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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 4 弓槻蒲公英編

 衣蒼未刀。彼との出会いは私にとって楽しくそして大切な時間だ。今でもハッキリと覚えている。
 出生が異なりや力のあり方、心のあり方ではなく、論理的に説明できないが、私たちは何か似ていた。
 元々、論理的に説明できるほど私は賢くない。が、これだけは自信持って言えるだろう。
 魂の友であり、兄弟だ。
 其れが何かは今でもわからない、柱であり抑止の座に付き、あらゆる危機を斬る刃になった今でも。
 私は未刀と共に過ごしたかけがえのない友人の事を一生忘れることはない。
 抑止の一、光刃の柱になっていようとも。

                               影斬・現世名 織田義明

 これは、織田義明はまだその“名”を持っていたときの手記か誰かに伝えた言葉である。
 短い時間だったか、それとも長い時間だったのか……。
 彼にとって、衣蒼未刀は未来永劫、心の友で、親友であり兄弟であると言ったのだ。

 彼のこの言葉を聞くか読むのは、かなり先の話。   
 あなたは、義明と未刀と共に過ごした一番の思い出を、残していく。
 それが、『何処か』に記されるだろう。
 彼らと友人としてか仲間としてか、それ以上の存在としてかを過ごしてきたのかを。 


〈訓練と温泉〉
|Д゚) ちら
|≡3 さっ
|Д゚) ……蒲公英たん
義明「何見ている〜蒲公英ちゃんが気絶するだろう!」(けっとばし)
(⊃Д`) いやー

 
 と、いきなりかわうそ?さまがおられるようですが……。
 わたくし、弓槻蒲公英はいま長谷神社で自分の能力を制御するために勉強中です。なので、かわうそ?さまが居てもおかしくはありません。直にあってしまうと……気絶してしまいます。

|Д゚) うむ!
|Д゚) がんばれ 蒲公英たん

 ……
 ふぅ……

義明「だから! お前は来るなって!」(グリグリ)
(⊃Д`) いやー
未刀「この謎生物! 蒲公英にまた酷いことを!」
|ДT) してないー(ダッシュで逃げる)

 と、毎日こんな調子です。

 魔術というのは恐ろしいもので、わたくしが知っている術は特に死者を操るものです。そんな酷いモノを知っていること自体が怖い事ですが、未刀さまの為にも、頑張りたいです。それから外れて、中和能力が、一番厄介と言われています。この二つを基本は使わないこと。そして感情に左右されずに暴走しないようにすること。そのために訓練しているのです。
 座禅で精神集中が主なので、足が痛い程度なのですが……、たまにこういう状況がおこってしまうのです……。なので、勉強出来ているのかしら……と思ってしまうことが度々あります。


 ある日、未刀さまのためにアイスクリームを買ってこようと商店街に行きました。他に食材も買うので丁度良いのです。
「ちょっと……ふんぱつしよう……かしら」
 と、あのプレミアムアイスをパッケージタイプの物を買ってしまいました……。
「……高いけど……これぐらいは、いいですよね……」
 未刀さまと一緒に食べるし。
 いつのころから、未刀さまは味にうるさくなっておられるのは気のせいでしょうか?
――多分……
――義明さまとエルハンドさまの趣向が伝染ってしまわれたのかも……あの人達グルメみたいですし。
「おじょうちゃん、1000円超えたからくじ引き券あげるね」
「ありがとう……ございます」
 でも、こうしておまけが付いてくるので、その問題は横に置いておきましょう。

 と、くじ引きを引いたところ……。
 金色の玉が出ました……。
「おめでとうございます! 温泉2泊3日4名様ご招待券〜♪」
「え? え? ……ええ〜!?」
 当たった賞品と人だかりに思わずおどおどしてしまうわたくし。
 うう、ここは、平常心です……。
「あ、ありがとうございます」
 と、急いで未刀さまだけ……じゃ心許ないので義明さま(未刀さまはまだ世間知らずですし、とーさまはお仕事でお疲れなのです)を呼んで券を手に入れました。
「〜♪」
「嬉しそうだね」
 義明さまが聞いてきます。
「はい、賞品が当たった事なんてあまり無いのです。温泉というのは驚きましたが」
「良かった、良かった」
 未刀さまはアイスクリームの方に目を向けていますが、喜んで下さっているようです。
――あ、今日買ったのは「食べてみたいなぁ」とおっしゃっていたモノでした……

 そして、長谷神社で茜さまも囲んで、アイスクリームを食べて温泉の話で花を咲かせたのです。
 しかし、此処で問題があります。
「誰と行くの? 蒲公英ちゃん」
「えっと、それは、その……悩んでます。4人……ですから」
 とーさまに渡したいのですが、とーさまは多分そしらぬ顔をして、
――未刀とあの義明っつー奴らでいってこい。
 とか、言いそうです。
「茜さまは……」
「うーんと、止めておく。だって、“5人”になるから」
「え? ああ、静香さま……ですか?」
「ええ、残念ながら、です」
 樹のさざめきの中から優しい声がします。静香さまは姿を見せませんが、とても美しい方と思います。
「温泉好き……そうですね」
「はい……」
 あ、とても残念そうです。
 精霊ですし見えないから良いのではと思いますが……。
「こう言うときはエルハンドがいいかも、あの人は温泉に酒に蕎麦が目にないから」
 茜さまはおっしゃります。
「保護者としてはかなり役に立ちそうとは思うけど……せんせーといると少しつまらなくなるな」
 義明さまは、反対のようです。
「僕は……蒲公英が誘いたい人を選べばいいから」
 未刀さまは相変わらずです。

 当てたのは私なので、決定権も私らしいです。
 一瞬……
|Д゚)
 が、頭をよぎり……
 あの存在が理解出来ない恐怖で、気を失ってしまいました……

「蒲公英〜!」
 未刀さまはオロオロしているようです……。
 よほど顔色が悪かったのでしょうか……?
 そんなに考え込んでいないのですが……?


 結局、義明さまと未刀さま、わたくし3人でと言うことになりました。茜さまと静香さまを誘うつもりで居たのですが、「水入らず」と言うことらしいです。

 バスに乗って、数時間の温泉ですが……、
「この温泉……」
「いま……すね」
「いる」
「いるな……害はないけど……厄介な悪戯者が」
 と、未刀さまも義明さまもある気配を感じて居ます。
 曰く付きの温泉のようです。
 三滝尚恭の知識の中に少しだけ残っていたことを思い出しました。
 悪戯好きの妖精の集う温泉。フェアリー種でなく日本の小鬼族のようです。
 兎に角、気を引き締めないと行けないのかも知れませんが、折角の温泉での休憩でピリピリしてもしかたありません。
「あまり……気にしない方がいいかも知れません」
 と、いってしまいました。
「蒲公英が言うなら……うん」
 未刀さまは私を庇うように側に居てくれます。
 何気なく手を繋いで下さっています。
 ……嬉しいです。
 あ、義明さまが笑っている……
 たぶん、わたくし、とっても嬉しい顔と恥ずかしい顔しているのかなと思いました。
 なので……

|Д゚) いらっしゃいー

 そのおかげで、当日早々、小麦色さまを見て気絶しなくて済んだみたいです。単に気がつかなかった、それだけなのですが……。



〈ひと騒動色々〉
(未刀’s View)
 僕は衣蒼未刀。
 縁有って、義明と蒲公英と温泉に行くことになった。
 蒲公英がアイスクリームを買ったときにクジを引いて温泉旅行を当てたと言う。僕としても義明や蒲公英と一緒に旅行が出来るのは嬉しいものだ。なにぶん、いつも“仕事”や“修練”でゆっくり出来なかったのだから。
 義明は学校もあるというのに良く遊ぶようだ。しかし、何処に其処までの余裕があるのか分からない。僕は自分の鍛錬と蒲公英を守ることで精一杯な感じなのに。
 この頃特に……
|Д゚) いらっしゃ〜い
|Д゚) ? どしました? おきゃくさん
 この謎生物の所為で良く蒲公英が気を失う。
 義明達が放っておけと言われても、僕は許せない。
|Д゚) ? みっちー おこってりゅ?
|Д゚) こわい……
 やたらと馴れ馴れしいし……。
 いや、何というか可愛いのは良いのだけど、蒲公英に害を為すなら敵である。
 しかし、温泉でコレに会うと言うことはこの先、僕が蒲公英を守らないと行けないのだろう。
|Д゚;) こわー
(むぎゅ)
(⊃Д`) いたいー
 僕は、蒲公英の手を握り、かわうそ?を視線から遮る形で進む。ついでに、この小麦色の尻尾も踏みつけた。近寄るなと言っても、コレは絶対出会うのだから、何としてでも守らないと。

「お風呂は……だな」
 と、義明が何か言っている。
 お風呂に何があるというのだろう? 露天風呂なのは知っているが……。僕は色々別のことを考えていたので彼の会話は聞き取れなかった。


(蒲公英’s View)
 わたくしは、露天風呂に入ることにしました。
「此処からの眺めは綺麗っていうから……お先に入ります」
 と、お二人に断ってから、宿の人に案内して貰って向かいました。
 露天風呂の眺めはとても綺麗で、本当に妖精さん達が湯治に来てもおかしくはないような所です。木々が青々と茂り、おそらく春夏秋冬の様々な景色をこの露天風呂から眺めることが出来るのでしょう……。
 良くテレビなどで見かけるように、湯船は岩で出来ていて、もたれたり、隠れたり出来るような、自然な形をしています。
 簡単に身体に湯を浴びてから、ゆっくり浸かります。タオルは専用のモノなら湯船に入れても良いと聞きました。念のために、身体にまいて……。
「きもち……いいです……」
 何てのんびり出来るのだろうと、不思議に思います。
 木陰や柵に、確かに妖精さんが居ますが、此方を警戒しているようです。
 入り口のドアが開く音を聞いたとき、誰かが入ってきたんだなと思ったとたん……、妖精さん達が動き始め……私のタオルを奪って……いきました。
「あ……! タオルかえして…… 」
「え?」
 追いかけてしまった先には……
「――!!」
 声にならない声で叫んでしまい、岩陰に隠れてしまいました。
「あ! ご、ゴメン!」
 よく聞いている声……未刀さまとばったり……出くわしてしまったのです。
 恥ずかしい。もう、穴があったら隠れていたい気持ちでいっぱいです。
「いえ、わ、わた、わた、たくしは……」
「こ、混浴とは……僕、聞いてなかった……」
「あ……たしか……混浴? でした?」
 しっかり温泉の内容を見ていなかったわたくし……。
 は、恥ずかしい……。
 暫くギクシャクした状態が続き……、
 結局、2人とものぼせて義明さまのお世話になってしまいました……。


(義明’s View)
 妖精の悪戯と未刀の隙ありすぎ状態で、未刀と蒲公英ちゃんは仲良くのぼせて倒れてしまった。
 お約束と言えばお約束であり、未刀の間抜けぶりに俺は笑うしかなかった。
「混浴だったのか? 聞いてないぞ」
 未刀が抗議の目で訴えてくる。
「先に言ったぞ?」
「何!?」
「大声出すな」
 蒲公英ちゃんを守るために色々考えて居たのだろが、まあ、アレだな。
|Д゚) ←コレの所為にしておこう
|Д゚;) がーん!
|Д゚) ←当たりらしいので文句言えないらしい
「とりあえず……小麦色。お前は別の所に待機だ」
|Д゚) あい
 渋々、退場していく小麦色。
「蒲公英ちゃんの様子みるか?」
「……いまは、……いい……」
 赤面状態の未刀。
 とはいっても、部屋は一つなので、直ぐ近くなんだけどね……。
 恥ずかしいのは分かるが、未刀自身が看てあげた方が良いような気がするのは気のせいであろうか?
 しかし、そんな考えの直後に……
「蒲公英ちゃん?」
「蒲公英!」
 蒲公英ちゃんの様子が変なので揺らす、俺たち。
 突然、冥い波動が弾け……概念武装が展開された漆黒の髪と同じ色の黒衣を着た蒲公英ちゃんがゆらりと立ち上がっている。
 あ、性格反転してる……。
 いかにも、今まで抑え込んでいた感情がむき出しに、なって反転衝動がおこるとか。ああ……今までの鬱憤が今此処で発現されたようです。
 こう言うときには、
「三十六計逃げるに……未刀くんあと……ぐえ!」
「逃げてどうする! バカ!」
 俺の首を引掴む未刀。
「させない……。あそんであげる……」
「ああ! こんなところで三滝の屍術使うなあ!」
「蒲公英〜!!」
 俺も気が動転して居るのがハッキリ分かった。反転したときのこの黒い波動は、装填抑止必須かも知れないぞと思いたくなる。蒲公英ちゃんは、どんな生活を送ってきたのか気になった俺でした。
|Д゚) なにしてんねん? よっしー
 丁度良いところで、アレが顔を出す!
「未だ行け! 小麦色、今なら思いっきり撫でてくれるぞ! 抱きしめてくれるぞ!」
 と叫ぶ、俺。
|Д゚) なにゅ!
蒲公英たーん ≡≡≡≡≡≡≡(*´Д`)ノ
「かわいいナマモノ……」
(⊃Д`)いやー
 おお、全ての力が、ナマモノに向けられている。
 かわうそ? 今までありがとう。
 後3秒で忘れてやろう。
|Д´#) 忘れるな……(悪霊と戯れ中)
 その間に、未刀が蒲公英ちゃんに接近出来た。
「蒲公英、僕だ、未刀だよ……。目を覚まして……」
「未刀さま……あ……」
 安心したのか? それとも先ほどのお風呂でバッタリどっきりを思い出したのか……?
「きゃああ!」
 後者だった……か。
 幸い、中和能力も他の屍術も発動・暴走もせず……、蒲公英ちゃんは我に返って……また気を失ってしまった。またややこしくならないうちに、かわうそ?をどっかに追い返して……っと。

「わたくしは?」
 目が覚める蒲公英ちゃん
「のぼせちゃったんだよ」
 と、俺が説明する。性格反転は後々に……。
 そのあと、仕切り直して、卓球をしたり、散策したり、夕食時まで3人で遊ぶ(蒲公英ちゃんからみれば俺と未刀の卓球は真剣勝負でどちらかが死ぬかとか怖かったそうだ)。
 夕食時……。
「蒲公英遅いな……」
「宿の企画があるとかで女将達に呼ばれたよ。なんでも季節に因んだモノらしい」
「そうか……かわうそ? 見て気絶しなきゃ良いのだけど」
|Д゚) ……バリバリ
「此処にいるから問題ないか……なんかのんびり煎餅食っていないで……あっちいけ……」
 と、未刀は小麦色をしっしと追いやっている。
|Д゚) がーん!
|≡3
 素直にどっか行ったようだ。

 しかし、俺たちは予期せぬ事が……。
 かわうそ? や先ほどの性格反転よりインパクトがあるモノを見てしまいました。


 六月結婚の白無垢ですか?


「季節に因んだ、新婦争奪会でございます!」
「「そんな話聞いてない!」」
「先ほど思いつきましたので」
 コレには流石に未刀も俺もズッコケタ……。
 此処の女将やるな……。
 妖精とグルではないのかと思う。
 いや、あの小麦色を雇っている時点で何かある所だと認識すべきだった。
「あの、これ……」
 蒲公英はなにやら困惑しているし、未刀くんを見て、
 あ、照れて赤面している。
 此処で2人の世界になってしまうのかと少し悲しい俺。
 新郎は未刀決定だから、いいんだけどね……。
 俺にはしっかり決めた人がいるわけだし。うん。

 争奪もなにも無く、俺は、2人の微笑ましい(どっちかというと、両者赤面状態でギクシャク状態)食事会を見て今度あの人を誘うのも良いかとか……茜あたりを填めてみるとか考えていました。


〈川の字〉
 お食事会は驚きました。
 義明さまには悪いことをしてしまった気がしますが、わたくし的にはとても嬉しかったです。
 すこし、先のことを考えてしまい、頬を赤らめてしまいます。
 義明さまがどこかに遠くに行く感じはしますが、未刀さまだけはずっと側に居てくれると確信しております。
 部屋は一つしか取っていません。家族旅行のパックみたいなものですから。
 それに、一度やってみたかったことがあります。
「川の字になって寝るか……いいね」
「??」
 義明さまはご存じのようで、未刀さまは首を傾げるばかり。
 どういうものか分かっていない未刀さま……に思わずわたくしはわらってしまいました。
「む、笑うことはないだろう」
 未刀さまが拗ねています。
 何となく可愛い感じがしました。
 本当はとーさまとかーさまと川の字になって寝たいですが、それは我が儘でしかありません。
 今はそれ以上にお兄さんみたいな義明さまと大好きな未刀さまの間で、夢が見たいのです。
 心から楽しめた思い出を……忘れないために。

 布団を2枚敷いて、真ん中にわたくし……左右片方に未刀か義明さまが並んで寝ます。
 どっちにわたくしが転がって行くか試してみたい事もあります(寝相が悪いわけではないです)。
 願わくは、未刀さまの方に……。


〈終わりに〉
 わたくしは顔に暖かいく少し堅い感触に目をさましました。
 未刀さまが、わたくしを抱きしめて眠っておられます。
「♪」
 わたくしは少し恥ずかしいですが嬉しい気分で一杯です。
 気持ちいい朝になりそうです。
 義明さままだ夢の中にいるようですね。彼のからだから青白い光がパリパリと音を立てていますから直ぐに分かります。


 これからも色々なことがあるでしょうけど……。
 
 義明さまと未刀さまで一緒に遊んだ楽しい思い出。
 この事は決して忘れないと……誓います。



Fin


■登場人物
【1992 弓槻・蒲公英 7 女 小学生】

【NPC 織田・義明 18 男 高校生・天空剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】
【NPC かわうそ? ? ? かわうそ?】


【NPC 長谷・茜 18 女 高校生・長谷家継承者】
【NPC 静香 ? 女 精霊】

■ライター通信
滝照直樹です
神の剣異聞 Invisible Blade 4 に参加して下さり、ありがとうございます。
|Д゚) かわうそ?のオチ無し。どぅー?
先に小麦色との遭遇などで気絶しましたので、それ以外では、ふんだんに入ったシチュは殆ど盛り込みましたが、如何でしたでしょうか?
アイテムとして、温泉イベント白無垢をどうぞ。