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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


神の剣 異聞 Invisible Blade 4 陸誠司編

 衣蒼未刀。彼との出会いは私にとって楽しくそして大切な時間だ。今でもハッキリと覚えている。
 出生が異なりや力のあり方、心のあり方ではなく、論理的に説明できないが、私たちは何か似ていた。
 元々、論理的に説明できるほど私は賢くない。が、これだけは自信持って言えるだろう。
 魂の友であり、兄弟だ。
 其れが何かは今でもわからない、柱であり抑止の座に付き、あらゆる危機を斬る刃になった今でも。
 私は未刀と共に過ごしたかけがえのない友人の事を一生忘れることはない。
 抑止の一、光刃の柱になっていようとも。

                               影斬・現世名 織田義明

 これは、織田義明はまだその“名”を持っていたときの手記か誰かに伝えた言葉である。
 短い時間だったか、それとも長い時間だったのか……。
 彼にとって、衣蒼未刀は未来永劫、心の友で、親友であり兄弟であると言ったのだ。

 彼のこの言葉を聞くか読むのは、かなり先の話。   
 あなたは、義明と未刀と共に過ごした一番の思い出を、残していく。
 それが、『何処か』に記されるだろう。
 彼らと友人としてか仲間としてか、それ以上の存在としてかを過ごしてきたのかを。 



〈登山で交流〉
「「登山?」」
 出会って間もない義明と未刀に、陸誠司は登山に誘おうとしていた。
「だ、だめですかね?」
 と、怖がって誠司が言う。

 義明と未刀は考え込んだ。
 断る理由は思いつかない。
 親睦を深める事は良いことだ。
 しかし、何かで引っかかっている。
 義明にせよ未刀にせよ、其れがなんなのか分かっていない。
 誠司は色々説得を試みて……
 結局、2人は溜息をついて……
「いいか」
「え?」
「行こう、うん」
 義明が自分で完結したかのように頷いた。
「僕も行こう」
 同じタイミングで未刀も頷いた。

「やったぁ!」
 誠司は喜んだ。


〈当日〉
 しっかり登山準備して、出発となる。
 電車で数時間揺られながら、現地に向かった。
「食料少ないじゃないか?」
 未刀が訊いた。
「出来る限り現地調達で」
「其れって出来るの?」
 未刀が首を傾げる。
「任せて下さい。鍛えてますから!」
 胸を張る誠司。
「山って怖いと言うけどね」
「う……」
 義明の言葉で口が止まる誠司だった。

 現地は殆ど集落もない辺鄙な場所だった。
「さて、いきましょうか」
 と、黙々歩いていく。
 一応、道標らしき物はあるし、問題なく進む。
 キャンプの目的地までたどり着いた。
「良い景色だなぁ」
 3人はごみごみした都会から解放された気持ちの良い感じになった。


 丁度15時。
 さっくりとテントを張った後、かまども作り、
「さっくり食料調達しましょう」
 誠司がニコニコ笑って2人に言った。
「僕はどうするか分からないな……。どうやって此処で食料調達……」
「なに、こういう風にするってヤツだろう。陸くんそうだろ?」
 と、義明が適当な枝や蔦、ロープを自分愛用のナイフを取り出して何かを組み立てた。
「あ、はい! 義明さん分かるんですか?」
「数回やったこと、いや結構あるのかな。おじさんやせんせーにたたき込まれた。ナイフの使い方と一緒に」
 と、兎捕縛トラップ完成させる。
「凄いです! 義明さん」
 誠司は張り切っている。
「僕は何をすればいい?」
「米を準備しましょう あ、教えます」
「あ、うん」
 と、2人で水場に向かった。

「しかしさ、陸」
「なんですか?」
「かわいそうじゃないか? 兎を……」
 捕まえた兎を絞めて料理にするところで未刀は抵抗感を持っていた。
「これも自然の……摂理です」
 バタバタ動く兎を押さえる誠司。
 未刀は悪霊を殺せるが、人を殺すことは出来ない。また、普通の人はこうした生き物を殺すこと何て出来ないものだ。何かと覚悟が居るものだ。魚を捌くことは大丈夫でも兎や鶏をしめるは駄目というのは……多分「血の色」や「動物としての温かさ」を知っているからだろうか? この辺は不思議である。
「怖かったら見ない方が……いいですよ」
 と、誠司が言う。
「そうする」
 未刀は苦笑しながらかまどのチェックに戻った。
 義明は釣ってきた魚を、捌いていた。


 食事をして、その後他愛のない話をして、夜は過ぎてしまった。



〈遭難〉
「あれ? おかしいなぁ」
「此処前に通った所じゃないか?」
 と、誠司の先導で登山をしていたのだが……、
 深い森の中で道を誤り、遭難してしまったのだ。

「おーい、陸……」
「陸……」
「ご、ごめんなさぁい!」
 4つの非難の目で半泣き状態に誠司。
 この2人が、睨むとやはり迫力がある。
 いつもはぼうっとしているのに怒ると凄いと言うことだ。
「遭難してしまいました、ご、ごめんなさい〜」
「しっかたないなぁ」
 と、義明は頭を掻きながら、木の幹を調べていた。
「南は大体絞れてきたかな?」
 と、独りぶつくさ言っている。
 どうも、神格による単純明快な遭難脱出は全く考えてないようだ。
 其れを使えば、簡単である。義明は神格疑似呪文で飛行出来るのだ。上空から見ればどこに何かあるか直ぐに分かるもので。あとは烽火なりで救助隊を呼べるのだ(流石に男2人を持ち運べるほど力量がない)。
 しかし、使わない理由も簡単、恥をかきたくないとも言うし、そもそも神格をそのように使うべきではない。
「迷ってしまった以上は、留まった方が良いとかは聞いたことがあるけど」
 未刀は木に持たれて考えている。
「うう、すみませえん」
 もう、おどおどしている誠司は役に立たない。

「あっちに何か見えるし、聞こえる」
 可能な限りのサバイバル能力と、訓練により研ぎ澄まされた五感で義明が指さした。

 トボトボ着いていく。

 そこには、天然の温泉が湧き出ていた。
「うわー!」
 先に声を上げたのは陸であった。
「ひとまず此処で休むか……」
 と、義明は淡々としてテントを張っている。
「き、機嫌悪いのかな?」
 誠司は義明の行動が何か怖かった。

 3人は、気持ちよい温泉でゆっくりし、どう脱出するか考える。
「うーむ」
 義明と未刀、そして誠司は地図とコンパスをもって睨めっこしていた。
 感覚的にかなり奥深いところにいるようだ。

「明日になって考えよう……」
 と、3人はそう決めて、寝ることにした。


「神格使えばいいじゃないか」
「其ればっかりに頼るなよ。アレ結構力居るんだぞ。下手に使って、抑止食らってへばるのもバカらしい」
「お、おち、おちつきましょうよ〜」
「「陸〜……」」
「ひい!」
 そして、喧嘩をしながらもこの3人は、2泊3日の登山が4泊5日になって無事下山を果たした。


「散々だったな……まあ、面白い経験であるが……」
 と、義明は溜息を付いている。
 未刀も元気がないようだ。
「まあ、生きて戻れたし良し……とするか」
「そうだな」
 と、言っていた。

 陸誠司にとって一生の不覚であろうか?
 そんな事件で思い出であった。

End?

■登場人物
【5096 陸・誠司 18 男 学生兼道士】

【NPC 織田・義明 18 男 神聖都学園高等部・天空剣剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】

■ライター通信
 滝照直樹です。 『神の剣異聞 Invisible Blade 4』に参加して下さりありがとうございます。
 誠に残念ながら、“神の剣 異聞”関係は、好感度上昇タイプであり、途中参加や他の内容を飛ばしての参加は2人の好感度があがりません。この四話は総トータル的なノベルであるために、2人の好感度等があがっていないので、あまり芳しくない終わり方をしております。
 こんな事が途中であったなぁ程度の思い出話として書かれています。ご了承下さい。

 滝照直樹拝