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<白銀の姫・PCクエストノベル>


Fairy Tales 〜妖精王〜

 不正終了という世界の初期化を一度体験をした黒崎・潤は、この世界から元の世界へと戻るために伝説の地『アヴァロン』を探していた。
 相変らずこの擬似世界の酒場で酒を煽っているエセガンマン草間・武彦の隣の席へと腰掛ける。
「草間さん。こんな噂を聞いたんだ」

 それは、数日前から目撃されるようになった妖精の話し。
 この世界の住人、冒険者や勇者、ましてや女神ともまったく違う実態を持たないNPC。
 ふらりとノイズを伴って現れ、わけの分からない事を言って消えていく。
 その不思議なNPCが妖精と呼ばれる所以――
「その背中に蝶みたいな羽根を背負っていたらしんだ」
「それと、黒崎が探すアヴァロンと何が関係あるんだ?」
 潤は草間のこの言葉を待っていたかのようにニッコリと笑うと、
「ケルト神話上で、アヴァロンに住まうのは伝説の王アーサーや騎士トリスタン、英雄オジール。そして、妖精王オベロン」
「よく、知ってるな」
 顔を上げた草間に、潤は肩をすくめると、
「僕の知識じゃないんだ。その妖精に会ったっていう草間さんと同じ冒険者が教えてくれたんだよ」

 これって、アヴァロンに繋がるピースになりはしないかな?


【フラグ1:紅の街エベル】

 兵装都市ジャンゴを出て、潤が知る道筋を辿りながら、やはり元々はネット上で展開していた頃と同じように、途中の道筋は通常の雑魚モンスターが徘徊しており、潤のレベルの高さゆえか何事もなく紅の街エベルにたどり着いた。
「やっぱり宿屋はあるのよね」
 こういったゲームの世界でちょっとだけ頼りになるゲーム会社『(株)スター☆ソサエティー』のゲーム開発部部長、飯城・里美の言葉に、
「そう、願いたいわ」
 草間を追うようにしてアスガルドに降り立ったシュライン・エマも賛同する。
 道中は普通の草原や砂漠を歩いたのと同じように肌が突っ張った感じがするし、口の中が少しざらざらしているような感覚もある。
「確かにシャワーとかお風呂に入りたいわね」
 何時ものパンツスーツとは違い、なんだかメリーポピンズのような格好の綾和泉・汐耶も同意する。この汐耶の格好も横から見ていれば確かにメリーポピンズだが、前から見るときわどくスリットが入り、スパッツとブーツという格好。
 その後ろから、優雅な笑みを浮かべつつセレスティ・カーニンガムは、女性は大変だなぁなどと呑気に思いつつ、付いていく。そして、その横で呆れたような半眼状態の草間。
「なぁセレスティ。女三人いれば姦しいとはよく言ったものだと思わないか?」
「そうでしょうか?私にはとても華やかに見えますよ」
 神官服のようなゆったりと長いコートに錫杖という、上品そうな格好のセレスティに、さすがセレブは違うものだと万年金欠の草間は、二の句が続けられずにこの世界にも存在してくれていたタバコをふかす。
「あ!草間さんじゃないですか!」
 街の中を見学しつつ宿屋を探していた一行に、駆け寄る影有り。
「あー来栖…か?」
「はい、そうです。来栖・琥珀です!」
 草間の記憶が正しければ、古い木造家屋の古書店「銀月堂」の店主をしている女性。
 また女か…と、げんなりしている草間に、セレスティは一歩前へ出ると、挨拶をする。
「初めまして琥珀さん。私はセレスティ・カーニンガムと言います」
 丁寧にお辞儀をするセレスティを押しのけ、琥珀が街の中から駆けて来た事に、里美はいいものを見つけたといわんばかりに顔を輝かせると、
「宿屋はどこ!?」
 と、詰め寄ったのだった。



「琥珀さんは、この街に滞在して長いのかしら?」
 それぞれが身なりを綺麗にして宿屋の1階にあるレストランに集まると、すっかり顔なじみとなっているっぽい琥珀に問いかける。
「あ、はい。結構私は、早い時期にこの世界に引き込まれて、脱出方法を探すうちに、この街に。実は私、もう何度か消滅を経験してるんですよ」
 その度に、今まで冒険した全てのレベルがリセットされて、女神様の前から始まるんですけどね。と、笑顔で答える。
「消滅…不正終了を経験しても、自動的に現実世界に戻れるわけではないのね」
 つい最近、草間を追うようにしてこの世界に着たばかりのシュラインは、そんな琥珀の言葉を確認するように呟く。
「前の消滅の時に、偶然この街のモンスター襲撃イベントが始まる直前で、うわぁ!って思ったら女神様の前に逆戻り。悔しくってまたこの街に滞在しているって訳です」
 ドライに答える琥珀に、潤はテーブルから身を乗り出すと、早口で問いかける。
「それで、琥珀さんは例の妖精にはあったの!?」
 あまりの潤の剣幕に、琥珀は一瞬きょとんと瞳を瞬かせると、神妙な顔つきになり、
「それがですね〜。私もこの街長いんですけど、まだ会えてないんですよ」
 そして矢継ぎ早に、どうして草間達がこの街へ来たのかを尋ねる琥珀。
「俺たちは現実世界へ戻るために、アヴァロンという場所を探している」
「それでね、その手掛かりにならないかって、私たちは潤くんが聞いた妖精に会いにこの街へ来たのよ」
 草間の言葉を継ぎ足すようにシュラインは答え、腕組みをして話しを聞いていた里美は顔を上げると、
「やっぱりRPGの基本は、街の人への聞き込みだね」
 と、椅子から立ち上がる。
「私も図書館のような施設があれば、そちらから調べられればと思うのですが」
 この先の指針が決まった所で、セレスティも自分が出来うる範囲の情報収集方法を提案する。
「そうね、各自情報を収集後、またここに集まりましょう」
 汐耶の一言に、一同は頷くと宿屋を後にした。


【said−シュライン&草間−】

 一行が出て行った宿屋から、シュラインはその背を見送り立ち上がると、今だ動く気配のない草間へと視線を移動させる。
「行くわよ、武彦さん。何時ものとおりに誰かに頼むだけじゃ、この世界は解決しないわよ」
 きっと一緒に動く事を零から断られ、ちょっとだけセンチメンタルな草間に活を入れるようにシュラインは問いかける。
 腰に手を当てて、肩をすくめる様なため息を漏らす。
「いじけてないで、行きましょう?」
「いじけてなんかいないさ」
 ようやく立ち上がった草間に、シュラインは微笑を漏らすと、その背を押すようにして宿屋から出た。
 はてさて、文献調査にはセレスティと汐耶が行っているし、街の人への聞き込みは里美と琥珀が行っている。自分達は何をしようかと首を傾げると、誰にも行き先や目的を告げる事無く消えた潤がどうしたのか気になった。
 レベルが高くモンスターに襲われる事がないと言っても、やはり異常現象―異界と化しているこの世界で、必ずしも安全とは言いがたい。
 しかも潤は冒険者としては先輩でも、現実世界では高校生なのだ。草間興信所にもよく顔を出す面々にも同年代が多いせいか、どうにも心配してしまう。
「潤くんは何処へ行ったのかしら?」
 シュラインのこの言葉どおり、草間も気にしていたらしく、一緒になって潤の姿を探し始める。
 一通りの街の中には見当たらない。お店にも潤の姿はなかった。と、すれば考えられる答えは街の外しかない。
 なんだか家出した息子を探しにでも行くような感覚に襲われながら、複雑な心境で走る。
「どこだ、潤!」
「潤くん!」
 街からフィールドへ出た瞬間、モンスターが街の入り口に立つ二人目掛けて襲い掛かってきた。
 潤が居ないこの状況は、二人はモンスターにとって普通に倒せるであろう敵なのだ。
 草間は銃を構え、シュラインをすうっと息を吸う。
 一触即発という空気が流れ――…
「草間さん!シュラインさん!?」
 たったったと軽い足取りで潤が駆けてくると、モンスターたちは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「どうしたの!?」
 あまりの潤の驚きように、シュラインはむっと詰め寄ると、
「目的も告げずに行き成り居なくなるから、心配したのよ」
「僕は大丈夫だよ。それよりショラインさん達の方が危ないでしょ?」
 それは、確かに冒険者という観点から見てしまえば、危ないのはこの高校生の潤より、自分達なのだ。
「お…俺はレベル?を、上げる為に、だな……」
 そっぽを向いて、ぼそぼそと呟いている草間に、
「素直じゃないなぁ」
 などと軽口を飛ばしながら、3人は街の中へと戻る。
 すると、
「今日はモンスターが来なかったな!」
「あぁ!来なかった」
 などという街の人達の歓声が響き渡っていた。




 シュラインと草間は潤を連れて街の中へと戻り、セレスティと汐耶は魔法使いのような少女を連れて宿屋へと向かう途中、里美と琥珀も同じ言葉を繰り返し続ける街長宅から街へ繰り出すと、宿屋に戻る事無く鉢合わせした。
「その子は?」
 セレスティと汐耶が連れていた少女を見て、潤が首を傾げる。
「私たちと同じこの世界に引き込まれた子で」
「柏木、深々那って言います…」
「妖精に会った事があるっていう子よ」
 汐耶の補足に、少女―深々那はぺこりとお辞儀をして、一同を見る。
「なら、話しは早いね」
 街長の話を聞くためには、このイベントフラグを立てるしかないと結論付けていた里美は、深々那に近づくと、
「妖精と、この街と、薬。この関係の意味しってるんだね?」
「あ…はい」
 里美に促されるままに、深々那は話し始める。
 まず、自分がこの「白銀の姫」が都市伝説化する前からのベータテスターであった事、そしてこの紅の街エベルのモンスター襲撃イベントはその頃からあった事。
「だったら、知っていても不思議じゃないですね」
 琥珀の言葉に、深々那は頷き、そしてまた先を話し出す。
 元々、このイベントは魔法使い系プレイヤー専用のスキル習得イベントであった事。そして、その手順。
「なるほどね…。どれだけ人を取り込んでも、ゲームである事には変わりないのね」
 シュラインは納得したように呟き、ふと思い出したように
「深々那ちゃんは、妖精が何て言っていたのか、覚えているかしら?」
 この質問に深々那は首を振ると、申し訳なさそうに、
「ノイズが酷くて…すいません」
「あ!深々那ちゃんを責めてるわけじゃないのよ?」
 その言葉に、深々那は少しだけ微笑む。
「そういえば、深々那さんはどうしてあの蔵書室へ?」
 イベントをこなしてしまった深々那には到底もう価値のない場所のはずだ。
「日記の続きを、読みに」
「あの日記もぜんぜん読めなかったわよ?」
 汐耶の言葉に深々那は、はっと何かを思いついたような顔を浮かべると、
「それはこのイベントが終わってないから、日記が認識してないんだと思います」
 ゲームはどれだけリアルでも、やはりゲームだったと。
「私たち、もうせっかくなので楽しむ事にしたんです」
 それで、一応魔法使いである深々那がこのスキルを手に入れる為に、イベントをこなしていた。
「私たち?」
「はい」
 元気よく頷く深々那に、一同は顔を見合わせる。
「消滅の度にレベルも場所も戻されるのに、がんばりますね〜」
 かく言う琥珀も人の事を言えた義理ではないのだが、いつか最初からやり直しの時が来るのにそれでも楽しめるという深々那たちが凄いと思う。
 だが、そう琥珀に言われた深々那はきょとんと首を傾げると、
「消滅なんて、経験した事ないですよ?」
「ん?じゃぁこの世界に来たのは最近?」
 首をかしげた深々那に、里美が横から問いかける。
 当の深々那はこの里美の質問にも首を振り、
「女神様にお願いして消滅が来る前に毎回帰ってるんです」
 と、明るく言ってのけた。
「…え?」
 これに驚いたのは琥珀自身。草間や草間から多少の話を聞いているシュライン等は、一度この世界に来た勇者―冒険者は行き来ができる事を知っている。
「じゃぁ私も女神様にお願いすれば、帰れる…」
 今までずっと帰れないと思って何回か消滅を経験しながら、ちょっとだけ悔しい思いをしてきた琥珀だったが、やっと自分が現実世界に帰る手段を手に入れたのに、どこか釈然としない。
「セレスティさんも汐耶さんも、がんばってくださいね!」
 だがそんな琥珀の心情など何処吹く風、深々那はセレスティと汐耶の前までかけてると、明るく労いの言葉を発する。
一体何をがんばるんだろうかと思わなくも無いが、深々那が言っているのは、きっとゲームとしてこのイベントをクリアしてアイテムを「がんばって」手に入れてくれという事なのだろう。
 そして、深々那は思い出したように付け加える。
「あの妖精は、本来ならここで出会うはずのないNPCだと思います」
 この街のイベントは、アイテム『妖精の塗り薬』を手に入れる事だけのはずだから、と。
 自分の目的の為に手を振って去っていった深々那を見送って、ため息を漏らす。
「イベントこなさないと、どれだけモンスターを倒しても何もなかった理由が分かりました」
 ちょっとしょんぼりして琥珀はトホホと息を吐く。
「あたし達も妖精に会う方法聞いたわけだし、さっさと先に進もうか」
 意気込んでいる里美の足を止めるように、シュラインが声を掛ける。
「そういえば、街の人が、今日はモンスターが襲ってこなかったって言ってたの聞いたけど…」
 そう、シュラインと草間が潤を探しに行ったときに、彼がモンスターを蹴散らした事で、本日の襲撃イベントは終了していたのだった。


【フラグ2:イベント】

 次の日、教えられた手順どおりに、一同はそろって例の蔵書室まで来ていた。
「子供って気楽でいいわね」
 せっかくだし楽しむと言った深々那の言葉に、今更になって汐耶はため息を漏らす。
「本当にゲームとして楽しめるなら、これはとっても楽しいと思うわ」
 何も知らないからこそ、不安にもなるが、不安になってばかりでは何にもならない。子供は今を楽しむ方法をよく知っている。
「とりあえず、汐耶さんが読んだあの日記を全員が読めばいいんですね」
 セレスティは昨日戻した『diary』を手に取り、例の1ページを読む。この中で、まず読むという手順をこなしているのは汐耶だけ。読んでもらうのではなく、自分で読まなくては意味がないらしい。
「この日記も不思議なのですが、なぜ妖精なのに、この日記にはエルフと書いてあるのでしょうね」
 『diary』を次の人に手渡しつつ、セレスティは首を傾げる。
「きっと、そのスキルを与えるキャラクターがエルフなんじゃないかな?」
 里美も『diary』の1ページを黙読しながら、セレスティの問いに答える。
「だったら、私たちがそのスキルをもし得たいと思うなら、エルフに会わないといけないって事ですね」
 さらりと撫でるような速さで『diary』を読み、次へと渡した琥珀が付け加えるように答える。
「私たちは現実世界に返る方法を探しているのですもの、脱線するような事はやめましょ」
「そうですね」
 琥珀とどちらが早いかというような速さでシュラインも『diary』を読むと、草間に本を手渡し、最後に潤が本を本棚へと返して蔵書室を後にした。
「次は街長、と」
 一度行った事のある里美と、もう行きなれた琥珀の案内で、一同は街長宅へと足を踏み入れた。そして、
「おぉ!勇者様!どうか、どうか、この街をお守り下さい!古より伝わるこの薬をどうかお守り下さい!」
 この街長の言葉に、全員は顔を見合わせ、にっと笑うと、
「「「「「「「マーリンの日記を見た。私が後継者です」」」」」」」
 深々那が言っていたキーワードを声を合わせて発する。
 すると、街長は顔を上げ、
「あなたが本当に後継者ならば、この街を、薬を狙うモンスターを倒してください!」
 これで、最後のフラグは立った。
 後は街を襲うモンスターを倒すのみ。
 潤が先頭にいるだけでモンスターは襲ってこないわけだから、無闇なバトルはせずにこのイベントはクリアできるはずだった。
 だが―――
「あれ?」
 潤はその手の剣でモンスターの攻撃を受け流し、首を傾げる。レベルの高さゆえにモンスターに襲われないはずだった。
「イベントモンスターはその限りじゃないって事かもね!」
 里美は細身の剣をモンスターに突き刺し、止めを刺す。
「これくらいは、大丈夫ですよ。倒せますって」
 白狼族の琥珀の爪がモンスターを切り裂き、返り血をあびつつもニッコリ笑う姿は、ある意味壮観。
「そうですね」
 後ろの方で、一人錫杖を手に悠然と構えるセレスティは傍観中。時々ちょいちょいっとモンスターの血液を操作して当たりに飛び散らないようにしているっぽい。
「もう少しね」
 シュラインの口から発せられる超音波が敵の動きを止め、動きを止めたモンスターの眉間に草間の弾丸がぶち込まれる。
 一通りのモンスターが地に戻ると、まるで頭の上に「WIN」とでも出てきそうなほど軽快な音楽を伴って街長が一同に駆け寄ってきた。
「あなたを疑った私をお許し下さい!これが、薬です」

[アイテム『妖精の塗り薬』を手に入れた!]

 そんな言葉が頭の中に響いて、気が付けば小さな陶器の壺が勝手に持ち物に加わっていた。
「これで妖精に会えますね!」
 嬉しさで飛び上がっている琥珀に、皆がそれぞれ笑顔を浮かべる。
そして、それはやってきた。
 街長を始めとする紅の街NPCはもう誰も居ない。
 当たり一帯に広がるノイズ。そして、ぶれる景色。
「妖精…?」
 差し出されたような手が歪にぶれる。顔の半分がノイズで掻き消え、蝶のような羽根だと伝わっていたものは、
「別の場所の景色…」
 妖精はそっと口を開け、殆どノイズに掻き消えてしまう音の中で叫んだ。

『―――――…』






















 先ほど見たものを一体何と言ったらいいのか分からずに、一度エベルの宿屋へと戻ってきた。
「シュラインは、あの妖精が何ていったか分かったか?」
 草間の問いかけに、シュラインは顔を上げると、確証がもてないといった顔で、
「…見つけて…って、聞こえたような気がするわ」
「シュラインさんの耳で『見つけて』と聞こえたのならば、きっとそうなのでしょう」
 かなり正確な耳を持っているシュラインがそう言ったのならば、自分達が予想したものよりは確証が持てる。
「見つけてって言われても、私たちには情報が少なすぎるわ」
 汐耶は椅子に深くもたれかかり天上を仰ぐ。
「とりあえず、あの子が言っていたスキルフラグでも立てとく?」
 この里美の提案で、今後何かの役に立つかもしれないし、と一同はまたあの蔵書室で『diary』を開く。


後継者よ
妖精の指輪を手にエルフに会え
さすれば妖精の眼<グラムサイト>を得るだろう
そして、彼の地からの来訪者を助ける力となれ


 最後の文章のみは、後から付け加えられたように文章が少し乱れていた。
「僕は探す…」
 決意を込めた強い口調で、潤は呟く。
「彼の地が、もしかしたらアヴァロンかもしれない」
 一滴の望みでも、可能性があるならば調べたい。
 そんな潤に草間は軽く肩に手を置いたのだった。











next 〜嘆きの塔〜


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■   獲得アイテムとイベントフラグ情報      ■
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アイテム『妖精の塗り薬』を手に入れました。
〜吠える獣〜のイベントフラグが立ちました。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員/魔法使い】
【1883/セレスティ・カーニンガム/男性/725歳/財閥総帥・占い師・水霊使い/魔法使い】
【1449/綾和泉・汐耶(あやいずみ・せきや)/女性/23歳/都立図書館司書/戦士】
【0638/飯城・里美(いいしろ・さとみ)/女性/28歳/ゲーム会社の部長のデーモン使い/戦士】
【3962/来栖・琥珀(くるす・こはく)/女性/21歳/古書店経営者/格闘家】

【整理番号/PC名/性別/年齢/職業/今回のゲーム内職付け】
*ゲーム内職付けとは、扱う武器や能力によって付けられる職です。


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■         ライター通信          ■
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 今回はFairy Tales 〜妖精王〜にご参加くださりありがとうございます。ライターの紺碧です。あまり難しく考えすぎると逆に真実に辿りにくいお話しでありました。皆様方のプレイングあまり反映できず申し訳ないです。
 シュライン様のプレイングは鋭いです!今後今回のシュライン様自身が書かれましたプレイングを念頭に置いて話しの大詰めへと行っていただけると答えにより近づけるかと思います。ですが当分の間は普通のRPGと変わらないと思われますので、深く考えない方がよいかもしれません(笑)
 それではまた、シュライン様に出会える事を祈りつつ……