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<東京怪談・PCゲームノベル>


その者の名、“凶々しき渇望” 【 第二話 】

 …どきどきとやや胸が高鳴っている。それは彼女――海原みなもも、中学生とは言え興信所のアルバイトの方で荒っぽい事にも多少遭遇したり、また家庭の事情でもそれと同様の事や…そうでもなかったりするけれど実は世間一般から考えれば充分に普通とは程遠い困った事態に色々と遭遇していたりもするけれど…それら日常の範疇に収まる事と、警察から令状が出されてのじじょーちょうしゅう、となるとやっぱり何かが違う。ホテルの周りにも警察の人っぽい人がたくさん居た。この部屋に入る時にもまたたくさん警備に付いていた。それだけで――もうかなりの威圧に感じるのは、その素性はともあれ、一応はごくごく普通の可憐な女子中学生としては仕方無いのかもしれない。
 …なんか、警察関係の尋問を受けるのって緊張します…。
 そんな風に内心でどぎまぎしながら、みなもは呼び出されたホテルの部屋でひとりの刑事さん――佐々木さんと言う刑事さんらしい――と相向かいの椅子に座っている。どぎまぎしているのは内心で、とは言え見るからに緊張しているのは明らかで、みなもの姿を見るなり刑事さんの方も多少困ったような様子に見えたのは気のせいではなかろう。それでもその刑事さんの方がみなもの緊張を和らげようと試みる――宥める様子は特に無し。…どうやら刑事さんの方はこの手の少女の反応が苦手であるらしい。どう対応したらいいのかわからなくなっているようにも見える。
「…で、海原みなも…だったな。遺族からの依頼で、草間興信所の調査員として“凶々しき渇望”殺人事件について調べていた、と言う事だが…」
 言われ、来たぁ、とみなもの心臓が跳ね上がる。どうしようどうしよう――ええいっ。ままよ。
「事件について調べた内容ですよね!」
「…ああ」
「っと、く、草間さんからいいって言われていませんし、アルバイトとは言えあたしにも守秘義務はある筈ですから! 例え警察関係者でも言いませんっ!」
 思い切るようにそこまで言い切り、みなもはぎゅっと目を瞑る。膝の上には同様に堅く握り締めた握り拳。心なしかぶるぶると震えている。ああこれからどうなるんだろうあたし。何か誘導尋問とかされたりしそうですから、これ以上は何も言いませんっ。口を開かなければ何か間違って言う事も無い筈!
「…いや、あのな」
「黙秘権…行使しますね」
 びくびくと怯えながらもきっぱりと言い切るみなも。…そーゆーのテレビで凄いですから。だから多分これで大丈夫…ああでも催眠術とか自白剤とか嘘発見器とか使われちゃったらさすがに黙ってられる自信はないですし…わーん、どうしましょう…っ!
 と、涙目になりつつそこまでみなもが先走って考えている中、刑事さんは何やら額に手を当てがっくりと項垂れている。それは当然。…そこまで問答無用で怯えられてついでに勘違いされて貝になられて更には泣かれても物凄く困る。外の連中に何と思われるか知れたものではない。
「…誰もお前を容疑者扱いはしていない。参考人として一応話を訊いているだけなのだからそんなに怯えるな」
 途轍も無く疲れた様子の声が目を瞑ったみなもに投げられる。何処か呆れ混じりのその声に、恐る恐るみなもは目を開けた。それを確認してから、わかった興信所での調査の事はもういいと刑事さんはあっさり引いた。
 その態度にきょとんとみなもは目を瞬かせる。
「へ?」
「だから怖がるなと言っている。…何も取って食う訳じゃない」
「で、でも」
 …テレビとかだと。
 ぽつりと言ったその科白に、刑事さんは改めてがくりと脱力。
「テレビを真に受けるな…」
「じゃ、じゃあ、催眠術とか自白剤とか嘘発見器とかはないんですね!?」
「…ある訳無いだろう」
 その科白に、よかったと呟きつつほっと胸を撫で下ろすみなも。今度は安心して涙目になっている。
「だから別に泣く必要も無い」
「えっ…あ、す、すみませんっ」
 言われ、自分が泣きかけている事に気付きみなもははっとする。ハンカチを取り出して慌てて拭いた。
「…もうここまででいい」
 手許のファイルを閉じつつ、刑事さんはみなもに部屋から退出するよう促す。あの、もういいんですか? と思わず口に出たが、これ以上続けても何も話す気は無いんだろうと冷たく返される。それっきり刑事さんはみなもの方は気にせず、何やら手許のファイルを取り替えたり見直したりしているようだった。
「じ、じゃあ…失礼します」
「ああ」
 その短い言葉にあっさりと送り出され、部屋の外に出たみなもは、はー、と長い溜息を吐く。どうなるかと思った。…一見怖そうな人だったけど、でも何にもされなかったし…本当は優しい人だったのかもしれないな、と自分の態度をやや申し訳なく思いつつ、他の調査員たちが待っているロビーへと向かう。

 ………………一方、みなもが去った後の部屋の中でも何やらどっと疲れたような溜息が吐かれていた。



 それでもやっぱりみなもはやや心細いままで廊下を歩く。時折刑事さんとすれ違う。ぺこりと条件反射的に会釈。すると面食らった様子ながらも軽く会釈を返される。暫く歩くとロビーが見えた――更には調査員のひとりでもある坂原和真が自分を気付いた事にも気付く。そこで、思わずみなもの足が速くなっていた。ホテルの廊下で走るなんて行儀が悪いです、と思いつつもぱたぱたと駆けて行ってしまう。草間興信所の調査員たちの見慣れた顔が並ぶロビー。…ああ、やっとあたしの日常に戻れそうです!
「海原様!?」
「何かあったの!?」
「す、凄く緊張しました〜〜!!」
 皆の元に来るなり、心底安堵したように息を吐くみなも。何処か涙目。そんな彼女の姿を見、はぁ? と気が抜けたような間抜けな声が一同から返される。
 あ、確かに驚かせちゃったのかもしれない。ど、どうしよう。
 速かったなと和真から声を掛けられ、えと、黙秘権行使で頑張りました、と笑って見せるみなも。その笑顔を見、何かあったかと思ったじゃない、驚かせないでよ。そうですわよ。と、シュラインと撫子も苦笑していた。結局、みなもの身には何も無かったらしい、と安心したようだ。
 次にソファから立ったのは撫子。近頃、念の為に持ち歩くようになっている彼女の実家の神社、その御神刀の『神斬』。それが仕舞ってある錦織の刀袋。それを当然のように携えて聴取に向かう。何も言われないのはその清楚な所作故か。良く馴染んだ着物姿故に、持っていて然るべき道具のひとつ、とでも見られているのか。ともあれ撫子は密かにシュラインに目配せをする。と、シュラインからもすぐに同じよう返された。…今ここには撫子の持つ刀の存在を気にしない理由が何かあるらしい。和真も隼人もその意味には勿論気付いている。
 撫子を見送ったその後、話し込んで――とは言っても警察の目が常に届いている場所でもあるので草間興信所の調査員としての情報交換は滅多に出来ないのだが――それでもある程度の情報交換を試みて暫し経つ。と、ひとまずわたくしも無事です。何事も置きませんでしたわ、と撫子がロビーに戻って来た。
 ほぼ同じタイミングでセレスティ・カーニンガムがロビーに現れる。部下の黒服に囲まれた状態で、刑事らしい私服の警察数名と何やらやり合っていた。…ここに来てから言っていた話――警察の用意した部屋ではなく、別のフロアを借り切りそちらの部屋に警察の方に来てもらい聴取をするよう要請したと言う話。調査員としては気持ちは有難いが――今目の前にあるその状態を見ても通るかどうかは別問題に思えた。話し合う中、少しずつ警察側の人数が増えている。次の聴取が開始出来ない。セレスティの方も引く気配無し。
 やがて、何やら険呑な雰囲気になったか――と思ったそこで、す、と神山隼人が両者の間へさりげなく割って入っていた。いつの間にソファから立っていたのか。カーニンガムさん、お気遣い有難う御座います。ですけれど、これ以上揉めてても何ですし、私は警察が用意した部屋で構いませんよ、と告げ、自分が次に聴取を受けようと名乗りを上げ部屋へ向かった。
 隼人のその仲介に毒気を抜かれたか、彼が動いたその直後に、でしたら――と妥協点があっさりと告げられた。…セレスティのみ要請通りに行う。但し、そのセレスティが用意したフロアに聴取をする以外の警察の者も入れる事。他の調査員が警察の用意した部屋でどうしてもしなければならないと言うのなら、そこを警護する人員にセレスティの部下も入れる事。双方それで合意。では、とセレスティは数名の部下をその場に残し、自分が借り切ったフロアの部屋へと調査員たちに移動を促す。確かに、セレスティの息の掛かった場所の方が色々と話もし易い。…部屋のひとつでも待合室に出来れば、今ロビーでは話せなかったような事も話し合える。

 セレスティの借り切ったフロアの部屋。暫くの後、そこに黒服に案内された隼人が来訪した。次に聴取を受ける事にしたのはセレスティ。皆が居るこの部屋の隣に当たる部屋で聴取を受けている。
 今、セレスティが行くよりほんの少し前に都市伝説めいた噂の情報が彼の部下から齎された。まだ確認途中の段階であるが佐々木晃と同じ身体的特徴の人間が三ヶ月前に遺体で目撃されていると言う噂。まだ確実な情報では無いにしろ、今この時となれば情報の種類によっては「疑わしい」それだけの段階でも主に言上する必要がある。わかりましたと受けたセレスティは部下を連れ、別室へ。
 今までの聴取で皆が得た情報。セレスティを見送った後、セレスティが聴取を受けているだろう隣の部屋を気にしつつも調査員の面子は色々と情報交換してはみるが、四名が聴取を終えた今の時点では特に問題がありそうな事は見当たらない。…何故場所がホテルかと言う事、コンビ活動でない事はまず事前に怪しむべき要素だった。そして事件調査の後の時点でシュラインが言い出した、高矜持高学歴のキャリア組、そして親しい人を亡くした人間が警察に居ないかと言う件も事前に引っ掛かっていた要素。魔法円や調査の結果出た事から、そんな人物像が疑わしいかもしれない、と警部でもある葉月政人にシュラインがその確認を求めた結果――出て来た名前も今現在聴取をしている刑事こと佐々木晃。そして、今セレスティの部下が齎した情報――それもまた、確認できていない情報だとは言え、同じ名の人物に関する事。
 だからこそ、今一番の懸念は、聴取をしているその刑事。
 …けれど、現時点では何事も起きてはいない。それも事実。疑うべきか疑わなくて良いのか、微妙なところで天秤が揺れている。そもそも、これらの情報を表沙汰にし訴えて出たとしても、イコールで“凶々しき渇望”だと言う証拠になるような事でもない。黒魔術の要素――超常現象絡みである事を鑑みて初めて、疑える情報。だからこそ、草間興信所調査員である――つまりその手の話に慣れている――自分たちが警戒しておくより他に無い訳で。

 そんな話をしている中、携帯電話の着信音が鳴り出した。誰のものか――シュライン。開き、画面を見れば――相手は今ここに居ない草間武彦。何故居ないのか気になっていた。当然、即座に出る。
 曰く、調査員の皆と連絡を取りたく電話を掛けたらしい。まずシュラインにだったのは草間武彦だからか。何にしろ、葉月が情報交換をしたいと言っている。今そちらに皆いるかと確認を取って来た。…汐耶さん以外は皆居る。事情聴取は受けたのか。坂原和真、海原みなも、天薙撫子、神山隼人の四人が済んで今現在セレスティ・カーニンガムが受けている途中。だったらお前と綾和泉はまだか。なら、今葉月と共に今そちらに向かっているから念の為到着するまで事情聴取を待て、どうしても駄目ならカーニンガムさんの話に乗るように、葉月の名前も出して構わない、と武彦。佐々木晃が“凶々しき渇望”への囮に調査員を使っている可能性があると葉月が言っている。そこまで聞いて、こちらもまだ不確定だけど変な情報があったの、と返すシュライン。佐々木晃と身体的特徴が酷似した遺体が三ヶ月前に目撃されていると言う噂。それを聞き、だったら余計だ。何にしろ動くのは俺たちが着いてからにしろ。そう鋭く残されて通話は切られた。
 前後してセレスティの聴取が終わったと連絡が入る。その後、セレスティへの聴取をした帰り掛けなのか、調査員のたむろしている部屋に直接佐々木晃が顔を出し、次、と鷹揚に声を掛けてきた。そこでもう一度シュラインが、やはりこのフロアの部屋では駄目ですかと訊いてみる。戻るよりすぐ近くになりますし、それに今電話があったんですが、葉月警部もそうしろと――。と、言ってはみたが、くどい、と即決残されすぐに踵を返された。部屋のドアは閉めないまま、まだ聴取取ってない奴――シュライン・エマか綾和泉汐耶か、どちらでもいい、とっとと来い! と声が投げられる。部屋の中からはもう姿は見えない。開けたままである部屋のドアからシュラインが廊下をそ、と覗くと、佐々木晃の背中はもうかなり部屋から離れて先にエレベーターの近くに行っていたのが確認出来た。シュラインは佐々木晃のその態度に思わず目を瞬かせている。何事。
「…何か、怒ってる…みたいね?」
「すみません。私のせいですね」
 シュラインの立つそのすぐ後ろ、隣の部屋から戻って来たセレスティから声が掛かる。もう一度君たちもここで聴取を出来ないか頼んでみたんですよ。ですが、話を通すどころか怒らせる事になってしまったようです。…けれど――私の部下や警察の皆さんと言った…他の見ている前でこんな行動を起こすような方が、今何か仕出かすとは思い難い気もしますけど。と付け加え、シュラインを見上げた。そう…かも知れませんね、とシュラインも静かに同意。じゃ、取り敢えず行って来る事にします。お気を付けて。その言葉と部下の黒服を付け、セレスティはシュラインを部屋から送り出す。
 その暫く後、漸く綾和泉汐耶が来たとセレスティに連絡が入る。ほぼ同時にシュラインの聴取が終わったとも入った。そして――汐耶はシュラインと入れ替わりで直接事情聴取の部屋に行く事になったらしい。
 そして暫くしてシュラインが部屋に戻って来た、そのタイミングで葉月政人が到着したと連絡が入る。それも、特殊強化服を着用した状態で。更には何やら階下で騒ぎが起きているのが感じられる。…どうやら、聴取をしている部屋に直接乗り込んだらしい。しかも、そこで。
 …と、その先を促そうとした時、また別のセレスティの部下から連絡が入る。至急。珍しく慌てた様子の声。三ヶ月前に目撃された佐々木晃と身体的特徴が同じ遺体の件。遺体は佐々木晃で間違いないと確認が取れたそうです――と。本人の名乗り、目撃者の証言――無関係の一般人が真っ当な手段で入手する事は困難、もしくは不可能な手段も用い、出来る限り素早く確認した結果。
 だが――セレスティは既に今皆の事情聴取をしているこの刑事が佐々木晃当人である事は間違いないと確かめてもいる。生体認証の技術まで用いての結果だ。疑いようが無い。――が、無論、確認に確認を重ねた、今出された三ヶ月前に死亡、と言う情報も疑いようが無いもので。
「…あの方は、一度死に、蘇生した――と言う事ですか」
 ならば。
 超常現象を信じない――訳も無い。…既に自分自身が超常現象に含まれる。何かがおかしい。頭の中で警告音が鳴り響く。察したか、行きましょう、と促すシュラインの声。え? と混乱するみなも。まさか、と口を押さえる撫子。厳しい目で黙り込む和真。目を伏せて何事か考えている様子の隼人。
 そして齎された最後の衝撃は、セレスティの手許への、中断された通信から。
「…何ですって、誰もいない…?」
 聴取の、部屋に。
 ――血塗れの椅子に、銀縁眼鏡と鞄、だけが、残されて。



 聴取をしていた部屋。聴取を受けた調査員の皆とそこに到着した時には葉月政人に草間武彦、そして警察関係者とセレスティの部下の黒服の姿で埋め尽くされていた。片方の椅子――佐々木晃が座っていた方――に凄まじい量の血がぶちまけられている。少し離れたところに銀縁眼鏡と女物の鞄。それは綾和泉汐耶のものか。みなもは目の前の惨状に息を呑んだ。
 葉月政人が調査員の皆を見て、何か物問いたげな訝しげな顔になっている。と、それに答えるようにセレスティが抑えた声で口を開いた。
「つい今し方――葉月君がこちらに到着したと連絡があった直後に、確認が取れました」
 …佐々木晃刑事が三ヶ月前に亡くなっている、と言う件です。
 場所は、K立市の生体学研究所。そこの倉庫で起きた、大きな爆発事故時…いえ、その直前ですね。その倉庫で――獣か何かに五体を食い千切られたような遺体が、倉庫番の方に目撃されています。ですが、爆発事故が起こった時には既にその遺体は何処にも無かった。表向きには死者は出ずに済んだ事件となっています。
 ですが、倉庫番が目撃したその遺体は、身体的特徴からして間違い無く、佐々木晃刑事だったようですよ。
「…その倉庫番と言う方に、確認を?」
「いえ。…その倉庫番の方も、後に何者かに殺されてしまっていますから」
「…K立市の生体学研究所、ですか」
「ええ。警察に証拠として出せない方法で調べたものですが、今度こそ、私の名にかけて、言い切れます」
「…その、場所は」
「そうですね。彼の亡くなったお姉さんが勤めてらっしゃった企業です」
 続けられた科白に政人は黙り込む。佐々木晃の姉。一年前にK立市の生体学研究所で起きた事故により死亡。バイオハザードであった為、遺体さえも戻ってこない。シュラインが政人に確認した話。亡くした親しい人、に該当するのがその姉。予め聞いてはいた。気の毒だと思った。けれどどうしてそんな事が――現場が、重なるのか。
 みなもは信じられない思いで目の前の光景を見る。夥しい血痕。綾和泉汐耶の不在。確定的となった佐々木晃への疑念。でも、とみなもは必死で頭を振っている。信じられません。さっきの事情聴取の時には…怖がってたあたしの事、思いやってもくれました。話も、無理矢理聞こうとしないですぐに帰してもくれました!
「葉月警部!」
 慌てて政人を呼ぶ声がする。奥の部屋。何だろう。ふと目をやったそちら。政人を呼んだ刑事が示していたのは部屋の床。魔法円が描かれている。そして、その上に何やら書き込まれた鏡が配置されている。詳細はわからずとも、何か魔術儀式めいた事が行われた、とだけは即座に察せられるその状況。『この部屋』。魔法円。外部では無く内部、それも当の部屋。これだけの警備がある場所で? 魔法円。そこから今この時に連想される物は――“凶々しき渇望”以外に有り得ない。

 ならばここでいったい、何があったのか。
 …ただひとつ確実なのは、今ここに、綾和泉汐耶と佐々木晃が居ないと言う事。
 それでも。

 さっきのあのひとがあんな酷い事をした殺人犯だとは、思えない。

【続】


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    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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 ■整理番号/PC名
 性別/年齢/職業

 ■1855/葉月・政人(はづき・まさと)
 男/25歳/警視庁超常現象対策班特殊強化服装着員

 ■2263/神山・隼人(かみやま・はやと)
 男/999歳/便利屋

 ■1883/セレスティ・カーニンガム
 男/725歳/財閥総帥・占い師・水霊使い

 ■1449/綾和泉・汐耶(あやいずみ・せきや)
 女/23歳/都立図書館司書

 ■0328/天薙・撫子(あまなぎ・なでしこ)
 女/18歳/大学生(巫女):天位覚醒者

 ■1252/海原・みなも(うなばら・-)
 女/13歳/中学生

 ■4012/坂原・和真(さかはら・かずま)
 男/18歳/フリーター兼鍵請負人

 ■0086/シュライン・エマ
 女/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

 ※表記は発注の順番になってます

×××××××××××××××××××××××××××

 …以下、公式外の登場NPC

 ■佐々木・晃=“凶々しき渇望”

×××××××××××××××××××××××××××
          ライター通信
×××××××××××××××××××××××××××

 第一話に続き、発注有難う御座いました。
 …『その者の名、“凶々しき渇望”』第二話、漸くのお届けです。

 今回、色々と遅くなってしまいましたが…いえちょっとした…避けようが無かった(遠)行き違いのようなものがあって(泣)。もの自体は一週間くらい前にはほぼ何とかなってたんですが(くすん)
 しかも良く考えれば…それが解決したのが土曜日なので…オフィシャルの営業時間を考えるとお渡しが更に遅れる事は確実と(汗)
 って言い訳ですね。とにかく納品が遅れました。本当に申し訳ありません(土下座)

 今回のノベルはこんな感じになりました。
 …色々と私が暴走しまして(え)結果、殆ど全員個別です(汗)
 葉月政人様と綾和泉汐耶様以外は後半である程度共通部分が混じってもいますが。

 内容は…とにかくそんな訳で、綾和泉汐耶様が攫われてしまいました。
 何か色々と大変な事になっております。

 また、今回の話は、坂原和真様版→海原みなも様版→天薙撫子様版→セレスティ・カーニンガム様版→シュライン・エマ様版→綾和泉汐耶様版→葉月政人様版→神山隼人様版…と言った順番で読む事をお勧めしておく事にします。全体像が一番把握し易いようなので。

 少なくとも対価分は満足して頂ければ幸いです。
 では、また少し間を置いてになりますが、第三話もどうぞ宜しくお願い致します(礼)

 深海残月 拝