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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


Snow sNow snOw snoW White?

■序≫雪の降る朝。それぞれの一日の始まり……?

「はわわ〜…真っ白なんです! すごいんです!!」
 外は昨夜から降り始めた雪で一面の銀世界と化していた。
 昨年の異常気象に引き続いたような、今年の大雪。それはこの西斎院邸にもどうやら等しく訪れていたようである。
「夜がどこにいるか全然分かりません。すごいです!」
 先ほどから「すごい」を連発しているのは、この屋敷に『保護』されているアッシュと言う少女。ゆえあって生まれて然程年月が経過していない程度の知識しかないため、初めて見る雪に大興奮していた――なぜか、アフロウサギの着ぐるみを着て。
「おーい、夜ぅ〜。あんまり転がってると雪だるまになるぞー」
 大きなガラス張りの窓際、アッシュと並んで昨夜までとは丸っきり姿を変えた庭を眺めているのは天城・鉄太(あまぎ・てった)、白熊きぐるみ仕様中。
 ちなみに『夜』というのは、アッシュが連れている正真正銘天然のアフロウサギである。先ほど鉄太に庭に放り出されて、文字通りの雪ウサギと化しているのは気にしてはいけない。
「って、貴方たち何をやってるの!」
「あ、緑子さんです。はい、なんです♪ とっても温かいんですよvv」
 小さな少女とでっかい兄ちゃんが雪にはしゃぐ中、鬼神のごとく現れたのは鉄太の双子の妹である天城・緑子(あまぎ・みどりこ)。いつも怒ってばかりいるのが目についたのか、それとも鉄太の差し金か。アッシュが『防寒にv』と(多分)差し出されたのは緑鬼の着ぐるみ(?)だった。
「――――……」
「雪って楽しいですね! そう言えば、私このお家に来てから美和さんが笑った所、見たことないです。今日は頑張って美和さんに笑ってもらいましょう!」
 にこっと満面の笑みを二人に振り撒くアッシュ。その表情には一点の曇りもない――つまり、悪気は皆無ということに相違ない……だろう。
「………鉄」
「……はい」
「貴方、責任もって対処しなさいよ」
「……はい」


  ***   ***

 俺は『夜』。
 以前出会った少女の名前から一文字頂いた素敵な名を持つ、通称アフロウサギだ。
 トレードマークは白の燕尾服にシルクハット。そして一度抱き締めたら忘れられなくなるふわっふわでもこもこのその名の通りのアフロヘアー。
 ……のはず、だったんだが今日はすっかり雪化粧だ――文句あるか?
 さて、本日の任務(?)は雪初体験のアッシュに様々な雪遊びを教えるのと共に、この家の無愛想主の美和をちょっとでもいいから笑わせる事だ。
 はっきり言って緑子以上の鉄面皮。笑わせるのは至難の技と言って良いだろう――かといって、力に訴えるのは反則だぞ。
 ついでに……出来れば俺の回収も宜しくお願いしたい。
 鉄太め……人をボールのように窓から放り投げおってからに……許すまじ!

 都心に雪、とは結構珍しい出来事だ。
 なんとはなしに浮き立つ心も、平凡な日常を送る人間には結構痛い。交通機関のダイアは乱れるし、危い足元が気になりいつも通りに歩く事さえままならない。
 朝から騒がしく言い立てるTVニュースや、乗り換え路線の紹介サービスを行う携帯サイトの画面から目が離せなくなる――と、これはあくまでも、世の大半を占めるサラリーマンや真面目な学生のお話である。
「……どれがいいかしら?」
 雪のせいで日頃よりやや客の少ない百貨店の地下食料品店街――通称デパ地下のお菓子売り場を優雅に散策しながら、シュライン・エマは頬に手をあて苦悩していた。
 本日、予定していた調査が昨夜からの雪のせいで、天候回復まで延期という連絡が入ったのは、日付変更線が変わった直後。ベッドサイドに置いた携帯電話に入ったメールには、見慣れた差出人の名前。
『チェーンつけるのが面倒だ。天候回復を待つと依頼人にも連絡済。以上、明日はフリー』
 実に味気のないメールだが、それもあの興信所の所長らしいと言えばそれまでかもしれない。
 ひょっとしなくても、今頃は興信所前で雪合戦に精を出して――いや、恐らくまだ布団の中だと考える方が妥当だろう。
 全く、困った所長さんだわ。
 しかしそんな彼の人徳ゆえか、それとも集う人間が優秀なのか、はたまた怪奇事件が世に溢れまくっているのか――全てが真実のような気がする――ほとんど休みなく調査にあちこちを飛び回る毎日。
 そんな所へ、ぽっかりと舞い込んだ予定のない一日。
「……鉄太さんは何でも食べそうだけど、緑子さんは洋菓子って感じよね。美和さんは……やっぱり和菓子かしら?」
 腕から下げる紙袋の量がどんどん増えて行くのにも構わず、シュラインは目ぼしいお菓子を次から次へと買い漁っていた。
 相手の好みが分からないのであれば、やむなしな事情かもしれない。余ったら少し興信所に持って行こう、なんて事をこっそり考えているのはシュラインの胸の中だけの秘密として。
 先日の依頼(?)で報酬(??)として貰った紫色の折鶴。何故だか見ていると心がふっと軽くなる。
 せっかくだからそのお礼に伺おうと思い立ったのは、通常よりも激しい通勤ラッシュが一段落ついた頃。
「さーって、準備OK。いざ出陣と行きましょうか」
 最後の店で二つにまとめてもらった紙袋は、そろいも揃って小脇に一抱えでは少々容量オーバーサイズ。
 深々と降り続け、未だ止む様子を見せない雪は、デパートに入る前よりも地面を覆う量を増やしている。ひょいっと地下街から顔を覗かせたシュラインは、外界に足を踏み出す前に、気合を充填。
「あら??」
 と、視界に飛び込んできたのは人通りの少ないデパート前の道路で、謎のパフォーマンスを繰り広げる女性の姿。
 それが友人のサイデル・ウェルヴァの姿と気付いた後のシュラインの行動は、まさに一瞬だった。
 荷物持ち、一名確保。


■前篇≫突然ですが、ネコ三つ巴の戦い勃発なのです。

「すいません……なんか章タイトル、やたらと長いと思いませんか?」
「気にするな。気にしてたら先には一歩も進めないぞ」
 目の前で繰り広げられる狂乱の宴を前に、真っ当な精神を持った(らしい)青少年二人が、肩を落としてげっそりと溜息をつく。
 まぁ、眼前の大人たちの状況を見ればそれも仕方あるまい――微妙に違うところにツッコミが入っていたような気がするのはおいといてもらうとして。
 アッシュの様子見に〜と西斎院邸を訪れた桐谷・龍央(きりたに・るおう)と、猫探しの為に同じく西斎院邸を龍央に伴われ訪れた榊・遠夜(さかき・とおや)は、リビングに案内されて顔色を失った。
 何故ならば。
「やっぱりもこもこって温かいわよね」
「それよりも、こっちはどうだ? これもなかなかいけるぞ?」
 シュライン・エマ、西斎院邸主である美和に菓子折り持って礼を言いに来たはずが、何故か現在はお鼻の長〜い象さん着ぐるみ(しかも割烹着と三角巾セット)を身に纏い、ぬくぬく幸せ中。
 サイデル・ウェルヴァ、雪の中でパフォーマンス中にシュラインに荷物持ちと捕獲され、この場まで連行。ただいま海賊の恰好をしたワニの着ぐるみを着た上、さらに辺りに散乱している着ぐるみを嬉々と物色中。
「やっぱり猫さんですよね、猫さん!」
「いや、ウサギも捨て難い。っつか、ウサギが可愛い」
 マリオン・バーガンディ、雪の中のドライブ中にうっかり事故を起こしかけ(当然未遂)相手に怪我がないかゆっくり確認させてもらおうと、顔見知りである天城・緑子を訪ねて西斎院邸を訪れたはずが、既に三毛猫の着ぐるみに無我夢中。寒いのが嫌いだから、あったかもこもこで絶好調。
 柳月・流(りゅうげつ・ながれ)、危くマリオンに轢かれかけたが見事回避(当然無傷)、しかし確認にと西斎院邸まで連行……のはずが、いつの間にやらふかふかピンク色したウサギの着ぐるみを身に付け、マリオンと猫vsウサギ対決を開催中。
 とまぁ、こんな光景が広がっているのだ。
 さぁ、常識豊かな皆さん。その場を想像して下さい。
 嬉しげに着ぐるみ(体全部を覆うタイプ。まるまるすぽっと)を着用し歓談中の妙齢の美女二人。
 可愛らしい着ぐるみにすっぽり覆われた、小柄な――だけど、確実に年齢的には自分達より上そうな――少年が二人で、その愛らしさを競っている。
 そーんな阿鼻叫喚な宴の様を。
「あ、龍央お兄さんです! ようこそいらっしゃいました♪」
 呆然と佇む龍央と遠夜。その二人の前に、真っ白なアフロウサギの着ぐるみに身を包んだ少女が一人かけてきた。
 彼女の名はアッシュ。余談だが、彼女の姿を見た途端に、龍央の頬がだらーんと弛んだのは気のせいではないだろう。ついでに「アッシュー!」と抱き締めかけたようだが、その背後にのっそりと立つ白熊――もとい、白熊着ぐるみを着用した天城・鉄太の姿に、なんとか理性総動員して踏み止まったらしい。
 龍央にとって、アッシュ+アフロウサギの組み合わせは既に魔性以上。よろりらりらりら。理性よさらば。
「おー、客人が増えたな。外は寒かったろ。さ、これでも着てあったまれ」
「あの――僕、猫を探させてもらおうと思ったんですけど……」
「あのですね、あのですね。……えっと、お兄さんは初めましてさん、ですよね。お名前、なんとおっしゃるのですか?」
 遠夜の言葉、綺麗さっぱり素通り。しかも逆にアッシュに質問される。
「え? あ、遠夜――だけど」
「遠夜さんですね♪ えーっと……鉄太さん、遠夜さんには黒猫さんがお似合いだと思うんですv でですね、龍央お兄さんにはこっちなんです!」
「え? 何、俺にもアッシュが選んでくれるのか?」
「なるほど、遠夜には黒猫な。了解了解っと――ほい」
「はい」
 遠夜、事態を理解できぬまま、いつの間にやら手の中には黒猫の着ぐるみ。思わず受け取ってしまい呆然。無表情に拍車がかかって、ちょっと怖い。
「えーっと……これは、僕にこれを着ろって言うことなんでしょうか?」
 マジマジと眺める黒猫の着ぐるみ。何か変わったところがあるわけではない、背中にチャックのついたアレ。デパートの屋上やテーマパークでよく見かけるアレ。ついでに頭がでっかくて、バランスを取るのが非常に難しそうなアレ。せめてもの救いは、口の部分がバカっと開いていて、顔丸出しになる仕様な所か。これなら呼吸が苦しくなることはなさそうだ――いや、いっそ顔なんて隠してしまいたいと恥らう理性が叫びを上げるけど。
 しかも、よりによって自分の式神と同じ『黒猫』だなんて。
 無言のまま、背中に吹きすさぶは哀愁ブリザード。ほろほろと頬を伝うは、透明な涙。
 だがしかし、例え頬を雫が伝おうと現実とは無情なものである。
「あら、可愛いじゃない。似合うわよ、きっと」
「ほほう……黒猫か。ならば赤褌とかも一緒に装備してみたらどうだ?」
 一通り、自分達の方が片付いたのか。違和感なく着ぐるみを着こなしな長身の美女二人が遠夜を囲んで、にっこり微笑む。
「あの……いったい何がなんで、こんなことに?」
 背後は既に断崖絶壁。逃げる場所はないのだと、既に諦めの境地に到達した遠夜は、ならばせめて理由を、と二人に問う。しかし無表情のせいか、その切迫感は二人には伝わらなかったらしい。
「なんでも雪遊びをしようって事らしいわよ。ほら、寒いからこれは防寒着」
「確かに普通のコートなんかではつまらないからね。こういう趣向もなかなか楽しいものさね」
 「ねー」「なー」と顔を見合わせ暢気に笑う二人。
 何かが間違っている、そういう認識はないらしい――まぁ、訪れた場所が場所だから、という変な理屈があるのかもしれないけど。
 あ、一応宣言しておきます。西斎院邸、シリアスな時に登場する時は別として、通常は可笑しな場所ですから。『変』じゃなくて『可笑しな』ってのがミソ。以上、地の文からのコメント♪(「♪」付で宣言しなくても)。
「ま、こーゆーのは諦めが肝心だと思うぜ。人生、後ろ向きじゃ長生きなんざやってらんねぇからな」
 高級感の漂うソファーや家具、それが適度に配置された心地の良い空間。なのに、そこに散らばるのはどこから持ち出したのか――答えはここの主の衣裳部屋です。なんでそんなのがあったかは謎――着ぐるみ・着ぐるみ・着ぐるみ累々。
 いつの間にか、ウサギの耳に自分の瞳と同じ赤いリボンを結んだ流が、一人波間を漂う状態の遠夜の肩をぽんっと叩く。
 外見が18歳程度に見える彼、実際年齢は結構凄いんです。だから『長生き』なんて事をサラリと語れるんですが――そういうのもしっかり見定められる目を持つ遠夜だが、若干心拍数が上がっているのか、ツッコミ所をうっかり見落としてしまった――って、別にツッコミが必要な場所でもないのだけれど。
 世間様、色々な不思議が溢れているのです。だから、着ぐるみが溢れる部屋があっても問題なし。
「いや……そこは、微妙に問題だと思うけど」
 ――遠夜くん、律儀に地の文にツッコミをありがとう。
「あーーー! その猫さんはずるいずるいずるいです!!!」
 心に理不尽の欠片をひっかけながらも、ようやく遠夜が周囲にせかされ黒猫の着ぐるみに腕を通し始めた時、突然上がったのはマリオンの盛大なブーイングの声。発信元はアッシュに連れられ部屋の隅っこに移動していた龍央の場所。
「いや……この猫はずるいっていうより、別の意味で問題があると思うぞ」
 にっこり無敵の笑顔でアッシュが龍央のために引っ張り出してきたのは、これまた猫の着ぐるみ。
 ただーっし、何かが違う、全然違う――見た目が違う。
「でもでも、こんな風に凝ったデザインですよ。ほら、この辺なんてなんて手の込んだ刺繍でしょう! きっと立派な職人さんの仕事ですよ。これはもう芸術品といっても過言じゃないです。そんなのを着せてもらえるなんて、貴方ずるいです」
 龍央に渡された着ぐるみの端っこを、きゅっと握り締めたマリオンが、「ずるいずるい」攻撃を浴びせかける。その横では、ちょこんとアッシュがマリオンの言葉に、にっこにこ頷き中。
「ですよね、この猫さんとっても素敵なんです♪ えっとですね、私、龍央お兄さんの『龍』の意味を習ったんです。だから、龍央お兄さんにはこれが一番お似合いだと思ったんですvv」
 語尾に小さなハートが乱れ飛ぶ。それだけで密かに龍央の心臓はバクバク破裂寸前だが(だって『お兄さん』だし)、しかしそれでもどうしても与えられた着ぐるみに最後の一歩が踏み出せない――まぁ、真っ当な人間としては踏み出さないほうが身の為かもしれないが。
「えー、何々。そっちはどんな着ぐるみ?――ってすげー、かっこいー」
 流が興味をそそられすっ飛んでくる。靡くリボンはまるで新体操の妙技の如し。
「いや……俺としては、どっちかっつーと、普通の……」
 着ぐるみの方がいいんだけど――という言葉は、涙に潤んだアッシュの瞳に、見事遮られる。桐谷龍央、妹属性に弱いお兄ちゃん決定(いや、既に決まってたけど)。
 で、ここまで引っ張った龍央に与えられた着ぐるみは、いったいどんなんだったかと申しますと。
「まー、これまたすごい極道な猫さんね」
「ほほう、この龍の彫り物デザインは一級彫り師の仕事だね」
 よいしょよいしょと着ぐるみをかき分けやって来たお台所バージョン象さんのシュラインと、海賊ワニのサイデルが拍手喝さい。
 そうなのです。
 『龍』という文字からアッシュが連想したのは、まんま『龍』。しかし、どうやら『龍』の着ぐるみがなかったらしく――あったのかもしれないけど、敢えてこっちを選択したのかもしれない――真っ白な毛並の猫の背に、見事な昇り龍の紋様(明らかにそういう感じの)が美しく縫い取られた、更に頬に斜め傷の入った着ぐるみだった。ちなみに、腕の部分に『鬼麗断児屡王参上』と書かれていたが、読み方がイマイチ不明で一同、首を捻る。
「それ、多分『きりたにるおうさんじょう』って読むんじゃないかな」
 渋々ながら黒猫着ぐるみ装着完了し(ちなみに瞳は金)、新たな惨状に参加した遠夜君、大正解! 賞金は出ないけど。
「って、俺専用かよっ!」
「えへへ、作ってもらいましたv」
「あっしゅぅぅ〜……ありがとうなぁぁぁ〜〜〜おにーちゃん、うれしいよぉぅ……」
 今、龍央の瞳からだだ流れる滂沱の涙が見えた画面の向こうの貴方、さらに大正解です。ぴんぽんぱん。
「専用ですか? ますますもってずるいです!」
「いや、個人的にはこれアンタにあげるから。額にでも入れてぜひ飾って」
「……龍央お兄さん、私のこと気に入らないですか?」
「アッシュー、そうじゃなくってー……うん、ほら、こんな綺麗なの着て外で遊んで汚したら大変だろ?」
「そうですよ、アッシュさん! これだけの品物、汚したり傷つけてしまっては大変です!」
 大人の嘘と、熱い本心からの説得にしぶしぶながら、アッシュがこっくりと小さく頷きを返すのをみて、ほーっと安堵の溜息をつく龍央とマリオン。ちなみにこの後、龍央とマリオンの間で極道猫着ぐるみの所有権譲渡の相談が成されたかは、定かではない。
「それじゃ……龍央お兄さんにはこっちですね」
 そして新たに差し出されたのは――虎猫の着ぐるみ。これまたなぜかズガンと龍央の心を打ちのめす事になったのだが、詳細は省かせて頂きましょう。だってよもや常識をこよなく愛する彼の家で飼っている化け猫(失礼な)さんの柄と同じだったなんて、とてもじゃないけど言えないでしょう。
 ビバ、非現実の粋を凝らした結晶体v
 ……ってそういえば、この室内に似たような方々がたくさーーんいらっしゃるんですけどね。
 例えば、さっきも例に出した流さんとか、あとはマリオンさんとかも――って、これ以上言うと龍央くんが現実から逃避しちゃうので止めといて。
「……って、コレは何事かしら? さっきより事態が深刻化してるのは気のせいじゃないわよね?」
 地を這うような低められた声。ご登場、この館一番の怒りんぼ、天城・緑子。
「って、怒りたくもなるでしょう! 何よ、この緑鬼の着ぐるみ! そしてなんで美和さままでっ!!」
 ギランっとそのまま人を射殺せそうな視線で鉄太を睨みつける緑鬼緑子。そしてその背後には庇われるように、この館の主である西斎院・美和の姿がちょっこん。
「まぁぁぁ!! 可愛い!!」
「確かに、こーゆーのは小さい子が着ると本当に可愛いね」
 真っ先に反応したのは女性陣。もう既に着ぐるみに対する抵抗心とか、そーゆのはどっかに飛んでしまってるらしい。
「へー、確かに可愛いな。手触りもふわふわだし。CMとかこのまま出れるんじゃねー?」
「消費者金融系ですか? あーでも、僕こっちでも良かったかなぁ」
 しみじみ反応はちょっぴり人外のお二人。
「わーv 美和さんお似合いなんですvvv」
「へー、たまにはこーゆーのも楽しいかもな」
「楽しくないわよっ!」
 はしゃぐアッシュに、感心する鉄太、すかさず鉄拳を落す緑子。
 そして、遠夜と龍央は無言のまま、小柄な美和の頭にぽふりと手を置いた。それは彼らの哀愁の篭った今の気持ちを如実に反映していたのかもしれない。
「……初対面だが……美和さんとやら、強く生きような」
「うん、極道猫より全然マシだから」
 西斎院・美和。真っ白チワワ仕様。
 かくして、西斎院邸における雪遊び&美和笑わせよう作戦の舞台は整ったのである。


■中篇≫雪に戯れる着ぐるみ達。乱れ飛ぶのは……?

「……タイトルにつっこみは入れたらいけないっと……」
 雪の中、一瞬我に返りかけた龍央。しかし今はそれどころではなし、と気がつきかけた不思議に心の中でそっと蓋をする。そう、それぞまさしく処世術。
 そんなわけで、始まりました。雪合戦in西斎院邸庭――庭と言うにはちょっと広すぎて、雪に煙る端っこが霞んじゃったりしてるんですが、まぁその辺は気にしない方向で。って言うか、外で見たより中が広くないでしょうか? これも西斎院邸の七不思議の一つ?(いつの間に)。
「って、暢気に雪合戦をしてる場合じゃないでしょう」
 緑鬼の着ぐるみを渡されたのが気にくわないのか(普通、気にくわないと思う)、緑子が一人きりきり周囲をねめつける。
「緑子さん。そんなに怒ってばっかりいないの。これは個人的な意見なんだけど、緑子さんってよく見ると可愛らしい系の顔立ちしてるんだから、もったいないじゃない」
 と、鬼のこめかみをぽむぽむするのは、シュライン。真っ当な台詞だが――ちょっと自分の現在を振り返ってみよう。はい、台所仕様の象さん。
 象さんが、鬼のこめかみぽむぱむぺむ。
「……かっ……可愛い系って! 仕方ないでしょう、鉄太がいつもいつもいつも……」
 掠れる語尾。
 どうやら象さんでも効果はあった模様。照れる緑子、奇奇怪怪。乙女心とは何と複雑なものでございましょう。
 とまぁ、ちょっとした触れ合いがあったりなんかして。そうこうしている間に、小さい雪玉がたくさん準備されていく。
 当然、この状況に不思議を覚えるのはアッシュである。
「……これ、何をするんですか?」
 自分の握り拳よりやや大きめの一つを掴んで、まじまじ眺めた後に首を傾げて問い掛けた。
「これはな〜……こうやって遊ぶんだ」
 ていっとアッシュの手にしていた雪玉を取り、一番大きな目標へと投げつけたのは流。大きな目標=鉄太であることは間違いない。
「誰だよ! いきなり攻撃しかけるヤツは!!」
「勝利には奇襲も必要!」
 すかさず龍央が、振り向きざまの鉄太の剥き出しの顔面に向かって集中砲火を浴びせ掛ける。
「と、まぁこんな風にお互いに雪玉をぶつけあって遊ぶんだ。ほら、これなら当たっても痛くないだろ?」
「ちなみに、雪玉の中に小石を入れるという上級テクもある。これだと芯が出来るから、雪玉も固まりやすいし、打撃効果も絶――」
「ちょっと、何を教えてるの!」
 いつの間にやらアッシュを囲む輪の中に足元から参加していたワニが囁いた悪魔の言葉は、象さんに遮られ――たかのように見えた。
 が。
「なるほど。こうすれば良いんですね!」
 アッシュ、学習するのは異常に早い。ついでに、おっとり言動とは裏腹に、案外素早い。
「誰だーっ! そんな技をアッシュに教えたのはーっ」
「しかも、なんで俺まで!!」
 狙われたのは鉄太――そして、なぜか龍央。二人がアッシュの攻撃から逃げようとすればするほど、アッシュは満面の笑顔で二人を追いかけ雪上を駆ける。
「……そういえば。この間、アッシュちゃんに『自分から逃げるものは攻撃していい』って教えたのは龍央くんだったわね」
 ふっと、そんな事もあったかしら、と思い出して両手を(ただし象の手)打ち鳴らすシュライン。そう、教えた事は我が身に返る、これぞまさに因果応報。
「ってことは何かい、あたしにも………」
 はい、ビンゴ。というわけで、アッシュ特製小石入り雪玉の目標にサイデルもロック・オン。こうなると、乱戦必至。誰が何処に投げたか、誰を狙っているのか分からない状態で、様々な雪玉が乱れ飛ぶ。
「はぁぁ〜…小石入りはちょっと痛いけど。でも、こういうのって平凡な日常って感じだよなぁ」
 アッシュに追いかけられながら、一人夢見る少年。確かに、着ぐるみ着であるということを除けば、奇怪な事など混ざっていない常識の世界かもしれない。
 でも、本当に?
 最初に着ぐるみを着る事に哀愁を覚えた君が、そんなにさっくり手の平返してもいいのか? 着ぐるみだぞ、着ぐるみ。しかも全員。象さんに、ワニさんに、虎猫さんに、赤いリボンのピンクウサギさんに、白熊さんに、緑鬼さんが戯れてる光景だぞ。
 これを非現実と言わず、何を非現実と言う。
 っていうか、こっちより、ちょっとやそっとの非現実の方が絶対マシだと思うんだけど、どうでしょう。
 しかし、当の龍央はそんな真理からは目を逸らし、アッシュの放る雪玉の嵐の中を、軽やかに走り続ける。
 いや、それで君が幸せだと言うのなら、誰も何も言うまい(合掌)。
「っくぅ、それじゃこれはどうだい!」
「はい?」
 龍央同様、アッシュの雪玉攻撃にさらされていたサイデル。
 突然立ち止まり、どこからともなく、新たなイルカの着ぐるみを取り出した。
 僅かに積み上げられた雪の上、ざんっと足を踏ん張り肩を落として歌舞伎さながらポーズ決め。でもってもう一体の着ぐるみを自分の隣に立つように支える。
「えー、毎度ばかばかしいお話で」
「って、馬鹿馬鹿しいなら話すなよ」
「そんなこと言ったって、イルカくん。こうも攻撃されちゃ、ワニもお手上げさ」
「何言ってるんだよ。そーゆー時の尻尾じゃないか」
 ワニは当然サイデル。
「イルカさんが勝手に喋ってます!! 凄いんです!」
 アッシュ驚喜。雪の中でくるくる踊る。
 イルカの着ぐるみの顔出し窓は、人間に例えるなら喉の部分にあった。つまり、顔の部分は普通に(?)イルカの顔がある、というわけで。
「そもそもワニにはお手上げポーズするほどの腕はないじゃないか」
「それ、イルカくんには言われたくないな」
 小劇場は続く、微妙なトークだが。
「腹話術だな……」
「だな……」
 急遽始まったサイデルのオンステージに、流が雪合戦のことも忘れて呆然と呟く。ひらりとなびく真っ赤なリボンは、彼の今の心境か。そしてその隣で鉄太もしみじみ。
「龍央お兄さん、アレ、どうなってるんですか? すごいですよ、すごいです!!」
「あー、あれはなぁ、イルカさんが自分で喋ってるんだ」
 そしてこっちではアッシュに腕を引っ張られ、またも頬を弛ませる龍央。一人っ子、妹が出来ると途端に甘くなるのは、悲しい性か――それとも、ステキな家族ゆえか。
 その様子に、流と鉄太が顔を見合わせ肩を竦ませたのを、またも当の本人は知る由もない。いいじゃないか、幸せってそんなものなのだから。
 さらに、アッシュの歓声に女優魂に火のついたサイデルの熱演が続く――本当にそれが女優の仕事かどうかは聞かないでもらえると嬉しい。人間、誰にでも下積みの時代は少なからずあるもんだ。
「さぁさ、お次はこれでどうだい!」
「!!!!!」
 イルカとワニの姿はそのままに、アッシュのすぐ近くの雪山の中から、新たな着ぐるみ(今度はアザラシ)がにょきっと生えた。そう、にょきっと。雪の中からアザラシ出現。
 当然、驚いたアッシュは仰け反りかけて、慌てて龍央に支えられてその場に留まる。
「え? あ? サイデルさん?」
「はっはー、それじゃお次は!」
 パクパクと金魚のように口を開けたり閉めたりしながらアッシュが指差したのは、アザラシの顔の部分。そこにはサイデルの顔があった――それは確かに先ほどまでワニの中にあったものと同じ。
 混乱するアッシュをよそに、今度は流たちの近くの雪山からカジキマグロの着ぐるみが宙に向って粉雪を撒き散らしながら跳ねた。余談ですが、カジキマグロって一回でいいから自分で釣ってみたいと思いません?
「って、うぉっ!」
「体力あるねー」
 予想もしなかった所からのど派手な登場に、こっちでは流がひっくり返りかけるが、ここは男の意地で踏ん張る。
 わぁわぁ、と驚きながら大喜びするのは当然アッシュ。
 まるでサイデルが大勢いるようなこの芸は、アッシュの雪玉攻撃から逃げながら仕込まれていたネタ。各所に様々な着ぐるみが隠され、サイデルがその間を移動しては着替えて、着替えては移動し……を、涙ぐましいまでの努力でこなしているからこそ。
 バレバレ、といえばバレバレな芸だが、その意外な所からの出没っぷりに、大人な男性陣もぱらぱらと拍手を送る――いや、それはひょっとするとサイデルの根性に対する賛辞だったかもしれないが。
 次々に現れては喋る着ぐるみ達。大ダコ、クラゲ、大王イカ、ウニ、カニ、カメ。どうして海の生物ばかりか、と問われれば――それはおそらくサイデルの当たり役である、海賊に所以している気もするが、それより何より、いったいいつの間にそれだけの着ぐるみを仕込んでいたのかが疑問である――この家に、そんな着ぐるみがある方が不思議だ、というツッコミは受付不可。
 そして、一連の着ぐるみショーはクライマックスを迎えようとしていた――なんだか趣旨が変わってきてる気がするが、そっちも気にしちゃいけない。
「「じゃーん!」」
「うわぁぁぁ!!!」
「っへ?」
 今までにない驚きの声と、疑問符。ワニとイルカが同時に雪山の中から現れたのだ。
「サイデルさんが二人?」
 アッシュの隣で龍央も首を思わず傾げる。流なんて、思わず背中のピンクの毛(?)を逆立てた程。
 しかし、暫くしてその驚愕もニヤリとした笑みに変わる。
 さて、お気付きだったでしょうか。
 先ほどから、某女史が一度も出てこなくなっていたことに。
「……なーるほど」
 真相に気付いた鉄太がにやりと笑む。と、その隣で流が自分の唇に人差し指をあて、小さく笑う。彼の視線の先には、拍手大喝采で大喜びするアッシュの姿。
 子供の夢は壊さずそのままにしておいてあげましょう。

  ♪  ♪  ♪

 その頃、邸内。
「日本には『ネコはコタツで丸くなる』って諺があるくらいですからね♪」
「諺っていうか、歌だよな」
「…………」
「さむい日はやっぱりコタツです。なので室内で遊ぶのが一番です」
「子供は風の子って言葉はあるけど、もう『子供』って年でもないしな」
「…………」
 ぬくぬくぬく、ぬっくり。
 先ほどまで着ぐるみが散乱していたリビングの真ん中、どっしり据えられたのは東洋の神秘、コタツ。言わずもがなの、冬場の魔力。
「でも、せっかくだから雪うさぎくらいは作りたいですよね〜」
「雪うさぎって言ったら、南天は欠かせないよな」
「…………」
 三毛猫と、黒猫と、チワワ――小動物三匹(?)が、膝を突き合わせ雪玉の飛び交う庭を横目に、ほっこり幸せに浸っていた。ちなみに、散らかりまくっていた着ぐるみは、緑子の手により、部屋の隅にうずたかく積まれている。多分、つついたら雪崩が起きるだろうけれど。
「あ、南天ってあの赤い実のヤツですよね。ちょっと待っててくださいね〜」
 ごそごそと着ぐるみの中から――どうやって入れていたのか、つっこんではいけない――デジタルカメラを取り出し、マリオンはぱしゃりと外の様子をその中に収めた。
 小さなディスプレイに表示されるのは、彼が先ほどフレームの中に閉じ込めた空間。
「写ってるかな……あ、大丈夫大丈夫♪」
 『雪』(雪やこんこ、霰やこんこ♪ とお馴染みの歌。案外タイトルは忘れられていたりするのが、ちょっぴり不憫)を楽しげに口ずさみながら、マリオンはそのディスプレイにすいっと手を伸ばす。
「これくらいで作れるかな?」
 引き戻された手の中には、どんぶり一杯分程度の雪の塊と南天の実と葉っぱ。動かなくても持って来れるなんて便利です。気分は四次元ポッケを持ってる万能ネコもどき。
 しかし、マリオン自身は寒気に触れることになるらしい。外気に触れて冷たくなった手を、慌ててコタツの中につっこみ急速解凍。
 ちなみに、この間の黒猫さんとチワワさんは、と言いますと――っていうか、実はさっきからずーーっとずーーっと………にらめっこをしていた。
「無表情には自信がある」
 と口に出して言ったかどうかは知らないが、美和のぴくりとも動かない表情に、遠夜の無表情心がくすぐられたようだ。
 美和の正面に陣取り、つぶらな瞳をじーーっと見据え続けている。そして、何を思ったか、美和も視線を反らすことなく、まじまじと遠夜の漆黒の瞳を直視し続けていた。
 ちなみに、面接の時など「相手の目を見て話すと好印象」といわれるが、実際にそれをやってみると結構恥ずかしいというか、居心地が悪かったりする。それを解消するのが、相手の目を直に見るのではなく、目のやや上の辺り(眉と目の間)を見る、という方法だ。これだと、相手からは「うん、自分の目を見ているな」と思ってもらえるらしい。
 以上、突発ミニ知識でした。
「いや、だから誰もそんなこと聞いてないから」
 はうっ! せっかくだったのに……
「はいはい、地の文さんは大人しく引っ込んでてくださいね〜」
 ……めそめそ、さめざめ。それではこれにて退場、よってこの物語もこれで――
「……こんな中途半端で放り投げたら、運命はどちらへ転がるでしょう……」
 ――はい、元に戻って続行します。
「雪うさぎさん、できました♪」
 コタツのテーブルの上。あって当然の蜜柑の横に、両手で持ってちょうど良いサイズの赤い瞳のウサギが一匹――ウサギの数え方は、とある方の拘りにより当異界では『羽』ではなく『匹』で統一されております。あしからずご了承下さい。ちゃんちゃん――がちょこんと陣取る。
 なかなかのできばえに、作者本人もご満悦顔でにっこにこ。
 しかし。
 無表情組は相変わらず眉さえぴくりとも動かさない。
「……むー」
 自分が作ったものを誰も見てくれない。そんな状況、誰だって拗ねて当然だ。というわけで、拗ねたマリオン。さらに雪を取り出し――その度に、寒さにぶちぶち悪態つきながら――せっせと雪うさぎ作成の内職に励み出した。
 でも、今日は猫なので、ある程度時間が経つと飽きてくるらしい。いっそ呼吸さえしてないんじゃないかと疑わしいほど動かない二人を尻目に、ぼんやりと外の様子に視線を馳せる。
 そこには、多重分身芸を披露中のサイデルの姿。
 外にいれば分からないが、家の中――つまりは、ちょっと離れた場所から見ればよーっく分かる、サイデルの運動量。少々滑稽にも見えてしまうのが、それはそれとして。
「優雅に湖を泳ぐ白鳥は、水面下では必死に足を動かしてるって言いますよね」
 既に1ダースは超えている雪うさぎ達と、サイデルを交互に眺めながら、ぽつり、とマリオン。その言葉には哀愁が漂っていた――のだが。
「……白鳥だけに……くしゃみは、はーーーっくちょん」
 ………
 ………
 ………
 ………
 ………局地的ブリザード発生。中心地、榊遠夜16歳。見た目とのギャップに、一瞬視界が白んだ(誰の)。


■後篇≫猫も歩けばアフロウサギに遭遇する。そんな平和な一日の終焉。

「……なんで、こんなに無駄にタイトルが長いんだろうな」
 未だブリザードが吹きすさぶままの室内より、溜息を中継致しました。
 では、カメラさーん。外お願いします♪
「はい、というわけで外は相変わらず寒いですね」
 カメラ目線で、なぜか口調まで変化してにっこり微笑むリポーターはサイデル。職業、女優は伊達じゃない――多分。
「そういうわけで、先ほどの私の芸をもちまして終了しました西斎院邸雪合戦ですが、現在は別の催し物が執り行われております」
 くるりと振り返り、自分の背中に隠されていた情景をいざ公開。そこにはアッシュを中心に、小さく円陣を組んで座り込む不思議な一団の姿があった。
「さて、この方々が今現在何をなさっているかと申しますと――って、やっぱこの口調はあたしにゃ合わんな」
 あ、ボロが出た。
「ほらほら、そこ。なんか一人で戯れてないで一緒にやりましょうよ」
 いえ、彼女は決して一人で戯れていたわけではなく。ちょっと不思議な電波とコミュニケーションを取って頂いていたんです――微妙に普通にほのぼのになりそうだったから、強制的にギャグにしようとした、なんてつっこまれるとぐうの音も出ないけど。
「でな、さっきのちっこい雪玉を……こうやってでっかくしてだな」
「はい」
 電波は無視され、現場は何事もなかったように進行されるようです。というわけで、素直に中継に戻りましょう。
「でな、これとこれをくっつけてだなー……」
「はい」
 もこもこピンクウサギスタイルの流が、アッシュを隣に座らせ子供の頭くらいのサイズの雪玉を二つ作っていた。その二つは微妙にサイズを違えてある。
「でもって……っとと、これでいいかな」
 ごそごそっと着ぐるみの中を漁り、ちぐはぐサイズの歯車を取り出し、上の段の雪玉にそれを配置。ついでにっと、やはり着ぐるみの中から取り出した粒ガムを、歯車の下に埋め込んだ。
「ほら、出来上がり♪」
 色々出てくる四次元着ぐるみの謎はともかくとして、アッシュの眼前にほいっと差し出されたのは――
「わぁ、お人形さんみたいです」
 そう、雪だるま。しかもアッシュ用にと、サイズを小さく作ってあるのが、小憎らしいまでの彼の気配りか。
「ホントはな、この雪玉をもっともーーっとでかくするんだぞ」
「おっきいの、ですか。アッシュと同じくらい?」
「いや、ひょっとするとアッシュよりでかいかもな」
「それじゃ鉄太さんくらい?」
「おー、あんだけでけーの作れたら大満足だな」
 雪合戦、雪多重分身芸(?)に続き、雪だるまという雪遊びを教えてもらい、まさに瞳の中に星を散らすアッシュ。で、ここでの着目ポイントは、というと。
「教師が桐谷くんじゃなくって柳月くんってことよねーv」
 どすっと何かを突き飛ばし、シュライン再来。影武者終了後どこに行ってたかってーと、やったらと広い(以前駆け回った過去もあったりする)キッチン。何をしてきたか、というと、答えは手に持った鍋が重要参考物件。
「……うん、いや……別に俺のことは無視しててくれてもいいけどさ……でも、なんで突き飛ばされたかくらいは説明してほしいかなー……なんて」
 落涙――龍央の頬を伝い流れるのは透明な雫。なんだか悲惨な目にばかり遭っているような気がするが、その辺りに誰かの作為を感じてはいけない。神様の意思は絶大、持って生まれた天命というものは変えられない――多分。
 ところで「伝い落ちる」ではなく「伝い流れる」という表現にはちゃんと意味があったりするのです。なぜなら現在の龍央、立ってないから。
「はーい、桐谷君。そこで両手をばたばたー」
 飛ばされた指令に素直に従う虎猫龍央。その姿は見事に全身雪の中に埋没していた。つまり、です。さっきシュラインがどすっと突き飛ばしたのが龍央だった、ということなのですね(教育テレビのお姉さん風に)。
 それはさて置き。龍央の動きにあわせて舞い散る粒子の小さな雪。その一通りの華麗なダンスが終わった後に現れたのは――
「アッシュちゃん、ほらこれが雪の妖精って言うのよ。まるで妖精さんが羽根を広げてるみたいに見えるでしょ?」
 俺の労力っていったい……と、いつの間にやら無理やり引き起こされた龍央を他所に、シュラインがアッシュに手招き。そして指し示したのは、龍央が雪で作った(作らされた)人型――雪の妖精。
「わわわっ、大きな妖精さんなんです!」
 ちょっとでかかったが。
 しかしアッシュがまたも両手を叩いて(両前足?)拍手大喝采の大喜び。すっかりお株を流に奪われてしまっていたっぽい龍央も、アッシュの様子に小さく頬を緩めた。で、さらにその様子をチラ見して、シュラインもルージュの端をちらりと上げる。
 うんうん、実に温かい人間関係の連鎖だね。
「さ、最後はこれよ。いっぱい動いたからおやつタイム」
 っと、そうそう、そうでした。シュラインが持ってきた鍋の理由がまだでした(教育テレビの、以下略)。
「これ、なんだ?」
 いち早く中を覗きこんだのは流。ついでアッシュ、そうしてすっかり忘れ去られている天城兄妹。龍央はまだ小さな幸せに浸り中。サイデルは出番待ち。
「これはね……こうするの」
 湯気立ち上る鍋の中に沈めてあった絞り袋を一つ、お玉で掬い上げた――見た目、キッチン仕様の象さんなので似合う似合う――シュラインは、絞り口を小さく切り溢れ出した黄色の液体で雪の上に何かを描き始めた。
 真っ白な巨大なキャンパスの上、可憐に咲いたのは小さな花。
「はい、出来上がり♪」
 最初は爪先でちょいちょいっとつついて、何かを確認していたシュライン。大丈夫だと判断したのか、その小さな花を取り上げ、ぽんっとアッシュの口の中へと放り込んだ。
「………!」
「ね♪ 美味しいでしょ」
 暫く無言で口を動かしていたアッシュ。シュラインの言葉にうんうんと幾度も頷きを返し、最後に花のような笑みを浮かべて感動を伝える。
「とっても甘いんです! 飴ですか?」
「そうそう。市販されてる飴をね、こうやって湯煎して……それから雪の上に絵を描くの。そしたらほら――綺麗で可愛いでしょ」
 言いながら、鍋の中から次々に新しい絞り袋を取り出しては、様々な色の花などを描き上げるシュライン。それはまるで魔法のように、辺りを華やかに染め上げた。
 そして立ち昇る、甘い飴の香り。
「うわっ、おもしろそう! 俺にもやらせて」
「はいどうぞ」
「私もやります。えーっと、まずはー……龍さん!」
 飛びついた流とアッシュに鍋の中から絞り袋を楽しげに渡すシュライン。
 ところでどうよ、アッシュのその選択。まぁ、既に皆さんご想像かと思いますが、一人もんどり打っちゃってる少年はその辺にいますけどね。愛されてるってイイことだー。
 そんな幸せオーラを潜り抜け(染まりたくないし)雪上にせっせと自分の名前を書いていた(人間って、けっこう最初は自分の名前書くんですよね。どーしてだか)流。ふっと足元の黒い物体に気付いた。
「……猫?」
 どこか高いところから落ちたのか、それとも先ほどの雪合戦の隠れた被害者か。そこには一匹の黒猫。そういえば、遠夜の猫がこの家の庭で行方しらずになっていたんだっけか。
 自然とこういうのを見つけてしまうのが得意な流、まだ尻尾の方が雪の中に埋まっている猫を、ひょいっと引っ張り出す――引っ張り出して――引っ張り出す時。
「…………なんだ?」
 そして釣れました。
 黒猫の尻尾を、なぜかしっかりと銜え込んだ真っ白もこもこアフロウサギ――が、三匹(しつこいようですが、当異界ではウサギのカウントは『匹』で統一中。誰の拘りかは……チラっと不幸少年盗み見したり)ほど芋蔓式に。
「……どうしてアフロ。しかも三匹」
 流、アフロウサギとは初対面。ちょっとドキドキな外見に、心臓もかなりばくばく。いや、どっちかと言うとその衝撃の出会いのインパクトの方が大きいか?
「あ、夜の片割れです!」
「何……夜さん、また分裂しちゃったの?」
「みたいです。寒いから自分で温まろうって思ったんでしょうか?」
「――待て、分裂って何だ、分裂って」
 呆然と立ち竦む流に、てとてとと歩み寄るアッシュ。そしてさらりとシュラインが投下した爆弾発言に、さらに流の目が点になった。
 分裂する哺乳類ってなんでしょう?
 当然といえば当然の疑問だが、流自体も充分不思議生物。ここは類友だと思って、直面した現実には目をつぶってもらうより他はない。南無阿弥陀仏(いや、成仏させちゃいけません)。
「はいよ、ごめんよ。またしてもリポーター出演のサイデルだ」
 突然ですが、サイデル出番です。照明さん、明り、明り!
「いや、んなんいないから」
 うん――せめてささやかな気持ちだけ。
「とまぁ、そんなこんなでびっくり人間大集合ならぬ、びっくり動物大集合(違)の時間もそろそろ終了」
 無視されました。しかもびっくり動物大集合って酷い!
「あたしもよくは知らんが、このアフロウサギには分裂する趣味があるらしい。さぁさ、野郎ども、面倒な事になる前に引き上げだよ!」
「「「「はい、さー! 姐御!!」」」」
 掛け声と同時に、どこからともなく現れたエキストラの皆々様。しかもご丁寧にこの寒い中、半袖海賊ルック。そんな野郎共を率いて、サイデル颯爽と退場。その中にさりげなーーく鉄太が混ざっていたのに気付いたのに気付いた貴方、えらい!
「「……逃げたわね」」
 ――シュラインと緑子のやたらと低いどすの篭った声が、地を這うように響いたのは、その直後である。
 さぁ、逃げられなかった野郎共はお仕事ですよー。肉体労働♪

  ♪  ♪  ♪

 そして、そして、それからそーして。
 はい、カメラは再び室内へと戻ります。
「かっ……かわいいっ!!」
 ここにも一人、悶絶する外見少年(その言い草は)。
 外には分裂アフロウサギを捕獲するため、勘を働かせまくる流と心音便りに指示を出すシュライン――と、駆け回る龍央(アッシュと緑子観戦中)。
 追いかけられて動きが活発になったのか、コタツに入ったままのマリオンからもそのもこもこぷりがよーっく見えていた。
 で、彼が取った行動は、というと。
 ぶるぶると震えながら、外に出て。既に捕獲されていたアフロウサギをきゅっと一匹抱き締めて。でもって、室内にダッシュでトンボ帰り。
 先ほど雪を取り寄せた能力でアフロウサギを連れてくることも出来ないわけではないのだが、それは彼の中の『有機物は取り出さない』という禁忌に触れる――果たしてアフロウサギが本当に有機物であるかは甚だ怪しいところだが。
「うわぁ、このもこもこっぷりはたまらないですっ。なんでだろう、どうしてアフロなんでしょう? あぁでも可愛いっ!」
 三毛猫がアフロウサギに頬擦り。なんとも心温まる光景――多分。色々と間違ってる気もするが、そこをつっこんでいたら、きっと収拾つかないから。
 そのうち、何を思いついたか。マリオンはテーブルの上に並べられている雪ウサギの頭部に雪をつけたし、見事に雪アフロウサギを完成させた。
「えーっと……どこ、だったかな。あ、あったあった、ありました!」
 で、さらに。デジカメの画像を漁り、夏に撮ったカキ氷の写真から様々な色のシロップを取り出す。
「ほらほら、可愛いでしょう」
 苺シロップやメロンシロップ、チョコシロップにブルーハワイ。目にも鮮やかな色に染め上げられたアフロウサギ達。
 それらを美和の眼前にずらりと並べて、大きな漆黒の瞳をくるくるくるり。
 その表情には、明らかに美和が少しでも微笑んでくれないか、という期待が込められたいた――が。
「………」
「………」
「………」
「………」
 遠夜vs美和のにらめっこ勝負は未だ勝敗を決せぬまま、続行中であった。
 既にその様子は鬼気迫るほど。互いに瞬きさえしてないんじゃないか、という真っ直ぐな視線同士が中空で絡み合ってピクリとも動かない。
 形容するならば、ギャグ話にあるまじき、ぴりぴりと肌を刺すような尖った気配。
 しかし、こんな状態では楽しいわけのないマリオン再び。
「……こうなったら!」
 ぽいぽいぽいっとデジカメの中から、リボンやレース、とにかく『可愛い』と思えるものをどんどん取り出し、さくさくさくっと雪アフロウサギ達を綺麗に飾り付けていく。
 東洋の神秘、コタツの上に広がるメルヘン世界。
 お姫様な雪アフロウサギから、花売り少女のような雪アフロウサギまで。少女であれば、思わず顔を綻ばせる事間違いなし。
「さ、これでどう?」
 先ほど連れて来たアフロウサギと、渾身の雪アフロウサギを肉球ぷにぷにの(勿論着ぐるみの)手の上に乗せて、美和の前にずいっと差し出す。
 心の中で、笑ってほしいと願いを込めて。
「………(遠夜)」
「………(美和)」
「………(遠夜)」
「………(美和)」
「………(遠夜)」
「………っくす」
「笑ったーーー!!」
「勝ったーーー!!」
「………は……はくちょうが……はっ……はーっくちょうっ………ふふ」
 ……はい? それ、ですか!?
「――――!!(まさにガビン! なマリオン)」
「――――!!(なんか物凄く恥ずかしい感じの遠夜)」
 世の中、何が誰のツボに入るか分かりません。


■終≫どんな物語にでも終わりはあるのよ。良かった良かった。

 俺の名前は夜。
 アッシュの教育係りにして、みんなのアイドルなアフロウサギないかしたヤツだ。なんだ、そこ。自分で言うなって? ふん、今の世の中、自分で言った者勝ちって言葉を知らんのか?……性格は歪んでくるがな(つぶらなウサギ瞳、遠い目)。
 さてさて、今回の任務も無事に完了。
 アッシュも雪と親しみ、様々な遊びを覚えることが出来たし。雪玉に小石というのは、やはり基本技能だよな――なんだ、性格が本当にどんどん歪んで来てるんじゃないかって?
 いや、もう、歪みたくもなるから!
 このクソ寒い中、放り出されたままになってみろ。分裂して自分の毛皮で温まるしかないじゃないか。
 せっかく大人しくぬくぬくしてたのに……頭上からは恐ろしい雪礫が降ってくるし。まぁ……放っていたのがアッシュってとこで、誰かを恨むわけにもいかんところが、今回の歪みポイントだ。
 あぁっ! ひそかに敵を討とうと張り切って、あのでくの坊を的にしてくれた皆にはこっそり大感謝だ!
 そして、俺の回収もお疲れ様。最優秀功労者には強制的に俺の分身が送りつけられているので、ありがたく受け取るように――って、生ゴミと違うからな! 燃えるゴミでもないからなっ!!!
 で……だ、な。
 うむ………うーむ…………こう、微妙に言い澱んでしまうのは、実に仕方のないことだと思うんだが、どうだ?
 まー……アレだ。
 ………鉄面皮、笑った――な。
 生憎、俺は見られなかったが――っていうか、なんでソコが笑いのツボだったんだろうな? しかもなんであんなに間をあけて。ひょっとして、神経接続になんか異常があるんじゃなかろーか(どきどきどきどき)。はー、心拍数が上がるぞ。
 そんなこんなで、今回も無事解決――無事かどうかは微妙に疑問な節もあるが。
 とにもかくにも、諸君の健闘に感謝する。
 またの機会があったら、ぜひ会おう! 西斎院邸でボクと握手だ!(きらりと前歯を輝かせ)。

「まったく……今回も不思議なお宅だったわね」
 一人呟きながらの興信所への帰り道。
 片手には、余った菓子類。『不思議なお宅』こと西斎院邸には、現在あの三人しか住んでいないらしい。なので、『食べきれませんから』と和菓子の一箱を除いては、持ち帰るように緑子にお願いされたのだ。
 それはそれで何かと餓えた人間の少なくない興信所だから、都合が良いといえば都合が良い。
 雪遊びで使ってしまった分を除くと、往きの半分になった荷物に、シュラインは本日の出来事を反芻しながらゆっくりと歩いた。空からはいつの間にか雪雲は消え失せていたが、足元に積もった雪は、とけてなくなるにはまだ少々時間がかかりそうだ。
 しかし、先ほどまでの凍て付くような寒さから、どこか弛み始めた気配を感じる。多分、春の到来もそう遠いことではないだろう。
 と、不意に。
「あら、シュラインさんじゃない」
 朗らかにかけられた声。注意深く足元に向けていた視線を上げると、そこにはいつの間にか、とある公園で出会った女性の姿があった。
「火月さん」
「あら、名前憶えててくれたんだ。ありがとう。って、今から帰り? 駅までご一緒いいかしら?」
 真紅のビジネススーツはそのまま。羽織ったロングコートは漆黒。足元はどうやら雪滑り防止加工が施されているのか、シュラインとさほど変わらぬデザインのパンプスのわりに、雪道にしっかりと馴染んでいた。
 それとも――何か特殊な仕様なのかしら。
 火月の言葉に「喜んで」と笑顔で返しながら、ふっとそんなことがシュラインの頭を過ぎる。何故なら彼女は、きっとおそらくあの自称「暇人」の伴侶だから。
 それは推察――けれど確信。
 と、ふっと思いつく。そして手にした菓子袋を火月にちらりと見せて、彼女の瞳を意味ありげに覗き込む。
「これ、彼に差し入れできないかしら?」
 余り物で悪いんだけど、とちょっとの遠慮を込めて。
「え? あ! そうね、気持ちはとってもありがたいけれど……物を届けるのはまだちょっと無理かしら。気持ちだけ、頂いておくわ」
 火月もシュラインの意図することをすぐに察知したらしい。一瞬の驚きの後、小さく頭を下げて笑った。それが、シュラインの確信を真実に結びつけると分かっていて。
「大丈夫よ、頑丈だから。あ、そうだ。良かったらこれ預かっておいてもらえないかしら? きっと私が持っているよりシュラインさんに持っててもらった方が役に立ちそう」
 シュラインの厚手のコートの胸ポケット。火月が放り込んだのは、何の変哲もない普通の鍵一つ。紫水晶のキーホルダーが、コートの金具に当たってキンっと高い音を立てた。
「どこの部屋の鍵かはお楽しみってことで。ところで、なんで今日はそんなにお菓子をたくさん持ってるの?」
「なんだか奇妙なお楽しみを押し付けられた気分だけど、ま、よしとしましょう。お菓子を持ってる理由は――」
 渡された鍵――何の鍵かは分からないが、託された意味はなんとなく予想がついた。その意味を敢えて口に出すことなく、シュラインは火月の求めに応じて、今日の出来事を話し出す。
 駅までの道のりが、思った以上に短く感じられたのは、きっと二人がどこか似通った部分のある者同志だったからだろう。

 なお、興信所に戻りお菓子の箱を開けたところ、キャロットケーキの入った箱の中身が、綺麗になくなっていたことを補記しておく。
「……犯人はきっと夜さんね!」


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名】
  ≫≫性別 / 年齢 / 職業
   ≫≫≫【関係者相関度 / 構成レベル】

【0024 / サイデル・ウェルヴァ】
  ≫≫女 / 24 / 女優
   ≫≫≫【鉄太+1 アッシュ+1/ F】

【0086 / シュライン・エマ】
  ≫≫女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員
   ≫≫≫【鉄太+1 緑子+2 アッシュ+2 GK+2 紫胤+2/ A】

【0642 / 榊・遠夜 (さかき・とおや)】
  ≫≫男 / 16 / 高校生/陰陽師
   ≫≫≫【アッシュ+1/ D】

【0857 / 桐谷・龍央 (きりたに・るおう)】
  ≫≫男 / 17 / 桐谷さん家のデカ息子
   ≫≫≫【鉄太+1 緑子+1 アッシュ+3/ D】

【4164 / マリオン・バーガンディ】
  ≫≫男 / 275 / 元キュレーター・研究者・研究所所長
   ≫≫≫【緑子+1 アッシュ+1 / E】

【4780 / 柳月・流 (りゅうげつ・ながれ)】
  ≫≫男 / 136 / フリーター兼何でも屋
   ≫≫≫【鉄太+1 アッシュ+1 / F】

 ※GK……ゲートキーパー略

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは。ライターの観空ハツキです。
 この度は『Snow sNow snOw snoW White?』にご参加下さいましてありがとうございました。そして……既に毎度恒例になりつつあるのですが……大半の参加者様には、ぎりっぎりの納品になってしまい申し訳ございませんでした(一応、毎度反省だけはするのですが……;)

 さて、日本全国津々浦々(南の方ちょっと除く)雪に見舞われた日、突発的に思いついた依頼(?)だったのですが――気がつけば納品は3月! 日に日に温かくなっていく現実に冷や冷やしていたのですが、土壇場の寒の戻りに震えつつ、ちょっぴり感謝したりしておりました(笑)。
 しかし……ボケ倒す、と宣言しておきながら――またも、ほのぼのとギャグの間を彷徨う中途半端っぷり……も、申し訳ございませんでした。
 お詫び、ではないのですが。今回皆さまに一つずつアイテムをお送りさせて頂いております。お気に召して頂ければ幸いです――って、アホな物を贈られてしまった方、ごめんなさいっ!

 シュライン・エマさま
 毎度毎度ご参加ありがとうございます! そして一番乗りもありがとうございました。予告なしの窓開けにも関わらずの速さに、えらい驚いておりました(笑)。
 そして、火月の召還もありがとうございました。今回お手元に謎の鍵(わかりやすいですが・笑)をお届けさせて頂きましたが……機会がありましたら、ぜひぜひ使ってやって下さいませ。どこで使うかはシュラインさんにお任せでございます。

 誤字脱字等には注意はしておりますが、お目汚しの部分残っておりましたら申し訳ございません(これもギャグの一部として笑い飛ばして頂けると幸いです←ダメすぎ)。
 ご意見、ご要望などございましたらクリエーターズルームやテラコンからお気軽にお送り頂けますと幸いです。
 それでは今回は本当にありがとうございました。