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<東京怪談ウェブゲーム あやかし荘>


エヴァの一般生活:不思議な花

 雨の中、急いでエヴァはあやかし荘に逃げてきた。
「ただいまー」
「大丈夫? ってそれ?……」
「ん? これがなに?」

 彼女が持っている物は、「箱」。変哲のない「箱」だが……
 あやかし荘の住民には例の箱しか考えつかないのである。
 さて例の箱とは、ある会社のはた迷惑な箱なのだ。
 とは言っても、蓋はなくて、そこに12個の植木がある。
「此処にはいるときに、花が置いていたら……誰の物かな〜って? と」
「こ、困りましたね……」
「??」
 まだ理解に苦しむエヴァだが……。

 其れを理解したのは、その花の蔓があやかし荘を瞬く間に覆い尽くしてからであった。
 香りもよく咲く花も素晴らしく綺麗なのだが、はた迷惑な事は変わりない。
「ここの自然の摂理が狂うな。元から狂ってはいるが」
 と、誰かが行った。
「あうー、わたしの責任だよ〜」
 しょぼくれるエヴァ。
「えーい、責任はわたし! 何とかして解決しなきゃ」
 と、怨霊武器で駆除しようにも焼け石に水。根本から退治しても元に戻るだけだった。
「花について何か詳しい人いればいいのに……」

 植木鉢にはこう書かれている……「Flower of Glory」


1.
 ドロシィ・夢霧は噂の怪奇スポットと言われる、あやかし荘に訪れ、
「すごいなぁ!」
 彼女は感嘆の声を上げた。
 人を襲うわけでもない単に、繁栄しすぎの謎植物が、蔦に覆われていたのだ。
 花は綺麗だし、お化け屋敷として取材するにはもってこいだろう。
 原因を知るために、人に聞こうと思ったわけだが、その手間はいらなかったようだ。
 エヴァが独りでこれらの駆除を頑張っているのだ。
 彼女の足下に箱が、ぽつんと11の鉢植えをいれたまま置かれている。
「なに?」
 エヴァは息を切らしながら、ドロシィを見た。
「私? ドロシィ夢霧。ドロシィちゃんです」
 ニコリと微笑んで、ぺこりとお辞儀する。
「わたしはエヴァ……。あなたも何かの能力者だけど……」
 結構駆除に疲れたのかエヴァはペタンと地面に座り込んだ。
「どうなさったんですか?」
 ドロシィは尋ねた。
 その時。
「エヴァ様!」
 可愛いラッピングや渋めの箱を紙袋に入れた鹿沼デルフェスが急いで駆け寄ってきた。
「デルフェス〜!」
 と、泣きながらデルフェスに抱きつくエヴァ。
「え、エヴァさま! こ、こんなところで嬉しい……恥ずかしいですわ!」
「どうしたのでしょう?」
 鼻血を抑えているデルフェスに、首を傾げるドロシィ。


2.箱 VS ドロシィ
「なるほど。なるほど」
 簡単な事情・事の発端を聞いて頷くドロシィ。
 零の妹であることも含め、ドロシィも解決に
「なら、エヴァちゃん。植木を根から斬ってね」
 と、ドロシィが言った。
“な、何ですと!”
 箱が驚いている模様。
「うん。そうする」
「終わったよ〜」
 簡単に11の植木鉢から根本を斬られる。
「もう一つは?」
「中なの」
「しかたないか」
 溜息をつくドロシィ
「では、箱を“飛ばす”から離れてね〜」
 と、ドロシィは『オーバー・ザ・レインボー』にて、“箱”を植木鉢ごと“飛ばした”。
 向かう先は、OZと言う異世界。
 この世界で、今の謎の花増殖を食い止めるためのモノだろう。
 ただ、気になるのは。
 箱がなんか驚いていたと言うことだ。
「コレで、増殖は防げるはず♪ あとは向こうが何とかしてくれるよ♪」
 ニコリと微笑む。


 さて、デルフェスはというと……
|Д゚) ……ドリーム中
 と、一番謎の生物に解説されるほど……
「この森深くに眠る姫はエヴァ様! そしてわたくしが、其れを救う王子!! ああっ! なんてステキでしょう!」
 妄想の中に浸っていた。
「エヴァ? わたしはピンシャンしているよ?」
「……格好良く助けますわぁ!」
|Д゚) 聞いちゃいねぇ
「そんなこと言って、かわうそ? デルフェスに鎧装備でいかにも“王子様”っていうコスプレさせているじゃない。それに私にもこんなヒラヒラきせて、コルセットがキツいよ〜」
 エヴァが突っこむ。
|Д゚)ノ 雰囲気作り
 楽しそうなので、ハンディカメラで撮影中のドロシィ。

 しかし、頭から何かが落ちてドロシィに当たった。
「いったー!」
 よく見ると、先ほど異世界に飛ばした“箱”だ。中身は空っぽ。
「な、なによ! おとなしく向こうでおとなしくしてなさい!」
 と、また“箱”を飛ばす。
“箱です。そげんこつするなかです。箱は大事にするとです”
 と、箱はドロシィに向かって意志を伝えたとたん。
 また、空間から落ちてきた。
「箱の分際で!」
 ドロシィ、怒る。
 デーモンとドロシィが疲れ果てるか、箱が飽きるまで、異空間転送合戦は続くようだ。


3.さて問題の花
「わたくしが思うには……」
 と、我に返った(?)デルフェスが言う。
「エヴァ様が根こそぎ駆除しても無理というのは、花自体の“生命力”ではないでしょうか?」
「そうかも……」
 駆除を何度もしているのだ。エヴァも薄々気がついている。
「箱は戻ってきちゃったけど……どうするの?」
 まだ、箱と格闘しているドロシィ。
 デーモンは“疲れた”意思表示で反ベソ状態のようだ。
「そうかも知れません。1ダースだけというと多分……あと、植木鉢に書かれた名前も気になります」
 デルフェスは過去の事を考え、今と照らし合わせてみる。
“Flower of Glory”――繁栄の花。
「皆には一応、退避して貰っているけど、エルハンドだけ中で手伝ってくれているよ」
「なら、問題はないですわね」
――お父様は石化しないですから。
 そして、彼女が換石を使った。蔦や花に向かい……。
 簡単に石化した花。
「此処から駆除するのは大変ですが……がんばって砕かないといけませんわね」
「流石にこのオブジェを……転送できないなぁ」
|Д゚) 石ノミと玄翁セット
 かわうそ?が鉱物を砕くための用具を3人に差し出した。
「よ、用意が良いですわね。かわうそ?さま」
「かわうそ? だし」
 デルフェスと、エヴァが其れを受け取る。
「じゃ、ドロシィちゃんはこの石化した残りの鉢植えを飛ばすから、後宜しく〜」
 と、簡単に飛ばした後、ハンディカメラを再装備。

 地道に、砕く作業に取りかかるエヴァとデルフェス、かわうそ?にその一部始終を撮っているドロシィだった。
 かわうそ?の用意した石ノミは、同硬度で鋭利らしく。簡単に砕けていく。
「コレなら夕方には大丈夫ですわね」
「うん」
|Д゚) ……


4.それから
 繁栄の花。
 デルフェスが思うものなら、いつかは……と思った。
「片づけは済んだのだな」
 エルハンドが、まだ元気な植木を持っている。
 花はチューリップほどの大きさで、とても綺麗な花を咲かせていた。
「コレが問題なのよ」
 エヴァが溜息をついている。
 彼女の話では、コレを駆除しようとしても、必ず元に戻るのだ。
 数日続けてそうだったらしい。
「大元のようですわね」
「綺麗だけどねぇ」
「なんかわかった?」
 エルハンドは、デルフェスを見た。
「お父様も?」
「ああ、時間的には頃合いか?」


 外に出る。
 花は一層綺麗に咲いて……、他の花より、早く枯れていった……。
「はやり、咲くだけ咲いて、あとは……枯れるわけですね」
 デルフェスが納得した。
「骨折り損ですね」
 ドロシィは溜息をついた。

「何かを、うったえるために箱が送りつけたのかも知れませんわ」
 とデルフェスが言った。
 それ以上は言わない方が良いだろう。


 そして、デルフェスはエヴァにドイツ製のキャンディを送ったり、エルハンドにチョコを渡したり、楽しく蓮の間でお茶会になる。
 もう其れは幸せ絶頂、天国にいる気分であった。
「2月はお会いできませんでしたからこれほど嬉しいこと……うっう!」
「泣かない、泣かない」
 よほどエヴァに会えて嬉しいらしい。」
 エルハンドは頭を撫でていた。


 しかし、ドロシィは……。
「楽しかったけど……楽しかったけど……」
“おいどんは箱です! 箱は気ままに移動スルです!”
 と、彼女の家に、ボタボタ落ちてくるのだ。
 中身は空っぽ。
「この〜おかしな箱! どっかいっちゃえー!」
 幾らOZに送っても箱はやってくる。
――な、なによ〜!
 箱はつまり行動で示したかった。
――“おいどん、勝手に移動されるのは好きじゃなかとです”
 と。

 翌日にはすっかり“彼ら”はいなくなり、ドロシィはアレの行動を理解したくなくなった。


End

■登場人物
【0592 ドロシィ・夢霧 13 女 聖クリスチナ学園中等部学生(1年生)】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】


■代理で|Д゚)通信
|Д゚)ノ おっつー
|Д゚) 箱、侮ると痛い目に遭う
|Д゚) さて、花の真の意味……なんだろ?
|Д―) 各々で考えてくれると幸い。