武彦


□双六終了の後

 「お・・終わった・・。」
 わけの分らない疲労感でいっぱいになった一同は、グッタリと机の上に身体を預けた。
 興信所が破壊される事も、死人が出なかったことも・・全てはゼハールのおかげであった。
 「もし、あの願いが無かったら、どうなってたんだろうな?」
 水晶の呟きに、思わず双六の内容を振り返る。
 ・・・まず、興信所は爆破され・・そして少なくとも、武彦は鉛玉によって命を奪われていた。
 「それにしても・・どこが億万長者なんだ!?どこがっ!」
 武彦は言いつつ、少し遠くのほうから一同を眺めている閏へと視線を向けた。
 「・・億万長者じゃないですか。十分。」
 シュラインと揚羽を交互に指しながら閏は口を尖らせた。
 確かに、億万長者は億万長者だ。なにせ、財布の中身が全て億円札に変わってしまったのだから・・。
 しかし・・使えなければ意味がない。
 「大体、人生にそんな棚ぼた的な都合の良い事が起こるとは思えませんし。」
 閏が結構シビアな発言をする。
 たしかに・・そうである。
 そう言えば、この双六も『ドキドキ☆人生の縮図のようだよ!大双六大会!【青の書】』と言うのが正式名称だった気がする。
 そりゃぁ、人生の縮図のようだよ!で、億万長者はあまりにも飛躍しすぎだ。
 「なにせ人生の縮図なんですから・・」
 「あんな危険な人生が起こってたまるかっ!!」
 武彦がソファーと、窓と、天井を指し示しながら言う。
 つまり、爆弾と、矢文と、鉛球だ。
 「ソレも全て人生の・・・」
 「そんな人生あってたまるかぁっ!!!!!」
 ・・・それには激しく納得である。

 ★エピローグ

 皆が帰った後の興信所内を、シュラインと零が片付ける。
 すでに灰となった武彦はぐったりとソファーの上で力尽きている。
 使ったコップを流しへと持って行き、落ちているゴミを拾う。
 そこでシュラインははっと双六内で貰った物の事を思い出した。
 テーブルの上に置かれている、ビスクドールの人形と小さなケース。
 ビスクドールはただじっと前を見ている・・。
 「シンディーちゃんって、名前だったかしら・・?」
 シュラインはそっと、その金色の髪に触れた。
 そして・・テーブルの上にちょこんと置いてある、名刺サイズほどのクリアピンクのケースを手に取った。
 右隅に蝶々の絵がプリントされている・・。
 シュラインはケースを開けた。
 紫色の光を纏いながらケースの中より現れる、瑠璃蝶々の精・・。
 すると、急にシンディーの瞳がかっと光った。
 「な・・なにっ・・!?」
 『霊がいるで〜!霊がいるで〜っ!このちかくに霊がいるで〜!ごっつ、近くに霊がいるで〜っ!!』
 シンディーがしゃべりだす!
 ・・何故関西弁なのだろうか・・。
 『失礼ねっ!私は精霊よ!瑠璃蝶々の精よ!!霊じゃないわっ!!』
 『霊がしゃべったでー!なんか言いよる〜!!』
 『だからっ!もう、なんなのよこの人形っ!!キーっ!!』
 ・・途端に五月蝿くなる興信所内。
 「プレゼント・・ねぇ・・。」
 シュラインは少しだけ苦笑いをすると、じゃれる2人を温かな目で見守った・・。


   〈END〉

 □■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 ■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
 □■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 ♪  0086/シュライン エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

 ♪☆ 4563/ゼハール/男性/15歳/堕天使/殺人鬼/戦闘狂

 ♪  3620/神納 水晶/男性/24歳/フリーター

 ♪  4537/深山 揚羽/女性/21歳/香屋「帰蝶」の女店主

 ♪  0585/ジュジュ ミュージー/21歳/デーモン使いの何でも屋(特に暗殺)

 ♪  4648/狩野 宴/80歳/女性/博士/講師


 ☆  3317/斎 黯傅/334歳/男性/お守り役の黒猫

 ☆  4701/葉陰 和歌/22歳/女性/怪奇小説家

 ☆  1411/大曽根 つばさ/13歳/女性/中学生、退魔師

 ☆  1431/如月 緑樹/19歳/女性/旅人


 ♪☆ NPC/草間 武彦/30歳/男性/草間興信所所長、探偵
 ☆  NPC/紅咲 閏/13歳/女性/中学生兼夢幻館の現実世界担当


 □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 ■         ライター通信          ■
 □■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

 この度は『双六!【青の書編】』にご参加いただきありがとう御座いました。
 ライターの宮瀬です。
 なんだかとてつもなく長くなってしまい申し訳ありませんでした。
 今回、新しいジャンルの小説に挑戦してみようと思い執筆いたしましたが・・。
 実際にサイコロを転がしながら執筆すると言うのは楽しく、先が見えないという点ではハラハラしたりもしました。
 一番焦ってしまったのが・・家にサイコロがなかったと言うことです・・。
 どうしようとオロオロした挙句、次の日にサイコロを買いましたが・・ww

 シュライン エマ様

  この度もご参加どうもありがとう御座いました。
  今回は武彦様との社交ダンスがあったり、水晶様との社交ダンスがあったりと色々な事を(社交ダンスしか書いてないですが・・)していただきました。
  そして、極めつけはビスクドール・シンディーと瑠璃蝶々の精です。
  とっても五月蝿い2人ですが、どうぞ貰ってやってくださいませ。

 それでは、またどこかでお逢いしました時はよろしくお願いいたします。