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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


ビーチテニスUB

●今回も…?
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 出場者募集
◇日 時   2005年4月1日(金)  午前0時
◇会 場   魔界ビーチ・オブ・スクリーム 会場
◇参加資格  1、魔界の住人、吸血鬼、オーク等の人種で体の健康な者
       2、魔か、それに準ずる力を使用できる者(人種問わず、体の健康な者)
       年齢不問
◇定 員   男女各50名(先着順)
◇申込方法  電話(tel03-■○△△-○○○△)にて受付します。
        平成17年3月31日(木)までにお申し込み下さい。
◇競技方法  2005年ニューバージョンのラケット"バブル・ジェット・スクリームアタックRVX−55"を使用。
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「えー、なになに? 1000年に一度あるかないかと噂される、ソロモン72協議会主宰ビーチテニスUBが開催されます〜。賞品は多数。今回こそは貴方の魔力で…以下省略? …なんだ…これは?」
 思わずチラシから顔を上げて、草間武彦が言った。
「見てのとおりだ」
 素っ気無く塔乃院が返す。
 何処かしら不機嫌そうに見えるのは気のせいだろうか。
「前にも言ったが、俺はそのてのものに興味が無くてな。賞品は多数用意したらしい。力を試したい奴には丁度良いだろう。どうなるのかは知らないが…」
 ぶつぶつと文句を言いながら、武彦にその紙を渡した。能力者ではあるが、普通の刑事と言って憚らない塔乃院は苦い顔をしている。どうやら、再三『普通ではない』と言われているような気がしてならないのだろう。
 この大会は1000年に一度、魔界のレース用マシンを使って競技していたK−2マシングランプリで優勝者が決まらなかったため、もう一回開催するらしい。出場者は魔界の実力者から、人間界の各能力の達人までいるというのはお約束。
|Д゚) いつから約束されてる?
「かわうそ? 静かにしてろ…この手紙が来るだけ虚しいんだから…」
 そう言って、塔乃院はかわうそ?をひょいとつまんでキッチンへ連れて行く。
|Д<))) 離す! 塔乃院離す!!
 抗議する声もちょっと無視してキッチンへ置いた。
|Д゚) みゃー
「話が飛んだな…」  
「テニスか…最近暖かくなったし、桜の季節にテニスっていうのもいいか〜」
「武彦…やめておけ」
「は?」
「後悔するぞ…きっと。前みたいに…。それにお前、魔法も使えないだろうが…そこは桜が咲いてるから花見にしておけ」
「しまった! …そうか、魔法が使えないといけないんだった…じゃぁ、俺は花見で」
 酒にお弁当もって海でテニスの観戦というのも良いかも知れない。花見と言うと、あの枢機卿がやって来そうだが、それも仕方ない。塔乃院はちらっと、近くにいた調査員達を見る。
「もしもよかったら、行ってみるか?」
 眉を顰めつつ、塔乃院はそう言った。

|Д゚) みゃー

●草間興信所
「私も花見と観戦ね」
 前にもあった話ねとかシュライン・エマは思いつつ、武彦が花見に行くというので、自分もいく事にした。手には珈琲カップを持っている。一つを武彦の手もとに置いた。
「ところで…夜桜も素敵だけれど……近くに居ても大丈夫な桜なのよね?」
 シュラインは恐る恐る訊いてみる。
 前回のK−2マシンのときを考えると、まともな観客達が居るとも思えないし、咲いているはずの桜もどんなものが咲いているのか分からない。
 不安げにしているシュラインを見て、塔乃院は言った。
「桜は普通のものだぞ」
「本当?」
「あぁ、前に見た。原産地は日本だから、その点は安心していい。だが、変化してる可能性は否めないな」
「やっぱり…」
 がっくりと項垂れてシュラインが言った。
「うぅっ…暴れる桜だとかだったらどうしよう」
 ごくごく普通のシュラインがそんなものに攻撃されてしまったら、一発でアウトだ。シュラインは桜が普通のものである事を祈るばかりだった。
 それを隣で見ていた狩野宴はとても嬉しそうに笑う。
「テニス大会?それは楽しそうだね、私はテニスが大好きだよ。是非観に行かせてもらおう♪」
 どう見ても美青年な笑顔を見せる宴に、塔乃院の視線は一瞬だけ存在を認め、そして離れていった。美少年やら美青年を引き付けずにおかないキラーな塔乃院がまったくもって反応しない相手。
 そう、それは女だ。
 無論、塔乃院は無反応。来れば?とでも言うような表情だった。
 そんな顔をされても宴はへでもない。宴は全くもって男になんか興味は無く、彼女にとって最も興味ある存在は女の子だった。
 つまり、宴はテニスをする女の子を観るのが大好きなだけなのだ。
――若い女の子のチラリングが堪りません(悦)
 花は花でも、宴は女の子の方の花見が気になって仕方が無いのだった。
「いつやるのかな?」
 ワクワクしつつ、宴は言った。
 酒の準備ならいつでもOK。泉の如く沸かせます、エェ。そして心湧き踊る若い肉体の乱舞が見れるのなら、それは現代の酒池肉林。かなり良いですよ。愛でたいですよと、宴はほくそえむ。しかも、顔の造りの良さで、その雰囲気を見事にカバーしていた。
「四月一日って書いてあるわよ」
 どうやら、向こうの部屋――といってもキッチンだが…で、話を聞いていたらしい銀野らせんはひょっこりと顔を出す。
 自身は魔法が使えなく、一応ドリルガールに変身すればなんとかなるかな〜と思いきや、ドリルで利き腕が使えない事が判明した。参加を断念し、見物することに決める。
「ほうほうそれは…で、お嬢さん。貴女も行くのですか」
 宴の視線はらせんをロックオン。
 眼鏡っ子にむっちり太腿高校生。壷です。良いです。そのお下げが風に靡き、汗を拭く若いきらめきを見せておくれ。
 しかし、そんな宴の心を他所に、らせんは出場しないつもりでいるのであった(完)

「そうそう! それからラケット。この名前からしてあれかしら、昔籠のようなものにピンポン玉浮かせたりしてたのがあったけれど、空気の変わりに能力で浮かせたり発射したりとかするラケットとか?」
 シュラインは手紙を見ながら言った。
「物凄い勢いで飛んでくるのは勘弁だな。水濡れ注意かもしれないぞ」
 武彦は楽しそうに笑って言った。
「あらやだ! じゃぁ、着替え持っていかなくっちゃ…今回は大荷物だわ。武彦さん、家から着替えとか持って来てね。ちょっとお料理の仕込みがあるから、武彦さんの家にまで取りにいけないかも…」
「あぁ、そうだな…俺が持ってくるよ。水着も必要かなぁ…」
 想像できなくて、武彦はぼんやりと言った。着替えを持っていくなら水着は要らないだろう。なんとも面妖な行事が魔界には多いなと武彦は半ば感心していた。
「今度は何を作ろうかなぁ…武彦さん重いのは持ってね♪」
 シュラインは笑って言った。武彦はそれを聞いて頷く。
 多分、試合前後は準備で殆ど仕事も出来ないだろうということで、興信所はお休みすることにし、皆で花見に行く旨を貼り紙に書いて貼り付けた。
 当日、興信所前で集合という事にし、皆は仕事に戻った。

●試合当日
 揃った一同は魔界からの観戦ツアーバスに乗せてもらって魔界に向かう。バスには綺麗どころが居なかったので、宴は仕方なく酒を飲んでいた。きっと、会場に向かったら可愛い女の子はいるはずだと納得している。
 そして、何度目かの時限跳躍の跡、バスは現地に到着した。
 滴り落ちるような暗闇に、仄かな香りが辺りを満たす。白い灯りのような花が咲き誇っていた。薄紅色の愛らしい花は桜だ。一見すると普通の桜のようで、シュラインはホッと一息ついた。
「よかった…普通のお花見が出来そう…」
 そんな事を言いつつ、シートやお重とを丁度良い場所に置き、懐中電灯やおしぼり等、食器類と後片付けでのゴミ袋の準備そしっかりとしておく。
「綺麗な海ねぇ…」
 シュラインは遠い並音を聞きながら呟く。
 春だというのに、ここはとても暖かい。靴を脱いでも、然程寒いとは思わなかった。ここのところ忙しくてのんびり出来なかったシュラインは、ぐっと背伸びして息を吐いた。
「草間さ〜〜〜〜〜ん! やっほ〜♪」
「んあ? げふぅッ!!」
 不意に跳びつかれ、武彦は珈琲を噴出した。それを見て少年は笑う。
 少年の名前は桐生暁だ。
「あはは〜☆」
「あ、暁ッ!!」
 吃驚した武彦は暁を弟でも叱るように言った。それを聞いて暁が笑う。
「お前…いつの間に来たんだ?」
 半ば呆れつつ武彦は言った。
「えー、だって事務所に貼り紙してあったし。遅刻ぎりぎりだったけどバスに乗れてよかったよ」
「あぁ、遅刻しそうだったのか」
「まぁ、ね」
「ところで、その恰好は何だ?」
 武彦は暁の恰好を見て言った。
 暁はサーフトランクスの海パンに素肌にパーカーを着ている。
「ビーチテニスじゃないの?」
「ってことは…参加するのか…」
 普通の高校生だと思っていた武彦は恐る恐る訊いてみた。
「え? 勿論だよ!」
「えぇッ!」
「だって、体力なら自信あるからね」
「まぁ…うちの興信所に来る奴って…いろいろだしな」
 一人納得して武彦は言った。
「さーて、エントリーしてきまっす♪」
 暁は楽しげに言うと、受付へと走っていった。
「おや、少年は元気だねぇ…」
 宴は辺りを物色しながら言った。
 あんまり、宴は試合そのものに興味は無い。可愛い子が居たら、そっと試合に誘ってあられもないあんなこんな姿を脳みそにインプリティングしようと思っていたが良いおなごは辺りに居なかった。
「この…桜色のおにぎり…美味い…」
 ぼそぼそと喋りながら、日向久那斗がお花見を始めた草間の隣で言う。
「うわあああああ!!」
「??」
 小首を傾げ、「何?」といった風に久那斗は武彦を見る。
 武彦が食べようと手を伸ばしたお弁当を横から気にせず食べているのであった。唐突にそこにいる彼の存在感のまったりとしてるというか、無色透明なというか、そんな様子に武彦は目を瞬かせていた。
「あら、いらっしゃい。今日は蓮根の肉詰めもあるのよ。サラダとー、卯の花ハンバーグ。それに旬の蕗の煮物に、小海老入り厚焼き玉子も」
「うん。食べる」
 久那斗は手に持ったお皿にしっかりと肉詰めを乗せた。
「く、久那斗。お前…いつも唐突だな」
「道は…何処でも繋がってる」
「はぁ」
 久那斗の不思議な言い回しに武彦の頭上に、幾つものクエスチョンマークが点滅しそうだ。
 そんなやり取りをしている間に試合は始まった。
『はぁ〜〜〜い、皆様お元気でぇすか! 今日は来場ありがとうございまっす☆』
 可愛らしい女の子の声に、皆は辺りを見回す。
 電飾も華やかな台…というか、盆踊りのやぐらの上に女の子が立っていた。
「んー?」
――…………ビヴァ☆
 宴の視線はクローズアップ。居ましたよ居ましたよ、可愛い子がっ!
 ピンクのロングヘアにおめめぱっちりの可愛い小顔。ぷりぷり唇はジューシーなラズベリーリップ。
 超ミニ和ゴスロリを着た少女は太腿も露に元気にアナウンスしていた。
 気になるバストはたわわな果実。揺れてます揺れてます(悦)
 あ…ひんぬーも好きです。ソレも立派な個性ですから。
『本日、魔界ビーチ・オブ・スクリーム会場にて開催されますビーチテニスUBは、いつものようにバブル・ジェット・スクリームアタックRVX−55を使用いたしますぅ。ですからぁ、怪我しないように気を付けて、い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っぱいお腹を空かせるぐらいにぃ頑張ってくださいねっv』
 拳握って説明する度に、まるでもぎ取ってくださいと言わんばかりに果実が揺れる。
『実況はぁ、魔法少女・苺野かりんです☆』
――あぁ、素晴らしい。枯れススキ状態の会場で、彼女こそが花。
 うっとりと宴は眺めた。
 勿論、シュラインも充分に花なのだが、今日の気分は十代オンリーな感じ。萌でキャッチ―なお嬢様を愛でる宴はそこにばかり目がいっていた。
「お腹が、っていうわりには…屋台ないなぁ…」
 らせんは残念そうに辺りを見回す。客は花見用の料理を用意していて、屋台はなかった。人間の世界ならそれでも屋台はあるのにと呟く。
 らせんはかわうそ?を抱っこしつつ、シュラインの作ってくれたごお弁当をつまんだ。

●ハートをスマッシュ!
 一方、暁の方は俄然燃えていた。
「優勝狙っちゃおっかな〜♪」
 余裕でスマッシュを決める暁は、アクロバティックなプレイで会場の人々を魅了していた。
「俺のスマッシュを受けてみよ! てやっ!」
 試合中、敵側にも好意的に笑いかけ、話しかけていたのは余裕の現れだ。
 このラケットはやたらスピンがかかるぐらいで、普通のラケットとは変わらない。ただ、ガットなどの部分がミスリルで出来ていて、魔法の力が伝わりやすくなっていた。
 魔力は無い暁にはそんな機能は役に立たないが、体力の限り走って打ち返すので、相手が疲れてきたようだった。
『凄いでーす! 人間の男の子なのに魔界人と戦ってます!! かりん、感激です!』
 かりんは応援に夢中になり、やぐらの上でピョンピョン跳ねる。その度に、スカートがチラリチラリと揺れて、魅惑の世界がそこに見えるのだった。
――GOOD☆ 滑らかにして細く、しなやかなその脚。絶品です…
 しかし、重要な部分は宴の位置からは見えない。あと5メートル先に行けば見えなくも無いのだが。
――行くべきですね…前人未踏の世界へと…
 宴は心に博愛万歳エンドレスラヴを秘め、それを表現するべく、かりんの元へと移動し始めた。
「う、宴さん?」
 やぐらににじり寄っていく宴を発見したシュラインは思わず呼び止めたが、「創造神の愛が私を呼んでいる」的な発言によってかわされてしまった。
 宴的には正確に表現したつもりなのだが、その手の趣味が全く持ってないシュラインにはわからなかったようだ。
 そうこうしていると、暁のボールが唸りを上げて敵陣に突っ込んでいくのが見えた。なんと相手は巨大ムカデ人間6つ子ちゃん。その体でブロックしようとしている。
『きゃーー!』
 かりんは必死で応援する。
 そしてゆれ〜る、胸。スカートの中はパラダイス。ピンクの薄いぱんてーが覆う秘めたる果実も汗に滲んで良い透け具合。
「うぉぉぉ! かりんたーん♪」
|Д゚;) …かりん…タン? 魔界でもオタク…
『頑張ってー!』
「ナイス…アングル…」
 やぐらの真下まで進入した宴は、よく見ようと眼帯を外し、じっと見入っている。
 ふいに変化した球の軌跡が弧を描いて敵陣に飛ぶ。審判の声が聞こえれば、砂浜即席テニスコートは歓声に包まれる。
「いよっしゃ!」
 暁はガッツポーズした。
 続いて三球目も危うい天界だったが、目をスッと細めて妖しげに笑ったかと思いきや、相手を魅了しようと試みている。
 無論相手にもそ耐性はあるわけで、本当に負けそうになって顔が真剣になり、暁は本気モードに突入する。最後まで、勝とうと全力で頑張る姿にかりんはやぐらにしがみ付いて応援していた。
『頑張ってぇ、頑張ってくださいでぇ〜〜〜すぅ? あ、あ、あぁッ!』
 興奮しすぎたかりんは、やぐらから落ちる。
『いやあああああああっ!』
 叫ぶかりんの声に、宴は立ち上がった。
 助けを求める声に応じないのは本意に反する。…と言うか、やましさバリバリ全開、妄想走る心は暴走機関車。That's、抱きしめるチャンスです☆
『きゃぁっ!』
 両手広げて美しく、華やかに、宝塚チックに宴はかりんを受け止めた。
「お嬢さん、大丈夫ですか?」
『あ、あたし…』
 自分が無事だったことに驚いたかりんは、目を瞬いて宴を見上げる。
『ぁんっ☆』
 その瞳に魅入って、かりんは甘い声を上げる。
――さあ、その心も体も、私の元へおいで…フフッ…
「私は心理学博士・催眠学研究家の狩野宴。あなたのココロの酒樽満たします♪」
「ありがとうございます…宴様ぁ…」
「可愛らしいね、お嬢さん。君の瞳が潤んでるよ…」
 魅力魔力恍惚のエクセレントアイズで、がっつりとかりんのハートをゲッチューした宴は、肌触りの良い太腿を撫で撫でしていた。
 どうやら怖かったらしいかりんは、宴の怪しい手付きに気がつかない。あんなところやこんなところに手がいってるのだが気がつかないでいた。
 暁の方は最後の一球が決まらず、負けてしまっていた。しかし、勝っても負けても試合終了後は笑顔。
「へへっ負けちゃった〜」
 楽しげに言いながら、武彦の下へと帰ってきた。
「あ、そうだ。コレ、俺から差し入れ♪」
 作った新作のお菓子を差し入れしようと持って来たのだった。中には激甘の物がいくつか混ぜてある。
「メチャウマ〜、俺ってばラッキー♪」
 暁はにこにこ笑って食べていた。
「うん…ちょっと…お砂糖多いけど。味は良いと思うの」
 シュラインは麦茶を飲みながら、お菓子を食べていた。クッキーだったのだが、和風なクッキーだったので、落雁とかああいった感じの仲間だと思うと、不思議にそれほど甘く感じないのだった。
「それなりに、きなこクッキーっていけるわ」
 ちょっとモソモソするような食感だけれど、じっくり噛むと美味い。
 みんなが食べていると、ひょっこりと参加していた久那斗が軽いスウィングでコートを駆けていた。子供ゆえに舐めてかかられていたが、無表情に無言で軽く得点を入れていく。
 しかし、その身軽さとは反対のベリィヘビーな音がコートに響いていた。

 ずがあああああああああん! ボコッ! どべぐしゃぼきゅぼきゅ……

「うぎゃーーーーーーー!!」
「あと、三球……」

|Д゚;)) 久那斗…音が怖い…

 どかーん! がすがすがすッ!

「たーそがーれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「あ、飛んでった……」

|ДT) 腹にぶち込んでる…

 どべしッ!

「ひいッ…うぁああ!!」

 ごりゅごりゅごりゅっ…べきぼきゅばきぼりぼりぼり

「それ…僕の所為じゃない…」

|ДT) くーまーむーし〜〜〜〜〜〜(泣)
 むしろ、対戦相手を破壊していく久那斗のテニスに、何処からともなく魔界どさんこ名物『あかさんたーず・くまむし(改)』がわらわらと集まり、賑やかに負けた相手を晩餐してから去っていった。
 そして、「わるいごはいね゛がぁー」と言いながら、くまむしは辺りを食い散らかしながら見えなくなる。
「中々に迫力だったわね…」
 少々焦りながら、シュラインはお重を片付ける。縁日があるかと思って少なめに作ったのが運の尽き。アッと言う間に食べ物は無くなってしまっていた。
 それに、巨大な虫が去っていく時、お重の中身を食べてしまったのである。辛うじて、自分が食べられる事は無かったのだが、育ち盛りの少年も居ることだし、宴の用意した酒だけ飲んでは悪酔いするだろう。
「おつまみ無いのかしら?」
 眉を顰めて言ったシュラインに、隣で聞いていた魔界人は教えてくれた。
「んだぁ、あんた…この試合のこと分かってねェっぺ?」
「は?」
「んだぁ〜、『びーちてにすUB』ってェ〜のはよぉ。試合だけじゃねェのよ」
「え?? テニスの試合…だけじゃないの??」
「あぁ…」
「じゃぁ、UBって何なのかしら? てっきり、水とか使ってテニスするかと思ってたんだけど」
 シュラインは言った。
 それに乗じてらせんも口を出す。
「UBって『ウニ』の『ボール』の略だったりして…とか、思ってたのよね。なら参加しなくて正解かも〜とか」
「ハア? うに? うにって、何だ?」
「え? だから、こういうやつで…」
 らせんは持ってたメモに絵を描いてみせる。魔界人はそれを見て、ポンッと手を打った。
「あぁ、『えへんむし』なぁ。わかったわかった。人間ンとこぁ〜、『うーにー』言うのな? おじちゃん、一つ賢くなっちゃったぁなあ」
「えへんむし…」
 らせんは「そうなの…CMの裏には、そんなからくりがあったのね。放送作家って…」と呟いていた。
「じゃぁ、UBって何?」
「へェ、UBってーのはよ。Ultimate・Bansankai☆の略なわけさ」
「……」
「まぁ、腹がへったんなら。あとでしこたま食えるでな。この会場に来た人間は『強制移動だから』なぁ。がんばれや」
「へ? ちょ、ちょっと…」
 魔界人は教えるだけ教えると、その場から去って行った。砂浜の向こうにある、巨大な屋敷…と言うか、広大な敷地を持つ海の家に歩いていく。
 一同はその豪華な海の家を見つめていた。

 ■END■

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/ PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0086/ シュライン・エマ / 26 / 女 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
2066/銀野・らせん/女/16歳/高校生(ドリルガール)
4648/狩野・宴/女/80歳/博士/講師
4782/桐生・暁/男/17歳/高校生アルバイター、トランスのギター担当
4929/日向・久那斗/男/999歳/旅人の道導
                   (整理番号順)

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■         ライター通信          ■
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 こんばんは、朧月幻尉です。
 はじめましてな方ははじめまして(礼)
 すみません、二部作なのを書くの忘れてました(土下座)
 ネタを仕込んだ際に、テニスとUBの方のプレイングを裂いてもらわなければならないことをすっかり失念しておりまして。
 このまんまじゃ書けませんよ…と。
 途中抜け、途中参加、キャラ交代はご自由にしてくださいませ。
 まさか、こんなに面白い人たちが来るとは思っていなかったので、ネタを二重仕込みにしておけばよいかなと思った当初だったのです…が、外しました_| ̄|○
 いやー、面白いじゃないの☆…とか喜んでいたのも束の間…
 すみません…後編があります。
 しかし、魔界のおじさんが『強制移動だから』と言ってるのは、会場にいる魔界人たちや参加者が強制移動という事であって、次回も強制でと言うことではありません。
 ご自由に参加を決めてくださいませ。
 某PL様へ。苺野かりんはPC様の魅力に堕落(お)ちたと思われます(笑)
 百合な文章は初めて書いたのですが、お気に召したかどうかドキドキしております。ギャグテイストが強くなってしまいました。これでよかったでしょうか?
 また、かりんと遊んでやってくださいませ。
 それでは、ご参加ありがとうございました。