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<東京怪談ウェブゲーム アンティークショップ・レン>


■かまくらの謎−春化生−■

「そんなの簡単なことじゃないか」
 碧摩・蓮は店を閉める準備をしながら、珍しくここに訪れた草間武彦をちらりと見やった。
「あんたが調査して解決すればいい」
 蓮の人情の欠片もない返答に、武彦は困り果てたような顔をした。
「そうは言ってもなあ……そうも行かないからこうしてお前のとこに来たんだよ」
 草間武彦は、とある依頼を抱えていた。それは、岩手の田舎にある、とある雪山に纏わる「封印伝説」という話で、迷いやすい雪山に迷子になった者がふと発見した小さなかまくらの中に、一人人間がいる。そこで招待されて吹雪がやむまで、と、焼いたお餅をもらったり甘酒をもらったりしていると、ふとそのかまくらの中にいた者が外に出る。
 そして、中に残された者は身代わりとばかりに、どうやってもかまくらの外に出られず、身体の時も止められ、人によっては何年も何十年もそこで過ごし、「次の身代わり」が来るまでまるで封印されたようなかまくら生活を送るのだという。
「この前もその話は聞いて、ちゃんと『身代わり地蔵』をやったろう? 効かなかったのかい」
 蓮は、品物を念入りに一つ一つチェックする。武彦は肩を竦めた。
「今回かまくらに入っていた人は女性だったんだけどな、着物の。お前が依頼して作ってもらった『身代わり地蔵』をかわりに入れようとしたら、地蔵そのものが毀れちまったんだよ」
 ようやく蓮は武彦のほうをまともに向いた。
「なるほどね。それであたしに、また『身代わり地蔵作り』をしてくれる特殊な地蔵作りばかりしてた、あの爺さんに依頼してくれってわけだ。でもそれは無理だね。その爺さん、つい昨日のことだけど心不全で亡くなったんだよ」
「なに?」
 武彦が目を瞠る。
 蓮は「どうしようもないね」とため息をつき、
「おとなしく興信所に戻って調査・解決に乗り出したほうがいいんじゃないのかい?」
 と、帳簿をつけ始める。
 その時、折りよく、店を訪れるにしては遅い客が入ってきた。




■雪柱峠■

「武彦さん、こんなところにいたの。探したのよ」
 シュライン・エマが、まず一番乗りだった。
 どうやら、武彦を探していてこんなところまでやって来たらしい。
「ああ、実はちょっと用があって───」
「お夕飯、作っておいたからって言おうと思ったのだけれどいつの間にかいなかったから。もしかして、依頼を抱えていたの?」
 あまり、巻き込みたくなかったのだが。
 武彦がそんな顔をして口を開くと、二人目の客がやって来た。
「おや……? 草間さんにシュラインさん。こんなところでデートですか?」
 レンの店は骨董品蒐集が趣味なので、ふと気が向いて訪れたセレスティ・カーニンガムのその言葉に二人声を揃えて「偶然会ったんだ」「偶然よ」と言った途端、
「あの、もう閉店でしょうか……?」
 と、女と見紛うばかりに美しいたおやかな物腰の高峯・弧呂丸(たかみね・ころまる)が入ってきて、その場のなんとも言えぬ空気に暫し戸惑った。
 その背中を押すように疲れたように入ってきたのは、ジュジュ・ミュージーである。何故か、喪服を着ていた。
 そこで初めて蓮が、口を開いた。
「ジュジュ、ご苦労さん。あたしの代理とはいえ、葬式は疲れるだろう、色々と」
「ユーにはいつも世話になってる、仕方ないヨ」
「おい、まさか葬式って」
 武彦が口を挟むと、蓮がこくりと頷いた。
「そ。さっき話してた、『特殊な地蔵作り』の爺さんの葬式だよ。昨日死んで今日葬式とは、また急いだもんだ。あまりに急だったからあたしの代わりにジュジュに行ってもらったんだよ」
「武彦さん、その依頼……よかったら、私にも聞かせてもらえないかしら」
 恋人の抱えている問題に、自分も手助けしてやりたいと思うのは当然だ。シュラインの言葉に、続いて好奇心をそそられたセレスティ・カーニンガムも「私にもお聞かせ願えますか?」と。
 そして弧呂丸も、
「ここに居合わせたのも何かの縁です。本当は少し、この骨董に興味があったのでお店に入らせて頂いたのですが、……宜しければ、お力になりますよ」
 と言ったので、これは話さないわけにはいくまい、と武彦は改めて、岩手の雪山の「封印伝説」のことを話して聞かせた。
 聞き終わると、シュラインは考え込んだ。
「何故今頃この依頼が来たのかしら? 依頼人も何者って思うけれど」
「そういえば、そうですね」
 と、セレスティが相槌を打つ。
 シュラインはセレスティ、ジュジュ、弧呂丸、そして武彦と順繰りに視線を合わせながら話す。
「現代じゃ動きづらい格好で雪山になんて行かないから、着物の女性はかなり前の年代の方だと思うの。だから何故、って思ったんだけれど」
「あの……推測なのですが」
 おずおずと、弧呂丸。
「『身代わり地蔵』じゃない何かを欲しくて今まで我慢してきたけれど、もう我慢できなくて依頼を、ということは考えられませんか?」
 弧呂丸の意見は、こうだった。
 その地方にだけ伝わる何か伝承のようなものがあり、もしかしたらそのかまくらに雪女のような物の怪がついていて、「孤独か何かに耐えられずに」通りすがりの誰かに依頼をし、それが武彦の元へ届いたのでは、と。
「依頼の出所はどこですか?」
 セレスティが尋ねると、武彦は、
「確かに依頼の出所はハッキリとはしてないんだよな。急に前金つって『かまくらの謎』を解いてくれってパソコンでプリントアウトした文字で書かれた短い一筆箋と地図、それに大金が送られてきて───」
 と、考え込む。
「差出人はなかったのですか?」
 セレスティの問いにも短く頷く。
「ああ。代わりに───」
 ───岩手県○○市雪柱峠。
 こちらもご丁寧にパソコンで打った文字で、そう書いてあったという。
「雪柱峠?」
 それまで黙っていたジュジュが、何か思い当たったように小首を傾げる。
「何か知っているの?」
 シュラインが身を乗り出すと、ジュジュは喪服の懐から名刺を出した。
「今日の葬式で変わった地蔵作りばかりしてた爺サン───水嶋・雪法(みずしま・ゆきのり)の名刺、くすねてきたんだケド」
「く、くすねてきたんですか」
 生真面目な弧呂丸が怯えたように言ったところにじろりとやって黙らせ、続けるジュジュ。
「出身地、武彦に送られてきたってイウ差出人と全く同じだヨ」
 え、と武彦を含めた4人の視線がジュジュの手元に集まる。
 確かにそこには、
『地蔵作り享け賜り人・水嶋雪法
      出身地・岩手県○○市雪柱峠』
 と、書いてある。
「享け賜り、っていう漢字も引っかかるわね」
 シュラインが眉をひそめる。
「普通、『うけたまわる』って仕事であれば『請け賜る』、という字を使うでしょ? この『享け賜る』は天から授かる、授ける、生を享ける、才を享ける、の『享け賜る』なのよね。もしかしたらかまくらの中にいる着物の女性の血縁だったかもしれないわね、そのお爺さん」
 蓮にもらった紙とボールペンで実際に漢字を書いて説明しつつ、シュライン。
「よし。とにかく現地に行ってみよう」
 武彦が立ち上がると、シュラインは勿論、セレスティやジュジュ、弧呂丸も協力すると言ったので、一瞬「全員分の防寒服や移動費は興信所の経費で間に合うだろうか」と懸念したのだが、セレスティに、
「経費のことはお気になさらず」
 と微笑まれてしまい、「助かる」と手を合わせたのだった。



■雪の化■

 翌日、早くにそれぞれ防寒服を用意し、足りないものはセレスティのほうで用意して何故か某空き地に呼び出された武彦とシュライン、ジュジュに弧呂丸は、やがて空からヘリでやってきたセレスティに呆然とした。
「このヘリなら全員乗れます。足りない防寒具もありますし、向こうに既にスノーモビル等も手配しておきました」
 ヘリからの風に美しい長髪を靡かせるセレスティに、
「普通の移動手段でいいだろ……」
 と呟いた武彦だったが、
「私は皆さんほど体力がありませんので、すみません」
 と微笑まれてしまっては、もはや何も言えないのだった。



 ちょうど昨夜は、吹雪だったという。
 というか、二日続けて吹雪いていた、と聞き、雪山はいつもよりも雪が深いと現地の人間に注意された。確かに『身代わり地蔵』を持って俺が来た時も吹雪いてはいたが、と武彦は呟く。雪山が、昨日より更に大きく見えるのは雪がかなり積もっている証拠だ。
「じゃ、私はここで暫く情報収集をするわ」
 シュラインが、地元郷土資料館を前に立ち止まる。
「かまくらへは皆で行ったほうがいいでしょうね。では私も出来る限り情報収集をしてみましょうか」
「それじゃ、何かを待って山に入った方が過去いなかったかという伝承のほう、あるかどうかセレスティさんお願いね」
「分かりました」
 そんな二人のやり取りを聞きながら、ジュジュはジュジュで早速能力『テレホン・セックス』を使って、既に昨夜のうちに裏情報網を使って民話に詳しい学者を見つけていたのでその学者に憑依を始めている。
「弧呂丸、お前は?」
「私は祈祷で、『封印伝説』がいつ頃から始まったのかや、過去に何かがなかったかどうか───雪山の近くで『土地の過去』を探ってきます」
 武彦に尋ねられ、そう答えると、弧呂丸は雪を踏みつつ、目の前に立ちはだかる大きな雪山に向かった。



 これだけ念入りに探しても、何も「これ」といったものが見当たらない。
 もう2時間余りいる熱心なシュラインに、資料館の係の者が声をかけてきた。
「お嬢さん、何かお探しですか」
「あ、ええ───すみません、長いこと居座ってしまって」
 苦笑しつつ答え、丁度いいと思って「封印伝説」のことを聞いてみた。すると、係員は眉をひそめた。
「『封印伝説』っていうものはないんですがね……雪柱峠のことなら知ってますよ。昔は『人柱峠』と呼んで、あまりに哀しい呼び名だったんで今の名前に変わったんですがね」
「『人柱峠』?」
 封印伝説、というものがなかったということにも驚いたが、シュラインは冷静に聞き返す。ええ、と係員が茶を淹れながら頷いた。
「すぐそこにある雪山のことなんですけどね。昔は雪山の向こうの宿場町に、生活に苦しい者が子供や家族を売りに峠を渡るんで、生活の人柱、時代の人柱ってんで『人柱峠』って誰からともなく呼び始めて。『雪柱峠』って名前に変わったのは100年以上前のことです。地元の人間にとっちゃ当たり前のことだし、郷土にも関係ないってんでここに資料って資料はないんですが」
 シュラインは有難くお茶を頂きながら、熱心にメモを取っていた。



「それじゃ、今はもう雪山───雪柱峠を登ろうという人は地元にはいないのですね?」
 セレスティが確かめると、駄菓子屋の店主である老婆が頷いた。
「ああ、おらん。雪柱峠はおら達のおっかさんの時代で終わった。小っちぇけどすみっこのほうに石碑さ建てて、おら達の年代の人間の半分くらいは、一日一度、花さ供えに行くだよ。今じゃ登るのは旅行者だけさ」
 ふむ、とセレスティは考え込んでいたが、ふと微笑んだ。
「すみません、もう一つ質問宜しいでしょうか」
「なんだべ?」
 引っ込もうとした老婆が振り返ると共に、彼は何か確信を持ったような口調で聞いていた。
「最期に『人柱』になったのは、どなたか───誰だったのか、この村のどなたか、それか貴女でも───覚えていらっしゃる人はいますか?」



 民話に詳しい学者は見つけた。だからこうして能力を使って憑依し、「封印伝説」についても調べているというのに。
 ジュジュはもどかしく、キチリと爪を噛んだ。
 その学者は20代後半の男。それは「脳の感じ」で分かる。
 だが、何故───こうも頑なに、「封印伝説」のことを「ガード」しているのだろうか。
 これ以上デーモンに逆らうような意識下での行為を続けると、脳細胞が破壊されてしまう恐れだってあるのに。
(何がこの男をそこまでにしているンダロウ)
 それとも───この男が、何かを───護りたいのだろうか。
 ぴくりと、ジュジュは目を瞠った。
 一瞬だが、男の声が聞こえた気がした───デーモンを通じて。
 ───雪慧(ゆきえ)ばあちゃん…………、
 と。



 祈祷を始めてから、弧呂丸は最初、静かな中にいた。
 だがすぐに、じわりじわりと「何かの妖しい気配」に包まれ、雪山に近いその場、そしてこの土地の過去が見え始めたことに身体に緊張を走らせた。
<かあちゃん! おらをうりとばすのか! 人柱峠なんかこえたくない!>
<時代の波、時代の人柱に俺の妻も呑みこまれた>
 あらゆる過去の人間達の、思念。
 だが弧呂丸が探しているのは、これではない。更に探ってゆくと、ふと、弧呂丸の意識の中で冷涼な風がひとつ、吹いた気がした。
<わたしで最期に───>
 美しい、まるで雪景色、キンとはりつめた空気をそのまま声にしたような、だがたおやかな女の声。
<人柱───わたしで最期にしておくれ───この雪山を降りたわたしが悪かった。花というものを見てみたかった、けれどそんなものよりわたしの娘を行かせてしもうたら、病弱な娘は死んでしまうから───わたしが雪山、人柱峠に戻ればきっとこの村もいいほうへかわる───家族を売らなくてもようなる───だからお願いじゃ、わたしが登りきったその後は、どうかこの雪山を、せめて『雪柱峠』と名を変えておくれ───>
 言葉の最後のほうで、弧呂丸の脳裏に美しい白い長髪に白い着物の赤い瞳の美女が過ぎった。
(雪の化───?)
 妙な冷たさで、身体ではなく頭の芯から凍り付いてしまいそうだ。
「おい。おい、弧呂丸!」
 揺さぶられて、ハッと弧呂丸は目を開くことが出来た。
 目の前には、武彦が暖かな缶コーヒーを手に立っている。
「あ……」
 弧呂丸は掠れた声を出し、そしてほうっとため息をついた。
「助かりました……」
 武彦の後ろには、シュラインにセレスティ、ジュジュが既に揃っていた。




■雪の化墓■

「全員が集めた情報を纏めると、こうだな」
 セレスティが用意させたスノーモビルに乗りながら、武彦が風に飛ばされないようメモ帳を開きながら確認する。
「ジュジュが『自白』させた『封印伝説』を知る、この村でただ一人の男───水嶋・雪樹(みずしま・ゆき)という学者と、特殊な地蔵ばかり作ってた爺さん、水嶋・雪法は住む場所は違えど祖父と孫の関係だった。
 そして『雪柱峠』の最期の『犠牲者』の名は雪慧。水嶋・雪法の祖母にあたるな。雪慧は病弱な娘を生んでからすぐに最期の一人として『雪柱峠』に登り、恐らく彼女は雪の化───つまりは雪女のような雪の魔物の類で、以降彼女の噂はない。雪慧の娘の雪実(ゆきみ)もまた、雪法を生んですぐに亡くなった。
 つまり、だ。
 『封印伝説』は水嶋家───雪慧の子孫による何かのシグナルで、俺にその『何か』を解決してもらいたい、というわけだな」
「ですが草間さんの怪奇探偵の噂が岩手にまで轟いていたとは、凄いものですね」
 微笑みながらのセレスティに、「んなわけあるかっ」と武彦は噛み付く。
「武彦の噂は多分、東京に住んでた水嶋雪法が掴んだんだヨ。それを孫の雪樹が知って、武彦に依頼をシタ───」
 ジュジュが考え込む。結局「封印伝説」そのものについて「自白」させる前に、雪樹の脳細胞が危険な状態になったため、憑依を中止せざるを得ず名前しか聞き出せなかったのだが。
「弧呂丸さん、大丈夫? まだ顔色が悪いわ」
 セレスティとジュジュ、二人と一緒のスノーモビルに乗っている弧呂丸に、武彦と一緒に乗っているシュラインが目敏く声をかける。弧呂丸は、弱々しく「大丈夫です」と頷いた。
「あれほどの哀しみの気にあてられたのは───本当に、久し振りでしたので」
 なんだか最近哀しい過去からの事件が多いなあ、と呟く武彦。
「春が───近いからかもしれませんね」
 セレスティが、意味深なことを呟く。
 シュラインが尋ねようとした時、「着いたヨ。あのカマクラ、違ウ?」とジュジュがスノーモビルを停めた。武彦が慌ててそれに倣う。
 少し、雪が降り始めている。防寒対策はしっかりとしてきたのだが、妙に寒気がした。
 左右は森林に囲まれており、ぽつんと小さな家のようにかまくらがある。
 近付いていくと、中で餅を小さなかまど、その上の餅網で焼きながら座っている若い着物の女性が見えた。女性のほうもこちらに気付き、縋るように身を乗り出した。
「この人は───」
 弧呂丸が、息を呑む。
 てっきり、かまくらの中に入っている女性そのものが、祈祷で「見た」雪慧という雪の化かと思った。
 だが、違う。雰囲気で、それが分かる。
「仕方ない。俺がまず入ってみるから」
 と、武彦。「あ、待って」とシュラインに言われ、立ち止まる。
「なんだ?」
「ちょっと試してみたいの」
 そしてテグスの片側を持たされ、改めてかまくらへと入っていく。す、と何事もない普通のかまくらに入ったように見えた。
 そして女性のほうは、やっと出られた、という風にかまくらから出てきて武彦達にお礼を言った。
「失礼ですが、あなたは水嶋家か『封印伝説』というものをご存知ですか?」
 セレスティの穏やかな問いに、女性はきょとんとして、「いいえ」とかぶりを振る。
 そして武彦達の服装をしげしげと見て、少し俯いた。
「やはり───外では随分と時が経ってしまっているのですね───そのような服装、わたくしは見たこともありませんから……」
「あなたはどうしてこの雪山に入ったのですか?」
 弧呂丸が静かに尋ねると、「わたくし、若菜(わかな)と申します」と名乗ってから、女性は話した。
 いつものように花売りの商売をしていた若菜は、毎日、いつの間にか建てられた石碑に花を供えるのも日常となっていた。
 その時ふと、何故だか「懐かしい」気持ちになり、気がつくとこのかまくらに入っていたのだという。
 聞くとそれまでは天涯孤独の身で、幼い頃の記憶もないが、村の人達が大層優しくしてくれたため、不幸とは一度たりとも思ったことがないのだという。
「───でも、このかまくら。やっぱり普通じゃないみたいね」
 シュラインが、片側を持っていたテグスが、武彦がかまくらに入った途端、その入り口でぷつりと呆気なく切れてしまったのを見て呟く。
「この餅や餅網とか、甘酒はあんたが用意した───んじゃないよな」
 武彦が、かまくらの中にある餅や甘酒の徳利を見下ろしながら自問自答のように考え込む。
「はい、そのお餅……いくら食べても、次から次へと餅網の上に新しく現れるのです。ですがあまりそのかまくらの中ではおなかもすかないので、専らお客様用に、でしたが……」
「お客様? 誰か来たことあるノ?」
 ジュジュが尋ねると、はい、と若菜は頷く。
 10歳を過ぎたばかりの男の子が、「ごく最近」遭難して迷いこんできたことがあり、それは楽しかった、と若菜は言う。
「あなたの仰る『ごく最近』とは……恐らく多少は昔、と考えてもよろしいかと思うのですが……その時、あなたはその少年を身代わりにかまくらの外へ出ようとはしなかったのですか?」
 弧呂丸の問いに、
「確かにかまくらの中に誰かを入れないとわたくしが外に出ることはかなわない、そう悟ってはおりましたが……身代わりにするには、あまりに可哀想で」
 と、若菜は更に俯く。
 武彦が、餅を食べながらため息をついた。
「どうでもいいから、お前らなんとかしてくれ。俺は一生をここで過ごすつもりはないぞ」
「というか、その話だとこのカマクラ、二人入れるノネ」
 なにやら目を輝かせたジュジュが、自ら武彦のいるかまくらの中に入って行った。
「なっ、ジュジュ! お前は何考えとるんだ!」
「ここで武彦と二人の生活も悪くないネ〜」
「アホかっ!」
 抱きつこうとする子供のように無邪気なジュジュから真剣に逃れようとする武彦の二人を見て、思わず赤くなる純な弧呂丸と、こちらは楽しそうに暖かく見守っているセレスティ。
 そして必死に逃れているうちに、武彦のほうがうっかりかまくらを出てしまった。
「あ」
「あーっ、武彦、ひどいヨ!」
 だんだん、と見えないかまくらと外界の「壁」を叩くジュジュに「すまん、つい」と頭を掻いてちらりとシュラインを見る武彦。
 シュラインはひきつったような微笑を浮かべかけていたが頭を切り替え、「今、対策をすぐに考えるわ」とメモ帳をもう一度見直し、若菜から話を聞き確認し始めた。
 その間にもジュジュは、
「携帯の電池が切れる前に、シュラインやアトラスの三下とかに憑依してミーの身代わりにさせるヨ〜」
 と、のほほんと恐ろしいことを言っている。
「身代わりといえば、『身代わり地蔵』は何故毀れたのでしょうね」
 セレスティが、思い出したようにポケットから石の破片を取り出す。
「セレスティさん、それは?」
「此方へ来る前に、ちょっと伝手を辿って水嶋雪法さんが最期に作った、『身代わり地蔵』の破片を頂いてきたんです」
 弧呂丸が興味津々に掌を覗いてきたので、セレスティが皆にも見えるように石をかかげる。
「この石からの情報ですと、雪法さんも特殊な能力を使えたようですね。ものを封印したり、解き放ったりという能力を。だからお地蔵さん作りも特殊なものに限定したのでしょう。
 身代わり地蔵が壊れる位に、何者にも身代わりの、代わりの物など出来ないと、証明しているのではないかとも思ったのですが───どうやら村で調べても何も出てきませんでしたし、このお地蔵さん自体はこの件には関係のないもののようですね、何かを封印する力はやはりあるようですが」
 そして、「次は私が入っても宜しいですか?」とジュジュに尋ねる。彼女が頷くと、シュラインの提案で、「手を取り合って出口へ向かってみる」ことも念頭に、セレスティはかまくらの中に入った。そして一応、シュラインのその案の通り、ジュジュと共に出ようとしてみたが───セレスティのほうはかまくらの中に、そしてジュジュは外へと弾かれた。
「いったぁ……まるでミーとセレスティ、磁石の逆みたいにひっぺがされたヨ」
 ジュジュが、まだ痺れている手を抑えながらしりもちをついてしまった雪の中から立ち上がる。
「セレスティさん、どう?」
 シュラインが弧呂丸や武彦と共に覗くと、セレスティは色々と「穴が開けられないかどうか」等試していたが、
「これは普通の雪ではないようですね、やはり」
 と、冷静に言ってから弧呂丸の手を何気なく引っ張りこみ、自分はすんなりと外に出てしまう。
「えっ……あの……?」
「あ、すみません。何か考え付くまで、ちょっと代わりになっていてください」
 にこやかなセレスティに、スれていないというか純真無垢な弧呂丸以外の人間は、「うまくハメたな」と曲者笑顔を見せる財閥総帥に対し寒気を覚えている。
 弧呂丸はかまくらの中で、「別の寒気」が増すのを感じていた。それは彼の職業柄だろうか、体質だからだろうか。このままこのかまくらにいては「危険」だと本能が叫びたてる。
「そういえば」
 ふと、若菜が顔を上げた。
「その男の子、妙なことを言っていました。
 『このかまくらは、雪の化の墓』だ、と───」
 ───雪の化の、墓?
 それを聞いた時、ふと弧呂丸の脳裏に兄の姿が過ぎった。
 自分がいなくなってしまったら、このままでいたら。
 兄は借金まみれになってまっさかさまに人生転落の道を辿るだろう。
 それは弧呂丸の妄想にすぎなかったのだが、そう考えてしまうと普段穏やかで冷静沈着な言動を取る彼は真っ青になった。
「私を、ここから出してください! 早く、兄が!」
 呪禁師の呪符を取り出して取り乱す彼を見て、シュラインが近寄ってくる。
「弧呂丸さん、落ち着いて。大丈夫よ。『花を持ってきたから』」
 え、と弧呂丸は目を瞠る。
 シュラインは、雪にやられないようにと大事に袋の中に入れていた、途中で買ってきていた菜の花を取り出し、自らかまくらの中に入り、弧呂丸の背をそっと押して出してやった。
「シュライン、いつそんなものを」
 武彦が尋ねると、「かまくらを壊すのは春ってことも考えていたし、なんとなく。それに弧呂丸さんからも、その雪の化の女性の言葉を聞いていたから」と、かまくらのあちこちを見ている。
 そういえば、弧呂丸が聞いたという雪の化、恐らくは「雪慧」の台詞の中に、「花というものを見てみたかった」という言葉があった、とセレスティやジュジュも思い出す。
 そしてシュラインは、菜の花をそっと「床」に置いた。
「ね───ここにいるのは雪慧さん、でしょ? 違うかしら。もう……一緒に出ましょ?」
 その言葉に、ぱっと一瞬かまくら全体が眩いほどに光った。
 全員が目を覆い、やがて光がやむと、かまくらは消え───かわりにシュラインの真上に、弧呂丸が祈祷で「見た」雪の化の女、雪慧が哀しそうな瞳で浮いていた。
 ぱさ、と沈黙を破ったのは、ようやくかまくらの檻から出された、若菜だった。
 呆然と雪慧を見上げ、───呟くように、涙を零して名を呼んだ。
「ゆき、え───?」
 と。
 信じられないという風に。
 これ以上ないほど、懐かしさに駆られたように。
 そして、さくりと背後から雪を踏む音がした。
 それは、まるで雪の化生のように。
 雪慧と生き写しの美青年───水嶋雪樹が、疲れたように、そして───やはり懐かしそうに、微笑みを浮かべて立っていた。




■雪融けの頃■

 真実は、こうだった。

 はるか昔から雪山を司り棲家とする雪の化生、雪慧は春を司る春化生の若菜と姉妹だった。
 本当にこの世のどの兄弟姉妹よりも仲がよく、若菜はいつも春の話をよく姉の雪慧に話してきかせた。
 中でも雪慧の気を引いたのは、「花」という存在だった。
 若菜は何度も花を持って来ようとしたが、雪山は花と相容れぬもの。雪慧の持つ雪山を護るための力が、花を散らせ───雪慧の目に映ることはかなわなかった。
 そんな若菜が、「一度だけ役割を入れ替わろう」と提案をした。
 そんなことが出来るのだろうか、と雪慧は不安に思ったが、天地を収める黎永大王(れいえいだいおう)に怒られるのでは、と何度もやめようとしたのだが、結局花の誘惑に勝つことが出来ず、若菜の「気」を纏って雪山を降りた。
 その頃、この雪山は「人柱峠」と呼ばれていた。
 村の人々は飢えに苦しみ、哀しんでいた。
 雪慧は若菜の「気」を使い、一時だけでもと春の息吹を村に吹かせ、いちどきにたくさんの木の実を実らせ、花を咲かせ、稲も実らせた。
 村の人々は喜び、雪慧のその「気の力」を使った姿を偶然見ていた男と惹かれあい、所帯を持ってしまった。
 そのことはすぐに黎永大王の怒りに触れた。
 当然のことだった。
 たった一つの村のために、地球全体の、いわば「体内時計」を狂わせて一部であっても「春」にしてしまったのだから。
 そして村の飢餓は以前より酷さを増した。いよいよ夫となった男も死に、生まれつき病弱であった娘も村から売りに、あの人柱峠を登らされると聞いた時。
 雪慧は「自分がいく」と言ったのだった。
 その時の雪慧の台詞は、弧呂丸が祈祷の中で見たとおりのものだった。
 そして雪慧は娘に別れを告げ、雪山へと戻って行き、罰を受けて一つのかまくらへと変化し、誰も入れぬよう、死した後も孤独でいるよう、そうして墓で魂に蓋をされた。提案をした若菜もまた罰を受け、能力と「春化生」だった時の記憶を奪われ、村へと堕とされた。
 雪慧の娘、雪実は母のことを忘れずにいた。書物に書きとめ、決して水嶋家以外の者へは口外せぬことを息子、雪法に誓わせ、託した。
 だが雪法は腑に落ちなかった。自分が妙な能力を持ち、同年代の子供達から虐められるのは祖母雪慧のせいだ。何故そんなものを護らねばならぬ。
 既に若菜はその時、雪実が同志を募って建てた石碑に花を供えた折に潜在下に封印された記憶に呼ばれるように雪山へと向かい、かまくらへと自らを閉じ込めるかでもするように入っていたのだが───雪法は書物を持ってはいたが、雪慧のことを家族内でも口にするのを嫌った。偏屈になり、どんどん気が廃れていった。
 それに相反したのが孫の雪樹だった。
 彼はまるで、水嶋家の誰も知らぬ若菜に似ていた。雪慧の行動に興味を惹かれ、当時のことを調べ、その凛とした言動に、春を憧れた心に惹かれた。
 そんな雪樹と雪法が、同じ家にいて喧嘩にならぬわけがない。穏やかな雪樹に対し激昂的だった雪法は単身東京に行き、地蔵作りをそこでするようになった。幸い東京には不思議怪奇系のことが多かったから、仕事は繁盛した。
 そして───調査を事欠かないようにしていた雪樹は、雪法が「完全に雪慧の魂を封じる威力を持った身代わり地蔵」をそれこそ魂を削って作っていることを知り、以前祖父から突き返されるように戻ってきた自分からの諌めの手紙にちらりと書かれていた「草間興信所」の存在を知り、住所を調べて武彦に助けを求めようとした。
 雪法の能力を侮ってはならない。だから、わざと「封印伝説」というものを作り、武彦に「ウソの依頼」をした。
 思ったとおり、武彦は雪法の作った「身代わり地蔵」を持ってきてくれたが、雪樹の持つ「結界」の力のほうが勝った。隔世遺伝、とでもいうのだろうか。雪樹のほうが能力のレベルとしては、雪法よりも遥かに強かったのだ。
 だから、「身代わり地蔵」は砕けた。雪法は雪慧の完全な封印のために能力も魂も使い果たし、心不全で亡くなったが雪樹はわざと葬式にも出なかった。ここで顔を知られては、全てがだめになってしまう。遠く離れた岩手の地で祖父雪法の魂の安らぎを祈りながら、彼は武彦達を待った。
 そして───ジュジュのデーモンに憑依されても、決して「封印伝説」のことは喋らなかった。自分の名前は操られ、つい言ってしまったが───それでもいい、と思った。

「ただ花が見たかった、……純粋な、雪慧ばあちゃんの気持ち、俺には分かったから」
 雪樹が、呟く。
 ───彼が本当に偶然迷子になった時、今は砕けたかまくら───雪慧の墓が、まるで明かりのように光ったから。道しるべのように光ったから、雪樹はあの時、小さなまだあの頃、助かった。
 そして若菜と出逢うことが出来たのだ。
「あの時、確信しました。俺には、この『二人』を護る役割があるんだって。だから───」
 せめて、真相を明るみに出したかった。
 せめて、二人を出逢わせる機会を作ってあげたかった。
 例え、黎永大王の怒りはとけなくとも。
「怒りというか、罰は」
 シュラインが、そっと口を開く。
「とけていると思うわ、もう」
「そうですね」
 セレスティが頷く。晴れ始めた空を見上げながら。
「でなければ、若菜さんは自分のことも姉の雪慧さんのことも思い出すことは出来なかったと思います」
「雪融けダネ」
 ジュジュが笑う。
 弧呂丸が、必要なのは封印ではなく解放だったのだと気付き、数珠を指の間で転がし、
「黎永大王、という方はご存知ありませんが……100年以上も罰を受けたのです。もう、解放されてもいいと思います。なんといっても、春ですし」
 ね、と微笑む。
 若菜が、シュラインの持ってきた菜の花を拾い上げ、一度目を閉じ香りをかいでから雪慧の魂に向けてかかげた。雪慧が、そっと微笑む。
<若菜。わたくしは天に逝きたい。花がたくさん零れ落ちるほど、そこにはあると昔お前から聞いた、そこへ逝きたい。雪の化生に生まれながらこんなことを言うのは、望むのはおかしいと思うかもしれぬが、わたくしはその花の楽園で、若菜。再び春化生となるお前とわたくしの大事な子孫を見護っていたいのじゃ>
「姉様(あねさま)。ですが、わたくしにはもう、そのような力は───わたくしひとりの力では」
 若菜が戸惑うように言うと、その肩に雪樹が手を置き、ちらりと弧呂丸を振り返った。
「そこのお方、解放の力もあるとお見受け致します。俺と若菜さんのご助力をお願い致します」
「えっ……わ、私がですか」
 驚く弧呂丸に、
「出番ヨ」
「私達はしっかりとここでお祈りしているわ」
「この地蔵の石も、ついでに消して下さい」
 封印など、もう必要ないのだから。
 ジュジュとシュライン、セレスティ。そして武彦にも頷かれ、弧呂丸は雪樹に小さく頷いてから、改めて雪慧を見上げた。
 春の息吹をどこか思わせる晴れた青空に、なんと美しく透ける魂だろう。
 やがて呪文を唱え終えた弧呂丸と、そして若菜と雪樹の力が一体となり、雪慧の魂をやわらかい光で包み込んだ。
<ああ───>
 ようやく本当の意味で解放された雪の化生の魂が、
<───この世の美しさ、……忘れまい───>
 吐息のように小さく言葉を遺し、
              静かに、天に昇って行った。



 武彦は雪樹に、「前金」の3分の1だけをもらい───それだけでも充分大金だったのだが、それ以下は雪樹に却下とされた───再びセレスティのヘリに乗り込んだ。
「雪柱峠、って名前もそろそろ変わりそうですね」
 セレスティが雪山を眩しそうに見上げながら言うと、
「ええ、そのつもりです」
 と、雪樹が若菜を隣に見て微笑む。
「今度はなんて名前ナノ?」
 ジュジュが尋ねると、子供のように笑った。
「今はまだ、内緒です。でも───」
 そして、青空を見上げ、冷涼で澄み切った空気を吸い込む。
「多分、皆さんが想像しているのと、そう変わりのない名前だと思います」
「それは嬉しいわ」
 岩手土産までたくさんもらって抱えているシュラインも、微笑する。
 少し疲れ気味の弧呂丸も、
「ずっと、何があっても春のような心の村でありますように───」
 と、乗り込む前に村と雪山へ一つ礼をしてヘリに乗り込む。
「じゃ」
 最期に、武彦が笑いかけた。
「元気でな」
 雪樹は、「はい」と元気にこたえ、若菜も微笑んで手を振った。
 空から見る雪山はきらきらと、どんな宝石よりも美しく太陽に照らされていた。


 ───黎永大王さまは、すべてお見通しのうえ、わたくしとお前達をこのようにしたのね。
 ───このように───本当の、真実を。この世の理と共に、人間という美しい花を教えるために。
 ───ああ……本当に、
          この天上界から花に囲まれて見るお前たちは、
                     ───色とりどりの、花のように美しいよ───
 


《完》
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0086/シュライン・エマ (しゅらいん・えま)/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
0585/ジュジュ・ミュージー (ジュジュ・ミュージー)/女性/21歳/デーモン使いの何でも屋(特に暗殺)
1883/セレスティ・カーニンガム (せれすてぃ・かーにんがむ)/男性/725歳/財閥総帥・占い師・水霊使い
4583/高峯・弧呂丸 (たかみね・ころまる)/男性/23歳/呪禁師
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■         ライター通信          ■
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こんにちは、東圭真喜愛(とうこ まきと)です。
今回、ライターとしてこの物語を書かせていただきました。去年の7月20日まで約一年ほど、身体の不調や父の死去等で仕事を休ませて頂いていたのですが、これからは、身体と相談しながら、確実に、そしていいものを作っていくよう心がけていこうと思っています。覚えていて下さった方々からは、暖かいお迎えのお言葉、本当に嬉しく思いますv また、HPもOMC用のものがリンクされましたので、ご参照くださればと思います(大したものはありませんが;)。

さて今回ですが、前回書いた「花ネタ:■彼岸花■」とちょっとリンクしている内容ではありましたが、ちょっと視点を変えて書いてみました。黎永大王、という名前も花ネタを書いているうちにまた出てくると思いますが、今からそれも楽しみでなりません。
謎の中に謎がある、というオチではありましたが、一番書きたかったのはやはり「一番美しい花は人間」ということでしょうか。なにやら書き終わったあと、「某人気グループ(東圭も大FANですが(爆))の唄みたいだな」とは思ったのですが、書いている最中は全くそんなことは考えず、わたし自身の作品として書いたのでとても満足しております。皆様のプレイングも最近のシリアスネタでは一番うまく引き出せたのではないかな、とわたしなりの思っているのですが、はたして本当にそうならばいいのですが;
また、今回は皆様文章を統一させて頂きました。

■シュライン・エマ様:いつもご参加、有り難うございますv 春の花が決め手となりましたが、まさか参加者様の中に本当に春の花を持って来て下さる方がいるとは思っていなかったので、とても驚きました。なんとなく、優しいシュラインさんが書けて嬉しかったのですが、今回は如何でしたでしょうか。
■ジュジュ・ミュージー様:いつもご参加有り難うございますv 今回はジュジュさんの能力がなければ、水嶋雪樹の登場が難しかったのではないかな、と思うのでとても感謝しております。かまくらの中に入った後の行動が個人的にとてもツボでした。
■セレスティ・カーニンガム様:いつもご参加、有り難うございますv 「壊れた身代わり地蔵」のことについても調査して頂いたおかげで、ラストの説明(?)シーンがスムーズに行ったので、とても嬉しかったです。また、「身代わりなんかじゃ〜」というくだり、流石ツボをついてこられたな、と脱帽致しましたが、今回は如何でしたでしょうか。
■高峯・弧呂丸様:初のご参加、有り難うございますv プレイングを読み込んだあとで気付いたのですが、「A.P.」で一度お世話になったお兄様の弟様でいらっしゃったのですね(言い回しが面倒ですみません;)!そしてこんなにお待たせしてしまってすみません;今回「祈祷」と「呪禁師」という職業を存分に使わせて頂きましたが、その後お身体等に疲れが残りませんでしたでしょうか。

「夢」と「命」、そして「愛情」はわたしの全ての作品のテーマと言っても過言ではありません。今回はその全てを入れ込むことが出来て、本当にライター冥利に尽きます。本当にありがとうございます。あの後、あの「雪山」がどのように改名されたのかは、今は皆様のご想像にお任せします。本当に気に入ってしまって久々にサブタイトルまでつけてしまいましたが(爆)、自己満足のノベルになっていないことを心の底から望んでいます。このノベルを書いている時、ちょうど雪が降りまして、珍しかったので生まれて初めて雪ウサギというものを作ってしまった東圭でした(笑)。

なにはともあれ、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これからも魂を込めて頑張って書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します<(_ _)>

それでは☆
2005/02/20 Makito Touko