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リース式変化術道場〜想いを運ぶ筈の朱
「あ、あ―・・・うん、ここまで出てるのよ!えーっと、え―・・・」
あたしは目の前の少女を指差し、空いたほうの手で頭を掻き毟った。
少女の歳は10歳前半程、愛嬌のある可愛らしい顔立ちに、きょとんとした表情を浮かべている。
背中の中ほどまであるだろう髪は蒼く、またその瞳も同じような色に染められている。
何処かで見た筈の顔。でもどうしても、その発端が思い出せない。
「えーっと、えーっと・・・うーん・・・駄目、降参!あんた、誰だっけ?」
あたしは両の手の平を掲げ、肩をすくめた。
目の前の少女は苦笑を浮かべ、
「あの、多分初めましてだと思うんですが・・・あたしもあなたとお会いしたことありませんし」
「あ、そう?おっかしいわねー、何処かで見た顔だったと思ったんだけど・・・」
あたしはそう言って、またじろじろと少女の足の先から頭まで眺め回した。
こうして改めて見ると、深い蒼の髪の毛以外に特筆するところはないような、只の女子中学生に見えた。
少々古めかしいデザインのセーラー服が清楚感を漂わせている。
・・・だけど、やっぱり何処か見覚えのある顔立ちで。
しかしあたしは気分を切り替えて言った。思い出せないことをいつまでも考え込んでも仕方ないしね。
「まあいいや。あたしはリース・リーファイ。あんたは?」
「あたしは海原・みなもです。あの、ここって何のお店なんでしょうか?
あたし、お姉様に頼まれて来たので・・・ここで得難い体験をして貰えって」
「・・・お姉様?それに、海原?」
あたしは少女―・・・みなもの言葉に、ぴくっと眉を寄せた。
海原―・・・海原。やっぱりどこかで聞いた覚えがある。
そういえば―・・・。
「思い出したっ!」
脳内にピン、とひらめきが宿り、あたしはぽんっと手を叩いた。
「そうそう、海原ちゃん。あのときのニワトリの子よね?
お姉様ってことは、あんたが例の妹?」
「に、ニワトリ?例って言われても、あたしには良く分からないんですが―・・・
でも多分、お姉さまのことだから」
良い意味じゃないんでしょうね、多分。
みなもはそういって、苦笑のため息を漏らした。
彼女と同じ海原姓を持つ少女。あたしは先日、その少女のおかげで、散々な目に遭ったのだった。
そのとき彼女が言っていた妹―・・・それがこのみなもと名乗る少女なのだろう。
あの少女がどんな思惑を持って、このみなもを送り込んできたのか知らないが・・・多分、ろくな考えじゃない。
あたしはそういうわけで、このみなもに今日一日降りかかるであろう災難を思った。
・・・まあ勿論、みなもがどんな目に遭おうが、あたしとしては知ったこっちゃないんだけど。
その当のみなもはというと、あたしを眺めながら不安そうな、でもどこか安堵したような表情を浮かべていた。
「・・・じゃあリースさんは、お姉様のお知り合いなんですね?
良かった、お姉様の伝言はあたしじゃ意味が分からなくって」
「伝言?」
あたしはみなもの言葉に、首を傾げる。
「はい。ええと・・・」
みなもはプリーツスカートのポケットに手をつっこみ、なにやら小さく折り畳まれた紙切れを取り出した。
がさがさとそれを開き、まるで教科書を音読するように読み上げる。
「『郵便ポスト』を『なりそこない』で。『すらり』としているから好みでしょう?
この前の『路上』も体験させて下さい。―・・・だそうです。意味、分かります?」
みなもは浪々とそれを読み上げたあと、小首を傾げてあたしを見つめた。
あたしはというと、みなもがそれを読み上げている半分ぐらいのところで、もう辛抱堪らず―・・・
手近にあったカウンターの上に片手をつき、もう片方の手で口を押さえ、ふるふると震えていた。
・・・みなもちゃん。あんたの姉さんって、ほんっと・・・イイ性格してるわ。
みなもはそんなあたしの様子を見て、どうやら別の意味に取ったらしい。
心配そうな顔をして、あたしの顔を覗き込んだ。
「リースさん?大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ・・・ぷぷ。うん、大丈夫大丈夫・・・」
あたしは口を押さえていた手を離し、みなもを遠くにやるように、手を払った。
そして深く深呼吸してから胸を落ち着かせる。
・・・よし、どうやら大爆笑は何とか避けられたようだ。
「うん、了解。郵便ポストね?くく・・・ええ、どんと来いよ。やってやろうじゃない?お望み通りに」
あたしはそう言って、くっくっく、と喉の奥からこみ上げてくる笑みを溢した。
みなもはそんなあたしを見て、どこか怯えるような表情で固まっている。
彼女はこれから自分がどんな目に遭うのか、きっと何も分かっていない。
だけど、決して微笑ましい状況にならないことぐらい、察しているのだろう。
そしてそれは、残念ながら―・・・当たっている。
みなもちゃん。恨むんなら、あんたのイイ性格したお姉ちゃんを恨むことね。
あたしは心の中でそう呟いた。
「・・・何が始まるのか、あたしには良く分かりませんが。
リースさんにお任せしますね・・・お姉様の伝言でもありますし」
みなもは達観の溜息を漏らしたあと、思い出したように顔をあげた。
そして下げていた学生カバンを開け、中をごそごそと探り出す。
彼女が出したものは小さな袋に包まれたものと、コンパクトな家庭用ビデオカメラ一式。
あたしはそれを見て、思わずきょとんとした顔を浮かべた。
「とりあえず、これを預かってきたのでお渡ししますね」
みなもはそう言って、小さな袋をあたしの手に握らせ、ビデオカメラをカウンターの上に置く。
あたしは眉を寄せながら、袋を開けた。
中に入っていたものは。
「ワォ。この前もらったのと同じものかしら?こりゃ嬉しいわね、どうもありがとう」
あたしはほくほくしながら、中から出てきたものをもう一度袋に仕舞った。
それは前回彼女の姉に貰ったものと同じ、大粒の真珠で、なんと今回は3粒もあった。
みなもが姉から預かってきたということは、これは体験料ということなのだろう。
うん、これを加工してピアスでも作ろう。
あたしはうきうきしながら袋をカウンターの上に置き、みなもに笑顔を向けた。
「お姉さんにもお礼言っておいてくれるかしら?大切に使わせてもらうわ」
「ええ、気に入って頂けたなら私も嬉しいです」
みなもは心から嬉しそうにニコニコと笑った。
あたしも同じような笑顔を返し、その表情を崩さずに告げる。
―・・・みなもにとっては、受難の始まりとなる一言を。
「・・・じゃあ、始めましょうか?」
「・・・・・・・・・はい?」
笑顔を浮かべながら固まったみなもの肩を、あたしはがっちりと掴んだ。
まるで決して逃がさないというように。
■□■
「はい、深く深呼吸して―・・・」
無理やり広くした店内の中央にみなもを立たせ、
あたしは合気道の先生がやるように、手の平を平行に掲げ、ゆっくりとあげた。
みなもの胸はあたしの手の動きに合わせ、穏やかに上がっている。
そして手を下げると、それに合わせてまたみなもの胸も下がる。
「いい?目を閉じて、そのままの姿勢よ」
「はい・・・」
みなもは先日の姉のときと同じような姿勢になって、軽く瞼を閉じた。
ここまできても、あたしはみなもに何も説明していない。
にも拘らず、こうすんなりあたしの言葉に従うとは―・・・
何も考えていないのか、それとも芯から真面目なのだろうか。
多分みなもの様子を見る限りでは、後者なのだろう。
こんな純真な可愛らしい子を、まるで騙すように術にかけるのには、
さすがのあたしでも少々罪悪感が沸くけども・・・まあここまできちゃったんだし、いいわよね、別に。
あたしはそう開き直るように気持ちを切り替えた。
「合わせた手の平に意識を集中するの。そんでもって、頭の中でイメージを描いて。
いい?郵便ポストよ?街角に幾年もの間経ち続けて、
色んな人の想いをその身に受け止めてきたポストちゃん。
ちょっとやそっとの嵐でも壊れない、頑丈なポストちゃんよ。
色はそうね・・・オーソドックスに赤といきましょうか。
四角い奴だと可愛くないから、円柱状のものね。
大正ロマンとかそういうノリでヨロシク」
あたしは矢継ぎ早に思いつくまま並べ、みなもの姿を見た。
みなもの耳にはもう半分あたしの言葉なんて届いていないのだろう。
両の手の平を合わせ、そこに集中しきっているのか、ぴくりとも動かない。
ほんの少し開いた形の良い唇から、長い息が漏れた。
「あんたはポストよ。真っ赤なポスト。たまに犬に小を引っ掛けられたりするけど、
それでも我慢してる偉いポストちゃん。イメージは固まった?準備はオーケイ?」
一応だがあたしの言葉は届いているようで、みなもは微かながらこくん、と頷いた。
あたしは満足そうな笑みを浮かべ、言った。
「じゃあ、あたしの言うことを復唱するのよ。落ち着いて、ゆっくりと」
あたしはそう前置き代わりに告げてから、魔力を増殖させるための言霊を紡ぐ。
「・・・アンクル、コーシア、カルカツィア。
偉大な村の創始者たちよ、遠い東の異国にいる貴女の子、その友に力を」
みなもがあたしの言った通りを復唱し終わった途端、彼女の身体に変化が起こった。
フワ、とみなもの蒼い髪が、下から風が吹き上がっているかのように浮き上がったかと思うと、
みなもの身体の表面がぼこぼこと波打ち始めた。
胸の辺りから赤く染まり始め、それがあっという間に首へ、腕へ、足の付け根へと伸びていく。
みなもの制服を覆うようにして、その赤が無機質の色へと変化していった。
・・・当然、みなも自身も勘付く。
「えっ・・・何これっ!?」
「落ち着いて!今感情が高ぶったら一巻の終わりよ。二度と元の姿には戻れないわ!」
勿論こんなの嘘っぱち。何もしなくたって、夕方あたりには元に戻る。
「そ、そんなこと言われても・・・!いっ、や・・・!」
「イメージは崩しちゃ駄目よ、頑張って!」
あたしは真剣そのものな顔で声援を送るが、内心にやにやとほくそえんでいた。
ある程度脳内のイメージを壊さないと、彼女の姉ご希望の”なりそこない”にはならない。
だから、今のみなもの状態は願ったり叶ったりなわけだけで。
「パニック状態にも関わらず、ちゃんと部分変化してるからすごいわね・・・。
みなもちゃん、あんた正式に術、習いに来ない?」
「意味が分からないですっ!それより、この変なの、止めてくださいっ!」
「それはムリよ、何せもう前金もらっちゃったわけだし。
いい加減諦めて、郵便ポストになんなさいっ!」
「ひ、酷いっ・・・でも、も、もう・・・ダメっ・・・!」
みなもが耐え切れずに呻いた次の瞬間。
「いやあ、あたしも数々の”なりそこない”は見てきたけど・・・ぷぷぷ。
ここまで凄いの、久々に見たわ。うん、やっぱあんた才能あるんじゃない?」
「何の才能ですか・・・それに、何でそんなにニヤけてるんです?」
「え、何でって・・・くく・・・あーっはっはっはっは!」
あたしは遂に、我慢できずに腹を抱えて笑い出した。
泣きそうな顔を浮かべているみなもを指差して、目に涙を浮かべるほどの大爆笑。
「そんな・・・笑わなくても」
「ごめん、ごめん・・・くくくっ、あーおかし。みなもちゃん、あんたホント才能あるわよ?
ほんとーに見事な”なりそこない”だこと・・・あっはっは!」
あたしはヒーヒー言いながら滲んだ涙を拭い、改めてみなもの姿を眺めた。
・・・その際にまたもやぷーっと噴出してしまったけれど。
先程まで細く華奢な身体を持っていたみなもは、今は無機質な金属へと姿を変えていた。
彼女の胴体は太くまっすぐな円柱形になり、赤く染められている。
そしてその円柱の金属からは2本の手、足がにゅっと伸び、
円柱の上部にはまるでくりぬいた穴から出しているようなみなもの顔。
幸か不幸か、彼女の手足と顔だけは金属にはなっておらず、
まるでみなもがポストの張りぼてを被ったような姿になっていた。
彼女の蒼い見事な髪の毛は見られず、その代わりというように、
円柱の一番上には小さな傘のようなでっぱりが、二段でついていた。
そして本来なら、その傘の下に手紙を入れる口があるのだろうが、
あたしの目の前のポストにはその代わりに、みなもの情けなそうな顔。
・・・このポストに手紙を投函するときは、みなもの口に押し込むのかしら?
その状況を想像して、またもやあたしは笑い転げてしまう。
「はあ・・・こういうことだったんですね」
みなもは深い溜息をついてそう呟くように漏らした。
本当は身体を折り曲げたいのだろうが、硬い金属の身体はそれを許さない。
そう思ってみると酷く窮屈そうに見えるのだが―・・・それよりもまず、おかしさのほうが出てしまう。
「くくっ・・・ねえ、手紙投函していい?まさか消化しないわよねえ」
おかしさを乗り越えたあたしは、今度は物珍しそうにみなもの姿を眺めてみた。
みなも本人は、まだ自分の身体の構造をよく分かっていないようで、
「さあ・・・一応こんな姿でも、胴体は金属みたいですから。
ていうか、手紙なんていれないで下さいよ、あたしには収集車さんなんて来ないんですから」
「あははは、それもそうね。冗談よ、冗談」
あたしは笑いをかみ殺しながら、手をぴらぴらと振った。
そんなあたしの様子を見て、みなもはまた、ハァと溜息をつく。
「リースさんに任せるってことがこういうことだったなんて・・・あぁもう。
・・・ということは、ビデオはこの姿を撮影するってことですね・・・」
「そうでしょうね、多分。しかもあんたのお姉ちゃんは、路上撮影をお好みのようよ」
あたしはカウンターに近寄り、コンパクトなビデオカメラを手に取った。
・・・中々イイ性格だとは思ってたけど。
この子の姉さんは、思ったよりもエグい性格ね・・・一応姉妹愛なのかしら、これでも。
そのみなもは、あたしの言葉を聞いて愕然と目を見開いた。
「路上って・・・この姿で表に出るって事ですか!?」
「仕方ないじゃない、多分それも込みなんでしょ、あの真珠。
それに大丈夫よ、一応郵便ポストなんだから、ジッとしてりゃバレないって」
「はぁ・・・」
あたしは軽いノリでけらけらと笑いながら言ったが、当のみなもにとっては軽い問題でもないわけで。
「どーする、みなもちゃん?」
あたしはビデオカメラをのファインダーを覗き込みながら言った。
勿論まだ録画スイッチは押していない。
そしてファインダー越しのみなもは、泣きそうな顔で、半ば諦めたように言った。
「仕方ありません・・・お姉様の頼みですから」
あたしはみなもの言葉に、ビデオをおろして思わずひゅぅ、と口笛を吹いた。
「思ったより潔いわね、偉い子」
「ええ・・・もう、どうせあたしはオモチャですから・・・もう、こうなったら腹を括ります。
・・・その代わり、リースさんもついてきてくれますか?」
一人じゃいくらなんでも恥ずかしすぎますよ。
そう涙目でため息混じりに言ったみなもは、顔をあげてあたしも見た。
あたしは思わず、へ?と固まる。
・・・あたし自身がポストじゃないからいいけど・・・高確率でこの子の同類だと思われそうね。
でもまあ、ちょっとはあたしに責任がないわけでもないし・・・。
あたしは暫く、うんうんと唸った挙句、よぅしと頷いた。
「そうね、付き合ってあげましょ。
それに、ビデオ撮影係も必要なようだしね?」
「・・・そうですね・・・ビデオは心底遠慮したいですけど・・・。
それも込みですもんね、仕方ないです」
そして、はぁ、と本日何度目かの溜息。
あたしはそんなみなもに近寄り、彼女の頭―・・・じゃない、金属の小さい傘をぽんぽんと叩いた。
「まあ、頑張って皆さんのお手紙を回収なさいね!
あたしがバッチリその様子を納めてあげるから!」
「あたしが回収なんかしたら、あとが大変じゃないですか・・・」
■□■
そして数十分後。
”ワールズエンド”から程近い路上で、みなもは健気に頑張っていた。
とりあえずこの近所を一周ね、のあたしの言葉に素直に従っているようで、
人影がないのを確認してから、ちょこまかと距離を稼ぎ、
そしていざ人が通りがかると、バッとポストの振りをかました。
一方だけから人がくるのはまだ良しとして、彼女の受難になるのは、
歩道と車道の二方向から影が見えたとき。
結局みなもは、より見えにくい車道のほうに顔を向けて突っ立っていることになるのだが、
車が通り過ぎるときは、やはり車内のドライバーと目が合ってしまう。
明らかにぽかん、と呆気に取られているドライバーを確認し、みなもはそのたびに顔をカァァと赤くしていた。
そしてあたしはというと。
「いいわよ、みなもちゃん!でももっと大またで歩かないと、日が暮れちゃうわよ!」
「太ももあたりまでポストなので、足が大きく開かないんですよっ・・・!
ていうか話しかけないで下さい、恥ずかしいじゃないですか!」
「何を今更照れてんのよっ。ウブなネンネでもあるまいし!」
「それは確実に意味が違います・・・!」
まあそんな感じで、あたしはカメラ小僧よろしく、角度を変えながら、
みなものその情けなくもどことなく可愛らしい奮闘ぶりを、レンズに収めていったのだった。
「ほらほら、人が来たわよ?あ、おばあちゃんが手紙入れるところがなくて困ってるわ。
ちょっとポストちゃん、何とかしてあげなさいよ!」
「え・・・だから、私に投函されても・・・!う・・・お、お婆さん、どうぞあたしの口の中に入れて下さい・・・」
「おやまあ、いいのかい?こりゃまあ珍しいポストだねえ」
「そうでしょ、珍種なんですよぉ。くくっ・・・でも大丈夫、消化なんてしませんからねえ。
おばあちゃんの手紙は、このポストが大事にお届けしますよぉ」
「そうかいそうかい、ありがとうねえ」
通りすがりのおばあちゃんとの、そんな心温まるようなふれあいも、
あたしは勿論ばっちりビデオに納めていた。
みなもは泣きそうな顔で、自分の腹のあたりをさすっている。
「う・・・変な気分」
「大丈夫よ、何とかなるって。変化が解ける前に、回収口を開けて見たげるわよ」
「お願いしますね・・・うぅ、ごめんなさいお婆さん。あたしがお手紙飲んじゃったら、何てお詫びしよう・・・」
みなもははらはらと涙を流しながら、とっくに見えなくなったそのおばあちゃんに向けて、懺悔していた。
うーん・・・ホント、つくづく純真な子ねえ・・・。
あたしは半ば感心するようにみなもを眺め、そしてハッと我に帰ってビデオを構えた。
「ほら、こんなことしてる暇ないわよ!路上で変化が解けてもいいの?」
「それは勘弁して下さい・・・!」
やいのやいのとみなもを囃子ながら近所をぐるりと回り、
また”ワールズエンド”に戻ってきた頃には、そろそろ変化も解けようかという頃になってしまったとさ。
そうして無事に人間姿に戻ったみなもは、あたしが回しに回したビデオテープを、
大事そうに抱えて家路に着いたわけだが。
あたしは未だに、そのテープが何の目的で使用されたか知らないけれど―・・・
とりあえず、みなものことを思い出すたび、心の中で合掌することにしている。
end.
●○● 登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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【整理番号|PC名|性別|年齢|職業】
【1252|海原・みなも|女性|13歳|中学生】
●○● ライター通信
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みなもさん、今日和。
この度は当依頼に参加して頂き、ありがとうございました。
前回のお姉さんが参加されたお話の続編といった形のようになってしまいましたが・・・
如何だったでしょうか?
少々こちらの趣味も入り、随分とお姉さん絡みのネタも出させて頂きました。
こちらとしては非常に楽しく書かせて頂きました^^
みなもさんにも楽しんで頂けると非常に嬉しく思います。
また何か変身したいものがありましたら、どうぞお越し下さいね。(笑)
それでは、またどこかでお会いできることを祈って。
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