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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 2 綾和泉匡乃編

 環境など違った者。
 先日に織田義明と衣蒼未刀と出会った。
 あなたの目からすれば顔もなーんにも似てはいないようで、似ている。
 趣旨趣向などでなく、反応だ。
 其れがお互い可笑しいのか、意気投合している模様。

「遊びに行くか?」
「遊び? なにを?」 
 と、義明が未刀を誘う。
「まあ、お互い親睦を深めるために。」
「そうだな……」
 と、未刀は立ち上がる。
「義明」
「何?」
「服買いたいんだけど」
「じゃ、その関係に行くか」
 
 あなたも、彼らが心配で仕方なく、付いていくのであった。

〈一方的な約束〉
 未刀のポケットから電子音が鳴る。
 まるで初期設定のあの着信音。
「ケータイ鳴ってるぞ」
「あ、そう言えば持たされていたんだ」
 義明に言われ、携帯を取る未刀。
「もしもし……なんだ、匡乃か……」
 未刀は凄く厭な顔をしている。
 相手は綾和泉匡乃、未刀の保護者である。
[出掛け中ですか?]
 匡乃がニコリと笑っている。
「そ、其れがどうした? ちゃんと連絡は入れたから問題ないだろ?」
 むっすっと返答する未刀。
 携帯を持つのは厭だったのだが、結局持たされたので、実のところ反応が酷く悪い。
「義明と一緒に服を買いに行く」
[服ですか?]
「ああ、そうだ」
[ああ、丁度いい。……僕は今日仕事が早く終わりますから、良さそうな服がある店を知っています。後々、義明君にメールで指定した場所に言ってもらえます? 時間も厳守。其れまでは好きにして良いですよ。では♪]
「……おい! いきなり! 何を!?」
 未刀には不安を感じさせる笑いを含み、一方的に電話を切った。
「メール来たな? ふむ……15時に……」
 義明の言葉が止まる。
「どうした?」
「いや、昼間で自由だ。服は匡乃さんに任せて、俺たち相応の遊びを教えるよ」
「そ、それはいいけどさ、何か隠してないか? おい?」
 引きつった顔をする義明はサクサク歩き、色々尋ねて追いかける未刀だった。

 10時ぐらいから、2人は長谷神社で仕合をして汗を流し、着替え終わってから、本屋など時間を潰し、義明の仕事用(道場など含む)の為、備品補充の注文で武具店に寄った。昼は、ファーストフードで適当に済ましてから、ゲームセンターで遊んだり、本屋で未刀が知らない雑学を義明が教えたり、時間を潰す。 そして、電車に乗って、匡乃に指定された通りに着く。

「何か場違いな気がするけど?」
 未刀は、周りを見ておどおどしている。
「そ、そう言うものかな?」
 義明は、あさっての方向をみて返答する。
 そう、この通りはブランドのブティック街なのだ。
 別段緊張するとはないだろうが、未刀自身は、世界観が異なることに対して酷く敏感になっているようだ。
 おそらく、憶測であるが……匡乃のからかいによって、多少世間を知ってきたのか、面白い見本が前にいるからなのだろう。反面教師というのは、織田義明。義明は現在、黒基調のデニムに革ジャン、シルバーアクセサリーで固めたロック少年だ。ピアスをしていないのは多分健康上気をつけているのだろうか? 
 そのためか、自分が如何に狭い世界にいたのか身にしみてわかる未刀。
 義明に触発され、多少変わってきたが相変わらず世間知らずだし、間が抜けている事を未刀自身少しだけわかってきた。
 義明に至っては、相変わらず変わってないようであるが……実のところどうなのだろうか?
 いまこの、通りを歩いている2人にとって、共通することは、
――何か厭な予感がする。
 未刀も、義明も実は同じように思っているのだ。



〈予感的中〉
 義明と未刀がブティックに来る少し前。
[こういう少年2名来ましたら、色々話しかけて引き留めて下さい。]
 と、匡乃が店員さんに頼んでいた。
「わかりました。ではそう言うことで」
「可愛い子〜」
「格好いい感じしない?」
 と、店員さんはしゃいでいます。

「「ここかな?」」
 メールを頼りに来た場所で、未刀は半歩下がった。
 場所は、ブランドカジュアルショップ。
 高級すぎる。
 世界が違うと驚き黙る。
 未刀は動かなかった。否、動けなかった。
 義明は、メールで場所指定されたときに言葉を失ったのはコレであるためだ。
 天然で暫定半神位といえ、義明だって人の子。ファッションセンスは多少謎だが、恋人ができている分、ファッション誌も立ち読みしているものだ。この通りのことを大体知っていた。
「5万のセット……これ欲しかったけど諦めていたヤツだ。いっつも武器代で消えているからなぁ……」
 と、ショウウィンドウの目の前でため息吐いている義明。
「こ、こんなに高い服は……い、いらない……」
 と、何物から恐怖で逃げるように後ずさりする未刀だが……。
「匡乃さんはここで待ち合わせって言っていたんだ。おとなしくしないといけないと思うよ?」
 と、がっしり首根っこを掴む義明。
「ううう……あんた、俺の味方か敵か?」
「言っている事がよくわからないなぁ?」
 義明は苦笑しているのを見て、未刀は溜息を吐いた。
「ああ、わかった……」
 渋々、2人は店に入った。
 

「いらっしゃいませ〜」
 店員さんは準備万端です。
「コレがお似合いですね〜」
「いや、その」
 未刀は、美人の店員に勧められるまま、おたおたしている。
 義明も差して変わらない状態だ。
 なにせ、4桁以上の高級品。なかなか、ソデを通すものではない。
 そう、カジュアルでもブランド物と言えば、ホテルでディナーショーか、クラッシックコンサートかミュージカルという感じの、高級感漂う場所で着るものだ。
 緊張する未刀は顔に出やすい。
 義明の方はショウウィンドウの展示品が気になっているが手が出せないでいる。
 理由は簡単だ。
――買えないから。

 店員さんはそれをわかって、ショウウィンドウのセット物を持ってきた。
「そちらのお客さんは、コレがお気に召して? 試着なさいますか?」
「あ、 え? その? いいのですか?」
「ええ、もちろん」
「で、では……」
 ギクシャクして試着する義明。
 未刀は、反応できないまま、もう店員に遊ばれ続けている。

|Д゚) じい カカカカ

 と、何処かでビデオカメラの音が聞こえたようだった。

「お似合いです」
 と、ブランドに着せられた2人の少年。
 否、多少は着こなしているかも……しれない。

 未刀も義明も、結局黒基調で、義明はすこし紺と白でアクセント。未刀は蒼と白での服装だ。
「着心地が良すぎる……」
 未刀は驚いている。ラフな格好ばかりだったからだろうか?
「ブランドだからね……」
 義明は半分満足半分不安の表情だ。
 やっぱり、
――買えないから
 と言うのが、こびり付いているらしい。

 かといって、店員さんのセールス攻撃をかわすこともできず、1時間は経過しただろうか?

「お待たせしまいた。未刀君に義明君」
 犯人登場。
「匡乃!」
 未刀は怒るわけだが、場所が場所なだけ、すぐ縮こまった。
「お似合いですよ」
 クスクス笑う
「いや、その、匡乃さん……服を買うと言っても、仕事着や普段着だったのですが……」
「あ、そうだったのですか? 義明君、其れとても欲しそうにしてますが?」
 義明の言葉に、笑う匡乃。
 どうやら、顔に出ている模様。

――やられた。

 すでに、電話がかかってきた時点でやられているわけです。

「では、2人の着ている服を纏めてお願いしますね。あと、その他は此処に送って下さい」
 と、あっさり匡乃はブランド服を買ってあげたのだった。
 目を丸くする義明と未刀。
 丸くするしかない。


〈落ち着いた夕食で〉
 未刀がああだ、こうだと文句を言いながらの帰り道。
 匡乃は口で負かせては未刀を黙らせているが、今回は引き下がりそうにないようだ。
「悪戯にも程があります」
 と、何故か真剣に怒っているのが義明。
 あの場所で、しっかりお礼はした物の、ムスッとしている。其れが未刀にとって厭なのだろう。
 子供の様な我が儘というか、そんな感じだ。
 所謂、親友を不機嫌にさせた。責任取れを彼流に匡乃に向けているのだろう。
 匡乃とて、計算済みらしい。
「少し落ち着いたところへ行きませんか?」
 と、2人を誘う。
 因みに、2人の服は先ほどの店で買ったものだ。
「ここは美味しい店ですよ」
 と、そんなに高級感を感じさせないイタリアレストラン。
 雰囲気は静かそうだが、色々話をするにはかなりうってつけの場所だろう。
 当然、既に予約を入れている匡乃さん。計画的である。
 ディナーコースを頼んでおき、未刀対策ではスイーツ、義明は酒を選ばせる考えの模様。
「あの小麦色が言っていた……」
「穴場と?……」
「はい」
 と、義明と話し始める匡乃。
 特に酒などの話になったとき、話が弾んだ。
「僕が下戸なのに、お酒の話をするなんて。ずるいや」
 と、未刀君不機嫌。
 しかし、ケーキを幸せそうに食べている当たり、何となくだが矛盾している。
 思わず、噴き出しそうになる義明に頭を撫でる匡乃。
「未刀君も、お酒に強くなって、味がわかりますから」
「わかりたくない」
「まあ、まあ、匡乃さん、未刀……」
 落ち着いた義明が宥める。

 もう、洋服騒ぎは何だったのか忘れて、和気藹々と話が弾む。匡乃ペースで2人は遊ばれたとも言っても過言ではないが。


 こうして、匡乃と義明、未刀の一日は終わった。

 こういう日も良いものだと、思えるようになるには、未刀はだいぶ先になるだろう。
 しかし、匡乃は思った。
 友人ができたから、更に変わってくれると。
 そうすれば、その友人も一緒にからかえるかもしれない、否、良い方向に進めばいいなと……。


To Be Continued

■登場人物
【1537 綾和泉・匡乃 27 男 予備校講師】

【NPC 織田・義昭 18 男 神聖都学園高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】
【NPC かわうそ? 今回はカメラもち かわうそ?】

■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 2』に参加して下さりありがとうございます。
 今回も巧く、匡乃様のからかいぶりが描写できたか少し不安でありますが如何でしたでしょうか。
 3話目は戦闘シリアスものです。どうなるか楽しみであります。

|Д゚) ビデオいる?

 では、またの機会に。