コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 2 皇茉夕良編

 環境など違った者。
 先日に織田義明と衣蒼未刀と出会った。
 あなたの目からすれば顔もなーんも似てはいないようで、似ている。
 趣旨趣向などでなく、反応だ。
 其れがお互い可笑しいのか、意気投合している模様。

「遊びに行くか?」
「遊び? なにを?」 
 と、義明が未刀を誘う。
「まあ、お互い親睦を深めるために。」
「そうだな……」
 と、未刀は立ち上がる。
「義明」
「何?」
「服買いたいんだけど」
「じゃ、その関係に行くか」
 
 あなたも、彼ら(特に世間知らずの未刀?)が心配で仕方なく、付いていくのであった。



〈まずは服選び〉
 とりあえず、未刀の服の新調を優先することにした3人。
「丈夫で、仕事にも使えるものがいいのよね?」
 と、茉夕良が訊いた。
「うん。そうだね」
「丈夫で、護符やら妖斬鋼糸も入る物と言えば、やっぱりデニムと革かな」
 義明が顎に手をあてて考える。
「好きな色ってなに?」
「黒」
 と、色々未刀と義明から聞いて、良いモノがあるか考える茉夕良。
「ブランド物で、丈夫なのが…」
「其れは高いから却下」
 庶民(義明)と世間知らず(未刀)にセレブ嬢(茉夕良)なわけで、金銭感覚にズレがある。
 其れは仕方ないことだ。
「安くて、着心地がよい物というのを探すのは難しい?」
「未刀のセンスによる」
「僕はどっちでも。シャツであれば」
「ダメダメ、ヤッパリオシャレはしないといけないわよ?」
 と、色々話して、良質で安い物を大量生産している服屋に向かう。
 年齢問わず、スタンダードな服、ズボン、コート(季節物)などを扱っているところだ。
 数の多さに圧倒されるのは、未刀だけでない。
 セレブ嬢の茉夕良も心なし驚いている。
「シャツに綿パン、デニム系かな? 後で寄る古着屋で革ジャンがあれば良いのだけど」
 庶民の義明は何も動じていない。
 適応能力が早いのか、茉夕良と義明は、未刀の服を選んでいく。
「こ、こんなにいらないよ」
 数の多さに戸惑う未刀。
「じゃあ、そのなかから数着選んでみたら」
 茉夕良が言う。
「む、むむ」
 どれも気に入っているが、財布とかなり相談しなくてはならなかった。
 黒基準の綿パンやらシャツ。少し洒落っ気がある事もまた良い。
 デニム調の物もまたそうだ。
 義明が未刀に付いている間、茉夕良はデニムパンツ売り場に向かって、既に目をつけていた物を試着した。

「ほほう」
「……」
 前者は義明の感嘆、後者は未刀。
 今まで、大人っぽい服装だった茉夕良は、ジーンズでまとまった衣装を試着していた。
「一度着てみたかったの。コレ気に入ったわ♪」
「履いたこと無いの? ジーパンとかデニム」
「そうね」
 茉夕良はくすっと笑って答える。
「僕はよくわからないけど。服はそんなに違うモノなのか?」
 未刀、明後日(?)の質問。
「違うよ」
 ツッコミを入れる義明。
「じゃーどこがどう違うのか教えてくれ」
 未刀がフグ面になって言う。
「着心地とか生地の他に、動きやすさ。あと用途などが違うわけだ。茉夕良がいつも着ている、いかにーも高いのは、俺たち庶民には手の届かないレストランの高級デザートを食いに……今買っているのは一般生活に向いているもの」
「かなり、前者に誤解あるんじゃないの? 義明」
 茉夕良が苦笑した。

 などと、会話が弾む。
結局未刀は悩むことをやめて、茉夕良達に数点選んで貰い自分で払い、茉夕良も気に入ったデニムを買って、外に出た。


〈気楽に行こう〉
「よっていくところがあるからいいかな?」
 と、義昭が言う。
 反論はない。
皇茉夕良と、義明、未刀は一寸した雑談をしながら、義明が良く通う武具店に向かう。
「着物、胴着、袴、武道関係なら大抵揃う」
「へぇ」
 古美術、古着もあるので、歳より趣味の義明とその師は此処がお気に入りなのだ。
「コレ凄いなぁ」
 茉夕良は初めて見る世界のようだ。
「しかし、未刀が気に入るものってあるかしら?」
 と、呟く。
 さて、当の本人はというと、服のことを頭から飛んでしまった様で、展示されている業物の刀やら、男の着物などに魅入っているようだ。
「ま、いいじゃない。気に入ったのがあれば、未刀からいうだろう」
「其れもそうね」
 2人は笑う。
「試着してみる?」
 と、茉夕良が未刀に訊いた。
「……え? それは、どういう?」
「着てみたそうだから」
「ま、まぁ……」
 なんて言えばわからないようで、頷いた未刀。

 数分後……

「やっぱり、堂に入っているなぁ」
「にあってるよ」
 と、義明と茉夕良に褒められる未刀。
 黒い袴姿の未刀。
「あ、ありがとう。しかし、コレは高くない?」
「確かに、0が4つついているな」
「買えない……」
 少し残念そうな未刀。
「それよりだ。僕は仕事着が欲しいんだけど」
 と、思い出したかのように、未刀は言う。

「例の物は2〜9まで。0は50m程で、砥石を数点頼みます」
 と、義明が道場用と仕事用の物を店主に頼んだ。
「おまたせ」
 と、まだ色々見ている2人に声をかける。
 未刀は黒い古着物の革ジャンと睨めっこしていた。
 なかなか丈夫そうだし、シンプルでよい。
「気に入ったの?」
 茉夕良が聞く。
「革ジャンは……高いけど。いいな。頑丈なんだっけ?」
 未刀は訊く。
 そう、そうして作られた革ジャンなら、本革なので更に良い。
 悩んだあげくに、未刀が自分でコレを買った。
 所要時間20分。


〈のんびりした時間から〉
 服選びに時間がかかったので、義明のいつものコースは殆どカットされた。
 義明も行く気が無かったと言えば、そうである。
 あのサブカルチャーとオタクの塊の中に茉夕良を入れていけるわけがない。
――義明に会話型RPG仲間が居るのかどうか怪しいのは抜群に秘密だ。一体誰とゲームしているのか謎である。
 軽く、ファーストフードで昼食をとったり、茉夕良がお勧めの音楽CDなどを未刀に聴かせたりと、何となく落ち着いた時間を過ごす。
 未刀には殆ど事が初体験であるため、目まぐるしい一日であるだろう。

 甘味処で、いつも立ち止まる未刀をみて苦笑する事も何度かあった。
 茉夕良はいつの間にかお茶菓子になりそうな物を買っている。
 そして、
「確か一度手合わせしたいって言ってたよね?」
 と、茉夕良が2人に訊いた。
「「あ、そう言えば」」
 義明、未刀は顔を見合わせた。
「退屈しない? 茉夕良は?」
「ううん。大丈夫よ」

 と、自然に天空剣道場のある長谷神社に向かった。

 義明も未刀も木刀を持ち……
「少し力使っての、仕合だ」
「ああ」
 仕合が始まった。

 木刀のぶつかり合う音が道場に響く。

 茉夕良にも、僅かに彼らの戦いが見える。しかし、其れをかわせるとか物騒なことを考えるのはやめた。
 自分とは異なる、宿命づけられた少年2人をずっと眺めていた。

 2時間ぐらい、経ったのだろう。
 義明と、未刀はシャワーを浴びて、汗だくになった身体を綺麗にして義明は着物に、未刀はかったばかりの服に着替えていた。
 縁側にお茶を用意して(もちろん神社の人が気を利かせて持ってきてくれた物だが)、茉夕良は待っていた。お茶菓子も用意して。
「楽しかったわ。凄いね」
 其れしか言えない。
 あの剣戟は楽しく打ち合っていた。しかし、同時に殺し合いを感じさせた。
 常に死と隣り合わせなんだと実感する、茉夕良。
――能力(ちから)を持ったからには、其れを目指した道に使う
 誰が言ったのか、そんな言葉が頭をよぎる。

「あ、そう言ってくれると、嬉しい。本当は抜刀道でしないんだけどね、木刀の打ち合いは」
 義明はニコリと微笑む。
「表と裏か」
 未刀は座ってお茶を貰う。

 もう、夕暮れ。

――3人はコレといって喋らず、夕日を眺めて、今日一日が“どれだけ充実した”を思い馳せていた。



To Be Continued

■登場人物
【4788 皇・茉夕良 16 女 ヴィルトゥオーソ・ヴァイオリニスト】


【NPC 織田・義昭 18 男 神聖都学園高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】


■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 2』に参加して下さり、ありがとうございます。
 何となくゆったりとした時間を過ごした描写を心がけましたが如何でしたでしょうか?
 3話目はシリアス戦闘です。どんなことになるのか……。

|Д゚) 出張んなかった……しょっく

 通信になんかいますが、コレを出せない雰囲気でした。
|Д゚) がーん。3はシリアスだからでられないよん。
 では、またの機会に。