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悪の喫茶店☆プリティープリンセス
●プロローグ
本日、喫茶店☆プリティープリンセスが開店いたしました！！
当店は早くも『プリプリ』の愛称でジャンゴ市民の皆様からも深く
深く愛されております。
営業の勝負は開店時にあります。
ここで来店いただいた皆様に心よりご信頼いただけるようご満足され
るような時間を提供せねばなりません。
そんな高い志を持ったスタッフを私たちは髄時募集しています。
『プリティプリンセス』スタッフ一同より
☆ ☆ ☆
「わーい！ いよいよ開店だね。わくわく」
「いいか？ 私たちはただ開店するわけじゃない、とちゃんと理解してるだろうな」
閉められた店内で話している二つの影――それは、邪竜の巫女であるゼルバーンとルチリアだった。
「早く開店しないかな、るんるん」
「私たちの使命は、てちょっと、ルチリア」
「お客さんいっぱい来てくれる？ わくわくうきうきどっきどき〜♪」
ぽかっ！
「ふみゃん！ ゼルちゃんがぶった！ ぼーりょく反対！！」
「貴様が人の話を聞かないから当然の罰だ」
開店前の店内で漫才――ではなくて、打ち合わせをしていた。
しかし、ただのスタッフ会議とは様子がちがうようだ。
「この『プリティープリンセス』を拠点に、兵装都市ジャンゴを、アスガルドの大地を、そしてやがては全世界をも邪竜クロウ・クルーハ様に捧げるのだ！」
「でもでも〜、ルチルアちゃんってばお薬屋さんのお仕事さんもありますから、人手がちょっち足りないぞ、って感じなの」
ウェイトレス姿のゼルバーンは自信たっぷりに高慢ちきな視線をむけた。
ちなみに、『プリプリ』のトレードマークは頭についた可愛いウサ耳。
「その件についても準備は抜かりない。すでに人材の募集はかけてあるのだからな、オーッホホホ！」
「うみゃ！？ ゼルちゃん女王さまみたい」
「応募してきた人材や来店者を徐々に洗脳して悪に目覚めさせ‥‥邪竜様の手駒として役立てるのだ！」
おー、とパチパチ拍手をするルチリアはウサ耳を揺らして質問する。
「でもー、洗脳ってどうやって？」
「よくぞ聞いてくれたな。まず、小さな悪を重ねると『邪竜さまポイント』が与えられる。お客様にコーヒーをこぼしたり、倒れてぶつかって押し倒したり、などだ。そうすることで人々に悪への抵抗感を薄れさせていく。小さな悪も一歩から！ 全ての道は悪に通ず！」
「支配人さんも美形だしね」
ボッと火がついたように紅くなるゼルバーン。咳を一つして言葉を続けた。
「そうだ。マネージャーに魅了されないものなどいない」「かんぺきぱっきんこだね！」
「ハーイル！ クロウ・クルーハ様！！」「はーいる、クロウ・クルーハさま☆」
「ビバ！ クロウ・クルーハ様！！」「びばぁ、クロウ・クルーハさま☆」
「ねえねぇ、あと黒き邪竜さまの世界のために、とかもいっちゃう？」
ぽかっ！！
「ふみゃ〜、またゼルちゃんがぶった〜」
「もう馬鹿！ あまり調子に乗ると世界設定規定に引っかかっちゃうじゃないか！」
その時、澄んだ女性の声がかかった。
「どなたかいらっしゃいませんか？」
「あ！ 早速応募の人だ」
「フフフ‥‥それでは悪の第一歩を始めるぞ！」
女性を出迎えたふたりは目を点にする。
「ア、アリアン」「ロッドちゃん！？」
「突然に呼び捨てとは非礼な――あ、いえ‥‥私はそのような名ではありません。表の求人募集を見て失礼したのですが‥‥」
そこには四柱の女神であるアリアンロッド――のそっくりさん（自称）が立っていた。
――――悪の陰謀、その行く末は果たしてどうなる！？
（追記）
求人応募の方は店内のスタッフにお申し付けください。
募集職種は以下の通りです。
『ウェイトレス』『ウェイター』『調理手伝い』『皿洗い兼雑用』
※勤務内容によっては昇給・昇進も有り
●ジャンゴにできた不思議なお店
ちゅどーーーーんっ！！
兵装都市ジャンゴのさわやかな朝に盛大な爆発音が轟いた。
「えっとォ‥‥もう一度聞いちゃいますけど、ドロシィちゃんもウェイトレスとして雇ってもらえますよね〜〜♪」
ドロシィ・夢霧（どろしぃ・むむ）が「えへ♪」と最高のスマイルで脅迫――――もといお願いした。
【邪竜様ポイント＋１５】
店の一角が吹き飛んでいる。
いや、消滅と表現した方が正しいだろう。
ゼルバーンは破壊の跡地の中心に無傷で立っている小柄な９才位の少女を呆然と眺め、悪夢のような光景に言葉を失う。
「‥‥‥‥なんて恐ろしい子‥‥‥‥」
「ドロシィちゃん、見せしめに椅子とテーブルの一組だけのつもりだったんだけどぉ、失敗しちゃったあ〜〜〜」
またもや「えへ♪」と自分の頭をコツンしてごめんなさいポーズをとる恐怖の金髪少女。
「えへ♪ で済まされる問題？」
銀と黒の左右色違いの瞳を細めながら事の成り行きを見守っていた来店客、 春日 イツル（かすが・いつる） は遠い目をして呟いた。
注文した紅茶とミックスサンドを待っているのだが、この喫茶店の言葉にできないおかしな点にどうも落ち着いてくつろげない。例えば――――
バシャッ。
「ご、ご、ごめんなさ〜いっ！ ミー、またまた失敗しちゃったですっ」
ウサ耳をつけた可憐な中学生くらいのウェイトレスがペコペコと必死に謝ってくる。
彼女、 解流 佐里巳（げる・さりみ） がつんのめって手放した運んでいる途中だったお水をコップごと頭からきれいにかぶっているのが他ならぬイツル自身なのであった。
【邪竜様ポイント＋５】
‥‥この喫茶店は、どこかおかしい‥‥。
佐里巳にフキフキされながら、疑惑が徐々に確信へとわかってきているイツル。
そう、この違和感はただ事ではない。
例えば、先程吹き飛ばされた店の一角が何事もなかったように元に戻っている点もかなり怪しいし‥‥
（１０秒ほど熟考）
――――いや、それは怪しいどころか異常現象ではないだろうか。
「あの、先程はあの一角、きれいに消滅していなかったかな？」
「えー？ そんな事ありませんってばっ、もうお客さん、頭に鳥なんて躍らせてオチャメなこと言うんですからっ、えへへ！」
明るく笑いながら佐里巳は華麗に話をそらすと、インナー用のローラースケートでカウンターへ注文を伝えに行った。
というか、なぜ鳥が俺の頭の上で踊っているのだ。
周囲からクスクスと他の客の笑い声が聞こえてくる。多くの視線を集めてしまっている元凶である鳥たちをそっと捕まえると、心やさしい俺はそっと店の外へと解き放つのであった。
小さな優しさを実践して満足にひたっていたイツルが自分のテーブルに戻ってきた丁度そのタイミングで、
「ご注文のメニュー、お待たせしましたあっ」
と掛けられた声に振り返る。
それはウサ耳ウェイトレスのルチリアだった。
幼さを残した明るい声でカウンターからトレイを持ったルチリアは、ローラースケートでイツルのテーブルに向かってくると停止して――いや、停止しようとしているようだけど――もうそろそろ停止しないと‥‥間近なのに停止しない‥‥！
待て！ ストップ！！ スト――――
ドンガラガッシャーン！！！
目の前が真っ暗になった。
イツルは気を取り戻すと、ウサ耳のウェイトレスに押し潰されていた。
【邪竜様ポイント＋５】
「きゃわっ！！ 失礼をして申しわけありません、お客さま、今お退きしますので――」
急いで立ち上がろうとしたルチリアは慌てすぎたのか、もう一度ローラースケートで滑って、ぺしゃっとイツルにボディプレス。
【邪竜様ポイント＋５】
「うぎゃっ！？」
「申し訳ありません、お客様！」
こんなジタバタを３分ほど繰り返して、ようやくイツルとウェイトレスはお互いに体勢を立て直す。
ウサ耳ウェイトレスさんにムギュムギュ押しつぶされて短い時間も関わらず長く感じられたというかもっと感じていたというか、それくらい危険だった。本当に危なかった。
「転倒する前にご注文の品はちゃ〜んと、見事テーブルに着地させてありますので無傷ですからっ！ ご安心を！」
ご安心をといわれても、それが仕事なのではなかろうか。
イツルは乱れた服装の自分とは対照的にきちんとテーブルにセットされた注文の紅茶とサンドイッチをにらみつけるが、気を取り直して食事に入る事にした。パク。もぐもぐもぐ‥‥。
イツルの顔は真っ青だ。
「‥‥‥何故‥‥‥」
このサンドイッチにも罠があった‥‥それは見た目は普通でも、桁違いに硬いパン生地。しかも中身は激辛キムチと納豆入り。その上、口直しに飲んだ紅茶はといえば角砂糖を一部だけ角塩に変えられていて、さらに某得体の知れない味の炭酸飲料と焼きイモオーレのミックス味も混ざっているという人外魔境な代物だった。
「‥‥‥‥む、無念‥‥」
ぱた。
――――無言で意識を失ったイツルが目を覚ましたのは、プリティプリンセスの閉店も間近に迫った時刻だという。
「ありゃりゃ、少しだけやりすぎちゃったかな？」
「オー！ ファンタジーな世界なのにスライムのいないここに悲しみを持ったミーは何か他の事をやることにしたのです。そう、だからこれも宿命なのです！」
もともと戦いは苦手だしねっ、と悪びれた様子も見せずにサンドイッチトラップの張本人である佐里巳は、ルチリアとビシッと親指を立てて作戦成功を確認し合った。
「悪って快感だねっ」
【邪竜様ポイント＋１０】【邪竜様ポイント＋１０】
「あ、いらっしゃいませっ！」
カラン。
入り口のチャペルが鳴って新たな犠牲者‥‥もといお客様が訪れた。
腰には一振りの剣。
赤いマントを羽織り年の頃は中学から高校くらいの少年――冒険者の黒崎潤だ。大物がきた。
佐里巳は新たな標的にロックオンした。
コーヒーをお出しする途中でコッソリと口をつけようとする。飲み物を半分飲んでしまう悪‥‥なんと恐ろしい計画だ！
「やあ、それが俺のだよね」
「あわわわっ！！」
突然声を掛けられてワタワタと慌てふためく佐里巳。普通、席を離れてまでコーヒーをとりに来る人なんているのか？
「む〜、作戦その２ですっ！」
コーヒーをさわやか笑顔で受け取った潤が席についた瞬間――
「ブー」
シ〜ン。
悪その２、口でブーブークッション大作戦だ――！！
「ブーって何かのパフォーマンスかな？ 変わってるサービスだね」
またもやさわやか笑顔でかわされた。この少年、ただものではない。
必殺の悪も通用せず、佐里巳はショックを受けて瞳をウルウルさせる。初日からこんな試練にぶつかるだなんて‥‥。
悔しさのあまり、料理を並べる途中で――どろぉり‥‥。
佐里巳の手が解けて形が崩れた。
――――――――。
「‥‥今のはちょっとびっくりしたよ。あはは」
佐里巳の正体はスライムの一族であり、気を抜くと溶けたりしてしまうのであった。
【邪竜様ポイント＋５】
しかし、潤は何事もなかったように食事についてしまった。今度来店した時は必ず――！！
新たな強敵（とも）を一方的に得て、佐里巳は悪の闘志を燃やすのであった。
「わあぁ。可愛い制服だよ〜〜〜♪」
ドロシィ・夢霧はウサ耳付きのウェイトレスの制服を身につけると確認するようにクルクルクルリと回転した。
カトリック系の私立女子中学校の生徒である彼女に、「不採用なら『オーバー・ザ・レインボゥ』で店の全てを吹っ飛ばしちゃうから☆」と脅された結果なのかどうかは定かではない。
「ドロシィちゃんね、ウェイトレスって一度やってみたかったんだ〜」
「ふぅん、ソレは良かったわね」
同じくウサ耳で制服を着たゼルバーンがつれない態度で相槌をうった。先程の面接を思い出すとまだ身震いがする。面接にきたドロシィに「でもこんなチンチクでは困るな」「お客様をその歳で接待できるのか？」などと多少突っついてみたら‥‥。
「『ＯＺ（オズ）』へ吹っ飛んじゃえぇ〜〜〜っ！」
――――と、冒頭での爆発へと至ったのだ。
「ドロシィ・夢霧‥‥‥‥要注意、まる」
要注意リストに乗ったことも知らずに、ドロシィは無邪気に質問してきた。
「そういえばカッコイイ美形なマネージャーさんはどこどこ？ 紹介してよ〜〜〜☆」
「‥‥会ってどうするのだ？」
「うーんとぉ、店長は美形と聞いたので〜〜〜、期待通りの美形ちゃんだったら、武彦ちゃんの次に『ドロシィちゃんのラブリーな彼』にしてあげちゃう☆」
キラキラと瞳を輝かせるドロシィにゼルバーンはコホンと咳をした。
「マネージャーはプリティープリンセスの重要な責任者だ。会いたいのならそれなりの働きをして見せることだな。仕事が認められたならばマネージャー様が直々にお声を掛けてくださることだろう。わかったか」
「うん、わかった〜〜〜♪ ドロシィちゃん、力いっぱい頑張っちゃうんだから〜〜〜〜♪」
美形のマネージャー‥‥待たされる程のその姿は美しく想像の中で膨らんでいきほわわ〜んと夢見るドロシィは、ハッと一人のウェイトレスを目に止めた。
ぴゅーんと走りよって呼びかける。
「ねえねえ、アリアンロッドちゃん？」
「私のことでしょうか‥‥いえ、私は――――別人ですが‥‥」
そのウェイトレスの女性はローラースケートを止めると、優雅な仕草で振り返った。
「え〜〜〜〜、ホントは神様なんでしょ？ 何故アルバイトをするの？」
「その‥‥‥‥ですから私は女神ではありませんから」
料理と運ぶアリアンロッド似のウェイトレスの周りをチョコチョコしながら一緒に運ぶドロシィだが、唐突に転んでしまった。トレイごと料理がひっくり返る。
「あ‥‥えっとぉ‥‥証拠隠滅しちゃえ〜☆」
料理をトレイごとデーモンの能力で異世界『ＯＺ』へ吹き飛ばし証拠を隠滅してしまう。
【邪竜様ポイント＋５】
ジーッと一部始終をアリアンロッド似のウェイトレスが見つめていた。
「あはは〜〜〜、えっとね、今のは内緒にしてね〜〜〜あ、神様じゃないなら名前は何ていうの？」
「名前ですか？」
「うん、教えて〜〜〜☆」
「そうですね‥‥名前‥‥」
「やっぱりアリアンロッドちゃんなの？」
「いえ、――そう、リアン‥‥私はリアンといいます」
「それじゃ、リアンちゃん、内緒にするって約束だよ〜」
困った表情を作りながら、彼女は生真面目そうに頷いた。
●秘された真実
海原 みなも（うなばら・みなも） は窓ガラスに映った自分を見つめる。
「“事故”で巻き込まれたとは言え、現状を把握したいのは事実ですし‥‥王道として酒場での情報収集が基本ですけど‥‥」
無事にウェイトレスとして潜入は果たされた。
――――そう、潜入は果たしたものの――――。
この頭の上で揺れているウサ耳はどうしたものか。
みなも以外にも店内ではウサ耳のウェイトレスたちがローラースケートで忙しそうにフロアを駆けずり回っている。どうもその手の筋を狙っているお店かもしれない。
ウサ耳は忘れる事にして本来の目的に気持ちを集中させる。臨時雇いとしてウェイトレスに採用はされたものの、この喫茶店は観察するほどおかしな点が目に付くようにみなもには思えた。
具体的にどことは上手く言葉にできないけれど。
お皿洗いとして観察していたみなもだが、休憩時間に入り別の担当者と交代した。そのまま休憩室に入ると中に先客の姿を認めた。
「こんにちは。貴女もご休憩にこられたのね」
高貴な佇まいで挨拶してきた彼女は、女神アリアンロッド――に良く似た新人ウェイトレスだった。
「あ、はい――こんにちは‥‥よろしくお願いしますね」
「こちらこそ。まだ働き始めた身ですので、よろしくお願いします」
思わず緊張から身を硬くする。みなもは一応アリアンロッドに属している身なのである。
――考え方はネヴァンに近いのかもしれないけれど――。
そんな自分が属している女神とそっくりな姿をした女性がウサ耳ウェイトレスなどをされているという、一歩間違えれば不敬にも当たるような畏れ多い状況に立ち会わされてしまったワケで、どのようにリアクションしていいのやら反応に困ってしまう。
しかもウサ耳でも威厳とでもいうべき高貴な雰囲気は保っていて、他のウェイトレスたちとの違いも感じさせられ。
というより、《浮いている》といったほうがこの場合は適切かもしれない。
「ごめんなさい‥‥どうも私はまだこの場所に馴染めないようで。正直、自分でも戸惑っています」
みなもの視線に気づいたのか、女神に似た彼女は苦笑気味に俯いた。
「そんな、気にしないでくださいね。それよりも少しお話していただけますか？」
「お話？ 私とですか」
「はい、私も早くお店に馴染みたいと思うから、色々な事をお聞きしたいんです」
にっこりと笑顔で応じたみなもに、彼女も嬉しそうに胸をなでおろす。この女神似の女性、話し方は生真面目だけど実はいい人かもしれない。
「突然ですけれど、この世界を創ったとされている創造主様について何かお話を聞いていませんか？ その居場所などを色々と――」
ピクッ。
一瞬だけ反応を見せると、彼女はすぐに平静を装い、不思議そうな見返す。
「変わった質問をされるのですね。アスガルド世界をお創りになられた神‥‥４人の女神とはまた別の違う方々を念頭におかれての言葉のようだけれど」
「心当たりがあれば聞かせて欲しいんです。あたしはまだこの世界をよく分かっていないですから、どんな情報でもいいんです」
「そうね‥‥情報とはいえないかもしれないのだけれど、気になったことはあるわね」
中空を見つめるように彼女は視線を上げた。
「気になったこと、ですか？」
「ええ、そうです‥‥つまりあなたの質問を聞いて、もしもその創造主様がいらっしゃったらこの世界にどのような意味があるのかしら、という疑問を感じてしまったの」
「‥‥疑問‥‥」
「そうよ。だって創造主様がいらっしゃったとして、だとしたら、この世界は全て創造主様のものなのか、それとも人々のために創造主様がお創りになられた世界なのか‥‥」
‥‥それとも誰ものもでもない世界なのか‥‥。
彼女の呟きに、みなもはアリアンロッドの姿がだぶついて見えた。
でも、そんなことはありえない。
なぜなら、みなもの知る女神アリアンロッドは秩序の女神だからだ。アリアンロッドは、このアスガルド世界を本来の姿のまま維持しつつ、創造主の帰還を待とうとしている――それがアリアンロッドの意思。創造主を信じて待つその姿と彼女の口にした疑問は大きくかけ離れている。
女神を思わせる女性はにこやかにみなもを見つめた。
「世界は誰のための世界なのか、この疑問に答えるところから創造主様との関わりが始まるのではありませんか？」
●そして、はじまる不思議な日々
「初日にしては上出来だね」
「そうだねっ！ 目指せジャンゴ売上ナンバー１、オー！！」
「私たちの目的はそれだけじゃないだろ、しっかりしなさい」
「はーいっ」
暗くなった店内で、ゼルバーンとルチリアは静まり返った喫茶店を閉めた。
☆
アスガルドの世界に造られた不思議なお店。
兵装都市ジャンゴの街並みにその喫茶店はひっそりと、それでいて明るく佇んでいます。
――――『喫茶店☆プリティープリンセス』
明るい従業員たちとちょぴり不思議な秘密が皆様をお待ちしています。
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
【0592／ドロシィ・夢霧（どろしぃ・むむ）／女性／13歳／聖クリスチナ学園中等部学生（１年生）】
【1252／海原 みなも（うなばら・みなも）／女性／13歳／中学生】
【2554／春日 イツル（かすが・いつる）／男性／18歳／俳優＋アニメショップ店長＋原作者＋魔狩人】
【4907／解流 佐里巳（げる・さりみ）／女性／14歳／中学生】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、雛川 遊です。
シナリオにご参加いただきありがとうございました。それと作成が遅れてしまって本当に申し訳ありません。（汗）
本編はというと仮想ゲーム世界という異世界の中にさらに異世界があるような独自の道ゆく展開です。爆発してもすぐ直ってたり、女神の一人に似たウサ耳ウェイトレスがいたり、ゼルバーンとルチリアが分離してたり、しかもマネージャーがアレだったりと、何だか血の気が引きそうなくらいトンデモナイ喫茶店です。基本的にはドタバタなのでそういう趣向を凝らせていけたら何て考えています。
それ以前にスケジュールを立て直せという話もありますが‥‥頑張ります。（汗）
また、雛川は異界《剣と翼の失われし詩篇》も開いてます。興味をもたれた方は一度遊びに来てください。更新は遅れるかもしれませんが‥‥。
それでは、あなたに白銀の姫の導きがあらんことを祈りつつ。
＞ドロシィさん
【今日までの邪竜様ポイント＋２０】を獲得しました！
無事、ウェイトレスに採用されました。今日はアリアンロッド似のウェイトレスさんと会話しました。お店、全部吹き飛ばしても復活するのか気になったリ。
＞佐里巳さん
【今日までの邪竜様ポイント＋２０】を獲得しました！
悪の幹部候補生ですね！ ドジっ娘路線に進むのか悪の道を極められるのか展開が気になりますね。お店の人気を上げながら悪を励むにはやはりドジっ娘路線なのかっ！？（何）
＞みなもさん
アリアンロッド似のウェイトレスさんと接触していくらかの情報を得ました。アスガルドの秘密に果たして肉薄できるでしょうか。お仕事ですが今回はお皿洗いで頑張ってました。従業員として信用されつつあります。
＞イツルさん
お客さまが来ていただけて嬉しいです！ いや、でも、こんなお店は一回入ってきた人は猛二度とこなくなってしまわないか心配ですね‥‥などと執筆していて不安を覚えたものです。（汗）
＞邪竜の巫女ルチリア
【今日までの邪竜様ポイント＋１０】を獲得しました！
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