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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 4 麗龍公主編

 衣蒼未刀。彼との出会いは私にとって楽しくそして大切な時間だ。今でもハッキリと覚えている。
 出生が異なりや力のあり方、心のあり方ではなく、論理的に説明できないが、私たちは何か似ていた。
 元々、論理的に説明できるほど私は賢くない。が、これだけは自信持って言えるだろう。
 魂の友であり、兄弟だ。
 其れが何かは今でもわからない、柱であり抑止の座に付き、あらゆる危機を斬る刃になった今でも。
 私は未刀と共に過ごしたかけがえのない友人の事を一生忘れることはない。
 抑止の一、光刃の柱になっていようとも。

                               影斬・現世名 織田義明

 これは、織田義明はまだその“名”を持っていたときの手記か誰かに伝えた言葉である。
 短い時間だったか、それとも長い時間だったのか……。
 彼にとって衣蒼未刀は未来永劫、心の友で、親友であり兄弟であると言ったのだ。

 彼のこの言葉を聞くか読むのは、かなり先の話。   
 あなたは、義明と未刀と共に過ごした一番の思い出を、残していく。
 それが、『何処か』に記されるだろう。
 彼らと友人としてか仲間としてか、それ以上の存在としてかを過ごしてきたのかを。 


〈海です〉
 夏。
|Д゚) みーんみんみんみんみーん
|Д゚) しゃわ しゃわ〜

 と、木にへばりつく小麦色がいる。

「暑い」
「暑いな」
 義明の家で、義明と未刀が思いっきりだらけている。
 甚平を着ているが、汗だくで団扇を仰ぐ。窓からみえる入道雲と、小麦色のでかいセミを眺めているのだ。
 此処まで暑くなると、
「だるい」
 義明は言う。
「空調とかないのか?」
「いや、俺……クーラーとか苦手なんだよ。扇風機ぐらいまでならいける」
「そうか、は無理なのか……残念だ」
 既にアイスは食い尽くした。
 麦茶は残っているが残っているのは冷酒だけ。
 義明が「これ以上食うと体に悪いぞ」と言うので未刀は止めている。
 氷枕に団扇で暑さを我慢している。

「何をだらしない格好をしとるのじゃお主等」
 しっかり玄関から入ってきて、ビニール袋を持って溜息をつく麗龍公主。
「日本の夏はこう言うものです」
「下界は難儀じゃのう」
 と、素麺を買ってきてくれたようだ。
 ただし、コンビニ製。

 3人で素麺を食べている。
 平和というか平凡というか、其れが当たり前のような感じの日常であった。退屈と言えば退屈。それは夏休みに入ったのは良いのだが、この所“仕事”が全然来ない。
 夏には良く出るというのは嘘だという事の裏付けかも知れない。怪談というものは、夏の暑さを心理恐怖で涼む娯楽とも言う。この“世界”で怪奇事件が無いというのはおかしいことであるが、2人が出るほどの大きな事件はないのだろう。
 義明の方は既に宿題を済ませているため、修行以外ですることと言えば遊び倒すぐらいなのだ。
「海に行かぬか?」
「「海?」」
 公主の言葉にはもった。
「こう良い天気何じゃ。羽を伸ばすのはいいかもしれぬ」
「しかし、龍華……」
「? なんじゃ? 未刀」
「水着とかあるのか? 其れに人混みは嫌いだし」
 未刀君爆弾発言?
 公主は笑う。
「大丈夫じゃよ。この数年でだいたいの“ふぁっしょん”は分かったのから」
|Д゚) 年増、きわどい水着は…やう゛ぁい
「何か言ったか!? ナマモノ!」
|Д゚) うふっふふ……(ぶーん)
 公主が箸をダーツみたいに投げたのだが、小麦色は蝉と同じような羽音を出して飛んでいった(羽はない)。
「若いのに……」
 ぽつりと未刀。
「全く、あやつは……」
 仙人、小麦色が遠くなるのを溜息で見送った。
 が、
「やっぱり良いヤツじゃ、未刀は♪」
「わあ! 龍華! や! やめろ!」
 未刀に抱きつき、喜ぶ公主
「暑いのと、熱いので、熱中症になるんだけどー」
 今まで黙っていた義明が口を開いた。
「おっと、3人でいかぬか?」
「……うむ、悪くはないですね」

「既に水着の用意はしているのじゃ♪」
 と、別のビニール袋から取り出したのは、ビキニであった。
 腰に巻くためにあるアクセントの布付き。
「義明は持っているだろうから良いとして、未刀の分も買ったぞ」
 と、海パンを見せてくれた。
「……」
 未刀は沈黙する。
 色がおそろいだった。
 蒼が基調で白がアクセント。
「日焼け止めとかは?」
 義明が訊いた。
「もちろん買ってきておる♪」
 公主はニコニコ笑っている。
 未刀は青ざめて、ジリジリ逃げようとする。
「義明、頼んだ」
「はい♪」
 よっしー 逃げようとする未刀を捕まえた。
「や、やめろ! ぼ、僕は! 海なんて行ったこと……」
「泳げないとか?」
 義明の言葉で固まる未刀。
 図星のようだ。
 17年もの間、家に閉じこめられて剣と術のみをたたき込まれていたのだ。
 泳げないかも知れない。否、泳げない。
「では善は急げ!」
「了解〜」
 義明と公主は行く気満々だ。
「うわあ!」
 公主が光遁にて3人を運んだ。


〈海水浴?〉
 人気のない浜辺に3人はついた。
「さて、あそぼうかの!」
 と、早速公主は服を脱ぎ始める。
「わ、龍華! いきなり!」
 未刀は顔面赤面。
 その心配は無用だった。
 中に水着を着ていたからだ。

 何時の間に着ていたのかは問わない方がいいだろう。些細なことだし。

「何赤くなっておる……?」
 公主は悪戯笑いを浮かべた。
「まったく、公主さんも大胆になったものです」
 義明の方も準備万端だった。
「着替えてこい、未刀」
「僕だけ? 後れをとっているのは」
 何か悔しそうな未刀君。


 そのあと、水のかけあいやら波の追っかけで楽しむ、公主達。
 ゴミもなく綺麗な浜辺はそう無いであろう。
 義明と公主は未刀でからかって遊ぶ。
 
「未刀君オイル塗ってー」
「義明、自分でやれ」
「未刀〜オイルとやらを塗ってくれぬか?」
「いやだ! どうしてこう……」
「顔が真っ赤だ。熱中症にならないように〜」
「だ、誰が! 真っ赤なんて!?」

 拗ねてしまう未刀。
「すまぬ、すまぬ」
 ポンポン頭を撫でる公主は、どこからかかき氷を持ってきていた。

|Д゚) ←出所

 機嫌の直った未刀は、義明と一緒に泳ぐ練習をしてみたり、ヤッパリ砂に埋められたり、散々遊んだ。
 公主が疲れてパラソルで眠っているとき、義明と未刀はどこかに向かった。

 そして、帰り。
「義明、未刀、これからはどうするのじゃ?」
「「帰った後? 風呂入って寝るだけ」」
「いや 違う 将来じゃよ」
「将来か……」
 義明は決まっているのだが、未刀は未だ空白が多い。
「義明はよく分かる、神の座を目指し、抑止につくということを。最もその間私のバカ弟子とのやりとりが楽しみであるがのう」
「ああ、あの色ボケですか? 女性克服しないことにはまだまだですよ」
「うむ、そうだのう。視点が違う気もするが」
|Д゚) 色ボケ〜♪
|Д゚) 状況に如何、アレに“真”つけるか?
「「其れは横に置いて置け小麦色」」
|Д゚) うい


〈記念に〉
 そろそろ帰りで術を使うときに、
「まった、龍華(公主さん)」
「? なんじゃ?」
 未刀と義明が止める。
「記念としてこれ持って帰ったら?」
 と、瓶を渡した。
 中には綺麗な貝殻が沢山入っている。
「ほほう。これは♪ ありがとうな」
 公主は微笑んだ。
――気配が遠く感じたのはこれだったのか

 既についた時刻は食事の時間に近かった。
「じゃ、僕はこれで。楽しかった」
「俺も」
「其れは良かった」
 満足している様子。
「んじゃ、二人っきりで〜」
「お、おい!」
 義明がさっさと退場した。
 未刀はオロオロしている。
「未刀♪ なにオロオロしてるんじゃ?」
「な、なんでもない! で、いきなり抱きつかないでくれ!」
 スキンシップで未だ赤面中の未刀。
「ありがとう未刀、孤独だった心が満たされる」
「龍華?」
 未刀は彼女の抱擁が優しく感じた。
「出来れば、一緒に居て欲しいのじゃ」
「……」
「その答えは、未だ良い……私の我が儘だから」
「どうなるか分からない……けど、考えておく」
 顔が見えないよう俯いて未刀は言った。
「ありがとう」
 そっと、離れて……

「またな、未刀。この瓶ありがとう……」
「たいしたことじゃない……」
「じゃ、またな未刀」
「ああ、龍華も」
 と、また明日に繋がる約束をし、別れた。

 公主と未刀のことはこれからどうなるかは分からない。
 しかし、この海に遊びに行ったことは、永遠に公主も忘れはしないであろう。

 
 
Fin


■登場人物
【1913 麗龍・公主 400 女 催命仙姑】

【NPC 織田・義昭/影斬 18 男 天空剣士/装填抑止】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】
【NPC かわうそ? 説明要らず】

■ライター通信
 滝照直樹です。
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 4』に参加して下さりありがとうございます。
 楽しい一日を演出しましたが如何だったでしょうか?
|Д゚)ノ ちょい役でもでたー!
|Д゚) 熱いのと暑いのがいっ……(蹴飛ばされフェードアウト)
 全て順序よく参加して下さった記念、そして思い出の品である“貝の詰まった瓶”を進呈です。
 
 4話全部参加ありがとうございました。