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<東京怪談・PCゲームノベル>


神の剣 異聞 Invisible Blade 1 邂逅

 織田義明はなにか違和感を覚えていた。
 平穏の時と、死と隣り合わせの己の宿命。
 今の状態は満足しているわけでもない。
「他の人もそうだろうな」
 と、独り言。
 一人暮らしをしてから数ヶ月。
 先天性神格覚醒者というのは、ある意味呪いである。神秘関係を否定する親に気味悪がられ、見捨てられたのだから。
 このアパートも、天空剣で退魔行をしたときのバイト代とエルハンドの好意により得られたものだ。
 さて、逆の立場の人間と出会えば彼はどう思うだろう?
 神秘の出であり、その能力を嫌って思って逃げた人間と……
「直ぐに起こるかどうかはさておき、惹かれ合うだろうか? 考え方が異なるから敵対するだろうか?」
 義明はそう思った。
 
 
 数日後……

 毎度の事ながら退魔行を任された義明は、あなたと一緒に戦いの中で一人の少年と出会った。
 戦いが住んだ後……お互いが見る。
 歳はおなじぐらい。
「……」
「……」
「「誰だ?」」
 同時に喋った。
 緊張、相手は非実体の悪霊を何かで斬っている。
「Invisible Blade……?」
 義明が、“彼”の能力(一部だが)を見る……。
「見えるのか? あんたこそ…その刀はなんだ?」
 少年が喋る。
 おそらく義明の「水晶」の事だろう。刀身が水晶のように透き通っているためだ。そこから発せられる力は尋常ではない。
 彼が警戒してもおかしくはない……。
  
 この緊張感のなかあなたはどうする?


〈橘穂乃香〉
 『常花の館』。
 半永久的、季節に変わる毎、様々な花が咲いている不思議な館。
 橘穂乃香は、この館の主。
 郊外という事だけで、此処まで花を管理するのは難しいものだ。
 しかし、常に綺麗に手入れされている。
 否、そのように見ている。
 穂乃香自身が知らない力によって……。

 ある日、穂乃香は衣蒼未刀と出会った。
 それからたまに、未刀はこの場にいる。
 未刀はおそらく居場所を見つけたのだ。

「未刀さん……お仕事?」
「ああ、僕には其れしか出来ないから。いや、すべき一族だから」
 未刀は穂乃香にそう言う。
「だ、……行ってらっしゃいです」
 と、笑いながら未刀を送り出す。
 しかし、胸騒ぎがする。
 植物たちも其れに反応している。
 未だ未刀の気配がする。
 さっき門を出たもよう。
「心配です……隠れて……隠れてついていかなきゃ……」
 彼女は、彼の後をつけていく。


 そして、穂乃香は未刀の仕事を隠れてみていた。
 しかし、未刀は穂乃香の知る未刀ではない。
 周りの草花は怯えている。
 穂乃香も怯えていた。
 それは、神秘の中でも“壊す”事に長けた者の世界。
 未刀は見えない刃を振り、悪霊を退治していく。
 穂乃香は、彼が怪我をしないか不安であったが、未刀には傷はなく、彼女は安堵する。

 全ての悪霊が消え去ったときに、未刀の目の前には、茶髪の少年。
 青白いオーラを纏い、神秘的な日本刀を持っている。
 そして、お互いが刃を向けていた。
「Invisible Blade……」
「みえるのか!?」
 と、対峙しているのがよく知っている人物だとしる。
「義明さん?」
 穂乃香は思い出した。

――……! お止めないと!

 勇気を振り絞って彼女は大声を出した。
「駄目ですの!」
「穂乃香!?」
 未刀は義明に警戒しながらも声を出した。

「……穂乃香ちゃん……か。彼女の知り合いなら……」
 たしか、数度、会ったことがあると思い出す義明。
 ネットカフェなのか、彼女の館か、ハッキリ覚えていないが、実際に出会っている。
 仕事をしているときに一つ二つ、異なった気を感じていた。一つは封魔の未刀。もう一つは生命力が溢れている彼女だった。
 義明は気がついていたのである。
 ゆっくり、『水晶』を“納刀”した。

「義明さんは悪い人じゃないですの!」
 と、2人の間に割って入った。
「ほ、穂乃香!?」
 いきなりの登場に未刀は驚く。
 義明を庇うように腕を広げる穂乃香。
 いつも可愛い笑顔なために、睨んでいる顔も可愛い。怒っている顔もまた可愛い。
 迫力がないと言ってしまえば終わりであるが……
 彼女の真剣さは未刀に伝わっていた。
「あ、う…… それは……そ」
 未刀は気圧されている。
「け、喧嘩は行けませんの! 怪我をしたら……痛いし悲しいですの……」
「そうだね、穂乃香ちゃん。ごめんね」
「義明さん……」
 既に、事を分かってくれた義明に穂乃香は安堵する。
 彼女が必死に叫んでいるときに、既に納刀しているのだから。
 流石に、神格覚醒まで止めてはいないようだが。
 が、まだ武器をしまっていない者が居た。
――正確には、その事をすっかり忘れて呆然としているたけだのだが
「義明さんはいい人ですの!」
「しかし、あいつの力は尋常じゃ……」
 何とか答えようとする未刀だが、
「喧嘩する必要はありませんの! 喧嘩なんて悲しい……だけですの……」
 どんどん涙目になっていく穂乃香。
「うう……」
 未刀は、“未だ見ぬ刀”を収め……
「わかった……ゴメン……喧嘩はしないから……」
 と、彼女の目線を合わせるように膝をつく。

「聞いてくれて良かったです……よかった」
 泣きじゃくる穂乃香だった。
 


〈自己紹介〉
「俺は織田義明」
「僕は衣蒼未刀」
 と、穂乃香の前で、握手を交わす2人。
 穂乃香は涙目からうって変わって、笑顔だ。
 仲良きことはいいこと。
 穂乃香は争いが嫌いなのだ。

 誰しも戦いは嫌いである。
 しかし、この2人の様な存在は争いの中に身を投じなければならない。
 宿命づけられたか、それとも己の意志なのか問わず。
 穂乃香のような護るべき存在が生きていけるために。
 戦うものには何か理由があるのを穂乃香は知っている。
 “戦い”を止めることはできないが、こうした“喧嘩”は止めなければならないのだと彼女は考えている。
 

 義明は現場の浄化儀式を行った後、
「そっか、そう言う風に知り合ったんだ」
 と、穂乃香と未刀の出会いを聞いていた。
「はい♪」
「そ、そうなるな……」
 どういう風に出会って、今の自分たちがあるかを簡単に話す穂乃香。
 照れているのか、赤面している未刀。
 少ししか出会ったことはないが、義明は、この小さな友人の話をじっと聞いていた。
「成る程、成る程♪」
 何かに納得している義明。
「? どうかしましたの?」
 穂乃香は首を傾げる。
「ん、仲が良いなって。話を聞いてよく分かった」
 義明はにっこり微笑む。
「はい♪」
 笑みで返す、穂乃香だった。



 そして、夜道を歩いていく。
 そして、少しだけ身の上話をする義明。
 未刀は驚いていた。
 殆ど反対の出生に。
 義明は、今まで思っていた事が実現したことで驚いていた。
 
 
 義明は、未刀や穂乃香にどんなことが好きなのか、暇なときは何をしているのか他愛のない会話をするはずなのが……
「え? 僕は、なにもない……」
 と、質問に答えられない未刀に
「? え、なんですの? それって?」
 非常に不思議そうな顔をする。
 義明もあまり人のことは言えないが、この2人の世間知らずさは桁外れだった。
 しかし、純粋さ故に穂乃香は善悪を“かぎ分けられる”ようだ。
 草木が其れを証明している。彼女が通れば、草木は元気になる。
 自立的に草木が元気になると言うのは、人間の善悪を超えるところもあるのだが、一般的に“善”とされてもおかしくはない。
――やはり、アレには気をつけないと……。何を吹き込まれるか……。
 と、義明は思った。
「? どうしたんですか?」
「いや、何でもないよ」

「あ、そうです! 未刀さんやわたくしに今まで義明さんが体験したことを教えて下さいませんか?」
 と、穂乃香は義明に言う。
 ワクワクしている穂乃香。
 まだ、首を傾げているが、不思議そうに見ている未刀。
 時間帯的にかなり問題はあるが……それ以外に断る理由もないし、義明も穂乃香と未刀と話がしたかった。
「ああ、まずどこから話そうかな……」
 義明は、遠くを見るように、呟いた。
「続きは、わたくしのお家で♪」
 穂乃香は、未刀と義明の手をとって言った。
「いいの? 穂乃香ちゃん」
「はいですの♪」

 館からあまり出られない(出してもらえないのが正しいか?)穂乃香と、未だ世間知らずではあるが、己の道を進もうとする未刀の2人。
 
 そして、どのように影響を与えるか分からないが……
 神の道を選んだ織田義明と出会ったのだ。
 これから色々なことが起こるだろうと、穂乃香は考えた。
 それを、見ていたいと思った。

 幼い身体に、強い意志を持って。


2話に続く。


■登場人物
【0405 橘・穂乃香 10 女 「常花の館」の主】

【NPC 織田・義明 18 男 神聖都学園高等部・天空剣剣士】
【NPC 衣蒼・未刀 17 男 妖怪退治屋(家離反)】


■ライター通信
 滝照直樹です
 『神の剣 異聞 Invisible Blade 1 邂逅』に参加してくださりありがとうございます。
|Д゚) ……
 あ、何か居ますが……
 今のところスルーで構いません。
|Д゚) がーん!?
 このノベルは順序よく解を進めると好感度などがアップします。
 2話目は、3人で買い物に行くシナリオです。
 
 では、またの機会があれば、お会いしましょう。

滝照直樹拝