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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


失われし魔狼の楽園【前編】

●プロローグ

 深夜0時。
 東京の超高層ビルディング街を見上げながら一人の巫女が呟く。
「まずは――この硝子(ガラス)の大樹を私達の新しい住処とします。御用意はできていて?」
 彼女が見上げているのは西銀座の超高層ビルディング――ミラージュ・ヒルズ。
 巨額の費用をかけられ外壁の窓ガラスに全面ミラーコーティングを施された現代建築の粋を極めた硝子の塔だ。
 巫女の背後に無数の狼たちの黄金の瞳が光った。


 草間興信所には一匹の居候の子狼がいる。
 名前をフュリースという。
 居候の子狼が耳を澄ますと、興信所にけたたましい電話の呼び出し音が鳴り響いた。ビクッと耳を伏せる子狼。
「こちら草間興信――あ、武彦さんですか? 今代わりますので」
 草間零が受話器を渡すと、草間武彦は眠そうな声で答えた。
 髪をかきながら何かをもごもご話していた武彦だが、突然に真剣な口調に変わる。
「ビル一つが丸ごと狼に占拠された?」
 この日、武彦たちに超高層ビルディングの奪還が依頼された。


 巫女は屋上から光の海を見降ろす。
「‥‥‥‥石の森――狼を滅ぼす、穢れた者たち――」

 ――――この事件の背後には果たして何があるのだろうか。


●硝子の塔の狼

 草間興信所には狭い事務所にいつにもまして個性的な面々が押し寄せていた。
「ねえ、武彦さん。そろそろ建て替えを考えたりはしないの? せめて内装だけでもどうかと思うんだけど」
「そんな金はない」
 武彦にキッパリと拒否されて、事務員の シュライン・エマ(しゅらいん・えま) は整理を続けながら横目で彼をにらんだ。
「‥‥そうね。誰かさんの稼ぎが少ないとなかなかお給金も出してもらえないものねぇ」
 グサッ、と無言で胸を抑える武彦に一転、深刻な声でシュラインは問いかける。
「所で今回の依頼の件だけど、狼って‥‥やっぱりフュリースに関する相手だと思う?」
「さあ、今はなんとも言えないな。狼といってもこの界隈ではそう珍しくもないんでね」
 それ以前に俺の仕事じゃない――という武彦のボヤキを聞き流しつつ、対策についての会議を続ける。
 鎌鼬三番手の 鈴森 鎮(すずもり・しず) がひとつの単語に反応した。
「むー。狼って‥‥この日本の、この時代に? 動物園からの集団脱走とかじゃなくて?」
 狼。日本においては絶滅したといわれる高貴な獣たち。
 群れを作り、山野を駆け、地域によっては山の守護神イヌガミとして敬い、奉られ、そして畏れられてもいた。
 それも今は過去の話。

 ――――日本狼は、ヤマイヌ・ホンドオオカミとも呼ばれている。
 日本各地で生息していたこの種族は、明治38年、奈良県で獲れたオオカミがイギリスの大英博物館に保管されている。それが最後の日本狼とされていて、その時期に絶滅してしまったといわれている野生動物だ。

「いま分かっているのは『ビルが狼に占拠された』ってことくらいなんだろ? 一応さっきまで調べてたんだけど、どうもあのビルの周辺って結界がはられてるようだからなっ」
 鎮は子狼のフュリースをだっこしながら、その頭にロボロフスキーハムサイズのイヅナ・くーちゃんまでのっけているという小動物の愛好ぶりで話を続けた。
 狼たちの正体を詳細に掴むためには、やはり現場であるビル内部に直接侵入しなければならないようだ。
「もう人間だって誰もビルに近寄らないで、それでいてみんなちっとも疑問にも感じてないで普通に通りを行きかってるんだもんな。すっげー不気味なかんじだったぜ」
「やはりな‥‥一筋縄ではいかない相手か」
 しかし、あれだけの巨大ビルを『なかったこと』にして人間社会に違和感を発生させない結界とは――。
 鎮の腕の中で、子狼のフュリースはく〜んと鼻を鳴らした。
「先に調査をお願いしておいてよろしかったようですわね」
 かわいらしい女性の声が聞こえた。
 声の主である主婦にして神霊治癒師兼退魔師―― 天薙 さくら(あまなぎ・さくら) は何ともいえないほんわかとした感じでお辞儀をする。
「娘が急な用の為、代わりにお手伝いさせて頂きますが、この様子ですと外部からわかる大よその状況は掴めたようですのね」
 和服姿のさくらは、鎮に抱えられたフュリースを見てニッコリとして頭を撫でた。
 ビル奪還との話が出た際、真っ先に状況の確認と最近に何か周辺で何かなかったかを情報収集するよう勧めたのが、他ならぬさくらだった。武彦から連絡を受けた娘に代わって、お手伝いにきてくれた頼もしい助っ人だ。
「かなり助かりますよ。今回のヤマはあまり良い予感がしないもので」
「いいえ、こちらでも『狼』が気になりましたので‥‥この関連で入手できそうな情報がないかを退魔関連の伝手を使って問い合わせてみただけですから。資料はさきほどシュラインさんにお渡しいたしましたので、そちらをご覧になってくださいませね」
 シュラインがその場に集まった一同に資料を配布していく。
「さて、ビル内の構造や狼に関わる何らかの情報など、みなさんから集めて頂いたものをまとめた内容になっています。一通り目を通しておいてください」
 黄金の髪を揺らして青年が、資料を受け取ってパラパラとめくりながら尋ねた。
「俺の提出した情報もこちらに載っているのか?」
 蒼王 海浬(そうおう・かいり)。
 ――――異父妹のマネージャーを務める彼は、また同時に異世界より来訪した太陽神でもある。
 取り澄ました表情のまま海浬は資料を閉じると、疑問点を口にした。
「狼に占拠されたビル――ミラージュ・ヒルズだが、あれ自体が怪しい場所ではあるな。調べた限りでは随分と奇妙な構造をしているため霊的にも怪異を呼びやすい建築物らしく、ネット上でもその手の噂が絶えない。あと依頼人によればビルに残されたり、閉じ込められた人などはいないそうだ。当然、怪我をした人間も皆無だ」
「それは不幸中の幸い――とは言えないだろうな」
「ああ、人間を巻き込めば事が広がり、計画に支障をきたす可能性が高くなる。だとすると相手は明らかの目的遂行を優先させている節があるな」
 海浬と武彦はチラリと視線を交わす。
「‥‥ま、ビル一つ占拠している時点で十分大事ではあるがな」
「それは相手もわかっているはず。計画を密かに進めようとしながら、それでもビル占拠などという博打を打つだけの価値がある計画なんだろう。だとすれば、かなり危険な代物である可能性は高いと俺はこの件を読んでいる」
「そいつは同感だ。ある程度の危険は覚悟したほうがいい――――」
 ドン、と強く物をテーブルに叩きつけたような音が武彦の言葉を遮った。
 平松 勇吏(ひらまつ・ゆうり) は度数の高い酒の注がれた琥珀色のグラスを乱雑に掲げる。
「ハッ、どうせ狼共とは一戦交える心積もりなんだろ? だったら四の五の言わずに具体的な攻め方とやらの話をしようぜ」
 左眼の下に縦2cm程の傷跡を持つ自称普通の大学生は好戦的な瞳を向けた。
 酒好きでバー通いが頻繁、かつライブハウスやクラブ通いで放蕩の毎日を送り、故に財布は常に素寒貧――そのためかただ日銭のために依頼に出る男。
 人外に興味はない。ただの享楽家と化している遊び好きの青年としては、仕事などというものは遊び金を手にする手段としての依頼料を得るだけの行為でしかないので、面倒な打ち合わせは早く切り上げ事件を片付けだいと考えているのだ。
「俺もこいつの意見には賛成だ。荒事なんざ予定通りにことが運ぶモンでもないだろう」
 ぶっきらぼうな口調で 日向 龍也(ひゅうが・タツヤ) も賛同した。
 武彦からの呼び出しに応じて仕事に参加を決めた龍也だが、何でも屋としてこれまで魔術と肉体で様々な事柄を解決してきた龍也にとっては、今回の依頼もまた今までに引き受けてきた仕事と同様、怪異絡みの事件というだけの話でしかない。
 依頼されたから仕事として解決する。
 仕事というよりは趣味の要素も強いが、この強気の発言それ自体が、彼の自分の力に対する自信を裏打ちしていた。
 勇吏と龍也の発言にあわせて、見計らったように別の声が割って入った。
「作戦についてならこの俺に一つ意見があります!」
 そう言いながら立ち上がったのは、怪奇作家にして仙術気功拳法の気法拳士―― 雪ノ下 正風(ゆきのした・まさかぜ) だ。
 正風はあらかじめ用意しておいたミラージュ・ヒルズの巨大な見取り図をテーブルいっぱいに広げ、自分なりの作戦案を提示する。
「ミラージュ・ヒルズ乗っ取り、相手は自信家ですね! だからここは慎重を期して、作戦としては《空から降下する班》と《地下から上昇する班》の二つに突入班を分けて、挟み撃ちで行きましょう。敵が近代的なもんに立て込んだなら近代的戦法で対抗です」
「相手に二正面作戦を強いるわけか」
「――――俺は地下から攻めに行きます」
 と頷いて、今度は地下の地図を取り出しルートを導き出していく。
 正風が見取り図の説明をしていると、部屋の隅から「ふあぁ〜」とのんきそうなあくびが聞こえた。
 ブラウンのやわらかそうな髪をゆらして外見12歳くらいの子供がソファーから起き上がった。
「へぇぇ、狼ねーっ‥‥なんなら手伝ってあげようか? 草間のおじちゃんvv」
 眠そうに目をこすると大きく背伸びをして、 アールレイ・アドルファス(あーるれい・あどるふぁす) は、にぱっと無邪気な笑顔で言った。
 最近この街に来たらしく、偶然事務所のソファーでごろごろしてる時に依頼についての話を聞いてしまったようだ。
「おじちゃんといわれる覚えはない」
「知ってる? おじちゃんはおじちゃんって言われることを嫌がるんだよー。ええと、それよりも今の話ね、アールレイも手伝ってあげるよ?」
 憮然とした表情を見せながらも、武彦はにやりと笑った。
「そいつはありがたい話だな。でもあんまりうろちょろしてはぐれるんじゃないぞ」
「大丈夫だよ。アールレイは、始めっから真正面から乗り込むつもりだもん」
 アールレイの大胆な発言に慌てたのは正風だった。
「いや、でも挟み撃つ作戦に単独行動は困るんだが――」
「アールレイはこう見えてもとっても強いよ? もっと分散させて引っかきまわしてあげるね」
 にこにこと退く気を見せないアールレイに、なんとさらに龍也も続く。
「そうだな。どうせ戦力を分断するなら強大な力をもつ俺にも遊撃こそが適任だろうな」
「ま、待ってください‥‥こちらが戦力を分断しすぎても‥‥」
 様子を見ていた勇吏が投げやりに言い放つ。
「だったら、勝手にやりたい奴はやりたい奴、つるみたい奴はつるみたい奴で各自の判断に任せればいーじゃン」
「いや、だからそれは――」
「鏡の塔で狼たちがパーティとはな。それじゃ招待状なしだが参加しに行くとするか」
「ハハ! ノライヌの戦い様、しっかりと狼共に見せつけてやろうじゃねェか!」
 やる気満々の龍也と勇吏を横目に、もうどうにでもなれと制止を諦め、正風は作戦におけるビル内の構造の説明に戻った。こうして半ば強引に遊撃的な主旨の作戦は決定されてしまったが、会議とは概ねそのようなものかもしれない‥‥。

 説明を聞きながらアールレイは、周囲にハートが乱舞しているような可愛い仕草で武彦を見上げた。
「まぁ、理由如何で向こうについたらごめんね?」
「ん――ああ、そうか」
 アールレイは放浪する仔狼だ。
 今は人間の姿をしているが、小さな体からは想像がつかないほど膂力が強く身も軽い。
 フュリースを抱きしめた鎮はふと気になった。
 仔狼であるアールレイは犬科動物であれば、多少の意志疎通ができるはずだ。それがなぜだかツーンとフュリースのことは無視しているように思える。
 作戦については正風の案を主軸におき、撹乱用の遊撃的に動く何人かが決定され、武彦は行動時刻について意見を述べた。
「占拠の報がもたらされてから今夜が初めての満月だ。敵が仕掛けるとしたら霊力の最も高まるこの日をおいて他にないだろう」
 ――――戦いの規模が読めない以上、不用意な邪魔が入らないよう決行は人気の少ない深夜に行う。

 武彦の決断は正しいかもしれない。
 だが、それは敵がもっとも力を発揮する時刻に戦うという意味でもあった。

                             ○

 作戦会議の席を一人で離れる少女の姿。
 彼女――退魔師の 神崎 こずえ(かんざき・こずえ) は小さく溜息をつく。
 興信所に来る前に、彼からかかってきた電話の内容を思い出しながら手の中でケータイを弄んだ。

「うん、あたしなら大丈夫。あなたがそう決めたんなら‥‥」
 電話の向こうから聞こえてくるのは、ぶっきらぼうだけどいつも自分のことを心配している不器用な声。
 向こうの彼も同時に何らかの事件を抱えている。
「あたしも手伝いに行きたいけど‥‥ごめんね。依頼を受けちゃってるから‥‥」
 電話は便利だけど少しだけ淋しくなる。
 声は聞こえても自分たちが離れているのだと実感させられるから。
「片付いたら、すぐに駆けつける‥‥本当に無茶しちゃ、やだよ?」
 ピッ。

 ケータイを切った場面で現実に戻ったこずえは、迷いなく軽やかな足取りできびすを返した。


「――――《月の森》に棲む狼の伝承、かよ」
 来栖 麻里(くるす・あさと) は、会議の席を離れて一人調査レポートに書かれた一文に目を落とす。
 麻里は神獣族の血を引く人狼だ。
 『森』の守護者としては最下位のクラスではあるが、神獣族の住まう異世界である『森』の存在を現世から隠し、近づく者を排除する兵士である。
 狼たちの正体を推測した中の一項目に過ぎないこの文章とミラージュ・ヒルズの狼たちとの間に強いつながりを感じてしまう。
 数ある噂の一つにすぎない都市伝説。
 月の森が滅びようとし、森に棲む魔の狼たちが人間を食べに街に降りてくる。
 たわいもない噂でしかなく一笑に伏すのは容易いが、見逃すわけにもいくまい。
 学校にも通わず、神獣と繋がりのある財団に養われている麻里にはある役目が課せられていた。
 ――――その役目とは、『森』に辿り着く可能性のある、特殊能力を持つ人間や魔物を監視すること。場合によってはその存在を狩りとることも厭わない。
 財団からの今回の命令は、一言で述べれば――

  『ビルを占拠した奴らの目的と正体を報告せよ』

 麻里の守護する『森』と月の森は別物だろうが、疑いがある以上調査しないわけにはいかない。
「草間んトコの調査員たちの『調査』も任務の範囲だが、今回は狼たちの方が優先されるからな」


●月光曲は滅びへの導き

 深夜0時。
 銀座ミラージュ・ヒルズ――――新開発区のシンボル的な存在はこの夜、摩天楼という名の石の森に突き刺さる一振りの美しい剣に見えた。
 ガラス張りの透き通った質感は結晶の剣を想起させる。
 だが、この石の森に突き立つ巨大な剣は今や謎の狼たちに占拠されていた。

 潜入は撹乱用の個人行動組と、地下潜入組のふたつに分かれていた。
 一応、各自でバラバラに潜入しながらその途中で情報を集めつつ、中央セントラルホールで全員が落ち合う予定となっている。


「ええと、アールレイも目立ったほうがいいよね?」
 アールレイ・アドルファスはのん気にたった一人でビル正面から乗り込んだ。
 別に潜入しようとしているチームの援護として囮的な役割を果たす必要があるのだが、アールレイとしては占拠を指揮している狼のボスに会えたらいいなぐらいに考えていた。仔狼として同族に聞いてみたいことがあるのだ。

 硝子の搭の中は黒い世界。
 光といえば所々に非常灯が見える程度だ。
 足を止めた。
 気配がする――それもよく知った獣の臭い。アールレイと同じ生き物の臭いだ。
「あれは‥‥」
 待ち受けていたのは、闇に輝く無数の光る目。
 ――――狼たちの瞳。
 すでに侵入するものを取り囲み、逃がしてくれる気配など微塵もない。この結界で囲まれたビル内に侵入できる人間が一般人であるはずもなく、彼らの計画を妨害する者として認識される。
「あのネ‥‥アールレイはお話しをしに行たんだけど、前を阻むなら容赦しないよ?」
 ビクッと狼たちは一歩下がった。
 本能的に危険を察知したのだ。
 アールレイは無垢だが、それゆえに何かを壊すことに感慨を持たない。
 殺すことにも躊躇はなく、牙を剥く相手には容赦などせず、何かに情もうつさない。普段は子供らしい無邪気さと可愛らしい笑みで相手に接するが、時には子供のような残酷さで敵を屠る。
 無邪気な笑みに宿す仔狼はただ自分の気持ちを純粋に形にするだけ。
 狼たちが咆哮と共に襲い掛かった。


「お、どっかでも戦いが始まったか」
 来栖麻里は自分を取り囲む狼たちの群れを不敵な笑みで見渡した。
「なんてオレも人のことを気にしてる場合じゃなさそうだけどな。さぁて――――」
 彼一人でこれだけの狼をひきつけられ他のだから、仕事としてはまずまずだろう。
 麻里は突入前に武彦と交わした会話を思い出した。

「財団の指示があるまで、オレは人間どもの味方でも狼達の味方でもない。協力には応じねぇ」
「髄分と複雑そうだな」
「‥‥まあな。ただ、オレを敵とみなして問答無用で襲ってくるなら、こっちも容赦しねぇからな。どちらに対してもだ」
 煙草をもみ消して武彦は背を向ける。
「まあ、お前さんが敵にならないよう祈ってるよ」

 麻里にとっての優先事項とは、まずは狼たちのビルを占拠した目的を探ることだ。自分の立場を明確にするのはそれからだと考えている。
「一応、聞いといてやるが――――ビルを占拠して何しようってんだ?」
 狼たちは答えない。ただ唸りを上げて麻里の隙を窺うだけだ。
「‥‥なんてな。ま、お前ら下っ端に訊いても無駄だろうがな」
 通してもらうぜ、そう言って異常な脚力で壁や天井を蹴りつけながら空間的に移動する麻里。風のような彼を狼たちも見劣りしない速度で追いかけた。
「群れを率いているボス格に確かめるのが早いか‥‥」
 麻里はミラージュ・ヒルズを駆け抜け武彦たちとの合流地点を目指した。


 硝子造りのビル内に激しい銃声がこだました。
 神崎こずえの愛用するハンドガンによる銃声だ。
 こずえもまた撹乱する遊撃的なポジションとして個人で潜入していた。
 片手にハンドガン、もう片手には御符を構えながら、こずえは黒いドレスを戦闘服のように着こなし狼の群れをかいくぐった。
 牙が、爪が、野生の躍動から放たれる攻撃は時には鋭利な弧を描き、または疾風のように正面から無数の武器として襲いかかる。
 狼たちは標的を追いつめるように攻めつづけた。
「これでも食らってみる?」
 こずえが放ったのは、投げると破裂して粘着液を撒き散らす玉だ。
 パァン。
 弾けて粘液を飛散させた玉は、数体の狼を絡めとる。抵抗するほど粘着液は絡みつき体の自由を奪っていく。
 …………操られてるだけなら、できれば狼は殺さずに済ませたいなぁ…………。
 と思った瞬間、跳躍したこずえに四方から狼が同時に襲い掛かり、死角の一匹がこずえの腹部にかみついた。
 こずえは落下しながら背中を打ちつけ、一瞬、衝撃で呼吸が止まる。床に押し倒されて苦痛に眉を歪めながらこずえはにやりと笑った。
「‥‥残念でした。これって特殊繊維製だから、狼の牙ぐらいなら防げるのよ――――」
 かざした札を爆発させてその衝撃で狼を体ごと吹き飛ばした。
 間髪おかずに、次々と狼たちが飛びかかってきたが、彼女に触れかけた瞬間、見えない壁にぶつかるようにして弾かれていく。
「これはね、あたしの周りを自動的に飛び回って、敵意を持って襲ってくる相手を切り裂いてくれるお札よ」
 僅かに出来た隙を逃さず、軽やかに飛んで跳ね上がり体勢を立て直すと、こずえは口元を拭った。
「全く、多勢に無勢とはよく言ったものだわ‥‥ま、油断はできないようね」
「そうそう、狼を甘く見ちゃダメなんだよ」
「狼の群れとしてのチームワークは抜群だぜ。狙われた獲物はひとたまりもなくまず助からねぇな」
 そこにはアールレイと麻里が戦いの様子を見守っていた。
「もう、いるなら手助けぐらいしなさいよっ」
「アールレイはね、むこうが襲ってこないと戦わないんだよ」
「オレも今は様子見だからな。まあ頑張れな」
 意地悪く笑う頼りがいのない仲間たちに、こずえは頬をふくらませると二人を睨みながらダッシュした。
「あなたたち、後で覚えておきなさいよね!」


 平松勇吏も狼の群れに囲まれていた。
 周りは全て敵だらけだ。
「――――ケダモノの敵なら楽勝だろ? どこブン殴っても防げやしねーんだ、軟体動物にしてやるよ」
 だが、彼が手にする武器はたった一本の木刀だけ。
 勇吏は可能な限り敵の頭蓋を狙うように攻撃し、敵が骨のない腹部側を見せた瞬間に逃さず突き殺すように裂帛の突きを放つ。
 だが敵もさるもの、仲間の危機を察すると他の狼が死角方向から攻撃を加えて必殺の一撃を妨害した。
 数の差が戦闘力にあらわれている。個体としての戦闘力は勇吏が高いとしても、狼は均等な戦闘力を持った個体があらゆる方角から俺を狙い澄ましているのだ。
 ガッ。
 狼の牙が勇吏の腕を引き裂いた。致命傷には至らなかったが出血が酷い。
「むしろ、逆に燃えるってモンだろ、男ならな!」
 勇吏は合気道の体捌きを使い四方の狼を竜巻のごとく斬りまくる。傷を増やしながらも心を研ぎ澄ましていく。
 瞬間、無呼吸運動に入り爆発するように平均6秒に12斬撃を放つ。鮮血を撒き散らしながら回転する独楽のような勇吏はさながら赤い竜巻だった。
 だが、無呼吸限界の3分――――その後には防御に回らなければならない。
「‥‥ハ、きりがないなァ。だったらこちらもそれなりの戦いってヤツを見せてやるよ」
 回転状態から一転、壁を使って二段飛びで跳躍した。ビルの蛍光灯を連続して割りつづける。
 破片の雨を狼たちに浴びせ、同時に破片を床に撒き敵の機動を奪う作戦だ。
「靴って便利だなオイ」
 勇吏自身も破片で自分が血塗れに染まるが、本人は全く気にしていない。個人の戦いとしては不満ながら、一応撹乱をしての戦果には満足したので、狼を振り切り合流を目指した。


 蒼王海浬が勇吏を見つけたのは少し時間が経ってのことだ。
「そうしたんだその傷、出血が酷いな――――」
「ついさっき犬ッコロどもと一戦交えたからな。そう心配する傷じゃないぜ――イチチ」
「馬鹿が、無理はするな。で、まさかとは思うが武器はその‥‥」
 海浬の視線を受けて、勇吏は握っていた木刀を自慢げに見せつけた。
「オウ! 棒切れ一本でもなんとかなるもんだぜ? ま、傷は男の勲章ってやつ」
「やれやれ、理解できかねる思考だな」
 ぼやきながら海浬は素早く手当てを終えていく。
 元々行動としてはフォローやサポートはするが、戦闘や事件の直接解決については積極的にはかかわるつもりがなかった海浬は主に情報収集を目的に行動していた。
 この世界の事はこの世界の人間が中心となって解決すべきだ――それが海浬の基本的なスタンスでもあった。
「丁度、調査係が戻ってきたようだ」
 聖獣のソールがどこからともなく現れ、海浬の前で止まった。
 この体のサイズを大きくなったり小さくなったり自由にできる聖獣を召喚してビルの各所を調べさせていたのだ。しかし報告を聞いた海浬はしばし考え込んだ。
「オイ、イキナリ黙りこくってどうしたんだ?」
「事は想像していたよりも危険なのかもしれない‥‥」
 不可解なものでも見つめるような勇吏の視線に向き直ると、海浬は手短に説明した。
「元々このミラージュ・ヒルズ自体が都市という人間の生きる世界の中で、中枢的な土地に立てられている。多分、東京を司る大小様々な結界の中でも大きなもののひとつに入るだろう。例えるなら巨大な要石といったところだろうか。逆にいえば、このビルを使うことで社会や世界に巨大な影響を及ぼす魔術的な儀式や秘術を執り行いやすいといえるだろう」
「はァ? それがどーしたよ」
「調査の結果、ここミラージュ・ヒルズの地下施設に巨大な魔術儀式用の準備が備えられている。どれだけの規模の影響が出るか想像がつかない」
 だが―――とも海浬は疑問に思った。
 本来、これだけ巨大な魔術使用が可能な施設なら、しかるべき組織や団体によって何らかの管理がなされているはずだ。それが行われなかったということは、このミラージュ・ヒルズ自体がさながら大きな結界によってその魔術的な価値を隠されていたのではないか。そうでも考えなければ説明がつかない。
 例えるなら、無警備のまま原子力発電所が野ざらしで放置されているようなありえなさだ。
「何らかの意図があってのことか、それとも‥‥」
「どうしたんだ? また黙り込みやがって」
「ああ、いや。なんでもない」
 軽く頭をふって、海浬と勇吏は武彦たちとの合流場所に向かった。

                             ○

「どうやらここまでは上手くいったな」
 計画通り、武彦たちは無事に予定していたセントラルホールで合流した。
 手短にそれぞれが入手した情報などを交換していると、ふとその視線に気づいた。武彦が奇妙な顔をしている。
 視線を辿り追いかけていくと――自分の頭を見ているようだ。
 こずえは、なにげなく手を頭に当てた。ぴくぴく。覚えのない何かに触れた。
「‥‥え? なにこれ、ウソ‥‥!?」
 こずえの頭にはかわいい狼の耳が付いていた。
 耳だけではない。お尻から狼のしっぽのようなものまで生えている。
 しかもいつの間にか、その場にいた武彦たち全員にも――。
 耳やしっぽは髪や布地を透けて顕れていた。どちらも完全に実体を得ているわけではなく、霊体のようなエネルギーとしての性質と物質としての状態という不安定ながら中間的な形質のまま具現化を始めているようだ。だから手触りは感知できても物質としては完全な具現化とは呼べない。
 落ち着いた声で武彦はつぶやいた。
「――――どうやらミラージュヒルズ全体を覆っているこの力場の影響によるものだろうな」
 狼耳をゆらして煙草に火をつける武彦。
 ‥‥彼の頭からも生えているようだ‥‥。
「重度の犬神憑きや動物霊の憑依などに時として似たような症例をみられる場合がある。これは推測に過ぎないがな、狼たちの儀式が俺たちの身体や魂にまで影響を及ぼしているんだろう。その結果、霊体が外部からの刺激に反応して本来の人にあるはずのない器官が霊気により具現化しようとしているのかもしれない。これは早く例の巫女を止めないと俺たちの狼化はさらに進行するだろうな」
「武彦さん、その推察は正しいと思うわ。だけどね‥‥呑気に解説している場合じゃないでしょう!」
 狼耳をピーンと立てて抗議するシュラインに武彦は困ったように煙草を吸う。
「でもな一応の状況確認は必要だろ?」
 とは反論するものの、狼耳を伏せながらでは説得力に欠けていたが。


「それは自然帰りの法のための《森化陣》による影響でしょう」


 突然、響き渡る少女の声に全員が振り返った。
 そこには神聖な衣装を身にまとった少女がいた。彼女こそがここの狼たちを統率している狼の巫女。
 少女は空間の全てを支配した絶対者のように立ち居振る舞う。今やこの搭はまさに彼女の支配下にあるのだ。
「ねえ、なんでこんな事をしている? アールレイに教えてほしいな」
 アールレイは無邪気に訊ねた。
 『森』の守護者である麻里も金の瞳で巫女を見据える。
「理由はどうだろうが、この世界は人間達のものだ。不法な占拠と滞在は良くねぇぜ」
 セリフを叩きつけて、ククク、と麻里は自嘲気味に笑った。ハ――――不法侵入自由自在のオレの台詞じゃねぇか、と。
 澄んだ声は朗々と語った。
「あなたたち石の森の人間により浸食された大気や雨により、我等が一族の棲む《月の森》は失われようとしています。月の森の木々は狼の中での特別は私たち、月の狼の一族が生きていくために必要なもの。私たち月の狼は、月の森の木々を失っては生きていけないのです」
 もはやここは彼女たちのテリトリー内であるという絶対の自信のあらわれだろう。淡々と語りながら、静かな滅びを背負う狼の巫女は瞳を細める。
 それは怒りでも復讐でも、ただ単にこれから自身の行為で滅びようとする自分達とは違う別の生物を哀れむような、見捨てるような、そんな視線だ。
 哀れむがゆえに冷たくて、残酷な瞳。
「――――それを守るためにこの旧武蔵野の平野一帯をまずは大森林と変え、大地の力を貯水する要の地にせねばなりません」
「それはつまり、私たちでいうダムのようなものかしら? 安定した電力と生活用水を得るため川を堰きとめ膨大な量の水を貯水するように――――関東平野一帯を植物の生きるエネルギーの貯水池に変えようとしていて、その核に東京のここ銀座ミラージュ・ヒルズが選ばれたのね」
 シュラインの問いに巫女は肯定を示す。
「その通りです。緑を育む豊穣な大地を月の森が取り戻せるよう世界を変えねばならない――しかし、種として自分たちの生活を行う場所を作るために自然に手を加えて変える行為は、巣作りをする生物なら全てが営んでいる行いでしょう? 生物として生きていく上での業でしかありません。ただ、人間の巣作りは規模が大きく、私たち月の狼たちの巣作りは人間に被害が大きいだけ話――」
 そして今回はただ立場が違い、生存環境の上で大きな打撃をこうむるのは人間の側であり、月の狼が自分たちの巣を――縄張りを安定させるために大地に手を加える。それだけの違いでしかない。人間により行われてきた営みが、逆に他の生物の手で行われるだけなのだ。
 他ならぬ人間たちの生きる世界に対して。
「――――だが、人間はどうなる。東京に出る被害は総額にして天文学的な数字になるだろう。都市だけでなく世界中が混乱に陥る」
 煙を吐きながら見据える武彦の視線を、巫女は自然に受け流す。
「何故、そのようにおっしゃれるのかしら? 石の森の人間たちが己の生き易いよう大地を変えてきたように、私たちも同じことを行うだけ‥‥もしも、自分の一族たちが滅びようと知り、救いたいと願ったのなら‥‥例えどのような犠牲が出ようとも誰かが行わなくてはいけなくはなくて?」
 無表情につぶやく巫女は誰も、何も見ていない。ただ淡々と語るだけだ。その視界に「人間」はいない‥‥。

「私たちは大地の怒り――――今度は私たちが、石の森の者たちを、奪い尽くすだけのこと」

「そんなことを話してどうするつもりだ?」
 巫女に「デートのお誘いならお断りだぜ」とふざける龍也に、武彦が「あれはどうやら本人ではないな」と答えた。

「ええ、この姿は仮初――あなた方のお相手はこの子たちに全て任せてありますもの」

 狼の巫女の背後には、群れなす狼たちが控えていた。

 狼たちは淡い輝きに包まれ始める。
 白銀のような、黄金のような、淡い輝きを放つ狼たち。
 ――――例えるならそれは月の光。
 ――――深海にたゆたう夜の女王のような深淵を垣間見せる幽界との境。
 月の光を放ち始めた狼たちは、何か別の生き物になってしまった。
 そう、先程までの群れとしての動きではない。外見が一回りほど大きくなっただけではなく何かが本質的に変容している。
 もはや群れという存在を超えた一体の獣。
 狼といえば孤高の獣のイメージがあるが、本来は群れで行動して高い統率力で獲物を狩る動物だ。そのチームワークから繰り出される連携としての動きが、機械のようにより精密化され、高度化され、まるで一体の巨大な生物のように連動している。
 ――――これが月の魔狼の真の姿。
 月の光によりネットワークの怪物と化した狼たちは、静かに武彦たちをとり囲んでいく。


「なるほど。先刻の攻撃はどうやら様子見らしいな。戦力を探っているつもりで、こちらが戦力を探られていたか」
 苦笑しながら武彦は新しい煙草に火をつけた。







●エピローグへの間奏曲

 完全に満ちた月の輝きを受けて一人の女が貯水槽の上に立っている。
 硝子の搭の屋上で狼の巫女が見つめるは、真円を象る黄金の月。
 滅びようとしている大地からの使者たちはただ、自分たちの世界を取り戻そうとしてるだけ。
 彼女は、月に語りかけるように見上げた。
「石の森は我等を滅ぼそうとする自身も知らない‥‥」
 ‥‥だが、大地を殺しながら無駄に増殖を続けていると知っている。
 大地の息吹である風を腐らせ、
 魔の雨を降らせながら、
 緑と獣と滅ぼしながら、
 世界と空と生命を
 得体の知れない澱みへと向かわせる、
 それでも尚、己が愚行をいまだ自身で正せない‥‥そのような者達に復讐の牙がつきたてられて一体なにがいけないのだろう。

「あなた方が営んできたように今度はそちらが滅びていくだけの話。これが自然の摂理ではなくて何だというのかしら」


 月の森を再生させるための秘儀―――《森化陣》がミラージュ・ヒルズの地下深くに敷設された。
 満月の光の魔力を受けて、森化陣は最高の効力を発揮し、都市という人の穢れに塗れた地上をあるがままの緑と自然の大地へと帰す。
 そして、月の魔狼。
 全として個、個として全の巨大な怪物は満月の夜、最高の魔獣としてその牙を不遜な侵入者の首に突き立てようと虎視眈々と狙っている。
 それは、滅び去ろうとしている大地の守護者としての狼の誇りゆえか。


 巫女たちが目指すのは、東京を作り変えて都市に生きる人々の生活を奪い、滅ぼそうとする――魔の狼たちの楽園。
 月の森という楽園を守るために、魔狼たちは石の森を滅ぼそうと決意した。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2797/アールレイ・アドルファス(あーるれい・あどるふぁす)/男性/999歳/放浪する仔狼】
【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女性/26歳/翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
【3206/神崎 こずえ(かんざき・こずえ)/女性/16歳/退魔師】
【0391/雪ノ下 正風(ゆきのした・まさかぜ)/男性/22歳/オカルト作家】
【4345/蒼王 海浬(そうおう・かいり)/男性/25歳/マネージャー 来訪者】
【2336/天薙 さくら(あまなぎ・さくら)/女性/43歳/主婦・神霊治癒師兼退魔師】
【2953/日向 龍也(ひゅうが・タツヤ)/男性/27歳/何でも屋】
【4483/平松 勇吏(ひらまつ・ゆうり)/男性/22歳/大学生】
【1627/来栖 麻里(くるす・あさと)/男性/15歳/『森』の守護者】
【2320/鈴森 鎮(すずもり・しず)/男性/497歳/鎌鼬参番手】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、雛川 遊です。
 シナリオにご参加いただきありがとうございました。そして‥‥
 遅延に遅延を重ねてしまい申し訳ありませんでしたありませんでしたー! と平謝りに土下座しつつお詫びを入れさせていただきます!
 スランプと一言でいってしまうのは無責任の極みではありますが、いくつ物出来事が重なったそのせいか俗に言う書けなく状態に陥ってしまい、自分の不甲斐なさを責めるばかりの昨今です。本当にごめんなさい。

 ええと、土下座だけでここを埋めてしまうのもなんなので製作裏話などをコッソリと。実はスランプ脱出のヒントをくれた神のアイテムがありまして。ようやく筆を進ませてくれる切っ掛けとなったのは某吸血姫と殺人少年ゲームの音楽です。
 執筆中はそれを24時間年中無休で流しっぱなしでいて、特にオープニングの曲辺りは一番イメージが降りてきました。その素晴らしくも氷の世界のように冷たくて美しいBGMたちに感謝しつつ。
 ‥‥などとそんな雰囲気がノベルでも伝わっていればよいのですが。
 あと、一応次回募集時ですが、
《森化陣を破壊する地下ルート》
《月の魔狼との戦闘ルート》
《巫女と関わる屋上ルート》
 のいずれかを選択してプレイしていただこうかと予定しています。

 さて、雛川は異界《剣と翼の失われし詩篇》も開いてます。興味をもたれた方は一度遊びに来てください。(更新は遅れるかもしれませんが)
 また、宣伝になりますが『白銀の姫』でもシナリオを始めました。よろしかったらこちらも覗いてみてください。

 それでは、あなたに剣と翼と狼の導きがあらんことを祈りつつ。