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<東京怪談・PCゲームノベル>


§めいどのあくまのいちにち

〈6:00AM〉
 内藤祐子の朝は早い。
 此処の主より早く起き、メイド服に着替える。
 実際はメイド服を着るだけが好きなだけなのだが、拾われた恩もあるため、此処の主と主の姉の世話をするのだ。
 まあ、メイドさんのコスをした居候と言うことだろうか?

 実際のメイドの事など著者ではまだ分からない事が多い。忠実に主に仕える女性と言うことは分かるが、それでも、祐子にはあまりにもかけ離れている。
 主、田中裕介をからかうからである。
 この時点で、メイドとしては失格で無かろうか?
 メイド服が好きで、主が巧妙に隠したメイド服コレクションを見つけ出す。まるでベッドに隠した18アダルトメディアを見つける母親のように……。隠しているとしても、収納術や隠蔽術に長けた彼の技術を超える捜索能力はすごいものだ。

 と、食事の用意もして、主達を起こす。主の姉の方は早く起きたそうだが、主だけは未だ夢の中。たしか、初夢は今までであった女性に同じメイド服を着させて薄ら笑いしているモノだったらしい。と、前に知り合った長谷茜から訊いた。
 主は、別名メイド魔神なのだ。ナマモノ認定も貰っている、からかい甲斐のある獲物を彼女が放っておくことは決してない。

「裕さん、裕さん。あさですよ〜」
 と、起こす。
 なかなか起きない。
 少し考えてから……
「ご主人様……朝でございます……お仕事に遅れてしまいますよ」
 と、主の耳元で囁き……

 魔神の絶叫がマンションに響いた……


 朝が始まった合図でもある(迷惑すぎる)。



 朝に主にブツブツ文句を言われても、その言葉は右から左へ素通りして、祐子は笑ってにっこりしているだけで、義姉はクスクス笑う団らん。
 ひとまず朝食が済んだら、主は出かけていき、義姉も出る。その間の祐子、は掃除に精を出す。そして、新たなメイド服を見つけ出すのだ。掃除が好きなこともあるが、こうして新しいメイド服を見つけることも楽しみの一つなのだ。
「あ、新しいメイド服です♪」
|Д゚) ←なんかメイド服用ハンガーになっている小麦色
 謎の生物と出会って思考停止中の祐子。
 謎と行っても、あの黒い悪魔ではない。
「……」
|Д゚) ……
「……あの?」
|Д゚)ノ いよー
「あのう…… 何故裕さんの家にいらっしゃいます?」
|Д゚) 何となく
 会話にならない。

 祐子も分かっているのだが、コレが真面目な事を言うことは稀で、あり、この状態も全く持って彼の気分次第だと言うことらしい。
――ご主人様が監視カメラにしたのでしょうか?
 最もそれが有力でもあろう。

 ナマモノ同士、謎の精神リンクを持つとか何とか。

 案の定、主が帰ってきて、祐子は叱られ、主はナマモノには礼を言って、小麦色を引きずって主はまた戻っていった。
「しくしく、残念です」
 メイド服があっても隠し場所を“謎の施錠”をされたのでハンカチをくわえて悔しがる祐子であった。

〈0:00PM〉
 昼を義姉と楽しく会話して、昼のワイドショーを煎餅とお茶でのんびり午後。
 今頃は主とその姉は、“仕事”だろう。
 この家の者はある神秘のシスターが経営している孤児院の子である。その中から特殊な能力を持つ子を数人養子にしているそうだ。
 祐子は、その長男に拾われた。前に恋した恋人に似ているかららしいが、現に幽霊・半魔としてその恋人がいる。対面したとき其れはもう自分でも驚いたものだ。それでも“主をからかう事”などにはとても意気投合し、仲がよい。
「また、芸能人のスキャンダラスですか……」
 退屈なワイドショー
「この事件の真相知っているのは、裕さんや茜さんだけかも」
 謎の怪奇事件をゴシップに仕立てたニュース。
「この人可哀想ですぅ」
 昼のドラマに本気で泣いてしまう祐子。

 これが大体15時ぐらい続く。


〈16時〉
「あ、そろそろお夕食の支度と……」
 と、祐子はしっかり片づけをして、買い出し準備をする。
 本来は周りの周辺を覚えるというリハビリもあるのだ。
「でも、あの人に会いにいこうかなぁ」
 と、人差し指を顎に当て、考える。
 魔剣ディスロートを飛行騎乗として使えば簡単だ。ただ、直接いけば“其処”の結界に跳ね返されるというぐらいなので、途中で降りれば何て事はない。

「『善は急げ』です!」
 と、買い物籠をもって、ディスロートを呼んで、出かけていった。
「夕ご飯は、豚の生姜焼き、キュウリと蛸の酢の物、が良いかも知れませんね♪」
 と、うきうき今晩のメニューを考える。


 その前に、寄るところがある。
 長谷茜がいる長谷神社。
 何時何処であったか忘れたが、何となくのんびり会話できる数少ない相手なのだ。
 彼女には何かが居るような気がすると、前に訊いたら、
「いるよ? 静香って名前だけど。霊木の精霊。彼女はあまり姿見せたくないの」
 と言うことを教えてくれた。
 静香の姿は見えないが、何度か遊びに行くたびに、声だけが聞こえるようになり、会話が楽しくなってきたのだ。

「あら、いらっしゃい」
 にこやかに巫女姿の長谷茜が祐子に笑いかける。
「はい、お邪魔しに来ちゃいました」
「少し間ってね。お茶などは未だ時間じゃないから。此処を片付けて……」
 と、先日春一番で、倒れた狛犬をどうするか悩んでいる顔の茜。
 幸い、壊れて無いので(修理秘術で無理矢理直したのか?)組み立てるだけである。
「其れ私がします!」
 祐子はハイハイと元気に手をあげた。
「おねがいするね」
 茜はまたにっこり笑う。
「はい」

 と、手伝ったことはいいのだが。

「向き、逆」
「御免なさい」
「態と間違えているでしょう?」
「う! すみません」
 パズル感覚で遊んでいるところを茜に怒られる祐子。

 そんな感じで、30分庭の掃除と狛犬組み立てで格闘していた祐子さん。


「新茶とくず餅ですよ」
「わあ♪」
 と、縁側でゆっくりする2人。
 否、3人だ。
 姿は見えないが静香が居る。
「恥ずかしがり屋なのですか?」
「え、は、はい。そうでございます」
 声からするに、恥ずかしいらしい。
「散歩は好きなんだけど、見せても良い人以外の絶対視認不可能術をかけているのよ、彼女」
「そうなんですか〜」
 最も静香が姿を見せないのは、宙に浮いているから精霊といえ、幽霊に間違えられる事を恐れていたり、他の危害から回避するためだったりという理由がある。今のところあの“主”からメイド服を着せられるのが厭だとかなんとか。
「あの、メイド服はステキだと……」
「厭でございます」
 キッパリ静香は言う。

「だいたい、茜も茜です。何故あのような……」
「だから、昔と違うんだから、柔軟性を持たないと……」
「其れとコレとは違います」
「私は似合うと思うんですけど〜」
「だから厭でございます!」
 と、喧嘩なんだかよく分からない会話が続いた。

|Д゚) 流石、めいどのあくま

〈7:00PM〉
 彼女はスーパー似よってから、食材を買う。しかし、3人住まいなのにいつもどうして袋6つなのだろうか? 大食漢が居るわけでもないのだが?
 単に、数日分を買いだめしたに過ぎない。
『1000円以上お買いあげの方に、玉子L1パック50円』
 などあれば飛びつく主婦の感覚だ。

 中にお菓子やら、雑誌も入っているならそう言うことになる。

 そして、義姉が帰ってきたので。豚の生姜焼きや酢の物を出して、ニュースを見ながら
「今日は何かあった?」
「楽しく周りを待っていました」
「桜アレルギーは悲しいよね」
「それだけは残念です」
 と、のんびり会話している。

〈11:00PM〉
 そして義姉が眠った後、祐子は、記憶を失う時から持っていたという本を読んでいる。
「おそいなぁ」
 と、ぽつり。
「ただいまぁ」
 と、主が帰ってきた。
「裕さん、お酒臭いです」
「また飲んできた」
「はい、珈琲ですよ、ご主人様」
「そのご主人様は止めてくれ……」
「どうしてですか? 私は此処のメイドですからそう言うのは当たり前と思うのです」
「誰がした! 誰が!」
「ご主人様」
「……」
 言い返せないこの家の主。
|Д゚) ヒエラルキーしたっぱー
「お前は黙れー!」
 と、直したての大鎌を振り回す主にからかい逃げる小麦色。

 暴れた所為で酔いが回りすぎ主ダウン。
 祐子は主を軽々持ち上げて、主の私室に放り投げる。
 うまく、ベッドに物体が載った。
「コレでよしですw」
 と、にっこり祐子が笑う。

「さて、私も寝ましょう〜♪」
 と、風呂に入って一日の汗を流し、
 メイド風パジャマに着替えて、自分の部屋に入っていった。

――おやすみなさい。

End

■登場人物

【3670 内藤・祐子 22 女 迷子の預言者、というかめいどのあくま】

【NPC 長谷・茜 18 女 神聖都学園高等部・巫女】
【NPC かわうそ? 説明不要レベル】

■|Д゚)通信
|Д゚) めいどのあくま キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!
|Д゚) なんとなく、平凡
|Д゚) 日常……
|Д゚;) あ、前に、かわうそ?視点での日常はやったことある!
|Д゚) 別の人でな
|Д゚) ……どうなるのだろう?