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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


萌え系服がいっぱい……いいかげんにしなさい

「うちはコスプレショップじゃないのに……。まぁ面白そうだからいいけどさ」
 箱がやってきた
 また箱がやってきた
 いい加減にしてくれ、とあの草間が思うだろう。
「中身、メイド服ねぇ。え? 他にもある?」
 箱を開いてみればメイド服以外にウェイトレス服やら白衣やら神父服やら“ある種”の方々の“萌え系統”の服がいっぱいあるようだ。
「巫女服やら、どうしてだろう?」
 蓮のカンからすればコレはどう見ても曰く付きだと思わせる。
「試着して貰う人でも呼ぼうかしらね。別段困ったものじゃなきゃ売れるし」
 と、電話をかける寸前に、
「はい! 試着したいです!」
 大きな声で草間零が挙手した。
 何時の間にいたんだと、流石に不意打ちでずっこける蓮。
「性格変わったねぇ……零」
 苦笑する店主。

 たぶん、この調子だと……色々来そうだなと思う蓮であった。
 ――ついでにこっちの商品も買ってくれれば助かるけどね。


1.皆さん変身願望はお持ちのようです。
「マスター、僭越ながらわたくしも試着いたしますわ」
 鹿沼デルフェスが此の箱の騒ぎを観ており、志願する。
「デルフェス、あんた顔が緩んでいるよ」
「い、いえ……そんなことは……。はい、あります」
 確かに蓮が言うとおり、デルフェスの顔は真剣な顔とは言い難いほどに喜びで緩んでいた。
「デルフェスさんも着てみたいんですねぇ」
 呑気に笑う、コスプレ霊鬼兵零ちゃん。

 そこで、客やらこの状況を見ていた者があるまってくる。
 すこし高飛車っぽい少女、桃世ハナが、蓮に用事があるらしい。
「蓮さま、私の主様がアンティークの卓上時計を……って、何ですの? 此の箱と服の山は!?」
 驚きを隠せない模様。
 そして、謎の壷を持ってやってくる、シオン・レ・ハイ
「ほほう、これは楽しそうですね。試着ですか? ハイ、拝、廃! 私も」
 中をろくに確認せず、挙手して試着を希望するシオン。
「いい出物を探しに着たんですが……アンティークの他に古着屋さんでもはじめたのでしょうか?」
 雑誌のネタ探しをするためにやってきた雨柳凪砂。この状況をみて勘違い。
「箱がでたってホント?」
 片手にドリンク剤、神聖都の服が見える鞄を持って鈴代ゆゆがやってきた。

 一切電話せずにこれだけ集まるのは偶然か? 何かの縁か? いや、真剣に考えることもあるまい。なにせ、箱じたいかわうそ?に匹敵するぐらい謎なのだから。

 落ち着きを払い、蓮が言う
「ま、そうだね。試着しないことには効果が解らない。ただ、コスプレ服やら所謂“萌え”のものだから何があるか解らないよ。大事にはならないだろうけど」
 と。
「萌えの文化……、と」
 凪砂が取材帳にメモをとる。取材のネタにすると決めたようだ。

|Д゚) ……
 なんかいるし。でも誰も気が付いていない。
|Д゚)b
 
「一寸まってねー奥の部屋お借りしま〜す」
 と、ゆゆはレンの奥にはいって、「にがーい」と言ってから5分後。
 神聖都の制服を着て現れた。
「あれ? どうされたのですか?」
 デルフェスが尋ねる。
「人間になったの、エルハンドの薬で」
「お父様の♪」
 鈴蘭の精がエルハンドの薬で本当の人間になったのだ。
「蕎麦好きの隠居神は女性に優しいねぇ」
 レンがキセルをふかす
「その方はフェニミストか、さてまた単に……」
 ハナが言う。
「変な考えはしないで欲しいですわ」
 あの神と親しい数名は反論。

|Д゚) 言い得て妙
 この小麦色は見学と決め込んでいる模様。巧妙に姿と気配を隠しているので解らない。
|Д゚)b ぐっど


「皆さん変身願望はお持ちなんですね」
 と、零がにっこり笑った
「そうじゃないのですけど?」
 ハナがつっけんどんになっているが、心なしか(見えない)尻尾が喜んでいる模様。

――変身願望、好奇心、欲望色々あるってことだが。
零が言っていることも、此処に集まった人に当てはまる事はまず間違いない。



2.こう言ったときはトラブルも楽しくやり過ごす。
「ミニスカの派生系メイド服を」
 デルフェスが第1号。
 着替えて数分。
「あまり変わりませんわね」
「そうなのでしょうか? では私が早速かわりに…」
 と、シオンがメイド服を手に取ろうとすると
「やめてー!」
 とハナ以外が一斉に止めた。
「え? え? 試着しないとわからないじゃ!」
「男がメイド服着るなんてイヤだ〜!」
「こっちの方がいいよ〜」
 と、凪砂とゆゆはタキシードにマントどこかで見た仮面と薔薇をもってきたのだった。
「お、オペラ座の?」
「いいえ、一時期流行ったアニメの登場人物。多分似合うと思いますわ」
 デルフェスが言った。
「あんた、何処でそんな話を覚えたの」
 蓮さんゴーレムに質問。
「えっとそれはー。秘密です御免なさい」
 焦るデルフェスさん。
「わたくしが、代わりに着てみましょう」
 ハナが代わりにデルフェスが着ている服をきることに。

「コスプレパーティなので写真を撮るのも良いですね」
 と凪砂が、デルフェスの姿をデジカメで撮る。
 思わず、デルフェスとシオンがポーズをとって、写った。

 ゆゆは、白衣の天使ナース服に、凪砂が巫女服に、着替えてくる。

 効果の程は……
「お体悪いところありませんか?」
 とゆゆが、店にある植物に話しかけていた。
「では私が看ましょうか」
 白衣の女医になっている
「呪いを祓いましょう!」
 と、凪砂が祝詞をあげて、店においている一寸危険な“ブツ”をお祓いしている。
「ご主人様、どうでしょうか?」
 ハナがミニスカメイドになって蓮に訊く。
――あれ?
 ハナは一寸違和感を覚えた。

「わたくし、今妙ないいかたしませんでした?」
「メイドとして最低限だとおもうけどね」
「?なるほど?」

 ただ、シオンだけが、
「るんたったー♪」
 タキシードで狭い店の中を軽やかなステップで踊っている。
「ダンスするタキシードですか」
 シオン自身別段困ってないようなので、止めて欲しいと思ったら言うだろう。

 大体、この服はコスで更になりきりになる服とわかった。

 さて問題はアクセサリーである獣耳。
「バニーガールを……多分効果はわかるんですけどね」
 と、凪砂が人数分−1バニーセットを取り出す。
「では、私も……」
「シオンさんはダメ!」
「くすん」
 踊りながらショックな、シオンである。

|Д゚) あたりめーだ

 で、結果
 なりきりと言うこともなく恥ずかしい感じがするのはハナや凪砂。
 デルフェスは趣向が趣向なので何とも感じなかったと思いきや、
「……! ぴー!」
 ウサギにかわってしまい大あわて。
 ゆゆに至っては、
「耳が今までより凄く言い感じがする……」
 とウサギみたいに鼻をひくひくさせている。

 獣耳の効果は変身するか其れらしくなるからしい。
 今のところカースアイテムとわかったのは、シオンのタキシード1着ぐらいの様だ。

3.魔法戦士アンティークレンジャー(苦しい)
「やっぱりこれですわ!」
 と、魔女っ娘のヒラヒラドレスをデルフェスが見せた。
 どう見ても12歳〜15歳の少女が着る大きさでは、と。
 幾ら19歳設定で造られたデルフェスでもはいるのか? 欧米人はアジア人より背が高く大人っぽく見える。
 いや、その辺は大丈夫だろう。
 ハナが着ていたミニスカメイドで、サイズ変形は可能ならしいからだ。


|Д゚) 所詮箱のブツだし
――お前も所詮は謎の小麦色
|Д=) 酷い言い方


「あのー私の分は?」
 シオンが恐る恐る聞く。
「男の人用もありますわ。魔法使いのですけどね」
「よかったー」
 と、本当に付けひげに杖、何故かパイプ。ローブであった。しかし、あの有名な映画の灰色や白ではなく結構派手。よく見るとそれら“E”という文字が入っている。
「むむむ〜」
「大魔技セットと書いていますね」
 凪砂が首を傾げる。
「よかった〜皆に止められるから」
 感涙するシオン氏

 しかしデルフェスの勧めは後に酷いことになった。

 皆が思い思いに着替えてみる。
「季節はずれのハロウィンと思えば」
 と和気藹々。
「ハナさん、かわいいですわ」
 デルフェスがハナを褒める。
「……う、うるさいですわね!」
 赤面して怒り始めるハナ。犬だから美的感覚が違う。
 全員揃ったあとに、蓮が記念撮影してくれた。
 フラッシュで何かが変わる。
 変化があったのはデルフェス、なんと、14歳相応の可愛さになっているのだ!
「魔法戦士アンティーク・デルフェス! 悪い子はお仕置きだよ!」
 と、辺りを見て
「悪い子発見!」
 と店を飛び出していった。
「わあ! とびだしていったよ!」
 ゆゆがあわている。
「魔法戦士レイ! いきまーす!」
 いままで個人的に熱心だった零も飛び出していった。
 急いでゆゆたちは(そのままで)後を追う……
 路地裏で恐喝している不良学生にデルフェスが立ち向かって。
 不良をもろとも石化していた。
「あちゃ、なりきり効果でも凄い強力にカースなのかな?」
 と、呑気に凪砂がメモっている。
「正義は勝つ!」
「楽しいもんじゃの」
 のそのそやってくるのは爺さん魔法使いのシオン。パイプを吹かしながらやってくる。
「力があるのは良いが無駄に使ってはならぬ。しっかり、みすえなければなるモノを……」
 何か今までのシオンと違うようだ。
「なに威厳が少しでていますわ」
 ハナがぽつり。
「でも、あたし達何ともないね?」
 ゆゆが首を傾げる。
「変身願望の強弱かもしれぬぞ? わしは少し違うようじゃが」
 シオンが落ち着きをはらながら言う。
 そんな会話している間に、デルフェスはどこかに去っていく。
「あ〜!」
 みな、本来の目的を忘れていた。
 しかし、今の格好では流石に恥ずかしい。
「1時間あれば戻ってくるんじゃない?」
 蓮は笑いながらやってきた。
「ま、元に戻った後に直せばいいことだから。彼女に責任持たせればいいのよ」
 ――箱にもだけどねぇ。


 と、言うわけで魔女っ娘の騒ぎはひとまず保留。
 やっぱりというか、なんというか暴れすぎたデルフェスと零は、デルフェスにとっての“親”に猫掴みされて戻ってきたようである。
「ふえーんパパごめんなさーい」
「ごめんなさーい」
 猫掴みでわんわん泣いているミニデルフェスと魔女っ娘もどき零。
「この姿で泣いているデルフェスは可愛いねぇ」
「そう言う問題じゃないだろう。結局二人は喧嘩して夢の島を謎のオブジェと破壊の戦闘になるところだったんだ」
「ああ、それならそのシーンも撮したかったです……あ、御免なさい」
 雨柳ぽつり本音。男に睨まれ縮こまる。
 “親”は、二人の服の力を解呪してから、ゆゆに一瞥し、何かを渡して去っていった。
「あ、これは……」
 いつも見ているドリンク剤だった。



4.いただきます。
 何だかんだで、皆で着せ替えっこしてあらかた服の効果がわかった。
 成りきりすぎものやカースアイテムなどは脇に避けていく。
「とりあえず鑑定も済んだし、一応なりきり程度の服と分別したから好きなモノとって2つね」
「はーい」
 反省し落ち込んでいるデルフェスと零以外、元気よく返事する。

「ゴスロリ服が欲しいです!」
 シオン君、得意の挙手で主張。
「男性ものあった?」
 蓮が確認する
「ありますよ」
 凪砂はしっかりチェックしていた。

 と、ゆゆはモノが邪魔になるので辞退。ハナもあまり気が乗らないのでおなじ。
 ほしがっているのは隅で“の”の字を書いているデルフェスと零であった。
 デルフェスと、零は魔女っ娘服(なりきり)とシスター服にメイド服とやたらと多い。
――いや、給料から差し引けばいいけどねぇ(蓮の心の声)
 シオンは男物の化粧もしてくれるゴスロリ服を貰いご機嫌である。
「あ、本来の用事を忘れるところでした」
「ああ、壷ね。しっかり鑑定するには時間かかるから、もう少し待っておくれ。3日後」
「はい♪」
 にこやかに笑うシオン。
「さて、私は……屋敷に来ている友だちにあげたいのでメイド服と学生服を」
 と、凪砂が言う。
「ま、そういうものならたいした効果がない“なりきり”もの2着。タダであげられるのは其れぐらいだねぇ」
「はい、細かいところは後で」
 商談成立の模様。

 それぞれが本来の用事も済ました後、蓮は静かになった。
「石化した人元に戻してきますわ〜」
 生気のない顔つきで、フラフラ出かけるデルフェス。
「ごめいわくおかけしました〜」
 同じように赤面と後悔で一杯の零ちゃんも出て行く。
「きをつけなよー」
 蓮が苦笑して見送った。

 しかし……
 零はしっかり紙袋一杯なりきり服を貰って帰っているのに苦笑するしかない。
「どうして、あんな趣味にはまったのかねぇ……草間のメイド趣味疑惑から?」
 首を傾げる蓮であった。


 雨柳の方もこの騒ぎをネタにして“萌えの文化”を執筆しているが人気の程は定かではない。


 End

■登場人物
【0428 鈴代・ゆゆ 10 女 鈴蘭の精】
【1847 雨柳・凪砂 24 女 好事家(自称)】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【3356 シオン・レ・ハイ 42 男 びんぼーにん(食住)+α】
【4212 桃世・ハナ 1 女 犬】


■ライター通信
 滝照直樹です
 萌え系服がいっぱい… に参加して下さりありがとうございます。
 さて、どうしましょうかと言うことで、展開を悩みましたが、何とか落ち着いた感じです。
 皆さんには、コスプレパーティアルバムのアイテムと、一部の方には「服」がアイテム欄にあると思われます。

 |Д゚) 箱……またくるっぽ。くるっぽー。

 では、また機会が有れば宜しくお願いします。

滝照直樹拝