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<東京怪談ウェブゲーム 神聖都学園>


新入生と一緒に肝試し大会 再び

 春からそろそろ夏に向かっている季節。
 神聖都学園では、新入生や新しい学年に上がった者も又新しい学生生活を送る為に登校し数ヶ月、だいぶ慣れたようだ。
そこで、SHIZUKUは面白いことを考えた。というか……

「なに? また肝試し?」
 織田義明がSHIZUKUのニコニコした顔にそう答えた。
「うんうん。だってこの広大な学校や近辺で絶対肝試しできる所見つけたの」
 去年の肝試しを場所変えしてやるそうだ。
 面白いと言うなれば、彼女にとって其れしか有るまい。
「どこだよ? また同じ場所?」
「ううん 謎の火災跡地。ガッコから徒歩2分の空き地になっている呪われたところw」
「まてー!」

 そう、かなり前は住宅街だったのだが、原因不明の大火災が発生してから、公園とか何とか立てるという話になったわけだが今じゃ荒れ果て廃墟にちかい。
 雑木林になっているのは、一応木を植えた結果育ったわけだが、今のところ何故か草木一本も生えないらしい。

「考え直そう、SHIZUKUちゃん」
「えー? どうしてよ〜織田さん達がいれば大丈夫〜」
 義昭の手を握りしめる雫。
 紅一文字事件から彼女の頼みを断ることも出来ないよっしー。
「いいじゃない。影斬として根元を断つとか思えば」
 いまじゃ、茜も乗り気である。
「あのなー」
 さらには三下君に救いを求めるのは相変わらず無理のようだ(簀巻き状態だしなぁ)
 もう1人(茂枝萌)なんて相変わらず無関心でナマモノと一緒に読書をしているし……。

「どう?他の皆も誘って……当然学校の生徒じゃない人も……やろう!」
「うー」
「いいんじゃない?」
 助けてくれる人は相変わらずいない。
 結局、義明はため息をつきながら彼女の肝試しに付き合うことにしたのだった。




〈皆さん集まれ〜〉
 と、集まったのは良い。
 今回は前回と比べ人が少なかったようだ。
「うーん、5月病?」
 SHIZUKUが首を傾げる。
「やはり、季節はずれすぎるからじゃないか? 年がら年中肝試しの本番している人もいるし」
 義明が溜息混じりで言った。
「だって面白いじゃない?」

 そんな主催者達の思惑はさておき、集まった人は大体が神聖都学園の生徒であった。
 榊船亜真知と銀野らせん、桐生暁がそうである。
 ネット経由で参加すると申し出たのは神崎美桜で、いつも茂枝萌とSHIZUKU、響カスミと親しい鹿沼デルフェスである。
 デルフェスは萌と出会って早1年、萌の成長に萌えつつ、何かしら自分を自嘲しているようだ。
|Д゚) 自分が成長してないから?
「ぎく! そんなことおっしゃらないで下さいな〜」
 小麦色に図星を突かれると妙に腹が立つのは気のせいだろうか? 無意識に小麦色のホッペを引っ張るゴーレムさん。
|ДT> いたいー

 暁は凄く楽しそうに、やる気満々であるが、メインが女性ばかりなので少しは驚いている。
 実際、男は義明と暁だけ。少し肩身が狭いか? と義明は思っているが、暁はそうでもないようだ。
 ただ、暁にとって、からかい甲斐のある相手が居ないのが残念そう。
「誰といこうかな〜♪」
 ポジティブシンキングなので気にすることはないだろう。
――あまり興味半分で肝試しは宜しくないと思うのですが……
 と、美桜は思っているわけだが、様々な人と知り合って仲良くなりたいために参加しているようだ。
 平和や友好を好み、神秘の力を持っている彼女にとって、こう言ったことは好きではないが、義明や茜達と仲良くなりたいと思うために来ているようである。
「また恒例ですわ。萌様、SHIZUKU様」
「そうだね……でも、自然神秘が枯渇したって……」
 萌はなにか顰めっ面している。
「まあ、この世界では何処でもありますわ♪ 出もよく見つけましたね、SHIZUKU様」
「そうそう♪ こんなステキで、何が起こるか分からないところ探すのにどれだけ苦労したか〜♪」
 デルフェスとSHIZUKUはうきうきして言った。
 やりとりを微笑ましく見ているのは榊船亜真知。通称亜真知サマ。


〈組み合わせ〉
|Д゚) いよー。そろった?

 判子押しの小麦色が仕切り始める。
「かわうそ! かわいい!」
 暁がかわうそ?を見るや抱きしめようとする。
 しかし、見事に躱された。
 軽やかなダンスを踊りながらナマモノは……
|Д゚#) かわうそ じゃない かわうそ? なのだ!
 何故か名前に拘る小麦色。
「桐生、あれはしっかり“かわうそ?”と、“?”必須なんだ。発音も拘っている」
 義明がどうでも良いことを説明する。
「え? そーなの? 別に良いじゃない」
 と、暁が言う。
|Д゚#) どうでもいいことちゃう!
「そうよ! かわうそ? ちゃん は かわうそ? ちゃん なの」
 と、らせんは、かわうそ? を抱き上げた。
|Д゚)ノ らせん ちゃー
「あーいいなぁ!」
 暁は悔しがっている。


|Д゚) 名前をしっかり言う。大事。
|Д゚) ところで
|Д゚) SHIZUKU、組み合わせどーすんの?
 と、謎生物K。

「うん。えっと、希望者とのペアだよね?」
「そのほうがいいですね」
 亜真知がにっこり微笑む。

「あのう」
 美桜が手を挙げる。
「? なに?」
「私、かわうそ?さん1人だけだと可哀想なので、一緒に判子押し当番したいのですが」
 と言う。
|Д゚) かわうそ? 良いけど? SHIZUKU、どうよ?
「美桜ちゃんがそう言うなら良いよ。でも小麦色一匹だけでも大丈夫なんだけどなあ」
|Д゚;) なんと!
「謎で、何とかなるし」
 茜が言う。
「足蹴、もしくはハリセンホームランしても何ともなかったように元気ですし」
 亜真知。
「触ると……いや、なんでもないけど。うん、色々なっても大丈夫だし」
 らせん。
 面識がありそうな人達は、散々小麦色を貶す(?)。
|Д゚#)ぷー!
 怒る小麦色。
「皆さん、かわうそ?さんが怒っています」
 美桜が抗議の目で見る。
「でも、美桜様がおっしゃっているなら、その方がいいのでないでしょうか?」
 デルフェスが言った。
「かわうそ? しっかり守れよ?」
 義明が小麦色の頭を撫でて言う。
|Д゚)ノ まかせろ
|Д゚) 美桜、よしなに
「はい、かわうそ?さん」
 小麦色は美桜に飛びついてゴロゴロ鳴いている。
 らせんは背後に嫉妬心のオーラをだしていたが……知っている人は敢えて気が付かないことにした。

 で、希望での班分けというと以下のようになった。
 美桜、かわうそ? :判押し(逆にずっと怖く、感覚麻痺する?)
 亜真知、義明
 デルフェス、萌
 暁、らせん

 と、すんなり決まった。
 らせんが暁と組むことになったのは、らせんが小声で「男性と組みたいなぁ」と言っていた事を皆がしっかり聞いていたからである。
 からかい甲斐のある人間と見られるかどうかは分からないが、暁は「いいよ」と軽い感じである。

「では、本日の夜10時に神聖都校門前に集合ね!」
「「はーい」」
 と、いったん解散となった。



〈肝試し開始〉
 神聖都学園校門前。
 流石に季節は夏に向かっているのだが寒い。
「上着着てきて良かった」
 と、何人かしっかり着ている。
 美桜が用意してくれたお茶が美味しい。
 すでにかわうそ?は美桜に懐いているようで、ゴロゴロ猫なで声。
「義明さん」
 美桜が義明に声をかける。
「なに?」
「かわうそ?さんとは長いおつきあいですか?」
「まあそうだなぁ。茜もSHIZUKUちゃんも、茂枝も」
|Д゚) うに? 確かによっしーたちと付き合いは長い
|Д゚) こうした感じでは
「そうなんですか」
「まえにかわうそ?はねぇ」
|Д゚) ぎくり!
 と、全員が揃う前に美桜と義明たち会話が弾む。

「かわうそ?ちゃんとられちゃった……しっとしん……あたしのこころにしっとしん」
 隅の方で暗い影を落としているのはらせん。
「お待たせしましたわ」
 デルフェスはいつものドレスではなく、動きやすいデニムでご登場、茂枝萌と一緒にやってきた。
「今日も楽しみましょうね」
「う、うん」
 どうも歯切れが悪い萌。
「具合でも悪いのですか?」
「あ、ああ! なんでもないです!」
 とか、なんとか仲がよい。
 亜真知と暁が同時にやってきたので、現地に向かった。

 この雑木林は確かに不自然な雰囲気を感じる。
 自然でない、なにか。
 過去の怨念さえも感じないのに何故に?
 歪みから来た何かが、能力を持つ者に対して、様々な感情を持たせてしまう。
  後悔。
  絶望。
  未来に起きる不安。
  過去にあった悲しみ。

 そういった……
 マイナスな感情を……

「では、わたしとかわうそ?さんは先に参りますので」
 とリュックを持って判子押し班の美桜が向かう。
 茜が念のためと護衛を務めてくれるそうだ。
「その間に、体を温めてね」
 と、茜が言った。

 らせんは、今はかわうそ?のことを考えず、暁や義明と適当な会話をしてみる。まあ、あまり悪くはないのかも知れない。
「玩具会社令嬢なんだ〜。割引券欲しいなぁ」
「其れはまた今度〜」
「それより……なんだ? 相変わらず戦っているの?」
「ま、そ、そうなんだけど」
 がっくり来るらせん。
「なに? なにとたたかっているの? ねぇねぇ?」
「な、なんでもないです!」

「どうしたんですか? 萌ちゃん」
「道も気分が優れないみたいですわ」
「だから何でもないですって」
 心配しているデルフェスに、気になり出す亜真知。
 その会話のやりとりを義明が聞いていた(器用である)。
――うーむ IO2と関わりがあるのかなぁ? 此処って?
 と、思っている。

 そして、順番を決めるためくじ引きをする。今回SHIZUKUと茜は入り口付近で待機となった。
  1 らせん、暁
  2 デルフェス、萌
  3 亜真知、義明
 である。




〈らせん、暁〉
 らせんと、暁の道のり。
「いこう! いこう!」
「う、うん。い、いきましょう」
 と、2人は入っていく。
 小麦色と美桜が先に入って待っているのだから最初の方は怖くないだろう。
 暁は元から吸血種故に、こういった不可思議で不気味なことは怖くない。ただ、吸血種の混血だけに人の心も持っている。ふっと、過去に両親が死んだ(もしくは殺された)事を思い出すと頭を振る事もしばしばだ。
 今の相手が初対面なのでからかうことも出来ないし、何せ女の子、だ。
「ここあぶない」
 軽やかにぬかるみを避けて、らせんをエスコートする。
「ありがとう」
 と、その時であった。
 気温の差なのか、暁の背中に樹に着いていた滴が落ちた。
 反射的にカポエラで躱わしてしまう暁。
「ど、どうしたの?」
「!? あ、いや、滴だった。ああ、びっくりした」
 と、苦笑する。
――からかう相手でないから調子でないなぁ。
 心の中でも苦笑する。

 一方、らせんは、奥深く進むと、そこかしこに気配を感じてしまう。
 今まで戦ってきた怪人、謎の仮面の男、そしてエビフライ……にと、なぜか小麦色を触ると、その着ぐるみを着てしまう自分。
 それを、ドリルガールまたは小麦色の着ぐるみで倒している姿を見てしまう。
 当然其れは……暁に見えない。らせんしか見えない心理情景の具現化である。
「顔色悪いよ?」
「……」
 暁が少し心配気味に訊くが、らせんは俯いたままだ。
「こわいんだ〜」
 と、からかってみてもなにも反応がない。
「あらま、本当に怖いのか……」
 本当に怖いと言うことで、からかうのを止める暁。
 らせんは何かブツブツ言っている。
 トボトボ、何事もなくかわうそ?と美桜が居る場所までたどり着いた。

 全く草木が生えない場所に2人はいた。不気味さは更に倍増する。
 かわうそ? を抱っこして居る美桜。そこにはレジャーシートにお弁当とお茶が用意されている。
「お疲れ様です」
|Д゚) いよー
「ああ! いいなぁ かわうそ?抱っこ出来て!」
|Д゚) 男、触られたくない
「好き嫌いはいけませんよ かわうそ?さん」
|Д゚) うーん 邪なかんじ する
 などと、良いながら渋々暁に抱っこされるかわうそ?

 しかし、

|Д゚)ノ■ ぺた
「うわ――!」
 暁の頬にデカデカとかわうそ?の判子が押された。
|Д゚) OK
|Д゚)ノ いってよし!
「それはなんじゃないの〜? ねぇ持ち帰って」
 暁が何故か取れない判子のインクを手でこすりながら、かわうそ?を持ち帰ろうとするのだが。
「かわうそ?さんは判子押しという役目があります」
|Д゚) うい
「じゃー そのあと!」
|Д゚) いやっぷー

 あっさり拒否された。
――面食いなのかー あきらめないぞぉ

 その後ろで、らせんが変なオーラを出して隅の方に蹲っている。
「ああ、戦いばかり〜。こんな生活厭だぁ。生まれてこの方、彼氏なんて出来てないなぁ……私も恋人とか欲しいよう」
 と、地面に“の”の字をかいていたのだ。
「「あ」」
|Д゚) 黄昏れている……
|Д゚) 悲しんでいる……

 美桜が“必ずいいことがありますよ”とか、暁も“なんか知らないけど元気だそう”などと励ましても、らせんはそのまま蹲っている。

|Д゚) よっしーやら茜、恋人など居る
|Д゚) 実は色々戦いばかり。いそがしい
|Д゚)  恋、する間もなし
|Д゚) 自分のことで精一杯 
|Д゚) 今の状態、かわうそ? さわると きぐるみになりゅ
|Д゚;) 原理、謎

「らせんさんにも、辛いことがあるのですね……」
 貰い泣きの美桜。
「しかたないなぁ」
 暁が完全に落ち込んでいるらせんを引きずって(ぬかるみなどは避けるように)、皆がいる場所まで戻っていった。

〈デルフェス、萌〉
「では行って参りますわ」
 と、萌と手を繋いで向かうデルフェス。
 中に入っていくほど、精神的に宜しくないことがよく分かる。
 ただ、萌はずっと顰めっ面をしているのが心配なデルフェスだ。
「ヤッパリ何かあるのですか?」
「……う、うん」
「あ、其処水たまりになってますわ」
「ありがとう」
 と、しっかりエスコートするデルフェス。
「多分ね……」
 萌が口を開く。
「この場所、別のシルバールーク隊が消滅させた場所と思うの……」
「え?」
 そう、IO2がこの場所に根付いたのはかなり前らしい。関係者などに関わって能力者には知れ渡ってきているが、未だ世間一般には知られていない。
「詳しくは知らないけど、カルトの拠点でNINJAやブラストナイトが全滅。最終的にシルバールークで消滅というおきまりの失敗……」
 何か申し訳なさそうに呟く。
 おそらく、茜が言っているように、過去のことが目に見えているのだろう。自分が体験したことのないが、此処で起こった地獄絵図を。
 いくら、戦闘能力など特化している茂枝萌でも、心は未だ幼い少女だ。なんと言えばいいのかわからないのだ。
「織田さんみたいに、反対すれば良かったかな?」
 萌がデルフェスに訊いた。
「済んだことかと思いますし……いまの萌様はただの高校生ですわ」
 優しく、デルフェスは答える。
「え?」
 目を丸くする萌。
「今はお仕事のことは忘れて、学生らしく、SHIZUKU様や義明様と共に学園ライフを楽しんでくださいな。わたくしも助力を惜しみません」
 と、今や人の肌と変わらない暖かな手で萌の頭を撫でた。
「そうします」
 NINJAとして生きている分、心の切り替えは早い。
 そのとたんに彼女に映っていた謎の景色はなくなっていた。
 ただ、デルフェスにも過去の苦い思い出が映っていたわけだが、元がゴーレムなために精神系に完全耐性をもっている。ただ、不快なことは不快だが……。
 過去、氷漬け中の自分の周りに、小麦色達が変な踊りをしている風景が見えると言う、不可思議な幻影を見たときは思わずぬかるみに足をとられかけただけであった。
――あの生物は謎すぎますわ……(デルフェス心の声)

 そして、判子地点に無事到着する2人
|Д゚) いよー 二股ゴーレム
「いきなりなにを言い出すのですか、かわうそ?さま。萌様はわたくしにとって妹のような御方です」
|Д゚) ←疑わしそうな眼差し
「た、たしかに、エヴァ様と萌様は可愛いし……本命はえっと、その……」
 赤面するデルフェス。流石に目の前で“エヴァ様が本命”とか言えないようだ。
 人造同士の恋というのはなかなか面白いものでは無かろうか、と?
「デルフェスさん」
「デルフェスさん」
 美桜と萌が同時に言う。
「あ、はい 判子お願いしますわ」
「おかしな事、言わないのかわうそ?」
 かわうそ?を軽く小突く萌。
|Д゚) この辺ハッキリした方が萌のためかと
|Д゚) だしょ? 美桜
「仲良くすることは良いかも知れませんが……えっと、その、私も何か言いにくいですね」
 赤らめる美桜。
「あ、寒かったでしょう? お茶はどうですか?」
 と、話題を変えるために美桜がお茶を取り出した。
「有り難くいただきますわ」
 暫く、彼女たちは女の子らしい会話をして、デルフェスと萌は立ち去っていった。


〈亜真知、義明〉
 亜真知が雑木林にはいると、突然。
「姉様とはうまく行ってますか?」
 と、義明に尋ねた。
 行きなりのことだったので、義明は転びかける。
「何だよ突然」
 苦笑するよっしー。
 既に、亜真知サマよっしーをからかう模様。
「うまく行っているよ」
 と、しれっという。
「姉様が風邪をひいたときはオロオロしていたそうで」
 クスクス笑う亜真知サマ。
「そ、それはだなぁ……行きなりのことには未だ……つか、何故そんなこと……」
 一生の不覚とばかり、過去の記憶を掘り起こされ赤面する義明。
 其れを見て楽しむ亜真知サマである。
 其れもつかの間であった。
「あれ?」
 義明が遠くの方を見る。
「あれ?」
 亜真知も……
 亜真知に似た少女が立っているのだ。
「俺にも見えるって事は……ああ、一度神斬使ったし、彼女と……」
 と、少し赤らめて咳き込む言う義明。
 あまりにも似すぎているのだが、その少女は漆黒の服を着ている。
 過去に、亜真知に関係があるのか、誰かを捜しているような映像だ。
「なにかしら……?」
「この土地の歪みから出る、幻影だけど……何かを訴えている感じだよね?」
 義明は亜真知に言った。
「お父様に相談した方がいいのかしら?」
「どうだろう? あまり答えたくないんじゃないかな?」
 亜真知に似た幻影は消え去ったので、2人は先に進むことにした。

|Д゚)ノ よっしー あまちー
 相変わらず小麦色は、平然とこの薄気味悪いところで踊っている。
 美桜が暇なのを紛らわすために遊んでいるのだろうか?
「相変わらずおかしな事ばかりしていますね」
 クスクス笑う亜真知サマ。
|Д゚) 前はかわうそ? だけ
|Д゚) でも、今は美桜いる
「ありがとうございます かわうそ?さん」
|Д゚*)

「本当に面食いナマモノだ」
 と、義明が笑う。
 途中で起きた謎の幻影は後回しにして、美桜と亜真知、義明はお茶を飲みながら談話し、カワウソ?から判子を貰って帰っていった。


〈美桜、小麦色〉
「さて、終わりですね」
 美桜は判子押しが終わったことをトランシーバーで通達し、立ち上がる。
|Д゚) おつー
「不思議に何もなかったようで良かったです」
|Д゚) うみ よかったなり
 と、その時だった……
 美桜の躰が硬直する。
 美桜が見たくもない過去の光景……
 能力の暴走で両親を殺した……
 あの、厭な光景を……
「い……」
|Д゚) ! いかん!
 かわうそ?は何かを察知した。
「いやあああ!」
 この地域の歪んだ魔力と彼女の暴走能力が渦巻いている。
|Д゚) よっしー! 茜! 亜真知!
 かわうそ?はその暴走の渦に巻き込まれ躰が潰れていくなかで……
――今まで親しい人の名前を呼んでその場から消えた

 その声は義明と亜真知、茜に聞こえる。
 当然、霊感のある人物も分かるこの歪な波動。
「“私”が行ってくる! 茜と亜真知は皆を避難させろ!」
 義明が走った。
 走ったというレベルではない。消えたのだ。
「いま、織田義明の……雰囲気かわった……」
 暁達が走りながら思った。
――何とも言えない重圧感。普通は恐怖とか感じないのに感じるあの“存在感”に
 数分も経たずに光の柱があがった。

 美桜が目を覚ました時、義明が彼女を負ぶっていた。
「わ、わたし……」
「取り込まれずに済んだようだね。大事にならず良かった」
 と、義明は微笑んでいる。
「か、かわうそ?さんが……」
「大丈夫、災難回避は一流だから」
|Д×) にゅ〜 ふらふら〜
 よく見ると、乗り物酔いでふらついている小麦色が4足歩行で歩いている。
|Д゚) いやー世界各地にある絶叫マシンより、アストラルの嵐がステキにムテキにすりるあるにゅ
 とか、言っているので大丈夫らしい。
「アストラル?」
「まあ、魂が本来行くべき所の通り道って所だ。状況は分かると思うけど……」
 と、義明は笑った。
 それから暫く沈黙して、雑木林から出てきた。



〈そのあと〉
「しにかけたの? かわうそ?が」
|Д゚) 遊んでいただけだっしゅ
 と、驚くSHIZUKUと、否定するナマモノ。
「もう、危険なことはしない方がいいかも知れないよ」
 と、茂枝萌がSHIZUKUを叱るのだが、多分無理だろうと思っている。
「うーん、なにか面白い不思議スポット無いかなぁ?」
「音楽魔神は?」
「作曲で忙しいから声をかけるなって……」
「そうなの……此処っておかしな事ばかりね」
 ため息吐く萌に笑うSHIZUKU。
「SHIZUKU様〜萌様〜」
 と、デルフェスが遊びにやってきた。
 暁も自分の生活に戻っているし、極普通の神聖都学園ライフに戻りつつある。


 美桜についてだが……。
 まだ能力制御が完全に出来ないことをかわうそ?と義明に知られたので、
「井ヶ田病院に向かうと良いよ」
 と、言われた。
|Д゚) 敏腕精神科医……いや、能力制御医師、いる
 と、その地図と電話番号をわたすかわうそ?
「ありがとうございます。織田さん、かわうそ?さん」
 と、礼を言う美桜だった。

 ただ、らせんは……アレからふさぎ込んでいる。
「彼氏欲しいよう……」
 彼女の周りにはどんよりオーラが雨を降らしていた。


End

■登場人物
【0413 神崎・美桜 17 女 高校生】
【1593 榊船・亜真知 999 女 超高位次元知的生命体…神さま!?】
【2066 銀野・らせん 17 女 高校生(ドリルガール)】
【2181 鹿沼・デルフェス 463 女 アンティークショップの店員】
【4782 桐生・暁 17 男 高校生】

■|Д゚) から
|Д゚)ノ いよー
|Д゚) 変な人間は出なかった
|Д゚) でも、謎の幻影は皆みたりと
|Д゚) アストラル嵐はキツかった。酔った。
|Д゚)ノ SHIZUKUはまたなにかするかもー


|Д゚) ま、つきあってくんさい
SHIZUKU「何仕切ってんのよ」