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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


桜の木の下で

 『ある噂がある。
  その噂はとある川べりにある一本の桜の樹の噂であった。
  その桜の樹に花が咲いている時に誕生日の子供が夜一人で待っていると逢いたいと思っている人と会えるというものであった。』

●依頼
 草間興信所にはその日草間零(くさま・れい)一人で留守番をしていた。
 零は新聞を読みながら一人呟く。
「連続して、子供の誘拐なんて……。それに揃って誕生日になんて、酷い人たち…」
 その興信所に一人の男性がやってくる。
「あの……、草間興信所とはここで良いのでしょうか?」
 少し疲れた感のあるサラリーマンと云った様子のその男性が中にいる零に話し掛ける。
「ええ、そうですが、ひょっとしてご依頼でしょうか?」
「あ、は、はい……、実は娘を探して欲しいんです。」
「娘さんを?」
「はい、実は……」
 男性の名前は田中正人と云った、正人の話によると娘の田中由美(たなか・ゆみ)は昨日の土曜日からずっと帰って来ないという事であった。
「そしてこういう書置きが、テーブルの上に……」
 正人はそう言って一枚のノートを切った紙を零に見せる。
 そこに書かれていた内容は以下のものであった。
『お母さんに誕生日に会いに行って来ます。』
 その紙に書かれた事を読んでいる零に正人が話し掛ける。
「けど、私の妻はもう数年前に他界しているのです。なので会えるはずなど……」
 今にも泣き出しそうな正人の事を見て零は答える。
「わかりました、依頼を受けさせていただきます。由美さんの事は私達が責任を持って探し出します」
「お願いしますお願いします」
 零の言葉に正人は何回も何回もお礼をいう。
「それで由美さん誕生日というのはいつなんですか?あと外見の特長とか…」
「誕生日は今日なんです。外見は小学校から帰ってこなかったので赤いランドセルを背負ってると思います。服装は赤いチェックのスカートです。」
 『今日』というその正人の言葉に零は一瞬言葉を失う
「今日は私しかいないから他の人に協力を頼まないといけないかな」
 零はそう呟いた。

●興信所にて
 草間興信所では草間零(くさま・れい)が先ほどの話をどうするか考えているとそこへ奥から事務処理をある程度終えたシュライン・エマがやってくる。
「どうしたの零ちゃん?」
「あ、エマさん。先ほど依頼の人が来たのですが……、お兄さんがいないからどうしようかな?って思って」
「そうね、もし手伝ってくれそうな知り合いがいるなら連絡してみましょうか」
「そうですね、少し心当たりを当たって見ます」
「それじゃ私は私なりその件について調べてみたい事があるからお願いするわ」
 シュラインはそう言うとハンガーに掛けてあった上着を手に取るとそのまま興信所の扉を開け外に出て言った。
「それじゃ誰か手伝ってくれそうな人は……」
 例は電話の脇においてあるメモを見ながら呟き、とあるページで手が止まる。
「汐耶さんと美桜さんなら手伝ってくれるかも…」
 零は綾和泉汐耶(あやいずみ・せきや)と神崎美桜(かんざき・みお)に手伝って貰おうとダイヤルを回した。
 零が二人に電話をすると二人ともすぐ来てくれるという話であった。
『あ、零さんその田中さんに頼んで、由美ちゃんの普段使っている日用品を何か持ってきてもらえるように頼んでおいてもらえませんか?』
「ええ、、それ位なら……」
『ありがとうございます。それじゃ今から行きますね』
 二人はそんな会話を交わした後、受話器を置いたところで急に興信所の扉が開く。
 はっと零が開いた扉の方を振り向くとそこには銀髪に青い瞳の物静かな雰囲気を持った氷女杜天花(ひめもり・てんか)がそこに立っていた。
「少し近くを通ったものですから寄って見たのですが、零ちゃん何かあったのですか?」
 零のどこかいつもとは違う雰囲気に天花が零に事情を聞く。
「あ、天花さん実は捜査依頼が入ったのですが、お兄さんがいないので手伝ってくれる人を探しているところだったんです」
「そうだったの。それでその事件と云うのは?」
 天花に請われ、零が説明をする。
「あたしにも娘がいるので判りますが、見逃せませんね。あたしでよければお手伝いさせてください」
「え?それじゃ天花さんもお手伝いしてくださるのですか?」
「ええ、あたしでよければ喜んで」
 天花のその言葉を聞いて零は小さく頭を下げるのであった。

●町での出会い
「うーん、あいたいひととあうことのできるさくらでちか…」
 町でたまたま桜の樹の噂を聞いた一見子供に見える金髪の青年クラウレス・フィアートは顎に手を当て考えていた。
「ひょっとしたら、なにかまほうがかんけいするとくべつなさくらなのかもしれないでちね……。なにかねがいごとをかなえるのにはたいかがひつようなことがふつうでち…。すこししらべてみるひつようがあるかもでちね」
 そこまで考え歩き出したクラウレスはその噂の桜の子とであろうことを小さな公園で聞き込みをしている一人の女性が視界にはいってきた。
「あの…ちょっといいでちか?おねえさんがきいているのはひょっとしてねがいごとをかなえてくれるというさくらのことではないでちか?」
 クラウレスに話しかけられたシュラインは、一瞬話が飲み込めないで呆然としたが、噂の桜の樹、と云うのが自分が追っているものと同じかもしれないと思いうなずいてから答える。
「同じものかは判らないけれど、願い事を適えて、会いたい人と会わせてくれると云う噂になっている桜の樹の事よ」
「やっぱりでちか…。わたちもそのさくらのきのことがきになってすこししらべていたんでちゅよ」
「どうやら同じものを調べているようね。もし良ければ情報交換した方がよさそうね」
「そうでちゅね」
 二人がそこまで話すと公園の向かいの通りから声がかかる。
「シュラインさん、こんにちは。零さんに頼まれて今から興信所の方に行こうと思っていたのですが…」
 シュラインに声を掛けたのは先ほど零が電話を掛けた汐耶であった。
「汐耶さんこんにちは、ちょうど良かったわ。私達もこれから戻ろうと思っていたところなのよ」
「そうですか。それじゃ私も一緒に行きますよ。今そちらに行きますね」
 車が来ない事を確かめると道を渡って汐耶が二人のところにやってくる。
「お久しぶりです。その方は?」
「わたちはくれうれす・ふぃあーとともうちます。しゅらいんさんといっしょにこんかいのうわさをしらべることになったものでち」
「そう、私は綾和泉汐耶、シュラインさんの手伝っている草間興信所によくお世話になってるのよ」
 三人しばらく公園で情報交換をしていたがクラウレスが一つ提案をする。
「さくらのきのばしょはわかっているのでちゅからさきにわたちがいってみはっているでち。しゅらいんさんたちは、じょうほうをせいりしてあとからやってきてもらえるとうれしいでち」
 クラウレスのその提案に二人は小さくうなずいて同意をする。
「確かに先に誰かが行って置くのも悪くないわね。それじゃお願いできるかしら?」
 汐耶はそのクラウレスの外見と口調から一抹の不安を覚えたが、クラウレスの自信のある様子に何か策があるんだろうと思いクラウレスに頼む事にした。
「まかせるでちよ。それじゃいってくるでち」
 そうクラウレスは返事をすると二人と別れその噂の桜の樹に向かった。
 クラウレスの姿が見えなくなるとシュラインは汐耶を促す。
「それじゃ私たちはひとまず興信所に戻りましょう」
「そうですね」
 汐耶はうなずくとシュラインとともに興信所に向かって歩き出した。

●手鏡
 興信所までやってきた二人はゆっくり中に入る。
 興信所の中には美桜と天花と正人と零がシュライン達が帰ってくるのを待っていた。
「ただいま」
「お帰りなさい。汐耶さんも一緒だったんですね」
「ええ、途中で出会ってね」
「そうですか。ところで何か判った事はありました?」
「ええ、その事だけど、まずは皆でわかった事を一旦整理しようと思って戻ってきたのよ」
「そうですね。あたしも自分なりに考えて見た事がありますし。話し合って対策を練るのは悪い事ではないと思います」
「それじゃちょっと待っててください。お茶を煎れてくるので準備をしててください」
 零がそういって皆に適当に座って待ってもらう様に促すとお茶を煎れる為に奥へと下がって行った。
 しばらくしてコーヒーを煎れて戻ってきた零が皆にコーヒーを出し、座るとまず美桜が口を開いた。
「田中さん、でしたよね?お願いした物は持ってきていただけたでしょうか?」
「ええ、持ってきました。由美がいつも大事に使っている手鏡です。なくなった妻が使っていたものなので少し大きいのですが…」
 正人はそういって椅子の横に置いてある鞄から小学生の子供が使うには大きい手鏡を出してくる。
「でもこれをどうするのですか?」
「確証がある訳ではないので、まだ言えませんが、保険のようなものと思ってください」
「そうですか……」
 判らないと言った様子ではあったが、正人は美桜の言葉に従う事にした。
「とりあえず色々調べて見たんだけど、この噂はかなり広まっているみたい」
 シュラインはコーヒーを一口、口に運ぶと先を続ける。
「まずは桜の樹の場所だけど、噂となっている樹はどうやら隣駅の川縁にある桜の樹の事のようよ」
 シュラインのその言葉に天花が自分の考えを述べた。
「やはり由美ちゃんはその場所を知っていたのですね。確かに『噂』がそこまで広まっているなら知っていてもおかしくないですわね。ただどうしてその『噂』が急に流れ始めたのか、そこが気になりますね」
「意図的に誰かが流している。と云うことですか?」
 汐耶が天花の言葉に含まれている事を汲み取り聞き返す。
「その可能性はあると思います。ただ実際のところは現場に行ってみないと判らないですが」
「そうね……、とにかく行って見ましょうか、零ちゃんはここで連絡役として待っていてもらえる?正人さんは付いてきてください」
 シュライン達はてきぱきと準備を始め、零と正人に話しかけたのだった。
 美桜は自らが持ってきた鞄にそっと正人が持ってきた手鏡を入れるのであった。

●見張り
 噂となっている桜の樹の見える建物の影でクラウレスは身を隠して見張っていた。
「まだとくにかわったことはなさそうでちね。でもあのさくらのきからちからはかんじないのがきになるでちゅが…」
 クラウレスは桜の樹自体から特に何も感じないことを疑問に感じていた。
 そしてそこへ興信所からやってきた面々の事をクラウレスは見つける。
 そっと音を立てないように一行に近づいたクラウレスは皆にとりあえずの説明をする。
「いままでとくにかわったことはないでち。まだひがくれてないのでこれからなにかあるのかもしれないでちゅが、あのさくらのきからなにかかんじるということはとくにはなかったでち」
 クラウレスは今まで見張ってきた状況を説明する。
「と、云うことはやはりあの噂は故意に誰かによって流された、と云うことでしょうか?でもだとしたらいったい誰が……」
 天花が自分が予想していた事の裏づけになるかもしれないその報告に思案に入る。
「来る前に私も少しここ数日の新聞なんかを調べて見たのだけど、それについて今思うと引っかかる点が一つあるのよね」
 汐耶がそう話し始める。
「引っかかる点?」
「ええ、誰かによって流されたと云うことで思いついたのだけど、この噂、子供が桜の樹をとなってるでしょ?そしてここ数日子供の誘拐事件が連続して起きている。まさかとは思うけど、符合としては見過ごせないんじゃないかしら?」
 汐耶のその言葉に皆黙り込んでしまう。
「確かに会いたい人に会えると云う魅力的な罠を張ると云うのは子供にとって有効かもしれません…」
 もし自らの子供がそうなったら、と考えると天花は沈痛な気持ちになる。
「とにかくそうと決まったわけじゃありませんし、私が少し桜の樹を見てきます」
 美桜のその言葉にシュラインがうなずく。
「確かに美桜さんなら適任ね。お願いするわね」
 美桜の力の事を知っているシュラインは美桜が桜の樹を見てきたいと云う言葉に賛成する。
「それじゃ行ってきます」
 何気ないただの通りすがりと言った様子で歩き始めた美桜は、不自然にならぬようにそっと桜の樹に触れる。
『これは……この桜の樹からは何の念も感じないわ、だとすると……』
 美桜はそっと桜の樹から手を離し何気ない様子でそのまま立ち去る。
 そして、遠回りに周囲から回ってきた美桜は一行に合流する。
「どうでした?」
 汐耶のその言葉に美桜は悲しそうに首を左右に振る。
「あの桜の樹からは特に何も感じられませんでした」
「するとやっぱりゆうかいはんのしわざなんでちょうか?」
 クラウレスが美桜の言葉から導き出された答えを口にする。
「まだそうと決まったわけじゃないけれど、その可能性は高そうね」
 シュラインのその言葉に今までじっと黙っていた正人が今にも倒れそうな声でうめき声をあげる。
「そ、そんな誘拐だなんて……」
「まだそうと決まったわけじゃありません。お気を沈めてください。もしそうだったとしてもあたし達が必ず食い止めて見せますから」
 天花がそう正人の事を元気付けた。

●少女
 そして日も落ちそろそろあたりも一面、闇となるかと云う頃一人の少女がゆっくりと桜の樹に向かって歩いてくる。
 少女は桜の樹のところまで来ると桜の樹に向かってそっと手を合わせて目をつぶる。
『桜の樹さんお母さんに合わせてください…。どうかお願いします』
 桜の樹に向かってお願いをしている少女を正人に確認してもらう。
「正人さん。由美さんで間違いありませんか?」
 美桜が正人に確認を求める。
「え、ええ、間違いありません。娘の由美です」
 そういって飛び出そうとする正人を汐耶は抑える。
「誘拐と決まったわけじゃありませんし、ひょっとしたら何かあるのかもしれません。もう少し様子を見てからの方がいいと思います。それにもし出て言った所為で彼女が満足できなかった場合、こじれてしまう事もありますから…」
 汐耶のその言葉に正人も納得しそっと見守る事にした。
 そしてクラウレスはシュラインにそっと耳打ちをする。
『わたちはこういうがいけんでちゅので、さくらのきにちかずいていってもふしぎはないとおもうでち。だからそれとなくちかづいてみるでちゅよ』
『それはいい手かもしれないわね。またお願いするわ』
『では行って来るでち』
 クラウレスはシュラインにそういうと正人に気が付かれない様に自らの力で暗闇と同化しそっと影になる所からその姿を現し桜の樹に近づいて行ったそのときであった。
 土手の上に一台の車が猛スピードで止まり中から二人組みの男が現れ土手を駆け下りて来て由美に向かって一目散に走ってきた。
 それを見たクラウレスはあわてて走り始める。
 周囲の闇を吸収する事によって、その封印を一時的に解き青年の姿に戻ったクラウレスは由美の所に男達が来る前に由美をかばうように抱きしめて地面を転がる。
 そしてそこへ今まで隠れていた場所からシュライン達があわてて走ってくる。
 走ってくる一団を見た男達はあわてる。
「やべぇ、兄貴ずらかろう」
「そ、そうだな」
 男達が逃げ出そうとしたところへ、天花の唱えた呪文が届き二人の足を滑らせる。
 男達はそのまま地面に頭を打ったのかうめき声を上げ動かなくなった。
 シュラインと汐耶は男達の方へ、美桜と天花はクラウレスと由美の方へと歩を進めて行った。
「すっかり気絶してるわね」
「そうですね…。とりあえず警察呼んでおきますね」
「お願い」
 男達の様子を確かめたシュラインと汐耶はそう確かめ合うと汐耶がポケットから携帯電話を取り出し、警察へ電話を掛けた。
 男達の事を警察へと通報が終わると二人は男たちが目が覚めて逃げないようにその場で見張りながら、由美達の方へと視線を向けた。

●桜の樹の夢
 由美はクラウレスがショックを大体受け止めたためぱっと見の外から見える外傷は軽い擦り傷だけであった。
 クラウレスは既に子供の姿に戻っていたため、美桜と天花は不思議そうな目でクラウレスの事を見ていた。
「あの……さっき一瞬だけ大人になりませんでした……か?」
 美桜のその言葉にクラウレスは慌てて誤魔化す。
「そ、そんなことないでちよ。それよりもゆみちゃんのことがしんぱいでちゅ」
 クラウレスはそういって抱きしめていた由美の事をそっと地面におろす。
 由美はショックで気を失っていた。
「外傷は……ほとんど無いですね、これだったら私が何とかできますよ」
 美桜はそういって傷口にそっと手を当てて治癒をしていった。
「これで大丈夫だと思います」
「あとは由美さんが目を覚ますのを待つだけですね、それじゃあたしは正人さんの事を呼んできますね」
 天花がそういって危険だからと隠れていた場所で待っていてもらった正人の事を呼びに行くために立ち上がる。
「天花さん向こうにおいてある私の鞄も持ってきてもらえますか?」
「判ったわ」
 二人はそんな会話をしていると、警察に男達の引渡しを終えたシュラインと汐耶の二人が桜の樹の下にやってきた。
「あのふたりはどうなったでちか?」
「警察に引き渡してきたわ。たぶんこの桜の樹の噂を流して誘拐を続けていたんでしょうね」
「これで誘拐事件も無くなると思うわ。何とか一安心ね。ところで由美ちゃんは?」
 汐耶が横になっている由美の様子を覗き込む。
「怪我とかは特に無いですから、もうすぐ目を覚ますと思います。それに傷らしい傷は私が治しておきましたから」
 美桜が二人に現状の説明をしていると、正人の事をつれて天花が戻ってくる。
「由美!!」
 正人は横になっている由美を見て慌てて駆け寄ろうとするがそれをシュラインが制する。
「大丈夫です、少し気を失っているだけですから」
「そ、そうですか……」
 シュラインに宥められて正人は落ち着く。
「あ、美桜さん向こうにおいてあった鞄です」
 天花が美桜に手に持っていた持ってきた鞄を渡そうとする
「う…う……ん」
 そこへ横になった由美が、目を覚ます。
「あ、由美ちゃん大丈夫?」
「うん……」
 汐耶が起き上がろうとする由美の事を優しく支える。
 天花から鞄を受け取ろうとした美桜は思わず由美に気を取られてしまう。
 そこへ鞄からも言ってきた由美の手鏡が鞄からゆっくりと地面に落ちる。
 音も鳴く草むらに落ちた落ちた手鏡は優しく月明かりと桜の樹を照らし出し、一瞬暖かい光が周囲を包みこむ。
 そしてその時である地面に落ちた鏡から綺麗な黒髪の女性の姿が現れたのは。
「あ……お母さん…」
「幸子……」
 由美と正人がその女性の名を呼ぶ。
 幸子と名を呼ばれた女性は優しい笑みを浮かべると、そのままゆっくりと光に溶け込むように消えて行った。

●エピローグ
「結局あれはなんだったんでしょう?」
 翌日の草間興信所にて、天花がシュラインに話しかける。
「きっと鏡に残っていた思いが桜と月の力であの人の事を呼んだのだと思います」
 美桜が自分の考えを述べる。
「でもとにかくぶじにおわってよかったでち」
「そう音、それが一番だったわね」
 クラウレスが満足げにチョコレートムースを食べながら汐耶と話す。
「とにかく無事に由美ちゃんは正人さんの所に帰る事ができたのだし、お母さんにも会うことができたそれでいいじゃないですか」
 シュラインがそう言ってこの事件を締めくくった。


Fin

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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≪PC≫
■ 神崎・美桜
整理番号:0413 性別:女 年齢:17
職業:高校生

■ シュライン・エマ
整理番号:0086 性別:女 年齢:26
職業:翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員

■ 氷女杜・天花
整理番号:3167 性別:女 年齢:49
職業:土木設計事務所勤務

■ 綾和泉・汐耶
整理番号:1449 性別:女 年齢:23
職業:都立図書館司書

■ クラウレス・フィアート
整理番号:4984 性別:男 年齢:102
職業:【生業】奇術師 【本業】暗黒騎士

≪NPC≫
■ 草間・零
職業:草間興信所の探偵見習い

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■         ライター通信          ■
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 どうもこん○○わ、もしくははじめましてライターの藤杜錬です。
 この度は草間依頼『桜の樹の下で』にご参加ありがとうございます。

●神崎美桜様
 初めてのご参加、ありがとうございます。
 美桜さんのお母さんに会わせてあげたい、というプレイングの結果としてこういう風になりました。
 いかがだったでしょうか?
 最近東京怪談に復帰をなされたようですが、楽しんでいただけたら幸いです。

●シュライン・エマ様
 どうもお久しぶりのご参加ありがとうございます。
 今回は纏め役としての行動になりましたが、如何だったでしょうか?
 楽しんでいただけたら幸いです。

●氷女杜天花様
 初めてのご参加、ありがとうございます。
 今回推理が中心だったためにこういう結果になりました、如何だったでしょうか?
 初めてのノベル参加と云う事で、楽しんでいただけたら幸いです。

●綾和泉汐耶様
 いつもご参加ありがとうございます。
 今回はこの様になりましたが如何だったでしょうか?
 楽しんでいただけたら幸いです。

●クラウレス・フィアート様
 前回の依頼に引き続きのご参加ありがとうございます。
 今回はこの様になりましたが如何だったでしょうか?
 後編の方は異界にて告知を出すと思うので、それをご確認ください。
 それでは楽しんでいただけたら幸いです。

 四月も終わりだと云うのに最近は寒暖が激しいような気がしますが体調には皆さんお気をつけください。
 それでは最後になりましたが、本当にご参加ありがとうございました。

2005.04.19.
Written by Ren Fujimori