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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


夢の館がある草原

「ねぇ、最近あの草原に不気味な館が出来たの、知ってる?」
 少し怪しげな雰囲気を醸し出す少女がそう尋ねてくる。そういえば最近東京の片隅にある草原に一つの館が建てられている事が分かっただとか風の噂で聞いたっけ。
「その館に貴方、興味ない?私は凄く興味あるの!だって、何かロマンチックじゃない?もしかしたらそこに素敵な人がいるのかもっ!」
 乙女モードばく進中な彼女。本当にどうしたものか。今もまだ目をキラキラと輝かせているような……?

「それで、今回は貴方達にそれを調べてきて貰いたいのよ!」
 何て無茶な事。というか、自分で行けヨ。と誰もが言いたくなるだろう。何故此方に頼むのかが分からない。
「だって私一人じゃイヤだし。私危険な目には合いたくないし?」
 危険だという事を今ポロリと言いませんでしたか。
 嫌な予感はするものの、貴方達はどうする?と首を傾げる。

さぁ、貴方はこれを受けますか…?


翌日、そこにいたのは一人の小学生だった。
どうやら遠足気分でいる彼女は、ぱっちりとした大きな目を輝かせながら楽しみにしているようだ。
「おやつも持ったし…ジュースもばっちり♪あ、探検セットも持ってきたの!」
相手が小学生だからという事で依頼主である女性、名をミコトという。そのミコトが同伴する事となった。
「確かに、一人で行くの怖いからって頼んではみたけどさ。小学生が行くっていうんだから私もいかなきゃだよねー」
「え?お姉さんも一緒に行くの?みあお、すっごく楽しみなんだ!一緒に楽しんでいこうねっ!」
「不気味な洋館に住む人を探るっていうのに、よくもまぁそんなに元気だわね。流石小学生なのかしら?」
「小学生だからって甘く見てちゃだめなんだからねー?」
まるでどこぞの名探偵のようなものなのだろうか?とミコトも考える。
さて、ここでじっとしていても始まらない。
二人は洋館がある草原へと歩き始めた。

歩きながら他愛もない話を少ししていた。
小学校の事とか、世間話とか、勉強の事とか。
傍から見ればまるで姉妹のような雰囲気だったのだろう。周りの人も微笑ましそうに見ている。
「そうそう!それでさ、気になった事があるのっ」
「気になった事?」
「あの草原の【あの】って何かなって。もしかして、いわくでもあるの?」
「あぁ、あれね。あの草原、昔は墓地だったっていう話があるのよ」
「墓地?お墓?」
「そうよ。何でも戦争で死んだ人間が埋葬されてたっていう話なんだけど…そんないわくつきの草原に屋敷なんておかしくない?」
ミコトの言葉にみあおもそれはそうだろうと頷いて同意を示す。
でもきっと物好きな人ならやりかねないんだろうなぁ…とも考えているようだ。

草原の前に辿り着くと、ミコトは少しつばをゴクリと飲む。
流石にその草原の雰囲気はあまりにも不気味だった。
昼なのに薄暗い。まるで何かが出そうなぐらいに。
そして、その雰囲気は墓地特有なものにも感じ取れていた。
「ね、ねぇ。ちょっと怖くない?」
「え?面白そうなのに?」
「面白そうって…貴女ねぇ……って何やってるのよ?」
「虫除けスプレーだよっ♪虫に噛まれるのやだしー…あ、ヘルメットもあるんだ♪でもこれはお姉さんの分ないやー…」
まるで小学生が探検に来たぞ!みたいな勢いである。いや、小学生なんだけども。
「それじゃあ、行くわよ?準備はいいわね?私にちゃんとついてくるのよ?」
「お姉さんの方がみあおにくっついてるよ〜…!」
「そ、そんなの気の所為よっ!ほら、いくわよっ!」
ミコトがみあおの手を引っ張り草原へと踏み入る。
木が風でざわざわとざわめく。不気味なまでの暗さの中でその音は怖さを引き立てていく。
「や、やな感じー…!本当にこんな所に人が住んでるの!?」
「でも確認してくれって頼んだのお姉さんだし、いい人がいるかもーっていってたじゃない!」
「そ、それはそれ!これはこれよっ!ここまで怖いのは久しぶりだわよっ!」
ミコトとみあおが言い合いながら進んでいくと、薄明かりが遠くに見えた。
それは家の門前によくあるような電灯。そう、そこには確かに屋敷が存在していたのだ。

「ほ、本当に屋敷があったわね…」
「お姉さん、まさか自分で確認も何もしてなかったの?」
「だから!私は怖いからって言ったじゃない!風の噂だったし?」
どうしてこうも人をこき使うのか、この人は。
小学生ながらにひしひしとそれを感じる。とりあえず目的である「住人」を確かめなければならない。
「お姉さん、近づいてみようよ!」
「えぇ!?マジであの館に近づくの!?」
「当たり前だよー!でなきゃ確認出来ないよ、依頼された事とかさ?」
「ううっ…頼まなきゃよかったわー…」
今更何を言い出すのか。
しかしミコトが怖がるのもよく分かる。
その洋館は最も暗い場所に位置されており、その洋館も建てられたばかりのはずなのに何故かボロっちい。
こういう造りにしてあるのかな?というみあおの思考なんてミコトには想像つかないだろう。
「うーん…何だか門はすっごくおっきいー…サラダ油とか持ってきて正解だったかなぁ?」
「それ、何に使うわけ?」
「うん?お土産だよ!尋ねるのに手持ちなしだなんて失礼じゃない!」
小学生ながらにしっかりとしてます、この子。
とか感心しているミコトほ一人放置して、みあおは門の前に設置されているインターホンらしきボタンを押す。

『ゴーン…ゴーン…』

「変わった音のするインターホン…だねー…」
「それ、本当にインターホン?かなり趣味悪いわね…」
「趣味が悪くて悪かったな」
真後ろから突然声が聞こえた。ミコトは驚き、情けない事にみあやの背に思わず隠れた。
これじゃあどっちが大人なのか分かったもんじゃない。
「えっと、お兄さんだぁれ?何でこんな所にいるの?」
「何でって…お前等が今尋ねてるその屋敷に住んでるからここにいるんだが」
「えぇっ!?こんな美少年がこんな陰気臭い所に!?」
「陰気臭いっていうな!こういう所の方が居心地はいいんだよっ!」
青年は少しムッとしてミコトにそういい返す。みあおは全然平気なようだ。
「えっと、みあおはね海原みあおっていうの!お兄さんは?」
「俺か?俺は藤宮シオン。この屋敷の護衛をやってる」
「ごえい?」
「そうだ。つまりは警備員みたいなもんだ」
小学生のみあおに対して気を使ったのか説明するシオン。
珍しい真紅の髪に銀の瞳。そしてその肌は少し黒い小麦色。ここまでは普通の青年なのだが…。
「シオンは、その背中にある剣でここを護衛してるの?」
「あぁ、ここら辺は変に死者が多いからな。毎日片付けるのが厄介でなぁ…」
「死人!?え、それって…!」
「そう。ゾンビみたいな奴」
平然と言いのけるシオンに、ミコトは絶句していた。

「それで?屋敷に何の用だ?」
「えっとね!みあおは、このお姉さんに頼まれてこのお屋敷に住んでる人を見に来たの!シオンはここの護衛だからそういうのも知ってるの?」
「あぁ、ここの館の主か。主は女性で今留守だぜ?」
「どうしてこんなところにお屋敷建てたの?」
「主は暗い所を好むんだ。盲目だからな、光がある所は苦手なんだとかってさ」
みあおとシオンはどうやら顔馴染みと言うか、すぐに打ち溶けれたようだがミコトはまだ警戒している。
「で、とりあえずの用事はそれだけなんだな?だったら早くいった方がいいぞ。ここはゾンビの集合地点になっていやがるからな」
けらけらと笑うシオン。みあやは一応今回の目的である住人の話を聞きだせたので、ミコトをぐいぐいと引っ張りながらシオンにお辞儀をする。
「ねぇ、また遊びにきてもいい、シオン?」
「ん?客人なら何時でも歓迎だぞ」
「わぁい♪みあお、また探検とかしたいからっ!」
「ははっ、気が向いたら来るといい」
「私はゼッタイに嫌…;」
ミコトがそう言うと、他の二人は顔を見合わせ小さく笑ったという…。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【1415】/海原・みあお/女/13歳/小学生

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■         ライター通信          ■
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今回書かせて頂いてありがとうございます、神無月鎌です!
まだ手馴れない、初めての仕事だったので感覚を掴む為にもまずはソロでやらせて頂きました!
小学生という事だったので、お茶目にしてしまってもいいのかな?という悩みもございましたがちょっと頑張ってみました(汗
唐突なNPC二人組みの中、こんな感じでいいのかな?という不安もございますが
書かせて頂けて光栄の極みですっ!

また次の機会があれば全力で頑張らせて頂きますので
どうぞ宜しくお願い致しますっ!