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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


天使の噂

●あやかし荘
「天使……ですか?」
 あやかし荘にいつもの様に遊びに来ていた天薙撫子(あまなぎ・なでしこ)は怪訝そうな声でその言葉に答える。
「うん、ここからそう遠くない所にある教会で出るってここ最近噂になってるよ。」
 あやかし荘の管理人である因幡恵美(いなば・めぐみ)を一緒にお茶を飲みながらふと出たその話題に撫子は興味を持った。
 しばらく恵美と談笑していた撫子であったが、先ほど出た天使の話題がどうしても気になる事を恵美に伝え、少し調べると言って席を立ちあやかし荘を後にした。
 撫子があやかし荘を出たその頃、谷戸和真(やと・かずま)もまた偶々行った病院の待合室で看護婦達が話していた噂話でその噂を聞いていた。
「ふむ、天使か……。」
 その【願いを叶える】という所に興味を覚えた和真は病院を出たその足で、その件の天使を確認しようと思った。
 ただ看護婦達の噂では寂れた教会と言うことしかわからなかった為に和真はふと考え込んだ。
「まぁ、何処か教会にでも言ってみれば、何か判るだろう。」
 そんな風に何処か投げやりとも思えるような感じで呟くっと街道端にある地図に目を通す和真であった。
 そして和真が地図で見つけた教会に行くと教会から、一人の神父が何処か慌てるかの様に飛び出してきた。
 和真はその慌てて出てきた神父を呼びとめ、先ほどの噂話について何か知らないかを問う。
「ああ、その噂なら私も知っていますよ。私も気になったのでこれからその噂の真偽を確かめようと思っていたところなのですよ。」
「なんだあんたも気になっていたのか、丁度いい俺も一緒に連れてってくれ。」
「ええ?あなたもですか?それは奇遇ですね、では一緒に行きましょう。」
 そう言ってその神父、紅月双葉(こうづき・ふたば)は和真の事を促した。

●喫茶店
 天使の噂を聞きつけたモーリス・ラジアルは喫茶店でネットをしてその噂を見つけたあと、少し考え込んだ後、何処か楽しい事思いついたかのように笑みを浮かべる。
「天使ですか……。これは面白そうですね。折角だから行って見ましょうか、ただ一人で行っても面白くないですよね。」
 そんな風にモーリスは呟くと自分の座っていた椅子を立ち喫茶店を出て行く。
 そして表に止めてあった車に乗り込み、同行人を求める為文月堂へと向かった。
 モーリスが車を走らせた後、モーリスが出てきた喫茶店の前で、一人の女性がその車に目を走らせる。
「あら?あれは確かモーリスの……。」
 その女性は綾和泉汐耶(あやいずみ・せきや)、やはり天使の噂を聞き、気になって仕事帰りに噂となってる教会へと向かおうとしていたところであった。
「あんなに急いでってあっちの方向は、文月堂か……。また何かする気なのかしらね。」
 小さくため息をついて、汐耶は歩き出した。
 汐耶がため息をついていた事などつゆにも思わずに、モーリスは目的地である文月堂へと車を走らせ、その近くに車を止めた。
「さてと、隆美さんはいるかな?と」
 声を弾ませながら、来慣れた文月堂の扉を開ける。
 そこには丁度店を閉める為の用意をしていた佐伯隆美(さえき・たかみ)がいた。
「あらモーリスさんこんばんわ、今日はもうお店閉めるところなのよ。探したい本があるなら明日また来てもらえないかな?」
「あーいえいえ、今日は本を探しに来たんではなく、隆美さんを誘いに来たんですよ。お店を閉めるところだったら丁度よかったですよ。」
 そう言ってモーリスは楽しそうな噂があるから一緒に見に行って見ないか?と隆美の事を誘う。
 その話を聞いて、隆美はちょっと考え込んだがしばらくしてモーリスに答える。
「その噂なら私も紗霧から聞いていたわ。面白そうではあるんだけど、ごめんなさい、今日はこれからちょっとやる事があるのよ。だから私はいけないけど、もし本当に天使がいるならその時の話ゆっくり聞かせてもらえると嬉しいわ。」
 まさか断られるとは思っていなかったモーリスは一瞬落ち込んだ表情を見せるが、すぐいつもの笑顔に戻る。
「用事があるなら仕方ないですね。それじゃ今日これから行くつもりだったので、また後でどうなったかを話に来ますよ。」
「そうね、夜には用事が終わってると思うからそうしてもらえるとうれしいわ。」
 隆美はそう言って店を閉める準備を進める。
「それじゃ、隆美さんまた後で。」
 モーリスはそう言って文月堂を出て止めてある自分の車に向かいながら一人呟く。
「いつもより店を閉めるのが早かったのは用事がったからなのか、まぁそういう事なら仕方ないですね。これは余計に天使の噂について調べて隆美さん達に報告してあげないとね。」
 そう決意を固めるモーリスであった。

●関東聖印教会
 あやかし荘を出た撫子がその噂の教会につくとそこにはすでに先客として双葉と和真がやって来ていた。
 撫子がやってきたのを見ると、双葉は思わずビクっと反応するが、撫子のその雰囲気にほっと胸をなでおろす。
 撫子の巫女としての聖なる気が双葉の事を落ち着かせていた。
『ふぅ……、あの人ならば大丈夫そうですね。』
 内心そんな事を思いながら撫子の事を見ていると、不思議そうに撫子が双葉の事を見る。
「あの、わたくしの顔に何かついていますか?」
 怪訝そうに撫子が双葉にそう問うと、双葉はできるだけ冷静を装って撫子に答える。
「いえ、特にそういう訳では……。」
 そしてその二人の会話を遮るかのように和真が撫子に声をかける。
「あんたも噂の天使を見に来たクチか?」
 どこか人をはねつける様な、ぶっきらぼうなその物言いに撫子は少し眉をひそめる。
「ええ、あんた『も』と言う事はあなたもそうなのですか?」
 撫子はそれでも冷静にやんわりと和真に答える。
 一瞬ピンとした空気が張り詰めるが、その沈黙は背後からかかった声で消え去った。
「あら、双葉さんどうしたんですか?ひょっとしてあなたも天使の噂を聞いて?」
 双葉は自分が声掛けられたのを聞いて、声のした方を向く。
 そこには自分もよく知っている女性、汐耶がいた。
「ええ、私はこれでも聖職にあるものですから、天使と聞いてはやはり気になりまして……。汐耶さんも噂を聞いて?」
「ええ……、私も噂が少し気になってね。でも天使がというよりも願いを叶えてくれると言う方が気になってね。やはり願いと言うのは誰かに叶えてもらうと言うものではなく、自分達で何とかするものだと思うから……。」
「確かにその点は私も気になりましたね。天使と言うものは本来何かを与える、と言うよりは導くものですからね。」
 二人のそんな会話を聞きながら和真は小さく一人ごちる。
「そんなもんどっちだって良いじゃないか。おれはその天使を俺の物にできればそれで良いんだから。」
 その呟きを双葉は気が付き、和真に声を掛ける。
「和真さん、何か言いました?」
 双葉に呟きを聞かれたが、細かい内容までは聞かれてない事に内心ほっとしながら和真は慌ててその場を誤魔化す。
「あれ?皆さんどうしたんですか?汐耶さんや双葉君まで、ひょっとして例の噂ですか?」」
 そんな風に皆が話していると、近くに止まった車からモーリスがゆっくりと出てきながら声を掛ける。
「あら?モーリス様お久しぶりです。モーリス様もその言葉からすると天使の噂を聞いていらっしゃったのですか?」
 撫子のその言葉にモーリスはゆっくり頷く。
「どうやらここにいる方達は皆さん、私と同じ目的の様ですね。」
「どうやらその様よ。モーリスが来るのは少し意外だったけれど。」
 少しからかう様に汐耶がモーリスに話し掛ける。
「おや?意外でしたか?」
「ええ、文月堂の方に車を走らせていたのを見たから?」
「何処かで見られていたのですか。隆美さんを誘いに行ったんですが、見事に振られてしまいましたよ。」
 肩をすくめて少しおどけた様にモーリスは汐耶に答える。
「あら、モーリスには良い薬じゃない。」
「ひどいなぁ。まぁ隆美さんもこの天使の事は少し気になっていたようなので、後で報告しに行く事になったのですが。」
「そうなの?だったら私もご一緒させていただこうかしら。」
「汐耶さんもですか?それじゃ一緒に報告に行きましょうか。でもまずはその天使という物の事を調べるのが先でしょうね。」
「そうね、まずはそこからね。」
 そう言って汐耶とモーリスは教会の方を見る。
 二人に続いて一行が教会の中を見た瞬間建物の中からやわらかい光が発せられる。
「何かあったみたいですね。」
「そうだな、噂の天使が現れたのかもしれない。」
 和真がそう言って教会の中に走って行く。
 そして残った面々も和真に続くように教会に入って行った。

●古びた教会
 一行が教会の中に入ると、礼拝堂に聖母像の前に浮かんでいる一人の神聖都学園の制服を来た少女がそれを眺めていた。
 その少女を見て撫子は驚いた様に声を上げる。
「静奈さん!!」
 その声を聞いたその少女は一行の方を振り向く。
「撫子さん、それにモーリスさんも……。」
「静奈さんがここに来てるとは思いませんでしたわ、やっぱりその天使さんの噂を聞いて?」
「ええ、そういう撫子さんも?」
 ゆっくりと静奈の言葉に撫子は頷く。
 そして一向は宙に浮かぶ天使に目を向ける。
「今日はまた沢山の人がいらっしゃったのですね……。さぁ、皆さんの願いはなんですか?」
 ゆっくりと一行を見渡すと天使は一行に問いかける。
「あの噂は本当だったんですね……。」
 呆然と天使を見つめるモーリスと撫子を横目に和真が口を開く。
「なぁ?あんた何でも願いを叶えてくれるんだろ?だったらその力おれの店で活かさないか?そういう店員がいると良い客寄せになるらぜひ来て欲しいんだが。」
 その和真の言葉に皆眉をひそめる。
「はぁ、和真さん……でしたっけ?あまりそういう事をストレートに言うのはあまりスマートじゃないと私は思うのですが。」
「なんだよ、そんなのは俺の勝手だろ?」
 和真のその物言いに、モーリスが言葉こそ発しなかったが、視線で黙りなさいとでも云う様にねめつけた。
 和真が言葉に詰まったのを見て双葉がその天使に向かって問いかける。
「この教会の事は調べさせてもらいましたよ。あなたは……本当の天使なのですか?私にはとてもそうは思えない……。」
「そうね、それは私も調べて見てそう思ったわ。この教会は歴史もそうあるわけじゃない、あなたの様な天使が出てくるとはとても思えないもの。」
 双葉に続いて汐耶も自分が調べてきた事に対して天使に問う。
「この教会は数年前に、当時この教会のただ一人の神父だったら老人が病気でなくなられて以来、誰もここで教えを説こうとした人が現れなかっただけで特に不審な点は無かったですからね。」
 二人のその言葉に対して天使は黙って皆を見つめる。
「そのお二人の言う通りなのですか?あなたは天使ではないのですか?」
 撫子が天使を見ながら、自らも感じた違和感を突き詰めるかの様に天使に問う。
「そこの神父さん……なんだよね?ボクもこの天使さんにはちょっと違和感を感じたんだ、ただ、邪悪なる者って雰囲気は感じなかったから疑問だったんだ。」
 静奈のその言葉に双葉は小さく息を吐いて周囲に聞かせるように答える。
「ええ、本来天使とは神の御使いであり、導く者であっても何かを与えるものではないのです。私もそこが気になり調べてきたのです。ひょっとしたら天使の姿を映しただけの悪魔の類ではないか?とね。」
 悪魔の言葉が出た瞬間、その場の空気が凍りついたかの様に静かになる。
「でもこの天使さんからはその様な邪悪な気配は感じませんよ。わたくしも巫女と云うものをやらせていただいている身です。その位の事は判りますから。」
「どうやら、お三方とも天使ではないと思っていらっしゃる様ですね、でしたらその正体暴いてみましょうか?」
 モーリスのその言葉に今まで、皆を見ているだけだった天使がビクっと小刻みに体を震わせるとあわてたように皆に背を向け逃げようとする。
 その逃げようとする天使に向かい、モーリスが自らの力を解放する、「調和者」としてのその力は天使のそのまとっている力そのものを中和して行った。

●天使の正体
 天使は逃げようとした姿のまま徐々にその光が薄れていき、その姿もまた徐々に消え始めた。
「モーリス、一体何をしたのよ!」
 汐耶が消えようとする天使の姿を見て、モーリスを咎める。
「汐耶さん、別に私は変な事はしてませんよ。ただその天使の姿をした物を本来の姿に戻そうとしただけです。変な事はしてませんよ、ただその者の纏っている魔力が消えようとしているだけだと思いますよ、ほら。」
 そう言ってモーリスが指差した先には先ほどまで天使の姿をした物がいた所には悪戯好きそうな顔をした小さな子供のような姿をしたものが慌てて近くにあった、箱の陰に隠れようとしていた。
 モーリスは素早くその子供の姿をした物を捕まえると皆の前につれてきた。
「離せ、離せよー!」
「こ、これがあの天使の正体、なのか?」
 モーリスに捕まえられてじたばたと暴れるその子供の様な物のあまりの変わり様に呆然とする和真。
「どうやら妖精か何かのようね……。」
「そうですね。なぜこの妖精が天使の姿をしていたのかはこの妖精に来て見ないとわからないですが。」
 モーリスに捕まえられている為に逃げられない妖精に向かって撫子が問いかける。
「あなたが最近ここに出てくるという天使さんの正体なのですか?」
 しばらく暴れていた妖精であったが、モーリスから逃げられないと判り、仕方なく皆の方を見て話し始める。
「ああ、そうさ。おいらはこの教会に住んでるブラウニーさ。あんまりにこの教会に人が来ないから天使の姿に化けて人が来るようにしてやったんだ、凄いだろ!」
 そう言って鼻高々に自慢するかのように話すブラウニーを見て皆一斉にため息をつく。
「そ、それじゃ、皆の願いを叶えたって言うのは?」
 まだ現実へ戻って来ていないのか和真がブラウニーに聞く。
「ああ、そんなの叶えられる訳ないじゃん。叶えてやった様な幻を見せてやってただけに決まってるじゃん。」
 その言葉に一行が再びため息をつく。
「あのですね?教会にそういう事をして人が来るようにしても何の意味もないのですよ?」
 双葉がその妖精に対する怒りを必死に堪え笑顔を必死に浮かべながら話し始める。
「そうなのか?でも教会に人が来なかったら何の意味もないじゃん?」
 話している意味がわからないとでも云うかのように不思議そうな顔で双葉の事を見るブラウニー。
「今はこの様に人のいない教会ですが、いずれきっとここで教えを説こうとする人が現れますから。そうすればきっとここもその教えを聞こうとする人達で賑わいます。その時の為に今はただ休んでいるのですよ。」
 そんなブラウニーと真剣な表情でブラウニーに説明をしている双葉の様子を見て、汐耶と撫子は思わず笑いを堪えきれずにいた。
 しばらくそんな風に問答を続けてた双葉とブラウニーであったが、ブラウニーがようやく合点がいったかの様にうなずく。
「おいらはこの教会が爺さんがいた頃の様に人に沢山来て欲しかっただけなんだけど、こういうやり方で人を呼んじゃいけないって事なのか?」
「ええ、そうです。教会とは神の教えを説く所。決して願いを叶えて貰う為に人が来る所ではないのですよ。」
 双葉のその言葉に寂しそうな顔をするブラウニー。
「おいらはずっと居眠りしてて、久しぶりに目が覚めてみたら爺さんもいなくなってるし、この教会も寂れてて凄く寂しかったんだ。だから前みたく沢山の人に来て欲しかっただけなんだけどな。」
 そのブラウニーの言葉に撫子が良い事を思いついたとでも云う様にパンとて手を合わせる。
「だったらこの近くにブラウニーさんが喜びそうな良い場所がありますよ。」
 撫子のその言葉にぱっとブラウニーの顔が喜びに変わる。
「本当か?」
「ええ、ここの近くにあやかし荘と云う大きなアパートがあります。そこにはあなたの様な妖精さんとかも沢山いますし楽しい人も沢山います。きっと気にいると思いますよ。」
 撫子のその言葉に一瞬嬉しそうな顔をしたブラウニーであったが、すぐまた元の寂しそうな表情に戻る。
「お姉ちゃん良い人だな。そのあやかし荘って所楽しそうだけどおいらはいけないや。」
 ブラウニーのその言葉に『なぜ?』という顔を撫子は浮かべる。
「おいらやっぱり寂れてても、爺さんと一緒にすごしたこの教会を捨てたくないや。だからそこの黒い服の兄ちゃんが云う様にここに活気が戻るのを待つ事にするよ。」
 その言葉に一行は思わず黙ってしまう。
 そのブラウニーの表情から、ここですごした時間がブラウニーにとって、とても楽しい時間だったろう事が容易に想像できたからだ。
「そうですか、でも寂しくなったとき、悪戯とかしないでぜひ遊びに来てください。きっとみんな歓迎してくれますよ。」
 撫子がブラウニーに微笑んでゆっくりと立ち上がる。
 それに続いてモーリスもブラウニーの事を離す。
「そうですね、私達もたまにここに遊びに来ますから、こういう悪戯はしない方が良いですよ。」
「うん、判った、おいらもう悪戯はしない。皆が来る様になるまで寂しいけど待つから。」
 ブラウニーのその言葉に一行は異口同音にそれが良いとブラウニーに答え、その答えに満足したのかブラウニーはすっと姿を消した。
 そして後には天使の噂の真実を確かめに来た面々と静けさだけが残った。

●エピローグ
 教会を後にしたモーリスは汐耶と共に事の次第を隆美と紗霧に話すために文月堂へと向かった。
 モーリスが走らせていた車がとある喫茶店の前に車を止める。
「あら?どうしたの?こんな所で車を止めて……。」
「いえ、手ぶらでお邪魔するのもなんだな。と思いましてね。ここのケーキは結構美味しいんですよ。」
「なるほどね、そういう事だったら私も選ぶのを手伝うわよ。」
 そんな事を話しながら二人は車を降りる。
「けど隆美さんがこういう話に興味を持ってるっていうのは意外だったわ。」
「そうですか?私は最初に知り合ったのがこういう騒動でしたので、ひょっとして好きかな?と思いまして。知ったのは紗霧さんが学校で噂を聞いてきたかららしいですけどね。」
「なるほど、そういう訳だったの。それじゃ紗霧ちゃんもそれなりに興味を持ってるのかしら?」
「そう見たいですよ。」
 そんな事を二人は話しながらケーキを選んで買って、車に戻ってくる。
「折角買ったケーキつぶさないでくださいよ?」
 ケーキの包みを持って助手席に座った汐耶に少し意地悪そうに話し掛けるモーリス。
「馬鹿ね、そんなドジをする訳ないじゃない。」
「OK。それじゃ出しますよ。」
 そう言ってモーリスはゆっくりと文月堂に向かって車を走り出させた。


Fin

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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≪PC≫
■ 天薙・撫子
整理番号:0328 性別:女 年齢:18
職業:大学生(巫女):天位覚醒者

■ 紅月・双葉
整理番号:3747 性別:男 年齢:28
職業:神父(元エクソシスト)

■ 谷戸・和真
整理番号:4757 性別:男 年齢:19
職業:古本屋店主

■ モーリス・ラジアル
整理番号:2318 性別:男 年齢:527
職業:ガードナー・医師・調和者

■ 綾和泉・汐耶
整理番号:1449 性別:女 年齢:23
職業:都立図書館司書

≪NPC≫
■ 秋篠宮・静奈
職業:高校生兼巫女

■ 佐伯・隆美
職業:大学生兼古本屋

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■         ライター通信          ■
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 どうもこん○○わ、ライターの藤杜錬です。
 この度はあやかし荘依頼『天使の噂』ご参加ありがとうございました。
 今回の噂は本物ではなく、妖精の仕業でした。
 いかがだったでしょうか?
 楽しんでいただけたら幸いです。

2005.02.05.
Written by Ren Fujimori